特許第5731062号(P5731062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5731062ローラーコンベア、不良ローラーの検出方法及び連続処理設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5731062
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】ローラーコンベア、不良ローラーの検出方法及び連続処理設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 39/00 20060101AFI20150521BHJP
   B65G 43/02 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   B65G39/00 Z
   B65G43/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-247554(P2014-247554)
(22)【出願日】2014年12月8日
【審査請求日】2014年12月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】西尾 勤
(72)【発明者】
【氏名】奥田 雅海
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−292349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 13/00−13/12
B65G 39/00−39/20
B65G 43/02
B65H 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体を搬送させるローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアにおいて、各ローラーを板状体の搬送方向と交差する軸方向に移動可能に設けると共に、各ローラーを個別に軸方向に移動させる移動装置を設け、前記の移動装置によりローラーを軸方向に移動させて、不良箇所がある不良ローラーによって板状体に生じる不良箇所の位置の変化を検知することを特徴とするローラーコンベア。
【請求項2】
請求項1に記載のローラーコンベアにおいて、前記のローラーの回転軸の端部に係止用鍔を設け、前記の移動装置として、ローラーの軸方向に移動可能に設けられたスライド部材に、前記の係止用鍔を回転可能に保持する軸受け部材とこのスライド部材の移動を案内する案内用長孔を設けると共に、この案内用長孔に回転部材に設けられた作動幹を挿入させるようにし、前記の回転部材を回転させて、前記の作動幹を前記の案内用長孔に沿って移動させ、前記のスライド部材をローラーの軸方向に移動させることを特徴とするローラーコンベア。
【請求項3】
板状体を搬送させるローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアに存在する不良箇所のある不良ローラーを検出する不良ローラーの検出方法において、各ローラーを板状体の搬送方向と交差する軸方向に移動可能に設けると共に、各ローラーを個別に軸方向に移動させる移動装置を設け、前記の移動装置によりローラーを軸方向に移動させ、不良ローラーによって板状体に生じる不良箇所の位置の変化を検知して、不良ローラーを検出することを特徴とする不良ローラーの検出方法。
【請求項4】
処理炉内にローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアを設け、このローラーコンベアにより板状体を搬送させて連続処理する連続処理設備において、請求項1又は請求項2に記載のローラーコンベアを用いたことを特徴とする連続処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状体を搬送させるローラーコンベア、このローラーコンベアにおける不良ローラーを検出する不良ローラーの検出方法、及び処理炉内に設けたローラーコンベアにより板状体を搬送させて連続処理する連続処理設備に関するものである。特に、板状体を搬送させるローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアにおいて、ローラーの外周面に、傷がついたり、異物が付着したりした不良箇所のある不良ローラーが存在する場合に、複数のローラー中から不良ローラーを簡単に検出できるようにした点に特徴を有するものでる。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス板等の板状体を処理炉内において搬送させて連続処理する連続処理設備においては、ガラス板等の板状体をローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアにより処理炉内において搬送させて連続処理するようにしたものが広く利用されている。
【0003】
ここで、前記のようにローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアを用いて板状体を搬送させるようにした場合、ローラーの外周面に傷が生じたり、異物が付着したりすることがある。
【0004】
そして、このように外周面に傷がついたり、異物が付着したりした不良箇所のある不良ローラーが存在する状態で、このローラーコンベアによって板状体を搬送させるようにした場合、搬送される板状体が前記の不良ローラーにおける不良箇所に接触して、この板状体に傷等の不良箇所が生じることになる。このため、ローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアにおいて、前記のような不良ローラーを速やかに発見して交換させることが必要になった。
【0005】
しかし、連続処理設備の処理炉等に使用されるローラーコンベアにおいて、板状体の処理を行いながら、ローラーコンベアに多数存在するローラーの中から前記のような不良ローラーを発見する作業は非常に困難であった。
【0006】
そして、従来においては、ローラーコンベアにおけるローラーを1本ずつ下降させて、搬送される板状体に傷等の不良箇所が生じるかを検査し、板状体に傷等の不良箇所が生じなくなった場合に、その時点において下降されているローラーが、不良ローラーであることを検知することが提案されている。
【0007】
しかし、連続処理設備の処理炉等に使用されるローラーコンベアにおいては、一般に100本以上のローラーを並設させているため、100本以上のローラーを1本ずつ下降させて、不良ローラーを検出することは非常に面倒であり、また熱等によって変形しやすい薄いガラス板等の板状体の場合には、不良ローラーが下降されても、この板状体が自重により下方に向けて垂れ下がって、板状体が下降されている不良ローラーに接触し、板状体における傷等の不良箇所がなくならず、不良ローラーを適切に検出することができなくなるという問題があった。
【0008】
また、従来においては、特許文献1,2に示されるように、ガラス板等の板状体をローラーコンベアによって搬送させるにあたり、搬送される板状体の姿勢が基準姿勢からずれた場合に、板状体の姿勢のずれに応じて、ローラーコンベアに設けられた適当な位置におけるローラーを軸方向等に移動させるようにして、搬送される板状体の姿勢を調整し、姿勢がずれた板状体を基準姿勢に戻すようにしたものが提案されている。
【0009】
しかし、特許文献1,2に示されたものにおいては、ローラーコンベアに不良箇所があるローラーが存在する場合における問題や、ローラーコンベアに多数存在するローラーの中から前記のような不良箇所がある不良ローラーを発見することに関しては一切記載も示唆もなく、ローラーコンベアに設けられた多数のローラーの中から不良箇所がある不良ローラーを簡単に検出するという問題を解決することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−26537号公報
【特許文献2】特開2009−13061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアを用いて板状体を搬送させるにあたり、ローラーの外周面に、傷がついたり、異物が付着したりした不良箇所のある不良ローラーが存在する場合に、ローラーコンベアを構成する複数のローラー中からこのような不良ローラーを簡単に検出できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るローラーコンベアにおいては、前記のような課題を解決するため、板状体を搬送させるローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアにおいて、各ローラーを板状体の搬送方向と交差する軸方向に移動可能に設けると共に、各ローラーを個別に軸方向に移動させる移動装置を設け、前記の移動装置によりローラーを軸方向に移動させて、不良箇所がある不良ローラーによって板状体に生じる不良箇所の位置の変化を検知するようにした。
【0013】
そして、このように移動装置によりローラーを軸方向に移動させて、不良ローラーによって板状体に生じる不良箇所の位置の変化を検知するようにした場合、不良ローラーが軸方向に移動されて、板状体に生じる不良箇所の位置がずれると、これにより不良ローラーを適切に検知できるようになる。
【0014】
また、本発明のローラーコンベアにおいて、移動装置によりローラーを軸方向に移動させるにあたっては、前記のローラーの回転軸の端部に係止用鍔を設け、前記の移動装置として、ローラーの軸方向に移動可能に設けられたスライド部材に、前記の係止用鍔を回転可能に保持する軸受け部材とこのスライド部材の移動を案内する案内用長孔を設けると共に、この案内用長孔に回転部材に設けられた作動幹を挿入させるようにし、前記の回転部材を回転させて、前記の作動幹を前記の案内用長孔に沿って移動させ、前記のスライド部材をローラーの軸方向に移動させるようにすることができる。このようにすると、前記の回転部材を回転させるだけで、対応するローラーをその軸方向に簡単に移動させることができるようになる。また、軸受け部材によってローラーの回転軸を回転可能に保持するため、ローラーを回転させて板状体を搬送させながら、ローラーを軸方向に移動させることができる。
【0015】
また、本発明に係る不良ローラーの検出方法においては、板状体を搬送させるローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアに存在する不良箇所のある不良ローラーを検出するにあたり、各ローラーを板状体の搬送方向と交差する軸方向に移動可能に設けると共に、各ローラーを個別に軸方向に移動させる移動装置を設け、前記の移動装置によりローラーを軸方向に移動させ、不良ローラーによって板状体に生じる不良箇所の位置の変化を検知して、不良ローラーを検出するようにした。
【0016】
また、本発明に係る連続処理設備においては、処理炉内にローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアを設け、このローラーコンベアにより板状体を搬送させて連続処理するにあたり、前記のローラーコンベアを用いるようにした。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、ローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアによって板状体を搬送させるにあたり、搬送される板状体が前記のような不良箇所のある不良ローラーに接触して、搬送される板状体に傷等の不良箇所が生じた場合に、前記のように移動装置によりローラーを軸方向に移動させて、板状体に生じる不良箇所の位置の変化を検知するようにしたため、前記の不良ローラーが軸方向に移動されて、板状体に生じる不良箇所の位置がずれることにより、ローラーコンベアに存在する不良ローラーを適切に検知できるようになる。
【0018】
また、本発明においては、従来のようにローラーを下方に移動させるのではなく、ローラーを軸方向に移動させるため、まとめて複数本のローラーについて不良の有無を検知するため、各移動装置により複数本のローラーをまとめて軸方向に移動させるようにした場合においても、板状体が各ローラーと接触されてローラーコンベアにより搬送されるようになり、板状体をローラーコンベアにより搬送させながら、ローラーコンベアに存在する不良ローラーを発見する作業が短時間で簡単に行えるようになる。
【0019】
また、ローラーを下方に移動させて不良ローラーを検出する場合のように、板状体が垂れ下がって下降させている不良ローラーに接触してしまい、不良ローラーを適切に検出することができなくなるということもなく、不良ローラーを適切に検知できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るローラーコンベアを使用する連続処理設備において、ローラーコンベアが設けられた処理炉を長手方向に沿って垂直方向に切断させた概略断面図である。
図2】前記の連続処理設備において、ローラーコンベアが設けられた処理炉を長手方向に沿って水平方向に切断させた概略断面図である。
図3】前記の実施形態に係るローラーコンベアにおいて、一部に不良箇所のある不良ローラーが存在する状態を示した部分断面説明図である。
図4】前記のローラーコンベアにおける不良ローラーとの接触により、板状体の裏面に不良箇所が発生した状態を示した平面図である。
図5】前記の実施形態に係るローラーコンベアにおいて、不良ローラーが軸方向に移動されて、板状体の裏面に生じる不良箇所がずれた状態を示した平面図である。
図6】前記の実施形態に係るローラーコンベアにおいて、不良ローラーを検出するにあたり、各移動装置により複数本のローラーをまとめて一緒に軸方向に移動させた状態を示した部分断面説明図である。
図7】前記の実施形態に係るローラーコンベアにおいて、ローラーを軸方向に移動させる移動装置の例を示し、ローラーの回転軸の端部に係止用鍔を設けたローラーを軸方向に移動させる移動装置の分解斜視図である。
図8図7に示した移動装置において、ローラーの回転軸の端部に設けた係止用鍔を、スライド部材に設けられた一対の軸受け部材に回転可能に保持させた状態を示した概略正面図である。
図9図7に示した移動装置によってローラーを軸方向に移動させる状態を示した側面側からの部分断面説明図である。
図10図7に示した移動装置によってローラーを軸方向に移動させる状態を示した底面側からの部分断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係るローラーコンベア、不良ローラーの検出方法及び連続処理設備を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係るローラーコンベア、不良ローラーの検出方法及び連続処理設備は下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0022】
ここで、図1及び図2に示す実施形態の連続処理設備においては、処理炉10内に、その長手方向両側における搬入口11から搬出口12に向けて所要間隔を介して多数のローラー21が並設されたローラーコンベア20を設けている。
【0023】
そして、この連続処理設備においては、前記の搬入口11からガラス板等の板状体Pを処理炉10内に搬入させ、この板状体Pを前記のローラーコンベア20により処理炉10内を前記の搬出口12に向けて搬送させると共に、この板状体Pを処理炉10内において処理させ、処理された板状体Pを前記の搬出口12から搬出させるようにしている。
【0024】
ここで、前記のようにローラーコンベア20により板状体Pを搬送させるようにした場合、図3に示すように、ローラーコンベア20におけるローラー21の外周面に傷が生じたり、異物が付着したりすることがあり、このように外周面に傷が生じたり、異物が付着したりした不良箇所xのある不良ローラー21’が存在する状態で、このローラーコンベア20によって板状体Pを搬送させると、板状体Pの裏面がこのような不良ローラー21’と接触して、図4に示すように、板状体Pの裏面に、不良ローラー21’における不良箇所xに対応した位置に傷等の不良箇所yがローラー21の回転に伴って断続的に生じるようになる。
【0025】
ここで、この実施形態においては、ローラーコンベア20における不良ローラー21’を検出するため、図2及び図3に示すように、ローラーコンベア20における各ローラー21を、板状体Pの搬送方向と交差する方向、すなわちローラー21の軸方向に移動可能に設けると共に、処理炉10内から突出された各ローラー21における回転軸21aにそれぞれ移動装置30を設け、各移動装置30により、各ローラー21を板状体Pの搬送方向と交差する軸方向に個別に移動させるようにしている。
【0026】
そして、前記のように板状体Pの裏面が不良ローラー21’に接触して、板状体Pの裏面に傷等の不良箇所yが生じた場合には、前記の各移動装置30により各ローラー21を軸方向に移動させるようにし、不良ローラー21’が軸方向に移動されると、図5に示すように、板状体Pに生じる不良箇所yの位置が変化するため、これを検知して不良ローラー21’を検出するようにしている。
【0027】
ここで、前記のように各移動装置30により各ローラー21を軸方向に移動させて、板状体Pに生じる不良箇所yの位置の変化により不良ローラー21’を検出する場合、各移動装置30により各ローラー21を1本ずつ順番に軸方向に移動させて、不良ローラー21’を検出することも可能であるが、ローラーコンベア20においては、前記のように一般に100本以上の多数のローラー21が並設されているため、各ローラー21を1本ずつ順番に軸方向に移動させるようにした場合、不良ローラー21’を検出する作業が面倒で多くの時間を要することになる。
【0028】
このため、この実施形態においては、図6に示すように、複数本のローラー21をまとめて1つのブロックとして、複数本のローラー21を各移動装置30により一緒に軸方向に移動させるようにし、複数本のローラー21をまとめたブロック単位で板状体Pに生じる不良箇所yの位置の変化を検知し、1つのブロックにおけるローラー21の移動により、板状体Pに生じる不良箇所yの位置が変化した場合には、このブロックにおける各ローラー21を各移動装置30により順々に軸方向に移動させて、板状体Pに生じる不良箇所yの位置が変化するのを検知して、不良ローラー21’を検出するようにしている。また、図示していないが、前記の移動装置30によりローラー21を軸方向に移動させる距離を、複数のローラー21において異ならせ、これにより板状体Pに生じる不良箇所yの位置の変化を検知して、複数のローラー21の中から不良ローラー21’を検出させるようにすることも可能である。
【0029】
また、この実施形態において、ローラー21を軸方向に移動させる移動装置30は特に限定されず、例えば、図示していないが、動力装置を用いたシリンダー等の伸縮装置を用いることもできるが、前記のようにローラーコンベア20においては、一般に100本以上の多数のローラー21を並設させているため、各ローラー21に前記のような伸縮装置からなる移動装置30を設けるためには、コストが高く付くと共に装置が大型化し、また既設のローラーコンベア20において、各ローラー21を移動させるように改造するために、前記のような伸縮装置からなる移動装置30を追加することも困難になる。
【0030】
ここで、この実施形態においては、移動装置30によってローラー21を軸方向に移動させるにあたり、図7図10に示すように、処理炉10内から突出されたローラー21の回転軸21aの端部に係止用鍔21bを設ける一方、前記の移動装置30として、ガイド部材31に沿ってローラー21の軸方向に移動可能に設けられたスライド部材32に、前記の係止用鍔21bをその両側において回転可能に保持する一対の軸受け部材33を上方に突出するように設けると共に、このスライド部材32に案内用長孔34を設け、またこのスライド部材32の下に回転部材35を設け、この回転部材35から上方に向けて突出された作動幹36を、前記のスライド部材32に設けられた前記の案内用長孔34内に挿入させると共に、この回転部材35を回転軸37を中心にして回転させるレバー部材38を設けている。
【0031】
そして、スライド部材32に設けられた一対の軸受け部材33により、ローラー21の回転軸21aの端部に設けられた係止用鍔21bをその両側において回転可能に保持させると共に、回転部材35から上方に向けて突出された作動幹36を、スライド部材32に設けられた案内用長孔34内に挿入させた状態で、前記のレバー部材38により前記の回転部材35を何れかの方向に回転させて、案内用長孔34内に挿入された前記の作動幹36を処理炉10に近接又は離間する方向に回転させ、この作動幹36によりスライド部材32に設けられた案内用長孔34の縁部を押すようにして、前記のスライド部材32を前記のガイド部材31に沿ってローラー21の軸方向に移動させ、これに伴って、スライド部材32の軸受け部材33により係止用鍔21bが保持されたローラー21をローラー21の軸方向に移動させるようにしている。
【0032】
このため、この実施形態のものにおいては、前記のようにレバー部材38により回転部材35を回転させるという簡単な操作により、各ローラー21を軸方向に簡単に移動させることができ、前記のようにしてローラーコンベア20に存在する不良ローラー21’を検出する作業が簡単に行えるようになる。
【0033】
また、前記のような移動装置30は、動力装置を用いたシリンダー等の伸縮装置に比べてコストが低減されると共に、装置もコンパクト化することができ、さらに既設のローラーコンベア20において、前記のような移動装置30を追加させて、各ローラー21を移動させるように改造することも簡単に行えるようになる。
【符号の説明】
【0034】
10 :処理炉
11 :搬入口
12 :搬出口
20 :ローラーコンベア
21 :ローラー、21’ :不良ローラー、21a :回転軸、21b :係止用鍔
30 :移動装置
31 :ガイド部材
32 :スライド部材
33 :軸受け部材
34 :案内用長孔
35 :回転部材
36 :作動幹
37 :回転軸
38 :レバー部材
P :板状体
x :ローラーの不良箇所
y :板状体の不良箇所
【要約】
【課題】 ローラーが所定方向に複数並設されたローラーコンベアを用いて板状体を搬送させるにあたり、不良箇所がある不良ローラーを複数のローラーの中から簡単に検出できるようにする。
【解決手段】 板状体Pを搬送させるローラー21が所定方向に複数並設されたローラーコンベア20において、各ローラー21を板状体の搬送方向と交差する軸方向に移動可能に設けると共に、各ローラー21を個別に軸方向に移動させる移動装置30を設け、前記の移動装置30によりローラー21を軸方向に移動させ、不良箇所xのある不良ローラー21’によって搬送される板状体Pに生じる不良箇所yの位置の変化を検知して、不良ローラー21’を検出するようにした。
【選択図】 図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10