(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態に関するいくつかの例について、図面を参照しながら説明する。図面において、同一の構成を示すものには同一の符号を付す。また、符号の引き出し線が点線の場合、隠れた部分を指している。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の導光板における光束平滑化領域1の構成を示す斜視図である。第1の実施形態の導光板は、平板状の形状を有し、入射光を受ける入射端面と、入射光を平滑化し均一な光を放出する光放出平面を有する。入射端面と光放出平面との間に光束平滑化領域1が設けられている。
図1は、光束平滑化領域1だけが示されている。光束平滑化領域1は、凹凸状に変化する複数の平行な溝が一方の平面に形成されている。一方の平面は、好ましくは光放出平面とは逆の平面である。他方の平面にも同様の溝を設けても良い。溝は、入射端面から延在し、延在方向は、入射光の光軸方向である。従って、溝の方向は、入射端面と大略垂直な方向である。入射端面から見た溝の形状は、のこぎり波形状、曲線波(例えば正弦波)形状のいずれであっても良い。好ましくは、のこぎり波形状であるので、以下、のこぎり波形状を主として説明する。
光束平滑化領域1は、入射端面2a、出射端面2b、光束平滑化表面4a、表面4b、側面3a、および側面3bを有する。光束平滑化表面4aは、仮想面NFaの近傍に配置され、
図1に示すよう、光軸に垂直な断面が折れ線である形状を有する。折れ線の代わりに、曲線であっても良い。仮想面NFaは、境界線N1、N2、N3、およびN4を挟んで、それぞれ入射端面2a、出射端面2b、側面3a、および側面3bと直角に配置され、表面4bと平行に配置される。入射端面2aは、境界線N5、N6、およびN7を挟んで、それぞれ側面3a、側面3b、および表面4bと直角に配置され、出射端面2bと平行に配置される。出射端面2bは、境界線N8、N9、およびN10を挟んで、それぞれ側面3a、側面3b、および表面4bと直角に配置される。
【0016】
なお、各面2a、2b、NFa、4b、3a、3bは、第1の実施形態では平面であるが、曲面であってもよい。各境界線N1〜N10は、第1の実施形態では直線であるが、曲線であってもよい。各面2a、2b、NFa、4b、3a、3bが互いに成す角度は直角または平行としたが、それ以外の角度であってもよい。
【0017】
光源には、第1の実施形態では、点光源として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられる。複数のLEDは、各境界線N1、N7に平行に配置される。さらに複数のLEDのそれぞれは、光軸が、入射端面2aおよび出射端面2bに対して垂直になるように、すなわち各境界線N3、N4に対して平行になるように配置される。
【0018】
各LEDから放射した光束5は、入射端面2aに入射される。複数のLEDから入射された複数の光束5の強度分布は、複数のピークを有する。光束平滑化表面4aは、入射された複数の光束5を分散させることにより光を混合し、ピークのない平坦な強度分布にする。その結果、複数の光束5は、1つの光束6に平滑化される。出射端面2bは、平滑化された光束6を出射する。
【0019】
光束平滑化表面4aと入射端面2aとの境界線21は、
図1に示すように、のこぎり波の形状を成す。
【0020】
図6は、第1の実施形態の導光板におけるのこぎり歯の形状を示す模式図である。
図6に示すように、点A、B、Cを頂点とする三角形ABCは、辺ABを境界線N1と共有する。辺ACは、境界線N1に対して頂点Aの内角Adgだけ傾斜し、辺BCは、境界線N1に対して頂点Bの内角Bdgだけ傾斜する。辺ACと辺BCとは、頂点Cの内角Cdgを成す。内角Adgおよび内角Bdgは、鋭角である。第1の実施形態では内角Cdgも鋭角であり、三角形ABCは鋭角三角形である。なお内角Cdgが直角であり、三角形ABCが直角三角形であってもよく、内角Cdgが鈍角であり、三角形ABCが鈍角三角形であってもよい。境界線21は、このように2種類の辺ACおよび辺BCの組み合わせが繰り返される、のこぎり波の形状を成す。
【0021】
なお、のこぎり波状の境界線21は、三角形ABCが、隣接して繰り返されるようにしても良いし、所定の間隔を空けて繰り返されるようにしても良い。後者の場合、所定の間隔は、境界線N1に沿って断続的に現れる。この間隔の長さの合計は、境界線N1の全長の半分以下であることが望ましい。このように境界線21は、凹凸を有する形状を成す。さらに、内角Adgおよび内角Bdgは、所定の傾斜角度以上であることが望ましい。所定の傾斜角度は、例えば20度である。
【0022】
境界線21におけるのこぎり波形の形状は、入射端面2aと平行な任意の断面においても観察することができる。すなわち、光束平滑化表面4aは、境界線21が延在して形成される面であり、かかる面は、2種類の長方形が交互に繰り返されて形成される。一方の種類の長方形は、仮想面NFaに横たわる三角柱の一方の斜面を形成し、他方の種類の長方形は、仮想面NFaに横たわる三角柱の他方の斜面を形成する。2種類の長方形は、仮想面NFaに対して、角度Adgおよび角度Bdgだけ傾斜する。なお、光束平滑化表面4aは、入射端面2aに平行な任意の断面において、入射端面2aから離れるにしたがって、境界線21の形状から相似形で変化してもよい。
【0023】
複数のLEDからの複数の光束5は、複数の三角柱の斜面において、反射および屈折されることにより、分散され、混合されて、1つの光束6に平滑化される。
【0024】
例えば回折素子のように、傾斜角度Adgまたは傾斜角度Bdgを直角とし、直角三角形によりブレーズ(blaze)化するよりも、上述したように鋭角三角形によりブレーズ化する方が好ましい。なぜならば、入射端面2aに入射した複数の光束5のそれぞれは、仮想面NFaに平行な平面内において、光軸に関して大略対称な強度分布(すなわち、配光分布)を有するからである。光束平滑化表面4aは、光軸に関して対称な方向の2種類の光束を、上述した2種類の長方形を用いて、それぞれ効率よく分散させることができる。この意味から、鋭角三角形ABCは、辺ABを底辺とし、傾斜角度Adgおよび傾斜角度Bdgが互いに等しい二等辺三角形であることが、さらに好ましい。
【0025】
光束平滑化表面4aの形状は、例えば次のようにして製作することができる。金属に鍍金層を形成し、鍍金した部分に対応する成形品側が光束平滑化表面4aの形状となるように、鍍金した金属を切削加工し、金型を製作する。このような金型に、光束平滑化領域1の材料、例えばアクリル系樹脂またはポリカーボネイト系樹脂、を用いて射出成形し、光束平滑化表面4aを有する光束平滑化領域1を製作することができる。射出成形以外に、エッチングによっても光束平滑化表面4aの形状を製作することが出来る。
【0026】
なお、
図1および
図6では三角形ABCは、境界線N1に対して光束平滑化領域1の外側の方向に突出させたいわゆるブレーズ型の形状としたが、境界線N1に対して光束平滑化領域1の内側の方向に削り込んだ形状としてもよい。しかし、導光板8において、光束平滑化領域1および後述する光偏向領域7(
図2を参照)を一体で製造する観点からは、光偏向領域7の光偏向表面4c(
図2を参照)と同一平面内の仮想面NFaから、金型を切削加工により製作することが好ましく、したがってブレーズ型の形状とすることが好ましい。
【0027】
光束平滑化領域1の各寸法は、入射された光束5が平滑化される度合いと相関関係がある。これらの寸法は、光束平滑化領域1の長さLa、各側面3a、3bの高さ(すなわち、
図2に示す光偏向領域7の厚み)T、光束平滑化表面4aの高さ(すなわち、三角形ABCの高さまたはブレーズ高さ)Ha、および光束平滑化表面4aのピッチPaである。なお、平滑化領域1の厚みは、表面4bからのこぎり波の頂点までを言う。平滑化領域1の厚みは光偏向領域7の厚みよりも大きい。
【0028】
長さLaが長くなれば、入射された光束5の反射および屈折回数が多くなるから、平滑化効果を高めることができる。しかし、長さLaがある程度以上に長くなれば、平滑化効果は充分となり、
図4において後述する液晶表示パネル16の有効表示領域Sも狭くなる。
【0029】
側面3a、3bの高さTと光束平滑化表面4aの高さHaとが短くなれば、反射および屈折回数が多くなるから、平滑化効果を高めることができる。しかし、高さTは、
図3において後述するLED列11の高さShにも関係するため、高さTには好ましい範囲が存在する。また、高さHaがある程度以下に短くなれば、上述した2種類の傾斜する長方形の面積が小さくなるため、反射および屈折回数が少なくなる。さらに、各傾斜角度Adg、Bdgも小さくなるため、反射および屈折方向の配列方向の成分は小さくなり、配列方向への分散・混合効果は小さくなる。
【0030】
光束平滑化表面4aのピッチPaが短くなれば、反射および屈折回数が多くなるから、平滑化効果を高めることができる。しかし、突出角度Cdgが一定のままであれば、上述した2種類の傾斜する長方形の面積が小さくなるため、反射および屈折回数が少なくなる。
【0031】
以上の理由により、光束平滑化領域1の長さLaは、好ましくは光束平滑部1における側面3a、3bの高さT以上、かつ6×T以下であることが望ましい。各側面3a、3bの高さTは、好ましくは後述のLED列11の高さShに対して、0.8×Sh以上、かつ1.2×Sh以下であることが望ましい。ブレーズ高さHa(溝の深さHaとも言う)は、0.0025×T以上、かつ0.025×T以下であることが望ましい。Haは、1μmから20μmであり、好ましくは5μmから10μmである。光束平滑化表面4aのピッチPaは、50μm以下、好ましくは30μmである。突出角度Cdgは、60度以上、150度以下であり、好ましくは70度以上、110度以下であり、より好ましくは80度以上、100度以下であり、最も好ましくは大略90度である。第1の実施形態では、La=4mm、T=1mm、Ha=8μm、Pa=16μm、およびCdg=90度とした。
【0032】
図2は、第1の実施形態の導光板8における構成を示す斜視図である。第1の実施形態の導光板8は、さらに光束平滑化領域1に隣接する光偏向領域7を含む。光偏向領域7は、出射端面2b、光偏向表面4c、表面4d、側面3a、および側面3bを有する。光偏向表面4cは、仮想面NFaと同一の平面内に配置され、出射端面2b、側面3a、および側面3bと直角に配置され、表面4dと平行に配置される。表面4dは、表面4bと同一の平面内に配置され、光偏向表面4cと対向する。
【0033】
なお、各面4c、4dは、第1の実施形態では平面であるが、曲面であってもよい。各面2b、4c、4d、3a、3bが互いに成す角度は直角または平行としたが、角度であってもよい。光偏向領域7の表面は、出射端面2bの全部で構成されるとしたが、出射端面2bの一部で構成されてもよい。光偏向表面4cは仮想面NFaと同一の平面内に配置され、表面4dは、表面4bと同一の平面内に配置されるとしたが、光偏向表面4cと仮想面NFaとの間、および表面4dと表面4bとの間に、段差を設けてもよい。
【0034】
光偏向領域7は、光偏向表面4cの近傍に、光束を偏向させる光偏向素子9aを有する。光偏向素子9aは、平滑化された光束6を、光軸方向(すなわち、各境界線N3、N4に平行な方向)に対して所定の偏向角で偏向し、表面4dへ照射光束10として出射する。
【0035】
光偏向素子9aは、例えば、中空の三角錐であり、三角錐の底面の三角形は光偏向表面4c内にある(
図2では、模式的に楕円で示している)。光偏向素子9aは、中空の三角錐の代わりに、中空の三角柱であってもよい。上述した所定の偏向角は、光軸方向を180度とすると、150〜170度程度である。なお、光偏向素子9aの形状、および光偏向表面4cにおける光偏向素子9aの配置を最適化することにより、偏向角を90度とし、後述するプリズムシート15(
図4を参照)を省略することも可能である。
【0036】
図3は、第1の実施形態の照射装置における構成を示す斜視図である。なお、図面を見易くするため、
図3におけるLED列11に対する回路基板12の配置は、後述する
図4における回路基板12の配置とは逆配置としている。第1の実施形態の照射装置は、導光板8、LED列11、回路基板12、および筐体13を含む。LED列11は、複数(例えば、60個程度)のLEDを含み、複数のLEDは、各境界線N1、N7の方向に整列して配置される。回路基板12は、LED列11に電流を供給する配線(不図示)を有する。筐体13は、回路基板12を固定する。さらに、筐体13は、表面4bの外側に、表面4bに対して大略平行に配置される光遮蔽部13aを含む。光遮蔽部13aは、表面4bから出射される光束を、吸収または反射することにより遮蔽する。なお、光遮蔽部13aは、表面4bに対していくらか傾斜してもよい。なお、光遮蔽部13aは、LED列11から出射される光束を遮蔽してもよく、また表面4d内における表面4b近傍の面から出射される光束を遮蔽してもよい。
【0037】
第1の実施形態では、1個のLEDの幅Swは2.8mm、LED列11のピッチSpは3.57mm、およびLED列11の高さShは、各側面3a、3bの高さTと同じく1mmとした。この場合、LED列11のピッチSpは、上述した光束平滑化表面4aのピッチPa=16μmに対して200倍強に相当する。このような照射装置において、出射された光束10を観察したが、螢現象は完全に解消していることを確認することができた。これは、光束平滑化領域1において、複数の光束が充分に平滑化されたことに起因する。
【0038】
図4は、第1の実施形態の表示装置における構成を示す断面図である。第1の実施形態の表示装置は、導光板8、LED列11、回路基板12、筐体13、反射板14、プリズムシート15、液晶表示パネル16、基板固定フレーム17、および放熱板18を含む。筐体13は、表示装置を支持する。さらに上述したように、筐体13は、表面4bと液晶表示パネル16との間に、表面4bに対して大略平行に配置される光遮蔽部13aを含む。反射板14は光束平滑部1および光偏向領域7に対して独立して配置され、光偏向表面4cに対して平行に、光偏向表面4cの外側に配置される。反射板14は、出射された光束を反射し、光偏向領域7に戻すことにより、光偏向領域7における液晶表示パネル16への照射効率を高めることができる。プリズムシート15は、光偏向領域7から出射された光束10の偏向角を、液晶表示パネル16に対して90度に修正する。液晶表示パネル16は、光スイッチ部の一例である。基板固定フレーム17は、回路基板12を固定する。放熱板18は、LED列11の熱を放熱する。なお、回路基板12は、
図3に示したように、液晶表示パネル16側に配置してもよい。
【0039】
光偏向領域7は、光束を偏向させる光偏向素子9bを有してもよい。光偏向素子9bは、平滑化された光束6を反射および屈折することにより偏向し、表面4dへ出射する。光偏向素子9bは、ビーズ(beads)とも呼ばれる。光束平滑化領域1においても、光偏向素子9bを設けても良い。ビーズの直径は1〜20μm、好ましくは5〜7μmとする。ビーズの添加量は、例えば0.01wt%である。
【0040】
図4において、LED列11は、複数の光束5を放射する。光束平滑化領域1は、入射端面2aに複数の光束5入射し、入射された複数の光束5の強度分布を平滑化する。光偏向領域7は、平滑化された光束6を、光軸方向に対して所定の偏向角で偏向し、表面4dへ出射する。プリズムシート15は、光偏向領域7から出射された光束10の偏向角を、液晶表示パネル16に対して90度に修正する。液晶表示パネル16は、修正された光束を、入力映像信号に基づいて画面内の各画素における光スイッチにより、透過/遮蔽し、映像を表示する。さらに、光遮蔽部13aは、導光板8から出射される光束を、吸収または反射することにより遮蔽する。
【0041】
LED列11と入射端面2aとの距離Dbが短くなれば、液晶表示パネル16への光照射強度を高めることができる。しかし、距離Dbがある程度以下に短くなれば、LED列11の照射に起因して入射端面2aに熱変形等が生じる。LED列11と光遮蔽部13aの液晶表示パネル16側端面との距離Daが短くなれば、光束の遮蔽効果が小さくなり、距離Daが長くなれば、液晶表示パネル16の有効表示領域Sが狭くなる。
【0042】
以上の理由により、LED列11と入射端面2aとの距離Dbは、長くなるほど螢現象の抑制効果を高めることができるが、液晶表示パネル16への光照射強度を弱めることになる。このため、距離Dbは、入射端面2aに熱変形が生じる限界まで近接することが好ましく、0.3mm以上であることが望ましい。LED列11と光遮蔽部13aの液晶表示パネル16側端面との距離Daは、表示装置の大きさに応じて決定されるため、特に規定はされないが、好ましくは4.3mm以上であることが望ましい。第1の実施形態では、Db=0.5mm、およびDa=4.5mmとした。
【0043】
光束平滑化領域1は、LED列11の直近の所定ゾーンに配置される。光束平滑化領域1は、LED列11から距離Dbに位置する近接平面と、LED列11から、距離Dbと光束平滑化領域1の長さLaとの和の距離に位置する遠方平面との間にある。したがって、所定ゾーンは、距離Dbの好ましい最小値0.3mmに位置する近接平面と、距離Dbと光束平滑化領域1の長さLaとの和の好ましい最大値(例えば1.0+6.0mm)に位置する遠方平面とを両端とするゾーンである。
【0044】
上述した各寸法を有する導光板8および導光板8を用いた表示装置を製作したところ、螢現象の発生は充分に抑制され、また液晶表示パネル16の輝度は充分に高く、1300nitであった。これに対して、列状に形成した条溝または突条の光拡散部と光偏向領域とを混在して形成した導光板を用い、他の構成は
図4と同一とした表示装置を製作した。この表示装置では、光遮蔽部13aの端面から0.5mm前後まで有効表示領域Sに入り込んだ部分において、
図4の断面に垂直方向に一列に配列した螢現象が明確に視認され、液晶表示パネル16の輝度も220nitと不充分な値となった。
【0045】
このように、第1の実施形態の導光板8は、光束平滑化領域1と光偏向領域7とが分離され、光束平滑化領域1の光束平滑化表面4aの全体にわたって、LED列11の配列方向に対して傾斜する形状に形成される。これにより、光束平滑化領域1は、傾斜面において光束を反射・屈折することにより分散・混合し、光束の強度分布を充分に平滑化する。その後に光偏向領域7は平滑化された光束を偏向する。その結果、不充分な平滑化に起因する螢現象を、充分に抑制することが可能となる。また、螢現象が消滅する結果、液晶表示パネル16の有効表示領域Sを広くすることが可能となる。さらに、光束平滑化表面4aが平坦な傾斜面の組み合わせで構成されているため、光束の散乱は少なく、散乱損失による光束の消耗が少なくなる。このため、液晶表示パネル16に寄与する光束が多くなり、液晶表示パネル16は高輝度を達成することが可能となる。
【0046】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。その他の構成、動作、および効果は、第1の実施形態と同等であるので、説明を省略する。
【0047】
図5は、第2の実施形態の導光板における光束平滑化領域1Aの構成を示す斜視図である。光束平滑化領域1Aの入射端面2aAは、のこぎり波の形状の交互に傾斜する斜面を有する。入射端面2aAは、仮想面NFbの近傍に配置される。仮想面NFbは、境界線N1、N5、N6、およびN7を挟んで、それぞれ仮想面NFa、側面3a、側面3b、および表面4bと直角に配置される。
【0048】
入射端面2aAと仮想面NFaとの境界線21Aは、
図5に示すように、歯のピッチPbが歯の幅Lbに比べて長い、のこぎり波の形状を成す。入射端面2aAは、仮想面NFaに平行な任意の断面との境界線において、境界線21Aに等しい形状を成す。すなわち、入射端面2aAは、歯の幅Lbに対応する部分が、仮想面NFbからLED列11側へ、三角柱状に突出した形状を成す。入射端面2aAは、突出した三角柱において、仮想面NFbから互いに異なる方向に傾斜した2種類の長方形を有する。
【0049】
入射端面2aAは、LED列11から放射された複数の光束5を、上述した2種類の傾斜する長方形において、LED列11の配列方向の成分を含む方向に反射および屈折することにより、分散させるとともに混合する。入射端面2aAは、光束平滑化表面4aとともに用いることにより、光束の平滑化度合いをさらに向上し、螢現象をさらに抑制する。
【0050】
第2の実施形態では、入射端面2aAにおけるのこぎり歯の幅Lbを0.1mm、のこぎり歯のピッチPbを0.15mm、のこぎり歯の突出角度Cdg1を120度とした。この場合、LED列11と光遮蔽部13aの液晶表示パネル16側端面との距離Da(
図4を参照)を4mmとしても、螢現象は視認できなかった。
【0051】
なお、入射端面2aAでは、のこぎり歯のピッチPbがのこぎり歯の幅Lbに比べて長いとしたが、のこぎり歯のピッチPbがのこぎり歯の幅Lbに等しくてもよい。
【0052】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1および第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。その他の構成、動作、および効果は、第1および第2の実施形態と同等であるので、説明を省略する。
【0053】
図7は、第3の実施形態の導光板における変曲点を有する曲線の形状を示す模式図である。第3の実施形態の導光板では、光束平滑化表面4aは、境界線21の代わりに、境界線21Bを有する。境界線21Bは、変曲点を有する2種類の曲線の組み合わせが繰り返される形状を成す。一方の種類の曲線は、変曲点において接線22aを有し、他方の種類の曲線は、変曲点において接線22bを有する。境界線N1に対して、接線22aは角度Adg1を成し、接線22bは角度Bdg1を成す。
【0054】
図6に示すのこぎり波の場合と同様に、光束平滑化表面4aは、入射端面2aに平行な任意の断面との境界線において、境界線21Bに等しい形状を成す。すなわち、光束平滑化表面4aは、2種類の曲面の組み合わせが繰り返される形状を成す。一方の種類の曲面は、各境界線N3、N4に平行な直線と接線22aとにより決定される平面を接平面とする。他方の種類の曲面は、各境界線N3、N4に平行な直線と接線22bとにより決定される平面を接平面とする。2種類の曲面は、仮想面NFaに対して、角度Adg1および角度Bdg1だけ傾斜する。なお、光束平滑化表面4aは、入射端面2aに平行な任意の断面において、入射端面2aから離れるにしたがって、境界線21Bの形状から相似形で変化してもよい。
【0055】
光束平滑化表面4aは、入射端面2aに入射した複数の光束5を、2種類の傾斜する曲面において反射および屈折することにより、分散させるとともに混合し、1つの光束に平滑化する。
【0056】
なお、第2の実施形態における入射端面2aAは、境界線21Aの代わりに、境界線21Bを有してもよい。
【0057】
なお、上述の実施形態において記載された数値は、すべて本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。例えば、LED列11の配列ピッチSpを狭くする構成によって、さらに高輝度化を達成することができる。また、より小型化されたLED列11を用いることにより、導光板8の厚みTを薄く構成することができる。その結果、光束平滑化領域1の長さLaをさらに短くすることができ、それゆえ液晶表示パネル16の有効表示領域Sを広くすることができる等、種々の変形例が可能である。
【0058】
なお、上述の実施形態では光源としてLEDを用いたが、螢現象がない冷陰極管等を用いても、輝度の向上効果が達成可能である。
【0059】
このように、上述した実施形態の導光板8は、光束平滑化領域1と光偏向領域7とを有し、光束平滑化領域1の光束平滑化表面4aの全体にわたって、LED列11の配列方向に対して傾斜する形状に形成される。これにより、光束平滑化領域1は、傾斜面において光束を反射・屈折することにより分散・混合し、光束の強度分布を充分に平滑化する。その後に光偏向領域7は平滑化された光束を偏向する。その結果、螢現象を、充分に抑制することが可能となる。また、螢現象が消滅する結果、液晶表示パネル16の有効表示領域Sを広くすることが可能となる。さらに、光束平滑化表面4aが平坦な傾斜面の組み合わせで構成されているため、光束の散乱が少なく、散乱損失による光束の消耗が少なくなる。このため、液晶表示パネル16に寄与する光束が多くなり、液晶表示パネル16は高輝度を達成することが可能となる。
【0060】
本発明の導光板は、光量むらが極めて少なく高輝度の照射装置を実現できるため、面状に均一な照射を必要とする、例えばキーボードやスイッチの照射等、面光源を必要とする分野に広く適用することができる。
【0061】
以上、実施の形態におけるこれまでの説明は、すべて本発明を具体化した一例であって、本発明はこれらの例に限定されず、本発明の技術を用いて当業者が容易に構成可能な種々の例に展開可能である。
【0062】
本願は、日本国に2008年12月3日に出願した特願2008−308631の日本特許出願と、2009年11月9日に出願した特願2009−256136の日本特許出願と、を優先権主張の基礎とするものであり、これらの日本特許出願の内容は、本願明細書の一部をなすものとしてここに挙げておく。