【実施例】
【0028】
つぎに本発明の実施例によるプリンター用音声出力ユニット、音声出力プリンター、その印字方法およびその印字コマンド入力方法を
図1ないし
図4にもとづき説明する。
図1は、音声出力プリンター1の概略ブロック図であって、音声出力プリンター1は、印字コマンドにもとづいて所定の印字データを印字用紙(たとえばラベル15、
図2にもとづき後述)に印字するとともに音声出力可能な音声出力プリンターであって、プリンター本体2と、プリンター用音声出力ユニット3と、を有する。
【0029】
プリンター本体2は、パソコンケーブル4によりこれをパソコン5に接続し、パソコン5から任意の印字コマンド(印字データを含む)を受信可能であるとともに、ユニットケーブル6によりプリンター用音声出力ユニット3を接続し、音声出力が可能である。なおプリンター本体2としては、パソコン5などに接続せず、いわゆるスタンドアローンタイプのものであってもよい。
プリンター本体2は、プリンター制御部(CPU)7と、ROM8と、RAM9と、キーボードやタッチパネルなどによるプリンター側入力部10と、液晶ディスプレイなどによるプリンター側表示部11と、印字部12と、インターフェース部13と、を有し、それぞれをデータバス14によりプリンター制御部7に接続してある。
なお、プリンター本体2は、印字データを含む印字コマンドをパソコン5から受信するが、必要に応じてプリンター側入力部10により印字データや印字コマンドを入力可能とし、プリンター側表示部11に表示可能としている。
【0030】
ROM8は、プリンター本体2における必要なプログラムを保存している。
RAM9は、プリンター本体2における印字コマンドにもとづく印字内容の編集その他必要なデータ処理を行う領域を確保している。
【0031】
印字部12は、ラベルやタグその他の印字用紙(たとえばラベル15、
図2)にサーマル印字方式その他任意の方式で必要な印字内容を印字可能とする。
インターフェース部13は、プリンター本体2とプリンター用音声出力ユニット3およびパソコン5との間のデータ交信を可能とする。
【0032】
プリンター用音声出力ユニット3は、上述のようにユニットケーブル6を介してプリンター本体2に接続しているとともに、印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断し、この音声出力内容を音声として出力可能であって、音声出力制御部(CPU)16と、プリンター用音声出力ユニット3における必要なプログラムを保存しているROM17と、プリンター用音声出力ユニット3における必要なデータ処理を行う領域を確保しているRAM18と、を有しているとともに、さらに、音声出力部19と、印字適正スイッチ20と、インターフェース部21と、を有し、それぞれをデータバス22により接続してある。
【0033】
音声出力制御部16は、プリンター本体2から受信することになる印字データを含む印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断する。
音声出力部19は、音声出力制御部16による音声出力内容を音声として出力するもので、音声の音声信号を増幅する増幅器23と、この増幅器23に接続する拡声器24と、を有する。
ただし、後述するように、音声出力内容は、これを印字データの少なくとも一部としている。
【0034】
印字適正スイッチ20は、音声出力部19が音声出力する音声出力内容と、入力された印字データにもとづく印字用紙への印字内容と、を比較する作業者が当該音声出力を聴いた上で操作するものであって、
図4にもとづき後述するように、この印字適正スイッチ20からのスイッチ信号によりプリンター本体2の実際の印字動作を制御する。
【0035】
パソコン5は、制御部(CPU)およびその他必要な回路構成(図示せず)と、プリンター本体2に送信する印字コマンド(印字データを含む)を入力するキーボードやタッチパネルなどによるパソコン側入力部25と、液晶ディスプレイなどによるパソコン側表示部26と、を有する。
【0036】
図2は、プリンター本体2の印字部12により印字する印字用紙(たとえば、ラベル15)の平面図であって、ラベル15は、その裏面側に粘着剤層27を有し、ラベル15を任意の物品に貼り付け可能としているとともに、その表面側に所定の印字コマンドにもとづいて所定の印字データを印字可能とする。
たとえば、プリンター本体2内におけるラベル15の移送方向(矢印方向)の
図2中、上方左端部をラベル15における印字レイアウトの基準点Q(X0,Y0)とし、第1の印字内容PRT1(たとえば、「○○弁当」)およびその第1の印字開始位置P1(X1,Y1)と、第2の印字内容PRT2(たとえば、「価格¥△□○」)およびその第2の印字開始位置P2(X2,Y2)と、第3の印字内容PRT3(たとえば、「消費期限○○年××月△△日」)およびその第3の印字開始位置P3(X3,Y3)と、第4の印字内容PRT4(たとえば、「製造者△△△社」)およびその第4の印字開始位置P4(X4,Y4)と、をパソコン5のパソコン側入力部25からそれぞれ入力し、プリンター本体2に送信するとともに、プリンター本体2において
図2に示すような印字内容として印字する。
【0037】
図3は、ラベル15に印字する印字データを含む印字コマンドを、パソコン5のパソコン側入力部25(あるいは必要に応じてプリンター本体2のプリンター側入力部10)において作成する場合の一例を示す説明図であって、印字内容とともに音声出力内容を設定するようにその印字コマンドを入力する。
具体的には、データスタートコードおよびデータエンドコードの間に印字内容および音声出力内容、さらには印字枚数などを入力する。
すなわち、データスタートコードにつづいて、第1の印字内容PRT1の第1の印字開始位置P1(X1,Y1)および第1の印字内容PRT1を入力して、第1の印字開始位置P1(X1,Y1)からたとえば「○○弁当」という第1の印字内容PRT1を印字する指令(印字コマンド)とする(この第1の印字内容PRT1については、音声出力しない)。
つぎに、第2の印字内容PRT2の第2の印字開始位置P2(X2,Y2)および第2の印字内容PRT2、および「,」(カンマ)につづいて同じく第2の印字内容PRT2のデータを入力して、第2の印字開始位置P2(X2,Y2)からたとえば「価格¥△□○」という第2の印字内容PRT2を印字するとともに、この第2の印字内容PRT2を音声出力内容として音声出力するような指令(印字コマンド)とする。
すなわち、一種のコマンド本体としての「,」(カンマ)のあとにつづく印字内容を音声出力内容とすることを指令するものである。
ただし、
図4のフローチャート図にもとづき後述するように、実際の動作としては、まず音声出力内容「価格¥△□○」(および音声出力が必要な他の音声出力内容)を音声出力後、それぞれの音声出力内容と印字しようとして入力した印字内容とが正しく一致していることを作業者が音声として聴いて確認ののち、ラベル15上に印字内容の印字を実行することになる。
【0038】
以下同様にして、第3の印字内容PRT3の第3の印字開始位置P3(X3,Y3)および第3の印字内容PRT3、および「,」につづいて同じく第3の印字内容PRT3のデータを入力して、第3の印字開始位置P3(X3,Y3)からたとえば「消費期限○○年××月△△日」という第3の印字内容PRT3を印字するとともに、この第3の印字内容PRT3を音声出力内容として音声出力するような指令(印字コマンド)とする。
さらに、第4の印字内容PRT4の第4の印字開始位置P4(X4,Y4)および第4の印字内容PRT4を入力して、第4の印字開始位置P4(X4,Y4)からたとえば「製造者△△△社」という第4の印字内容PRT4を印字する指令(印字コマンド)とする(この第4の印字内容PRT4については、音声出力しない)。
【0039】
かくして、
図3に示す印字コマンド(印字データを含む)の例では、第1の印字内容PRT1(「○○弁当」)および第4の印字内容PRT4(「製造者△△△社」)を印字するとともに、第2の印字内容PRT2(「価格¥△□○」)および第3の印字内容PRT3(「消費期限○○年××月△△日」)については、これを印字するとともに音声出力することを指令している。
すなわち、プリンター本体2は、印字データのうち音声出力内容として選択的に音声出力するように印字データを入力可能とする入力部(プリンター側入力部10あるいはパソコン5のパソコン側入力部25)を設けているとともに、プリンター用音声出力ユニット3の音声出力制御部16は、プリンター本体2から受信した印字コマンドを解析して、音声出力内容を決定することになる。
【0040】
図4は、音声出力プリンター1におけるプリンター本体2側およびプリンター用音声出力ユニット3側の動作を説明するフローチャート図であって、まずプリンター本体2側において、印字データを含む印字コマンドをパソコン5から受信し、イメージ展開して編集するとともに(ステップS1)、ステップS2において音声出力モードであるか否かを判断する。
すなわち、プリンター用音声出力ユニット3がユニットケーブル6を介してプリンター本体2に接続されている通常のモードでは音声出力モードであると判断して、印字コマンドをプリンター用音声出力ユニット3側に送信する(ステップS3)。もちろん、プリンター本体2あるいはプリンター用音声出力ユニット3にモード確認用スイッチ(図示せず)を設けるように構成することもできる。
プリンター本体2からユニットケーブル6を取り外してプリンター用音声出力ユニット3がプリンター本体2に接続されていない状態すなわち、音声出力モードではない場合には、音声出力を行うことなく、ステップS4においてプリンター本体2の印字部12がラベル15に所定の印字データを印字する。
【0041】
プリンター用音声出力ユニット3側においては、ステップS5においてプリンター本体2側からの印字コマンドの受信を行い、ついでステップS6において印字コマンドを解析する。
具体的には、
図2および
図3にもとづいて説明したように、音声出力ユニット3において、音声出力制御部16が印字内容(印字データ)および音声出力内容を識別判断し、印字コマンドから音声として出力する音声出力内容を判断、決定し、この音声出力内容のデータのみを音声出力部19に転送して、これを音声として出力可能とし、ステップS7において音声出力部19が音声出力内容を音声出力する。
【0042】
作業者は、プリンター本体2からのラベル15の印字発行の前にこの音声出力内容を聴くことができる。
すなわち、音声出力内容を音声出力したのちに、印字内容との一致あるいは不一致を判断した上で印字適正スイッチ20を操作することにより(ステップS8)、プリンター本体2におけるラベル15への印字動作を制御することができる。
具体的には、音声出力内容を音声出力したのちに、音声出力内容と、印字データにもとづく印字用紙への印字内容と、の比較を音声を聴いた作業者が行った上で、印字適正スイッチ20を操作してプリンター本体2による印字データの印字を行う。
【0043】
印字適正スイッチ20の構成は任意であるが、たとえば「YES」および「NO」の二種類のスイッチを有し、作業者が、今聴いた音声出力内容と、自分が入力して印字するはずの印字データにもとづくラベル15への印字内容と、を比較し、一致すれば「YES」のスイッチを押すことにより、ステップS9において音声出力完了信号(スイッチ信号)として音声正常信号をプリンター本体2側に出力し、ステップS4に移行して、所期の印字内容をプリンター本体2により印字する。
また、音声出力内容と印字するはずの印字内容とが一致していなければ、何らかの入力ミスがあったものとして、「NO」のスイッチを押すことにより、ステップS10において音声非正常信号(スイッチ信号)をプリンター本体2側に出力し、ステップS4における印字動作を行うことなくこのフローを出て、印字データ(印字コマンド)の入力内容を正しいものに修正する。
【0044】
なお、印字適正スイッチ20の構成として単一のスイッチのみを備えて、これを作業者が押したときのみ、ステップS9において上記音声正常信号(スイッチ信号)をプリンター本体2側に出力するように構成するとともに、このスイッチが押されずに設定待機時間の経過ののちに、ステップS10において音声非正常信号をプリンター本体2側に出力するか、エラー信号を出すかして、プリンター本体2による印字動作を行わないように制御することもできる。
【0045】
また、本発明においては、印字適正スイッチ20を設けずに、音声出力制御部16は、音声出力部19が音声出力内容を音声出力後、音声出力内容と、印字データにもとづく印字用紙への印字内容と、の比較が可能な時間間隔をおいて、音声出力完了信号(音声正常信号)をプリンター本体2側に出力し、ラベル15への印字を実行することもできる。
【0046】
かくして、作業者は音声出力内容を音声として直接聴くことができ、印字内容ないし印字データの真正を確認することができる。
とくに、小売店のバックヤードなど、照明環境が比較的良好ではない場所では、目視確認ミスを防止することができる。
【0047】
本発明においては、
図2および
図3において説明した、印字内容および音声出力内容についての印字コマンド入力方法以外にも各種のものを採用することができる。
たとえば、プリンター本体2のプリンター側入力部10あるいはパソコン5におけるパソコン側入力部25の印字コマンドの印字データは、すべてこれを音声出力するように音声出力制御部16において設定しておくことができる。
【0048】
さらに、プリンター本体2のプリンター側入力部10あるいはパソコン5におけるパソコン側入力部25において印字コマンドにおける個々の印字データを入力するたびに、それぞれのプリンター側表示部11あるいはパソコン側表示部26において、音声出力するか否かを確認しながら入力する方法を採用することもできる。
たとえば、
図1に示したパソコン側表示部26のデータ入力画面26Aにおいて、第2の印字内容PRT2を「価格¥△□○」とデータ入力したときに、たとえばその下段側に「音声出力?」のように音声出力するか否かの問い合わせをするコマンド指示要請28を表示し、音声出力指示スイッチ29により「YES」あるいは「NO」を入力するように構成することができる。
かくして、音声出力内容としての印字データを再確認しながら入力操作を行うことができる。
【0049】
また、
図2に示した例でいえば、音声出力プリンター1を利用する作業者が実際の作業ではあまり変更することがない、第1の印字内容PRT1(たとえば、「○○弁当」)および第4の印字内容PRT4(たとえば、「製造者△△△社」)を固定データと認識して、これらのついては音声出力を行わないとともに、作業日時や状況に応じて変更することが多い、第2の印字内容PRT2(たとえば、「価格¥△□○」)および第3の印字内容PRT3(たとえば、「消費期限○○年××月△△日」)ならびに印字枚数などについては、これらを可変データと認識して音声出力すると音声出力制御部16においてあらかじめ設定しておくこともできる。
かくして、印字データを含む印字コマンドの入力操作を比較的簡便に実行することができる。
【0050】
もちろん、上述の各種印字コマンド入力方法について、必要に応じて切替え方式とすることもできる。
なお、音声出力プリンター1の販売促進用のサンプル機として、音声出力後ただちに印字するような構成や、音声出力内容は、これを印字データと無関係な異なるデータとすることもできる。