【実施例】
【0023】
つぎに本発明の実施例によるリストバンド1を
図1ないし
図8にもとづき説明する。
図1は、リストバンド1の平面図、
図2は、同、裏面図、
図3は、
図1のIII−III線断面図、
図4は、
図1のIV−IV線断面図である。
とくに
図3に示すように、リストバンド1は、帯状のバンド基材2と、このバンド基材2の裏面側に形成した粘着剤層3と、この粘着剤層3の裏面側に仮着した台紙4と、を有する。
【0024】
バンド基材2は、たとえばポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などをベースとした合成紙であって、白色顔料を混入したり、その裏面に塗布したりして、不透明性、印字適性および平滑性などを加味したもので、耐候性、耐水性および印字性に優れている。
このバンド基材2は、その長さ方向ほぼ中央部に位置する印字領域5と、印字領域5の左右端部にそれぞれ位置する第1の巻付け領域6および第2の巻付け領域7と、を有する。
【0025】
印字領域5は、患者や入場者を特定するための特定情報をバーコードその他任意の文字や記号などにより印字可能であるとともに、必要ならば、より多くの情報を保持可能なICチップ(図示せず)などを組み込み可能である。
第1の巻付け領域6および第2の巻付け領域7は、印字領域5とともに患者や入場者の手首や足首などの被巻付け部W(
図5、
図6)に巻き付け可能である。
【0026】
粘着剤層3は、必要な強度の粘着度ないし接着度を有する任意のタイプのものであって、一般糊あるいは強粘着糊などが好ましい。
【0027】
台紙4は、フィルム系の比較的薄い透明材料などからこれを構成し、必要な強度を有するとともに、その裏面側にエンボス加工面8を形成して、人肌などに直接接触しても人肌との間に通気性を確保し、装着時の違和感がないようにしている。
この台紙4の裏面には、位置検出用マーク9(
図2、
図3)をあらかじめ印刷してあって、複数枚のリストバンド1を連接した状態のリストバンド連続体を所定のプリンター(図示せず)に装填して矢印のような移送方向R(
図1)に移送して任意のセンサー(図示せず)によりこの位置検出用マーク9を検出して、印字領域5における所定部位に上記特定情報などを印字可能としている。
【0028】
さらに台紙4の裏面における第1の巻付け領域6の境界部分に、剥離用切込み線10をリストバンド1の幅方向に形成して第1の巻付け領域6の裏面側の台紙4のはがし領域部4Aを剥離可能としている。あるいは、第2の巻付け領域7の裏面の台紙4を取り除く場合には第2の巻付け領域7の境界部分に剥離用切込み線10を形成すればよい。
すなわち、リストバンド1においては、第1の巻付け領域6あるいは第2の巻付け領域7の裏面側の台紙4のはがし領域部4Aを剥離可能として、この巻付け領域の粘着剤層3を露出可能としている。
【0029】
第1の巻付け領域6および第2の巻付け領域7の少なくともいずれか一方に破断用切込み部11を形成している。図示の例では、第1の巻付け領域6に破断用切込み部11を形成した構成を示している。
破断用切込み部11は、当該リストバンド1の長さ方向に沿って、複数本のジグザグ状切込み線12(切込み線)と、第1の巻付け領域6の幅方向に延びる、より短い幅方向切込み線13(切込み線)と、を有している。
【0030】
ジグザグ状切込み線12は、ミシン目あるいは全カット線その他任意の形態の切込み線であればよいが、通常の外力では破断しにくく、第1の巻付け領域6および第2の巻付け領域7の貼合わせ部を無理矢理はがそうとする外力に対しては、容易に破断する構成のものであればよい。
また、ジグザグ状切込み線12は、第1の巻付け領域6の左右両端縁からわずかに内方部に位置した部分から中央部に向かってこれを形成することもできるし、これをミシン目などから構成する場合には、その端部が左右両端縁に臨むようにすることもできる。
ただし
図1に要部を拡大して示すように、ジグザグ状切込み線12は、好ましくは、その一方の切込み尖端部12Aが当該リストバンド1の順方向(たとえば、プリンターにおける移送方向R)に向かっているとともに、他方の切込み尖端部12Bがリストバンド1の逆方向(移送方向Rの逆方向)に向かっている。
幅方向切込み線13は、下記の半円形状の目印部14の基端部にこれを形成するために、これをミシン目により構成することが望ましい。
【0031】
第1の巻付け領域6の上流側端部には、半円形状の目印部14を突出形成し、その基端部に形成した幅方向切込み線13が、第1の巻付け領域6の幅方向に延びている。
【0032】
第1の巻付け領域6における目印部14の中央部には、円形状を呈した第1の貼付け位置確認用マーク15(貼付け位置確認用マーク)をあらかじめ印刷してある。
したがって、この第1の貼付け位置確認用マーク15の近傍に破断用切込み部11としての上記幅方向切込み線13を形成していることになる。
第2の巻付け領域7には、第1の貼付け位置確認用マーク15と対をなす環状を呈した第2の貼付け位置確認用マーク16(貼付け位置確認用マーク)を形成している。
【0033】
図5は、帯状のリストバンド1を環状のリストバンド1に形成する状態を説明する断面図、
図6は、リストバンド1を環状として被巻付け部Wに巻き付けた状態の断面図である。
なお、第1の巻付け領域6の上流側に位置する他のリストバンド1との間の連結領域部1Aにおける台紙4には、分離用のカットを形成していないので、この連結領域部1Aと第1の巻付け領域6の裏面部における台紙4(はがし領域部4A)とは互いに一体的に連続した構成であり、連結領域部1Aから第1の巻付け領域6の目印部14をはがすようにすれば、連結領域部1Aおよびはがし領域部4Aをリストバンド1(第1の巻付け領域6)から容易に剥離することができる。
【0034】
図5に示すように、はがし領域部4Aを剥離して第1の巻付け領域6の裏面において露出した粘着剤層3を第2の巻付け領域7におけるバンド基材2の表面側に貼り付けて重ね合わせ、重合わせ領域部17(貼合わせ領域部)を構成し、被巻付け部Wに巻き掛けるように環状に形成する。
かくして、第1の巻付け領域6には破断用切込み部11が形成されているので、第1の巻付け領域6および第2の巻付け領域7の重合わせ領域部17に破断用切込み部11を位置させるように、帯状のリストバンド1を環状(閉鎖円形状)に形成可能としている。
【0035】
なお、
図4に仮想線による引出し線で示すように、バンド基材2には、取外し用ハーフカット18を形成して、使用完了後のリストバンド1を正常な処理として破断しやすくしておくことができる。
【0036】
こうした構成のリストバンド1の使用にあたって、
図6に示すように、被巻付け部Wに環状のリストバンド1を取り付けることになるが、上述のように、第1の巻付け領域6の半円形状の目印部14側に位置するリストバンド1の連結領域部1Aを持って第1の巻付け領域6の半円形状の目印部14の部分から台紙4のはがし領域部4Aを簡単にはがすことができる。
第1の巻付け領域6の下面側の粘着剤層3を露出した状態で、
図5に示したように、第1の巻付け領域6の第1の貼付け位置確認用マーク15を第2の巻付け領域7の第2の貼付け位置確認用マーク16に合わせるように第1の巻付け領域6を第2の巻付け領域7に貼り付ければ、それほどの注意を払わなくでも、上述のように、第1の巻付け領域6および第2の巻付け領域7の重合わせ領域部17に破断用切込み部11が確実に位置した状態で、簡単な操作でリストバンド1を被巻付け部Wに環状に取り付けることができる。
【0037】
このリストバンド1を不正に取り外して再使用しようとする場合について述べる。
図7は、第1の巻付け領域6ないし半円形状の目印部14が位置している部分から、リストバンド1を被巻付け部Wから取り外そうとしている場合を説明する斜視図、
図8は、逆に、第2の巻付け領域7が位置している部分から、リストバンド1を被巻付け部Wから取り外そうとしている場合を説明する斜視図である。
【0038】
図7に示すように、第1の巻付け領域6ないし半円形状の目印部14が位置している部分から取り外そうとしている場合には、目印部14の幅方向切込み線13(破断用切込み部11)が簡単に切れて、目印部14が第1の巻付け領域6から分離してしまい、原状に貼り直すことが困難となり、不正使用を防止可能である。
たとえ幅方向切込み線13が切れない場合であっても、さらに第1の巻付け領域6を第2の巻付け領域7からはがしていく際に、とくにジグザグ状切込み線12(破断用切込み部11)の切込み尖端部12Bの部分からバンド基材2が切れ始め、同様に、原状に貼り直すことが困難となり、不正使用を防止可能である。
【0039】
図8に示すように、第2の巻付け領域7が位置している部分から取り外そうとしている場合には、とくにジグザグ状切込み線12の切込み尖端部12Aの部分からバンド基材2が切れ始め、同様に、原状に貼り直すことが困難となり、不正使用を防止可能である。
【0040】
かくして、不正使用を防止可能であることはもちろん、ラベル形態としたリストバンド1は安価に製造可能であるため、医療現場などにおいても、一度使用したリストバンド1を再使用することなく、第1の巻付け領域6ないし第2の巻付け領域7の部分をはがして被巻付け部Wから取り外し、そのまま破棄することができる。
【0041】
なお、既述した実施例では、第1の巻付け領域6に破断用切込み部11を形成した例を説明したが、本発明においては、第2の巻付け領域7に破断用切込み部11を形成するとともに、第1の巻付け領域6の裏面における台紙4のはがし領域部4Aを取り除くようにして、第1の巻付け領域6を第2の巻付け領域7に貼り付けるようにすることもできる。
【0042】
また、本発明における破断用切込み部の形状ないし形態については、既述の実施例のものに限らず、不正使用を目的として一時的に貼合わせ部をはがそうとした場合には、確実に破断し、原状に復帰することが困難なものであれば、任意のものを採用可能である。
さらに、貼付け位置確認用マークについても、第1の巻付け領域6および第2の巻付け領域7を互いに十分な重合わせ領域部17(貼合わせ領域部)を形成することができるものであれば、任意のものを採用可能である。