特許第5731154号(P5731154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731154
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】V形エンジン
(51)【国際特許分類】
   F02M 39/02 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
   F02M39/02 C
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-212895(P2010-212895)
(22)【出願日】2010年9月22日
(65)【公開番号】特開2012-67672(P2012-67672A)
(43)【公開日】2012年4月5日
【審査請求日】2013年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】日比野 光宏
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 賢
(72)【発明者】
【氏名】岡本 良輔
【審査官】 安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−049966(JP,A)
【文献】 実開昭57−068128(JP,U)
【文献】 特開平06−042425(JP,A)
【文献】 米国特許第2858824(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランク軸を中心にV形に配置される第一及び第二シリンダ列と、該第一及び第二シリンダ列に燃料を圧送する第一及び第二プランジャと、該第一及び第二プランジャを往復動させる第一及び第二カム軸と、を有する第一及び第二燃料噴射ポンプと、前記第一及び第二カム軸に第一及び第二軸継手を介して動力を伝達する第一及び第二駆動軸と、を備え、
前記第一燃料噴射ポンプ及び第一駆動軸と、前記第二燃料噴射ポンプ及び第二駆動軸とは、前記クランク軸を挟んで、前記第一シリンダ列側と前記第二シリンダ列側とに振り分けられ、前記クランク軸直交方向に並べて配置され、前記第一燃料噴射ポンプは、前記第二燃料噴射ポンプに対して、前記クランク軸の軸方向にて前記第一駆動軸から遠ざかる側に、オフセットして配置されるV形エンジンにおいて、
前記第一及び第二駆動軸は、互いに同一の軸長を有し、
前記第一軸継手は、前記第二軸継手よりも長い軸長を有し、
前記第一軸継手の回転慣性質量は、前記第二軸継手の回転慣性質量よりも小さい
ことを特徴とするV形エンジン。
【請求項2】
請求項1記載のV形エンジンにおいて、前記第一軸継手は、その軸心回りに中空部が形成されることを特徴とするV形エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料噴射ポンプを備えるV形エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料噴射ポンプを備えるV形エンジンにおいては、第一燃料噴射ポンプ及び第一駆動軸と、第二燃料噴射ポンプ及び第二駆動軸とが、クランク軸を挟んで第一シリンダ列側と第二シリンダ列側とに振り分けられ、クランク軸直交方向に並べて配置される(例えば、特許文献1参照)。これら第一及び第二燃料噴射ポンプのカム軸のうち、第一燃料噴射ポンプのカム軸には、第一軸継手を介して第一駆動軸の動力が伝達されるとともに、第二燃料噴射ポンプのカム軸には、第二軸継手を介して第二駆動軸の動力が伝達される。
【0003】
ところで、このようなV形エンジンでは、燃料噴射ポンプの構造上の制約から、第一及び第二燃料噴射ポンプのうち一方を他方に対してクランク軸の軸方向にオフセットして配置する場合がある。例えば、第一燃料噴射ポンプを第二燃料噴射ポンプに対してクランク軸の軸方向にて第一駆動軸から遠ざかる側にオフセットして配置する場合、第一駆動軸の軸長は、第二駆動軸の軸長よりも長くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−286816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この場合、軸長の長い第一駆動軸は、軸長の短い第二駆動軸よりも、動力伝達によるねじり振動振幅(以下単に「ねじり振動振幅」という。)が大きくなる。従って、第一及び第二駆動軸が高速で回転すると、ねじり振動振幅が大きい第一駆動軸が振動により破損する場合がある、という問題があった。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、駆動軸の破損を防止することができるV形エンジンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、クランク軸を中心にV形に配置される第一及び第二シリンダ列と、該第一及び第二シリンダ列に燃料を圧送する第一及び第二プランジャと、該第一及び第二プランジャを往復動させる第一及び第二カム軸と、を有する第一及び第二燃料噴射ポンプと、前記第一及び第二カム軸に第一及び第二軸継手を介して動力を伝達する第一及び第二駆動軸と、を備え、前記第一燃料噴射ポンプ及び第一駆動軸と、前記第二燃料噴射ポンプ及び第二駆動軸とは、前記クランク軸を挟んで、前記第一シリンダ列側と前記第二シリンダ列側とに振り分けられ、前記クランク軸直交方向に並べて配置され、前記第一燃料噴射ポンプは、前記第二燃料噴射ポンプに対して、前記クランク軸の軸方向にて前記第一駆動軸から遠ざかる側に、オフセットして配置されるV形エンジンにおいて、前記第一及び第二駆動軸は、互いに同一の軸長を有し、前記第一軸継手は、前記第二軸継手よりも長い軸長を有し、前記第一軸継手の回転慣性質量は、前記第二軸継手の回転慣性質量よりも小さいものである。
【0009】
請求項2においては、前記第一軸継手は、その軸心回りに中空部が形成されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1においては、第一駆動軸のねじり振動振幅が、第二駆動軸のねじり振動振幅と同程度に抑制される。従って、第一駆動軸の破損を防止することができる。
【0012】
また、第一軸継手の回転慣性力による第一駆動軸のねじれが、第二軸継手の回転慣性力による第二駆動軸のねじれと同程度又はそれ以下に抑制される。従って、第一駆動軸の破損を確実に防止することができる。
【0013】
請求項2においては、第一軸継手の回転慣性質量が小さくなることにより、第一駆動軸が振動し難くなる。従って、第一駆動軸の破損をさらに確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るV形エンジンを示す斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係るV形エンジンを示す平面図。
図3】V形エンジンの上部を示す正面断面図。
図4】燃料噴射ポンプユニットを示す側面図。
図5】燃料噴射ポンプユニットを示す平面図。
図6】燃料噴射ポンプユニットを示す側面一部断面図。
図7】燃料噴射ポンプユニットを示す平面一部断面図。
図8図5におけるA−A位置での端面図。
図9】クランク軸から駆動軸までの動力伝達経路を示す正面図。
図10】取付台を示す側面図。
図11】取付台を示す平面図。
図12】取付台を示す正面図。
図13】(a)燃料噴射ポンプ及び駆動軸が取付台に取り付けられた状態を示す側面図。(b)燃料噴射ポンプユニットがシリンダブロックに取り付けられた状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
【0016】
先ず、本発明の一実施形態に係るV形エンジン1の全体構成について、図1から図3により説明する。なお、図1の矢印Fで示す方向を「前方」、矢印Uで示す方向を「上方」、矢印Lで示す方向を「左方」として、以下に述べる各部材の位置や方向等を説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、V形エンジン1は、V形12気筒エンジンであり、エンジン主体部2と、給気通路3・3と、排気通路4・4と、燃料噴射ポンプユニット5と、を備える。
【0018】
図3に示すように、エンジン主体部2は、シリンダブロック21を備え、シリンダブロック21内には、クランク軸26が前後方向に架設される。クランク軸26は、シリンダブロック21に回転可能に軸支される。また、シリンダブロック21には、正面視にてV形に配置されるシリンダ列22・22が形成されるとともに、シリンダブロック21の上面にてシリンダ列22・22の左右間には、燃料噴射ポンプユニット5が取り付けられる取付面211が形成される。燃料噴射ポンプユニット5は、シリンダ列22・22間に形成されるVバンク空間内に配置される。
【0019】
シリンダ列22は、六つのシリンダ23を備え、シリンダ23内には、ピストン24が摺動可能に設けられる。ピストン24は、コネクティングロッド25によってクランク軸26と連結されており、ピストン24の摺動運動がコネクティングロッド25によってクランク軸26の回転運動に変換される。また、シリンダブロック21には、ピストン24と対向するようにシリンダヘッド27が取り付けられとともに、シリンダヘッド27とピストン24とシリンダ23とで、燃焼室212が形成される。シリンダヘッド27には、燃料噴射ノズル28が取り付けられ、燃料噴射ノズル28の噴射口281が燃焼室212内に配置される。
【0020】
図1及び図2に戻って、給気通路3は、エアクリーナ31と、コンプレッサ32と、給気マニホールド33と、を備えており、給入された空気がエアクリーナ31によって濾過され、濾過された空気がコンプレッサ32によって加圧され、加圧された空気が給気マニホールド33によって燃焼室212に分配される。
【0021】
コンプレッサ32は、図示しないコンプレッサホイールを備え、このコンプレッサホイールは、後述する排気タービン42と連結される。これにより、排気タービン42が排気のエネルギーによって回転すると、排気タービン42と連動して前記コンプレッサホイールが回転し、濾過された空気が加圧される。
【0022】
排気通路4は、排気マニホールド41と、排気タービン42と、を備えており、燃焼室212からの排気が排気マニホールド41によって集合され、集合された排気のエネルギーによって排気タービン42が回転する。
【0023】
次に、燃料噴射ポンプユニット5について、図4から図13により説明する。
【0024】
図4から図7に示すように、燃料噴射ポンプユニット5は、燃料噴射ポンプ6L・6Rと、駆動軸7L・7Rと、取付台8と、を備える。
【0025】
なお、燃料噴射ポンプ6L・6Rは、略同一構造であるため、以下では、燃料噴射ポンプ6L・6Rのうち燃料噴射ポンプ6Lについて説明し、燃料噴射ポンプ6Rについては必要に応じて説明する。また、駆動軸7L・7Rは、略同一構造であるため、以下では、駆動軸7L・7Rのうち駆動軸7Lについて説明し、駆動軸7Rについては必要に応じて説明する。
【0026】
燃料噴射ポンプ6L・6Rは、クランク軸26(図3参照)を挟んで左右に振り分けられ、左右方向に並べて配置される。燃料噴射ポンプ6L・6Rのうち左方の燃料噴射ポンプ6Lは、右方の燃料噴射ポンプ6Rに対して後方にオフセットして配置される。
【0027】
燃料噴射ポンプ6Lは、六つのプランジャ61・61・・・と、カム軸62と、を備え、カム軸62によってプランジャ61・61・・・が往復動され、プランジャ61・61・・・によって燃料が圧送される。なお、プランジャ61によって圧送された燃料は、燃料噴射ノズル28の噴射口281から燃焼室212内に噴射される(図3参照)。
【0028】
カム軸62は、ポンプハウジング63内に前後方向に架設され、ポンプハウジング63に回転可能に軸支されるとともに、その前端部がポンプハウジング63の前面から前方に突出する。ポンプハウジング63の左右両側面には、それぞれ3つの取付脚631・631・・・が設けられ、取付脚631には、ボルト64が挿入される図示しないボルト孔が形成される。
【0029】
また、カム軸62・62の前方にて、これと同一軸心上には、駆動軸7L・7Rが配置される。駆動軸7L・7R及びカム軸62・62のうち、左方の駆動軸7Lとカム軸62とは、左方のカップリング10及び軸継手11によって接続されるとともに、右方の駆動軸7Rとカム軸62とは、右方のカップリング10及び軸継手12によって接続される。
【0030】
駆動軸7L・7Rの軸長は、互いに同一のL1である。なお、駆動軸7L・7Rの軸径も互いに同一である。駆動軸7Lは、駆動軸ケース71内に前後方向に架設され、軸受72・72を介して駆動軸ケース71に回転可能に軸支されるとともに、その前端部が駆動軸ケース71の前面から前方に突出し、その後端部が駆動軸ケース71の後面から後方に突出する。駆動軸ケース71の外周には、ボルト711・711・・・が挿入されるボルト孔712・712・・・が形成される。また、駆動軸7Lの前端部には、駆動軸ギヤ73が設けられる。
【0031】
カップリング10は、駆動軸7Lに取り付けられる駆動軸取付部101と、軸継手11・12に取り付けられる軸継手取付部102と、を備え、駆動軸取付部101と軸継手取付部102とが、ボルト103によって接続される。駆動軸取付部101には、駆動軸7Lの後端部が挿入される軸孔101Aが形成される。軸継手取付部102・102のうち左方の軸継手取付部102には、軸継手11がボルト13によって取り付けられるとともに、右方の軸継手取付部102には、軸継手12がボルト13によって取り付けられる。
【0032】
軸継手11は、カップリング取付部111と、カム軸取付部112と、を備える。カップリング取付部111には、左方のカップリング10がボルト13によって取り付けられる。カム軸取付部112には、左方のカム軸62前端部が挿入される軸孔113が形成される。なお、左方のカム軸62前端部は、軸孔113に挿入されてナット65によって固定される。
【0033】
軸継手12は、カップリング取付部121と、カム軸取付部122と、を備える。カップリング取付部121には、右方のカップリング10がボルト13によって取り付けられる。カム軸取付部122には、右方のカム軸62前端部が挿入される軸孔123が形成される。なお、右方のカム軸62前端部は、軸孔123に挿入されてナット65によって固定される。
【0034】
軸継手11の軸長は、L2であるとともに、軸継手12の軸長は、L3である。軸継手11の軸長L2は、軸継手12の軸長L3よりも長い。具体的には、軸継手11の軸長L2は、左方の燃料噴射ポンプ6Lが右方の燃料噴射ポンプ6Rに対して後方にオフセットして配置される分だけ、軸継手12の軸長L3よりも長い。
【0035】
図8に示すように、軸継手11は、その軸心回りに中空部114が形成されるとともに、軸継手12は、その軸心回りに中空部124が形成される。中空部114の体積は、中空部124の体積よりも大きい。中空部114・124は、いずれも正面視にて円形状に形成される。中空部114の径は、D2であるとともに、中空部124の径は、D3である。中空部114の径D2は、中空部124の径D3よりも大きい。
【0036】
軸継手11・12は、互いに同一の質量である。つまり、中空部114の体積を中空部124の体積よりも大きくすることにより、軸継手11の質量と軸継手12の質量とが、同一となる。また、軸継手11の回転慣性質量は、軸継手12の回転慣性質量よりも小さい。つまり、軸継手11・12は、互いに同一の質量であるが、軸継手11の回転中心から質点までの距離が、軸継手12の回転中心から質点までの距離よりも短いため、軸継手11の回転慣性質量が軸継手12の回転慣性質量よりも小さくなる。なお、軸継手11・12は、いずれも鋳鉄、炭素鋼等の金属よりなる。
【0037】
図9に示すように、クランク軸26から駆動軸7L・7Rまでの間には、駆動軸ギヤ73・73を含むギヤ列が設けられる。このギヤ列は、クランク軸ギヤ261、第一伝達軸入力ギヤ141、第一伝達軸出力ギヤ142、中間軸ギヤ151、第二伝達軸入力ギヤ161、第二伝達軸出力ギヤ162及び駆動軸ギヤ73・73で構成され、ギヤケース9に収納される。
【0038】
前記ギヤ列のうちクランク軸ギヤ261は、クランク軸26の前端部に設けられ、第一伝達軸14に設けられる第一伝達軸入力ギヤ141と噛み合う。また、第一伝達軸14には、第一伝達軸入力ギヤ141の他、第一伝達軸出力ギヤ142が設けられる。
【0039】
第一伝達軸出力ギヤ142は、中間軸15に設けられる中間軸ギヤ151と噛み合う。中間軸ギヤ151は、第一伝達軸出力ギヤ142の他、第二伝達軸16に設けられる第二伝達軸入力ギヤ161と噛み合う。また、第二伝達軸16には、第二伝達軸入力ギヤ161の他、駆動軸ギヤ73・73と噛み合う第二伝達軸出力ギヤ162が設けられる。
【0040】
このような構成により、クランク軸26の動力は、クランク軸26からクランク軸ギヤ261、第一伝達軸入力ギヤ141、第一伝達軸14、第一伝達軸出力ギヤ142、中間軸ギヤ151、第二伝達軸入力ギヤ161、第二伝達軸16、第二伝達軸出力ギヤ162、駆動軸ギヤ73・73を順に経て、駆動軸7L・7Rに伝達される。なお、クランク軸26、第一伝達軸14、中間軸15、第二伝達軸16、及び駆動軸7L・7Rの回転方向は、それぞれ矢印に示す通りである。
【0041】
図10から図12に示すように、取付台8は、燃料噴射ポンプ取付部81と、駆動軸ケース取付部82と、を備える。
【0042】
燃料噴射ポンプ取付部81は、台状の部材であり、燃料噴射ポンプ取付部81の上面には、燃料噴射ポンプ6L・6Rが載置される載置部811・811が左右方向に並べて設けられる。燃料噴射ポンプ取付部81には、ボルト84・84・・・(図4参照)が挿入されるボルト孔83・83・・・が形成される。ボルト孔83・83・・・は、燃料噴射ポンプ取付部81の外縁に沿って配置される。なお、シリンダブロック21の取付面211(図3参照)には、取付台8のボルト孔83・83・・・と一致してボルト84・84・・・が挿入される、図示しないボルト孔が形成される。
【0043】
載置部811には、六つのボルト孔811A・811A・・・が形成される。ボルト孔811Aは、ポンプハウジング63の取付脚631のボルト孔と一致してボルト64が挿入される。なお、載置部811・811のうち左方の載置部811は、左方の燃料噴射ポンプ6Lが右方の燃料噴射ポンプ6Rに対して後方にオフセットして配置される分だけ、右方の載置部811に対して後方にオフセットして配置される。
【0044】
駆動軸ケース取付部82は、燃料噴射ポンプ取付部81の前端部に立設され、ギヤケース9の後部に接続される(図4参照)。つまり、駆動軸ケース取付部82は、ギヤケース9の一部を成す。また、駆動軸ケース取付部82には、駆動軸ケース71・71が嵌合される嵌合孔821・821が左右方向に並べて形成される。
【0045】
嵌合孔821は、駆動軸ケース71の断面形状に合わせて正面視にて円形状に形成される。なお、嵌合孔821の周囲には、駆動軸ケース71のボルト孔712・712・・・と一致してボルト711・711・・・が挿入される、図示しないボルト孔が形成される。
【0046】
以上のような構成により、図13(a)に示すように、燃料噴射ポンプ6L・6Rがボルト64によって、燃料噴射ポンプ取付部81に取り付けられるとともに、駆動軸ケース71がボルト711によって、駆動軸ケース取付部82に取り付けられる。そして、左方の駆動軸7Lとカム軸62とが、左方のカップリング10及び軸継手11によって接続されるとともに、右方の駆動軸7Rとカム軸62とが、右方のカップリング10及び軸継手12によって接続される。こうして、燃料噴射ポンプ6L・6R及び駆動軸7L・7Rが取付台8に取り付けられて燃料噴射ポンプユニット5が構成される。そして、図13(b)に示すように、燃料噴射ポンプユニット5がボルト84によってシリンダブロック21の取付面211に取り付けられる。
【0047】
以上のように、V形エンジン1は、クランク軸26を中心にV形に配置されるシリンダ列22・22と、シリンダ列22・22に燃料を圧送するプランジャ61・61・・・と、プランジャ61・61・・・を往復動させるカム軸62・62と、を有する燃料噴射ポンプ6L・6Rと、カム軸62・62に軸継手11・12を介して動力を伝達する駆動軸7L・7Rと、を備え、燃料噴射ポンプ6L及び駆動軸7Lと、燃料噴射ポンプ6R及び駆動軸7Rとは、クランク軸26を挟んで左方のシリンダ列22側と右方のシリンダ列22側とに振り分けられ、クランク軸26直交方向に並べて配置され、左方の燃料噴射ポンプ6Lは、右方の燃料噴射ポンプ6Rに対してクランク軸26の軸方向にて左方の駆動軸7Lから遠ざかる側にオフセットして配置されるV形エンジン1において、駆動軸7L・7Rは、互いに同一の軸長L1を有し、軸継手11は、軸継手12よりも長い軸長L2を有するものである。
【0048】
このような構成により、左方の駆動軸7Lのねじり振動振幅が、右方の駆動軸7Rのねじり振動振幅と同程度に抑制される。従って、左方の駆動軸7Lの破損を防止することができる。
【0049】
そして、軸継手11の回転慣性質量は、軸継手12の回転慣性質量よりも小さいものである。
【0050】
このような構成により、軸継手11の回転慣性力による左方の駆動軸7Lのねじれが、軸継手12の回転慣性力による右方の駆動軸7Rのねじれと同程度又はそれ以下に抑制される。従って、左方の駆動軸7Lの破損を防止することができる。
【0051】
また、軸継手11は、その軸心回りに中空部114が形成されるものである。
【0052】
このような構成により、軸継手11の回転慣性質量が小さくなることにより、左方の駆動軸7Lが振動し難くなる。従って、左方の駆動軸7Lの破損をさらに確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 V形エンジン
6L 燃料噴射ポンプ(第一燃料噴射ポンプ)
6R 燃料噴射ポンプ(第二燃料噴射ポンプ)
7L 駆動軸(第一駆動軸)
7R 駆動軸(第二駆動軸)
11 軸継手(第一軸継手)
12 軸継手(第二軸継手)
22 シリンダ列
26 クランク軸
61 プランジャ
62 カム軸
114 中空部
L1 軸長
L2 軸長
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13