(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記季節判定手段による季節の判定を、前記ヒータへの通電を停止してから所定時間以上経過した時点における前記温度検出手段の出力により行うことを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
前記ポンプの出力を可変とし、前記スチーム運転の終了後、前記洗浄運転を開始するに際し、最初は洗浄運転用定格出力より小さい出力で前記ポンプを運転し、時間の経過に伴って、前記ポンプの出力を前記洗浄運転用定格出力まで大きくすることを特徴とする請求項1または2記載の食器洗浄機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、特別な部品や設備を必要とすることなく、スチーム運転に用いる蒸気を効率よく発生することが可能で、信頼性が高く、耐久性に優れた食器洗浄器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の食器洗浄機は、
洗浄すべき食器が収容されるとともに、洗浄水が基準水位まで貯留されるように構成された洗浄槽と、
前記洗浄槽の底面よりも前記基準水位の洗浄水の水面側に近い位置に偏って配設され、前記洗浄槽に貯留された洗浄水を加熱するヒータと、
洗浄水を吸引して噴出ノズルから前記洗浄槽内に噴出させるポンプと、
平面視における前記ヒータの配設領域の前記洗浄槽の底面の温度を検出する温度検出手段と、
季節の判定を行う季節判定手段と
を具備し、
前記ヒータに通電することにより、前記洗浄槽に貯留した洗浄水を加熱して、前記洗浄槽内に蒸気を発生させるスチーム運転を行った後、
前記スチーム運転により加熱された洗浄水を前記ポンプにより吸引して前記噴出ノズルから前記洗浄槽内に噴出させて食器を洗浄する洗浄運転を行うように構成されているとともに、
前記温度検出手段の出力について、前記スチーム運転で、前記ヒータへの通電状態を、オンからオフに切り換える閾値を定め、かつ、前記温度検出手段の出力についての前記閾値を、前記季節判定手段の出力
および前記スチーム運転の開始時点における前記温度検出手段の出力に応じて設定するように構成され
、
前記季節判定手段により、季節が、夏、または、春・秋、または、冬であると判定され、
前記温度検出手段の出力についての前記閾値が、前記季節判定手段の出力が夏のときは、前記季節判定手段の出力が夏以外のときより高く設定され、かつ、
前記スチーム運転の開始時点における前記温度検出手段の出力が高いときと、前記温度検出手段の出力が低いときについてみた場合に、前記スチーム運転の開始時点における前記温度検出手段の出力が高いときには、前記スチーム運転の開始時点における前記温度検出手段の出力が低いときに比べて、前記温度検出手段の出力についての前記閾値が高く設定されるように構成されていること
を特徴している。
【0010】
また、本発明の食器洗浄機においては、前記季節判定手段による季節の判定を、前記ヒータへの通電を停止してから所定時間以上経過した時点における前記温度検出手段の出力により行うことが好ましい。
【0011】
また、前記ポンプの出力を可変とし、前記スチーム運転の終了後、前記洗浄運転を開始するに際し、最初は洗浄運転用定格出力より小さい出力で前記ポンプを運転し、時間の経過に伴って、前記ポンプの出力を前記洗浄運転用定格出力まで大きくすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の食器洗浄機は、上述のように、洗浄槽と、洗浄槽の底面よりも前記基準水位の洗浄水の水面側に近い位置に偏って配設され、洗浄槽に貯留された洗浄水を加熱するヒータと、洗浄水を吸引して噴出ノズルから洗浄槽内に噴出させるポンプと、ヒータが配設された領域の下方の洗浄槽の底面の温度を検出する温度検出手段と、季節判定手段とを備え、洗浄槽に貯留した洗浄水をヒータにより加熱して、洗浄槽内に蒸気を発生させるスチーム運転を行った後、洗浄水をポンプにより吸引して噴出ノズルから洗浄槽内に噴出させて食器を洗浄する洗浄運転を行うように構成されているとともに、温度検出手段の出力について、スチーム運転で、ヒータへの通電状態を、オンからオフに切り換える閾値を定め、かつ、温度検出手段の出力についての閾値を、季節判定手段の出力に応じて設定するように構成されているので、特別な部品や設備を必要とすることなく、効率よく蒸気を発生させることが可能で、信頼性が高く、耐久性に優れた食器洗浄器を提供することが可能になる。
【0013】
すなわち、洗浄槽の、洗浄水が貯留される貯留部において、ヒータの配設位置より下側に位置する洗浄水は、ヒータの加熱によっても対流が発生しにくいことから、ヒータを洗浄槽の底面よりも基準水位の洗浄水の水面側に近い位置に偏って配設することにより、ヒータより下側の洗浄水が無駄に加熱されることを抑制して、ヒータよりも上側の洗浄水を主に加熱して、効率よく蒸気を発生することができる。
【0014】
しかも、季節判定手段の出力により、季節に応じて、温度検出手段の出力によりヒータ通電制御を行うようにしていることから、ヒータから離れ、ヒータ周辺の洗浄水の温度が伝わりにくい、洗浄槽の底面に配設された温度検出手段により温度を検出するようにしているにもかかわらず、ヒータ周辺の洗浄水の温度が適度な温度に維持されるように通電制御することができる。したがって、ヒータより上側の洗浄水が過度に加熱されてしまうことを防止して、安全で耐久性に優れた食器洗浄機を提供することができる。
【0015】
なお、季節判定手段を設けて、その出力に応じてヒータ通電制御を行うという要件を備えていない場合には、温度検出手段が、ヒータから離れ、ヒータ周辺の洗浄水の温度が伝わりにくい位置に配設されていることから、温度検出手段がヒータ周辺の洗浄水の温度とは大きくずれた温度を検出してしまうことになり、ヒータ周辺の温度の過度の上昇を招くなどの弊害を生じる。
【0016】
また、本発明の食器洗浄機においては、温度検出手段の出力についての閾値を、季節判定手段の出力およびスチーム運転の開始時点における温度検出手段の出力に応じて設定するようにしているので、季節判定手段に加えて、直近の機器運転による温度検出手段への影響も加味してヒータのオン・オフ制御を行うことが可能になり、さらに精度よくヒータ通電制御を行うことができる。
ただし、本発明の食器洗浄機においては、スチーム運転開始時点の温度検出手段の出力に関係なく、ヒータ通電制御を行うことも可能である。
【0017】
また、季節判定手段による季節の判定を、ヒータへの通電を停止してから所定時間以上経過した時点における温度検出手段の出力により行うようにした場合、温度検出手段によって季節の判定ができることから、季節判定手段用として特別なセンサを必要とせずに、季節判定を行うことが可能になる。
なお、本発明の食器洗浄機は、温度検出手段とは別の、機器への給水温度や機器周辺の外気温度を検出する温度センサの出力により、季節を判定するように構成することも可能である。
【0018】
また、ポンプの出力を可変とし、スチーム運転の終了後、洗浄運転を開始するに際し、最初は洗浄運転用定格出力より小さい出力で前記ポンプを運転し、時間の経過に伴いポンプの出力を洗浄運転用定格出力まで大きくする(ソフトスタート運転を行う)ようにした場合、蒸気が充満して洗浄槽内空間が高温になっているスチーム運転終了時に、洗浄槽の下部やポンプの吸い込み経路に貯留されている比較的冷たい洗浄水が噴出ノズルから洗浄槽内に噴出することにより洗浄槽内空間が急冷されて、洗浄槽内の圧力が急激に降下すことに起因する、空気流入音(通過音)の発生や洗浄槽の変形などを防止することができる。
なお、本発明の食器洗浄機においては、圧力逃がし弁を設けることにより、特にソフトスタート運転を行うことなく、洗浄槽内の圧力が急変した場合にも、空気通過音の発生や洗浄槽の変形が防止されるように構成することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
図1は本発明の実施例にかかる食器洗浄機(この実施例では食器洗浄乾燥機)の主要部の構成を示す斜視図、
図2は側面断面図、
図3は本発明の食器洗浄機の扉体の内側領域の概略構成を示す斜視図である。
図7は本発明の実施例にかかる食器洗浄機の動作を説明するための図である。
【0021】
この実施例の食器洗浄機は、引出し式の食器洗浄機であり、
図1、
図2、
図3に示すように、前面部が開口された直方体形状の本体部1と、本体部1に対して、引出し移動および収納移動の各動作を自由に行うことができるような態様で配設された、平面視形状が略長方形の洗浄槽Dとを備えている。
【0022】
洗浄槽Dは引出し部2を備えており、本体部1は引出部2を本体部1に対して移動可能に支持するスライド式レール機構(図示せず)を備えている。そして、引出し部2は、その大部分が本体部1の外方に露出するように引き出すことができるように構成されている。
【0023】
また、本体部1には、この引出し部2を本体部1に収納した状態で洗浄槽Dの上面部を閉塞し、かつ、引出し部2を本体部1から引き出した状態で洗浄槽Dの上面部を開口させる内蓋部3が設けられており、洗浄槽Dの内部空間に、開閉自在な洗浄空間Qが確保されるように構成されている(
図2参照)。
【0024】
引出し部2の前面部には、本体部1の前面部の開口を開閉する扉体Aが設けられ、その扉体Aには、引出し部2を本体部1から引き出すときや、収納するときに把持するための把持部Bが設けられている。なお、詳述はしないが、把持部Bには、引出し部2を本体部1に収納するに伴って本体部1の係止部Paに係合する係合手段Pが設けられており、この係合手段Pが係止部Paに係合することにより、引出し部2を本体部1に収納した状態に保持するように構成されている。そして、係合手段Pは、引出し部2を本体部1から引き出すときに把持部Bを把持している手指で、係合を解除して係合状態を解除することができるように構成されている。さらに、扉体Aには、運転のための各種操作を行う操作部SSが設けられている。
また、この実施例の食器洗浄機においては、
図7に示すように、洗浄槽Dに水を供給する給水路4および給水路4を開閉する給水弁4aが設けられている。
【0025】
引出し部2における洗浄槽Dの底部下方には、正転で洗浄ポンプとして機能し、かつ、逆転で排水ポンプとして機能するポンプ(兼用ポンプ)6が設けられている。また、洗浄槽Dの内部には、洗浄ノズル8や加熱手段としての電気式のヒータ9などが配置され、さらに、食器などの洗浄対象物を収納載置する洗浄かご10が、洗浄槽Dの内部に着脱可能に装着されている。
【0026】
ポンプ6は、吸引管11を介して洗浄槽Dの底部に形成された水貯留用凹部Sに接続されている。また、ポンプ6には排水のための排水管12が接続されている。
さらに、水貯留用凹部Sには、案内管13を介して水位センサJが接続されている。
なお、
図2に示すように、本体部1の底部には、漏水受止め用のドレンパン14が配備されており、特に図示しないが、このドレンパン14には、受け止めた水の存否を検出する漏水センサが装備されている。
【0027】
また、
図2、
図3、
図4および
図7に示すように、洗浄槽Dにおける4つの側壁部のうちの機体前面側、すなわち、引出し部前面側に相当する前側壁部Dfには、乾燥ユニットKが取り付けられている。
【0028】
つまり、前側壁部Dfには、
図4などに示すように、乾燥ユニットKからの空気を洗浄空間Qに供給する空気供給口21、および、乾燥ユニットKが洗浄空間Q内の空気を吸引する空気吸引口22が、下方側で左右両側に離れた位置に形成されている。具体的には、空気供給口21および空気吸引口22は、洗浄かご10よりも下方側に位置するように形成されるものであり、この実施例では、空気供給口21を右側に、空気吸引口22を左側に位置させている。
【0029】
乾燥ユニットKは、
図3〜
図7などに示すように、洗浄槽Dの前側壁部Dfに止着されるケーシング15の内部に、空気吸引口22から空気供給口21に亘る通風経路Fを経て洗浄空間Qの空気を循環させる循環ファン(通風手段)23、および、通風経路Fを通して循環される空気を除湿する除湿部Gを備えている。循環ファン(通風手段)23としては、シロッコファンが用いられている。
【0030】
通風経路Fは、
図7に示すように、空気吸引口22から上方側に伸びる上昇経路部分f1とその上昇経路部分f1の上端部から空気供給口21に向けて下方側に伸びる下降経路部分f2とからなる逆U字状に形成されており、上昇経路部分f1に除湿部Gが配設され、下降経路部分f2に循環ファン(通風手段)23が配設されている。
【0031】
この実施例の食器洗浄機は、さらに、
図7に示すように、分配ノズル51に除湿用冷却水を供給する除湿用給水路26、除湿用給水路26を開閉する除湿用冷却水断続弁27、および、給水圧安定用のガバナ28を備えている。ガバナ28は給水圧を安定化させて、除湿用冷却水供給手段25の分配ノズル51に供給される水の流量をほぼ一定(実施例では0.15リッター/分)に維持することができるように構成されている。
【0032】
次に、この実施例の食器洗浄機の通風経路Fにおける空気の流れについて説明する。
図5および
図6に示すように、循環ファン(通風手段)23が作動すると、吸引用開口23Aから空気が吸引され、洗浄空間Q内部の空気がケーシング15の横側壁部15aと仕切り壁40とにより区画された上昇経路部分f1を通り上方に向けて流動する。そして、循環ファン23の吐き出し部23Bから吐き出された空気が、下降経路部分f2を通して下方に向けて流動して空気供給口21から洗浄空間Q内に供給される。
【0033】
そして、この実施例の食器洗浄機においては、上昇経路部分f1が複数(この実施例では5枚)の伝熱体24aによって仕切られてスリット状分割経路となり、上昇経路部分f1を通過する空気は各スリット状分割経路を通過する。
【0034】
各スリット状分割経路を通過する、水分を多量に含む空気は、分配ノズル51の各流下口53からほぼ均一に流下する除湿用冷却水により効率よく冷却された各伝熱体24aおよびその表面を流下する除湿用冷却水と接触して冷却され、空気中の水分が凝縮して分離される。
【0035】
なお、各流下口53から流下した除湿用冷却水は、凝縮した水分とともに、空気吸引口22を経て洗浄槽Dに戻り、水貯留用凹部Sに貯留される。
【0036】
そして、ヒータ9を作動させた状態で、循環ファン(通風手段)23を作動させて洗浄空間Qからの空気を吸引し、通風経路Fを経て通風させるとともに、分配ノズル51の流下口53から除湿用冷却水を流下させることにより、除湿部Gで洗浄空間Qから吸引した空気の除湿を行い、除湿後の空気を乾燥用の空気として洗浄空間Qに循環供給し、その供給された空気をヒータ9で加熱することにより、洗浄空間Q内の洗浄対象物を乾燥する乾燥運転が行われる。
【0037】
また、ヒータ9を停止した状態で、洗浄空間Q内の空気を通風経路Fを通して通風させ、除湿部Gにおいて、分配ノズル51の流下口53から流下する除湿用冷却水に接触させ、空気中に含まれる例えばアンモニアやトリメチルアミンなどの臭気成分を除湿用冷却水に吸収させて除去することにより、循環空気の消臭が行われるように構成されている。
【0038】
なお、洗浄空間Qから吸引した空気中の臭気成分を除湿部Gにて除湿用冷却水に吸収させて分離した後、洗浄空間Qに供給することにより、洗浄空間Qの消臭も行われることになる。
【0039】
また、この食器洗浄機の場合、
図7に示すように、引出し部2には、運転を制御する制御手段としての制御部Hが装備されており、この制御部Hが、操作部SSにおいて入力される指令に基づいて、給水弁4a、ポンプ6、ヒータ9、循環ファン(通風手段)23、および、除湿用冷却水断続弁27の動作を制御して、洗浄槽Dの内部の洗浄空間Qの洗浄対象物を洗浄液(湯水)による洗浄処理を行う洗浄運転、洗浄槽Dの水貯留用凹部Sに貯留されかつヒータ9にて加熱されるすすぎ水による洗浄対象物のすすぎ処理を行うすすぎ運転、洗浄槽Dの水貯留用凹部Sに貯留されたすすぎ水を排水処理する排水運転、ヒータ9を加熱作用させた状態で循環ファン23による通風および除湿用冷却水供給手段25の分配ノズル51からの除湿用冷却水の供給(流下)を行って空気の乾燥処理を行う乾燥運転、および、ヒータ9を停止させた状態で循環ファン23による通風および除湿用冷却水供給手段25における分配ノズル51からの除湿用冷却水の供給(流下)を行って空気の消臭処理を行う消臭運転などの運転を行う。すなわち、制御部Hは、乾燥処理において、洗浄空間Qの空気を除湿しながら循環させるべく、循環ファン23および除湿部Gの作動を制御するように構成されている。
【0040】
また、この実施例の食器洗浄機は、使用者が、操作部SSにより、洗浄運転、すすぎ運転、排水運転、乾燥運転、消臭運転の順に運転させる連続運転コースや、乾燥運転のみ運転させる乾燥のみコースなど各種の運転コースを選択できるように構成されており、さらに、連続運転コースとして、標準運転コース、念入り運転コース、スピーディ運転コース、快速運転コースが備えられている。
【0041】
以下、制御部Hの制御動作について説明する。
まず、図外の収納スイッチにより、引出し部2が本体部1の収納位置に収納されることが検出され、操作部SSの電源スイッチがON操作されると、運転コースの選択が行われる。
【0042】
操作部SSのスタートスイッチがON操作されると、標準運転コースが開始し、洗浄運転、すすぎ運転、排水運転、乾燥運転、消臭運転、排水運転が順次実行される。
【0043】
洗浄運転では、給水弁4aを開弁して給水路4を通して洗浄槽D内に洗浄水を給水し、その水位が水位センサJにて設定水位に達したことが検出されると、給水弁4aを閉じる給水動作を行い、その後、ポンプ6を正転作動させ、かつヒータ9を作動させて、洗浄水を洗浄ノズル8から洗浄対象物に向けて噴出する洗浄動作を、洗浄運転用設定時間が経過するまで行い、次に、ポンプ6を逆転作動させ、洗浄槽D内の洗浄水を排水する排水動作を行う。
【0044】
また、すすぎ運転では、上述の洗浄運転における給水動作と同様の給水動作を行って、洗浄槽Dの底部にすすぎ水を設定水位貯留させ、その後、ポンプ6を正転作動させて洗浄対象物にむけて設定時間が経過するまで洗浄ノズル8からすすぎ水を噴出するすすぎ水噴出動作、および、ポンプ6を逆転作動させて洗浄槽Dの底部に貯留されたすすぎ水を排水する排水動作を順次行うすすぎ動作を2回行い、最後に加熱すすぎ動作を行う。
【0045】
加熱すすぎ動作では、上述の給水動作により、洗浄槽Dの底部にすすぎ水を設定水位貯留させた後、ポンプ6およびヒータ9を作動させ、ヒータ9で加熱されたすすぎ水により洗浄対象物のすすぎを行う。そして、サーミスタTH(
図2参照)により、すすぎ水の温度が仕上げ用設定温度(例えば、67℃)になると、加熱すすぎ動作を終了する。
【0046】
排水運転では、ポンプ6を逆転作動させて、洗浄槽Dの底部に貯留されたすすぎ水を排水する排水動作を、水位センサJにて洗浄槽Dの底部に貯留されたすすぎ水が排出されたことが検出されるまで行う。
【0047】
乾燥運転では、ヒータ9を加熱作用させた状態で、循環ファン23による通風動作および除湿用冷却水供給手段25の分配ノズル51からの除湿用冷却水の供給動作を行わせ、その状態を乾燥用設定時間(例えば、25分)が経過するまで継続させる。
【0048】
なお、除湿用冷却水供給手段25の分配ノズル51からの除湿用冷却水の供給は、除湿用冷却水断続弁27を開弁し、除湿用給水路26を経て分配ノズル51に水を供給し、分配ノズル51の流下口53から除湿用冷却水を流下させることにより行う。このとき、給水圧安定用のガバナ28により、除湿用冷却水の流量がほぼ一定(実施例では0.15リッター/分)に維持される。
【0049】
分配ノズル51の流下口53から供給(流下)される除湿用冷却水は、通風経路Fにおける上昇経路部分f1を経て流下し、ケーシング15の内面にて案内されて水貯留用凹部Sに貯留される。
【0050】
そして、貯留される除湿用冷却水によってヒータ9が浸漬することがないように、設定時間が経過する毎に、または、水位センサJにて水貯留用凹部Sの水位が排水用設定水位であることが検出されたときに、ポンプ6を逆転作動させて除湿用冷却水を外部に排出させる排水処理を実行するように構成されている。
【0051】
乾燥運転を開始して乾燥用設定時間が経過すると、ヒータ9の加熱、循環ファン23による通風を停止し、除湿用冷却水断続弁27を閉弁して分配ノズル51への水の供給を停止して分配ノズル51からの除湿用冷却水の流下を停止させる。
【0052】
消臭運転では、ヒータ9を停止させた状態で、循環ファン23による通風動作および除湿用冷却水供給手段25の分配ノズル51からの除湿用冷却水の供給動作を行わせ、その状態を消臭用設定時間が経過するまで維持する。この消臭運転においても上述の乾燥運転の場合と同様に、設定時間が経過する毎に、または、水位センサJにて水貯留用凹部Sの水位が排水用設定水位であることが検出されたときに、ポンプ6を逆転作動させて、分配ノズル51から噴出されて水貯留用凹部Sに貯留される除湿用冷却水を外部に排出させる排水処理を実行するように構成されている。
【0053】
消臭運転を開始してから消臭用設定時間が経過すると、循環ファン23による通風動作および除湿用冷却水供給手段25の分配ノズル51からの除湿用冷却水の供給動作を停止して消臭運転を終了する。
【0054】
そして、消臭運転が終了した後に、排水運転を実行する。この排水運転は、ポンプ6を逆転作動させて水貯留用凹部Sに貯留されている除湿用冷却水を排出させる排水動作を、水位センサJにて、貯留されている除湿用冷却水が排水されたことが検出されるまで行う。
【0055】
なお、上記洗浄運転および上記すすぎ運転において給水動作を実行するときには、除湿用冷却水断続弁27を開弁し、除湿用給水路26を経て分配ノズル51に水が供給されるようにする処理も併せて行うようにしている。このように、水を無駄にしない状態で除湿部Gに除湿用給水路26から水を供給して、除湿部Gをできるだけ清潔な状態に保つように構成されている。
【0056】
そして、この実施例の食器洗浄機においては、
図2に示すように、洗浄槽Dの底面に密着するように、温度検出手段としてサーミスタTHが配設されている。なお、サーミスタTHは、平面視におけるヒータ9の配設領域に対応する洗浄槽Dの底面の裏側(すなわち、洗浄槽Dの底面の裏側の、ヒータ9が配設されている位置の真下となる位置)に配設されている。
そして、使用者が操作部SSの電源スイッチをON操作すると、制御部H(
図7)において、ヒータ9の通電を停止してから所定時間(例えば5時間)以上経過していたときは、サーミスタTHの検出温度の出力より、季節判定手段が季節の判定を行う。なお、この実施例の食器洗浄機では、制御部Hが季節判定手段としての機能も併せて果たすように構成されている。
【0057】
なお、この実施例の食器洗浄機では、例えば、ヒータ9の通電を停止してから5時間以上経過した時点でのサーミスタTHの検出温度により、表1および
図8に示すような季節判定の結果が出力されるように構成されている。
なお、初期設定は、「春・秋」に設定されている。
また、ヒータ9の通電を停止してから5時間以上経過していない場合には、前回の判定結果を用いるように構成されている。
【0058】
季節判定の出力を、表1および
図8について説明すると、5時間以上経過した時点でのサーミスタTHの検出温度が、例えば25℃以上であると、季節は夏であるとの判定結果が出力され、その後、検出温度が23℃に低下すると、季節が夏から春・秋になったと判定される。その後、検出温度が12℃以下に低下すると、季節が春・秋から冬になったと判定される。さらにその後、検出温度が14℃になると、季節が冬から春・秋になったと判定される。
【0060】
季節判定手段により判定された季節は、後述するスチーム運転における、設定温度の選択(閾値の選択)に使用される。
【0061】
次に、この食器洗浄機を用いて食器の洗浄を行う場合の動作について説明する。
例えば、使用者が操作部SSから、念入り運転コースを選択すると、洗浄運転の前に、スチーム運転が行われる。
【0062】
スチーム運転は、
図7に示すように、給水弁4aを開弁して給水路4を通して洗浄槽D内に洗浄水を給水し、水位センサJにて基準水位に達したことが検出されると、給水弁4aを閉じる給水動作を行う。なお、このときの基準水位は、洗浄運転時の洗浄水位と同じである。
なお、この実施例では、水位センサJは、スチーム運転用と洗浄運転用に共用されている。ただし、スチーム運転用基準水位と洗浄運転用洗浄水位を別にして、水位センサを別々に設けることも可能である。
【0063】
基準水位まで給水されたときの、ヒータ9の上下方向の位置は、洗浄槽Dの底面よりも基準水位の洗浄水の水面側に偏っている。ただし、ヒータ9の配設位置(高さ)は、水面側に偏ってはいても、基準水位の洗浄水に確実に水没するように設定されている(
図2の液面L参照)。
【0064】
それから、ポンプ6が停止した状態で、ヒータ9に通電が開始されると、ヒータ9周辺の水が加熱され、ヒータ9よりも上に位置する洗浄水が主に加熱される(ヒータ9より下側の洗浄水においては、ヒータ9の加熱による対流が発生しにくいため、加熱されにくいが、ヒータ9よりも上に位置する洗浄水においては、ヒータ9の加熱による対流の発生により、効率よく加熱される)。
【0065】
ヒータ9への通電後、時間が経過して、ヒータ9の上側の洗浄水の温度が高くなるにつれて、蒸気(スチーム)が発生して、洗浄槽D内の温度が上昇し、洗浄槽内の飽和水蒸気量を超えた水分が湯気として洗浄槽D内の気相中を浮遊する。
湯気を含むスチームが洗浄槽に充満すると、細かい水分子は、洗浄槽内に漂い食器と汚れの間に入りこみ、食器についた汚れを浮き上がらせる。
なお、ヒータ9への通電を制御するヒータ通電制御は、表2に示すように、季節判定手段の出力および温度検出手段の出力を考慮して設定(選択)された設定温度(閾値)によって行われるように構成されている。
【0066】
さらに、この実施例では、運転開始時の温度検出手段による検出温度(運転開始時温度)に応じてヒータ通電制御の閾値を定めるようにしている。
なお、上記の運転開始時温度は、使用者が操作部SSにより念入り運転コースを選択し、給水動作が終わった後、ヒータ9の通電が行われる前の時点で、制御部Hにおいて、サーミスタTHの検出温度の出力が記憶されるもので、以下のようにヒータ通電制御に使用される。
すなわち、表2に示すように、
(a)運転開始時の検出温度が35℃未満のとき、夏であれば46℃、春・秋であれば45℃、冬であれば45℃になった時点でヒータ9をオンからオフにし、
(b)運転開始時の検出温度が35〜50℃のとき、夏であれば47℃、春・秋であれば46℃、冬であれば46℃になった時点でヒータ9をオンからオフにし、
(c)運転開始時の検出温度が50℃以上のとき、夏であれば49℃、春・秋であれば48℃、冬であれば48℃になった時点でヒータ9をオンからオフにするようにしている。
【0067】
なお、ヒータ9への通電を、オフからオンにする場合の温度は、表2に示した温度より2℃低い温度としている。
【0069】
この実施例の食器洗浄機により食器を洗浄する場合、具体的には、スチーム運転開始から最初の3分間は、サーミスタTHの検出温度の出力に関わらず、強制的にヒータ9の通電を行う。
【0070】
そして、スチーム運転開始から3分経過後は、サーミスタTHの検出温度の出力が、表2に示す設定温度に到達した場合はヒータ9への通電をオフにし、設定温度より2℃以上低くなるとヒータ9への通電をオンする動作を繰り返し、洗浄槽D内の温度を目標到達温度(この実施例では55℃)に保ちながら確実に蒸気を発生させる。
スチーム運転の開始から所定時間(例えば10分間)が経過すると、ヒータ9の通電を停止し、スチーム運転を終了する。
【0071】
スチーム運転を終えた後、洗浄運転に移行するにあたっては、洗浄運転の開始前に、ソフトスタート運転を所定時間(例えば15秒間)行う。なお、ソフトスタート運転は、ポンプ6の回転数を、表3に示すような目標回転数となるように、時間の経過とともにポンプ6の回転数を段階的に上げることにより行う。
【0072】
具体的には、ソフトスタート運転の開始から5秒が経過するまでは、ポンプ6の回転数(目標回転数)を1700rpm、5秒経過後、10秒が経過するまでは回転数(目標回転数)を1900rpm、10秒経過後、15秒が経過するまでは回転数(目標回転数)を2100rpmとして運転を行い、その後は回転数(目標回転数)を定格回転数の4100rpmとして運転を行うことになる。
【0074】
このように、ソフトスタート運転を所定時間行うことにより、洗浄槽D内の温度が急降下することを抑制、防止して、洗浄槽D内の圧力の急激な低下による空気通過音(騒音)の発生や洗浄槽の変形を防止することができる。すなわち、スチーム運転を終えた後、洗浄運転に移行する際に、直ちにポンプ6を定格回転数で運転すると、洗浄槽D内の温度は上昇しているが、ヒータ9の下側の底面に近い位置では洗浄水の温度が低いため、ポンプ6により吸引され、洗浄ノズル8から噴出される洗浄水によって、洗浄槽D内の温度が急激に下がり、洗浄槽D内の圧力が急激に低下して、空気通過音の発生や洗浄槽の変形を引き起こすことになるが、ソフトスタート運転を所定時間(例えば15秒間)行うことにより、洗浄槽D内の温度の急降下を防止することができる。
【0075】
上述のソフトスタート運転が終了した後、上述のように、ポンプ6の回転数を定格回転数(4100rpm)に設定して、洗浄ノズル8から洗浄水を噴出させることにより、食器の洗浄を行う洗浄運転を行う。
【0076】
上述のように、スチーム運転と洗浄運転を組み合わせて実施することにより、食器を効率よく洗浄することができる。また、ソフトスタート運転を行うことにより、洗浄槽D内の温度の急降下を防止して、快適に、かつ、洗浄槽の変形などを防止しつつ、効率よく、快適な食器洗浄を行うことができる。
【0077】
なお、上記実施例では、運転開始時温度に応じてヒータ通電制御の閾値を定めるようにしているが、場合によっては、運転開始時温度を考慮せずに、季節判定手段の出力により、温度検出手段の出力についての閾値を定めるように構成することも可能であり、その場合にも本発明の基本的な効果を得ることができる。
【0078】
本発明はさらにその他の点においても上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変形を加えることが可能である。