【実施例】
【0041】
本発明を以下の実施例においてさらに説明することとするが、これは、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施例において、「プレポリマー」とは、化学量論的よりわずかに過剰量のジアミンモノマー(約2%)と一緒に形成されて、25℃で約50〜100ポアズの範囲内のブルックフィールド溶液粘度が得られる低分子量ポリマーを指す。分子量(および溶液粘度)の増加は、ジアミンに対する二無水物の化学量論的当量に近づけるために、追加的な二無水物を小さな増分量添加することにより達成した。
【0042】
以下の実施例においては、以下の略語が用いられている:
BPDA=3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
PPD=1,4−ジアミノベンゼン
【0043】
実施例1
BPDA/PPDプレポリマー(69.3gの無水DMAC中の17.5重量%溶液)を5.62gの針状のTiO
2(FTL−110、Ishihara Corporation,USA)と組み合わせると共に、得られたスラリーを24時間攪拌した。個別の容器中に、ピロメリト酸無水物(PMDA)の6重量%溶液を、0.9gのPMDA(Aldrich 412287、Allentown,PA)および15mLのDMACを組み合わせることにより調製した。
【0044】
PMDA溶液をプレポリマースラリーに徐々に添加して、653ポアズの最終粘度を達成した。配合物を0℃で一晩保管して脱気させた。
【0045】
25milドクターブレードを用いて、ガラスプレートの表面上に配合物をキャストして3インチ×4インチフィルムを形成した。ガラスは離型剤で前処理しており、ガラス表面からのフィルムの剥がしを促進させた。フィルムをホットプレートで80℃で20分間乾燥させた。その後、フィルムを表面から持ち上げて3インチ×4インチピンフレームに取り付けた。
【0046】
室温で、減圧下に12時間さらに乾燥させた後、取り付けたフィルムを炉(Thermolyne、F6000箱型炉)中に置いた。炉は窒素でパージすると共に、以下の温度プロトコルに従って加熱した:
・125℃(30分)
・125℃〜350℃(4℃/分の勾配)
・350℃(30分)
・350℃〜450℃(5℃/分の勾配)
・450℃(20分)
・450℃〜40℃(8℃/分での冷却)
【0047】
比較例A
実施例1に記載のものと同等の手順を用いたが、ただし、TiO
2充填材をプレポリマー溶液に添加しなかった。キャスティング前の最終粘度は993ポアズであった。
【0048】
実施例2
実施例1に記載のものと同一の手順を用いたが、ただし、69.4gのBPDA/PPDプレポリマー(DMAC中に17.5重量%)を5.85gのTiO
2(FTL−200、Ishihara USA)と組み合わせた。配合物のキャスティング前の最終粘度は524ポアズであった。
【0049】
実施例3
実施例1に記載のものと同一の手順を用いたが、ただし、69.4gのBPDA/PPDプレポリマーを5.85gの針状のTiO
2(FTL−300、Ishihara USA)と組み合わせた。キャスティング前の最終粘度は394ポアズであった。
【0050】
実施例4A
実施例1に記載のものと同一の手順を用いたが、ただし、69.3gのBPDA/PPDプレポリマー(DMAC中に17.5重量%)を5.62gの針状のTiO
2(FTL−100、Ishihara USA)と組み合わせた。
【0051】
DMAC中のPMDA溶液を添加する前に、材料を、80ミクロンフィルタ媒体(Millipore、ポリプロピレンスクリーン、80ミクロン、PP8004700)を通してろ過した。
【0052】
キャスティング前の最終粘度は599ポアズであった。
【0053】
実施例4
実施例1に記載のものと同一の手順に従ったが、ただし、139gのBPDA/PPDプレポリマー(DMAC中に17.5重量%)を11.3gの針状のTiO
2(FTL−100)と組み合わせた。BPDA/PPDプレポリマーと針状のTiO
2(FTL−110)の混合物を小さな容器に入れた。角孔の、高せん断スクリーンを備えたSilverson Model L4RT高せん断ミキサ(Silverson Machines,LTD,Chesham Baucks,England)を用いて、配合物を(およそ4000rpmの翼速度で)20分間混合した。氷浴を用いて混合操作の最中に配合物を冷たいままに維持した。
【0054】
キャスティング前の材料の最終粘度は310ポアズであった。
【0055】
実施例5
実施例4に記載のものと同一の手順を用いたが、ただし、133.03gのBPDA/PPDプレポリマー(DMAC中に17.5重量%)を6.96gの針状のTiO
2(FTL−110)と組み合わせた。
【0056】
材料を小さな容器に入れると共に高せん断ミキサで(およそ4000rpmの翼速度で)およそ10分間混合した。次いで、材料を45ミクロンフィルタ媒体(Millipore、45ミクロンポリプロピレンスクリーン、PP4504700)を通してろ過した。
【0057】
キャスティング前で、最終粘度はおよそ1000ポアズであった。
【0058】
実施例6
実施例5に記載のものと同一の手順を用いたが、ただし、159.28gのBPDA/PPDプレポリマーを10.72gの針状のTiO
2(FTL−110)と組み合わせた。材料を高せん断ミキサで5〜10分間混合した。
【0059】
キャスティング前の最終配合物粘度はおよそ1000ポアズであった。
【0060】
実施例7
実施例5に記載のものと同一の手順を用いたが、ただし、157.3gのBPDA/PPDプレポリマーを12.72グラムの針状のTiO
2(FTL−110)と組み合わせた。材料を、高せん断ミキサでおよそ10分間ブレンドした。
【0061】
キャスティング前の最終粘度はおよそ1000ポアズであった。
【0062】
実施例8
実施例5に記載のものに類似する手順を用いたが、ただし、140.5gのDMACを24.92gのTiO
2(FTL−110)と組み合わせた。このスラリーは高せん断ミキサを用いておよそ10分間ブレンドした。
【0063】
このスラリー(57.8g)を、250ml、3首丸底フラスコ中で107.8gのBPDA/PPDプレポリマー(DMAC中に17.5重量%)と組み合わせた。混合物を、パドル攪拌機で、一晩、ゆっくりとした窒素パージ下でゆっくりと攪拌した。材料を高せん断ミキサで再び(およそ10分間、4000rpm)攪拌し、次いで、45ミクロンフィルタ媒体(Millipore、45ミクロンポリプロピレン、PP4504700)を通してろ過した。
【0064】
最終粘度は400ポアズであった。
【0065】
実施例9
実施例8に記載のものと同一の手順を用いたが、ただし、140.49gのDMACを24.89gのタルク(Flex Talc610、Kish Company,Mentor,OH)と組み合わせた。材料を、実施例8に記載の高せん断混合手順を用いてブレンドした。
【0066】
このスラリー(69.34g)を129.25gのBPDA/PPDプレポリマー(DMAC中に17.5重量%)と組み合わせ、高せん断ミキサを用いて再び混合し、次いで、25ミクロンフィルタ媒体(Millipore、ポリプロピレン、PP2504700)を通してろ過すると共に、1600ポアズでキャストした。
【0067】
実施例10
この配合物を同様の体積%(TiO
2、FTL−110)で調製して、実施例9と比較した。実施例1に記載のものと同一の手順を用いた。67.01gのBPDA/PPDプレポリマー(17.5重量%)を79.05グラムの針状のTiO
2(FTL−110)粉末と組み合わせた。配合は、キャスティングの前で255ポアズの粘度で終了した。
【0068】
動的機械分析(DMA)機器を用いて、比較例Aおよび実施例10の機械的挙動の特性を決定した。DMA操作は、温度および時間に応じて小さな振動歪みに供したポリマーの粘弾性応答を基準とした(例えば、10μm)(TA Instruments、New Castle,DE,USA、DMA 2980)。フィルムは、有限サイズの矩形の試料を固定されたジョーと可動式のジョーとの間に固定する張力および多周波数−歪みモードで操作した。6〜6.4mm幅、0.03〜0.05mm厚さおよびMD方向に10mm長さのサンプルを、3in−lbトルク重で固定した。長さ方向での静的な力は、125%の自動張力で0.05Nであった。フィルムを、1Hzの周波数で0℃から500℃に3℃/分の速度で加熱した。室温、500および480℃での保管係数は表1に記録されている。
【0069】
比較例Aおよび実施例10の熱膨張係数は、熱機械分析(TMA)により計測した。TA Instrumentモデル2940を張力モードに設定し、30〜50ml/分速でN
2パージすると共に機械的冷却器を備えさせた。フィルムをMD(キャスティング)方向に2.0mm幅に切断し、フィルムクランプの間に縦方向に固定して、7.5〜9.0mm長さとさせた。前負荷張力は、5グラム重に設定した。次いで、フィルムを10℃/分の速度で0℃から400℃に加熱して3分間保持し、0℃に冷却し戻し、および、400℃に同じ速度で再加熱した。μm/m−C(またはppm/℃)の単位での60℃から400℃までの熱膨張係数の計算を、60℃〜400℃、また、60℃〜350℃にわたる第2の加熱サイクルについてのキャスティング方向(MD)に関して報告した。
【0070】
熱重量分析機器(TA、Q5000)を重量損失のサンプル計測に用いた。計測は窒素流中で実施した。温度プログラムは、20℃/分の速度での500℃への加熱を含んでいた。500℃での30分間の保持の後の重量損失は、吸収された水のすべてが除去された200℃での重量に正規化することにより算出して、200℃を超える温度でのポリマーの分解を判定した。
【0071】
【表1】
【0072】
比較例B
以下の差異を除いて、実施例8に記載のものと同一の手順を用いた。145.06gのBPDA/PPDプレポリマーを用いた(DMAC中に17.5重量%)。
【0073】
800ナノメートルを超える最小寸法(12:1アスペクト比により定義した均等円柱幅および2.3ミクロンの平均均等球状サイズ分布を用いて算出した)を有する、127.45グラムのWallastonite粉末(Vansil HR325、R.T.Vanderbilt Company,Norwalk CT)を、127.45グラムのDMACと組み合わせると共に、実施例8の手順に従って高せん断混合に供した。
【0074】
145.06gのBPDA/PPDプレポリマー(DMAC中に17.5重量%)を、38.9グラムの高せん断混合に供した珪灰石のDMAC中のスラリーと組み合わせた。配合物を、実施例8の手順に従って、再度高せん断混合に供した。
【0075】
配合は3100ポアズの粘度で終了し、次いで、キャスティングの前に600ポアズの粘度にDMACで希釈した。
【0076】
高温クリープの計測
DMA(TA Instruments Q800モデル)を、フィルム試料のクリープ/回復研究について、張力およびカスタマイズした力制御モードで用いた。6〜6.4mm幅、0.03〜0.05mm厚さおよび10mm長さのプレスしたフィルムを、固定されたジョーと可動式のジョーとの間に、3in−lbトルク重で固定した。長さ方向における静的な力は0.005Nであった。フィルムを20℃/分の速度で460℃に加熱すると共に、460℃で150分保持した。クリーププログラムを2MPaに20分設定し、続いて、初期の静的な力(0.005N)以外の追加的な力を加えずに30分回復させた。クリープ/回復プログラムを、4MPaおよび8MPaについて、2MPaと同じ時間間隔で反復した。
【0077】
以下の表2においては、8MPa(より正確には、最大応力は約7.4〜8.0MPaである)でのサイクルの後の歪みおよび回復が表記されている。伸度は、伸度を開始時のフィルム長で除することにより無単位の同等の歪みに換算されている。8MPa(より正確には、最大応力は約7.4〜8.0MPaである)および460℃での歪みが「emax」と表記されている。「e max」という用語は、8MPaサイクル(より正確には、最大応力は約7.4〜8.0MPaである)の終了時での分解および溶剤損失(無応力残留勾配から外挿)によるフィルムの変化について補正されている無次元での歪みである。「e rec」という用語は、8MPaサイクル(より正確には、最大応力は約7.4〜8.0MPaである)の直後であるが、追加の力が付加されていない(0.005Nの初期の静的な力以外の)状態での歪み回復であって、これは、分解および溶剤損失(無応力残留勾配によって計測される)によるフィルムの変化について補正されている材料の回復の尺度である。「無応力残留勾配」と標記されているパラメータはまた無次元での歪み/分の単位で標記されており、8Mpa応力(より正確には、最大応力は約7.4〜8.0MPaである)の初期の付加の後にサンプルに0.005Nの初期の静的な力が付加されている場合の歪みの変化である。この勾配は、8MPa応力サイクル(より正確には、最大応力は約7.4〜8.0MPaである)の適用に続く30分の間にわたるフィルムにおける寸法変化(「無応力残留歪み」)に基づいて算出される。典型的には、無応力残留勾配は負である。しかしながら、無応力残留勾配値は、絶対値として示され、従って、これは常に正の数である。
【0078】
第3のカラムe plastはプラスチック流を記載しており、これは、高温クリープの直接的な尺度であると共に、e maxとe recとの差である。
【0079】
普通、可能な限り最小の歪み(e max)、最低量の応力プラスチック流(e plast)および低い値の無応力残留勾配を示す材料が所望される。
【0080】
【表2】
【0081】
表2は、重量分率および体積率の両方で充填材配合量をもたらす。少なくとも本開示に関しては、充填材性能は主に充填材によって占有される空間に応じる傾向にあるため、同様の体積率の充填材配合量が、一般には、充填材のより正確な比較である。フィルム中の充填材の体積率は、完全に密なフィルムを想定すると共に、種々の成分については以下の密度を用いて対応する重量分率から算出した:
ポリイミドの密度については1.42g/cc;針状のTiO
2の密度については4.2g/cc;タルクの密度については2.75g/cc;および、珪灰石については2.84g/cc。
【0082】
実施例11
168.09グラムのポリアミド酸(PAA)プレポリマー溶液は、DMAC(ジメチルアセタミド)中のBPDAおよびPPDから、わずかに過剰量のPPD(DMAC中に15重量%PAA)で、10.05グラムのFlextalc610タルクと、2分間、Thinky ARE−250遠心ミキサでブレンドして調整して、オフホワイトのPAA溶液中の充填材の分散体を得た。
【0083】
次いで、この分散体を45ミクロンポリプロピレンフィルタメンブランを通して加圧ろ過した。その後、少量のPMDA(DMAC中に6重量%)をこの分散体に添加し、その後の混合で分子量を増加させ、これにより、溶液粘度を約3460ポアズとした。減圧下でろ過した溶液を脱気して気泡を除き、次いで、この溶液を、Duofoil(登録商標)アルミニウム剥離シート(約9mil厚)片の上にコートし、ホットプレート上に置き、約80〜100℃で30分〜1時間乾燥させて非粘着性のフィルムを得た。
【0084】
その後、このフィルムを基板から注意深く外し、ピンフレーム上に置き、次いで、窒素でパージしたオーブンに入れ、40℃から320℃に約70分間かけて昇温させ、320℃で30分間保持し、次いで、450℃に16分間かけて昇温させると共に450℃で4分間保持し、続いて冷却した。ピンフレーム上のフィルムをオーブンから取り出すと共にピンフレームから剥離して、充填ポリイミドフィルムを得た(約30重量%充填材)。
【0085】
およそ1.9mil(およそ48ミクロン)フィルムは以下の特性を示した。
【0086】
50℃で12.8GPaおよび480℃で1.3GPaの動的機械分析(TA Instruments、DMA−2980、5℃/分)による貯蔵弾性率(E’)、ならびに、341℃のTg(正接δピークの最大)。
【0087】
50〜350℃の間で2回目の走査で評価したところ、それぞれ、キャストおよび交差方向で、13ppm/℃および16ppm/℃の熱膨張係数(TA Instruments、TMA−2940、10℃/分、380℃まで、次いで、冷却および380℃への再走査)。
【0088】
最初から最後までの500℃での等温保持で、0.42%の等温性重量損失(TA Instruments、TGA 2050、20℃/分で500℃まで、次いで、500℃で30分保持した)。
【0089】
比較例C
DMAC中のBPDAおよびPPDから、わずかに過剰量のPPD(DMAC中の15重量%PAA)で調製した200グラムのポリアミド酸(PAA)プレポリマー溶液を計量した。その後、少量のPMDA(DMAC中に6重量%)をThinky ARE−250遠心ミキサ中に段階的に添加して分子量を増加させ、これにより、溶液粘度を約1650ポアズとした。次いで、減圧下で溶液を脱気して気泡を除き、次いで、この溶液をDuofoil(登録商標)アルミニウム剥離シート片(約9mil厚)にコートし、ホットプレート上に置くと共に、約80〜100℃で30分〜1時間乾燥させて非粘着性のフィルムを得た。その後、このフィルムを基板から注意深く外し、ピンフレーム上に置き、次いで、窒素でパージしたオーブン中に入れ、40℃から320℃に約70分間かけて昇温させ、320℃で30分間保持し、次いで、450℃に16分間かけて昇温させると共に450℃で4分間保持し、続いて冷却した。ピンフレーム上のフィルムをオーブンから取り出すと共にピンフレームから剥離して、充填ポリイミドフィルムを得た(0重量%充填材)。
【0090】
およそ2.4mil(およそ60ミクロン)フィルムは以下の特性を示した。
【0091】
50℃で8.9GPaおよび480℃で0.3GPaの動的機械分析(TA Instruments、DMA−2980、5℃/分)による貯蔵弾性率(E’)、ならびに、348℃のTg(正接δピークの最大)。
【0092】
50〜350℃の間で2回目の走査で評価したところ、それぞれ、キャストおよび交差方向で、18ppm/℃および16ppm/℃の熱膨張係数(TA Instruments、TMA−2940、10℃/分、380℃まで、次いで、冷却および380℃への再走査)。
【0093】
最初から最後までの500℃での等温保持で、0.44%の等温性重量損失(TA Instruments、TGA2050、20℃/分で500℃まで、次いで500℃で30分保持した)。
【0094】
実施例12
実施例11と同様の様式で、約30重量%でのFlextalc 610とのポリアミド酸ポリマーを5milポリエステルフィルム上にキャストした。ポリエステル上のキャストフィルムを、およそ等量の無水酢酸および3−ピコリンを室温で含有する浴中に入れた。浴中でキャストフィルムがイミド化されるに伴って、ポリエステルが放出され始めた。この時点で、キャストフィルムを浴およびポリエステルから取り出し、ピンフレーム上に置き、次いで、オーブンに入れると共に実施例11に記載のとおり昇温させた。得られたタルク−充填ポリイミドフィルムは、キャストおよび交差方向のそれぞれにTMA(実施例11のとおり)による9ppm/℃および6ppm/℃のCTEを示した。
【0095】
概要または実施例における上述のすべての作業が必須であるわけではなく、特定の作業の一部分が必要とされない場合があり、さらなる作業を上述のものに追加して実施してもよい場合があることに留意されたい。さらに、作業の各々が列挙されている順番は、必ずしも、これらが実施される順番ではない。この明細書を読了した後、当業者は、特定の必要性または要求のためにどの作業を行うことが可能であるかを判定することができるであろう。
【0096】
以上の明細書において、本発明を、特定の実施形態に言及して記載してきた。しかしながら、当業者は、添付の特許請求の範囲に既定の本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良および変更をすることが可能であることを認識する。従って、明細書およびいかなる図も、限定的な意味ではなく、むしろ例示的であるとみなされるべきであり、すべてのこのような改良が発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0097】
有益性、他の利点、および問題に対する解答を、特定の実施形態に関して上述してきた。しかしながら、有益性、利点、問題への解答、およびいずれかの有益性、利点、または回答を生じさせ得るまたはより明確にさせ得るいずれかのエレメントは、重要であり、必要であり、または必須である機構またはいずれかのまたはすべての特許請求の範囲の要素として解釈されるべきではない。
【0098】
量、濃度、または、他の値あるいはパラメータが、範囲、好ましい範囲または上方値および下方値の列挙のいずれかとして与えられている場合、これは、範囲が個別に開示されているかどうかに関わらず、いずれかの上限の範囲または好ましい上方値、および、いずれかの下限の範囲または好ましい下方値のいずれかの対から形成されるすべての範囲を明示的に開示しているとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書において言及されている場合、他に明記されていない限りにおいて、この範囲は、その端点、ならびにその範囲内のすべての整数および分数を含むことが意図される。本発明の範囲が、範囲が定義されるときに言及された特定の値に限定されることは意図されていない。
以下に、本発明の好ましい態様を示す。
[1] 少なくとも1つのトランジスタを基板上に形成する方法であって:
基板上に、少なくとも1層の半導体材料を堆積させる工程であって、基板が:
a)層の40〜95重量パーセントの量のポリイミドであって:
i)少なくとも1種の芳香族二無水物であって、その少なくとも85モルパーセントが剛直性(rigid)ロッド型(rod type)二無水物である芳香族二無水物、および
ii)少なくとも1種の芳香族ジアミンであって、その少なくとも85モルパーセントが剛直性(rigid)ロッド型(rod type)ジアミンである芳香族ジアミン
に由来するポリイミド;ならびに
b)充填材であって:
a)少なくとも一方向の寸法が800ナノメートル未満であり;
b)3:1を超えるアスペクト比を有し;
c)すべての寸法がフィルムの厚さ未満であり;および
d)フィルムの総重量の5〜60重量パーセントの量で存在する
充填材
を含む工程を含み、
支持体が8〜150ミクロンの厚さを有する方法であり、
前記半導体材料が前記基板上に堆積される前に、不活性化層が前記基板上に堆積される方法。
[2] 前記不活性化層が、二酸化シリコンまたは窒化アルミニウムを含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記不活性化層が、前記基板の両面に堆積される、[1]に記載の方法。
[4] 50ナノメートル未満の厚さを有する金属層が、基板上の、前記半導体材料と同じ側に、前記半導体材料の堆積よりも前に堆積される、[1]に記載の方法。
[5] 前記金属層が、連続フィルムとして堆積されると共に、その後、前記半導体材料のその上への堆積の前にパターン化される、[1]に記載の方法。
[6] 誘電体材料の層が、前記半導体材料の堆積の前に前記金属層上に堆積される、[5]に記載の方法。
[7] 前記半導体材料が非晶質シリコンを含み、前記半導体材料は、非晶質シリコン上に堆積されたn型シリコンの層をさらに含む、[1]に記載の方法。
[8] n型シリコンの連続層が非晶質シリコン上に堆積され、金属のパターン化層がその後n型シリコン上に形成され、および、得られた構造がその後エッチされて、前記金属のパターン化層によって被覆されていないn型シリコンの一部が除去される、[7]に記載の方法。
[9] 前記半導体材料の堆積が前記基板の連続ウェブで実施される、[1]に記載の方法。
[10] 前記充填材が小板、針様または繊維状であると共に、前記半導体材料が非晶質シリコンである、[1]に記載の方法。
[11] 前記充填材が酸素と、アルミニウム、シリコン、チタン、マグネシウムおよびこれらの組み合わせからなる群の少なくとも1種の構成要素とを含む、[1]に記載の方法。
[12] 前記充填材が針状の二酸化チタンを含み、その少なくとも一部が酸化アルミニウムで被覆されていると共に、前記半導体材料が非晶質シリコンを含む、[1]に記載の方法。
[13] a)剛直性二無水物が、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、およびこれらの混合物からなる群から選択され;
ならびに
b)剛直性ジアミンが、1,4−ジアミノベンゼン(PPD)、4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジデン(TFMB)、1,5−ナフタレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、およびこれらの混合物から選択される、
[1]に記載の方法。
[14] ジアミンの少なくとも25モルパーセントが1,5−ナフタレンジアミンである、[1]に記載の方法。
[15] 前記フィルムが、熱的に安定な無機物:布、紙、シート、スクリムまたはこれらの組み合わせで強化されている、[1]に記載の方法。