【実施例】
【0010】
<全体構成>
図1に示すとおり、袋1の袋本体2は、一枚の合成樹脂フィルムを折り返して折返し部を2c下端部とし、両側縁部2b,2bをシールして封じてある。斜線部はシール部を表している。袋本体の上端部2aはシール部として形成されており、使用時には、側縁部2bに形成された引き裂き口2dから引き裂くことにより、上端部(シール部)2aは除去され、袋本体2に上端開口部が形成される。
袋本体2の内面には上端開口部に沿って、合成樹脂製チャック10が設けられている。
合成樹脂製チャック10よりも袋本体2の開口部側の袋本体2の内側には、薄板状の通気部形成片20が複数個(本実施例では3個)設けられている。
袋本体2の収容部には、匂い物質を含浸、塗布等した香り発生シート等の香り発生体3が内容物として収容されている。
袋本体2は、図示の側面シール形のほか、三方シール形、ひだ付きシール形等であってもよい。
袋本体2は、合成樹脂フィルム、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリエステル等のフィルムを用いることができる。好ましくは、ガスバリア性のあるフィルムを用いる。アルミニウム等の金属層を有する積層フィルムを用いてもよい。
袋本体2の大きさは、一例として、携帯を容易にするため、財布や名刺入れに入れられる大きさが好ましい。
【0011】
<合成樹脂製チャック>
図2に示すとおり、合成樹脂製チャック10は、雄部11と、該雄部11と咬合するための、対向する一対の爪部15,16を備えた雌部14とからなり、開閉自在な雌雄咬合式のものである。対向する一対の爪部15,16の間に雄部11が咬合(嵌合)することによりチャック10が閉じられて袋(収容部)は密封状態となり、雄部11が爪部15,16の間から離脱することによりチャック10は開いて袋は開放状態となる。雄部11及び雌部14は、通常、それぞれ合成樹脂製テープTの表面上に形成され、このテープTを袋本体2の内面に溶着等により貼り付けて用いられるが、テープTを用いずに袋本体2の内面に直接形成してもよい。雄部11及び爪部15,16の形状等は、図示のものに限られず、公知のものを採用し得る。
一対の爪部15,16のうち、袋本体2の開口部側の爪部15には、該爪部15から袋本体の開口部側に向けて突出形成された突出部(突条)17を備えている。この突出部17は、爪部15と一体成形により形成されており、その先端部に、通気部形成片20を係合させて保持するための保持部17aを備えている。保持部17aは、突出部17の肉厚より大であり、図示の例では断面視、矢印状を呈している。
また、突出部17は、爪部15の、該爪部15の根元(テープT側)と反対側寄りの位置に突出形成されている。
【0012】
<通気部形成片>
図2は、通気部形成片20が袋本体2に設けられている状態、
図3は、通気部形成片20を単体で示している。
合成樹脂製チャック10よりも袋本体2の開口部側の袋本体2内側に、薄板状の通気部形成片20が設けられている。通気部形成片20は、合成樹脂製の射出成形品で長方形状をなし、その基端部21である一の短辺部において、爪部15に形成された突出部17に保持されている。前記のとおり、突出部17の先端部には保持部17aが形成されており、一方、通気部形成片20の基端部21端面には、保持部17aを受け入れて係合する係合部21aが設けられている。この係合部21aが保持部17aに係合して、通気部形成片20は突出部17に保持され、その保持状態が維持される。係合部21aは、保持部17aに対して、袋本体2の側縁部をシールする前に予め保持部17aの端面方向から挿入スライドさせて係合させるか、あるいは、保持部17aの先端部に嵌めるようにして係合させてもよい。
通気部形成片20は、保持部17aに保持された状態から、その向きを180°反転させることにより、雄部11と雌部14との間に挟み込み可能である。また、各通気部形成片20は突出部17に保持された状態において、合成樹脂製チャック10の延びる方向にスライド可能である。
【0013】
通気部形成片20は、その基端部21近傍に、薄肉に形成された基端ヒンジ部22を備え、該基端ヒンジ部22を支点として回動可能に形成され、該基端ヒンジ部22を支点として約180°回動反転させることにより、雄部11と雌部14との間に挟み込み可能である。
また、通気部形成片20は、その基端部21と先端部24の中間域に、薄肉に形成された中間ヒンジ部23を備え、該中間ヒンジ部23を支点として回動可能に形成され、該中間ヒンジ部23を支点として、基端ヒンジ部22を支点とする回動方向と反対方向に約180°回動反転させることにより、先端部24が基端部21の近傍に位置して重なるとともに、その状態が保持可能である。本実施例では、この状態を、基端ヒンジ部22に形成した係合凹部21bに、先端部24に形成した係合凸部24bが係合することにより実現している。
通気部形成片20の中間ヒンジ部23よりも先端部24側は、通気部形成片20の中間ヒンジ部23よりも基端部21側に比べて幅(D)が狭く形成されており、かつ、通気部形成片20の中間ヒンジ部23よりも先端部24側の両側縁はテーパー状に形成されている。これらの構成により、通気部形成片20を合成樹脂製チャック10の雄部11と雌部14との間に挟み込んだとき、該部位において通気部を確実に形成させることができる。
【0014】
<使用方法>
図2を参照して袋1の使用方法を例示して説明する。
図2(a)は、商品として流通する状態の袋1を示している。
この状態において、通気部形成片20は、中間ヒンジ部23を支点として基端ヒンジ部22を支点とする回動方向と反対方向に約180°回動反転させることにより、先端部24が基端部21の近傍に位置して重なるとともに、基端部21に形成した係合凹部21bに、先端部24に形成した係合凸部24bが係合して、その状態が保持されている。
袋本体の上端部2aはシール部として形成されており、袋全体は密封状態で封止されている。
【0015】
使用時には、先ず、袋本体2を側縁部2bに形成された引き裂き口2dから引き裂くことにより、上端部(シール部)2aを除去し、袋を開封する。袋本体2に上端開口部が形成される。
次いで、中間ヒンジ部23を支点として、基端ヒンジ部22を支点とする回動方向と反対方向に約180°回動反転させることにより、先端部24が基端部21の近傍に位置して重なった状態の通気部形成片20を、
図2(b)に示すように、中間ヒンジ部23を支点としてまっすぐ直線状に伸ばした状態にする。
そして、合成樹脂製チャック10の雄部11と雌部14の咬合状態を解いて開放する。この時、全長が長い状態となって摘みやすくなっている通気部形成片20を、図の矢印の方向(袋1の上側)に引っ張ることにより、爪部15も引っ張られ、対向する一対の爪部15,16の間が開く力が加わり、合成樹脂製チャック10の雄部11と雌部14の咬合状態を解きやすい。
【0016】
合成樹脂製チャック10を開放したら、通気部形成片20を、まっすぐ直線状に伸ばした状態から、再度、中間ヒンジ部23を支点として、基端ヒンジ部22を支点とする回動方向と反対方向に約180°回動反転させることにより、先端部24が基端部21の近傍に位置して重なった状態へと戻す。
【0017】
次いで、通気部形成片20の基端部21近傍に形成された基端ヒンジ部22を支点として約180°(袋本体の内側方向)に回動反転させ、
図2(c)に示すように、通気部形成片20を合成樹脂製チャック10の雄部11と雌部14との間に挟み込む。そして、この通気部形成片20が挟み込まれた部分以外において、合成樹脂製チャック10の雄部11と雌部14を咬合させる。
これにより、合成樹脂製チャック10による袋の密封状態は、通気部形成片20が挟み込まれた部位のみ解除されて袋の内外を連通する通気部が形成される。
通気部形成片20は複数個あるため、必要に応じ、任意の数の通気部形成片20について、合成樹脂製チャック10の雄部11と雌部14との間に挟み込む。これにより、内容物から発生する香り等の放出量を適宜、調節することができる。すべての通気部形成片20について、合成樹脂製チャック10の雄部11と雌部14との間に挟み込みを解けば、通常の密封状態となり、香りの放出を止めることができる。