特許第5731303号(P5731303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731303
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】発光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20150521BHJP
   F21V 9/08 20060101ALI20150521BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20150521BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150521BHJP
【FI】
   H01L33/00 410
   F21V9/08 200
   F21V19/00 150
   F21V19/00 170
   F21Y101:02
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-155434(P2011-155434)
(22)【出願日】2011年7月14日
(65)【公開番号】特開2013-21248(P2013-21248A)
(43)【公開日】2013年1月31日
【審査請求日】2014年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】前田 真平
(72)【発明者】
【氏名】時田 主
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−040495(JP,A)
【文献】 特開2008−010691(JP,A)
【文献】 特開2004−296792(JP,A)
【文献】 特開2008−124168(JP,A)
【文献】 特開2008−282788(JP,A)
【文献】 特開2011−071354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
F21V 9/00 − 9/16
F21V 19/00 − 19/06
F21S 2/00
F21V 8/00
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する出射面を有する半導体発光素子と、
前記半導体発光素子が搭載された回路基板と、
前記半導体発光素子の前記出射面を覆うように配置され前記半導体発光素子から出射される光の少なくとも一部の波長を変換する蛍光体層と、
前記回路基板上に設けられ前記半導体発光素子と前記蛍光体層を周囲から囲む遮光壁とを備え、
前記蛍光体層が透光性を有する接着用樹脂により前記半導体発光素子と前記遮光壁に接着され、
前記遮光壁の先端部が前記蛍光体層より突出され、
透光性を有する透明樹脂が少なくとも前記遮光壁における先端部の露出面を覆うように塗布され、
前記透明樹脂が前記接着用樹脂と同一の材料にされた
ことを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
前記半導体発光素子が所定の間隔で複数並んで搭載され、
前記蛍光体層が前記複数の半導体発光素子の各出射面をそれぞれ覆うように前記半導体発光素子と同数配置され、
前記遮光壁が前記複数の半導体発光素子と前記複数の蛍光体層とをそれぞれ周囲から囲むように設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記透明樹脂が、前記蛍光体層より突出された前記遮光壁の先端部によって形成された開口部の全体を閉塞するように塗布された
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光モジュールに関する。詳しくは、半導体発光素子と蛍光体層を周囲から囲む遮光壁の先端部に透明樹脂を塗布して配光パターンにおける明瞭なカットラインを形成する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の半導体発光素子を光源として用いた発光モジュールがあり、このような発光モジュールは、例えば、半導体発光素子から出射された光を照明光として照射する車輌用灯具に備えられている。車輌用灯具にあっては、照明光として照射された光によって所定の配光パターンが形成される。
【0003】
このような発光モジュールには、光を出射する複数の半導体発光素子と、半導体発光素子が搭載された回路基板と、半導体発光素子から出射された光の波長を変換する蛍光体層と、半導体発光素子と蛍光体層を周囲から囲む遮光壁とを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載された発光モジュールにあっては、半導体発光素子と蛍光体層を周囲から囲んでいる遮光壁によって各半導体発光素子から出射された光が隣接する半導体発光素子側に入射することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−40495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような発光モジュールにおいて、各半導体発光素子から出射された光の隣接する半導体発光素子側への入射を防止するためには蛍光体層の外面が遮光壁の先端より突出しないようにする必要があるが、発光モジュールの製造工程においては加工精度により各遮光壁の高さ、各半導体発光素子の厚み及び接着剤の厚みにバラツキが生じる可能性がある。従って、蛍光体層の外面が遮光壁の先端より突出しないようにするために、上記したバラツキを考慮した余裕を持たせて遮光壁の先端部が蛍光体層の外面より突出されるように設計されている。
【0007】
上記のような発光モジュールにおいては、半導体発光素子及び蛍光体層から出射された光の一部が遮光壁において反射されて照明光として照射され、光の一部が直接照明光として照射される。このとき、蛍光体層から突出した遮光壁の先端部は蛍光体層から直接照明光として照射される光が無い分だけ先端部以外の部分よりも光量が少なくなる。遮光壁の先端部で反射される光の一部は配光パターンのカットラインを形成する光とされる。
【0008】
特許文献1に記載された発光モジュールにあっては、上記のように、遮光壁の先端部において反射されて照射される光量が遮光壁の先端部以外の部分において照射される光量より少ないため、配光パターンのカットラインが不明瞭となり所望の配光パターンを形成することができないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題点を克服し、配光パターンにおける明瞭なカットラインを形成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発光モジュールは、上記した課題を解決するために、光を出射する出射面を有する半導体発光素子と、前記半導体発光素子が搭載された回路基板と、前記半導体発光素子の前記出射面を覆うように配置され前記半導体発光素子から出射される光の少なくとも一部の波長を変換する蛍光体層と、前記回路基板上に設けられ前記半導体発光素子と前記蛍光体層を周囲から囲む遮光壁とを備え、前記蛍光体層が透光性を有する接着用樹脂により前記半導体発光素子と前記遮光壁に接着され、前記遮光壁の先端部が前記蛍光体層より突出され、透光性を有する透明樹脂が少なくとも前記遮光壁における先端部の露出面を覆うように塗布され、前記透明樹脂が前記接着用樹脂と同一の材料にされたものである。
【0011】
従って、発光モジュールにあっては、半導体発光素子から出射された光の一部が透明樹脂で内面反射されて遮光壁の露出面で反射される。また、接着用樹脂を塗布する工程において透明樹脂を同時に塗布することが可能になるので、発光モジュールを容易に製造することができると共に発光モジュールの製造時間の短縮化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明発光モジュールは、光を出射する出射面を有する半導体発光素子と、前記半導体発光素子が搭載された回路基板と、前記半導体発光素子の前記出射面を覆うように配置され前記半導体発光素子から出射される光の少なくとも一部の波長を変換する蛍光体層と、前記回路基板上に設けられ前記半導体発光素子と前記蛍光体層を周囲から囲む遮光壁とを備え、前記蛍光体層が透光性を有する接着用樹脂により前記半導体発光素子と前記遮光壁に接着され、前記遮光壁の先端部が前記蛍光体層より突出され、透光性を有する透明樹脂が少なくとも前記遮光壁における先端部の露出面を覆うように塗布され、前記透明樹脂が前記接着用樹脂と同一の材料にされたことを特徴とする。
【0013】
従って、透明樹脂で内面反射された光が遮光壁の露出面で反射されて遮光壁の先端部における光の照射量が増加するので、遮光壁の先端部における光の照射量と先端部以外の部分における光の照射量との差が低減され、配光パターンにおける明瞭なカットラインを形成することができる。また、接着用樹脂を塗布する工程において透明樹脂を同時に塗布することが可能になるので、発光モジュールを容易に製造することができると共に発光モジュールの製造時間の短縮化を図ることができる。
【0014】
請求項2に記載した発明にあっては、前記半導体発光素子が所定の間隔で複数並んで搭載され、前記蛍光体層が前記複数の半導体発光素子の各出射面をそれぞれ覆うように前記半導体発光素子と同数配置され、前記遮光壁が前記複数の半導体発光素子と前記複数の蛍光体層とをそれぞれ周囲から囲むように設けられている。
【0015】
従って、複数の半導体発光素子から出射された場合の配光パターンにおける発光強度を均一化することができると共に明瞭なカットラインを形成することができる。
【0016】
請求項3に記載した発明にあっては、前記透明樹脂が、前記蛍光体層より突出された前記遮光壁の先端部によって形成された開口部の全体を閉塞するように塗布されている。
【0017】
従って、透明樹脂で内面反射されて遮光壁の露出面で反射される光が増加するので、遮光壁の先端部における光の照射量と先端部以外の部分における光の照射量が均一になり、配光パターンにおける一層明瞭なカットラインを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明発光モジュールを実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0021】
以下に示した最良の形態は、本発明発光モジュールを車輌用前照灯に設けられた発光モジュールに適用したものである。なお、本発明発光モジュールの適用範囲は車輌用前照灯に設けられた発光モジュールに限られることはなく、本発明は車輌用前照灯以外の各種の車輌用灯具に設けられた発光モジュールにおいても広く適用することができる。
【0022】
車輌用前照灯1は、車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0023】
車輌用前照灯1は、図1に示すように、前方に開口する凹状に形成されたランプハウジング2とランプハウジング2の開口面を閉塞するカバー3とを備え、ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成されている。灯具外筐4の内部空間は灯室5として形成されている。
【0024】
灯室5にはランプユニット6が配置されている。ランプユニット6はブラケット7と発光モジュール8とリフレクター9とレンズホルダー10と投影レンズ11を有している。
【0025】
ブラケット7は、例えば、熱伝導性が高い金属材料によって形成され、前面が取付面7aとして形成されている。ブラケット7の後面には後方へ突出された放熱フィン7b、7b、・・・(図1に一つのみ示す。)が設けられている。
【0026】
ブラケット7に設けられた放熱フィン7b、7b、・・・の後面にはファン12が取り付けられている。放熱フィン7b、7b、・・・及びファン12によって発光モジュール8の駆動時に発生する熱が放出される。
【0027】
発光モジュール8は、図2に示すように、光を出射する半導体発光素子13、13、・・・と、半導体発光素子13、13、・・・が搭載された回路基板14と、半導体発光素子13、13、・・・から出射される光の少なくとも一部の波長をそれぞれ変換する蛍光体層15、15、・・・と、回路基板14上に設けられた遮光壁16、16、・・・とを有している。
【0028】
半導体発光素子13、13、・・・は、前面が光を出射する出射面13a、13a、・・・とされ、後面が回路基板14に搭載される面とされている。半導体発光素子13、13、・・・は所定の間隔で左右方向に並んで設けられている。半導体発光素子13、13、・・・としては、例えば、青色の波長の光を発光する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられる。
【0029】
回路基板14はブラケット7の取付面7aの中央部に取り付けられている(図1参照)。
【0030】
半導体発光素子13、13、・・・はそれぞれ接続端子17、17、・・・を介して回路基板14に形成された図示しない回路パターンに接続されている。半導体発光素子13、13、・・・は図示しない電源回路からそれぞれ供給される駆動電圧により各別に発光可能とされている。
【0031】
蛍光体層15、15、・・・は、例えば、セラミックやガラス等の材料により形成され、半導体発光素子13、13、・・・の出射面13a、13a、・・・を覆うように配置されている。蛍光体層15は前方へ行くに従って外形が大きくなる四角錐台状に形成され、外面が前面15aと後面15bと前方へ行くに従って外側に変位するように傾斜された四つの側面15c、15c、・・・とによって構成されている。後面15bは半導体発光素子13の出射面13aと略同じ大きさにされ、前面15aは後面15bより大きくされている。蛍光体層15、15、・・・としては、例えば、青色の波長の光により励起されて黄色の波長の光を発光する黄色蛍光体を有するものが用いられる。
【0032】
発光モジュール8においては、半導体発光素子13、13、・・・から出射された青色の光と蛍光体層15、15、・・・から発光された黄色の光が混合されて白色の光が発光される。
【0033】
遮光壁16、16、・・・はそれぞれ回路基板14上から前方へ突出され、半導体発光素子13、13、・・・と蛍光体層15、15、・・・とをそれぞれ上下左右から囲むように設けられている。遮光壁16、16、・・・は、例えば、左右方向又は上下方向に延びる五角柱状に形成されている。
【0034】
遮光壁16は、回路基板14の前面に連続し上下方向又は左右方向を向く直立部18と、直立部18の前端から前方へ行くに従って両面(外面)が互いに接近するように傾斜された傾斜部19とから成る。傾斜部19は外面が傾斜面20、20として形成され、先端部(前端部)21の前端が頂部21aとされている。傾斜面20、20は蛍光体層15、15の側面15c、15cにそれぞれ沿う角度で傾斜されている。
【0035】
なお、遮光壁16、16、・・・における半導体発光素子13、13、・・・と蛍光体層15、15、・・・を囲まない外周面は、図2に示すように、傾斜面を有することなく、それぞれ上下左右を向くようにされていてもよい。
【0036】
半導体発光素子13は四つの遮光壁16、16、・・・の直立部18、18、・・・によって周囲から囲まれ、蛍光体層15は四つの遮光壁16、16、・・・の傾斜部19、19、・・・によって周囲から囲まれている。蛍光体層15の四つの側面15c、15c、・・・と周囲から囲んでいる四つの傾斜面20、20、・・・はそれぞれ対向した状態とされている。傾斜部19、19、・・・は先端部21、21、・・・が蛍光体層15の前面15aより前方に位置されている。傾斜面20、20、・・・のうち先端部21、21、・・・の外面は露出面20a、20a、・・・とされ、傾斜面20、20、・・・のうち先端部21、21、・・・以外の面は囲み面20b、20b、・・・とされている。従って、蛍光体層15は四つの囲み面20b、20b、・・・によって周囲から囲まれている。
【0037】
発光モジュール8には、それぞれ四つずつの先端部21、21、・・・によって囲まれた部分が蛍光体層15、15、・・・の前側に位置する開口部22、22、・・・として形成されている。
【0038】
蛍光体層15は、後面15bが半導体発光素子13の出射面13aに接着用樹脂23によって接着され、四つの側面15c、15c、・・・がそれぞれ遮光壁16、16、・・・の四つの囲み面20b、20b、・・・に接着用樹脂23によって接着されている。接着用樹脂23は蛍光体層15と半導体発光素子13の間の厚み及び蛍光体層15と遮光壁16、16、・・・の間の厚みが略均一で薄くされている。従って、蛍光体層15の側面15c、15c、・・・と遮光壁16、16、・・・の囲み面20b、20b、・・・は近接して位置されている。
【0039】
接着用樹脂23は透光性を有し、接着用樹脂23としては、例えば、シリコン系の材料が用いられる。
【0040】
蛍光体層15の前面15a及び四つの遮光壁16、16、・・・の露出面20a、20a、・・・を覆うように透明樹脂24が塗布されている。即ち、透明樹脂24は開口部22の全体を閉塞するように塗布されている。透明樹脂24は略均一に塗布され、前面24aが四つの先端部21、21、・・・の頂部21a、21a、・・・により形成される平面と同一平面上に位置されている。
【0041】
透明樹脂24は透光性を有し、透明樹脂24としては、接着用樹脂23と同一の材料が用いられる。
【0043】
リフレクター9は発光モジュール8の上側に配置された上側リフレクター25と発光モジュール8の下側に配置された下側リフレクター26とから成る(図1参照)。上側リフレクター25と下側リフレクター26はそれぞれ発光モジュール8側に位置し略下方を向く面と略上方を向く面を有し、これらの各面がそれぞれ反射面25a、26aとして形成されている。リフレクター9は発光モジュール8から出射された光を投影レンズ11へ向けて反射する機能を有している。
【0044】
レンズホルダー10はブラケット7の取付面7aに取り付けられ、略前後方向に貫通した環状に形成され、発光モジュール8を覆うように設けられている。
【0045】
投影レンズ11はレンズホルダー10の前端部に取り付けられ、レンズホルダー10によって発光モジュール8の前方において保持されている。投影レンズ11は発光モジュール8から出射された光を前方へ投影する機能を有している。
【0046】
ランプユニット6はランプハウジング2に光軸調整機構27によって傾動自在に支持されている。光軸調整機構27はエイミングスクリュー28、28とレベリングアクチュエーター29を有している。
【0047】
エイミングスクリュー28、28(図1に一つのみ示す。)は左右に離隔して位置されそれぞれブラケット7の上端部とランプハウジング2の上端部とを連結している。エイミングスクリュー28が回転されることによりランプユニット6が略上下方向又は略左右方向に傾動され、ランプユニット6のエイミング調整が行われる。
【0048】
レベリングアクチュエーター29はブラケット7の下端部とランプハウジング2の下端部とを連結している。レベリングアクチュエーター29の駆動力によりランプユニット6が略上下方向へ傾動され、ランプユニット6のレベリング調整が行われる。
【0049】
上記のように構成された車輌用前照灯1においては、電源回路から発光モジュール8の半導体発光素子13、13、・・・に対して各別に駆動電圧の印加が行われるようにされており、駆動電圧が印加された所定の半導体発光素子13、13、・・・の出射面13a、13a、・・・から光が出射される。
【0050】
半導体発光素子13、13、・・・から光が出射されると、光の一部が接着用樹脂23、23、・・・、蛍光体層15、15、・・・及び透明樹脂24、24、・・・を透過して前方へ出射される。
【0051】
また、半導体発光素子13、13、・・・から光が出射されたときには、光の別の一部が接着用樹脂23を透過した後に蛍光体層15の前面15a又は透明樹脂24の前面24aで内面反射される。前面15a又は前面24aで内面反射された光は、その一部が遮光壁16、16、・・・の囲み面20b、20b、・・・の全面で反射されて前方へ出射される。
【0052】
また、前面24aで内面反射された光の一部は、図3に示すように、透明樹脂24を導かれ遮光壁16、16、・・・の露出面20a、20a、・・・の全面で反射されて前方へ出射される(光路L)。露出面20a、20a、・・・で反射されて前方へ出射される光の一部は配光パターンのカットラインを形成する光とされる。
【0053】
発光モジュール8から出射された光はリフレクター9で反射され又はリフレクター9を介さずに投影レンズ11へ向かい、投影レンズ11によって前方へ照射されて所望の配光パターンを形成する。
【0054】
発光モジュール8にあっては、上記したように、蛍光体層15の前側に透明樹脂24が塗布されており、透明樹脂24の前面24aで内面反射が生じる。
【0055】
従って、半導体発光素子13、13、・・・から出射され透明樹脂24の前面24aで内面反射された光が遮光壁16、16、・・・の露出面20a、20a、・・・で反射されるので、遮光壁16、16、・・・の先端部21、21、・・・において照射される光量が増加し、先端部21、21、・・・における光の照射量と先端部21、21、・・・以外の部分における光の照射量とが略均一になる。
【0056】
なお、上記には、透明樹脂24が遮光壁16、16、・・・の先端部21、21、・・・によって形成された開口部22の全体を閉塞するように塗布された例を示したが、透明樹脂24は、その内面で反射された光が露出面20a、20a、・・・の全面に向かう状態とされれば、開口部22の一部を閉塞するように塗布されていてもよい。
【0057】
例えば、透明樹脂24が露出面20a、20a、・・・を覆うように開口部22の外周部のみに塗布されていてもよい(図4参照)。このように開口部22の外周部のみに透明樹脂24が塗布された場合にも、透明樹脂24が開口部22の全体を閉塞するように塗布された場合と同様に、透明樹脂24の外面24bで内面反射が生じるため、光の一部が露出面20a、20a、・・・の全面で反射されて前方へ出射される。従って、遮光壁16、16、・・・の先端部21、21、・・・における光の照射量が増加し、先端部21、21、・・・における光の照射量と先端部21、21、・・・以外の部分における光の照射量との差が低減される。
【0058】
透明樹脂24が開口部22の外周部のみに塗布された場合には、透明樹脂24の使用量を削減して製造コストを低減した上で先端部21、21、・・・における光の照射量と先端部21、21、・・・以外の部分における光の照射量との均一性を確保することができる。
【0059】
また、上記には、発光モジュール8が複数の半導体発光素子13、13、・・・と複数の蛍光体層15、15、・・・とを有している例を示したが、発光モジュール8は一つの半導体発光素子13と一つの蛍光体層15が複数の遮光壁16、16、・・・によって周囲から囲まれた構成とされていてもよい。
【0060】
以上に記載した通り、発光モジュール8にあっては、半導体発光素子13から出射され透明樹脂24の前面24a又は外面24bで内面反射された光の一部が遮光壁16、16、・・・の露出面20a、20a、・・・で反射され、前方へ照射されて配光パターンが形成される。
【0061】
従って、遮光壁16、16、・・・の先端部21、21、・・・における光の照射量が増加するので、先端部21、21、・・・における光の照射量と先端部21、21、・・・以外の部分における光の照射量との差が低減され、配光パターンにおける明瞭なカットラインを形成することができる。
【0062】
また、発光モジュール8にあっては、遮光壁16、16、・・・が複数の半導体発光素子13、13、・・・と複数の蛍光体層15、15、・・・とをそれぞれ周囲から囲むように設けられている。
【0063】
従って、各半導体発光素子13、13、・・・から出射され内面反射された光が各遮光壁16、16、・・・の各露出面20a、20a、・・・で反射され、先端部21、21、・・・における光の照射量と先端部21、21、・・・以外の部分における光の照射量との差が低減されるので、複数の半導体発光素子13、13、・・・から出射された場合の配光パターンにおける発光強度を均一化することができると共に明瞭なカットラインを形成することができる。
【0064】
さらに、発光モジュール8にあっては、透明樹脂24が遮光壁16、16、・・・の先端部21、21、・・・によって形成された開口部22の全体を閉塞するように塗布されている。
【0065】
従って、透明樹脂24における光の内面反射の領域が大きく透明樹脂24の前面24aで内面反射された光の一部が露出面20a、20a、・・・に向かうので、露出面20a、20a、・・・で反射される光が増加し先端部21、21、・・・における光の照射量と先端部21、21、・・・以外の部分における光の照射量とが均一になり、配光パターンにおける一層明瞭なカットラインを形成することができる。
【0066】
さらにまた、発光モジュール8にあっては、透明樹脂24が接着用樹脂23と同一の材料にされている。
【0067】
従って、接着用樹脂23を塗布する工程において透明樹脂24を同時に塗布することが可能となるので、発光モジュール8を容易に製造することができると共に発光モジュール8の製造時間の短縮化を図ることができる。
【0068】
上記した最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図2乃至図4と共に本発明の最良の形態を示すものであり、本図は車輌用前照灯の概略縦断面図である。
図2】発光モジュールの拡大断面図である。
図3】半導体発光素子から出射された光の経路を示す概念図である。
図4】透明樹脂が開口部の一部に塗布された発光モジュールの例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0070】
8…発光モジュール、13…半導体発光素子、13a…出射面、14…回路基板、15…蛍光体層、16…遮光壁、20a…露出面、21…先端部、22…開口部、23…接着用樹脂、24…透明樹脂
図1
図2
図3
図4