(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731375
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】サンドイッチ部品の周囲領域を処理する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B05D 7/00 20060101AFI20150521BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20150521BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20150521BHJP
B05C 1/02 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
B05D7/00 N
B05D1/28
B05D7/24 301S
B05C1/02 103
【請求項の数】28
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-509925(P2011-509925)
(86)(22)【出願日】2009年5月12日
(65)【公表番号】特表2011-523588(P2011-523588A)
(43)【公表日】2011年8月18日
(86)【国際出願番号】EP2009055694
(87)【国際公開番号】WO2009141243
(87)【国際公開日】20091126
【審査請求日】2012年2月8日
(31)【優先権主張番号】08156834.7
(32)【優先日】2008年5月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】バグン,ヨルゴラフ
(72)【発明者】
【氏名】ディットマーズ,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】クライン,ヨルグ
【審査官】
中尾 奈穂子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−131817(JP,A)
【文献】
実開平04−061664(JP,U)
【文献】
特開平05−023625(JP,A)
【文献】
実開平02−004667(JP,U)
【文献】
実開平05−049068(JP,U)
【文献】
特開昭53−134040(JP,A)
【文献】
特開2002−045782(JP,A)
【文献】
特表2008−511478(JP,A)
【文献】
実開昭59−131485(JP,U)
【文献】
特開昭54−057464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00− 7/26
B05C 1/00− 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの離間したコーティング層と、その2つの離間したコーティング層の間に配置され複数のキャビティを有するコア構造とを具備するサンドイッチ部品の前記コア構造が露出する縁部領域の一の面に熱可塑性材料を塗布して硬化させる処理方法であって、
前記処理方法は、
前記サンドイッチ部品の前記縁部領域の前記一の面に接触しながら移動するベルトの上に、そのベルトの幅の方向に塗布幅を調節可能な塗布手段によって、前記コア構造の前記縁部領域の幅に合わせて前記塗布幅を調節して熱可塑性材料を吐出し、吐出された前記熱可塑性材料の厚さを前記ベルトの上で所定の厚さに均一化する吐出工程と、
前記熱可塑性材料を有する前記ベルトの面を前記サンドイッチ部品の前記縁部領域の前記一の面に接触させ、前記サンドイッチ部品を前記ベルトとともに移動させ、前記ベルトに吐出された前記熱可塑性材料を前記サンドウィッチ部品の前記縁部領域の前記一の面上に塗布し、前記サンドウィッチ部品が前記ベルトと接触している間に前記ベルトを所定の温度まで冷却する塗布工程とを、
備える処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記所定の厚さは、前記塗布した熱可塑性材料が、その硬化後に、前記コア構造の前記キャビティを前記コア構造の外部に対して閉鎖および/または封止する外周コーティング層として形成されるような量に対応する方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、さらに、
前記塗布工程は、前記2つの離間したコーティング層の周面と実質的に整合するように、前記縁部領域の一の面上に前記熱可塑性材料を塗布することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記塗布工程は、前記縁部領域の前記一の面の前記コア構造の領域内へ塗布する層よりも薄く、前記2つの離間したコーティング層の前記周面に、前記熱可塑性材料を塗布することを含む方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法であって、
前記熱可塑性材料を、前記縁部領域の前記コア構造が前記硬化した熱可塑性材料内に少なくとも部分的に埋まるような量で前記縁部領域の前記一の面上へ塗布し、前記キャビティ内へ浸透させる方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記熱可塑性材料の所定の厚さは、2ミリメートルから4ミリメートルの範囲の厚さである方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記熱可塑性材料は、ホットメルト接着剤、エチレン酢酸ビニルホットメルト接着剤、ワックス、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタンまたはポリオレフィンである方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法であって、
前記コア構造は、ハニカム構造または発泡構造である方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記塗布手段は、ローラーディスペンサーであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記塗布手段は、スロットノズルであることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記スロットの出口開口は、動作中に実質的に、前記ベルトの幅の方向へ延びることが可能である方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法であって、
前記サンドイッチ部品の前記縁部領域は、前記一の面と平行な他の面を備え、
前記ベルトと平行に移動する他のベルトと、その他のベルトへ熱可塑性材料を吐出してその厚さを均一化する他の塗布手段を配置し、
前記ベルトにより前記吐出工程と前記塗布工程が実行される際に、前記他の面に対して前記他のベルトにより前記吐出工程と前記塗布工程とを同時に実行する方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記塗布手段の塗布幅と前記他の塗布手段の塗布幅は、それぞれ変更できる方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の方法であって、
前記ベルトおよび前記他のベルトは、無端状のベルトであることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記ベルトおよび前記他のベルトは金属薄板から作られることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記金属薄板は固着防止コーティングを有することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14から15のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ベルトおよび前記他のベルトを温度調節するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13から17のいずれか一項に記載の方法であって、
前記冷却は、前記他のベルトを冷却機器によって冷却することで実行する方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の方法であって、
前記所定の温度は140℃から190℃の範囲であることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ベルトが前記サンドイッチ部品と接触する持続時間は、3秒から4秒であることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項15から20のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ベルトは、100ミリメートルから700ミリメートルの範囲で前記サンドイッチ部品と接触する方法。
【請求項22】
2つの離間したコーティング層と、その2つの離間したコーティング層の間に配置され複数のキャビティを有するコア構造とを具備するサンドイッチ部品の前記コア構造が露出する縁部領域の一の面に熱可塑性材料を塗布して硬化させる処理機器であって、
前記サンドイッチ部品を移動する搬送手段と、
前記熱可塑性材料を吐出するための塗布手段と、
前記サンドイッチ部品の前記縁部領域の前記一の面に接触しながら移動するベルトであって、前記塗布手段から吐出された前記熱可塑性材料を前記サンドウィッチ部品の前記縁部領域の前記一の面に塗布するベルトと、
前記ベルトに隣接して配置される冷却機器とを有し、
前記塗布手段は、前記ベルトの上に、そのベルトの幅の方向に塗布幅を調節可能な塗布手段によって、前記コア構造の前記縁部領域の幅に合わせて前記塗布幅を調節して熱可塑性材料を吐出し、吐出された前記熱可塑性材料の厚さを前記ベルトの上で所定の厚さに均一化し、
前記ベルトは、前記熱可塑性材料を有する前記ベルトの面を前記サンドイッチ部品の前記縁部領域の前記一の面に接触させ、前記サンドイッチ部品を前記ベルトとともに移動させ、前記ベルトに吐出された前記熱可塑性材料を前記サンドウィッチ部品の前記縁部領域の前記一の面上に塗布し、
前記冷却装置は、前記ベルトが前記縁部領域の前記一の面に接触した後に前記ベルトを所定の温度まで冷却し、前記ベルトは、前記所定の温度まで冷却されるまでの間、前記一の面に接触している処理機器。
【請求項23】
請求項22に記載の機器であって、
前記ベルトは無端状のベルトである処理機器。
【請求項24】
請求項22に記載の機器であって、
前記塗布手段は、ローラーディスペンサーまたはスロットノズルである処理機器。
【請求項25】
請求項22から24のいずれか一項に記載の機器であって、
前記塗布手段と、前記サンドイッチ部品が移動する経路と、の距離は、調節可能である処理機器。
【請求項26】
請求項22から25のいずれか一項に記載の機器であって、その機器は、
前記サンドイッチ部品の前記縁部領域は、前記一の面と平行な他の面と、
前記ベルトと平行に移動する他のベルトであって、前記ベルトと前記他のベルト距離は、前記サンドイッチ部品の前記一の面と前記他の面との距離である前記他のベルトと、
前記他のベルトに隣接して配置される他の冷却機器と、
記他のベルトに熱可塑性材料を吐出する他の塗布装置とを有し、
前記他のベルトは、吐出された前記熱可塑性材料を有する面を前記サンドイッチ部品の前記縁部領域の前記他の面に接触して前記サンドイッチ部品を前記ベルトとともに移動し、前記他のベルトに吐出された前記熱可塑性材料を前記サンドウィッチ部品の前記縁部領域の他の面上の前記コア構造の領域にのみ塗布し、
前記他の冷却装置は、前記他のベルトが前記縁部領域の前記他の面に接触した後に前記他のベルトを所定の温度まで冷却し、
前記他のベルトは、前記所定の温度まで冷却されるまでの間、前記他の面に接触するようになっている処理機器。
【請求項27】
請求項22から26のいずれか一項に記載の機器であって、
前記ベルトと前記他のベルトとの間の距離は調節可能であることを特徴とする処理機器。
【請求項28】
請求項22から27のいずれか一項に記載の機器であって、
前記ベルトは、100ミリメートルから700ミリメートルの範囲で前記サンドイッチ部品と接触する処理機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンドイッチ部品、特に、ハニカム構造と、2つの離間したコーティング層と、複数のキャビティを有するコア構造とを有するサンドイッチ部品の周囲領域を処理する方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、サンドイッチ部品の周囲領域を処理し、特に、処理されるサンドイッチ部品を運搬する搬送手段を備える、上記請求項のいずれかに記載の方法を行う機器に関する。
【背景技術】
【0003】
サンドイッチ部品は周知であり、異なる技術分野及び産業において部材として使用されている。サンドイッチ部品は、比較的軽量であるのと同時に比較的高強度である。そのようなサンドイッチ部品の例が、ハニカム構造を有する種類のものである。通常、サンドイッチ部品は、2つの離間した外側コーティング層によって覆われ、ハニカム等のコア構造を備える。そのようなサンドイッチ部品は、例えば自動車産業若しくは航空機産業において構造要素として、又は家具産業において例えばテーブル、棚、ドア又は他の製品を製造するためのワークとして使用することができる。
【0004】
従来技術では、多くの場合、サンドイッチ部品を、この特定の使用及び用途にとって好適なものとするために調整することが必要である。例えば、家具産業における多くの用途の場合、サンドイッチ部品の周囲領域を調整及び処理することが望ましい。コア構造内の周囲領域にあるキャビティを覆うには、いわゆる支持縁部を接着剤によって周囲領域に結合する。支持縁部を周囲領域に接着する前に、フライス盤又は他の工具によってコア構造の周囲領域をフライス削りする必要がある。コア構造は、支持縁部の厚さに相当する深さだけフライス削りされる。支持縁部は例えば木製である。フライス削りするステップ後、接着剤をフライス削りした領域へ塗布し、支持縁部をこのフライス削りした領域に圧入する。
【0005】
フライス削りした後で支持縁部を周囲領域に接着するというこの周知の方法は極めて複雑である。フライス削りするステップは、費用がかかり、複雑な機械を必要とする。支持縁部は、サンドイッチ部品の特定の寸法に調整する必要があり、これによって、この方法(this matter)がさらにより複雑になる。支持縁部をサンドイッチ部品へ取り付けた後で、装飾縁部を支持縁部へさらに取り付ける必要があり、これによって、サンドイッチ部品の調整がさらにより複雑かつ費用のかかるものとなる。さらに、様々な幅及び厚さの様々な装飾縁部を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より単純かつあまり複雑ではない、サンドイッチ部品の周囲領域を処理する方法及び装置を提供する必要がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、サンドイッチ部品、特に、2つの離間したコーティング層と、複数のキャビティを有するコア構造とを有するハニカム構造を有するサンドイッチ部品の周囲領域を処理する方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1に記載の特徴を有する方法を提供することによって、特に、液体熱可塑性材料がサンドイッチ部品のコア構造のキャビティへ浸透するように、サンドイッチ部品の周囲領域上へ熱可塑性材料の層を塗布するステップと、塗布した熱可塑性材料を硬化するステップとによって上記問題を解決する。
【0009】
本発明はさらに、サンドイッチ部品の対向する周囲領域へ熱可塑性材料を分配吐出するために搬送手段に隣接して配置される2つの分配吐出装置を特徴とする請求項23に記載の特徴を有する機器であって、塗布機器はそれぞれ、熱可塑性材料を材料分配吐出機器から受け取って該材料をサンドイッチ部品の周囲領域へ移送する移送機器を有する機器を提供することによって上記問題を解決する。
【0010】
液体熱可塑性材料の層を周囲領域上へ塗布することによって、熱可塑性材料がコア構造内のキャビティ又は空隙へ浸透する。キャビティは、熱可塑性材料によって少なくとも部分的に閉鎖される。次いで熱可塑性材料を硬化する。その結果として、周囲領域の縁部に硬質又は硬い熱可塑性材料の層が生じる。その結果、サンドイッチ部品はさらに加工する準備が整う。特に、サンドイッチ部品は、所望であれば装飾縁部を施す準備が整う。本発明は、フライス削りすること、及び支持縁部をこのフライス削りした領域に押し入れて接着剤材料によって結合することによる、縁部領域の複雑な調整を回避する。本発明の結果、サンドイッチ部品の処理がはるかに簡単になる。熱可塑性材料をキャビティへ圧入することによって、ハニカム構造は硬化されてより高い強度を有する。非常に滑らかで平らな表面が得られるように、全ての開放コアを閉鎖することができる。開放コアのキャビティ又は空隙は、熱可塑性材料で閉鎖することができるが、完全に充填しなくてもよい。これらのコアの空隙又はキャビティが熱可塑性材料で部分的に充填されれば十分である。
【0011】
さらに、塗布されて硬化される熱可塑性材料の結果、サンドイッチ部品の周囲領域がさらに構造的に支持され、したがって周囲領域を閉鎖するか又は封止するだけではなく、より高い強度及び改善された機械的特性も提供される。
【0012】
本発明を用いて、特に、家具産業において使用するための、特に家具の仕上げ板に使用するためのサンドイッチ部品を作製することができる。さらに、一例として、本発明を、木製及び/又は紙製の構造から作られるサンドイッチ部品の製造及び処理に適用することができる。例えば、ハニカムコア構造は紙製であり得る。熱可塑性材料をそのようなハニカム構造の空隙に塗布することによって、空隙が少なくとも部分的に充填及び/又は閉鎖され、結果として適切な平らな表面及びさらなる機械的強度が得られる。
【0013】
本方法の好ましい実施の形態によると、熱可塑性材料を、コア構造のキャビティを外部に対して閉鎖及び/又は封止する実質的に閉鎖された外周コーティング層が、塗布した熱可塑性材料の外面の領域に硬化後に形成されるような量で、周囲領域上へ塗布する。実質的に閉鎖されたコーティング層を形成することによって、コア構造が完全に封止され、したがって装飾縁部を取り付ける準備が全て整う。滑らかで平らな表面は、接着剤材料の封止層によって生成される。
【0014】
好ましくは、熱可塑性材料を、コーティング層の周面と実質的に整合するように周囲領域上へ塗布する。整合後、さらなる装飾縁部を予め処理した縁部領域へ簡単に取り付けることができる。
【0015】
さらに好ましい実施の形態では、熱可塑性材料を、サンドイッチ部品の周囲領域上の、実質的にコア構造の領域へのみ塗布する。このように最小量の材料を塗布し、部品の外形寸法を、熱可塑性材料の塗布によって変化させない。
【0016】
別の代替的な実施の形態では、熱可塑性材料を、コーティング層の周囲領域及びコア構造の周囲領域上へ塗布する。完全にコーティングされた縁部領域が達成される。
【0017】
別の実施の形態によると、熱可塑性材料を、コーティング層の周囲領域に、コア構造の周囲領域よりも薄い層で塗布する。
【0018】
熱可塑性材料を、周囲領域のコア構造が硬化した熱可塑性材料内に埋まるような量でコア構造の周囲領域上へ塗布し、キャビティ内へ浸透させることがさらに好ましい。部品の、特にコア構造内の強度及び硬さは、コア構造を熱可塑性材料内に埋めることによって強化される。
【0019】
さらなる実施の形態によると、熱可塑性材料を、0.01ミリメートルから40ミリメートルの範囲、好ましくは2ミリメートルから4ミリメートルの範囲の厚さを有する外周コーティング層が硬化した状態で形成されるような量で塗布する。
【0020】
代替的な実施の形態によると、熱可塑性材料は、ホットメルト接着剤、エチレン酢酸ビニルホットメルト接着剤、ワックス、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン又はポリオレフィンである。
【0021】
本発明の利点は、特にコア構造がハニカム構造又は発泡構造として具現される実施の形態に当てはまる。
【0022】
好ましくは、熱可塑性材料を、スロットノズル機構の手段又はローラーディスペンサー装置の手段によって塗布する。スロットノズル機構は、幅を調節可能なスロットノズルを有するのが好ましい。接着剤材料の層の幅は、サンドイッチ部品の幅に合わせて容易に調節することができる。この調節は、スロットノズルの幅をストッパ部材によって一方の側で変更することができ、また、スロットノズル全体を直線状に変位させて固定することができるという点でさらに発展されている。
【0023】
さらなる実施の形態によると、スロットの出口開口が、動作中に実質的に垂直な方向に延びる。これによって、サンドイッチ部品を水平の向きにして簡単に運搬することが可能となり、熱可塑性材料は運搬経路の対向する側から塗布される。
【0024】
好ましくは、移送機器は、ベルト、レール又はバンドの形態である移送要素を備え、該移送要素は、その上に熱可塑性材料が塗布され、サンドイッチ部品の周囲領域と接触させることができる。
【0025】
特に、移送機器が無端循環ベルトを有し、熱可塑性材料を無端ベルトそれぞれに塗布することができることが好ましく、上記無端ベルトは、サンドイッチ部品の周囲領域と接触することによって熱可塑性材料を周囲領域のそれぞれに塗布することができるように、サンドイッチ部品の移動経路に隣接して配置される。
【0026】
さらに好ましい実施の形態では、移送機器を温度調節するステップが示唆される。
【0027】
好ましい実施の形態では、熱可塑性材料を、無端循環ベルトによってサンドイッチ部品の周囲領域上へ塗布する。無端循環ベルト又は有端循環ベルトによって、層を連続的なプロセスで簡単に塗布することが可能となる。無端ベルトは、ホットメルト熱可塑性材料が瞬時に冷却されてベルトに接着しないという特徴を有する金属薄板から作られるのが好ましい。必要であれば、金属薄板は固着防止コーティングを有する。
【0028】
無端ベルトが冷却機器によって冷却される場合、プロセスをさらに向上させることができる。接着剤材料の硬化は、冷却機器によって促進及び制御することができる。
【0029】
好ましくは、熱可塑性材料を、無端ベルトと接触している間に所与の温度まで冷却することができるように、冷却機器を制御することができる。温度が90℃から250℃の範囲である場合、かつ/又は無端ベルトがサンドイッチ部品と接触する持続時間が1秒から10秒の範囲、好ましくは3秒から4秒である場合、かつ/又は無端ベルトがサンドイッチ部品と接触するときの接触長さが50ミリメートルから1000ミリメートルの範囲である場合に、有益な結果が得られる。したがって、本発明は、本方法及び機器を、本方法及び機器のパラメーター並びに温度、特に熱可塑性材料、好ましくは熱可塑性接着剤材料の塗布温度に応じて制御及び調節することを可能にする。本方法及び装置は、全てのこれらのパラメーターに応じて上述の温度値、接触時間及び接触長さを達成するために制御することができる。
【0030】
請求項23に記載の装置によると、サンドイッチ部品は、両方の縁部領域が同時に予め処理されるため、その後、熱可塑性材料の層を塗布した後で、装飾縁部の取り付けのようなさらなる処理を行うことができる。
【0031】
好ましい実施の形態によると、各分配吐出装置は、無端ベルト又は他の移送機器に隣接するスロットノズル機構又はローラー分配吐出装置を有する。移動経路からの分配吐出装置の距離が調節可能であれば、ワークのサイズに簡単に適合することができる。一方法によると、無端ベルトを冷却するために無端ベルト又は他の移送機器に隣接して配置される冷却機器を提供することが好ましい。
【0032】
添付の図面を参照して示される装置及び方法の好ましい実施形態を参照して本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】サンドイッチ部品の周囲領域を処理する機器の斜視図である。
【
図4】ハニカムコアを有するサンドイッチ部品の一例の斜視図及び拡大断面図である。
【
図5】サンドイッチ部品の周囲領域を処理する方法によって処理される該部品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1において分かるように、本発明によるサンドイッチ部品の周囲領域を処理する装置又は機器1は、処理されるサンドイッチ部品を運搬する搬送手段2を備える。搬送手段2は、コンベヤベルト(図示せず)と、サンドイッチ部品3を、矢印4によって示す直線状の移動経路において水平に運搬することができるようにコンベヤベルトを移動させる複数のローラー及び駆動手段とを備える。装置1は、搬送手段2等の全ての構成要素を制御する制御機器(図示せず)を備える。
【0035】
2つの分配吐出機器6、8が搬送手段2に隣接して配置され、サンドイッチ部品が塗布機器6、8に沿って移動するにつれて熱可塑性材料を該部品の対向する周囲領域上に分配吐出するようにする。各分配吐出機器6、8は、熱可塑性材料をサンドイッチ部品へ移送する移送機器を含み、該移送機器は、図示の実施形態では無端循環ベルト10を有する。各無端循環ベルト10は、ローラー12、14、16によって案内され、各ローラーは垂直方向の回転軸を有する。ローラー12、14、16は、無端ベルト10が所望の張力を有するように調節することができる。ローラー12、14、16の少なくとも1つは、駆動手段、好ましくは電動モーターによって駆動され、ベルト10の速度をサンドイッチ部品3の速度に合わせて変えると共に調節することができるように、制御機器によって制御される。ベルト10の移動方向は、部品の対向する周囲領域18、20に対して平行に位置決めされるベルト10のセクションが部品3と同じ方向4へ移動するようなものである。
【0036】
また
図1及び
図2から分かるように、各塗布機器6、8は、スロットノズル機構22、24を備える。スロットノズル機構22、24は、液体熱可塑性材料を提供する溶融器又はバルク溶融器等の熱可塑性材料源に接続される。そのようなスロットノズル機構22、24は、塗布ヘッドとも称され、材料の流れ及び塗布を制御するために弁機構(図示せず)を備える。スロットノズルは、例えばノードソン社のスロットノズルEB 60Vであり得る。
【0037】
図3に示されているように、各スロットノズル機構22、24はスロット形出口チャネル26を有し、これを通して液体材料が塗布される。塗布される熱可塑性樹脂は各無端ベルト10へ塗布することができる。上記無端ベルト10はサンドイッチ部品3の移動経路に隣接して配置されているため、熱可塑性材料を、サンドイッチ部品の周囲領域と接触する無端ベルトによってそれぞれの周囲領域18、20上へ塗布することができる。熱可塑性材料は、ベルト10の外周に載ったまま矢印30の方向に沿って移動し、接触部分32において、部品3の外周18と接触する。
【0038】
図1及び
図2に示されるように、分配吐出装置の移動経路からの距離は調節可能である。ローラー12、14、16及びスロットノズル機構22、24は、プレートの形態を有する取り付け構造34、36へ取り付けられる。この取り付け構造34、36は、部品3の移動経路に対して様々な位置及び様々な距離で調節することができる。このために、取り付け構造34及び36は移動可能であり、支持構造38、例えばフレームに固定することができる。したがって、様々な幅(W)(
図2を参照のこと)を有する部品3を処理することが可能である。
【0039】
さらに、塗布機器は、無端ベルトの高さを変えることができるように、垂直方向に調節可能であるように設計される。支持構造34、36は、支持フレーム構造38に対して様々な高さで固定することができる。
図1から分かるように、垂直支柱40が支持構造34、36に接続されている。スロットノズル機構22、24は、該スロットノズル機構22、24を所望の高さで固定するため保持部を備えるクランプ機器42によって様々な位置で支柱40に固定することができる。
【0040】
クランプ機器42は、スロットノズル機構22、24を支柱40に対して様々な角度位置に位置決めすることが可能であるため、ローラー12及びベルト10に対するスロットノズル機構22、24の出口チャネル26(
図3)間の距離を調節することが可能である。これは、スロットノズル機構22、24を、様々な厚さを有する様々なベルト10、又は熱可塑性材料の実際の特性に合わせて調節するために必要である場合がある。スロットの出口チャネル26又は開口は、動作中に実質的に垂直な方向へ延びる。
【0041】
スロットノズル機構22、24は、
図3の出口チャネル26の長さを、垂直方向に調節することを可能にする。このために、スロットノズルの幅をストッパ部材によって一方の側で変更することができ、また、スロットノズル全体を直線状に変位させて固定することができる。ストッパ部材44は、スロットノズル機構22、24の内部チャネル内に位置決めされる。ストッパ部材44は、内部流路の長さを変えることができるようにその長手方向軸に沿って移動可能であるロッドに接続される。したがって、出口チャネル26の有効長を、上記で説明したように高さH(
図1、
図4及び
図5を参照のこと)に合わせて調節及び適合することができ、スロットノズル機構22全体は、支柱40及びクランプユニット42によって垂直方向に調節することができる。自動チャネル26から流出する塗布される材料の有効幅を、移動可能なストッパ部材44と組み合わせて調節することができる。無端ベルト又は移送機器は金属薄板から作られる。金属薄板は、所望であれは固着防止コーティングを有することができる。
【0042】
冷却機器46(
図2を参照のこと)が、無端ベルトを冷却するために、無端ベルト又は移送機器10に隣接して配置される。一例として、各冷却機器46は、加圧空気源に接続可能であると共に、ベルト10の内周へ向かって適用される空気シートが通るスロット形出口チャネルを有する空気スロットノズル機器から成る。空気シートはベルトを冷却する。一例として、スロット形出口チャネルは、ベルト10に対して垂直に配置され、それによって、スロットノズルから流出する空気がベルト10に向かって直角に流れるようにする。代替的に、空気を、スロット形出口チャネルの代わりに、1つ又は複数の円筒形オリフィスから流出させて移送ベルトに向かって流し、該移送ベルトを冷却してもよい。空気の流れは、熱可塑性材料が十分に硬化され、またサンドイッチ部品3の所望のスループットを達成することができるように制御することができる。これは、出口チャネル冷却機器46から分配吐出される空気流の体積流量及び/又は速度を調節することによって達成することができる。熱可塑性材料を、無端ベルトと接触している間に所与の温度まで冷却することができるように、冷却機器を制御することができる。温度は、140℃から190℃の範囲である。空気の代わりに、液体冷却材料、例えば水を用いて、ベルト10の内周面へ噴霧してもよい。
【0043】
図4及び
図5は、本方法に従って処理及び製造されるサンドイッチ部品を示す。サンドイッチ部品3は、ハニカムコア構造50と、2つの離間した外側コーティング層52、54とを有する。2つのコーティング層52、54は、シート又は外皮から形成され、例えば、木又は金属又はプラスチック材料から作られ、比較的硬い。コア構造50はハニカム構造であり得る。代替的には、コア構造は開放又は閉鎖したセル構造を有してもよい。ハニカム構造は、紙、プラスチック材料、ガラス又は炭素強化ラミネート等から作ることができる。
【0044】
サンドイッチ部品を処理する方法及び装置を、図面を参照して以下でさらに説明する。
【0045】
熱可塑性材料を、スロットノズル機構22、24によって、層としてベルト10上へ塗布し、次いで、このベルト10によって矢印30に沿って接触領域32に向かって移送する。部品3が接触領域32に達すると、液体熱可塑性材料の層を、サンドイッチ部品3の両方の周囲領域18、20上へ塗布及び堆積し、熱可塑性材料がサンドイッチ部品のコア構造のキャビティ51に浸透するようにする。熱可塑性材料は、キャビティ51内で硬化する。
【0046】
熱可塑性材料は、実質的に閉鎖された外周コーティング層が形成されるような量でベルト10上、次いで周囲領域18、20上へ塗布され、コーティング層は、
図4及び
図5において最もよく分かるように、硬化後にコア構造のキャビティを外部に対して閉鎖及び/又は封止する。熱可塑性材料を、コーティング層52、54の周面と実質的に整合するように、周囲領域へ塗布する。硬化した熱可塑性材料の平坦な外面が形成されるが、その内面は少なくとも部分的に湾曲していてもよい(
図5を参照のこと)。熱可塑性材料は、周囲領域のコア構造が硬化した熱可塑性材料内に埋まるような量でコア構造50の周囲領域上へ塗布され、キャビティ51内へ浸透する。
図5は、熱可塑性材料を、サンドイッチ部品の周囲領域上の、実質的にコア構造50の領域へのみ塗布することを示す。
【0047】
図示されていないが、熱可塑性材料は、コーティング層52、54の周囲領域及びコア構造50の周囲領域上へ塗布することができる。この場合、熱可塑性材料を、コーティング層52、54の周囲領域には、コア構造50の周囲領域におけるよりも薄い層で塗布する。
【0048】
図示の実施形態では、熱可塑性材料は、0.01ミリメートルから40ミリメートルの範囲、好ましくは2ミリメートルから4ミリメートルの範囲の厚さ、又は平均厚さT(
図5を参照のこと)を有する外周コーティング層が硬化した状態で形成されるような量で塗布される。熱可塑性材料は例えば、ホットメルト接着剤、エチレン酢酸ビニルホットメルト接着剤、ワックス、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン又はポリオレフィンである。
【0049】
熱可塑性材料が、無端ベルトと接触している間に所定の温度まで冷却されるように、冷却機器46を制御することができる。温度は90℃から250℃の範囲である。
【0050】
制御機器(図示せず)は、無端ベルトがサンドイッチ部品と接触する持続時間が、1秒から10秒の範囲、好ましくは3秒から4秒であり、かつ/又は無端ベルトがサンドイッチ部品と接触するときの接触長さL(
図2を参照のこと)が50ミリメートルから1000ミリメートルの範囲であるように、部品を制御する。
【0051】
図4に示されるように、さらなる縁部バンド又は縁部保護部56が縁部領域、特に上述のように塗布された熱可塑性材料の層に取り付けられる。これは、熱可塑性材料5がキャビティ51内への引き続き堆積させるさらなるステップを必要とする。