特許第5731398号(P5731398)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

特許5731398電源アダプタおよびDC/DCコンバータの制御回路
<>
  • 特許5731398-電源アダプタおよびDC/DCコンバータの制御回路 図000002
  • 特許5731398-電源アダプタおよびDC/DCコンバータの制御回路 図000003
  • 特許5731398-電源アダプタおよびDC/DCコンバータの制御回路 図000004
  • 特許5731398-電源アダプタおよびDC/DCコンバータの制御回路 図000005
  • 特許5731398-電源アダプタおよびDC/DCコンバータの制御回路 図000006
  • 特許5731398-電源アダプタおよびDC/DCコンバータの制御回路 図000007
  • 特許5731398-電源アダプタおよびDC/DCコンバータの制御回路 図000008
  • 特許5731398-電源アダプタおよびDC/DCコンバータの制御回路 図000009
  • 特許5731398-電源アダプタおよびDC/DCコンバータの制御回路 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731398
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】電源アダプタおよびDC/DCコンバータの制御回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
   H02M3/28 B
   H02M3/28 P
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2011-543108(P2011-543108)
(86)(22)【出願日】2010年11月25日
(86)【国際出願番号】JP2010006890
(87)【国際公開番号】WO2011065002
(87)【国際公開日】20110603
【審査請求日】2013年11月22日
(31)【優先権主張番号】特願2009-268130(P2009-268130)
(32)【優先日】2009年11月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2010-15665(P2010-15665)
(32)【優先日】2010年1月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】名手 智
(72)【発明者】
【氏名】林 宏
(72)【発明者】
【氏名】坂本 忠之
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−299355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を受け、それを直流電圧に変換して電子機器に供給する電源アダプタであって、
プラグ受けに差し込まれた状態において交流電圧を受けるプラグと、
前記プラグを介して供給された交流電圧を整流する整流回路と、
前記整流回路によって整流された電圧を平滑化する平滑用キャパシタと、
前記平滑用キャパシタにより平滑化された電圧を受け、それを前記電子機器に供給すべきレベルを有する直流電圧に変換するDC/DCコンバータと、
ケーブルを介して前記DC/DCコンバータと接続されるとともに、前記電子機器と着脱可能に構成され、前記電子機器と接続された状態で前記直流電圧を前記電子機器に供給するための機器側コネクタと、
を備え、
前記機器側コネクタは、前記電子機器が接続されているか否かを検出し、接続の有無を示す接続検出信号を生成する検出部を含み、
前記DC/DCコンバータの制御回路は前記ケーブルを介して前記機器側コネクタの前記検出部と接続されており、前記接続検出信号が前記電子機器の接続があることを示すとき動作状態となり、前記接続検出信号が前記電子機器の接続がないことを示すとき消費電力が実質的にゼロとなる非動作状態となり前記DC/DCコンバータの制御を停止するよう構成されることを特徴とする電源アダプタ。
【請求項2】
前記電子機器は前記直流電圧によって充電される内蔵電池と、前記内蔵電池が満充電状態であるか否かを示す満充電検出信号を発生する信号処理部と、を含み、
前記満充電検出信号は、前記機器側コネクタに前記電子機器が接続された状態で、前記ケーブルを介して前記DC/DCコンバータの制御回路へと入力され、
前記制御回路は、前記満充電検出信号が前記内蔵電池の満充電状態を示すとき、非動作状態となることを特徴とする請求項1に記載の電源アダプタ。
【請求項3】
前記検出部は、前記機器側コネクタと前記電子機器の機械的な接続を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の電源アダプタ。
【請求項4】
前記検出部は、前記機器側コネクタと前記電子機器の電気的な接続を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の電源アダプタ。
【請求項5】
交流電圧を受け、それを直流電圧に変換して電子機器に供給する電源アダプタに内蔵されるDC/DCコンバータの制御回路であって、
ケーブルを介して前記DC/DCコンバータと接続されるとともに、前記電子機器と着脱可能に構成され、前記電子機器と接続された状態で前記直流電圧を前記電子機器に供給するための機器側コネクタであって、前記電子機器が接続されているか否かを検出し、接続の有無を示す接続検出信号を生成する検出部を含む機器側コネクタから、前記接続検出信号を受けるためのイネーブル端子と、
前記接続検出信号が前記電子機器の接続があることを示すとき動作状態となり、前記DC/DCコンバータの出力電圧をフィードバックにより安定化するとともに、前記接続検出信号が前記電子機器の接続がないことを示すとき消費電力が実質的にゼロとなる非動作状態となり、前記DC/DCコンバータの制御を停止する制御部と、
を備えることを特徴とする制御回路。
【請求項6】
前記電子機器は、前記直流電圧によって充電される内蔵電池と、前記内蔵電池が満充電状態であるか否かを示す満充電検出信号を発生する信号処理部と、を含み、
本制御回路は、前記満充電検出信号を受けるための第2イネーブル端子をさらに備え、
前記制御部は、前記満充電検出信号が前記内蔵電池の満充電状態を示すとき、非動作状態となることを特徴とする請求項5に記載の制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC/DCコンバータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ラップトップ型コンピュータ、携帯電話端末やPDA(Personal Digital Assisntats)をはじめとする電子機器は、内蔵の電池から電力を受けて動作するほか、外部電源からの電力を受けて動作し、また外部電源からの電力によって内蔵の電池を充電可能となっている。
【0003】
こうした電子機器に外部から電力を供給する外部電源として、商用交流電圧をAC/DC(交流/直流)変換する電源アダプタ(ACアダプタ)が用いられる。図1は、電源アダプタの構成を示す図である。電源アダプタ200は、交流電圧Vacを受けるためのコンセントプラグ202、機器側コネクタ206、ダイオードブリッジ回路208、平滑用キャパシタC1、DC/DCコンバータ210を備える。
【0004】
コンセントプラグ202は配線用差込接続器のプラグ受け201に差し込まれた状態において、商用交流電圧Vacを受ける。ダイオードブリッジ回路208は、交流電圧Vacを全波整流する。平滑用キャパシタC1は、ダイオードブリッジ回路208により整流された電圧を平滑化する。DC/DCコンバータ210は、平滑化された直流電圧の電圧レベルを変換する。DC/DCコンバータ210によってある電圧レベルに安定化された直流電圧Vdcが、機器側コネクタ206を介して電子機器1へと供給される。ダイオードブリッジ回路208、平滑用キャパシタC1、DC/DCコンバータ210は、筐体204に内蔵され、筐体204とコンセントプラグ202間、筐体204と機器側コネクタ206間はそれぞれ、ケーブルで接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−098571号公報
【特許文献2】特開平2−211055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1. 従来の電源アダプタでは、コンセントプラグ202がプラグ受け201に差し込まれた状態では、常時DC/DCコンバータ210が動作して直流電圧Vdcを発生するため、無駄な電力(待機電力)を消費することになる。
【0007】
本発明のある態様はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、消費電力を低減した電源の提供にある。
【0008】
2. 図5は、本発明者が検討した電源アダプタの構成を示す図である。この電源アダプタ200の具体的構成を当業者によく知られた一般的な技術とみなしてはならない。
【0009】
電源アダプタ200は、交流電圧Vacを受けるためのコンセントプラグ202、ダイオードブリッジ回路208、入力キャパシタC1、DC/DCコンバータ210を備える。
【0010】
コンセントプラグ202は配線用差込接続器のプラグ受け201に差し込まれた状態において、商用交流電圧Vacを受ける。ダイオードブリッジ回路208は、交流電圧Vacを全波整流する。入力キャパシタC1は、ダイオードブリッジ回路208により整流された電圧を平滑化する。DC/DCコンバータ210は、平滑化された直流電圧の電圧レベルを変換する。DC/DCコンバータ210によってある電圧レベルに安定化された直流電圧Voutが、電子機器へと供給される。ダイオードブリッジ回路208、入力キャパシタC1、DC/DCコンバータ210は、筐体204に内蔵される。
【0011】
本発明者らは、このような電源アダプタ200について検討し、以下の課題を認識するに至った。
【0012】
DC/DCコンバータ210は、主としてスイッチングトランジスタM1、トランスT1、第1ダイオードD1、第1出力キャパシタCo1、制御回路212、フィードバック回路214を備える。電源アダプタ200は、トランスT1の1次側領域と2次側領域が電気的に絶縁されていなければならない。フィードバック回路214は、いわゆるフォトカプラであり、出力電圧Voutを示すフィードバック信号を制御回路212にフィードバックする。制御回路212は、出力電圧Voutが目標値と一致するようにスイッチングトランジスタM1のオン、オフのデューティ比をパルス変調を用いて制御する。
【0013】
制御回路212は、10V程度の電源電圧Vccで動作可能であるところ、これを入力キャパシタC1によって平滑化された電圧(140V程度)を用いて駆動すると、効率が悪くなる。DC/DCコンバータ210によって降圧された電圧VoutはトランスT1の2次側に発生することから、この電圧Voutを1次側に設けられた制御回路212に供給することはできない。
【0014】
そこでトランスT1の1次側には、補助コイルL3が設けられる。補助コイルL3、第2ダイオードD2および第2出力キャパシタCo2は、制御回路212に対する電源電圧Vccを生成するための補助的なDC/DCコンバータとして機能する。
【0015】
補助コイルL3の一端N3には、スイッチングトランジスタM1のオン、オフと同期したパルス状の電圧VDが発生する。このパルス電圧VDは、スイッチングトランジスタM1がオンしているとき接地電圧(0V)となる。そしてスイッチングトランジスタM1がオンからオフに切りかわった直後には、数十Vの高い電圧に跳ね上がる。
【0016】
ここで第2出力キャパシタCo2の容量値が十分に大きければ、補助コイルL3の一端N3の跳ね上がりの影響を緩和することができ、電源電圧Vccはある程度安定した電圧となる。しかしながら第2出力キャパシタCo2の容量を大きくすると、電源電圧Vccの立ち上がり速度が遅くなることから、第2出力キャパシタCo2の容量値はそれほど大きくできない。
【0017】
第2出力キャパシタCo2として現実的な容量値を選択すると、電源電圧Vccは、補助コイルL3の一端N3の電圧VDの跳ね上がりの影響を受け、数十V(たとえば30V程度)まで上昇する。その結果、制御回路212に好ましくない影響を及ぼす。具体的には制御回路212の過電圧保護(OVP)が動作したり、制御回路212の耐圧を超えるおそれがある。
【0018】
端子N3の電圧VDの跳ね上がりは、トランスT1の漏れ磁束などに起因するものである。したがってトランスT1を注意深く設計することにより、電圧VDの跳ね上がりは小さくできるが、トランスT1のコストが高くなるという別の問題が発生する。
【0019】
本発明のある態様はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、制御回路に対する電源電圧の変動を抑制可能な電源回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
1. 本発明のある態様は、交流電圧を受け、それを直流電圧に変換して電子機器に供給する電源アダプタに関する。電源アダプタは、プラグ受けに差し込まれた状態において交流電圧を受けるプラグと、プラグを介して供給された交流電圧を整流する整流回路と、整流回路によって整流された電圧を平滑化する平滑用キャパシタと、平滑用キャパシタにより平滑化された電圧を受け、それを電子機器に供給すべきレベルを有する直流電圧に変換するDC/DCコンバータと、ケーブルを介してDC/DCコンバータと接続されるとともに、電子機器と着脱可能に構成され、電子機器と接続された状態で直流電圧を電子機器に供給するための機器側コネクタと、を備える。機器側コネクタは、電子機器が接続されているか否かを検出し、接続の有無を示す接続検出信号を生成する検出部を含む。DC/DCコンバータの制御回路はケーブルを介して機器側コネクタの検出部と接続されており、接続検出信号が電子機器の接続があることを示すとき動作状態となり、接続検出信号が電子機器の接続がないことを示すとき非動作状態となるよう構成される。
【0021】
この態様によると、機器側コネクタが、電子機器のコネクタ受けに挿入されて電子機器の接続が確認されたときにDC/DCコンバータの制御回路を動作させ、電子機器の接続が確認できない場合には、DC/DCコンバータの制御回路を非動作状態(スタンバイ状態)に移行することができ、スタンバイ状態の消費電力を低減することができる。
【0022】
電子機器は、直流電圧によって充電される内蔵電池と、内蔵電池が満充電状態であるか否かを示す満充電検出信号を発生する信号処理部と、を含んでもよい。満充電検出信号は、機器側コネクタに電子機器が接続された状態で、ケーブルを介してDC/DCコンバータの制御回路へと入力されてもよい。制御回路は、満充電検出信号が内蔵電池の満充電状態を示すとき、非動作状態となってもよい。
電子機器側の内蔵電池が満充電状態である場合は、電子機器は内蔵電池からの電力で動作できるため、外部の電源アダプタから電力を供給する必要がない。したがってこの場合には、制御回路をスタンバイ状態とすることにより、電源アダプタの待機電力を低減できる。
【0023】
検出部は、機器側コネクタと電子機器の機械的な接続を検出してもよい。検出部は、機器側コネクタと電子機器の電気的な接続を検出してもよい。
【0024】
本発明の別の態様は、DC/DCコンバータの制御回路に関する。DC/DCコンバータは、交流電圧を受け、それを直流電圧に変換して電子機器に供給する電源アダプタに内蔵される。電源アダプタは、機器側コネクタを備える。この機器側コネクタは、ケーブルを介してDC/DCコンバータと接続されるとともに、電子機器と着脱可能に構成され、電子機器と接続された状態において、この機器側コネクタを介して直流電圧が電子機器に供給される。この機器側コネクタは、電子機器が接続されているか否かを検出し、接続の有無を示す接続検出信号を生成する検出部を含む。
制御回路は、機器側コネクタから接続検出信号を受けるためのイネーブル端子と、接続検出信号が電子機器の接続があることを示すとき動作状態となり、DC/DCコンバータの出力電圧をフィードバックにより安定化する制御部を備える。この制御部は、接続検出信号が電子機器の接続がないことを示すとき非動作状態となり、DC/DCコンバータの制御を停止する。
【0025】
この態様によると、電子機器が接続されていない場合の電源アダプタの消費電力を低減できる。
【0026】
電子機器は、直流電圧によって充電される内蔵電池と、内蔵電池が満充電状態であるか否かを示す満充電検出信号を発生する信号処理部と、を含んでもよい。制御回路は、満充電検出信号を受けるための第2イネーブル端子をさらに備えてもよい。制御部は、満充電検出信号が内蔵電池の満充電状態を示すとき、非動作状態となってもよい。
【0027】
本発明のさらに別の態様は、直流電圧を受けるための電源端子を有する電子機器と着脱可能に接続される電源アダプタの機器側コネクタに関する。機器側コネクタは、電源供給端子と、検出部とを備える。電源供給端子は、ケーブルを介して電源アダプタのDC/DCコンバータからの直流電圧を受け、かつ機器側コネクタが電子機器と接続された状態において電源端子と対向し、接続されるように配置される。検出部は、機器側コネクタに電子機器が接続されているか否かを検出し、接続の有無を示す接続検出信号を生成する。この機器側コネクタは、接続検出信号がケーブルを介してDC/DCコンバータの制御回路へと供給されるように構成される。
【0028】
この態様によると、この機器側コネクタに電子機器が接続されていないときに、電源アダプタに内蔵されるDC/DCコンバータの制御回路を非動作状態に遷移させることができ、消費電力を低減できる。
【0029】
電子機器は、直流電圧によって充電される内蔵電池と、内蔵電池が満充電状態であるか否かを示す満充電検出信号を発生する信号処理部と、満充電検出信号を外部に出力するための検出端子と、を含んでもよい。機器側コネクタは、機器側コネクタが電子機器と接続された状態において検出端子と対向し、接続されるように配置され、満充電検出信号を信号処理部から受ける検出信号受信端子をさらに備えてもよい。この機器側コネクタは、満充電検出信号がケーブルを介して前記DC/DCコンバータの制御回路へと供給されるように構成されてもよい。
【0030】
本発明のさらに別の態様は、交流電圧を受けて動作し、通常動作モードと待機モードが切りかえ可能な電子機器に関する。電子機器は、プラグ受けに差し込まれた状態において交流電圧を受けるプラグと、プラグを介して供給された交流電圧を整流する整流回路と、整流回路によって整流された電圧を平滑化する平滑用キャパシタと、平滑用キャパシタにより平滑化された電圧を受け、それを所定のレベルを有する直流電圧に変換するDC/DCコンバータと、その電源端子に平滑化された電圧を受け、DC/DCコンバータの出力電圧が一定となるようにDC/DCコンバータを制御する制御回路であって、そのイネーブル端子に入力された制御信号に応じて動作状態と非動作状態が切りかえ可能に構成された制御回路と、電子機器の待機モードから通常動作モードへの切りかえ指示を受けるためのアクティベーションスイッチと、電子機器の通常動作モードから待機モードへの切りかえ指示を受けるためのスタンバイスイッチと、その電源端子にDC/DCコンバータの出力電圧を受け、電子機器が通常動作モードにおいて所定の信号処理を行うとともに、スタンバイスイッチを監視し、電子機器が通常動作モードであるか待機モードであるかを示す制御信号を制御回路の前記イネーブル端子へと出力する信号処理部と、を備える。
【0031】
この態様によれば、待機モードにおいてDC/DCコンバータの制御回路を非動作状態として電子機器の電源部分の消費電力を低減できる。
【0032】
制御回路は、所定の基準電圧を発生する基準電圧回路と、基準電圧を外部に出力するための基準電圧端子と、を含んでもよい。基準電圧は、信号処理部の電源端子にDC/DCコンバータの出力電圧とともに供給されてもよい。
この態様によれば、待機モードにおいて信号処理部の電源端子には直流電圧に代えて基準電圧が供給されるため、待機モードにおいてなお、信号処理部に最低限度の信号処理を実行させることができる。
【0033】
【0034】
本発明のある態様は、DC/DCコンバータに関する。このDC/DCコンバータは、1次コイル、2次コイルおよび1次コイル側に設けられた補助コイルを有するトランスと、その一端の電位が固定された第1出力キャパシタと、第1出力キャパシタの他端と2次コイルの一端との間に、そのカソードが第1出力キャパシタ側となる向きで設けられた第1ダイオードと、1次コイルの経路上に設けられたスイッチングトランジスタと、その一端の電位が固定された第2出力キャパシタと、第2出力キャパシタの他端と補助コイルの一端との間に直列に設けられた、そのカソードが第2出力キャパシタ側となる向きの第2ダイオードおよびマスク用スイッチと、その電源端子に第2出力キャパシタに生ずる電圧を受け、スイッチングトランジスタのオン、オフを制御する制御回路と、を備える。
【0035】
この態様によると、マスク用スイッチをオフすることにより、補助コイルに発生する電圧の跳ね上がりが第2出力キャパシタに生ずる電圧に伝搬するのを抑制できる。
【0036】
マスク用スイッチは、スイッチングトランジスタがオフしてから所定時間経過するまでのマスク期間の間、オフしてもよい。
【0037】
さらにマスク用スイッチは、マスク期間に加えて、スイッチングトランジスタがオフする期間、オフしてもよい。
【0038】
制御回路は、マスク用スイッチを制御するためのマスク信号を出力するための端子を有してもよい。
【0039】
制御回路は、スイッチングトランジスタに対する制御信号を遅延させることにより、マスク信号を生成してもよい。
【0040】
ある態様の電源装置は、第1出力キャパシタに生ずる電圧に応じたフィードバック信号を生成するフィードバック回路をさらに備えてもよい。制御回路は、フィードバック信号が目標値に近づくように、スイッチングトランジスタのオン、オフのデューティ比を調節してもよい。
【0041】
ある態様の電源装置において、制御回路は、第2出力キャパシタに生ずる電圧に応じたフィードバック信号が目標値に近づくように、スイッチングトランジスタのオン、オフのデューティ比を調節してもよい。この場合、第1出力キャパシタの電圧を制御回路にフィードバックする必要がなくなるため、フォトカプラなどのフィードバック回路が不要となる。
【0042】
マスク用スイッチは、PチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)またはPNP型バイポーラトランジスタを含んでもよい。
【0043】
制御回路は、フィードバック信号とその目標値の誤差を増幅する誤差増幅器と、スイッチングトランジスタに流れる電流が、誤差増幅器の出力信号に応じたレベルに達するとアサートされるオフ信号を発生する第1コンパレータと、第2ダイオードと補助コイルの間のノードの電位が所定レベルまで低下するとアサートされるオン信号を発生する第2コンパレータと、オン信号およびオフ信号にもとづいてその状態が遷移するフリップフロップと、フリップフロップの出力信号にもとづいてスイッチングトランジスタを駆動するドライバと、フリップフロップの出力信号にもとづいてマスク信号を生成するマスク信号生成部と、を含んでもよい。
【0044】
本発明の別の態様は、交流電圧を受け、それを直流電圧に変換して電子機器に供給する電源装置に関する。電源装置は、交流電圧を整流する整流回路と、整流回路によって整流された電圧を平滑化する入力キャパシタと、入力キャパシタによって平滑化された電圧を変換する、上述のいずれかの態様のDC/DCコンバータと、を備える。
【0045】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0046】
本発明のある態様によれば、無駄な消費電力を低減できる。また本発明の別の態様によれば、制御回路に対する電源電圧の変動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】一般的な電源アダプタの構成を示す図である。
図2】第1の実施の形態に係る電源アダプタの構成を示す図である。
図3図2の変形例に係る電源アダプタの構成を示す図である。
図4】第2の実施の形態に係る電子機器の構成を示す図である。
図5】本発明者が検討した電源アダプタの構成を示す図である。
図6】第3の実施の形態に係る電源装置の構成を示す回路図である。
図7図6の制御回路の構成例を示す回路図である。
図8図6の電源装置の動作を示すタイムチャートである。
図9】変形例に係る電源装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0049】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0050】
(第1の実施の形態)
図2は、第1の実施の形態に係る電源アダプタ100の構成を示す図である。電源アダプタ100は、商用交流電圧などの交流電圧Vacを受け、それを直流電圧Vdcに変換して電子機器1に供給する。電子機器1は、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、携帯電話端末、CDプレイヤなどが例示されるが、特に限定されない。
【0051】
電源アダプタ100は、コンセントプラグ10、コンセントケーブル12、整流回路14、平滑用キャパシタC1、抵抗R1、DC/DCコンバータ16、制御IC30、コネクタ側ケーブル20、機器側コネクタ22を備える。
【0052】
整流回路14、平滑用キャパシタC1、DC/DCコンバータ16、制御IC30は、同じ筐体19内に設けられている。コンセントプラグ10と筐体19の間は、コンセントケーブル12で接続され、機器側コネクタ22と筐体19の間はコネクタ側ケーブル20で接続されている。
【0053】
コンセントプラグ10は、プラグ受けと勘合するソケットであり、プラグ受けに差し込まれた状態において交流電圧Vacを受ける。整流回路14は、コンセントプラグ10およびコンセントケーブル12を介して供給された交流電圧Vacを全波整流する。整流回路14はたとえばダイオードブリッジ回路である。平滑用キャパシタC1は、整流回路14によって整流された電圧を平滑化する。
【0054】
DC/DCコンバータ16は、平滑用キャパシタC1により平滑化された電圧を受け、それを電子機器1に供給すべきレベルを有する直流電圧Vdcに変換する。DC/DCコンバータ16は、コンバータ部16a、フィードバック部16bを含む。コンバータ部16aのトポロジーは特に限定されないが、図2には、トランスT1を用いたコンバータが示される。コンバータ部16aは、1次コイルL1および2次コイルL2を含むトランスT1と、1次コイルL1の経路に設けられたスイッチングトランジスタM1と、2次コイルL2に接続された整流ダイオードD1と、整流ダイオードD1のカソード側に接続された出力キャパシタC2を備える。
【0055】
フィードバック部16bは、1次側と2次側が絶縁された絶縁型のフィードバック回路であり、たとえばフォトカプラを用いて構成される。フィードバック部16bは、DC/DCコンバータ16の出力電圧Vdcを制御IC30へとフィードバックするとともに、後述する機器側コネクタ22により生成される接続検出信号S1を制御IC30へと伝達する。なおフィードバック部16bは非絶縁型で構成されてもよい。
【0056】
制御IC30は、フィードバック端子FB、スイッチング信号発生部32、状態監視部34を備える。スイッチング信号発生部32は、フィードバック端子FBに入力されたフィードバック信号Vfbに応じてスイッチング信号SWOUTを生成し、スイッチングトランジスタM1をスイッチングする。スイッチングトランジスタM1は制御IC30に内蔵されてもよい。制御IC30は、フィードバック信号Vfbが一定となるように、言い換えれば直流電圧Vdcが一定となるように、スイッチング信号SWOUTのデューティ比、つまりスイッチングトランジスタM1のオン期間とオフ期間を制御し(PWM:Pulse Width Modulation)、あるいはスイッチング信号SWOUTの周波数を制御する(PFM:Pulse Frequency Modulation)。
【0057】
機器側コネクタ22は、コネクタ側ケーブル20を介してDC/DCコンバータ16と接続される。また機器側コネクタ22は電子機器1に対して直接的にもしくは間接的に着脱可能となっている。直接的に着脱可能とは、機器側コネクタ22が直接的に、電子機器1に設けられたソケットもしくはプラグに嵌合、もしくは接触する場合を意味し、間接的に着脱可能とは、延長ケーブルなどを介して両者が接続される場合をいう。
【0058】
DC/DCコンバータ16により生成された直流電圧Vdcおよびグランド電位Vgndは、コネクタ側ケーブル20を介して機器側コネクタ22へと出力される。電子機器1は、電源アダプタ100から直流電圧Vdcを受けるための電源端子Vdc+と、グランド電位Vgndを受けるための電源端子Vdc−を備える。機器側コネクタ22は、電子機器1に接続された状態で、電源端子Vdc+、電源端子Vdc−それぞれと対向し、電気的に接続される電圧供給端子P1、P2を有する。電圧供給端子P1、P2はそれぞれ、ケーブル20を介してDC/DCコンバータ16のプラス出力端子OUT+とマイナス出力端子OUT−に接続される。
【0059】
機器側コネクタ22は、検出部24を備える。検出部24は、機器側コネクタ22に電子機器1が接続されているか否かを検出する。そして検出部24は、電子機器1の接続の有無を示す接続検出信号S1を生成する。たとえば接続検出信号S1は、電子機器1が接続されているときにハイレベル(アサート)、非接続のときにローレベル(ネゲート)となる。この接続検出信号S1の信号形式は特に限定されない。
【0060】
検出部24は、機器側コネクタ22と電子機器1との接続を、機械的な機構を用いて検出してもよい。あるいは検出部24は、機器側コネクタ22と電子機器1との接続を、電圧検出や電流検出、インピーダンス検出などの電気的な信号処理を用いて検出してもよい。
【0061】
接続検出信号S1は、コネクタ側ケーブル20およびフィードバック部16bを介して制御IC30のイネーブル端子ENに入力される。
【0062】
制御IC30は、動作状態と非動作状態(スタンバイ状態)とが切りかえ可能に構成されている。スイッチング信号発生部32は動作状態において、フィードバック信号VfbにもとづいてスイッチングトランジスタM1を制御する。反対にスイッチング信号発生部32はスタンバイ状態において、消費電力が実質的にゼロとなるように、必要最小限の回路ブロックを残し、その他の回路ブロックの動作を停止する。不要な回路をすべて停止することで、その消費電力は50mW以下に抑制でき、これは実質的に、消費電力ゼロと称することができる。
【0063】
状態監視部34は、イネーブル端子ENに入力された接続検出信号S1に応じて、スイッチング信号発生部32(制御IC30)の動作状態と非動作状態を切りかえる。具体的には制御IC30は、接続検出信号S1が電子機器1の接続を示すときに、動作状態となる。反対に制御IC30は、接続検出信号S1が電子機器1の非接続を示すとき、スタンバイ状態となる。
【0064】
以上が電源アダプタ100の構成である。続いてその動作を説明する。
(a) ユーザがコンセントプラグ10を差込プラグに挿入すると、電源アダプタ100には交流電圧Vacが供給される。このとき電子機器1は機器側コネクタ22と接続されていないものとする。そうすると制御IC30には、電子機器1の非接続を示す接続検出信号S1が入力される。その結果、制御IC30はスタンバイ状態に移行し、電源アダプタ100の消費電力が非常に小さくなる。
【0065】
(b) 続いて機器側コネクタ22に電子機器1が接続されると、接続検出信号S1がアサートされ、制御IC30に電子機器1の接続が通知される。これを受けて状態監視部34は、スイッチング信号発生部32をスタンバイ状態から動作状態へと移行させる。その結果、DC/DCコンバータ16によって直流電圧Vdcが生成され、電子機器1へと供給される。
【0066】
(c) 続いて電子機器1から機器側コネクタ22を取り外すと、機器側コネクタ22は接続検出信号S1をネゲートする。その結果、状態監視部34はスイッチング信号発生部32をスタンバイ状態に切りかえ、消費電力が低減される。
【0067】
(d) また、はじめから電子機器1に機器側コネクタ22が接続された状態で、コンセントプラグ10を差込プラグに挿入すると、ただちにスイッチング信号発生部32が動作状態となり、直流電圧Vdcが電子機器1へと供給される。
【0068】
このように図2の電源アダプタ100によれば、機器側コネクタ22に、電子機器1の接続の有無を検出する機構を設け、制御IC30の動作、非動作状態を、検出結果に応じて制御することにより、不要な消費電力を低減することができる。
【0069】
図3は、図2の変形例に係る電源アダプタ100cの構成を示す図である。以下、電源アダプタ100cの構成を、図2の電源アダプタ100との相違点を中心に説明する。
【0070】
電子機器1cは、内蔵電池2および信号処理部3を備える。内蔵電池2は、電源アダプタ100cからの直流電圧Vdcによって充電される。信号処理部3は、たとえばマイコンであり、内蔵電池2が満充電状態であるか否かを示す満充電検出信号S2を発生する。電子機器1cは、満充電検出信号S2を機器側コネクタ22cに対して出力するための検出端子FULLを備える。
【0071】
機器側コネクタ22cは、電圧供給端子P1、P2に加えて検出信号受信端子P3を備える。検出信号受信端子P3は、機器側コネクタ22cが電子機器1と接続された状態において、検出端子FULLと対向し、接続されるように配置される。検出信号受信端子P3は、信号処理部3からの満充電検出信号S2を受ける。検出信号受信端子P3は、ケーブル20cを介して制御IC30cと接続され、満充電検出信号S2が制御IC30cへと供給される。
【0072】
制御IC30cは、満充電検出信号S2を受けるための第2イネーブル端子EN2をさらに備える。制御IC30cの内部は、図2の制御IC30と同様に構成される。状態監視部34は、接続検出信号S1に加えて満充電検出信号S2を監視する。そして満充電検出信号S2が内蔵電池2の満充電状態を示すときには、スイッチング信号発生部32をスタンバイ状態へセットする。
【0073】
一般に、電子機器側の内蔵電池が満充電状態である場合は、電子機器は内蔵電池からの電力で動作できるため、外部の電源アダプタから電力を供給する必要がない。図2の電源アダプタ100cによれば、内蔵電池2の満充電状態においても、制御IC30をスタンバイ状態とすることができ、電源アダプタ100cの待機電力を実質的にゼロとすることができる。
【0074】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、電源アダプタの省電力化に関する技術を説明した。これに対して第2の実施の形態では、電源回路を内蔵する電子機器の省電力化に関する技術を説明する。
【0075】
一般的に、洗濯機、エアコン、テレビなどの家電製品(電化製品)は、交流電圧Vacを受けて動作する。そしてそれらの家電製品は、それ本来の機能を発揮するモード(通常動作モードという)と、それ以外の処理を行うモード(待機モードという)が切りかえられる場合が多い。たとえば洗濯機であれば、洗濯や乾燥をする期間が通常動作モードであり、予約タイマーによって待機する期間が待機モードとなる。以下で説明する技術は、このような家電製品の消費電力を低減するために利用できる。
【0076】
図4は、第2の実施の形態に係る電子機器の構成を示す図である。
【0077】
電子機器1dは、コンセントプラグ10、コンセントケーブル12、ヒューズF1、入力キャパシタC3、フィルタ11、整流回路14、DC/DCコンバータ16、制御IC30、マイコン40、アクティベーションスイッチSW1、スタンバイスイッチSW2、を備える。電子機器1dは、図示しないその他の回路ブロックを含むがここでは省略している。
【0078】
ヒューズF1は、過電圧あるいは過電流の保護を目的として設けられる。フィルタ11は、交流電圧Vacの高周波成分を除去する。
【0079】
制御IC30dは、スイッチング信号発生部32、状態監視部34およびBGR(Bandgap Regulator)36を備える。制御IC30dは、その電源端子Vccに、整流回路14により平滑化された電圧Vsを受ける。状態監視部34は、イネーブル端子#EN(#はいわゆるアクティブローを示す)に入力された制御信号S2にもとづいて、制御IC30dの動作状態とスタンバイ状態を切りかえる。図4では、制御信号S3がハイレベルのとき、制御IC30dはスタンバイ状態となり、ローレベルのとき動作状態となる。BGR36は、動作状態であるとスタンバイ状態であるとを問わずに、所定の基準電圧Vrefを発生する。基準電圧Vrefは、制御IC30dの外部に出力される。
【0080】
電子機器1dは、本来の機能を発揮する通常動作モードと、そうでない待機(スリープ)モードが切りかえられる。たとえば電子機器1dがエアコンである場合、温風や冷風を送出しているときが通常動作モードである。一方、タイマー制御によって待機している期間は待機モードである。
【0081】
電子機器1dには、通常動作モードから待機モードへと切りかえるためのスタンバイスイッチSW2が設けられる。スタンバイスイッチSW2は、ユーザが押し込んだ状態において導通し、それ以外で遮断する。スタンバイスイッチSW2は、マイコン40の制御端子S4と接続される。マイコン40は制御端子S4の状態を監視し、ユーザによる待機モードへの切りかえ指示を検出する。
【0082】
マイコン40は、電子機器1dがそのとき通常動作モードであるか待機モードであるかを示す制御信号S3を発生する。制御信号S3は、通常動作モードにおいてローレベル、待機モードにおいてハイレベルである。マイコン40は、通常動作モードにおいて制御端子S3をローレベルに固定する。反対に待機モードにおいてマイコン40が端子S3をオープン(ハイインピーダンス)状態とすると、制御信号S3はプルアップ抵抗R3によってプルアップされ、ハイレベルとなる。
【0083】
コイルL3、スイッチングトランジスタM1、整流ダイオードD2およびキャパシタC4は、DC/DCコンバータ16cを形成する。DC/DCコンバータ16cによって生成された電圧Vdc2は、平滑化された電圧Vsとともに制御IC30dの電源端子Vccに供給される。つまり、スイッチング信号発生部32が動作状態となると、DC/DCコンバータ16cにより生成された電圧Vdcが電源端子Vccに供給される。スイッチング信号発生部32がスタンバイ状態となると、電源端子Vccには、平滑化された電圧Vsが抵抗R1を介して供給される。
【0084】
マイコン40の電源端子Vddには、ダイオードD3を介してDC/DCコンバータ16の出力電圧Vdcが供給される。また電源端子Vddには、ダイオードD4を介して基準電圧Vrefが供給される。つまりマイコン40は、DC/DCコンバータ16が動作状態のときマイコン40からの電圧Vdcによって動作し、非動作状態のとき制御IC30dから供給される基準電圧Vrefによって動作する。
【0085】
アクティベーションスイッチSW1は、スタンバイ状態の制御IC30dを、動作状態に移行させるために設けられている。アクティベーションスイッチSW1は、待機モードから通常動作モードへと移行すべきタイミングでユーザによってオンされるスイッチである。たとえばアクティベーションスイッチSW1は、電子機器1の電源スイッチであってもよい。
【0086】
制御IC30dはアクティベーションスイッチSW1の状態を監視し、ユーザからの移行指示を検出する。制御IC30dは移行指示を検出すると、動作状態へと遷移する。具体的には、アクティベーションスイッチSW1は、制御IC30dのイネーブル端子ENと接地端子間に設けられる。アクティベーションスイッチSW1がオンすると、イネーブル端子ENがプルダウンされるため、制御信号S3がローレベルとなる。その結果、制御IC30dが動作状態となる。
【0087】
以上が電子機器1dの構成である。続いて電子機器1dの動作を説明する。
【0088】
1. コンセントプラグ10が差し込み口に挿入されると、平滑化された電圧Vsが発生する。この電圧Vsを受けて、制御IC30dが起動し、BGR36によって基準電圧Vrefが生成される。基準電圧Vrefが生成されると、プルアップ抵抗R3によってイネーブル端子#ENに入力される制御信号S3がハイレベルとなり、制御IC30dは非動作状態となる。
【0089】
2. 続いてユーザがアクティベーションスイッチSW1を押す。その結果、制御信号S3がローレベルとなり、制御IC30dが動作状態となり、DC/DCコンバータ16によって直流電圧Vdcが生成され、マイコン40の電源端子Vddへと供給される。直流電圧Vdcが供給されるとマイコン40が起動し、マイコン40によって制御信号S3がローレベルに固定される。
【0090】
3. それ以降、電子機器1dは通常動作モードとなる。
【0091】
4. 通常動作モードにおいて、スタンバイスイッチSW2がオンすると、マイコン40は制御信号S3をハイレベルとする。その結果、制御IC30dはスタンバイ状態へと遷移する。
【0092】
以上が電子機器1dの動作である。この電子機器1dによれば、電子機器1が待機モードとなる期間、DC/DCコンバータ16の制御IC30をスタンバイ状態とすることができ、待機電力を実質的にゼロに低減することができる。
【0093】
また待機モードにおいて、マイコン40の電源端子Vddには、直流電圧Vdcは供給されなくなるが、基準電圧Vrefは供給され続けるため、マイコン40は最低限度の信号処理を行うことができる。
【0094】
(第3の実施の形態)
図6は、第3の実施の形態に係る電源装置100の構成を示す回路図である。
電源装置100は、商用交流電圧などの交流電圧Vacを受け、それを直流電圧Vdcに変換して電子機器(不図示)に供給する電源アダプタである。電子機器は、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、携帯電話端末、CDプレイヤなどが例示されるが、特に限定されない。
【0095】
電源装置100は、コンセントプラグ10、コンセントケーブル12、整流回路14、入力キャパシタ(平滑用キャパシタ)C1およびDC/DCコンバータ16を備える。整流回路14、入力キャパシタC1、DC/DCコンバータ16は同じ筐体19内に設けられている。コンセントプラグ10と筐体19の間は、コンセントケーブル12で接続される。
【0096】
コンセントプラグ10は、プラグ受けと嵌合するソケットであり、プラグ受け101に差し込まれた状態において交流電圧Vacを受ける。整流回路14は、コンセントプラグ10およびコンセントケーブル12を介して供給された交流電圧Vacを全波整流する。整流回路14はたとえばダイオードブリッジ回路である。入力キャパシタC1は、整流回路14によって整流された電圧を平滑化する。
【0097】
本実施の形態に係るDC/DCコンバータ16は、入力キャパシタC1により平滑化された電圧Vdcを受け、それを電子機器に供給すべきレベルを有する直流電圧Voutに変換する。
【0098】
DC/DCコンバータ16は主として、トランスT1、第1出力キャパシタCo1、第2出力キャパシタCo2、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、スイッチングトランジスタM1、マスク用スイッチSW3、フィードバック回路17および制御回路18を備える。
【0099】
トランスT1は、1次コイルL1、2次コイルL2および1次コイル側に設けられた補助コイルL3を有する。1次コイルL1の巻き数をNP、2次コイルL2の巻き数をNS、補助コイルL3の巻き数をNDとする。
【0100】
スイッチングトランジスタM1、1次コイルL1、2次コイルL2、第1ダイオードD1、第1出力キャパシタCo1は、第1のコンバータ(メインコンバータ)を形成する。第1出力キャパシタCo1の一端の電位は固定されている。第1ダイオードD1は、第1出力キャパシタCo1の他端と2次コイルL2の一端N2との間に、そのカソードが第1出力キャパシタCo1側となる向きで設けられる。2次コイルL2の他端は接地されて電位が固定されている。
【0101】
スイッチングトランジスタM1は、1次コイルL1の経路上に設けられる。スイッチングトランジスタM1のゲートには、抵抗R1を介して制御回路18からのスイッチング信号OUTが入力される。
【0102】
スイッチングトランジスタM1、1次コイルL1、補助コイルL3、第2ダイオードD2、第2出力キャパシタCo2は、第2のコンバータ(補助コンバータ)を形成する。
【0103】
第2出力キャパシタCo2の一端の電位は固定される。第2ダイオードD2およびマスク用スイッチSW3は、第2出力キャパシタCo2の他端と補助コイルL3の一端N3の間に直列に設けられる。補助コイルL3の他端の電位は固定されている。第2ダイオードD2は、そのカソードが第2出力キャパシタCo2側となる向きで配置される。第2出力キャパシタCo2には、スイッチングトランジスタM1のデューティ比およびトランスT1の巻き線比に応じた第2電圧Vccが発生する。
【0104】
制御回路18は、その電源端子VCCに、第2出力キャパシタCo2に生ずる第2電圧Vccを受ける。なお、第2のコンバータが正常に動作する前の期間、制御回路18の電源端子VCCには、抵抗R21を介して直流電圧Vdcが供給される。
【0105】
制御回路18の入力端子DCには、抵抗R5、R6によって分圧された入力電圧Vdc’が入力される。制御回路18の起動や停止は、入力電圧Vdc’にもとづいて制御される。
【0106】
制御回路18は、第1出力キャパシタCo1に生ずる電圧Voutのレベルが目標値に近づくようにスイッチング信号OUTのデューティ比をパルス幅変調(PWM)、パルス周波数変調(PFM)などを利用して調節し、スイッチングトランジスタM1を制御する。スイッチング信号OUTの生成方法は特に限定されない。
【0107】
また制御回路18は、スイッチング信号OUTと同期したマスク信号MSKを発生し、マスク用スイッチSW3を制御する。制御回路18は、少なくとも、スイッチングトランジスタM1がオフしてから所定期間(マスク期間ΔTという)の間、マスク用スイッチSW3をオフする。制御回路18は、マスク期間ΔTに加えて、スイッチングトランジスタM1のオン期間Tonの間、マスク用スイッチSW3をオフしてもよい。
【0108】
たとえばマスク用スイッチSW3はPチャンネルMOSFETであり、そのゲートソース間には、抵抗R3が設けられる。制御回路18はスイッチングトランジスタM1のオン期間Tonおよびマスク期間ΔTにおいて、端子MSKをハイインピーダンス(オープン)とする。そうするとマスク用スイッチSW3のゲートソース間が抵抗R3によってショートされ、マスク用スイッチSW3はオフとなる。マスク期間ΔTが経過した後のスイッチングトランジスタM1のオフ期間Toffにおいて、制御回路18はマスク信号MSKをローレベルとし、マスク用スイッチSW3をオンさせる。
【0109】
たとえば制御回路18は、第1出力キャパシタCo1に生ずる出力電圧Vout、スイッチングトランジスタM1(1次コイルL1)に流れる電流IM1および補助コイルL3の一端N3に生ずる電圧VDに応じて、スイッチング信号OUTおよびマスク信号MSKを発生する。
【0110】
制御回路18のフィードバック端子FBには、フォトカプラを含むフィードバック回路17を介して、出力電圧Voutに応じたフィードバック信号Vfbが入力される。キャパシタC3は、位相補償を目的として設けられる。また、検出抵抗Rsは、スイッチングトランジスタM1に流れる電流IM1を検出するために設けられる。検出抵抗Rsに生ずる電圧降下(検出信号)Vsは、制御回路18の電流検出端子(CS端子)に入力される。また、制御回路18の補助コイルL3の一端の電圧VDは、抵抗R4およびキャパシタC4を含むローパスフィルタを介して、ZT端子に入力される。
【0111】
図7は、図6の制御回路の構成例を示す回路図である。制御回路18は、誤差増幅器50、オフ信号生成部52、オン信号生成部54、駆動部56およびドライバ62を備える。
【0112】
誤差増幅器50は、フィードバック信号Vfbと、その目標値に応じた基準電圧Vrefとの誤差を増幅する。オフ信号生成部52は、検出信号Vsを誤差増幅器50の出力信号と比較するコンパレータを含み、スイッチングトランジスタM1がオフするタイミングを規定するオフ信号Soffを生成する。オフ信号生成部52よって生成されるオフ信号Soffは、スイッチングトランジスタM1に流れる電流IM1が、誤差増幅器50の出力信号に応じたレベルに達するとアサートされる。
【0113】
たとえばフィードバック信号Vfbが基準電圧Vrefより低くなると、誤差増幅器50の出力信号は高くなり、オフ信号Soffがアサートされるタイミングが遅くなって、スイッチングトランジスタM1のオン期間Tonが長くなり、その結果出力電圧Vout(フィードバック信号Vfb)が上昇する方向にフィードバックがかかる。反対にフィードバック信号Vfbが基準電圧Vrefより高くなると、誤差増幅器50の出力信号は低くなり、オフ信号Soffがアサートされるタイミングが早くなって、スイッチングトランジスタM1のオン期間Tonが短くなり、その結果、出力電圧Vout(フィードバック信号Vfb)が低下する方向にフィードバックがかかる。
【0114】
オン信号生成部54は、オフ信号Soffがアサートされた後アサートされるオン信号Sonを発生する。図7のオン信号生成部54は、第2ダイオードD2と補助コイルL3の間の経路上のノードN3の電位Vdを、所定レベルVthと比較するコンパレータを含む。オン信号生成部54は、ノードN1の電位が所定レベルVthまで低下すると、オン信号Sonをアサートする。
【0115】
スイッチングトランジスタM1がオンすると、1次コイルL1に電流IM1が流れ、トランスT1にエネルギーが蓄えられる。その後、スイッチングトランジスタM1がオフすると、トランスT1に蓄えられたエネルギーが放出される。オン信号生成部54は、補助コイルL3に発生する電圧Vdを監視することにより、トランスT1のエネルギーが完全に放出されたことを検出できる。オン信号生成部54は、エネルギーの放出を検出すると、再びスイッチングトランジスタM1をオンすべく、オン信号Sonをアサートする。
【0116】
駆動部56は、オン信号SonがアサートされるとスイッチングトランジスタM1をオンし、オフ信号SoffがアサートされるとスイッチングトランジスタM1をオフする。駆動部56は、フリップフロップ58、プリドライバ60、ドライバ62を含む。フリップフロップ58は、セット端子およびリセット端子それぞれにオン信号Sonおよびオフ信号Soffを受ける。フリップフロップ58は、オン信号Sonおよびオフ信号Soffに応じて状態が遷移する。その結果、フリップフロップ58の出力信号Smodのデューティ比は、フィードバック信号Vfb(出力電圧Vout)が目標値Vrefと一致するように変調される。図7では、駆動信号Smodおよびスイッチング信号OUTのハイレベルは、スイッチングトランジスタM1のオンに対応付けられ、それらのローレベルはスイッチングトランジスタM1のオフに対応付けられる。
【0117】
プリドライバ60は、フリップフロップ58の出力信号Smodに応じてドライバ62を駆動する。ドライバ62のハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタが同時にオンしないように、プリドライバ60の出力信号SH、SLにはデッドタイムが設定される。ドライバ62からは、スイッチング信号OUTが出力される。
【0118】
マスク信号生成部70は、オン信号Sonおよびオフ信号Soffの少なくとも一方と同期したマスク信号MSKを発生する。具体的にはマスク信号生成部70は、遅延回路72、論理ゲート74出力トランジスタ76を備える。遅延回路72は、ローサイド駆動信号SLを、マスク時間ΔT遅延させる。論理ゲート(NOR)74は、遅延されないローサイド駆動信号SLと遅延されたそれの否定論理和を生成し、出力トランジスタ76のゲートに出力する。マスク信号生成部70はオープンドレイン形式で構成される。
【0119】
以上が電源装置100の構成である。続いてその動作を説明する。
図8は、図6の電源装置100の動作を示すタイムチャートである。図8の縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化されている。図8には、上から順に、スイッチング信号OUT、1次コイルL1の一端N1の電位VP、2次コイルL2の一端N2の電位VS、補助コイルL3の一端N3の電位VD、マスク信号MSKが示される。
【0120】
まず、メインコンバータに着目する。制御回路18によって、スイッチング信号OUTが生成され、スイッチングトランジスタM1はオンとオフを交互に繰り返す。スイッチングトランジスタM1がオンの期間、電圧VPは接地電圧付近に固定される。
【0121】
スイッチングトランジスタM1がオフすると、1次コイルL1に逆起電力が発生し、電圧VPが大きく跳ね上がる。Vdc=140Vのとき、ピーク電圧はその2倍の280V程度に達する場合もある。スイッチングトランジスタM1がオフすると、1次コイルL1に蓄えられたエネルギーが、電流として第1ダイオードD1を介して第1出力キャパシタCo1に転送される。
【0122】
2次コイルL2の一端には、1次コイルL1の電圧VPに比例した、つまり急峻なピークを有する電圧VSが発生する。2次コイルL2の一端と第1出力キャパシタCo1は、第1ダイオードD1を介してカップリングされる。したがって第1出力キャパシタCo1の容量値が小さければ、出力電圧Voutは電圧VPに追従し、Vout=VP−Vfを満たすように上昇するはずである。ここでVfは第1ダイオードD1の順方向電圧である。ところが、第1出力キャパシタCo1の容量値は十分に大きいため、出力電圧Voutの上昇はほとんど発生せず、一定に保たれる。
【0123】
続いて、補助コンバータに着目する。補助コイルL3の電圧VDにも、電圧VPと同様のリップルノイズが生ずる。マスク信号MSKは、図8に示すように、スイッチングトランジスタM1がオフした後のマスク期間ΔTの間、ハイレベルとなり、マスク用スイッチSW3がオフする。このマスク期間ΔTは、電圧VSにリップルノイズが発生する期間とオーバーラップしている。
【0124】
マスク期間ΔTの間、マスク用スイッチSW3がオフするため、電圧VDのリップルノイズは第2出力キャパシタCo2には印加されないため、第2出力キャパシタCo2の容量が小さい場合であっても第2電圧Vccの上昇を抑制することができる。
【0125】
図6の電源装置100の利点は図5の回路との比較によって明確となる。もし図5に示すように補助コイルL3、第2ダイオードD2、第2出力キャパシタCo2が直接接続されていると、電圧VPのリップルノイズが第2電圧Vccにも現れる。なぜなら第2出力キャパシタCo2の容量値はそれほど大きくないからである。
【0126】
第2電圧Vccにリップルノイズが発生する場合、制御回路18の過電圧保護(OVP)が不要に働くおそれがあるため、過電圧保護のしきい値電圧の設計が難しくなる。あるいは、制御回路18に必要とされる耐圧が高くなるため、コストが高くなる要因となっていた。
【0127】
図6の電源装置100によれば、第2電圧Vccが大きく上昇するという問題を解決できるため、制御回路18の設計が容易となり、あるいはコストを下げることができる。
【0128】
第2電圧Vccにリップルノイズが発生しないという利点によって、以下の非常に有用な変形例がもたらされる。
【0129】
図9は、変形例に係る電源装置100aの構成を示す回路図である。
図5では、第2電圧Vccに大きなリップルノイズが載っているため、第2電圧Vccにもとづいてフィードバックを行うことができない。それゆえ出力電圧Voutに応じたフィードバック信号Vfbにもとづいてスイッチング信号OUTを発生していた。
【0130】
これに対して、変形例に係る電源装置100aでは、第2電圧Vccが安定化されているため、第2電圧Vccにもとづいてスイッチング信号OUTを発生する。具体的には制御回路18のフィードバック端子FBには、第2電圧Vccに応じたフィードバック信号Vfbがフィードバックされる。
【0131】
第2電圧Vccは、トランスT1の1次側に発生するため、制御回路18に電気的にフィードバックすることができる。つまりフォトカプラが不要となるため、コストを下げることができる。
【0132】
また、フィードバック端子FBと電源端子VCCには、いずれも第2電圧Vccに応じた信号が入力されることから、フィードバック端子FBと電源端子VCCを共有してもよい。この場合、制御回路18のピン数を削減でき、チップサイズを小さくできる。
【0133】
以上、本発明のある態様について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0134】
マスク用スイッチSW3に関しては、以下の変形例が例示される。
たとえばマスク用スイッチSW3は、PNP型バイポーラトランジスタで構成してもよいし、トランスファゲートで構成してもよい。またマスク用スイッチSW3と第2ダイオードD2の位置は、入れ替えてもよい。
【0135】
実施の形態では、マスク期間ΔTが固定される場合を説明したが、1次コイルL1、2次コイルL2、補助コイルL3に発生する電圧VP、VS、VDのいずれかにもとづいて、マスク期間ΔTの長さを動的に制御してもよい。
【0136】
マスク信号MSKは、制御回路18の外部の回路によって生成されてもよい。
【0137】
さらに、スイッチングトランジスタM1のオン期間Tonにおいて、補助コイルL3から第2出力キャパシタCo2には電流が流れないため、マスク用スイッチSW3はオフしてもよいし、オンしてもよい。当業者であれば、必要なマスク信号MSKを発生するためのさまざまなマスク信号生成部70を設計することができる。たとえばマスク信号生成部70は、オン信号Son、オフ信号Soff、変調信号Smod、ハイサイド駆動信号SH、ローサイド駆動信号SLのいずれか、あるいはそれらの組み合わせにもとづいて生成できる。また、遅延回路72に代えて、あるいはそれに加えて、ワンショット回路やカウンタ、タイマを利用してもよい。
【0138】
当業者であれば、制御回路18にはさまざまなタイプが存在すること、またその構成が本発明において限定されるものでないことは理解される。制御回路18は市販される汎用的なものを用いてもよい。
【0139】
たとえば図7のオン信号生成部54として、コンパレータに代えて、所定のオフ時間Toffを測定するタイマ回路を用いてもよい。エネルギーの放出に要する時間をあらかじめ見積もることにより、オフ時間Toffを固定することも可能である。この場合、エネルギー効率の悪化と引き替えに、回路を簡略化できる。
【0140】
さらに、図6に代表される第3の実施の形態に係る技術は、図4に代表される第2の実施の形態と好適に組み合わせることができる。つまり、図4の回路に、マスク用スイッチSW3を設け、これをマスク信号に応じて制御してもよい。
【0141】
本実施の形態では、DC/DCコンバータ16を電源アダプタに搭載する場合を説明したが、本発明はそれに限定されず、さまざまな電源装置に適用することができる。
【0142】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0143】
1…電子機器、2…内蔵電池、3…信号処理部、10…コンセントプラグ、12…コンセントケーブル、14…整流回路、C1…平滑用キャパシタ、R1…抵抗、16…DC/DCコンバータ、16a…コンバータ部、16b…フィードバック部、M1…スイッチングトランジスタ、19…筐体、20…コネクタ側ケーブル、22…機器側コネクタ、24…検出部、30…制御IC、32…スイッチング信号発生部、34…状態監視部、36…BGR、40…マイコン、100…電源アダプタ、S1…接続検出信号、S2…満充電検出信号、P1,P2…電圧供給端子、P3…検出信号受信端子、F1…ヒューズ、SW1…アクティベーションスイッチ、SW2…スタンバイスイッチ。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、電源装置に利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9