特許第5731406号(P5731406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイションの特許一覧

特許5731406クロモリン誘導体、クロモリン誘導体を用いた治療方法及び造影方法
<>
  • 特許5731406-クロモリン誘導体、クロモリン誘導体を用いた治療方法及び造影方法 図000051
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731406
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】クロモリン誘導体、クロモリン誘導体を用いた治療方法及び造影方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 311/24 20060101AFI20150521BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20150521BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20150521BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20150521BHJP
   A61K 51/00 20060101ALI20150521BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   C07D311/24CSP
   A61P9/10
   A61P25/28
   A61K31/353
   A61K49/02 C
   A61K49/00 C
【請求項の数】23
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2011-548321(P2011-548321)
(86)(22)【出願日】2010年1月29日
(65)【公表番号】特表2012-516356(P2012-516356A)
(43)【公表日】2012年7月19日
(86)【国際出願番号】US2010022495
(87)【国際公開番号】WO2010088455
(87)【国際公開日】20100805
【審査請求日】2013年1月17日
(31)【優先権主張番号】61/148,245
(32)【優先日】2009年1月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108017
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】エルマレー、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ショウプ、ティモシー
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−510535(JP,A)
【文献】 特表平04−505006(JP,A)
【文献】 英国特許第01144906(GB,B)
【文献】 国際公開第2007/094718(WO,A1)
【文献】 国際公開第2002/028820(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 311/00
A61K 31/00
A61K 49/00
A61K 51/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)又は(II)にて表される化合物、又は、その塩、若しくは、エステル。
【化1】
【化2】
(式中、Xは、18F、又は、19Fであり、YおよびZは、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシル、ハロゲン、18F、19F、又は、Hから独立して選択され、nは1,2、又は3である。)
【請求項2】
前記YおよびZが、Hである、請求項に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、下記の[化3]にて表される構造、又は、その塩、若しくは、エステルである、請求項に記載の化合物。
【化3】
【請求項4】
前記YおよびZのうち一方又は両方が、18F、又は、19Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む医
薬組成物。
【請求項6】
(a)下記の式(I)又は(II)にて表される化合物、又は、その塩、若しくは、エステルを有する18F標識を含む化合物を被験体に投与するステップと、
【化4】
【化5】
(式中、Xは、18Fであり、YおよびZは、ハロゲン、又は、Hから独立して選択され、nは1、または、2である。)
(b)前記被験体において前記化合物に基づいて発されたガンマ線を造影して、前記被験体に含まれた前記化合物のポジトロン放射断層撮影(PET)スキャンを提供するステップと、
を含む、被験体のポジトロン放射断層撮影(PET)スキャンを提供する方法。
【請求項7】
前記被験体における前記化合物の存在、不在、又は、レベルが、アテローム硬化性プラークを示す、請求項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物の有効量を含む、被験体におけるアテローム硬化性プラークを治療するための医薬組成物
【請求項9】
請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物の有効量を含む被験体におけるアルツハイマー病を治療するための医薬組成物
【請求項10】
無水又は非プロトン性の条件下でフッ化物部分を、脂肪族炭素上にトリフラート又はトシラート部分を有する有機化合物と接触させることを含む、請求項に記載のフッ素化クロモリン誘導体の製造方法であって、前記有機化合物が、前記脂肪族炭素上でフッ素化される、製造方法。
【請求項11】
無水又は非プロトン性条件下でフッ化物部分を、ニトロ基、置換アンモニウムイオン、置換スルホニウムイオン、置換ホスホニウムイオン、又は、ハロゲンに結合した活性芳香族環を有する有機化合物と接触させることを含む、請求項に記載のクロモリン誘導体の製造方法であって、前記有機化合物が、前記ニトロ基、置換アンモニウムイオン、置換スルホニウムイオン、置換ホスホニウムイオン、又は、ハロゲンに本来結合した前記芳香族環の炭素上でフッ素化される、製造方法。
【請求項12】
被験体におけるインビボ造影のための注射可能な製剤の製造における請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
被験体におけるアテローム硬化性プラークの治療のための薬剤の製造における請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
下記の式(I)又は(II)にて表される化合物、又は、その塩、若しくは、エステルを含む、被験体のインビボポジトロン放射断層撮影(PET)造影に使用するための医薬組成物。
【化6】
【化7】
(式中、Xは、OH,又は、18Fであり、YおよびZは、ハロゲン、又は、Hから独立して選択され、nは1、または、2であり、そして、XがOHであるとき、Y及びZのうち1以上が18Fである)
【請求項15】
被験体におけるアテローム硬化性プラークを治療するため請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
下記の式(I)又は(II)にて表される化合物、又は、その塩、若しくは、エステルを含む、全身伝達にて被験体におけるアルツハイマー病を治療するための医薬組成物。
【化8】
【化9】
(式中、Xは、OH,又は、19Fであり、YおよびZは、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシル、ハロゲン、又は、Hから独立して選択され、nは1、又は、2である)
【請求項17】
前記全身伝達が、経口、非経口、鼻腔内、舌下、直腸、及び経皮投与からなる群から選択されたものである、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
全身伝達にて被験体におけるアルツハイマー病の治療のための薬剤の製造における下記の式(I)又は(II)にて表される化合物、又は、その塩、若しくは、エステルの使用。
【化10】
【化11】
(式中、Xは、OH,又は、19Fであり、YおよびZは、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシル、ハロゲン、又は、Hから独立して選択され、nは1、又は、2である)
【請求項19】
前記全身伝達が、経口、非経口、鼻腔内、舌下、直腸、及び経皮投与からなる群から選択されたものである、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
下記の式(I)又は(II)にて表される化合物、又は、その塩、若しくは、エステルを含む、全身伝達にて被験体におけるアミロイドβ‐ペプチドオリゴマーの重合を阻害するための医薬組成物。
【化12】
【化13】
(式中、Xは、OH,又は、19Fであり、YおよびZは、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシル、ハロゲン、又は、Hから独立して選択され、nは1、又は、2である)
【請求項21】
前記被験体におけるアミロイドβ‐ペプチドオリゴマーの重合を阻害することが、前記被験体におけるアルツハイマー病の治療を含む、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
全身伝達にて被験体におけるアミロイドβ‐ペプチドオリゴマーの重合を阻害する薬剤の製造における下記の式(I)又は(II)にて表される化合物、又は、その塩、若しくは、エステルの使用。
【化14】
【化15】
(式中、Xは、OH,又は、19Fであり、YおよびZは、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシル、ハロゲン、又は、Hから独立して選択され、nは1、又は、2である)
【請求項23】
前記被験体におけるアミロイドβ‐ペプチドオリゴマーの重合を阻害することが、前記被験体におけるアルツハイマー病の治療を含む、請求項22に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件出願は、2009年1月29日付けで提出された米国仮出願番号第61/148,245号に基づく優先権を伴う。この米国仮出願に記載された内容は、参考までに本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、造影方法及び疾病の治療方法に関する。詳しくは、本発明は、ポジトロン放射断層撮影法(PET)造影に使用するためのクロモリン誘導体、並びに、それに関連する治療及び診断方法に関する。
【背景技術】
【0003】
冠動脈疾患(coronary artery disease)は、米国をはじめとするほとんどの先進国における罹患率及び死亡率の主要な原因となっている。アテローム性動脈硬化及びその合併症(例えば、心筋梗塞及び脳卒中)は、主に冠動脈疾患によって引き起こされる。米国における死亡ケースの少なくとも43%(600万人以上)がアテローム性動脈硬化症によるものである(1)。
【0004】
基礎科学の進歩に伴い、冠動脈疾患が、動脈内皮細胞に対する刺激(irritation)、損傷(injury)、治癒(healing)、及び、再損傷(re−injury)の長いサイクルを特徴とする動脈炎症性過程であることが明らかになった。アテローム性動脈硬化症、冠動脈の炎症、及び、心虚血の様々な段階において肥満細胞が見られるのもその証拠である(2−7)。結合組織に存在する肥満細胞は、必要とされる身体の場所に免疫防衛系のその他の主要なプレーヤーを呼び寄せるだけでなく、細胞内メディエーター(intracellular mediator)の放出を活性化すること(脱顆粒)によって、疾病から組織を防衛するという免疫系を助ける重要な役割を果たす。血管損傷に対し、心臓の肥満細胞は、リポプロテインと相互作用することでマクロファージに液体を運び、平滑筋細胞及びTリンパ球に作用する様々なサイトカインを放出する。この過程は、より進んだ、複雑な閉塞性病変、いわゆる、繊維性プラーク(fibrous plaque)に発展する。肥満細胞によって放出されたその他の親炎症性メディエーター(pro−inflammatory mediator)はヒスタミン(ヒスタミンは、冠動脈を収縮させる。)、IL−6及び、IFN−ガンマのようなサイトカイン類である。これらは、大動脈壁における細胞外マトリックスの分離(degradation)及び平滑筋細胞の致死を引き起こし、それにより、壁を弱化させて、それを拡張させる。したがって、炎症反応は、内皮の機能不全を引き起こし、それにより、炎症部位に部分的に混合されるようになる平滑筋の移動及び増殖をもたらし、繊維性プラーク及び複雑な病変(complicated lesion)を形成する。
【0005】
クロモグリケート二ナトリウム(disodium cromoglicate)、いわゆるクロモリン(cromolyn)は、クロモグリク酸二ナトリウム塩(disodium salt of cromoglicic acid)である。これは、抗炎症剤として用いられる。文献には、クロモリンが肥満細胞安定剤として記載され、それは、クロモリンが、肥満細胞からの 血管作用性 (vasoactive)・親催不整脈性(proarrhythmogenic)の化学的ヒスタミン、及び、サイトカイン類のようなメディエーターの放出を阻止(予防)して、炎症細胞を安定させることで働くからである。メディエーター放出の阻止(予防)効果は、感作された肥満細胞の膜へのカルシウムイオンの侵入を間接的に遮断することに基づくものと考えられる。また、クロモリンは、好中球、好酸球、及び、単球のようなその他の炎症細胞の移動を阻害する(8)。
【0006】
マウスを利用した最近の研究では、アテローム発生時に全身的な肥満細胞の活性化がプラークの形成をもたらすことが明らかになった(9)。また、その動物を肥満細胞安定剤であるクロモリンを用いて治療した場合に、ジニトロフェニルアルブミン(dinitropphenyl− lbumin)によって誘発されたプラーク膨張(plaque expansion)が妨げられ、別の研究では、マウスにおいてストレスによる冠動脈炎症(stress−related coronary inflammation)後の心臓肥満細胞の活性化が調べられた(10)。アテローム硬化性血管(atherosclerotic vessel)の近くに活性化された肥満細胞が見られた。クロモリンで治療したマウスでは、肥満細胞に存在する親炎症性サイトカインであるインターロイキン‐6(IL−6)の放出が部分的に阻害された。
【0007】
活性化された心臓肥満細胞が、冠動脈炎症、心筋梗塞、虚血性心筋症(ischemic cardiomyopathy)に伴って増加する証拠が相次いで見つかっている。また、肥満細胞は、プラーク蓄積(plaque buildup)をもたらす心臓動脈の内皮の機能不全を引き起こすことによって、ヒトにおけるアテローム硬化性病変の形成を促すことができる。クロモニン標的は、肥満細胞を感作させるため、標識付きのクロモリン類似物は感動脈疾患の早期診断のための診断用プローブとして用いられる可能性がある。
【0008】
ヒトにおける退行性疾患(degenerative disease)を検出するのに有用な新しい造影剤(imaging agent)を得ることが望まれている。特に、肥満細胞のような炎症マーカーと関連した新しい造影プローブ(imaging probe)は、PETまたはMRI造影のような精密かつ非侵襲的な技術を用いることによって、アテローム性動脈硬化症のような炎症性疾患を早期に検出できるようにした。こうした新しい化合物は、炎症、感染症、アテローム性動脈硬化症、及び、アルツハイマー病を含む(それらに制限されるものではない。)疾病の治療に計り知れない利点をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、新規のクロモリン誘導体の合成および使用に着目した。したがって、本発明は、心臓、脳および頸動脈におけるアテローム硬化性プラーク、ならびに、脳におけるβ−アミロイドプラークを含んだ、炎症活性の部位を造影するのに適した造影剤を提供し、また、炎症、感染症、アテローム硬化性プラーク、および、アルツハイマー病を含む(これらに制限されるものではない。)様々な状態の治療に治療効果を示す化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
先ず、本発明は、下記の式(I)又は(II)にて表される化合物、又は、その式(I)又は(II)にて表される化合物の塩、若しくは、エステルを提供する。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
(式中、Xは、OH,C1−C6アルコキシル、18F、又は、19Fであり、YおよびZは、 C1−C6アルキル、 C1−C6アルコキシル、ハロゲン、非置換若しくは C1−C6置換アミン、 18F、19F 、又は、Hから独立して選択され、nは1,2、又は3であり、 そして、式(I)において、両方のnが1であり、かつ、YおよびZの両方がHであれば、XはOH以外のものとなる。)
【0013】
一部の実施形態において、前記Xは18F、又は、19Fであり、もり好ましくは、前記YおよびZが、Hである。特に好ましい化合物は、下記の構造(化合物A)、又は、その塩、若しくは、そのエステルである。
【0014】
【化3】
【0015】
別の実施形態において、前記YおよびZのうち一方又は両方は18F、又は、19Fであり、より好ましくは、前記XがOHである。特に好ましい化合物は、下記の構造(化4又は化5)、又は、その塩、若しくは、そのエステルである。
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】
一つの実施形態によれば、前記化合物は、放射標識を欠いたものであり、好ましくは、XはOHで、YおよびZは水素である(構造(I)において、XがOHで、YおよびZが水素である場合に、両方のnが1とならない場合を除く。)。
【0019】
本発明の好ましい化合物(特に、造影目的に好ましい化合物)は、被験体の心臓、脳、および/または、頸動脈におけるアテローム性硬化性プラーク、又は、被験体の脳のβ‐アミロイドプラークに集まる。
【0020】
別の実施形態において、本発明の化合物は、 1以上の前記化合物と、医薬的に許可可能な担体と、の薬学的に適当な投与形態で提供される。
【0021】
本発明の化合物は、PET造影以外の別の形態の造影にも有用である。本発明の化合物は、核磁気共鳴映像(MRI)を促すために、19Fアイソトープ又は13Cアイソトープのようなアイソトープで同位体標識され得る。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、(a)18F標識を含む化合物を被験体に投与するステップと、(b)前記被験体において前記化合物に基づいて発されたガンマ線を造影して、前記被験体に含まれた前記化合物のポジトロン放射断層撮影(PET)スキャンを提供するステップと、を含む、被験体のポジトロン放射断層撮影(PET)スキャンを提供する方法を提供する。
【0023】
好ましくは、前記被験体における前記化合物の存在、不在、又は、レベルが、前記被験体の心臓、脳、又は、頸動脈に存在するアテローム硬化性プラークを含む(しかし、それに限られるものではない。)疾病状態を示す。
【0024】
前記被験体は、生きている動物であるのが好ましく、ヒトであるのが最も好ましい。前記化合物は、典型的に静脈注射によって前記被験体へ投与される。一部の実施形態において、磁気共鳴映像(MRI)又はコンピュータ単層撮影(CT)による被験体のコントラスト造影(contrast imaging)という更なるステップを含む。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、(a)18F標識を含む化合物を被験体に投与するステップと、(b)前記被験体を造影して、前記被験体に含まれた前記化合物の磁気共鳴映像を得るステップと、を含む、被験体の磁気共鳴映像を提供する方法を提供する。
【0026】
好ましくは、前記被験体における前記化合物の存在、不在、又は、レベルが、前記被験体の心臓、脳、又は、頸動脈に存在するアテローム硬化性プラークのような疾病状態を示す。
【0027】
本発明は、本発明の化合物の有効量を被験体に投与して、前記被験体におけるアテローム硬化性プラークを治療することを含む、被験体におけるアテローム硬化性プラークの治療方法を提供する。
【0028】
本発明は、本発明の化合物の有効量を被験体に投与して、前記被験体におけるアルツハイマー病を治療することを含む、被験体におけるアルツハイマー病の治療方法を提供する。
【0029】
本発明は、フッ素化化合物の製造するための新規の方法を提供する。かかる方法は、従来の方法に比べて、より迅速な合成及び精製を可能にする。したがって、本発明の方法は、造影用途(imaging application)のための放射標識フッ素で化合物をフッ素化するのに特に適している。
【0030】
製造方法に係る一つの実施形態では、無水又は非プロトン性の条件下でフッ化物部分(fluoride moiety)を、脂肪族炭素上にトリフラート(triflate)又はトシラート(tosylate)部分を有する有機化合物と接触させる。こうした条件下で、フッ素化物部分は求核剤として、および、トリフラート又はトシラートは求核置換反応における離脱基としてはそれぞれたらき、その結果、有機化合物のフッ素化が起こる。好ましくは、この方法に使用されるフッ素化物部分はF−18である。
【0031】
一部の実施形態では、フッ素化部分と接触された有機化合物がl,3−ビス[(トリルスルホニル)オキシ]−2−[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ−プロパンであり、その結果得られた生成物を別の化合物とさらに反応させて、フッ素化クロモリン誘導体を提供する。一つの実施形態では、クロモリン誘導体(前記構造(I)及び(II)におけるXがフッ素原子である。)を提供する。そのフッ素原子が、放射標識F−18であることが好ましい。
【0032】
製造方法の別の実施形態によれば、無水又は非プロトン性条件下でフッ化物部分を、ニトロ基、置換アンモニウムイオン、置換スルホニウムイオン、置換ホスホニウムイオン、又は、ハロゲンに結合した活性芳香族環を有する有機化合物と接触させる。こうした条件下で、フッ素化物部分は前記ニトロ基、置換アンモニウムイオン、置換スルホニウムイオン、置換ホスホニウムイオン、又は、ハロゲンと引き換えられ、その結果、芳香族環上で有機化合物のフッ素化が起こる。好ましくは、この方法に使用されるフッ素化物部分はF−18である。
【0033】
かかる実施形態の一部の実施例によれば、前記フッ素物部分と接触された前記有機化合物は、クロモリン誘導体系置換アンモニウム塩(cromolyn derivative−based substituted ammonium salt)である。ここで、置換アンモニウム塩の窒素原子は、クロモリン誘導体の芳香族環に結合している。一部の実施形態では、クロモリン誘導体(前記構造(I)及び(II)におけるY又はZがフッ素原子である。)を提供する。前記フッ素原子が放射標識F−18であることが好ましい。
【0034】
勿論、本発明は、被験体におけるインビボ造影のための注射可能な製剤の製造における本発明の化合物の使用を提供する。また、本発明は、被験体におけるアテローム硬化性プラーク又はアルツハイマー病の治療のための薬剤の製造における本発明の化合物の使用を提供する。また、本発明は、被験体のインビボ造影、および、疾病状態の治療における本発明の化合物の使用を提供する。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、心臓、脳および頸動脈におけるアテローム硬化性プラーク、ならびに、脳におけるβ−アミロイドプラークを含んだ、炎症活性の部位を造影するのに適した造影剤が提供され、また、炎症、感染症、アテローム硬化性プラーク、および、アルツハイマー病を含む様々な状態の治療に治療効果を示す化合物が提供される。
【0036】
本発明のその他の目的、構成、および、利点は、発明の詳細な説明、特許請求の範囲、図面の記載から明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、静脈注射したマウスにおけるその後のクロモリン化合物Aの生体内分布(biodistribution)を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
<一般論>
本発明の物質及び方法を説明する前に、本発明は、特に本明細書に記載された特定の方法、プロトコール、材料(物質)、及び、試薬に限られず、様々な形で実施することができることを理解してもらいたい。この明細書に使用した用語は、特定の実施例を説明するために用いられたのに過ぎず、本発明の技術的範囲を制限する意図はない。
【0039】
本明細書及び特許請求の範囲に記載したように、特に規定しない限り、単数形("a"、"an"、及び、"the")は、複数形をも含むものとする。また、用語「a(an)」、「1以上」、および「少なくとも一つ」は、この明細書において同じ意味で使われる。用語「含む(comprising)」は、明細書および特許請求の範囲に使われるときに、開放的な意味を持つ(つまり、それ以外のものを排除する制限的なものではない)。したがって、本明細書において、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、および、「有する(having)」は相互に同じ意味を持つ。
【0040】
特に規定しない限り、本明細書において使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を持つ。抵触の場合には、定義を含む本願が支配する。全ての文献、特許出願、特許および本明細書において記載する他の参考文献は参照として組み入れられる。本明細書に記載するものと同様または等価な方法および材料を本発明を実施または試験する際に使用することができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。材料、方法および実施例は例示的なだけであり、限定する意図のものではない。本発明の他の特徴および利点は詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【0041】
本明細書において使用する用語は、専ら本発明の実施例を説明するために設けられ、本発明を全体的に制限するものとして解釈されてはならない。特に規定しない限り、本明細書において、単数形(例えば、「a」、「an」、及び、「the」)、並びに、「1以上(at least one)」は同じ意味(即ち、1以上)を持つ。
【0042】
本明細書において使用する用語「有機基(organic group)」は、脂肪族基(aliphatic group)、環状基(cyclic group)、または、脂肪族及び環状基の組み合わせ(例えば、アルカリル(alkaryl)及びアラルキル(aralkyl)基)として分類される炭化水素基を意味する。本発明において、本発明のクロモリン誘導体に適した有機基は、クロモリン誘導体の造影能(imaging activity)を妨げないものである。本明細書において使用する「脂肪族基」は、飽和または不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素を意味する。その用語は、例えば、アルキル、アルケニル、及び、アルキニル基を含む。本発明の文脈において、本発明のクロモリン誘導体に適した有機基は、クロモリン誘導体の造影活性(imaging activity)を妨害しないものである。本発明の文脈において、用語「脂肪族基」は、飽和または不飽和の直鎖状又は分枝状の炭化水素基を意味する。この用語は、例えば、アルキル、アルケニル、及び、アルキニル基を包含するものとして使用される。
【0043】
本明細書において使用する「アルキル」、「アルケニル」、及び、接頭辞「アルク(alk−)」は、直鎖基及び分岐鎖基、並びに、環状基(例えば、シクロアルキル、及び、シクロアルケニル)を含む。特に規定しない限り、これらの基は1〜20個の炭素原子を含む(アルケニル基においては、2〜20個の炭素原子を含む。)。一部の実施例において、これらの基は、10個以下、8個以下、6個以下、または、4個以下の総炭素原子数を有する。環状基(cyclic group)は、単環式または多環式であり、3〜10個の環炭素原子(ring carbon atom)を有するのが好ましい。環状基の例として、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロペンチル、シクロへキシル、アダマンチル、及び、置換または非置換ボルニル、ノルボルニル、及び、ノルボルネニル(norbornenyl)が挙げられる。
【0044】
本明細書において使用する「複素環(heterocyclic)」は、1以上の環へテロ原子(例えば、O,S,N)を含む、シクロアルキル、若しくは、シクロアルケニル非芳香族環、または、環式システム(ring system)を含む。
【0045】
特に規定しない限り、「アルキレン(alkylene)」及び「アルケニレン(alkenylene)」は、前述したアルキル及びアルケニル基の2価の形態をいう。「アルキレニル(alkylenyl)」及び「アルケニレニル(alkenylenyl)」は、アルキレン及びアルケニレンがそれぞれ置換されるときに使用される。例えば、アリールアルキレニル基(arylalkylenyl)は、アリール基が結合したアルキレン部分(alkylene moiety)を含む。
【0046】
本明細書に使用する用語「ハロアルキル」は、1以上のハロゲン原子(全フッ素置換された基(perfluorinated groups)を含む。)によって置換された基を含む。これは、接頭語「ハロ」を含んだ別の基に対しても同様である。適当なハロアルキル基の例として、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル等が挙げられる。「ハロゲン」は、塩素、臭素、フッ素、および、ヨウ素を含む元素である。
【0047】
本明細書において使用する用語「アリール」は、 単環式または多環式芳香族炭化水素または環系を含む。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニルおよびインデニルが含まれる。アリール基は置換または非置換であり得る。アリール基は、芳香族アヌレン(annulene)、融合アリール基(fused aryl groups)、および、ヘテロアリール基を含む。本明細書において、アリール基は、アリール環とも称される。
【0048】
特に規定しない限り、用語「ヘテロ原子」は、O,S,又は、N原子をいう。
【0049】
用語「ヘテロアリール」は少なくとも1個の環ヘテロ原子(例えば、O,S,N)を含む芳香族環又は環系を含む。いくつかの実施形態において、用語「ヘテロアリール」には、2〜12個の炭素原子、1〜3個の環、1〜4個のヘテロ原子、および、ヘテロ原子としてO、S、および/またはNを含む環または環系が含まれる。適当なヘテロアリール基として、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、ピロリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、キノキサリニル、ベンゾチアゾリル、ナフチリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、プリニル、キナゾリニル、ピラジニル、1−オキシドピリジル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリルなどが挙げられる。
【0050】
用語「アリーレン(arylene)」および「ヘテロアリーレン(heteroarylene)」は前述した「アリール」および「ヘテロアリール」基の二価の形態である。用語「アリーレニル(arylenyl)」および「ヘテロアリーレニル(heteroarylenyl)」は、「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」のそれぞれが置換された場合に使用される。例えば、アルキルアリーレニル基は、アルキル基が結合したアリーレン部分を含む。
【0051】
用語「縮合アリール環(fused aryl ring)」は、縮合炭素環式芳香族環または環系を含む。縮合アリール環の例として、ベンゾ(benzo)、ナフト(naphtho)、フルオレノ(fluoreno)、および、インデノ(indeno)が挙げられる。
【0052】
用語「アヌレン(annulene)」は、完全共役単環式の炭化水素(completely conjugated monocyclic hydrocarbon)であるアリール基をいう。アヌレンの例としては、シクロブタジエン、ベンゼン、および、シクロオクタテトラエン(cyclooctatetraene)などが挙げられる。アリール基中に存在するアヌレンは、通常、炭素などの他の原子で置換された1以上の水素原子を有する。
【0053】
本明細書に記載された任意の式またはスキームにおいて基が1以上存在する場合、各基(または置換基)は、明示的に記載されているか否かを問わず、独立して選択される。例えば、式−C(O)NR2において、2つのR基はそれぞれ独立して選択される。
【0054】
本明細書を通して、用語「基(group)」及び「部分(moiety)」は、置換を許容する化学種、または、置換され得る化学種と、そうした置換を許容しない化学種またはそのように置換され得ない化学種とを区別するために使用されている。したがって、化学的置換基(chemical substituent)を説明するために用語「基(group)」が使用された場合、そこに記載された化学物質は、非置換基、及び、(例えば、鎖に)非過酸化(nonperoxidic)O,N,S,Si,または、F原子を有する非置換基、並びに、カルボニル基、または、その他の通常の置換基を含む。用語「部分(moiety)」が化合物又は置換基を説明するために使用された場合、単に非置換化学物質のみが含まれる。例えば、「アルキル基(alkyl group)」は、純粋な開放鎖(open chain)飽和炭化水素アルキル置換基(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル等)だけでなく、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン原子、シアノ(cyano)、ニトロ、カルボキシルなどの周知の置換基をさらに有するアルキル置換基をも含む。したがって、「アルキル基」は、エーテル基、ハロアルキル、ニトロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキルなどを含む。一方で、用語「アルキル部分(alkyl moiety)」は、単に純粋な開放鎖飽和炭化水素アルキル置換基、例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなどを含むものに限られる。
【0055】
本発明は、異性体(例えば、ジアステレオマーおよびエナンチオマー)、互変異性体(tautomer)、塩、溶媒和物、多形(polymorph)、プロドラッグ等を含む薬学的に許容されるいずれかの形態(中間体を含む)をなした本明細書に記載される化合物をも含む。特に、化合物が光学活性である場合に、本発明は、化合物の各々の鏡像異性体だけでなく、それらの鏡像異性体のラセミ混合物をも含む。用語「化合物」は、明示的に記載されているかいないかを問わず(時々「塩」が明示的に記載されているにもかかわらず)前述した形態のいずれかまたはすべてを含むものと理解すべきである。
【0056】
本明細書において使用する「薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)」は、化合物または組成物または担体が治療の必要性に照らして不当に有害な副作用なしに、本明細書に記載された治療を達成するための被験体への投与に適していることを意味する。
【0057】
II.本発明
特定の観点から、本発明は、被験体の心臓、脳、又は、頸動脈(carotid artery)におけるアテローム硬化性プラーク(atherosclerotic plaque)のような炎症部位の医学的造影のための放射標識クロモリン類似物(radiolabeled cromolyn analog)に関する。別の観点から、放射標識された、又は、放射標識されていない形態の本発明の化合物は、アテローム硬化性プラークおよびアルツハイマー病のような様々な疾病の治療剤である。
【0058】
クロモグリケート二ナトリウム(disodium cromoglicate)、いわゆるクロモリン(cromolyn)は、抗炎症剤である。クロモリンは、肥満細胞安定剤であり、かつ、肥満細胞からの血管作用性(vasoactive)、親催不整脈性(proarrhythmogenic)の化学的ヒスタミンおよびサイトカインのようなメディエーターの放出を予防することによって作用するものと考えられる。メディエーターの放出の予防は、感作された肥満細胞の膜へのカルシウムイオンの侵入を間接的に遮断することに起因するものと考えられる。クロモリンは、好中球、好酸球、および、単球のようなその他の炎症性細胞の移動を阻害するものと見られる。本明細書において、本発明者は、アテローム性動脈硬化症、βアミロイド班形成のその後の進行、治療効果および予防のためのバイオマーカーとして、その治療剤として、その造影剤として用いられるクロモリンの新しい放射標識類似物の製造および使用を説明する。一つの実施例において、クロモリン類似物は、PETおよびMRI造影を可能にする核種で放射標識されている。また、本発明は、活動性感染症およびその他の炎症性プロセス、例えば、アテローム性動脈硬化症、又は、アルツハイマー病をターゲットにし、治療する化合物の製造方法およびその使用を提供する。
【0059】
本発明の化合物は、様々な目的で使用され得る。例えば、本発明の化合物は、動物研究のためのリーサーチツール(research tool)、臨床医のための診断剤、生物研究のためのバイオマーカー、アテローム性動脈硬化症又はアルツハイマー病の治療剤、アテローム性動脈硬化症又はアルツハイマー病のMRI造影プローブ(例えば、19Fアイソトープである1以上のフッ素原子を含む化合物)、および、アテローム性動脈硬化症又はアルツハイマー病の診断用PETプローブ(例えば、18Fアイソトープであるフッ素原子1以上、又は、13Cアイソトープである炭素原子1以上を含む化合物)として使用され得る。
【0060】
クロモリン誘導体は、本発明の造影方法に用いるのに有利であると考えられる。本明細書において使用する用語「クロモリン誘導体(cromolyn derivative)」は、「クロモリン類似物(cromolyn analog)」および「クロモリン類似体(cromolyn analogue)」と同じ意味で使われる。
【0061】
向上された造影を示すクロモリン誘導体が好ましい。本発明のクロモリン誘導体は、次の式(I)又は(II)にて表される化合物、又は、その式(I)又は(II)にて表される化合物の塩、若しくは、エステルを含む。
【0062】
【化6】
【0063】
【化7】
(式中、Xは、OH,C1−C6アルコキシル、18F、又は、19Fであり、YおよびZは、 C1−C6アルキル、 C1−C6アルコキシル、ハロゲン、非置換若しくは C1−C6置換アミン、 18F、19F 、又は、Hから独立して選択され、nは1,2、又は3であり、 そして、式(I)において、両方のnが1であり、かつ、YおよびZの両方がHであれば、XはOH以外のものとなる。)
【0064】
一部の実施形態において、前記Xは18F、又は、19Fであり、もり好ましくは、前記YおよびZが、Hである。特に好ましい化合物は、下記の構造(化合物A)、又は、その塩、若しくは、そのエステルである。
【0065】
【化8】
【0066】
別の実施形態において、前記YおよびZのうち一方又は両方は18F、又は、19Fであり、より好ましくは、前記XがOHである。特に好ましい化合物は、下記の[化9]にて表される化合物(化合物B)若しくは下記の[化10]にて表される化合物(化合物C)、又は、その塩、若しくは、そのエステルである。
【0067】
【化9】
【0068】
【化10】
【0069】
一つの実施形態によれば、前記化合物は、放射標識(radiolabel)を欠いたものであり、好ましくは、XはOHで、YおよびZは水素である(構造(I)において、XがOHで、YおよびZが水素である場合に、両方のnが1にならない場合を除く。)。
【0070】
本発明の好ましい化合物(特に、造影の目的で)は、被験体の心臓、脳、および/又はカロチノイド動脈(carotid artery)におけるアテローム硬化性プラーク(atherosclerotic plaques)に集まる。
【0071】
ヒトを含めて動物に投与するに好ましい本発明の化合物の容量は、約0.001mg/kg〜約500mg/kgである。特に、PETおよびMRI造影に対し好ましい容量は、約0.1mg/kg〜約500mg/kgである。これらのパラメーターに基づけば、当業者は、特定の適応症に対する投与量を最適化するために通常の実験を行うことで済む。
【0072】
放射標識のない化合物も、もちろん本明細書に記載された治療法に有用である。本発明に係る化合物(実施例)を合成するための特定の方法については、実施例の項において後述される。一般的に、本発明者は、本発明の化合物を提供するために新規の合成ラジオフッ素化方法(synthetic radiofluorination approach)を用いる。次に示すスキームIおよびIIは、製造工程の好ましい実施例を表す。
【0073】
ラジオフッ素化(スキームI)
【0074】
【化11】
【0075】
芳香性ラジオフッ素化(スキームII)
【0076】
【化12】
【0077】
アテローム性動脈硬化症およびアルツハイマー病のような疾病の治療のための医薬および組成物に関する特定の実施例において、本発明の化合物は薬学的に許容される塩(pharmaceutically acceptable salt)として提供され得る。しかしながら、その他の塩も、本発明に係る化合物又はその薬学的に許容される塩の製造に有用であり得る。本発明の化合物の薬学的に許容される塩として適切なものは、例えば、本発明に係る化合物の溶液と、薬学的に許容される酸(例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、または、リン酸)の溶液とを混合することによって形成され得る酸付加塩(acid addition salt)を含む。また、本発明の化合物が酸性部分(acidic moiety)を有するのであれば、その適切な薬学的に許容される塩として、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、および、4級アンモニウム塩のような適当な有機リガンドとともに形成された塩が含まれる。
【0078】
本発明の化合物は、前述した化合物のエステルを含む。このエステルにおいては、1以上の酸性部分(acidic moiety)上の酸性水素がアルキル基に置換されている。
【0079】
本発明の化合物が1以上の非対称中心を有するのであれば、それらはエナンチオマーとして存在し得る。本発明の化合物が2以上の非対称中心を有するのであれば、それらはさらにジアステレオ異性体として存在し得る。こういった異性体および混合物(任意の比率)は、本発明の技術的範囲に含まれるものと理解すべきである。
【0080】
また、本発明は、1以上の本発明の化合物と、1以上の薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下或いは直腸投与のための、または、吸入(inhalation)或いは吹送(insufflation)による投与のための、錠剤、丸剤、カプセル、散剤(powder)、顆粒剤、滅菌非経口溶液または懸濁液、従量制のエアゾールまたは液体スプレー、ドロップ、アンプル、オートインジェクタ装置または坐剤の単位剤形であり得る。本発明の化合物は、適量の薬を連続的に伝達するための経皮パッチに組み込まれることも可能である。
【0081】
錠剤のような固体組成物を製造するために、有効成分を薬学的に許容される担体、例えば、トウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはガムなどの従来の打錠成分、および、その他の薬剤学的な賦形剤、例えば、水と混合して、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩のための均質な混合物を含んだ固体予備処方組成物(preformulation composition)を形成する。これらの予備処方組成物が均質といったときには、組成物が、錠剤、丸剤及びカプセル剤といった、同等に効果的な単位剤形に容易に細分化されるように、全体的に均一に分散されていることを意味する。その後、固体予備処方組成物は、約0.1〜500mgの本発明の有効成分を含んだ上記単位剤形に細分される。典型的な単位剤形は、有効成分を1〜100mg、例えば、1,2,5,10,25,50又は100mg含有する。新規組成物の錠剤または丸剤は被覆され、または、そうでなければ、長期作用(prolonged action)の利点を与えられる投与形態を提供するために配合され得る。例えば、錠剤または丸剤は内部投薬(inner dosage)と外部投薬(outer dosage成分を含み、後者は、前者のエンベロープの形で存在し得る。この2つの成分は、胃内での崩壊に抵抗する働きをし、内部成分をそのまま十二指腸へ通過させるか、又は、その放出を遅延させる、腸溶性層(enteric layer)によって分離され得る。種々の材料がこのような腸溶性層または被覆に用いられ、その材料として、例えば、多数のポリマー酸(polymeric acid)、並びに、ポリマー酸とセラック(shellac)、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料との混合物が挙げられる。
【0082】
経口または注射のために本発明の新規の組成物が組み込まれ得る液体形態には、水溶液、適当に風味が加わったシロップ、水性または油性懸濁液、及び、綿実油、ゴマ油、ココナット油、または、ピーナット油のような食用油との風味が加わったエマルジョン、エリキシル(elixir)、及び、その他の薬剤用ビヒクル(pharmaceutical vehicle)が含まれる。水性懸濁液用分散剤または懸濁化剤として、合成及び天然ガム類、例えば、トラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、または、ゼラチンを含む。
【0083】
本発明の化合物は、注射可能な担体系(injectable carrier system)と組み合わせられた本明細書に記載された化合物を含んだ、医薬的に注射可能な剤形(pharmaceutical injectable dosage)として調剤されたときに特に有用である。本明細書において使用する「注射及び点滴剤形(injectable and infusion dosage form)」(即ち、非経口投与剤形)は、有効成分(薬剤)をカプセル化したリン脂質を有するリポソーム注射可能なまたは脂質二重層ベジクル(lipid bilayer vesicle)を含むが、それらに制限されるものではない。注射剤は、非経口投与のための滅菌(無菌)製剤を含む。
【0084】
5つの部類の注射剤については、USPに定義されている:エマルジョン、脂質、粉末、溶液、および、懸濁液。エマルジョン注射剤は、経口投与を目的とした無菌、パイロジェンフリー(pyrogen−free)の製剤を含むエマルジョンを含む。溶液注射(solution injection)用脂質複合体(lipid complex)および粉末は、非経口使用の溶液を形成するための再構成(reconstitution)を目的とした無菌製剤である。懸濁液注射用粉末は、非経口用懸濁液を形成するための再構成を目的とした無菌製剤である。リポソーム懸濁液注射用凍結乾燥粉末は、リポソーム(脂質二重層又は水性空間内に活性薬物をカプセル化するために使用されるリン脂質を有する脂質二重膜小胞など)の取込みを可能にする方法で製剤化された非経口使用のための再構成を目的とした無菌凍結乾剤である。溶液注射用凍結乾燥粉末は、凍結乾燥によって製造された溶液を目的とした剤形であるので、そのプロセスには、非常に低い圧力で凍結状態の生成物又は製品から水分を除去するステップが含まれ、その後の液体の添加によって、すべての点において注射剤を満たす溶液が形成される。懸濁液注射用凍結乾燥粉末は、適当な液体媒質中に懸濁された固体を含む非経口使用を目的とした液剤であり、そして、すべての点において懸濁液の要件に適合しているため、懸濁を目的とした薬剤は凍結乾燥によって製造される。溶液注射剤は、適当な溶媒又は、注射に適した相互に混合可能な溶媒の混合物に溶解された1以上の薬物を含む液体製剤を含む。溶液濃縮物注射剤(solution concentrate injection)は、適当な溶媒を加えることですべての点において注射剤の要件に適合した溶液を形成する、非経口使用のための無菌製剤を含む。懸濁液注射剤は、液相全体に分散された固体粒子を含んで、その粒子が不溶性であり、かつ、油相が水相全体に分散されている(または、その逆)液剤(注射に適している)を含む。懸濁液リポソーム注射剤は、リポソーム(脂質二重層又は水性空間内に活性薬物をカプセル化するために使用されるリン脂質を有する脂質二重膜小胞)が形成されるように、油相が水相全体に分散された液剤(注射に適している)である。懸濁液超音波処理注射剤は、液相全体に分散された固体粒子を含有する液剤(注射に適した)である。よって、その粒子は、不溶性である。また、その生成物は、懸濁液を通してガスを泡立てて、固体粒子による微小球を形成するよう、超音波処理され得る。
【0085】
本発明の非経口担体系(parenteral carrier system)は、1以上の薬剤学的に適当な賦形剤(pharmaceutically suitable excipient)、例えば、溶媒及び共溶媒(cosolvent)、可溶化剤、湿潤剤、懸濁化剤、増粘剤、乳化剤、キレート剤、緩衝剤(buffer)、pH調整剤、酸化防止剤、還元剤、抗菌保存剤、増量剤(bulking agent)、保護剤(または、防止剤(protectant))、等張化剤(tonicity adjuster)、及び、特別な添加剤を含む。
【0086】
本発明の化合物は、 一般的に当該分野で知られた標準的なプロトコールによって実証することができるように、炎症、特にアテローム性動脈硬化プラークの治療剤として作用すると思われる。従って、本発明の別の態様は、被験体に本発明の化合物の有効量を投与して、その被験体におけるアテローム硬化性プラークを治療することを含んだ、被験体におけるアテローム硬化性プラーグの治療方法を提供する。このアテローム硬化性プラークの治療における適切な投与量(すなわち、有効量)は、1日当たり約0.001mg/kg〜約500mg/kgであり、好ましくは、1日当たり約1mg/kgである。その化合物は、1日1〜4回、または連続的に投与され得る。
【0087】
本発明の化合物は、 一般的に当該分野で知られた標準的なプロトコールによって実証することができるように、アルツハイマー病の治療剤として作用すると思われる。従って、本発明の別の態様は、被験体に本発明の化合物の有効量を投与して、その被験体におけるアルツハイマー病を治療することを含んだ、被験体におけるアルツハイマー病の治療方法を提供する。このアルツハイマー病の治療における適切な投与量(すなわち、有効量)は、1日当たり約0.001mg/kg〜約500mg/kgであり、好ましくは、1日当たり約1mg/kgである。その化合物は、1日1〜4回、または連続的に投与され得る。
【0088】
以下の実施例は、本発明をよりよく理解してもらうために設けられたもので、いかなる形態であっても本願発明の技術的範囲を制限するものではない。ここに示したもの以外の様々な変更又は変形をも、前述の説明および後述する実施例の記載から当業者にとって明らかであり、特許請求の範囲に属する。
【実施例1】
【0089】
F−18標識クロモリンの合成
ラジオフッ素化(radiofluorination)
【化13】
【0090】
5,5'−(2−[l8F]フルオロプロパン−l,3−ジイル)ビス(オキシ)ビス(4−オキソ−4H−クロメン−2−カルボン酸)
18Oを多く含んだ水1ml中50mCiのフッ素、Kryptofix−2.2.2.(6mg)、および、炭酸カリウム(2mg)を含むホイートン(Wheaton)5mLの反応バイアル(reaction vial)を120℃で加熱し、窒素ガスを用いてその溶媒を蒸発させた。1mlのアセトニトリルを添加して、窒素流を用いて溶媒を蒸発させることによって、K18F/Kryptofix複合体(complex)を120℃で3回乾燥させた。アセトニトリル中l,3−ビス[トリルスルホニル)オキシ]−2−[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ−プロパン(4 mg)の溶液を前記反応容器に加えて、80℃で10分間フッ素化を行った。それによって得られた2−[18F]フルオロプロパン1,3−ditosylate溶液(90% rxn, radioTLC) をシリカゲルSepPak(塩化メチレンを利用)を通過させてK2CO3(10mg)およびエチル5−ヒドロキシ−4−オキソ−4H−クロメン−2−カルボン酸塩(10mg)を含むバイアルに移した。溶媒を除去した後、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加え、その混合物を140℃で20分間加熱した。冷却してから、1 M のNaOH (100uL)を加え、その混合物を80℃で10分間加熱した。その混合物をIM HCl (3 mL)で希釈し、C−18 SepPakを通過させた。lM HClを用いて極性物質を溶出し、20:80アセトニトリル/PBS(1mL)を用いてF−18クロモリンを溶出した。F−18クロモリンをHPLC (Phenomenex Luna Cl 8, 250 x 10 mm, 勾配:0〜40% 20mMリン酸塩緩衝液中のアセトニトリル, pH 6.5)によって精製した。溶媒を蒸発させ、その活性型(5mCi, 20% EOB)を食塩水に溶かし、ろ過した(0.22μMillex−GV)。合成は2時間内に完了し、その化学的純度は95%を超えるものであった。
【実施例2】
【0091】
前駆体の合成
【化14】
【0092】
2−カルベトキシ‐5‐ヒドロキシ−γ−クロモン
エーテル(10ml)中2,6−ジヒヂロキシアセトフェノン(1.0g, 6.6mmol)及びシュウ酸エチル(0.15 g, 6.6 mmol)の混合物を、エタノール(15ml)中ナトリウム・エトキシド(0.4 g Na, 20 mmol)の溶液に加えた。その混合物を25℃で30分間攪拌し、かん流(reflux)下で1.5時間加熱し、冷却し、ろ過した。沈殿されたナトリウム塩をエーテルで洗浄し、乾燥させた。その後、その沈殿を水に溶かし、10%HClで酸性化して、粘着性の固体を形成した。その固体を、触媒量の36%HCLを含んだエタノール(20ml)中で1時間かん流させた。その混合物を50mLの水に加えて、塩化メチレン(50ml)を用いて2回抽出した。その抽出物を合わせて、乾燥させた。溶媒を回収した後、シリカゲル上で粗製の物質をクロマトグラフィして(酢酸エチル/ヘキサン20:80)黄色の生成物0.57g(40%)を得た。
mp 146− 148℃ (Lit. 148℃); 1H NMR (CDCl3), d 1.42 (t, 3H, J=7.14Hz, CH3), 4.47 (q, 2H, J=7.14Hz), 6.82 (d, 2H, J=8.24Hz, Aro−H), 7.02 (d, 2H, J=4.0Hz, Aro−H), 7.02 (s, IH, vinyl−H), 7.58 (t, IH, J=8.24Hz, Aro−H), 12.1 (s, IH, phenol−H).
【0093】
【化15】
【0094】
1,3−ビス(4−メチルベンゼンスルホン酸塩)プロパンジオール
塩化メチレン(80mL)、DMAP(30mg)、及び、ピリジン(20mL)中のグリセロール(11g, 120mmol)の溶液を、0−5℃で30分間かけてp−トルエンスルホニルクロライド(54.6g, 239mmol)で処理した。その混合物を25℃で16時間攪拌し、水(100ml)で希釈し、層分離を行った。塩化メチレン層を1NのHClで洗浄した。その洗浄は、洗浄液が酸性になるまでに行われ、その後乾燥された(硫酸ナトリウム)。溶媒を回収した後、シリカゲル上で粗製物質をクロマトグラフィした(メタノール/塩化メチレン0:100〜5:95)。14.5 g(30%)のオイルを得た。
1H NMR (CDCl3), δ2.5 (s, 6H, CH3), 4.25 (m, 4H, CH2), 5.09 (m, IH, CH), 7.4 (d, 4H, J=8.1Hz, Aro−H), 7.78 (d, 4H, J=8.4Hz, Aro−H).
【0095】
【化16】
【0096】
1,3−ビス(4−メチルベンゼンスルホン酸塩)−2−トリフルオロメチルスルホン酸塩プロパントリオール
塩化メチレン(20mL)およびピリジン(1mL)中l,3−ビス(4−メチルベンゼンスルホン酸塩)プロパントリオールlOOmg (0.25 mmol)の混合物)(0−5℃)をトリフルオロメタンスルホン酸 無水物(141 mg, 0.50 mmol)で処理した。その混合物を0−5℃で1時間撹拌し、その後、25℃に温めるとともに、4時間撹拌した。その混合物を水(30mL)で希釈して、層を分離した。洗浄溶液が酸性となるまで塩化メチレン層を1N HClで洗浄し、その後、乾燥させた(硫酸ナトリウム)。溶媒を除去(回収)してから、粗製物質をシリカゲル上でクロマトグラフィした(塩化メチレン)。固体 66 mg (収率:50%)を得た。
mp 145−147℃ ; 1H NMR (CDCl3), δ2.5 (s, 6H, CH3), 4.25 (d, 4H, J=4.6Hz,CH2, 5.09 (m, IH, CH), 7.4 (d, 4H, J=8.1Hz, Aro−H), 7.78 (d, 4H, J=8.4Hz, Aro−H).
【0097】
【化17】
【0098】
3−ビス(4−メチルベンゼンスルホン酸塩)−2−フルオロプロパンジオール
塩化メチレン(20mL)中のl,3−ビス(4−メチルベンゼンスルホン酸塩)プロパントリオール(2.7g, 6.78 mmol)の溶液(0−5℃)をDAST (2.18 g, 13.6 mmol)で処理した。その混合物を0−5℃で30分間撹拌し、その後、25℃に温めるとともに、16時間撹拌した。その混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(30mL)に加え、層を分離した。その塩化メチレン層を乾燥させた(硫酸ナトリウム)。溶媒を除去(回収)してから、粗製物質をシリカゲル上でクロマトグラフィした(塩化メチレン)。固体0.82g (収率:30%)を得た。
mp 99−102℃ ; 1H NMR (CDCl3), δ2.5 (s, 6H, CH3), 4.15 (dd, 4H, J=12.3, 4.6 Hz,CH2, 4.8 (dq, IH, J=47, 4.6, CHF), 7.45 (d, 4H, J=8.1Hz, Aro−H), 7.75 (d, 4H, J=8.4Hz, Aro−H).
【実施例3】
【0099】
標準の合成
5,5'−(2−フルオロプロパン−l,3−ジイル)ビス(オキシ)ビス(4−オキソ−4H−クロメン−2−カルボン酸)
【0100】
【化18】
【0101】
1,3−ビス(2−アセチル−3−ヒドロキシフェノキシ)−2−フルオロプロパン
アセトニトリル(40mL)中3−ビス(4−メチルベンゼンスルホン酸塩)−2−フルオロプロパンジオール(1.0, 2.5 mmol)、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン(0.76 g, 5.0 mmol)および炭酸カリウム(0.69 g)の混合物を還流下で加熱した(16時間)。その混合物をろ過し、そのろ液を蒸発させた。粗製物質をシリカゲル上でクロマトグラフィした(アセトニトリル/塩化メチレン5:95)。その結果、生成物0.57g (40%)を得た。
mp 162− 165℃; 1H NMR (d6−DMSO), δ2.5 (s, 6H, 2CH3), 4.38 (m, 4H, 2CH2), 5.22 (br d IH, J=49Hz, CHF), 6.45 (m, 4H, 4Aro−H), 7.28 (t, 2H, J=4.55Hz, 2Aro−H).
【0102】
【化19】
【0103】
l,3−ビス(2−カルボキシクロモン−5−イルオキシ)−2−フルオロプロパンジエチルエステル
エタノール(10mL)およびベンゼン(10mL)中ナトリウム・エトキシド(87 mg Na) の溶液にl,3−ビス(2−アセ−3−ヒドロキシフェノキシ)−2−フルオロプロパン(200 mg, 0.52 mmol)および シュウ酸エチル(2 mL) の混合物を加えた。その混合物を還流下で16時間加熱し、冷却し、エーテル(50mL)で希釈した。沈殿されたナトリウム塩をろ過し、エーテルで洗浄し、乾燥させた。その後、それを水に溶かし、10%HClで酸性化して、粘性の固体を得た。その個体を、触媒量の36%HCLを含んだエタノール(20mL)で還流させた(1時間)。その混合物を50mLの水に加え、塩化メチレン(50mL)を用いて2回抽出した。その抽出物を合わせて、乾燥させた。溶媒を除去した後、シリカゲル上で粗剤の物質のクロマトグラフィを行った(アセトニトリル/塩化メチルレン10:90)。その結果、白色の生成物0.12 g(45%)が得られた。
mp 166−17O℃; 1H NMR (CDCl3), d 1.42 (t, 6H, J=7.14Hz, 2CH3), 4.58 (q, 4H, J=7.14Hz 2CH2), 4.65 (m, 4H, 2CH2), 5.35 (dq, IH, J=46Hz, J=4.4HZ, CHF), 6.90 (s, 2H, vinyl−H), 6.95 (d, 2H, J=8.24Hz, 2Aro−H), 7.13 (d, 2H, J=8.24Hz, 2Aro− H) 7.6 (t, 2H, J=8.242Aro−H).
【0104】
【化20】
【0105】
5,5'−(2−フルオロプロパン−l,3−ジイル)ビス(オキシ)ビス(4−オキソ−4H−クロメン−2−カルボン酸)
メタノール(20mL)および1M水酸化ナトリウム(2mL)中l,3−ビス(2−カルボキシクロモン−5−イルオキシ)−2−フルオロプロパンジエチルエステル(100 mg, 0.19 mmol)の懸濁液を80℃で1時間加熱した。その溶液を10%HClで酸性化し、揮発性物質を除去した。その個体にメタノール/塩化メチレンの溶液(50:50)を加えて、その混合物をろ過した。蒸発によって生成物76 mg(85%)を得た。
1H NMR (d6−DMSO), δ4.65 (m, 4H, 2CH2), 5.32 (br d, IH, J=46Hz, CHF), 6.80 (s, 2H, 2vinyl−H), 7.2 (d, 2H, J=8.24Hz, 2Aro−H), 7.71 (t, 2H, J=8.242Aro−H).
【実施例4】
【0106】
生体内分布(biodistribution)
正常なマウスの尾静脈への静脈注射(動物1匹あたり50 uCi)後5,30、および、60分の時点において、F−18クロモリン(化合物A)の生体内分布を実施した。5分後の臓器活性(DPG)は次の通りであった:心臓:1.09%、血液:3.3%、肺:1.90%、肝臓:7.69%、および、脳:0.15%。30分および60分の時点において、すべての臓器において活性の消失(washout)が見られた。心臓取込み(heart uptake)は1.09%から0.18%に減少した。そのデータは、表1(正常マウスにおけるF−18クロモリンの組織分布(%容量/g)及び図1に示す。
【0107】
【表1】
【実施例5】
【0108】
芳香性ラジオフッ素付加(radiofluorination)
【化21】
【0109】
クロモリンN,N,N−トリメチルベンゼナミニウム(benzenaminium)トリフラートのラジオフッ素付加を、ジメチレンアセトアミド(DMAc)中K18F/Kryptoflxを含んだ密封バイアルにおいて140℃で5分間行った。得られたF−18クロモリン溶液を水で希釈し、C−18 SepPakを通過させた。極性物質を水で溶出し、メタノールで溶出した生成物をバイアルに移した。IN水酸化ナトリウムの溶液を加え、そのバイアルを80℃で10分間加熱した。その混合物を酸性化し、F−18クロモリンをHPLCによって精製した。
【0110】
代替ルート:
【化22】
【実施例6】
【0111】
前駆体の合成
【化23】
【0112】
l−(4−アミノ−2,6−ジメトキシアセトフェノン) [Dillon, Michael Patrick; Jahangir, Alam; Moore, Amy Geraldine; Wagner, Paul J. U.S. Pat. Appl. Publ. (2007), 49pp]
【0113】
[ステップ1]N−(3 ,5−ジメトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
無水テトラヒドロフラン(90mL)に溶解された3,5−ジメトキシアニリン(20 g, 131 mmol)に4−(ジメチルアミン)ピリジン(1.6 g, 13.1 mmol)およびトリフルオロ酢酸エチル (47 mL, 392 mmol)を加えた。48時間の還流後、冷却された反応混合物を濃縮し、酢酸エチル(300mL)および2N塩酸(100mL)の間に分配した。その酢酸エチル層を水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濃縮して、淡黄色の固体としてN−(3,5− ジメトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(31.8 g, 98%)を得た。
【0114】
[ステップ2]N−(4−アセチル−3,5−ジメトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド
無水塩化メチレン(450mL)中N−(3,5−ジメトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(31.8 g, 130 mmol)の溶液(氷槽にて冷却されたもの)を、塩化スズ(IV)の溶液(29.9 mL, 30mLの無水塩化メチレンに溶解された260 mmol)に10分間滴下した。反応温度を5℃未満に維持しながら、塩化アセチル(9.1 mL, 130 mmol)をゆっくりと加えた。室温で3時間撹拌してから、反応を氷槽にて冷却した。反応温度を25℃未満に維持しながら水(300 mL)を加え、反応を室温で18時間撹拌した。その反応混合物は塩化メチレンを用いて抽出し、その有機層を分離し、水で洗浄し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。その残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(20〜30%のヘキサン/酢酸エチルを用いて溶出)によって精製して、白色の固体としてN−(4− アセチル−3,5−ジメトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(4.8g, 13%)を得た。
【0115】
[ステップ3]l−(4−アミノ−2,6−ジメトキシアセトフェノン)
メタノール(90mL)に溶解されたN−(4−アセチル−3,5−ジメトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(4.3 g, 14.8 mmol)を無水炭酸カリウム(4.67 g, 33.8 mmol)に加えた。18時間還流した後、反応混合物を冷却し、減圧下で濃縮したその濃縮物を酢酸エチルを用いて抽出し、その有機層を塩水で洗浄し、ろ過し、減圧下で濃縮して、淡黄色の固体として4−アミノ−2,6−ジメトキシアセトフェノン(2.5 g, 87%)を得た。
【0116】
【化24】
【0117】
4−ジメチルアミノ−2,6−ヒドロキシアセトフェノン[Brooks PR, Wirtz C, et al. J. Org. Chem. 1999,64:9719−21]
塩化メチレン中で4−アミアの−2,6−ジメトキシアセトフェノンおよびヨウ化n−テトラブチルアンモニウムを撹拌した(−78℃)。塩化メチレン中 三塩化ホウ素の溶液を加え、その後、その溶液を0℃で1時間撹拌した。その反応を氷水で急冷させ、30分間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウムで希釈し、塩化メチレンを用いて抽出した。合わせられた抽出物を乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィによって精製して、4−ジメチルアミノ−2,6− ヒドロキシアセトフェノンを得た。
【0118】
【化25】
【0119】
2−カルボエトキシ−3−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−γ−クロモン エチル エステル又は 2−カルボエトキシ−4−ヒドロキ−γ−クロモンエチル エステル
エーテル中4−ジメチルアミノ−2,6−ヒドロキシアセトフェノン (又は、2,5− ジヒドロキシ−アセトフェノン)(Sigma− Aldrich社製)及びシュウ酸エチルの混合物を、エタノール中ナトリウム・エトキシドの溶液に加えた。その混合物を25℃で30分間撹拌し、還流下で1.5時間加熱し、冷却し、ろ過した。沈殿されたナトリウム塩をエーテルで洗浄し、乾燥させた。その後、水に溶かし、10%HClで酸性化して、粘性の固体を形成した。その個体を、触媒量の36%HCLを含んだエタノール(20mL)中で1時間還流させた。その混合物を、50mLの水に加え、塩化メチレン(50mL)で2回抽出した。その抽出物を合わせて、乾燥させた。溶媒を除去した後、粗剤の物質に対しシリカゲルクロマトグラフィを行った(酢酸エチル/ヘキサン20:80)。その結果、2−カルボエトキシ−3−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−γ−クロモンエチルエステル(又は、2−カルボエトキシ−4−ヒドロキシ−γ−クロモンエチルステル)を得た。
【0120】
【化26】
【0121】
N−メチル−2−ピロリドン (NMP)中1、3−ビス[(トリルスルホニル)オキシ]−2−プロパノール(1当量)、2−カルボエトキシ−5−ヒドロキシ−γ−クロモンエチルエステル(または、2−カルボエトキシ−5−ヒドロキシ−γ−クロモンエチルエステル)(1当量)および炭酸カリウム (1当量)の混合物を140℃で6時間加熱した。冷却してから、その混合物を水で希釈し、塩化メチレンで抽出した。その抽出物を合わせて、乾燥した。溶媒を除去してから、粗剤の物質に対しシリカクロマトグラフィを行い、生成物を得た。
【0122】
【化27】
【0123】
N−メチル−2−ピロリドン中2−カルボエトキシ−3−ジメチルアミノ−5−ヒドロキシ−γ−クロモンエチルエステル(1当量)、適量の上記2−プロパノールトシラート、および、炭酸カリウムの混合物を140℃で6時間加熱した。冷却してから、その混合物を水で希釈し、塩化メチレンで抽出した。その抽出物を合わせて、乾燥した。溶媒を除去してから、粗剤の物質に対しシリカクロマトグラフィを行い、生成物を得た。
【0124】
【化28】
【実施例7】
【0125】
クロモリン誘導体のアセチル化
塩化メチレン及びピリジン中クロモリン誘導体の溶液を0℃で無水酢酸で処理し、25℃に加温した。その温度にて4時間攪拌した。その混合物を10%重炭酸ナトリウムで洗浄し、乾燥させた。真空でその溶媒を回収(除去)し、クロマトグラフィによって粗剤固体を精製した。
【0126】
【化29】
【実施例8】
【0127】
メチルアンモニウムトリフラート塩の製造
塩化メチレン中アセチル化クロモリン誘導体の溶液をスルホン酸トリフルオロメチル無水物で25℃で4時間処理した。それによって得られた塩をろ過し、塩化メチレンで洗浄した。
【実施例9】
【0128】
クロモリン誘導体(化合物A)はアルツハイマー病オリゴマーの重合を阻害する
アルツハイマー病の治療における共通の目標の一つに、神経毒であるABオリゴマーを除去し、又は、減少させることが挙げられる。この目標の達成によって、アルツハイマーの兆候を遅らせる。アルツハイマー病の治療剤の有効性(efficacy)を立証するために、ABオリゴマー重合阻害をテストすることができる。
【0129】
この実施例に記載された研究は、論文[Findeis, et al. "Modified−peptide inhibitors of amyloid beta−peptide polymerization. " Biochemistry 1999, 38 (21), 6791−800]に記載された分析法に基づく。
【0130】
ABペプチド:50μMのHCl塩、又は、テスト化合物(化合物A):50μM
バッファー(buffer):10mMのリン酸ナトリウム、100mMのNaCl、pH7.4
読み出し(readout)重合:OD405 nm
【0131】
結果によれば、クロモリン誘導体存在下でのアミロイドβ‐ペプチド重合(化合物A)が、対照群ビヒクル存在下でのアミロイドβ‐ペプチドよりも2.5倍遅かった。
【0132】
<実験結果>
化合物 時間 相対的増加
ビヒクル(無添加) 7.97 (1.0)
TS734(化合物A) 19.9 2.5
*時間は、最大信号の50%までの経過時間であり、そして、相対的増加は、時間(サンプル)/時間(ビヒクル)である。
【0133】
上記データによれば、実施例の化合物Aは、有効性の観点から相当の脳取込み(uptake)およびクリアランス(clearance)を示し、ABペプチド重合を阻害することが分かる。したがって、化合物Aおよびそれに関連した化合種は、ヒトのアルツハイマー病の治療に有用である。
【実施例10】
【0134】
5,5'−(2−[18F]フルオロトリメチルレンジオキシ)ビス(4−オキソクロメン−2− カルボン酸) ナトリウム塩の合成
【0135】
【化30】
【0136】
5,5'−(2−ヒドロキシトリメチレンジオキシ)ビス(4−オキソクロメン−2−カルボン酸)ジエチルエステル
エタノール(25mL)および濃HCl(1ml)中クロモリンナトリウム塩1の懸濁液 (161 mg, 0.31 mmol)を密封フラスコ内で95〜100℃にて28時間加熱した。懸濁液は溶解されて、無色の溶液となった。溶媒を蒸発させ、粗剤のオイルに対しシリカゲルクロマトグラフィ(100 %酢酸エチルを用いる。)を行い、ジエチルエステル2(132 mg, 80%)を得た。
TLC Rf = 0.44 (100 % 酢酸エチル); IHNMR (CDCb, 300 MHz) 8 1.42 (t, 3H, J = 7.1 Hz, CH3) , 2.73 (br s, IH, OH), AAA (q, 4H, J = 7.1 Hz, 20CH2CH3) , 4.324.59 (m, 5H, CHOH 20CH2) , 6.93−6.99 (m, 4H, 2 vinyl H, 2 aromatic H), 7.16 (d, 2H, J = 8.4 Hz, aromatic H), 7.59 (t, 2H, J = 8.2 Hz, aromatic H)
【0137】
【化31】
【0138】
l,3−ビス(2−(エトキシカルボニル)−4−オキソ−4H−クロメン−5−イルオキシ)プロパン−2−イルメタンスルホン酸塩
ジクロロメタン(25mL)中アルコール2(107 mg, 0.20 mmol)およびトリエチルアミン(41 mg, 0.41 mmol)の溶液(0℃に冷却したもの)をメタンスルホニルクロライド(34 mg, 0.30 mmol)で処理した。0℃で2時間撹拌してから、塩化メチレン(100mL)を加え、その混合物を飽和NaHC03(2 x 30 mL)および塩水(50 mL)で洗浄し、MgS04上で乾燥し、濃縮した。その残渣をフラッシュクロマトグラフィによって精製した(ヘキサン中酢酸エチル80%)。その結果、生成物3(102 mg, 84 %)を得た。
TLC R. = 0.54 (酢酸エチル); IH NMR (CDCI3, 300 MHz 8 1.39 (t, 3H, J = 7.1 Hz, CH3) , 3.35 (s, 3H, CH3S02) , 4.41 (q, 4H, J = 7.2 Hz, 20CH2CH3) , 4.55−4.66 (m, 4H, 20CH2) , 5.40 (quintet, IH, J = 5.0, CHOMs), 6.89 (s, 2H, vinyl H), 6.98 (d, 2H, J = 8.4 Hz, aromatic H), 7.16 (d, 2H, J = 8.8 Hz, aromatic H), 7.61 (t, 2H, J = 8.2 Hz, aromatic H); 13C NMR (CDCb, 75 MHz, Ib=LO Hz) 8: 14.3,38.6,63.1,68.7,77.9,108.7,111.8,115.6, 116.4,135.2, 150.7, 158.0, 160.7, 177.7
【0139】
【化32】
【0140】
5,5'−(2−[18F]フルオロトリメチレンジオキシビス(4−オキソクロメン−2−カルボン酸)ナトリウム塩
1mLの高濃度18O水中フッ素‐18(100 mCi)、および、水酸化アンモニウム(100μl)を含んだホイートン(wheaton)5mL反応バイアルを120℃で加熱し、窒素ガス流によって水を蒸発させた。1mLのアセトニトリルを加え、窒素流を用いて溶媒を蒸発させることによって、その内容物を乾燥させた。このプロセスを3回繰り返した。0.1mLのアセトニトリル中3mgのメシラート(mesylate)の溶液を密封バイアルに加えて、170℃で10分間フッ素化(fluorination)を行った。室温まで冷却してから、反応混合物をシリカゲルSep−Pak(塩化メチレン(3 mL))を通過させ、窒素流を用いてその溶媒を除去した。0.5 mLの1 M水酸化リチウムおよび1mLのメタノールの混合物を前記反応バイアルに加え、その反応バイアルを80℃で20分間加熱した。溶媒を除去し、15,5'−(2−[18F]フルオロトリメチレンジオキシ)ビス(4−オキソクロメン− 2−カルボン酸)ナトリウム塩をC18Sep−Pak (PBS、ph7を用いる。)上で精製し、溶液をろ過した(MillexGV 0.22 urn)。放射化学値は5〜20%EOBであった。
【実施例11】
【0141】
非対称クロモリンの合成経路
この実施例は、非対称クロモリン誘導体の一般的な合成ルートを示す。
【0142】
【化33】
【0143】
全ての文献、特許出願、特許および本明細書において記載する他の参考文献は参照として組み入れられる。本明細書に記載するものと同様または等価な方法および材料を本発明を実施または試験する際に使用することができるが、材料、方法および実施例は例示的なだけであり、限定する意図のものではない。本発明の技術的範囲は専ら後述する特許請求の範囲によって定められる。
【0144】
[参考文献]
1. American Heart Association: Heart Disease and Stroke Statistics 2004.
2. Libby P. Inflammation in Atherosclerosis. Nature. 2002;420:868−74.
3. Fernex M. The mast−cell system, its relationship to atherosclerosis, fibrosis and eosinophils. Basel, New York, Karger, 1968.
4. Mor A, and Mekori YA. Mast Cells and Atherosclerosis. Israel Medical Association Journal; 2001;3:216−221.
5. Kelly JL, Chi OS, Abou−Auda W, Smith JK, Krishnaswamy G. The molecular role of mast cells in atherosclerotic cardiovascular disease. MoI Med Today. 2000;6:304−08.
6. Sun J, Sukhova GK, Wolters PJ, Yang M, Kitamoto S, Libby P, MacFarlane LA, Mallen−St Clair J, Shi GP. Mast cells promote atherosclerosis by releasing proinflammatory cytokines. Nature Medicine 2007; 13,719 − 724.
7. Huang M, Pang X, Letourneau R, Boucher W, Theoharides TC. Acute stress induces cardiac mast cell activation and histamine release, effects that are increased in Apolipoprotein E knockout mice. Cardiovascular Research 2002 55(l):150−160.
8. Gilman AG, Rail TW, Nies AS, et al., editors. Goodman and Gilman's the pharmacological basis of therapeutics. 8th ed. New York: Pergamon Press; 1990. p. 630−1; Murphy S. Cromolyn sodium: basic mechanisms and clinical usage. Pediatr Asthma Allergy Immuno[Delta]988; 2: 237−54.
9. Bot I, de Jager SC, Zernecke A, Lindstedt KA, van Berkel TJ, Weber C, Biessen EA. Perivascular mast cells promote atherogenesis and induce plaque destabilization in apolipoprotein E−deficient mice. Circulation. 2007; 115: 2516−2525.
10. Huang M, Pang X, Karalis K, Theoharides TC. Stress−induced interleukin−6 release in mice is mast cell−dependent and more pronounced in Apolipoprotein E knockout mice. Cardiovascular Research 2003 59(l):241−249.
11. Findeis et al., "Modified−Peptide Inhibitors of Amyloid [beta]−Peptide Polymerization," Biochemistry 1999, 38, 6791−6800
12. Findeis and Molineaux, " Design and Testing of Inhibitors of Fibril Formation," Methods in Enzymology,1999, 309, 476−488
図1