(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731426
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20150521BHJP
E02F 9/18 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
E02F9/00 D
E02F9/18
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-41593(P2012-41593)
(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-177752(P2013-177752A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2014年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國領 おさむ
(72)【発明者】
【氏名】川本 純也
(72)【発明者】
【氏名】宮原 康弘
【審査官】
須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−070077(JP,A)
【文献】
特開2000−073404(JP,A)
【文献】
特開平11−256617(JP,A)
【文献】
特開平11−256616(JP,A)
【文献】
特開2005−335475(JP,A)
【文献】
実開昭60−013820(JP,U)
【文献】
実開昭61−136117(JP,U)
【文献】
特開2002−088802(JP,A)
【文献】
特開平11−082010(JP,A)
【文献】
特開平11−078546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 9/18
B60K 13/04
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回体と、この旋回体に取り付けた作業装置と、上記旋回体に配置した運転席と、この運転席の後方の上記旋回体上に配置したカウンタウェイトと、上記旋回体上に配置され、エンジンの排気ガスが導かれるマフラと、このマフラに接続したテールパイプとを備え、上記カウンタウェイトに上記テールパイプを挿入させる通路を形成した作業機械において、
上記カウンタウェイトの外側面に取り付けられ、上記カウンタウェイトの上記通路に連通し、上記テールパイプを挿入させる通路を有する排気管保持部材と、
上記排気管保持部材に保持されて立設し、上記テールパイプを挿入させる下方部分と、上記テールパイプを介して導かれた上記排気ガスを放出する排気口が形成された上方部分とを有する排気管とを備えたことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
上記排気管保持部材は、上記カウンタウェイトの上面と略同じ高さ位置となる上面を有し、
上記排気管を上記排気管保持部材の上記上面に取り付けるフランジを備えたことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作業機械において、
上記カウンタウェイトの外側面から突出するように配置される追加カウンタウェイトを備え、
上記排気管保持部材及び上記排気管を平面視で上記追加カウンタウェイトよりも外側に出ないように配置したことを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業機械において、
上記運転席の後側に立設する複数の支柱を備え、
上記運転席の座席基準点と上記複数の支柱のうちのいずれかの支柱とを結ぶ仮想的な直線上、または上記仮想的な直線の近傍位置に、上記排気管保持部材及び上記排気管を配置したことを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気ガスを導くマフラに接続されるテールパイプを挿入させる通路をカウンタウェイトに形成したミニショベル等の作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、建設機械の旋回体上にエンジンの排気ガスを導くメインマフラを備え、このメインマフラに排気口部すなわちテールパイプを接続し、旋回体の後部の下方位置に配置されたカウンタウェイトにテールパイプを挿入させる通路を形成した構成となっている。またカウンタウェイトには、上述の通路に連通する空間部と、この空間部に導かれた排気ガスを外部に放出させる排気孔も形成されている。
【0003】
このように構成される従来技術にあっては、メインマフラ、テールパイプ、カウンタウェイトの空間部を介して導かれたエンジンの排気ガスが、旋回体の下方部分に位置するカウンタウェイトの排気孔から外部に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3143353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に示される建設機械がミニショベル等の小型機械である場合、造園や配管工事等のために比較的狭い作業環境で活用されることが多い。このような狭い作業環境下にあっては、カウンタウェイトの排気孔が旋回体の下方部分に位置することから、当該建設機械の周囲に存在する比較的低い植木や高さの低い構造物に向かって排気ガスが放出されることになり、これらの植木や構造物に悪影響を及ぼしやすい。このようなことから、排気ガスを上方空間に放出させる排気管を設けることが考えられるが、大型機械等であって、旋回体上やカウンタウェイトの上面に排気管を設置するに十分な設置スペースを確保できる場合には、このような考え方は有効である。しかし、ミニショベル等の小型機械の中には、旋回体上やカウンタウェイトの上面に排気管の設置スペースを確保できないものも現実には存在する。
【0006】
このようなミニショベル等の小型機械にあっては、カウンタウェイトの外側面に取り付けられ、カウンタウェイトの上述の通路、すなわちテールパイプを挿入させる通路に連通する通路を有する排気管保持部材を備えることが考えられる。つまり、テールパイプの端部をカウンタウェイトに形成した通路に挿入し、排気管保持部材の通路を経て排気管内に排気ガスを導き、排気管の排気口からカウンタウェイトの上方空間に排気ガスを放出する構成とすることが考えられる。
【0007】
ところで、このような構成にしようとする場合、単に排気管をカウンタウェイトの外側面に取り付けられた排気管保持部材に立設保持させ、カウンタウェイトの通路にマフラに接続されたテールパイプを挿入しただけの構成では、排気ガスがテールパイプの端部からカウンタウェイトの通路を形成する壁面、及び排気管保持部材の通路を形成する壁面に一旦放射され、その後引き続いてカウンタウェイトの通路から排気管内に導かれることになる。特許文献1に示される構成は排気管を備えたものではないが、この点については、すなわちテールパイプに導かれた排気ガスが一旦カウンタウェイトの内壁に放射される点については、特許文献1に示される構成でも同じである。
【0008】
したがって、特許文献1に示される従来技術にあっては、また、上述のようにカウンタウェイトの外側面に単に排気管保持部材を設けるようにする構成にあっては、排気ガスの内部壁面への放射によってカウンタウェイトが熱せられ、カウンタウェイトに触れることに伴う不快感が生じやすい。特に昨今では、エンジンとマフラとの間に、排気ガス中の
NOxやPM(粒子状物質)を除去する排気ガス処理装置が備えられた作業機械が提案されて来ている。このような作業機械では、排気ガス処理装置を備えていない作業機械では排気ガス温度が例えば300℃程度であったものが、排気ガス処理装置における処理に伴って高熱が発生し、例えば600℃位まで排気ガス温度が上昇してしまうことが知られている。すなわち排気ガス処理装置を備えた作業機械にあって、上述した特許文献1に示される構成とした場合には、また上述のようにカウンタウェイトの外側面に排気管保持部材を取り付けることを考えた構成では、カウンタウェイトが著しく熱せられてしまう虞がある。
【0009】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、旋回体上やカウンタウェイトの上面に排気管の設置スペースを確保できないものであっても、カウンタウェイトの上方位置において排気ガスを放出させることができ、また、排気ガスによるカウンタウェイトの昇温が低くなるように抑えることができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明は、旋回体と、この旋回体に取り付けた作業装置と、上記旋回体に配置した運転席と、この運転席の後方の上記旋回体上に配置したカウンタウェイトと、上記旋回体上に配置され、エンジンの排気ガスが導かれるマフラと、このマフラに接続したテールパイプとを備え、上記カウンタウェイトに上記テールパイプを挿入させる通路が形成された作業機械において、上記カウンタウェイトの外側面に取り付けられ、上記カウンタウェイトの上記通路に連通し、上記テールパイプを挿入させる通路を有する排気管保持部材と、上記排気管保持部材に保持されて立設し、上記テールパイプを挿入させる下方部分と、上記テールパイプを介して導かれた上記排気ガスを放出する排気口が形成された上方部分とを有する排気管とを備えたことを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、排気管保持部材をカウンタウェイトの外側面に取り付け、排気管保持部材に、上方部分に排気ガスを放出する排気口を有する排気管を立設保持させたことから、旋回体上やカウンタウェイトの上面に排気管の設置スペースを確保できないものであっても、カウンタウェイトの上方位置においてテールパイプから排気管に導かれた排気ガスを放出させることができる。
【0012】
また本発明は、排気管が、テールパイプを挿入させる下方部分を有することから、マフラからテールパイプに導かれた排気ガスを、カウンタウェイトの通路を形成する壁面、及び排気管保持部材の通路を形成する壁面に放射させることなく排気管に導き、排気管の排気口から外部に放出させることができる。また、カウンタウェイトの通路にテールパイプを挿入させた際に、カウンタウェイトの通路の壁面とテールパイプとの間に隙間を形成させて、テールパイプからカウンタウェイトへの熱の伝達を阻止することができ、同様に、排気管保持部材の通路にテールパイプを挿入させた際に、排気管保持部材の通路の壁面とテールパイプとの間に隙間を形成させて、テールパイプから排気管保持部材への熱の伝達を阻止することができる。これらにより、排気ガスによってカウンタウェイト及び排気管保持部材が直接に加熱されることがなく、これらのカウンタウェイト及び排気管保持部材の昇温が低くなるように抑えることができる。
【0013】
また本発明は、上記発明において、上記排気管保持部材は、上記カウンタウェイトの上面と略同じ高さ位置となる上面を有し、上記排気管を上記排気管保持部材の上記上面に取り付けるフランジを備えたことを特徴としている。このように構成した本発明は、フランジを介して排気管を排気管保持部材の上面に安定して立設保持させることができる。
【0014】
また本発明は、上記発明において、上記カウンタウェイトの外側面から突出するように配置される追加カウンタウェイトを備え、上記排気管保持部材及び上記排気管を平面視で上記追加カウンタウェイトよりも外側に出ないように配置したことを特徴としている。このように構成した本発明は、排気管保持部材が旋回後端半径内に位置するので、旋回体の旋回時に周囲の構造物等に排気管保持部材及び排気管が接触したり干渉したりする虞を少なくすることができる。
【0015】
また本発明は、上記発明において、上記運転席の後側に立設する複数の支柱を備え、上記運転席の座席基準点と上記複数の支柱のうちのいずれかの支柱とを結ぶ仮想的な直線上、または上記仮想的な直線の近傍位置に、上記排気管保持部材及び上記排気管を配置したことを特徴としている。
【0016】
このように構成した本発明は、運転席に座ったオペレータが後方を目で確認しようとするとき、運転席の後側に立設され仮想的な直線上に位置する支柱の背後に、排気管保持部材によって立設保持された排気管が完全に、または略完全に隠れた状態となる。したがって、運転席に座ったオペレータの後方視界に悪影響を及ぼすことなく排気管を設けることができる。また、排気ガスが導かれることによって排気管が熱くなるが、この排気管の表面からの輻射熱が上述の支柱によって遮られる。これにより、運転席に着座したオペレータに対して、排気ガスの熱による不快な加熱を生じさせないようにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、排気管保持部材をカウンタウェイトの外側面に取り付け、この排気管保持部材に排気管を立設保持させたことから、旋回体上やカウンタウェイトの上面に排気管の設置スペースを確保できないものでも、カウンタウェイトの上方位置において排気管の排気口から排気ガスを外部に放出させることができる。したがって本発明は、旋回体上やカウンタウェイトの上面に排気管の設置スペースを確保できないミニショベル等の小型機械に適用した場合に、作業場所の周囲に存在する比較的低い植木や高さの低い構造物に対する排気ガスの放射が抑えられ、これらの植木や構造物に対する悪影響を防ぐことができる。
【0018】
また本発明は、テールパイプに導かれた排気ガスを、カウンタウェイトの通路を形成する壁面及び排気管保持部材の通路を形成する壁面に放射させることなく排気管に導くことができ、また、カウンタウェイトの通路及び排気管保持部材の通路によってテールパイプからのカウンタウェイト及び排気管保持部材への熱の伝達を阻止することができる。これにより本発明は、排気ガスによるカウンタウェイト及び排気管保持部材の昇温が低くなるように抑えることができる。したがって、排気ガスの熱に伴って熱くなったカウンタウェイトあるいは排気管保持部材への接触に伴う不快感を生じさせないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る作業機械の第1実施形態を構成するミニショベルの車体を斜め後方から見た斜視図である。
【
図4】
図1に示すミニショベルの車体の一部を断面した側面図である。
【
図6】
図1に示すミニショベルの車体を斜め前方から見た斜視図である。
【
図7】
図1に示すミニショベルの車体の平面図である。
【
図8】本発明に係る作業機械の第2実施形態を構成するミニショベルを斜め後方から見た斜視図である。
【
図9】
図8に示すミニショベルの車体を斜め前方から見た斜視図である。
【
図10】
図8に示すミニショベルの車体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る作業機械の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明に係る作業機械の第1実施形態を構成するミニショベルの車体を斜め後方から見た斜視図、
図2は
図1の要部拡大図、
図3は
図1の要部分解斜視図、
図4は
図1に示すミニショベルの車体の一部を断面した側面図、
図5は
図4の要部拡大図、
図6は
図1に示すミニショベルの車体を斜め前方から見た斜視図、
図7は
図1に示すミニショベルの車体の平面図である。
【0022】
第1実施形態に係るミニショベルは、町中等における配管工事や造園等の作業に活用される小型機械を構成している。このミニショベルは、
図1,4に示すように、走行体1と、この走行体1上に配置される旋回体2と、この旋回体2の前部位置に配置された支持部16に支持される図示しない作業装置とを備えている。作業装置は、ブーム、アーム、バケット等を含み、土砂の掘削作業等が可能な構成となっている。また、走行体1と旋回体2とによって、当該ミニショベルの車体が構成されている。
【0023】
旋回体2の旋回フレーム2a上にはオペレータが着座する運転席3が配置され、この運転席3を囲むようにキャノピ4が配置されている。キャノピ4は、例えば4柱、すなわち前側右支柱5a、前側左支柱5b、後側右支柱5c、後側左支柱5dを備えている。また、このキャノピ4は、支柱5a〜5dに取り付けられ、運転席3の上方を覆うように配置されるルーフ6を備えている。旋回体2上の後側位置には、図示しない作業装置との重量バランスを確保する例えば鋳物製のカウンタウェイト7を配置してある。このカウンタウェイト7の外側面には、
図2,3に示すように、排気管13を立設保持する排気管保持部材12をボルト14によって取り付けてある。排気管保持部材12は、例えばカウンタウェイト7と同じ材料の鋳物で製作してある。
【0024】
旋回体2の旋回フレーム2a上には、
図5に示すように、エンジンの排気ガスが導かれるマフラ10と、このマフラ10に接続されたテールパイプ11とを配置してある。カウンタウェイト7には、テールパイプ11を挿入させる通路7aを形成してある。テールパイプ11とカウンタウェイト7の通路7aを形成する壁面との間には隙間が形成されている。すなわち、テールパイプ11がカウンタウェイト7の通路7aの壁面に接触しないように保たれている。また、排気管保持部材12はカウンタウェイト7の通路7aに連通し、テールパイプ11を挿入させる通路12aを有している。テールパイプ11と排気管保持部材12の通路12aを形成する壁面との間にも隙間が形成されている。すなわち、テールパイプ11が排気管保持部材12の通路12aの壁面に接触しないように保たれている。
【0025】
排気管13は、テールパイプ11の上端11aを挿入させる下方部分と、テールパイプ11を介して導かれた排気ガスを放出する排気口13aを有する上方部分とを備えている。この排気管13は、当該ミニショベルが設置される地面と排気口13aとの距離が人の平均身長以上、例えば170cm以上となるような長さ寸法に設定されている。
【0026】
排気管保持部材12は、カウンタウェイト7の上面と同じ高さ位置となる上面を有し、排気管13の下端には、排気管13を排気管保持部材12の上面に取り付けるフランジ19を一体に設けてある。フランジ19は、
図3に示すボルト15によって排気管保持部材12に取り付けてある。これにより排気管13は、
図6に示すように、キャノピ4の後部左支柱5dから離隔して立設される。
【0027】
また、第1実施形態に係るミニショベルは、
図7に示すように、運転席3のシップポイント、すなわちオペレータの運転席3に対する着座位置の基準点として知られている座席基準点17と、例えば後側左支柱5dとを結ぶ仮想的な直線18の近傍位置に、上述した排気管保持部材12及び排気管13を配置してある。
【0028】
この第1実施形態にあっては、エンジンの排気ガスがマフラ10に導かれて消音が行われる。このマフラ10から排出された排気ガスはテールパイプ11に導かれ、さらにテールパイプ11の上端11aから排気管13内に導かれ、排気管13の排気口13aからカウンタウェイト7の上方位置において外部に放出される。
【0029】
以上のように構成した第1実施形態は、排気管保持部材12をカウンタウェイト7の外側面に取り付け、排気管保持部材12に、上方部分に排気ガスを放出する排気口13aを有する排気管13を立設保持させたことから、旋回体2上やカウンタウェイト7の上面に排気管13の設置スペースを確保できない当該ミニショベルであっても、排気管13を立設保持させてカウンタウェイト7の上方位置において排気ガスを放出させることができる。これにより、当該ミニショベルの作業場所の周囲に存在する比較的低い植木や高さの低い構造物に対する排気ガスの放射が抑えられ、これらの植木や構造物に対する悪影響を防ぐことができる。
【0030】
また、排気管13は、テールパイプ11を挿入させる下方部分を有することから、マフラ10からテールパイプ11に導かれた排気ガスをカウンタウェイト7の通路7aを形成する壁面、及び排気管保持部材12の通路12aを形成する壁面に放射させることなく排気管13に導き、排気管13の排気口13aから外部に放出させることができる。また、テールパイプ11とカウンタウェイト7の通路7aを形成する壁面との間にテールパイプ11からカウンタウェイト7への熱の伝達を阻止する隙間を設け、テールパイプ11と排気管保持部材12の通路12aを形成する壁面との間に、テールパイプ11から排気管保持部材12への熱の伝達を阻止する隙間を設けてある。これらのことから、カウンタウェイト7及び排気管保持部材12が直接に加熱されることがなく、排気ガスによるカウンタウェイト7及び排気管保持部材12の昇温が低くなるように抑えることができる。これにより、排気ガスの熱に伴って熱くなったカウンタウェイト7、あるいは排気管保持部材12への接触による不快感を生じさせないようにすることができる。
【0031】
また、この第1実施形態は、排気管13を排気管保持部材12の上面に取り付けるフランジ19を備えたことから、このフランジ19を介して排気管13を排気管保持部材12の上面に安定して立設保持させることができる。
【0032】
また、この第1実施形態は、運転席3の座席基準点17と後側左支柱5dとを結ぶ仮想的な直線18の近傍位置に、排気管保持部材12及び排気管13を配置してあることから、運転席3に座ったオペレータが後方を目で確認しようとするとき、排気管13が後側左支柱5dに隠れた状態となる。したがって、運転席3に座ったオペレータの後方視界に悪影響を及ぼすことなく排気管13を設けることができる。また、排気ガスが導かれることによって排気管13が熱くなるが、排気管13をキャノピ4の後側左支柱5dから離隔して立設させてあること、及び排気管13の表面からの輻射熱が支柱5dによって遮られることとによって、運転席3に着座したオペレータに対して、排気ガスの熱による不快な加熱を生じさせないようにすることができる。
【0033】
図8は本発明に係る作業機械の第2実施形態を構成するミニショベルを斜め後方から見た斜視図、
図9は
図8に示すミニショベルの車体を斜め前方から見た斜視図、
図10は
図8に示すミニショベルの車体の平面図である。
【0034】
これらの
図8〜10に示す第2実施形態を構成するミニショベルは、より安定した重量バランスを確保するために、カウンタウェイト7の外側面から突出するように配置される追加カウンタウェイト20を備えたものである。排気管保持部材12及び排気管13は、平面視で追加カウンタウェイト20よりも外側に出ないように配置してある。その他の構成は、上述した第1実施形態と同等である。
【0035】
このように構成した第2実施形態は、第1実施形態と同等の作用効果が得られる他、排気管保持部材12及び排気管13が旋回後端半径内に位置するので、旋回体2の旋回時に周囲の構造物等に排気管保持部材12及び排気管13が接触したり干渉したりする虞を少なくすることができる。これにより、旋回体2の旋回に伴う排気管保持部材12及び排気管13の損傷を防ぐことができる。
【0036】
なお、上記第1,第2実施形態は、運転席3の座席基準点17と後側左支柱5dとを結ぶ仮想的な直線18の近傍位置に排気管保持部材12と排気管13を配置してあるが、これらの排気管保持部材12と排気管13を仮想的な直線18上に配置した構成にしてもよい。
【0037】
また、上記第1,第2実施形態は、後側左支柱5dの近傍位置に排気管保持部材12と排気管13とを配置してあるが、これらの排気管保持部材12と排気管13を、運転席3の座席基準点17と後側右支柱5cとを結ぶ仮想的な直線上に、あるいはその仮想的な直線の近傍位置に配置した構成にしてもよい。
【0038】
また、上記第1,第2実施形態は、4柱キャノピを備えているが、本発明は、2柱キャノピを備えたミニショベルに適用することもできる。また本発明は、キャノピに代えて運転室を備えたミニショベル等の作業機械に適用することもできる。運転室を備えたミニショベル等の作業機械に適用する場合には、運転室を形成する後側支柱と運転席とを結ぶ仮想的な直線上、あるいは仮想的な直線の近傍位置に、排気管保持部材及び排気管を配置する構成となる。
【0039】
また、上記第1,第2実施形態は、排気口13aが後方を向くように排気管13を排気管保持部材12に立設保持させた構成となっているが、本発明はこれに限られず、排気口13aが側方、あるいは斜め後方を向くように、排気管13を排気管保持部材12に立設保持させる構成にしてもよい。
【0040】
また、上記第1,第2実施形態は、排気管13を外部に対して露出させた構成にしてあるが、排気管13を露出させず、この排気管13の周囲及び上部を覆う排気管カバーを備えた構成にしてもよい。
【0041】
また、上記第1,第2実施形態において、排気管13を排気管保持部材12の上面にフランジ19を介して取り付ける構成にしてあるが、排気管13の製作時に排気管13とフランジ19とを一体成形してもよく、また、排気管13とフランジ19とを別体に製作し、溶接によってフランジ19と排気管13とを接続する構成にしてもよい。
【0042】
なお、上記第1,第2実施形態に係る作業機械は、それぞれミニショベルから成っているが、本発明は、ミニショベルには限られない。本発明は、ミニショベルよりも大きな型式となる油圧ショベル等の作業機械にも適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
2 旋回体
3 運転席
4 キャノピ
5d 後側左支柱
6 ルーフ
7 カウンタウェイト
7a 通路
10 マフラ
11 テールパイプ
12 排気管保持部材
12a 通路
13 排気管
13a 排気口
16 支持部
17 座席基準点
18 仮想的な直線
19 フランジ
20 追加カウンタウェイト