【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従い、この目的は本請求項の主題によって達成される。
【0009】
本発明に従って、腫瘍と関連して発現する抗原およびそれをコードする核酸を同定し提供する戦略を追及した。この戦略は、細胞表面に到達可能な、潜在的癌特異抗原に関するヒトのタンパク質および核酸のデータベースの評価に基づいている。できればタンパク質全てを分析するための高処理量の手法と一緒に、分析に必要となるフィルター基準を規定することが、本発明の中心部となる。データ検索により、一つ以上の膜貫通領域の存在を「遺伝子からmRNAからタンパク質へ」の基本原理に従って全ての既知の遺伝子について調査し、可能な限り完全なリストを最初に作成した。次いで、相同性探索、組織特異的群(特に腫瘍組織)におけるヒット数の分類、およびmRNAが実際に存在するかの検討を行った。最終的に、この方法で同定されたタンパク質を、例えば発現分析およびタンパク質化学的手法により、腫瘍における異常な活性化について評価を行った。
【0010】
データ検索は腫瘍関連遺伝子の同定のための既知の方法である。しかしながら、従来の戦略においては、正常組織ライブラリーの転写産物は、腫瘍組織ライブラリーから電子的に減算されているが、これは残りの遺伝子が腫瘍特異的であるという仮定に基づいている(Schmittら, Nucleic Acids Res. 27:4251-60, 1999; Vasmatzis ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 95:300-4, 1998; Scheurle ら, Cancer Res. 60:4037-43, 2000)。
【0011】
本発明の概念は、非常に成功を収めたものであるが、細胞表面に到達可能な癌特異抗原をコードする全ての遺伝子を電子的に抽出し、前記遺伝子を腫瘍の異所発現について評価する、データ検索の利用に基づいている。
【0012】
本発明は従って一面において、腫瘍において差次的に発現している遺伝子を同定する戦略に関連している。前記戦略は、公表されている配列ライブラリーのデータ検索(「シリコン内」評価)を、その後の試験室での実験評価(実験室評価)調査を組み合わせたものである。
【0013】
本発明によれば、異なったバイオインフォマティックスクリプト(bioinformatic scripts)に基づく組み合わせ戦略によって、細胞表面に到達し得る癌特異抗原をコードする遺伝子の同定が可能になった。本発明によれば、これらの腫瘍関連遺伝子およびそれによってコードされる遺伝子産物は、免疫原性作用とは別に、同定されまた提供される。
【0014】
本発明によって同定される腫瘍関連抗原は、(a)配列表の配列番号:1, 5, 9, 13, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その一部またはその誘導体を含む核酸、(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、からなる群から選択される核酸によってコードされるアミノ酸配列を有する。好ましい実施態様において、本発明に従って同定される腫瘍関連抗原は、配列表の配列番号: 1, 5, 9, 13, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸によってコードされるアミノ酸配列を有する。更に好ましい実施態様において、本発明に従って同定される腫瘍関連抗原は、配列表の配列番号: 2, 6, 10, 14, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 to 308, 310, 314からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部または誘導体配列を含む。
【0015】
本発明は一般的に、治療と診断のために、本発明に従って同定された腫瘍関連抗原、またはその一部またはその誘導体、それをコードする核酸または前記コードする核酸に対して配向される核酸、または本発明に従って同定された腫瘍関連抗原、またはその一部またはその誘導体に対する抗体の使用全般に関する。この利用は、個々に関するものであってもよいし、これらの抗原、機能的断片、核酸、抗体等の二つ以上に関するものでもよく、一つの実施態様においては、診断、治療および進行の制限のための、他の腫瘍関連遺伝子および抗原と組み合わせてもよい。
【0016】
本発明によって同定される、細胞表面にあるいは表面上に局在するという腫瘍関連抗原の性質により、腫瘍関連抗原を治療と診断のための適切な標的あるいは手段として用いることが可能になる。このために特に適しているのは、本発明によって同定された腫瘍関連抗原の一部であって、非膜貫通部分、特に抗原の細胞外の部分でありまたそれを含むものである。それ故、本発明によれば、本発明によって同定された腫瘍関連抗原の一部であって、前記抗原の非膜貫通部に相当する部分、またはそれを含む部分、ないしは本発明によって同定された腫瘍関連抗原をコードする核酸の相当する部分は、治療または診断のために好ましい。同様に、本発明によって同定された腫瘍関連抗原の一部であって、前記抗原の非膜貫通部に相当する部分、またはそれを含む部分に対する抗体の使用が好ましい。
【0017】
治療および/あるいは診断に好ましい疾患は、本発明によって同定された一つ以上の腫瘍関連抗原が、選択的に発現されるかまたは異常に発現される疾患である。
【0018】
本発明は複数の遺伝子産物にも関する、つまり腫瘍に関連して発現され、既知の遺伝子の選択的スプライシング(スプライシングバリアント)による、または別の読み取り枠を利用した別の翻訳による、核酸およびタンパク質またはペプチドにも関する。この態様において、本発明は、配列表の配列番号:1, 5, 9, 13, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313による配列からなる群から選択される核酸配列を含む核酸に関する。更にこの態様において、本発明は、配列表の配列番号:2, 6, 10, 14, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280 to 308, 310, 314による配列からなる群か選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質またはペプチドに関する。本発明のスプライシングバリアントを、腫瘍疾患の診断および治療のための標的として、本発明に従って用いることができる。
【0019】
非常に異なった機構が、スプライシングバリアントができる原因となるかも知れない。
例えば、以下のような場合である。
− 異なる転写開始部位の使用、
− 追加エクソンの使用、
− 単一のあるいは複数のエクソンからの完全または不完全なスプライシング、
− 突然変異によって変化したスプライシング制御配列(新ドナー/アクセプター配列の欠失または生成)、
− イントロン配列の不完全な除去
【0020】
遺伝子の選択的スプライシングにより、転写配列が変化する(スプライシングバリアント)。変化した配列領域におけるスプライシングバリアントの翻訳は、本来のタンパク質とは構造的にも機能的にも明瞭に異なっているかも知れないタンパク質を生成するかも知れない。腫瘍関連スプライシングバリアントは、腫瘍関連転写物および腫瘍関連タンパク質/抗原を生成するかも知れない。これらは、腫瘍細胞の検出および腫瘍の治療のための標的の両方の分子マーカーとして利用できるかも知れない。例えば血液、血清、骨髄、痰、気管支肺胞洗浄液、体分泌物および組織生検における腫瘍細胞の検出を、例えばスプライシングバリアント特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅をした核酸の抽出後に行ってもよい。
【0021】
本発明によれば、全ての配列依存検出システムは検出に適している。PCRの他にこれらとしては、例えば遺伝子チップ/マイクロアレイシステム、ノーザンブロット、RNアーゼ保護アッセイ(RDA)等が挙げられる。全ての検出系は、少なくとも一つの、スプライシングバリアント特異的核酸配列との特異的なハイブリダイズに基づいている。しかしながら、腫瘍細胞もまた、本発明によって、スプライシングバリアントによってコードされる特異的なエピトープを認識する抗体によって検出してもよい。前記抗体は、前記スプライシングバリアントに特異的であるペプチドを免疫に用いることにより調製できる。この態様において、本発明は特に、配列表の配列番号: 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, および 281から選択される配列を持つまたは含むペプチド、およびそれに対する特異的な抗体に関する。腫瘍細胞の検出は、腫瘍特異的な様式で変質された糖鎖修飾変異体を認識する抗体を用いてもまた達成できる。そのような抗体を作製するために、糖鎖変質に依存して、腫瘍細胞と健常細胞において異なるペプチド領域を利用することができる。この態様において、本発明は特に、配列表の配列番号: 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280, および 281から選択される配列を持つまたは含むペプチド、およびそれに対する特異的な抗体に関する。N-カップリング糖残基の内在的な糖鎖除去反応により、アスパラギンはアスパラギン酸に変換している。本発明によって、本明細書に記載されるタンパク質は腫瘍特異的な様式で配列が変化することが可能であり、従って異なった生化学的また抗体結合性質を有する。免疫に適したものとしては、アミノ酸であって、そのエピトープは、健常細胞において産生される遺伝子産物の変異体とは明瞭に異なっているものである。本明細書において、腫瘍細胞の抗体による検出は、患者から採取された試料について行ってもよいし、または画像診断のために抗体を静脈投与してもよい。
【0022】
診断利用に加えて、新しいまたは変化したエピトープを有するスプライシングバリアントは、免疫療法の魅力的な標的である。本発明のエピトープは、治療活性を有するモノクローナル抗体またはT細胞を標的に向けるために利用できるかも知れない。受動的な免疫療法においては、スプライシングバリアントを認識する抗体またはTリンパ球は、本明細書においては、適合移植される。他の抗原の場合のように、これらのエピトープを含むポリペプチドを利用して、標準的な技術(動物ヘの免疫付与、組換え抗体を分離するためのパニング作戦)を用いて抗体を作製させることができる。代わりに、前記エピトープを含むオリゴまたはポリペプチドをコードする核酸を免疫付与に利用することも可能である。インビトロ または インビボでエピトープ特異的なT細胞を生成する種々の技術が知られており、詳細に記述されている(例えばKessler JH, ら. 2001, Sahinら, 1997)、またそれらは同様に、スプライシングバリアント特異的なエピトープを含むオリゴまたはポリペプチドもしくは前記オリゴまたはポリペプチドをコードする核酸の利用に基づいている。スプライシングバリアント特異的なエピトープを含むオリゴまたはポリペプチドもしくは前記オリゴまたは、ポリペプチドをコードする核酸を、能動免疫療法(ワクチン接種、ワクチン療法)における薬剤活性物質として利用されてもよい。
【0023】
腫瘍細胞における遺伝子の異常な発現は、そのプロモーターの変化したメチル化パターンによるものである可能性がある(De Smet C ら, Mol. Cell Biol. 24:4781-90, 2004; De Smet C ら, Mol. Cell Biol. 19:7327-35, 1999; De Smet Cら, Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 93:7149-53, 1996)。メチル化におけるこれらの相違は、腫瘍において変化した各遺伝子の状態の間接的なマーカーとして利用することが可能である。従って、プロモーター領域内の基底メチル化の増加または減少を、診断目的に利用可能である。
【0024】
更なる態様において、本発明はまた、糖鎖付加またミリスチン酸付加のような翻訳後に修飾されたタンパク質領域にも関する。この種の修飾により、例えば抗体による抗原のパターンの特異的認識がなされ、また疾患に関連している可能性のある異なった状態の認識が可能になる。特に抗体を用いることにより、抗原のこの識別を診断および治療に利用することができる。特に、抗体によるこの識別を診断および治療的に利用することができる。腫瘍細胞に関して、腫瘍に関連した細胞変性により、翻訳後修飾されることが公表されている(Durand & Seta, Clin Chem 46: 795-805, 2000; Granovskyら, Nat Med 6: 306-312, 2000)。特に糖鎖付加のパターンは腫瘍細胞において大きく変化している。本発明による、これらの特別なエピトープは、診断的に、非発癌性細胞から腫瘍細胞を識別することができる。もし翻訳後修飾可能なエピトープが、正常な非変性細胞において糖鎖付加され、腫瘍細胞において脱糖鎖されているならば、この状況は腫瘍特異的な治療用抗体の開発を本発明の範囲内に入れることになる。
【0025】
タンパク質の修飾の分析はウエスタンブロット法によって行われる。特に、一般的に数kDaの大きさを有する糖鎖の付加により、SDS-PAGEによって分離できる、標的タンパク質の全体質量が増加することになる。特定のO-およびN-グリコシド結合タンパク質の検出のためには、可溶化液を、SDSを用いた変性に先立って、O−およびN−グリコシダーゼ(例えばPNgase、エンドグリコシダーゼF、Roche Diagnostics、の製造業者の指示に従って)と保温する。次いでウエスタンブロット法を行う。標的タンパク質の大きさが減少する場合には、特異的な糖鎖付加は、グリコシダーゼとの保温後、この方法で検出することができ、従って修飾の腫瘍特異性も分析することができる。特に興味のある物は、腫瘍細胞と健常細胞において、特異的に糖鎖されているタンパク質である。そのような差は、しかしながら、今まで数種の表面タンパク質について報告されているに過ぎない(例えばMuc1)。
【0026】
一つの態様において本発明は、本発明によって同定された腫瘍関連抗原を認識し、かつ本発明によって同定された腫瘍関連抗原の発現および異常な発現をする細胞に、好ましくは選択的である薬剤を含む医薬組成物に関する。具体的な実施態様において、前記薬剤は、細胞死、細胞増殖の低下、細胞膜に対する傷害、またはサイトカインの分泌を誘導する可能性があり、好ましくは腫瘍阻害活性を有する。ある一つ実施態様において前記薬剤は、腫瘍関連抗原をコードする核酸と選択的にハイブリダイズするアンチセンス核酸である。更なる実施態様において、前記薬剤は、腫瘍関連抗原と選択的に結合し、特に腫瘍関連抗原と選択的に結合する補体を活性化する抗体であり、または毒素と結合した抗体である。更に別の実施態様においては、前記薬剤は異なった腫瘍関連抗原を選択的に認識する二つ以上の薬剤を含み、少なくとも腫瘍関連抗原の一つは、本発明によって同定された腫瘍関連抗原である。認識は、必ずしも抗原の活性または発現の阻害を直接伴う必要はない。この態様において、抗原の選択性は腫瘍に限られており、好ましくは、エフェクター機構をこの特定の場所にリクルートするための標識として貢献する。ある一つの好ましい実施態様において、前記薬剤はHLA分子上の抗原を認識する細胞障害性T細胞であって、このような標識を有する細胞を溶解する。更なる実施態様において、前記薬剤は、腫瘍関連抗原と選択的に結合する抗体であって、従って天然または人工のエフェクター機構をその細胞に徴募する。更なる実施態様においては、前記薬剤はヘルパーTリンパ球であって、前記抗原を特異的に認識する他の細胞のエフェクター機能を増強する。
【0027】
他の態様において、本発明は、本発明に従って同定される腫瘍関連抗原の発現または活性を阻害する薬剤を含む医薬組成物に関する。好ましい実施態様において、薬剤は、腫瘍関連抗原をコードする核酸に選択的にハイブリダイズするアンチセンス核酸である。別の実施態様において、薬剤は、腫瘍関連抗原に選択的に結合する抗体である。別の実施態様において、薬剤は、異なる腫瘍関連抗原の発現または活性を各々選択的に阻害する2つ以上の薬剤を含み、その少なくとも1つが本発明によって同定される腫瘍関連抗原である。
【0028】
本発明によって同定される腫瘍関連抗原の活性は、タンパク質またはペプチドのあらゆる活性であってもよい。また、このように、本発明の治療および診断方法は、この活性を阻害または低下させること、またはこの活性を試験することも目的とし得る。
【0029】
本発明は、また、投与される際に、HLA分子と本発明によって同定される腫瘍関連抗原からのペプチドエピトープとの間の複合体の量を選択的に増加させる薬剤を含む医薬組成物に関する。一実施態様において、薬剤は、(i)腫瘍関連抗原またはその一部、(ii)前記腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸、(iii)前記腫瘍関連抗原またはその一部を発現する宿主細胞、および(iv)腫瘍関連抗原のペプチドエピトープとMHC分子との単離複合体、からなる群から選択される1つ以上の成分を含む。一実施態様において、薬剤は、MHC分子と異なる腫瘍関連抗原からのペプチドエピトープとの間の複合体の量を各々選択的に増加させる2つ以上の薬剤を含んでおり、この少なくとも1つが本発明によって同定される腫瘍関連抗原である。
【0030】
本発明は、さらに、(i)本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部、(ii)本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸、(iii)本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部と結合する抗体、(iv)本発明によって同定される腫瘍関連抗原をコードする核酸と特異的にハイブリダイズするアンチセンス核酸、(v)本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部を発現する宿主細胞、および(vi)本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部とHLA分子との単離複合体、からなる群から選択される1または複数の成分を含む医薬組成物に関する。
【0031】
本発明に従って同定される腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸は、発現ベクターの医薬組成物中において存在し、かつ機能的に結合してもよい。
【0032】
本発明の医薬組成物中に存在する宿主細胞は、腫瘍関連抗原またはその一部を分泌し、それを表面で発現するかまたはさらに前記腫瘍関連抗原またはその一部に結合するHLA分子を発現するものでもよい。一実施態様において、宿主細胞は、内在的にHLA分子を発現する。更なる実施態様において、宿主細胞は、HLA分子および/または腫瘍関連抗原またはその一部を組換え方法により発現する。宿主細胞は、好ましくは非増殖性である。好ましい実施態様において、宿主細胞は、抗原提示細胞、特に樹状細胞、単球またはマクロファージである。
【0033】
本発明の医薬組成物に存在する抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。別の実施態様において、抗体はキメラ抗体またはヒト化抗体、天然の抗体の断片または合成抗体であり、これらの全てのものは、組換え技術によって提供してもよい。前記抗体は、治療上または診断上有用な薬剤と結合してもよい。
【0034】
本発明の医薬組成物中に存在するアンチセンス核酸は、6〜50、特に10〜30、15〜30および20〜30の配列、本発明によって同定される腫瘍関連抗原をコードする核酸の近接したヌクレオチドを含んでもよい。
【0035】
更なる実施態様において、直接的または核酸の発現を介して本発明の医薬組成物によって提供される腫瘍関連抗原またはその一部は、細胞表面上でMHC分子に結合し、前記結合により、好ましくは細胞溶解性応答をもたらし、および/またはサイトカイン放出を誘導する。
【0036】
本発明の医薬組成物は、医薬的に適合し得る担体および/またはアジュバントを含み得る。アジュバントは、サポニン、GM-CSF、CpGオリゴヌクレオチド、RNA、サイトカインまたはケモカインから選択され得る。本発明の医薬組成物は、選択的に腫瘍関連抗原の選択的発現または異常発現によって特徴付けられる疾患の処置に使用されるのが好ましい。好ましい実施態様において、前記疾患は癌である。
【0037】
本発明は、一つ以上の腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患の治療方法、診断方法またはモニター方法、すなわち退行、経過および/または発症の判定方法に関する。
【0038】
一実施態様において、本発明の治療方法は、本発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0039】
本発明の診断方法および/またはモニター方法は、一般的には、(i)腫瘍関連抗原をコードする核酸またはその一部の量および/または(ii)腫瘍関連抗原またはその一部の量および/または(iii)腫瘍関連抗原に対する抗体またはその一部の量および/または(iv)患者から単離された生物学的試料中の腫瘍関連抗原またはその一部に特異的である細胞毒性またはヘルパーTリンパ球の量を検出および/または決定および/またはモニターのための手段の使用に関する。
【0040】
一態様において、本発明は、本発明によって同定される腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患を診断する方法に関する。前記方法は、(i)腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸の検出および/または(ii)腫瘍関連抗原またはその一部の検出、および/または(iii)腫瘍関連抗原またはその一部に対する抗体の検出および/または(iv)患者から単離された生物学的試料において腫瘍関連抗原にまたはその一部に特異的である細胞毒性またはヘルパーTリンパ球の検出、を含む。特に実施態様において、検出は、(i)生物学的試料を、腫瘍関連抗原またはその部分をコードする核酸、前記腫瘍関連抗原またはその一部、腫瘍関連抗原またはその一部に特異的な抗体あるいは細胞毒性またはヘルパーTリンパ球に特異的に結合する薬剤と接触させること、そして(ii)薬剤と核酸またはその一部、腫瘍関連抗原またはその一部、抗体あるいは細胞毒性またはヘルパーTリンパ球との間の複合体の形成を検出することを含む。一実施態様において、疾患は、二つ以上の腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とし、検出は、二つ以上の腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸の検出、二つ以上の腫瘍関連抗原またはその部分の検出、二つ以上の腫瘍関連抗原またはその一部に結合する二つ以上の抗体の検出、または二つ以上の腫瘍関連抗原に特異的な二つ以上の細胞毒性またはヘルパーTリンパ球の検出を含む。別の実施態様において、患者から単離された生物学的試料は、比較し得る正常な生物学的試料と比較される。
【0041】
本発明の診断方法は、個別の腫瘍関連 遺伝子産物のプロモーター領域の変化したメチル化パターンをも利用してもよい。かかるメチル化パターンの検出は、PCRを基にした方法を用いて、制限酵素の補助または配列決定によって実施してもよい。このために適切な方法は、次のようなものであり得る:(1) 患者の組織試料からのDNA抽出、例えばパラフィン包埋物を用いる、(2)重亜硫酸塩含有試薬を用いるDNAの処理(例えば、Clark S.J. ら, Nucleic Acids Res. 22(15):2990-7,1994に記載されている)、(3)PCRによるDNAの増幅、および(4)配列特異的増幅産物の量を決定することによる分析(例えば、定量的PCR、ハイブリダイゼーション技術、例えば、マイクロアレイ法による)。
【0042】
本発明の診断方法は、例えば細胞の移動挙動の試験を通じて転移を予言するために、本発明によって同定される腫瘍関連抗原を予後マーカーとして使用することにも関与することが可能であり、それ故疾患の悪化の経過も予想でき、その他の方法よりも積極的な治療計画をなし得る。
【0043】
更なる態様において、本発明は、本発明によって同定される腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患の退行、経過または発病を判定するための方法に関する。この方法は、前記疾患に罹患しているかまたは前記疾患に罹患している疑いのある患者由来の試料を、(i)腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸の量、(ii)腫瘍関連抗原またはその一部の量、(iii)腫瘍関連抗原またはその一部に結合する抗体の量、および(iv)腫瘍関連抗原またはその一部とMHC分子との複合体に特異的である細胞溶解性T細胞またはヘルパーT細胞の量からなる群から選択される一以上のパラメータに関して、モニターすることからなる。前記方法は、好ましくは、最初の時点で時間内に第一の試料の一つ以上の該パラメータを、また第二の時点で時間内に更なる試料の一つ以上の該パラメータを決定し、疾患の治療単位を二つの試料を比較することにより決定することからなる。特定の実施態様において、前記疾患は二種類以上の腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とし、モニターは、(i)前記二種類以上の腫瘍関連抗原またはその一部をコードする二つ以上の核酸の量、および/または(ii)前記二種類以上の腫瘍関連抗原またはその一部の量、および/または(iii)前記二種類以上の腫瘍関連抗原またはその一部に結合する二つ以上の抗体の量、および/または(iv)前記二種類以上の腫瘍関連抗原またはその部分とMHC分子との間の複合体に特異的な二つ以上の細胞溶解性T細胞またはヘルパーT細胞の量、をモニターすることからなる。
【0044】
本発明に従って、核酸またはその一部の検出、または核酸またはその一部の量を決定するかモニターすることは、前記核酸またはその一部に特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドプローブを用いて行うか、あるいは前記核酸またはその部分の選択的増幅によって実施してもよい。一実施態様において、ポリヌクレオチドプローブは、前記核酸の6〜50、特に10〜30、15〜30および20〜30の近接したヌクレオチド配列を含む。
【0045】
本発明の診断方法の特定の実施態様において、本発明によって同定される腫瘍関連抗原をコードし、ゲノムDNAの形態で存在している核酸のプロモーター領域またはその一部は、選択的に増幅された後に重亜硫酸塩含有試薬により処理される。該核酸は、試験されるべき患者の試料から単離され、重亜硫酸塩含有試薬により処理されるのが好ましい。このような増幅において使用されるオリゴヌクレオチドは、重亜硫酸塩含有試薬で処理される核酸と結合する配列を有するのが好ましく、それに完全に相補的であるのが好ましい。該オリゴヌクレオチドは、核酸のメチル化の様々な程度に順応され、区別され得る増幅産物をもたらすのが好ましい。
【0046】
本発明に従って、腫瘍関連抗原またはその一部の検出または、腫瘍関連抗原またはその一部の量を決定しまたはモニターするには、前記腫瘍関連抗原に特異的に結合している抗体またはその一部を用いて実施してもよい。
【0047】
特定の実施態様において、検出すべき腫瘍関連抗原またはその一部はMHC分子、特にHLA分子との複合体中に存在する。
【0048】
本発明に従って、抗体の検出、抗体の量の決定またはモニターは、前記抗体に特異的に結合するタンパク質またはペプチドを用いて実施してもよい。
【0049】
本発明に従って、抗原またはその一部とMHC分子との間の複合体に特異的である細胞溶解性T細胞またはヘルパーT細胞の検出または細胞溶解性T細胞またはヘルパーT細胞の量のモニターは、前記抗原または前記その一部とMHC分子との複合体を提示する細胞を用いて実施してもよい。
【0050】
検出または決定またはモニターのために使用されるポリヌクレオチドプローブ、抗体、タンパク質またはペプチドまたは細胞は、好ましくは検出し得る方法で標識される。特定の実施態様において、検出し得るマーカーは、放射性マーカーまたは酵素的マーカーである。さらにTリンパ球は、その増幅、そのサイトカイン産生、およびそのMHCと腫瘍関連抗原またはその一部との間の複合体での特異的刺激によって開始される細胞毒性活性を検出することにより検出してもよい。Tリンパ球は、組換えMHC分子またはその他の一つ以上の腫瘍関連抗原の特定の免疫原性断片を担持し、特異的T細胞レセプターを接触させることによって、特異的Tリンパ球を同定し得る二つ以上の組換えMHC分子の複合体を介して検出し得る。
【0051】
別の態様において、本発明は、本発明によって同定される腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患を治療、診断またはモニターする方法に関しており、この方法は、前記腫瘍関連抗原またはその一部に結合し、治療または診断薬と結合する抗体を投与することを含む。該抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。別の実施態様において、該抗体はキメラ抗体またはヒト化抗体あるいは天然の抗体の断片である。
【0052】
本発明は、また本発明によって同定される腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患に罹患している患者の治療方法にも関し、該方法は、(i)前記患者から免疫反応性細胞を含有する試料を取り出すこと、(ii)前記試料と前記腫瘍関連抗原またはその部分を発現する宿主細胞とを、前記腫瘍関連抗原またはその一部に対して細胞溶解性T細胞の産生に好適な条件下で接触させること、そして(iii)腫瘍関連抗原またはその一部を発現する細胞を溶解するのに好適な量の細胞溶解性T細胞を患者に導入することからなる。本発明はまた、腫瘍関連抗原に対する細胞溶解性T細胞のT細胞レセプターのクローニングにも関する。前記レセプターを、所望の特異性を受ける他のT細胞に移してもよく、かつ(iii)にあるように、患者へ導入してもよい。
【0053】
一実施態様において、該宿主細胞は、HLA分子を内在的に発現する。別の実施態様において、宿主細胞は、HLA分子および/または腫瘍関連抗原またはその一部を組換え的に発現する。宿主細胞は、非増殖性のものが好ましい。好ましい実施態様において、宿主細胞は、抗原提示細胞、特に樹状細胞、単球またはマクロファージである。
【0054】
別の態様において、本発明は、腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患に罹患している患者を治療する方法に関し、該方法は、(i)本発明によって同定される腫瘍関連抗原をコードし、前記疾患に関連する細胞によって発現する核酸を同定すること、(ii)宿主細胞を該核酸またはその一部でトランスフェクトすること、(iii)該核酸を発現させるために、トランスフェクトした宿主細胞を培養すること(高効率のトランスフェクションが達成された場合、これは必須ではない)、そして(iv)該患者へ、宿主細胞またはその抽出物を、疾患に関連のある患者の細胞に対する免疫応答を増加させるのに好適な量で導入することからなる。該方法は、さらに腫瘍関連抗原またはその一部を提示するMHC分子を同定することからもなり、ここで宿主細胞は同定されたMHC分子を発現し該腫瘍関連抗原またはその一部を提示する。該免疫応答は、B細胞応答またはT細胞応答のいずれでもよい。さらに、T細胞応答は、腫瘍関連抗原またはその一部を提示する宿主細胞に特異的であるか、または該腫瘍関連抗原またはその部分を発現する患者の細胞に特異的である細胞溶解性T細胞および/またはヘルパーT細胞の産生を含むものであってもよい。
【0055】
本発明は、また本発明によって同定される腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾患を治療する方法にも関し、該方法は、(i)腫瘍関連抗原を異常量で発現する患者からの細胞を同定すること、(ii)該細胞の試料を単離すること、(iii)該細胞を培養すること、および(iv)細胞に対する免疫応答を開始するための適当な量で該細胞を患者に導入することからなる。
【0056】
好ましくは、本発明に従って使用される宿主細胞は、非増殖性であるか、非増殖性にされたものである。腫瘍関連抗原の発現または異常発現を特徴とする疾病は、特に癌である。
【0057】
本発明は、さらに(a)配列表の配列番号:1, 5, 9, 13, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その部分またはその誘導体を含む核酸、(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、からなる群から選択される核酸に関する。本発明は、さらに、配列表の配列番号:2, 6, 10, 14, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280〜308, 310, 314からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部またはその誘導体を含むタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸に関する。
【0058】
更なる態様において、本発明は、本発明の核酸のプロモーター配列に関する。これらの配列は、好ましくは発現ベクターにおいて別の遺伝子に機能的に結合してもよく、このように適切な細胞中で前記遺伝子の選択的発現が確実なものとなる。
【0059】
更なる態様において、本発明は、本発明の核酸を含む組換え核酸分子、特にDNAまたはRNA分子に関する。
【0060】
本発明は、本発明の核酸または本発明の核酸を含む組換え核酸分子を含有する宿主細胞に関する。
【0061】
宿主細胞はまた、HLA分子をコードする核酸を含んでもよい。一実施態様において、宿主細胞は、HLA分子を内在的に発現する。別の実施態様において、宿主細胞はHLA分子および/または本発明の核酸またはその一部を組換え発現する。好ましくは、宿主細胞は非増殖性である。好ましい実施態様において、宿主細胞は、抗原提示細胞、特に樹状細胞、単球またはマクロファージである。
【0062】
更なるの実施態様において、本発明は、本発明に従って同定された核酸とハイブリダイズし、遺伝子のプローブとして、または「アンチセンス」分子として使用され得るオリゴヌクレオチドに関する。本発明に従って同定される核酸またはその一部とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーまたは要求にかなう試料形態の核酸分子は、本発明に従って同定される核酸に相同的な核酸を見出すために使用してもよい。PCR増幅、サザンおよびノーザンハイブリダイゼーションは、相同的な核酸を見出すために用いてもよい。ハイブリダイゼーションは、低ストリンジェント条件下で行ってもよく、より好ましくは中程度のストリンジェント条件、最も好ましくは高ストリンジェント条件下で実施してもよい。本発明の「ストリンジェント条件」という用語は、ポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件を指す。
【0063】
更なる態様において、本発明は、
(a)配列表の配列番号:1, 5, 9, 13, 17, 21, 25, 29, 33, 37, 41, 45, 49, 53, 57, 61, 65, 69, 73, 77, 81, 85, 89, 93, 97, 101, 105, 109, 113, 117, 121, 125, 129, 133, 137, 141, 145, 149, 153, 157, 161, 165, 169, 173, 175, 179, 183, 187, 191, 195, 199, 203, 207, 211, 215, 219, 223, 227, 231, 235, 239, 243, 247, 251, 255, 259, 263, 267, 269, 271, 273, 275, 277, 279, 309, 313からなる群から選択される核酸配列、その部分またはその誘導体を含む核酸、(b)ストリンジェント条件下で(a)の該核酸とハイブリダイズする核酸、(c)(a)または(b)の該核酸に関して縮重している核酸、(d)(a)、(b)または(c)の該核酸に相補的である核酸、からなる群から選択される核酸によってコードされるタンパク質またはポリペプチドに関する。好ましい実施態様において、本発明は、配列表の配列番号:2, 6, 10, 14, 18, 22, 26, 30, 34, 38, 42, 46, 50, 54, 58, 62, 66, 70, 74, 78, 82, 86, 90, 94, 98, 102, 106, 110, 114, 118, 122, 126, 130, 134, 138, 142, 146, 150, 154, 158, 162, 166, 170, 174, 176, 180, 184, 188, 192, 196, 200, 204, 208, 212, 216, 220, 224, 228, 232, 236, 240, 244, 248, 252, 256, 260, 264, 268, 270, 272, 274, 276, 278, 280〜308, 310, 314からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部またはその誘導体配列を含むタンパク質またはポリペプチドに関する。
【0064】
更なる態様において、本発明は、本発明によって同定される腫瘍関連抗原の免疫原性断片に関する。前記断片は、好ましくはヒトHLAレセプターまたはヒト抗体に結合する。本発明の断片は、好ましくは、少なくとも6、特に少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30または少なくとも50のアミノ酸の配列を含む。
【0065】
この態様において、本発明は特に、配列番号:282〜308からなる群から選択されるアミノ酸配列、その一部またはその誘導体を有するまたは含むペプチドに関する。
【0066】
更なる態様において、本発明は、本発明によって同定される腫瘍関連抗原、またはその一部に結合する薬剤に関する。好ましい実施態様において、該薬剤は抗体である。別の実施態様において、抗体は、キメラ、ヒト化抗体または組換え技術によって提供される抗体または抗体の断片である。更に、本発明は、(i)本発明によって同定される腫瘍関連複合体またはその一部、および(ii)本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部が結合するMHC分子、との複合体に選択的に結合する抗体に関する。ここで前記抗体は(i)のみまたは(ii)のみとは結合しない。本発明の抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。更なる実施態様において、該抗体はキメラ抗体、ヒト化抗体または天然の抗体の断片である。
【0067】
本発明は、更に、本発明によって同定される腫瘍関連抗原またはその一部または本発明の抗体に結合する本発明の薬剤と、治療薬または診断薬との結合体に関する。一実施態様において、治療薬または診断薬は毒素である。
【0068】
更なる態様において、本発明は、本発明によって同定される腫瘍関連抗原の発現または異常発現を検出するためのキットに関し、該キットは以下の検出のための薬剤を含む:(i)腫瘍関連抗原またはその一部をコードする核酸、(ii)腫瘍関連抗原またはその一部、(iii)腫瘍関連抗原またはその一部に結合する抗体、および/または(iv)腫瘍関連抗原またはその一部とMHC分子との複合体に特異的であるT細胞。一実施態様において、核酸またはその一部の検出のための薬剤は、前記核酸の選択的増幅のための核酸分子であり、これは、前記核酸の特に6〜50、特に10〜30、15〜30又は20〜30の近接ヌクレオチド配列を含む。