【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。最終目的物は、HPLCによる純度、融点、吸光度について測定し、評価した。また、実施例の化合物については、
1H−NMR、FT−IRを測定し、目的物の構造であることを確認した。
【0036】
<吸光度測定条件>
測定装置:UV−2450((株)島津製作所製)
測定波長:250〜500nm
試料濃度:10ppm/クロロホルム
【0037】
<HPLC面百純度測定条件>
測定装置:LC−6A(株)島津製作所製)
カラム:SUMIPAX ODS−A−212 6μm、6mm×15cm
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル:水=8:2、リン酸0.3%添加(対水)
測定使用波長:254nm
【0038】
<FTIR測定条件>
装置:FTIR−8400S((株)島津製作所製)
検体:液膜法(KBrプレート)
【0039】
<
1H−NMR測定条件>
装置:Varian Mercury-300 (300 MHz) SC-NMR spectrometer
共振周波数:300MHz(
1H−NMR)
溶媒:DMSO−d6
【0040】
1H−NMRの内部標準物質として、テトラメチルシランを用い、ケミカルシフト値はδ値(ppm)、カップリング定数はHertzで示した。またsはsinglet、dはdoublet、tはtriplet、qはquintet、ddはdoublet doublet、br sはbroad singlet、mはmultipletの略とする。
【0041】
[実施例1]
化合物
a)の合成例
500mLの四つ口フラスコに温度計と玉付コンデンサー、水分離器を備え、4−[4−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−3−ヒドロキシフェノキシ]ブチリックアシド 8.146g(0.026mol)、モノメトキシポリエチレングリコールn=22(商品名ユニオックスM−1000:日油株式会社製)52.0g(0.052mol)、トルエン100mLを入れ、撹拌しながら還流温度に達するまで加熱した。113〜114℃で還流温度に達し、水分離器で留出水を除去しながら、24時間反応させた。全体が濃赤色の透明オイルとなり、薄層クロマトで目的物の生成ならびに原料のブチリックアシドが消失したことを確認した後、80℃まで冷却して、温水30mLを加えて撹拌し、静置して下層の水層を分離した。同様に温水30mLで4回(計5回)油層を洗浄し、活性炭1g、アスコルビン酸0.5gを加えて、80℃、0.5時間処理した後、メンブレンフィルターで濾過して、活性炭、ならびに不溶解物を取り除いた。同様に活性炭処理を4回(計5回)行った後、ワコーゲルC−200(和光純薬工業株式会社製)を充填したカラムクロマトグラフィーを通した。得られた黄色の液体をエバポレーターで濃縮し、さらに150℃/20Paの条件で溶媒を留去し、最後、60℃の恒温乾燥機で約170時間乾燥して、淡黄色のオイル18.61gを得た。
【0042】
図1は実施例1で得られた化合物(a)の紫外吸収スペクトルを示す。
HPLC 97.8%; yellowish wax; yield: 55.81% (based on M-1).
1H-NMR(300MHz,DMSO-d
6)δ:10.6,(br s,OH),8.00,(dd,2H,J=6.6Hz,J=3.3Hz,J=3.0Hz, Benzotriazol-H),7.71(d,1H,J=9Hz,Phenol-H),7.50(dd,2H,J=6.6Hz,J=3.0Hz,Benzotriazol-H),6.65(d,2H,J= 2.4Hz,Phenol-H),6.60(dd,2H,J=9.0Hz,J=2.7 Hz,J=2.4Hz,Phenol-H),4.14(t,2H,J=9.3Hz,COO-CH
2 -H),4.04(t,2H,J=12.6Hz,Ph-O-CH
2-H),3.61-3.58(m,2H,COO-CH
2CH
2-H),3.50-3.38(m,84H,polyethylene-H),3.22(s,3H,OCH
3-H),2.00(q,2H,PhO-CH
2CH
2-H),.FT-IR(Liquid Thin Film)cm
-1;3550(OH),2880(C-H),1730(C=O),1630,1600,1500,1470,(C=C),1350(C-H),1280(Ph-O),1110(C-O),.
【0043】
[実施例2]
化合物
b)の合成例
実施例1において、ユニオックスM−1000の替わりにモノメトキシポリエチレングリコールn=12(商品名 ユニオックスM−550:日油株式会社製)29.15g(0.052mol)を使用して同様に実施した。淡黄色のオイル13.8gを得た。
図2は実施例2で得られた化合物(b)の紫外吸収スペクトルを示す。
HPLC 90.5%; yellowish wax; yield: 62.0% (based on M-1).
1H-NMR(300MHz,DMSO-d
6)δ:10.6,(br s,OH),8.00,(dd,2H,J=6.6Hz,J=3.3Hz,Benzotriazol-H),7.73(d,1H,J=8.7Hz,Phenol-H),7.50(dd,2H,J=6.6Hz,J=3.0Hz,Benzotriazol-H),6.66(d,2H,J=2.7Hz,Phenol-H),6.60(dd,2H,J=9.0Hz,J=2.7Hz,J=2.4Hz,Phenol-H),4.14(t,2H,J=9.3Hz,COO-CH
2-H),4.04(t,2H,J=12.9Hz,Ph-O-CH
2-H),3.61-3.58(m,2H,COO-CH
2CH
2-H),3.50-3.30(m,44H,polyethylene-H),3.21(s,3H,OCH
3-H),2.00(q,2H,PhO-CH
2CH
2-H),.
FT-IR(Liquid Thin Film)cm
-1;3520(OH),2880(C-H),1730(C=O),1630,1600,1510,1470,1450,(C=C),1350(C-H),1290(Ph-O),1110(C-O),.
【0044】
[実施例3]
化合物
c)の合成例
実施例1において、ユニオックスM−1000の替わりにモノメトキシポリエチレングリコールn=8(商品名 ユニオックスM−400:日油株式会社製)20.0g(0.052mol)を使用して同様に実施した。淡黄色のオイル12.0gを得た。
【0045】
図3は実施例3で得られた化合物(c)の紫外吸収スペクトルを示す。
HPLC 93.5%; yellowish wax; yield: 67.9% (based on M-1).
1H-NMR(300MHz,DMSO-d
6)δ:10.6,(br s,OH),8.00,(dd,2H,J=6.6Hz,J=3.3Hz,J=3.0Hz,Benzotriazol-H),7.72(d,1H,J=8.7Hz,Phenol-H),7.50(dd,2H,J=6.6Hz,J=3.0Hz,Benzotriazol-H),6.66(d,2H,J=2.4Hz,Phenol-H),6.61(dd,2H,J=8.7Hz,J=2.7Hz,J=2.4Hz,Phenol-H),4.14(t,2H,J=9.3Hz,COO-CH
2-H),4.04(t,2H,J=12.3Hz,Ph-O-CH
2-H),3.61-3.58(m,2H,COO-CH
2CH
2-H),3.53-3.38(m,28H,polyethylene-H),3.21(s,3H,OCH
3-H),1.99(q,2H,PhO-CH
2CH
2-H),.
FT-IR(Liquid Thin Film)cm
-1;3520(OH),2880(C-H),1730(C=O),1630,1600,1510,1480,1440(C=C),1350(C-H),1290(Ph-O),1110(C-O),.
【0046】
[実施例4]
実施例1から実施例3で合成した化合物a)からc)について、最大吸収波長(λmax)、そのときのモル吸光係数(ε)、室温(25℃)における水に対する溶解度を測定した。結果をまとめて「表2」に示す。
【0047】
【表2】
備考)* は、一般式Iにおいて、R
1=H、R
2=Hであり、そのときのnの数を示す。
【0048】
[比較例1]
既存の水溶性紫外線吸収剤である2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホニックアシドトリハイドレート(シプロ化成株式会社製:(化3))のUV吸収を測定し、λmax、ならびにモル吸光係数を算出した。この結果を(表3)に示す。
【0049】
この結果より紫外線吸収域は、本発明の化合物に比べてUV−A領域をカバーできておらず、加えてモル吸光係数も小さいことがわかる。
水に対する溶解性は非常に良かったが、強酸性を示し、この化合物を配合可能な用途が限定的であることがわかった。
【0050】
【化7】
【0051】
【表3】
測定濃度 5ppm / メタノール