(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731468
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】プロセス排出物を選択的に収集するための方法及び機器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20150521BHJP
B01D 53/46 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
B01D53/34 120A
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-279442(P2012-279442)
(22)【出願日】2012年12月21日
(62)【分割の表示】特願2011-15633(P2011-15633)の分割
【原出願日】2011年1月27日
(65)【公開番号】特開2013-128120(P2013-128120A)
(43)【公開日】2013年6月27日
【審査請求日】2013年4月11日
(31)【優先権主張番号】61/298,949
(32)【優先日】2010年1月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/009,400
(32)【優先日】2011年1月19日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド チャールズ ウィンチェスター
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ジョン ボスコ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド ダブリュ.クレイン
(72)【発明者】
【氏名】アイザック パトリック ウエスト
(72)【発明者】
【氏名】リチャード リントン サムサル
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス ポール ディー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー デイビッド ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ユージン ジョゼフ カーワッキー ジュニア
【審査官】
粟野 正明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−157814(JP,A)
【文献】
特開2002−177766(JP,A)
【文献】
特開2005−349332(JP,A)
【文献】
特開2001−000837(JP,A)
【文献】
特開2005−336046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
B01D 53/04
B01D 53/34
B01D 53/81
B01D 53/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の別個のガス組成物を順に用いる化学プロセス反応器の排出物から、所望のガスを回収するための装置であって、次を含む装置:
(a)2種以上の別個のガス組成物を導入するための1以上のラインを備え、且つプロセスコントローラーとの信号接続を有する、化学プロセス反応器;
(b)前記化学プロセス反応器に前記別個のガス組成物を導入するための、前記化学プロセス反応器に接続された少なくとも一つの流入口;
(c)前記化学プロセス反応器に導入された2種以上の別個のガス組成物の排出物を取り出すことができる、前記化学プロセス反応器からの排出ライン;
(d)前記化学プロセス反応器から回収ラインへの排出物の取り出しを可能とする、前記排出ラインにある三方弁;
(e)前記排出ラインへの接続を有し、前記排出ラインから所望のガスの取り出しを可能とする、前記回収ライン;
(f)前記プロセスコントローラーへの信号接続を有し、前記プロセスコントローラーからの信号接続によって開く、前記回収ラインにある自動弁;
(g)前記化学プロセス反応器への2種以上のガス組成物の順々の導入を制御することができ、且つ前記回収ラインにある前記自動弁の操作を制御し、それによって前記所望のガスが前記排出ラインにガス組成物の一部として存在するときの少なくとも一部の間に、前記自動弁を開くことができる、プロセスコントローラーであって、前記化学プロセス反応器及び前記自動弁との信号接続によってプロセス信号を生成し、かつ受信することができる、前記プロセスコントローラー;
(h)前記排出ラインから前記所望のガスを取り出すことができる、前記回収ラインにあるコンプレッサー;及び
(i)前記排出ガスから前記所望のガスを選択的に吸着することができ、且つ前記回収ラインに接続している少なくとも一つの吸着分離床。
【請求項2】
前記回収ラインと流通しており、かつ前記回収ラインが前記排出ラインに接続している箇所の下流で前記排出ラインと流通して前記排出ラインに回収されないガス成分及び吸着されないガス成分を戻すことができる、回収されないガス成分及び吸着されないガス成分を除去するためのラインを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回収ラインが、前記排出物から腐食性ガス又は反応性ガスを除去するための吸着ガード床を有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記吸着分離床が、前記所望のガスを貯蔵することができる少なくとも一つの貯蔵容器と流通するラインに接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
追加のコンプレッサーが、前記貯蔵容器に接続されて前記所望のガスを圧縮する、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記吸着分離床が、流れラインによって並行に接続されている2つの吸着分離床及び前記回収ラインへの位相のある接続で操作することができる弁を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
バッファータンクが、前記回収ラインの前記コンプレッサーの下流、且つ前記吸着分離床の上流にある、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
2種以上のガス組成物を順に用いる化学プロセス反応器の排出物から、所望のガスを回収するための方法であって、次のステップを含む方法:
(a)前記化学プロセス反応器への流入口を通じて、前記所望のガスを含む2種以上のガス組成物を、前記化学プロセス反応器に順に導入するステップ;
(b)前記2種以上のガス組成物及び前記所望のガスを有する化学プロセス反応器から、排出ラインに排出物を順に取り出すステップ;
(c)前記排出物を、三方弁に通すステップ;
(d)前記三方弁を通して前記排出ラインから前記排出物の一部を取り出すステップであって、この前記排出物の一部が、前記所望のガスを含み、この取り出しを自動弁によって制御される回収ラインを通して行うステップ;
(e)前記自動弁と信号接続しているプロセスコントローラーによって前記自動弁の操作を制御するステップ、ここで、前記プロセスコントローラーは、前記化学プロセス反応器又はその流入口への前記2種以上のガス組成物の導入を、1以上の前記化学プロセス反応器又はその流入口との信号接続によって、少なくとも監視し、かつ前記自動弁は、前記プロセスコントローラーからの信号接続によって開かれる;
(f)前記所望のガスが前記排出ラインにガス組成物の一部として存在するときの少なくとも一部の間に前記自動弁を開いて、前記排出ラインから、前記所望のガスを含むガス組成物を回収するステップ;及び
ここで、前記排出物に含まれる前記所望のガスを、少なくとも一つの吸着分離床で吸着して、濃縮した所望のガスを回収する。
【請求項9】
前記化学プロセス反応器が、半導体製造プロセス反応器である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記所望のガスが、希ガスである、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記所望のガスが、ヘリウム、アルゴン、二フッ化キセノン及びキセノンからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記濃縮した所望のガスを、少なくとも一つの貯蔵容器で捕捉する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記自動弁を、前記化学プロセス反応器への前記所望のガスの導入後のタイミングで開き、ここで、前記タイミングには、前記所望のガスを、前記化学プロセス反応器を通して排出ラインに流すのに必要な時間を含む、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
断続的で且つ変動的な流れで得られる原料又は排出ガスから、高価値の所望のガス、例えば希ガス(Kr,Xe)を含むプロセスガスを選別し、また効果的に収集する必要性がある。所望のガスを収集する装置は、プロセス機器、例えば収集システムが取り付けられる化学プロセス反応器の性能に少しも干渉しないことが非常に重要である。半導体プロセス、例えばエッチングからの排出ガスは、典型的にはプロセスポンプで希釈され、そしてポンプの後のガスマニホールドを通じて、共通の排出ガスマニホールドに移送されて、最終的に除去(abatement)システム又は処理(scrubbing)システムへ行く。排出ガスのこの混合は、興味のあるプロセス排出物の流れを最終的に希釈し、これは、興味のある物質種、すなわち所望のガスを回収のために取り出す処理を効果的に行うことを、非常に難しくする。
【背景技術】
【0002】
汚染排出物として許容できないガス、又は回収するのに十分に価値があるガスかのどちらかが、化学プロセスからの廃棄物流れから回収されることが知られている(参照:特許文献1)。
【0003】
希ガスは、貯蔵、また精製及びリサイクルへの輸送のために、排出物から回収されている(参照:特許文献2及び3)。
【0004】
半導体プロセスからエッチング剤ガスが、地球温暖化の可能性のために回収されることが知られている(参照:特許文献4)。
【0005】
半導体プロセスの排出物からの希ガスの収集が知られている(参照:特許文献5)。
【0006】
半導体プロセスからのペルフルオロカーボン(PFC)のリサイクルが知られている(参照:特許文献6)。
【0007】
キセノン回収システムが知られている(参照:特許文献7)。
【0008】
キセノンセンサーが知られている(参照:特許文献8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,261,763号
【特許文献2】米国特許第7,294,172号
【特許文献3】米国特許第7,169,210号
【特許文献4】米国特許第7,258,725号
【特許文献5】米国特許第6,605,134号
【特許文献6】米国特許第6,277,173号
【特許文献7】米国特許第7.285,154号
【特許文献8】米国特許出願公開第2006/00211421号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、これらのプロセスは、化学プロセス排出システムを順に通る他の排出ガスからの所望のガスの分離収集に対処しておらず、また所望のガスの分離収集の間のそのような化学プロセスの異常状態の回避に対処していない。これらの、また他の利点が、以下に詳細に説明する本発明により得られる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、2種以上のガス組成物を順に用いる化学プロセス反応器の排出物から、所望のガスを回収するための装置であって、次のものを含む:
(a)2種以上の別個のガス組成物を導入するための1以上のラインを備えた化学プロセス反応器;
(b)化学プロセス反応器への別個のガス組成物の導入を制御するためのプロセスコントローラー;
(c)化学プロセス反応器に導入された2種以上の別個のガス組成物の排出物を除去することができる、化学プロセス反応器からの排出ライン;
(d)化学プロセス反応器からの排出物の除去を可能とし、且つ化学プロセス反応器へのあらゆる実質的な排出物の流れを防ぐ、排出ラインにある逆止弁;
(e)排出ラインから所望のガスを取り出すことができる回収ライン;
(f)回収ラインにある自動弁;
(g)化学プロセス反応器への2種以上のガス組成物の順々の導入を制御することができ、且つ回収ラインにある自動弁の操作を制御し、それによって所望のガスが排出ラインにガス組成物の一部として存在するときの少なくとも一部の間に自動弁を開くことができるプロセスコントローラーであって、化学プロセス反応器及び自動弁との信号接続によってプロセス信号を生成及び受信できるプロセスコントローラー;及び
(h)排出ラインにある逆止弁を閉止するのに十分な流れで、排出ラインから所望のガスを取り出すことができる回収ラインにあるコンプレッサー。
【0012】
また、本発明は、2種以上のガス組成物を順に用いる化学プロセス反応器の排出物から、所望のガスを回収するための方法であって、次のステップを含む:
(a)化学プロセス反応器への流入口を通じて、所望のガスを含む2種以上のガス組成物を、化学プロセス反応器に順に導入するステップ;
(b)2種以上のガス組成物及び所望のガスを有する化学プロセス反応器からの排出物を、排出ラインに順に除去するステップ;
(c)排出物を、クラッキング圧力の設定がある逆止弁に通すステップ;
(d)逆止弁の上流にある排出ラインから排出物の一部を除去するステップであって、この排出物の一部が、所望のガスの実質的な部分を含むステップ(ここで、その除去は逆止弁を閉止し、その除去は自動弁によって制御された回収ラインを通じて行われる);
(e)自動弁と信号接続しているプロセスコントローラーによって自動弁の操作を制御するステップ(ここで、そのプロセスコントローラーは、化学プロセス反応器又はその流入口への2種以上のガス組成物の導入を、化学プロセス反応器又はその流入口の1以上との信号接続によって、少なくとも監視する);及び
(f)所望のガスが排出ラインにガス組成物の一部として存在しているときの少なくとも一部の間に、自動弁を開いて排出ラインから所望のガスを含むガス組成物を回収するステップ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】化学プロセス反応器の排出物から、断続的な様式で所望のガスを収集するための本発明の一実施態様の概略図である。
【
図2】
図1の部分図であり、三方弁20Aを用いた異なる弁の設計を示す。
【
図3】
図1の部分図であり、コンプレッサー28の下流で且つガード床(guard bed)30の上流にバッファータンク31を有する実施態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
高価値の材料、例えば希ガス(Kr,Xe,He,Ne,Ar,Rn)を所望のガスとして含むプロセスガスを、原料ガス又は排出ガスから選別し、そして効果的に収集する必要性がある。この所望のガスは、プロセス、例えば半導体プロセス反応器で例示される化学プロセス反応器からの排出ガスの連続的な流れとは対照的に、断続的で且つ/又は変動的な流れで得られる。所望のガスを収集する装置が、プロセス機器、すなわち収集システムが取り付けられる化学プロセス反応器の性能に干渉しないことが望ましい。この考えは、制御システム、すなわちプロセスコントローラー又はコンピューターに接続することによって所望のガスを収集すること、及び適切なときに作動する自動弁を用いてプロセス排出物を収集することを可能にする。別のアプローチは、化学プロセス反応器の後に、例えば化学プロセス反応器からの排出ラインに、搭載センサーを用いることである。このセンサーは、興味のある物質種、例えばキセノンで例示される所望のガスの存在を検知し、そしてプロセスコントローラーを作動させて、そのようなガスの回収又は収集を開始させるであろう。自動弁の作動は、キープロセスパラメーター(key process parameter)の測定に基づくロジックによって制御される。このシステムは、所望のガスを収集し、そして保存するのに必要とされる減圧度及び容量を提供するプロセス機器を有する。そのような機器は、適切な水準の容量を作り出し、そうして濃縮システム、例えば減圧スイング吸着システム(VSA:vacuum swing adsorption system)、温度スイング吸着システム(TSA:temperature swing adsorption system)、又は圧力スイング吸着システム(PSA:pressure swing adsorption system)への、排出ガスに含まれる所望のガスの定常流を、測定して供給することができる。
【0015】
本発明は、好ましくは断続的に所望のガスを含む複数のプロセス排出物流れから、高価値の所望のガス(例えばキセノン)を効率的に収集する方法の必要性に対処する。この方法は、プロセスパラメーターを監視/測定するためのシステム、制御用のロジック、選択されたときにガスの流れを変える自動弁、逆止弁、減圧システム及び貯蔵容量を用いる。そのインターフェースは、回収ガスマニホールド又は回収ラインと、プロセスポンプ/コンプレッサーの後の通常の廃棄ガスマニホールド又は排出ラインとの間の圧力差を用いることで作動する。プロセスコントローラーからの信号を受けると、自動弁、例えば電磁弁が開く。回収ライン内の低下した圧力が、排出ラインにある逆止弁を閉じる。こうすると、これは回収ラインへと排出ガスの流れを変える。このシステムは、興味のある物質種又は所望のガスが存在しているときに選択的に信号を送り、またこれらが存在していないとき、又は下流の回収システムに混乱を引き起こす可能性がある他の物質種が存在しているときに、流れを遮断するプロセスロジックを有する。このプロセスロジックは、興味のある物質種又は所望のガス、例えばキセノンを化学プロセス反応器から回収ライン又は自動弁に移送するのに必要な時間を補償することもできる。これは、自動弁の開閉における可変遅延によって達成される。
【0016】
化学プロセス反応器とのインターフェースは、排出ラインに組み込むT字管、閉止弁、分析ポート(随意)、振動の連結と応力を低下させるフレックスライン、圧力ゲージ(随意)、電磁弁、及び回収システムからの化学プロセス反応器の分離を可能とする手動の遮断弁を有することができる。
【0017】
半導体プロセス反応器又は化学プロセス反応器、例えばエッチングからの排出ガスは、プロセスポンプで典型的には希釈され、そしてポンプの後のガスマニホールド又は排出ラインを通って共通の排出ガスマニホールドに移送され、これは最終的に除去システム又は処理システムへ行く。この排出ガスの混合は、プロセス排出物の組成物と興味のある所望のガスを最終的に希釈し、興味のある物質種又は所望のガスを回収用に取り出す処理を効果的に行うことを困難にする。それゆえ、興味のある所望のガスが共通のヘッダーにたどり着く前に、他の排出物流れから分離することが望ましい。これを達成するために、興味のある所望のガスは、プロセスチャンバーと共通のヘッダーへの入り口との間にある、回収システムへと流れを変える。さらに、この変化は、化学プロセス反応器を通るプロセスガスの流れへのあらゆる干渉を防止する方法で実行される必要がある。そのような混乱は、製造プロセスに障害をもたらす場合があり、これは収率ロスにつながる場合がある。それゆえ、その廃棄ガス収集システムは、化学プロセス反応器に対して影響を与えない(transparent)べきである。本発明は、回収に関して興味のある物質又は所望のガスを含む排出ガスの、効率的且つ適時の移送を可能とする。さらに、本発明は、化学プロセス反応器内のプロセスに本質的に干渉しない方法で、この移送を行う。
【0018】
この収集装置が解決する他の一つの問題は、断続的な様式で興味のある所望のガスを用いて処理することがあるだけの、多数のプロセスチャンバーからのガス流れ又は所望のガスの同時の収集を可能とすることである。そのインターフェースは、任意の化学プロセス反応器又はその排出ラインからの信号を受信し、回収に関して興味のある所望のガスが、排出ガス流れに存在しているときを決定することによって、この機能を果たす。さらに、プロセスの合間に回収システムが受け入れることを望まない物質種が存在するならば、化学プロセス反応器からの追加の信号及び所定のタイミングによりそれをプログラムして、排出物流れのこれらの部分が、回収システムに向けて流れを変えないように区別することができる。
【0019】
プロセスガスの通常の流れは、化学プロセス反応器を通って、化学プロセス反応器の排出ラインに位置するプロセスポンプへといく。これらのポンプは、多くのタイプとすることができ、例えばターボ分子ポンプ、低温ポンプ、及び拡散型ポンプが挙げられ、高真空を達成する。これらのポンプは、機械式ポンプを用いて支援され、機械式ポンプは排出するために排出ガスを圧縮する。機械式ポンプでは、典型的には窒素希釈を行って、排出ガスの燃焼範囲を低下させ、排出ガスを致死領域(LDL:lethal dose level)未満に希釈し、プロセスポンプが作動するときに冷却を促進し、且つポンプをシールして漏れを防止する。窒素希釈を追加する他の理由が存在する場合がある。この点において、排出ガスは、ガスマニホールドを通ってより大きな排出ガスマニホールドに行き、ここで多数のプロセスからの排出ガスが混合する。高価値の物質種、例えばキセノンで例示される所望のガスを、排出ガスから効率的に回収するために、興味のある物質種又は所望のガスを含む排出ガスを、この収集マニホールドからそむけて、回収システムに流れを向けることが望ましい。この変向を行う理由としては、効率的な回収を可能とするのに十分に高い濃度での興味のある物質種(所望のガス)の存在、収集効率を悪化させる又は低下させる場合がある他のプロセスからの汚染物質の低減、及び回収システムへの排出ガスの全体の容積の、回収システムのサイズに関して比較的扱いやすい容積への低下が挙げられる。
【0020】
変向システムを化学プロセス反応器の排出ラインに設置することの課題は、変向システムが化学プロセス反応器内で進行中のプロセスを妨害しないことである。ガス流れへのあらゆる干渉が、圧力、ガス流れ、及びポンプ効率を混乱させるおそれがある。これらは、プロセスの混乱の原因となる場合があり、生成収率のロスをもたらす場合がある。それゆえ、反応器のインターフェースが、化学プロセスに影響を与えない様式で行うことが望ましい。他の一つの課題は、化学プロセス反応器が、多くのタイプの働きをたびたび行うことである。これらのいくつかは、回収に望ましい物質種(所望のガス)を含む場合があり、またある時には、興味のある物質種(所望のガス)が、排出ガス流れの一部とならない場合がある。このときの間には、非効率となる場合があるので、排出ガスを収集し、そして処理することは望ましくない。他の一つの課題は、興味のある物質種(所望のガス)を含むプロセスガスの流れの間に、回収システムの安全性又はリスクのために回収に不適切となる、他の物質種が存在する場合があることである。これらの物質種は、プロセスの間にたびたび破壊され、そしてプロセスレシピの様々なポイントの間に収集プロセスから排除されることだけが必要である。最後に、複数の化学プロセス反応器が多くの場合に存在し、且つそれぞれが断続的な時間間隔で回収を意図した所望のガスを用いる。それゆえ、各化学プロセス反応器で回収システム用の収集ヘッダーに向けて所望のガスの流れの変向を独立的に行う機能を有することが望ましい。
【0021】
この反応器インターフェースの発明は、プロセス排出ガス流れから所望のガスを効率的に回収することを可能とする、前述のそれぞれの課題に対処する。
【0022】
回収システムへとプロセス排出ガスの流れを変向するためのこのシステムを、化学プロセス反応器に設置することに関して、多くの選択肢が潜在的に使用可能である。本発明で追求された方法は、排気排出ポンプの大気側に置かれたボール逆止弁の上流にインターフェースを取り付けた。通常の操作において、排出ガスは、大気圧力よりわずかに高い圧力で(0.04psig)ポンプから流れる。このボール逆止弁は、排出ポンプから排出ガスマニホールドへの方向だけにガスを流すことができる。反応器インターフェースは、プロセスポンプとボール逆止弁の間のT字管を通じて接続される。そのインターフェースは、圧力ゲージ(随意)、自動弁(電磁弁又は空圧作動弁)、及びメンテナンスが必要な場合に回収システムからのラインの安全な閉止を可能とする遮断弁からなる。電気的反応器インターフェースコントローラーを自動弁(電磁弁等)に取り付けて、回収する物質種(所望のガス)を含む排出ガスが排出物流れに存在するときに、弁を開閉する。反応器インターフェースユニットの直前で、遮断弁、解析ポート及びフレックスホースを、T字管に取り付けて、供給を促進することができ、且つ化学プロセス反応器と回収システムとの間の振動の連結を減少させることができる。
【0023】
回収システムの上流で、コンプレッサーが回収ガスラインに存在する。回収ライン内の圧力は、排気排出ポンプの通常の吐出圧力より低い圧力に保たれ、典型的には回収ラインが1気圧未満となる。自動弁(電磁弁等)が作動して開いて、回収システムへのガスの流れの変向が始まると、その低下した圧力が、主な排出ガスマニホールドへのガス流れを、ボール逆止弁に遮断させて、そして回収ガスマニホールドシステムへとその流れを変える。そうして、プロセス排出ガスは、排気排出ポンプから流れ出て、そして処理のために回収システムに向かう。プロセス信号が与えられて、回収システムへのガスの流れを止めると、これはボール逆止弁内のボールを動かし、そして化学プロセス反応器から排出ガスマニホールドに再びガスを流れさせる。
【0024】
反応器インターフェースの構造物の材料は、100℃までのプロセス温度に耐えられるべきである。これは、減圧ポンプを離れるときの排出ガスの温度が、この温度に近くなる場合があるので、好ましい。
【0025】
排出物流れが望ましくない材料を含む状況となることがあるので、電気コントローラーは、これらの物質種が存在するときにガスの流れの変向の遮断を可能とするプロセスロジック機能を備えている。これは多くの方法で行うことができ、例えば、プロセスセンサーの使用及びオンラインプロセス分析器の使用が挙げられる。適用される他の方法は、化学プロセス反応器からのプロセス信号の使用と、これらの物質種が存在しているときを決定する閾値に対しての比較の使用である。化学プロセス反応器及び分析器からの信号の組み合わせを用いることは、この問題に対処する他の一つのアプローチである。排出ラインからの信号も可能である。
【0026】
本発明の装置及び方法を、図を参照して一つの実施態様で述べる。
【0027】
図1において、2種以上のガス組成物を、流入口11を通じて、半導体化学プロセス反応器10に所定の順に導入して、半導体製造の様々なステップ、例えばプラテン12上に置かれた半導体基材14のエッチング、及び/又は副生成物が不必要に堆積した反応器10の内部表面の洗浄の性能を促進する。基材14は、一以上の半導体ウェハー、例えばその端部で重ねられた一連のウェハーの「ボート」又はキャリアであってよい。基材14は、ロードチャンバー16からロードロック15を通じて反応器10に導入される。反応器10及び流入口11は、プロセスコントローラー94への信号接続99及び98によって、制御され且つ/又は監視されている。例えば、プロセスコントローラーは、信号接続99を通じて反応器10を監視することができ、その温度を調整することができ、プラズマ条件を制御することができ、そして圧力を所定のパラメーターに維持することができる。
【0028】
同様に、様々なガス組成物の流れを、プロセスコントローラー94への信号接続98によって監視し且つ/又は制御することができ、そうして一連のガス組成物を流入口11を通じて反応器10へ導入する。これは、元素の形態又は分子の形態で所望のガスを含む少なくとも一つのガス組成物を有する。例は、エッチングガスとしての二フッ化キセノンの導入であろう。ここで、二フッ化キセノンは、反応器10での条件の下で分解され、そしてキセノンは、反応器10の排出物中の所望のガスとして、再利用及びリサイクルのために望ましくは回収される。
【0029】
反応器10からの排出物は、随意の第二のロードロック17を通じて、排気排出ポンプ/コンプレッサー19及び排出ライン18に入ることができる。排出物は、反応器10に向かう排出の逆流を防ぐ逆止弁20を続けて通る。逆止弁20は、最小のクラッキング圧力で設定される。ここで、クラッキング圧力はその圧力で逆止弁が開いて流通を可能にし、且つその圧力未満で閉じて反応器10への逆流を防ぐ圧力を意味する。
【0030】
他の一つの構成において、逆止弁を使用してガスの流れを変えるのではなく、
図2に示す三方弁20Aを使用して、回収システムに排出ガスの流れを向けることもできる。廃棄ガスの流れを変向させるこの方法は、プロセス反応器内の圧力に影響を及ぼす場合がある圧力スパイクを排出ラインで発生させる可能性が存在するので、逆止弁の方法よりも好ましくない場合がある。しかし、圧力と流れの変化にそれほど敏感ではないプロセスに関しては、流れを変向するためのこの方法は許容できる。
【0031】
逆止弁20を通る排出物を、ライン22で、除去システム、処理システム、及び放出システム23に送って、残留の排出ガスを放出する前に、有毒ガス、有害ガス、腐食性ガス又は地球温暖化ガスを、分解、燃焼又は吸収させる。
【0032】
回収ライン24は、逆止弁20の上流で、排出ライン18に接続される。回収ライン24は、自動弁26によって制御され、これは、回収システムのプロセスコントローラー104によって送信される空圧信号、電気信号又は他の信号で動作させることができる空圧作動弁、電磁弁又は同様の自動弁とすることができる。回収システムのプロセスコントローラー104は、プロセスコントローラー94に接続される必要はないが、その回収システムのプロセスコントローラーは、信号接続95を通じて自動弁26と通信する。プロセスコントローラー94及び回収プロセスコントローラー104は、別個のものであってもよく、又はそれらの機能を、本発明の様々な実施態様に関して一つのコントローラーに統合することもできる。
【0033】
回収ライン24は、フレキシブルライン部分21によって排出ライン18から分離して振動することができる。これは、排出ライン18から回収ライン24への、又は回収ライン24から排出ライン18のどちらかで伝えられる振動を防ぐ。回収ライン24は、例えば修理の際に、手動の遮断弁25によって、手動的に排出ライン18から閉じることもできる。
【0034】
コンプレッサー28は、回収ライン24におかれて、自動弁26が開いているときに排出物を排出ライン18から取り出す。コンプレッサー28は、回収ライン24そして排出ライン18の圧力を低下させることができ、それによって逆止弁20が閉じる。逆止弁20の前後の圧力差は、逆止弁20のクラッキング圧力より大きい必要がある。この様式では、排出ライン18における全ての排出ガス流れは、回収ライン24に流れを向けられる。これは、所望のガスが反応器に導入される場合には、反応器10への一連のガス組成物の導入の間に、排出ライン中の排出物のガス組成物中に所望のガスが存在するときに、又は所望のガスが反応器10から排出ライン18に排出されている場合には、その導入から遅延した位相時間に、典型的には起こる。排出物全体の実質的に連続な流れから所望のガスを個別に取り出し、そして回収するこのタイミング、順番、また遅延した位相時間は、その信号接続96、98及び99を通じたプロセスコントローラー94、並びに回収システムのプロセスコントローラー104及び自動弁26へのその信号接続95によって監視され、且つ/又は制御される。上述したように、これらのコントローラーは、別個であっても、その機能を一つのコントローラーに統合していても良い。排出物流れの組成の監視も可能である。
【0035】
自動弁26が開き、所望のガスをコンプレッサー28を通じて取り出すときに、そのガスは、吸着ガード床30を通過して、所望のガス中に他のガス、例えば窒素で例示される不活性ガスと共に含まれる場合がある腐食性ガス、有毒ガス、有害ガス又は地球温暖化ガスの成分を除去する。本発明の一実施態様において、
図3に示されるように、バッファータンク31が、コンプレッサー28の下流、且つガード床30の上流に置かれる。バッファータンク31は、異なる反応器10がライン24に所望のガスを供給するときのあらゆる圧力変動をやわらげて、それにより床40及び42には、実質的に一定の圧力の供給ガスがくるようにする。そして、所望のガスは、ライン34にある逆止弁32を通って、そして並列切り替え吸着分離床40及び42で選択的な吸着分離に交互に処理される。あるいは、弁36か弁38のどちらか一つを通る交互の通過による供給物吸着及び向流減圧並びにパージで処理される。キセノンが窒素キャリアガス中の所望のガスである場合、窒素は、典型的には吸着剤(例えば活性炭、ゼオライト、及びアルミナ)にあまり強く吸着せず、床40又は42で吸着されずに通過し、他方でキセノンは床40又は42の吸着剤に吸着される。供給を受けている床の下流端でのキセノンの破過(breakthrough)、例えばそれぞれライン44又は46の近くでのキセノンの破過の直前に、それぞれ弁36又は38、及びそれぞれ弁48又は50を閉じることによって、供給を受けている床への供給を止める。供給を止められた床は、その後それぞれ弁64又は66を通り、ライン68及び70を通して向流減圧され、そして追加のコンプレッサー72で圧縮される。さらに、ライン74を通してサージタンク76に送られて、ガスを集められて、且つ均一に混合される。このガスは、ライン24と比較して濃縮された所望のガス(例えばキセノン)を含む。圧縮した所望のガス(例えばキセノン)を、さらに追加のコンプレッサー78で圧縮して、反応器10にリサイクルすることができ、さらに処理することができ、又は逆止弁84並びに交互に且つそれぞれ弁86及び88を通して、一以上の貯蔵容器90及び92で貯蔵することができる。好ましくは、2つの容器90及び92の1つの容器が満たされている間に、他方の容器は別の場所での処理のために取り外され、そして残りの容器が充填されたときに、空の容器をライン82に接続して満たされるようにする。
【0036】
向流減圧によって床40及び42から吸着した所望のガス(例えばキセノン)を回収することに加えて、コンプレッサー72で行われる排気によって、吸着した所望のガスを取り出すこともさらに考慮される。さらに又はあるいは、所望のガスを、床40及び42から、ライン58、あるいは弁60又は62のどちらかを通って導入されるキャリアガス、例えば窒素で例示される不活性ガスによって、脱着させることができる。弁60か62かは、床40又は42のどちらが、床40及び42の吸着剤から所望のガスをパージする減圧モードであるかに依存する。
【0037】
実質的に吸着されずに床40及び42を通過する、所望のガスが減少したガス混合物の回収されないガス成分及び吸着されないガス成分は、それぞれ弁48及び50を通って除去されて、ライン52、弁54及びライン56で排出ライン22に戻されて、除去システム及び放出システム23で処理されて、残留の排出ガスが放出される前に、有毒ガス、有害ガス、腐食性ガス又は温室効果ガスを、燃焼又は吸着する。