特許第5731474号(P5731474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731474
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】ヘアドライヤ装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/08 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
   A45D20/08
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-501510(P2012-501510)
(86)(22)【出願日】2009年6月19日
(65)【公表番号】特表2012-521259(P2012-521259A)
(43)【公表日】2012年9月13日
(86)【国際出願番号】IT2009000275
(87)【国際公開番号】WO2010109503
(87)【国際公開日】20100930
【審査請求日】2012年5月24日
(31)【優先権主張番号】MN2009U000001
(32)【優先日】2009年3月25日
(33)【優先権主張国】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511230532
【氏名又は名称】サーニ, ジャンニ
【氏名又は名称原語表記】SANI, Gianni
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】サーニ, ジャンニ
【審査官】 二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第1834540(EP,A1)
【文献】 登録実用新案第3114417(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3109761(JP,U)
【文献】 特開平2−302205(JP,A)
【文献】 実開平7−39704(JP,U)
【文献】 実開昭62−13404(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭髪の乾燥および/またはヘアケアに用いる空気流を生成するモータユニット(3)を備えるヘアドライヤ装置であって、
前記モータユニット(3)を支持する支持体(2)と、
前記モータユニット(3)から放出される空気流を排気部(4”、114”)へ向かって送り出すための通路を内部に有するスペーサダクト(4)とをさらに備え、
前記スペーサダクト(4)の全長(L)は、前記モータユニット(3)によって生成される電磁波の強度が所定の閾値まで減衰する距離(R1)と等しいかまたはこれよりも長くなっており、
前記モータユニット(3)は、
モータと、
前記モータによって作動し、空気流を生成するファンと、
前記ファンによって生成された空気流の出口となるマウスピース(8)を有する支持フレーム(7)と、
前記空気流の温度を上昇させるための電気抵抗器と
を備え
前記スペーサダクト(4)には、電磁波の強度が前記所定の閾値まで減衰する距離(R1)を示す標識(5)が設けられている
ことを特徴とするヘアドライヤ装置。
【請求項2】
前記電磁波強度の所定の閾値は、2ミリガウスまたはこれよりも小さい値であることを特徴とする請求項1に記載のヘアドライヤ装置。
【請求項3】
前記スペーサダクト(4)は、前記モータユニット(3)に接続するための接続部(4')および空気流の排気部(4”)を有することを特徴とする請求項1に記載のヘアドライヤ装置。
【請求項4】
前記スペーサダクト(4)は、前記モータユニット(3)と一体化された象の鼻のような長鼻状部品であることを特徴とする請求項1に記載のヘアドライヤ装置。
【請求項5】
前記スペーサダクト(4)は、硬質の第1の部分(13)および可撓性の第2の部分(14)からなることを特徴とする請求項3または4に記載のヘアドライヤ装置。
【請求項6】
前記可撓性の第2の部分(14)にはハンドル(6)が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のヘアドライヤ装置。
【請求項7】
前記ハンドル(6)は、前記可撓性の第2の部分(14)に対して回動しうるように設けられていることを特徴とする請求項5に記載のヘアドライヤ装置。
【請求項8】
前記可撓性の第2の部分(14)は、前記硬質の第1の部分と接続する取り付け部(114')を有する第2のチューブ(114)であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のヘアドライヤ装置。
【請求項9】
前記スペーサダクト(4)には、前記モータユニット(3)のオンとオフを制御する稼働制御手段(16)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヘアドライヤ装置。
【請求項10】
前記支持体(2)は、垂直アーム部(9)と水平ビーム部(10)とからなり、側面視概ね逆L字形をしていることを特徴とする請求項1に記載のヘアドライヤ装置。
【請求項11】
前記垂直アーム部(9)は、床面に対する高さを調節しうる入れ子式となっていることを特徴とする請求項10に記載のヘアドライヤ装置。
【請求項12】
前記垂直アーム部(9)は、キャスタ(12)を備えた台車(11)上に設置され、支持体全体が動かせるようになっていることを特徴とする請求項10または11に記載のヘアドライヤ装置。
【請求項13】
前記スペーサダクト(4)に取り付けるための取り付け部を有するヘルメットタイプの空気流拡散器(15)を備えていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のヘアドライヤ装置。
【請求項14】
前記モータユニット(3)には、防音処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のヘアドライヤ装置。
【請求項15】
公知のヘアドライヤ装置の支持体(2)を設置する工程と
公知のヘアドライヤ装置を前記支持体(2)に取り付ける工程と
公知のヘアドライヤ装置に、このヘアドライヤ装置から放出される空気流が出口に向かって内部を通過するようになっているスペーサダクト(4)を取り付ける工程とを含む公知のヘアドライヤ装置を修正して使用する方法であって、前記スペーサダクト(4)の全長(L)は、ヘアドライヤ装置のモータユニットによって生成される電磁波の強度が所定の閾値まで減衰する距離と等しいかまたはこれよりも長くなっており、
前記モータユニットに、
モータと、
前記モータによって作動し、空気流を生成するファンと、
前記ファンによって生成された空気流の出口となるマウスピースを有する支持フレームと、
前記空気流の温度を上昇させるための電気抵抗器と
を設け
前記スペーサダクト(4)には、電磁波の強度が前記所定の閾値まで減衰する距離(R1)を示す標識(5)を設ける
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアケア装置の分野に係り、特に、装置の作動中に放射される電磁波がユーザに与える衝撃をできるだけ小さくする、頭髪の乾燥および/またはヘアトリートメント用の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアケア用の装置(主に頭髪の乾燥やストレートニング等に用いられる)は、今日では周知である。例えば、温風または冷風を放出するピストルのような手持ち式のヘアドライヤ装置は、長年にわたって使用されている。このような装置においては、オペレータ(例えば理容師や美容師)が頭髪を乾燥させたり櫛で梳いたりする際に頭髪に吹き付ける空気流を、小型のモータが生成するようになっている。また、このような装置は、空気流の排出時の温度を効率的に変化させうるよう、空気流が通過する複数の電気抵抗器のうち、適切な抵抗値のものを選択して働かせるようになっている。
【0003】
一方、上記のような装置よりも複雑な装置として、例えば、ユーザの頭部を全面的に覆うボンネットタイプまたはヘルメットタイプのヘアドライヤ装置がある。このようなヘアドライヤ装置においては、所定の位置に設置した後、プログラム設定により、所望の温度および予め設定した湿度の空気流を、このヘアドライヤ装置の上流側部分に位置する小型モータから、所定の時間にわたって放出させる。この結果、頭髪全体にわたって、乾燥が行われる。
【0004】
上述のような装置は、今日においては広く普及しているものの、以下のような大きな技術的難点を有している。
【0005】
すなわち、空気流は、すでに述べた温風であれ冷風であれ、小型のモータを介して噴出させなければならない。しかし、このような機構は、小型モータから所定の距離にわたって放射される電磁波の発生が避けられないことを意味する。したがって、手持ち式のヘアドライヤ装置を操作するオペレータ、またはオペレータによってヘアトリートメントを施される利用者は、否応なしに、健康に有害な強い電磁波に晒されることになる。実際、電磁波が健康に悪影響(頭痛等)を与えることは知られている。さらに、電磁波に長い間晒されると、腫瘍のような重大な病理学的異変に発展することもある。
【0006】
一方、個人的に使用するユーザは、上記のような装置を、発生する電磁波が比較的低周波のものに切り替え、かつ特別な場合に限って使用することとしても、週に平均2回は使用することが予想される。したがって、何年にもわたれば、使用回数は数え切れないものとなり、多かれ少なかれ、装置の所定の設定に従った使用が繰り返される。その結果、長期にわたる健康被害が引き起こされることになる。他方、職業的なオペレータ(例えば理容師や美容師)の場合は、ほぼ毎日、周波数の非常に高い電磁波に晒されるため、結果は容易に推察しうるものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記のような欠点を解消しうるヘアドライヤ装置を提供することである。
【0008】
特に、本発明は、作動中に放射される電磁波から利用者を保護しうるヘアドライヤ装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、ユーザに過度な荷重をかけない、軽量でしかも取り扱いが容易なヘアドライヤ装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、頭髪の乾燥および/またはヘアケアに用いる空気流を生成するモータユニットと、このモータユニットを支持する支持体と、スペーサダクトとを備えるヘアドライヤ装置によって解決される。ここで、支持体は、このヘアドライヤ装置のユーザを、ヘアドライヤ装置を保持する必要から解放しつつ、モータユニットによって生成される電磁波から遠ざける役割を果たす。また、スペーサダクトは、モータユニットに一体化することも、取り外し可能に取り付けることもでき、モータユニットから放出される空気流を排気部へ向かって送り出すための通路を内部に有する。本発明の目的に鑑み、スペーサダクトは、その全長が、モータユニットによって生成される電磁波の強度が所定の閾値まで減衰する距離と等しいかまたはこれよりも長くなるように形成する。また、モータユニットは、モータと、モータによって作動し、空気流を生成するファンと、ファンによって生成された空気流の出口となるマウスピースを有する支持フレームと、空気流の温度を上昇させるための電気抵抗器とを備える。更に、スペーサダクトには、電磁波の強度が上記閾値まで低下する距離R1を示す標識が設けられる。すなわち、スペーサダクトの製造は、モータユニット(ここで発生する電磁波)を考慮した上で行う。ユーザは、スペーサダクトに付された標識により、安全な距離が保たれていると実感することができる。
【0011】
距離R1は、モータユニットの作動中に生成される電磁波に係る特定の距離を表す。電磁波の強度は、その発生源からの距離が増加するにつれて、急激に減少することが知られている。そこで、距離R1は、電磁波の強度が、人の健康に有害とならないようなものを選択する。
【0012】
電磁波の強度が人の健康を損なわないような最小の閾値を決定すれば、スペーサダクトの全長は、必然的に定まる。スペーサダクトをモータユニットに取り付けるか、これと一体化させると、上記の距離R1だけ離して、すなわち、電磁波の強度が高すぎる危険ゾーンから離して、空気流を放出することが可能になる。
【0013】
この分野における研究によれば、上述のような電磁波強度の閾値は、約2ミリガウスであることが分かっているが、当然のことながら、これよりも低い値を採用することもできる。電磁波の強度が2ミリガウスと等しいかまたはこれよりも小さければ、人の健康に対しては概ね無害である。
【0014】
ユーザは、スペーサダクトによってモータユニットから所定の距離だけ離間されているため、電磁波による危険ゾーンに入らずに、頭髪乾燥のための空気流を受けることができ、健康被害に合うおそれはない。
【0015】
スペーサダクトは、チューブ状のスペーサであり、モータユニットへ取り付けるための接続部、および空気流の排気部を備えているのが好ましい。スペーサダクトは、モータユニットと一体化された(取り外しのできない)象の鼻のような長鼻状部品とすることもできる。
【0016】
スペーサダクトは、上記のようなモータユニットと一体化される場合でも取り外し可能な場合でも、硬質の第1の部分と可撓性の第2の部分から構成することができる。可撓性の第2の部分は、頭髪を乾燥させる間、オペレータまたはユーザが扱いやすいように、容易に湾曲させることができる。また、オペレータまたはユーザが扱いやすいように、可撓性の第2の部分には、ハンドルを設けることができる。さらに、本発明の技術的範囲から逸脱しないことを前提として、スペーサダクト全体を可撓性とすることもできる。この外、可撓性の第2の部分は、硬質の第1の部分と接続する取り付け部を有する、第1の部分とは別部品の第2のチューブとすることもできる。
【0018】
上記いずれの態様においても、スペーサダクトには、モータユニットのオンとオフを制御(リモートコントロールでもよい)する稼働制御手段を設けるのが好ましい。
【0019】
本発明に係るヘアドライヤ装置は、スペーサダクトに取り付けるための取り付け部を有するボンネットタイプまたはヘルメットタイプの空気流拡散器を備えているのが好ましい。
【0020】
上記支持体は、垂直アーム部と水平ビーム部とを、側面視概ね逆L字形に組み合わせたものが好ましい。
【0021】
前記垂直アーム部は、床面に対する高さを調節しうる入れ子式とすることも、高さが固定された方式とすることもできる。
【0022】
また、垂直アーム部は、キャスタを備えた台車上に設置し、支持体全体を動かせるようにすることもできる。
【0025】
さらに、モータユニットには、防音処理を施すのが好ましい。
【0026】
最後に、本発明によれば、公知の手持ち式ヘアドライヤ装置またはボンネット式ヘアドライヤ装置を、ユーザが電磁波を浴びないよう修正して使用する方法であって、公知のヘアドライヤ装置の支持体を設置する工程と;公知のヘアドライヤ装置を前記支持体に取り付ける工程と;公知のヘアドライヤ装置に、このヘアドライヤ装置から放出される空気流が出口に向かって内部を通過するようになっているスペーサダクトを取り付ける工程とを含み、前記スペーサダクトの全長は、ヘアドライヤ装置のモータユニットによって生成される電磁波の強度が所定の閾値まで減衰する距離と等しいかまたはこれよりも長くなっており、前記モータユニットに、モータと、前記モータによって作動し、空気流を生成するファンと、前記ファンによって生成された空気流の出口となるマウスピースを有する支持フレームと、前記空気流の温度を上昇させるための電気抵抗器とを設け、前記スペーサダクトには、電磁波の強度が前記所定の閾値まで減衰する距離を示す標識を設けることを特徴とする方法も提供される。この場合にも、電磁波強度に係る最低閾値は、概ね2ミリガウスである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係るヘアドライヤ装置のモータユニットが支持されている状態(スペーサダクトは取り外されている)を模式的に示す側面図である。
図2図1に示すヘアドライヤ装置のスペーサダクトがモータユニットに接続されるかまたは一体化されている状態を模式的に示す側面図である。
図3】本発明の他の実施形態に係るヘアドライヤ装置(スペーサダクトが可撓性の部分を有する)の模式的な側面図である。
図4図3に示すヘアドライヤ装置における可撓性の部分を撓ませた状態を示す模式的な側面図である。
図5】スペーサダクトに取り付けられる、空気流拡散のためのボンネットおよび可撓性のチューブを示す模式図である。
図6】本発明に係るヘアドライヤ装置の使用状態を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係るヘアドライヤ装置の上記以外の特徴および効果を、添付の図面を参照し、実施形態(例示目的であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない)により詳細に説明する。
【0029】
最初に、本発明の第1の実施形態に係るヘアドライヤ装置1を、図1および図2を参照して説明する。
【0030】
図1において、支持体2は、空気流をつくり出して排出するモータユニット3を支持している(同図において、モータユニット3を起点とする複数の矢印は、空気流の排出方向を示している)。支持フレーム7(図1においては模式的に描かれている)は、モータを収容しており、生成された空気流を噴出させるマウスピース8も備えている。モータユニット3は、建物の給電網から電力を受けて、空気流をつくり出すファンを回転させる。モータユニット3は、周知の標準的な手持ち式ヘアドライヤ装置のそれと同様であるため、これに内蔵されているモータおよびファン(本発明の直接的な対象ではない)は、図示していない。支持フレーム7の内部には、放出される空気流を所望の温度に加熱するため、1個または複数個の電気抵抗器が設けられている。なお、ヘアドライヤ装置1の騒音を最小限に止めるため、支持フレーム7の内部に、防音システム(モータの騒音を吸収するために支持フレームの内面に施されるコーティング)を設けることもできる。
【0031】
支持体2は、逆L字形のアームからなっている。このアームは、床面から立ち上がる垂直アーム部9、およびこの垂直アーム部9の上端から水平に張り出して、モータユニット3を吊り下げるビーム部10からなっている。垂直アーム部9は、伸縮できないような固定式、またはモータユニットの高さを容易に調節しうる入れ子式のいずれでもよい。垂直アーム部9は、キャスタ12を備えた手押し式の台車11上に設置されているため、必要に応じて容易に移動させることができる。なお、垂直アーム部9は、床に設置する基台上に固定することもできる。
【0032】
ヘアドライヤ装置1には、上記逆L字形のアームの外、必ずしも移動可能なアーム部を有しない、他のモータユニット支持手段(支持体)を用いることもできる。例えば、床面から所定の高さで壁に取り付けたハンガーに、モータユニットを吊り下げてもよい。この外、モータユニット支持手段を床面に直接固定することもできる。
【0033】
所定の長さLをもつスペーサダクト4(併せて図2も参照)は、モータから排出された空気流を、排気部4”へ向けて通過させる。スペーサダクト4の全長Lは、モータユニットによって生成される電磁波の強度が約2ミリガウスの閾値またはこれよりも低い値まで減衰する距離R1と等しいか、またはこれよりも長い。
【0034】
スペーサダクト4(ここでは図2参照)は、内部に、空気流が流れる通路を有するとともに、モータユニット3との接続部4'、および空気流を外部に排出する排気部4”を有している。図2は、スペーサダクト4が支持フレーム7(またはこのマウスピース8)に取り付けられた状態を示す模式図である。
【0035】
本発明の第2の実施形態として、図3に示すように、スペーサダクト4は、接続部4'を介してマウスピース8と接続される硬質の第1の部分13、およびハンドル6を含む可撓性の第2の部分14から構成することもできる。さらに、ハンドル6を使えば、図4に示すように、第2の部分を容易に湾曲させて、所定の方向に向けることができる。ハンドル6および排気部4”は、可撓性の第2の部分(管状体)14の取り扱いが容易となるよう、この管状体14に対して、回動しうるように取り付けられている。
【0036】
スペーサダクト4は、上記の外、図5に示すように、第1のチューブ113、および可撓性の第2のチューブ114から構成することもできる。第2のチューブ114は、第1のチューブ113の排気部4”と接続する取り付け部114'を有している。第2のチューブ114の排気部114”は、第2のチューブ114から、所定の方向に向かって、空気流を最終的に排出させる。この場合、ハンドル6は、第2のチューブ114に対して回動自在に取り付けられているため、オペレータは、第2のチューブ114を、容易に所望の方向へ向けることができる。
【0037】
また、上記以外の変形例として、モータユニットに、象の鼻のような長鼻状部品を一体的に取り付け、取り外しできないようにすることもできる。このような長鼻状部品には、上記のような第1の部品またはチューブをモータユニットと一体化させるための取り付け部は存在しないが、これまでに述べたスペーサダクトと同等の働きをする。
【0038】
上記の実施形態および変形例において、スペーサダクト4には、モータユニットから所定の距離を隔てて、モータユニット3から放射される電磁波の強度が2ミリガウス以下となる距離R1(安全性を高めるため、好ましい閾値としてこれよりも低い値を選択する場合にはその値)を視認可能に表示する標識5を設ける。標識5は、ユーザにとって、距離R1の視覚的な照会先となる。また、上記いずれの実施形態および変形例においても、スペーサダクトの形状は、使用するモータユニットの形状に合わせたものする。
【0039】
上記いずれの実施形態および変形例においても、スペーサダクトには、モータユニット3の稼働を制御とするためのスイッチ16を設ける。このスイッチ16は、手で操作する簡単なON/OFFボタンとして、スペーサダクトのどの位置(例えば、マウスピース8の近傍)にも設けることができる。なお、モータユニット3の稼働の制御は、リモートコントロールで行うようにすることもできる。
【0040】
また、上記いずれの実施形態および変形例においても、第2のチューブ(可撓性)114をヘルメット15で置き換え、このヘルメット15をスペーサダクト4の排気部4”に接続することができる。
【0041】
以上、本発明の技術的な特徴を説明してきたが、図6は、本発明のヘアドライヤ装置(支持体2を備えるタイプ)を使用している状態を示す模式的な側面図である。なお、他のモータユニット支持手段を用いても、同様の機能を発揮させることができる。
【0042】
支持体2は、スペーサダクト4が存在するために、空気流を送り出すモータユニット3をユーザから所定の距離離して支持している。すでに説明したように、スペーサダクト4の全長Lは、モータユニットによって生成される電磁波の強度が、約2ミリガウスの閾値またはこれよりも低い値まで減衰する距離R1と等しくなるか、またはこれよりも長くなるように定めてあるため、ユーザは、電磁波による危険ゾーンの外に身を置くことができる。この場合、ヘアトリートメントを施すオペレータおよびヘアトリートメントを施される利用者のいずれも、健康に有害な高強度電磁波の衝撃からは完全に保護される。標識5は、危険ゾーンおよび安全ゾーンの位置を視覚的に知らせる役割を果たす。
【0043】
上記本発明の構成によれば、本発明の課題がすべて達成されることは明らかであろう。特に、スペーサダクト4が、ユーザを、モータユニットによって生成される電磁波の危険範囲から遠ざける機構は明らかになったと思う。さらに、スペーサダクト4に設けられた、電磁波の発生位置からの距離を示す標識5は、ヘアドライヤ装置が、近くにいる人が電磁波から影響を受けることのない距離を隔てて正しく設置されているか否かを、容易に認識することを可能にする。したがって、垂直アームが入れ子式の場合、標識5に基づいて高さを調節することができる。
【0044】
さらに、本発明によれば、ヘアドライヤ装置を支持体で支持するため、オペレータの手、腕および背中にかかる荷重は、マウスピースによる数グラムのみに抑えられる。この結果、オペレータの仕事に力は不要となり、ヘアドライヤ装置を動かす際の姿勢に纏わる問題もなくなる。さらに、モータは、オペレータの作業範囲の外側に位置するため、給電用のケーブルが作業の妨げとなることもない。
【0045】
上記実施形態についての説明により、本発明の技術的思想は明らかになったと思う。したがって、当業者は、様々な用途において、さらに研究をすることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、上記の実施形態に変更を加えることもできるであろう。しかし、そのような変更は、本発明の一実施形態に相当すると考えるべきである。上記実施形態に記載した種々の機能を実現するための手段および材料は、本発明の技術的範囲に属する限り、種々のものを用いることができる。なお、本明細書で用いた表現や技術用語は、本発明の技術的範囲を制限する方向に解釈してはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6