特許第5731511号(P5731511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5731511撥油性が改善されたポリエステルフィルム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731511
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】撥油性が改善されたポリエステルフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20150521BHJP
   C08G 63/00 20060101ALI20150521BHJP
   C08G 63/682 20060101ALI20150521BHJP
   C09K 3/32 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   C08J5/18CFD
   C08G63/00
   C08G63/682
   C09K3/32 H
   C09K3/32 L
【請求項の数】3
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-528000(P2012-528000)
(86)(22)【出願日】2010年9月1日
(65)【公表番号】特表2013-503941(P2013-503941A)
(43)【公表日】2013年2月4日
(86)【国際出願番号】US2010047480
(87)【国際公開番号】WO2011028771
(87)【国際公開日】20110310
【審査請求日】2013年8月30日
(31)【優先権主張番号】61/239,100
(32)【優先日】2009年9月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】ドライズデイル ネヴィル エヴァートン
(72)【発明者】
【氏名】マハジャン スルビ
(72)【発明者】
【氏名】モロイ ケニス ジー
(72)【発明者】
【氏名】ネダバーグ フレドリック
(72)【発明者】
【氏名】ポリノ ジョエル エム
(72)【発明者】
【氏名】リッター ヨアヒム ツェー
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−139696(JP,A)
【文献】 特開昭60−186531(JP,A)
【文献】 特表2004−531598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)、(II)または(III)によって表されるコポリエステルから形成されたフィルム。
【化1】
(式中、(I)および(II)に関して、
各Rは、独立して、H、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アーリルアルキルであり
Xは、独立して、OまたはCF2であり、
各Yは、独立して、OまたはCF2であり、
各Zは、独立して、H、ClまたはBrであり、
各Rf1は、独立して、(CF2nであって、各nは、独立して、0〜10であり、
各Rf2は、独立して、(CF2pであって、各pは、独立して、0〜10であるが、 ただし、pが0である場合、YはCF2であり、
各Rxは、Hであり、
各qは、独立して、0〜10であり、
mは、1〜10,000であり、そして、
wは、1〜10,000であり、
そして、(III)に関して、
各Rは、独立して、H、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり
Xは、独立して、OまたはCF2であり、
各Yは、独立して、OまたはCF2であり、
各Zは、独立して、H、ClまたはBrであるが、ただし、1個のみのZが、Hであることが可能であり、そして
各Rf1は、独立して、(CF2nであって、各nは、独立して、0〜10であり、各Rf2は、独立して、(CF2pであって、各pは、独立して、0〜10であるが、
ただし、pが0である場合、YはCF2であり、
各Rxは、Hであり、
各qは、独立して、0〜10であり、
mは、1〜10,000であり、そして、
wは、1〜10,000である。)
【請求項2】
前記コポリエステルが、式(I)によって表される請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記コポリエステルが、1,3−プロパンジオールと、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートおよびジメチルテレフタレートとのコポリマーである請求項2に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルフッ素化モノマーから誘導されたコポリエステルから製造されたフィルムに関する。このポリエステルフィルムは、改善された撥油性を示す。
【背景技術】
【0002】
フッ素化材料には、多くの用途がある。特に、それらは、耐汚染性および耐油性を付与するために、ポリマー関連産業で、とりわけ繊維関連産業で使用される。一般に、これらの材料は局所的な処理として応用されているが、それらの有効性は、摩耗および洗浄による材料損失のため、時間とともに低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、ならびに時間が経っても、防汚性および耐油性が改善されたポリマー材料を提供することが必要とされている。フッ素化芳香族ジエステルをポリマー骨格に組み込むことによって、より永続的な防汚性および耐油性を実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、ペルフッ素化モノマーを含んでなるコポリエステルから形成されたフィルムであって、ペルフッ素化モノマーの量が、コポリエステルの約0〜100重量%であり、このコポリエステルから形成されたフィルムが、60度を超えるヘキサデカン接触角および110度を超える水接触角を示すフィルムである。
【0005】
このコポリエステルは、式I、IIまたはIIによって表すことができる。
【化1】
(式中、(I)および(II)に関して、
各Rは、独立して、H、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各R1は、独立して、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各Xは、独立して、OまたはCF2であり、
各Yは、独立して、OまたはCF2であり、
各Zは、独立して、ClまたはBrであり、
各Rf1は、独立して、(CF2nであって、各nは、独立して、0〜10であり、
各Rf2は、独立して、(CF2pであって、各pは、独立して、0〜10であるが、
ただし、pが0である場合、YはCF2であり、
各qは、独立して、0〜10であり、
mは、1〜10,000であり、そして、
wは、1〜10,000であり、
そして、(III)に関して、
各Rは、独立して、H、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各R1は、独立して、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各Xは、独立して、OまたはCF2であり、
各Yは、独立して、OまたはCF2であり、
各Zは、独立して、H、ClまたはBrであるが、ただし、1個のみのZが、Hであることが可能であり、そして
各Rf1は、独立して、(CF2nであって、各nは、独立して、0〜10であり、各Rf2は、独立して、(CF2pであって、各pは、独立して、0〜10であるが、ただし、pが0である場合、YはCF2であり、
各qは、独立して、0〜10であり、
mは、1〜10,000であり、そして、
wは、1〜10,000である。)
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1a】ポリ(トリメチレン)テレフタレートホモポリマーの表面上のヘキサデカン液滴の写真描写である。
図1b】ポリ(トリメチレン)テレフタレートホモポリマーの表面上の水滴の写真描写である。
図2a】ポリ(トリメチレン)テレフタレートとペルフッ素化モノマーとのコポリマーの表面上のヘキサデカン液滴の写真描写である。
図2b】ポリ(トリメチレン)テレフタレートとペルフッ素化モノマーとのコポリマーの表面上の水滴の写真描写である。
図3a】ポリ(トリメチレン)テレフタレートとペルフッ素化モノマーとのコポリマーの表面上のヘキサデカン液滴の写真描写である。
図3b】ポリ(トリメチレン)テレフタレートとペルフッ素化モノマーとのコポリマーの表面上の水滴の写真描写である。
図4a】ポリ(トリメチレン)テレフタレートとペルフッ素化モノマーとのコポリマーの表面上のヘキサデカン液滴の写真描写である。
図4b】ポリ(トリメチレン)テレフタレートとペルフッ素化モノマーとのコポリマーの表面上の水滴の写真描写である。
図5】1,3−プロパンジオールと、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートおよびジメチルテレフタレートとのコポリマーの1H−NMRおよび19F−NMR走査の描写である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に開示される新規コポリエステルは、フィルムおよび成形品、ならびに繊維および繊維から製造された材料を含む様々な最終用途に関して、それらを望ましいものにさせる特性を示すことがわかった。このコポリエステルは、重合単位として、ハロゲン化されていてもよい1,1,2−トリフルオロ芳香族エステル、例えば、2−ハロ−1,1,2−トリフルオロ芳香族エステルを含有する。このコポリエステルは、紡糸にも十分に適する。
【0008】
フッ素化芳香族ジエステルは、溶媒(ハロゲン化されていてもよい)および触媒の存在下で、ペルフッ素化ビニルエーテルなどのペルフッ素化ビニル化合物にヒドロキシ芳香族ジエステルを添加することによって製造される。
【0009】
いかなるヒドロキシ芳香族ジエステルも使用可能であるが、1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート、1,4−ジエチル−2−5−ジヒドロキシテレフタレート、2−ヒドロキシ−1,4−ジメトキシテレフタレート、ジメチル5−ヒドロキシイソフタレート、ジメチル4−ヒドロキシイソフタレート、ジメチル4,6−ジヒドロキシイソフタレート、ジメチル2−ヒドロキシイソフタレート、ジメチル2,5−ジヒドロキシイソフタレート、ジメチル2,4−ジヒドロキシイソフタレート、ジメチル2,3−ジヒドロキシイソフタレート、ジメチル3−ヒドロキシフタレート、ジメチル4−ヒドロキシフタレート、ジメチル3,4−ジヒドロキシフタレート、ジメチル4,5−ジヒドロキシフタレート、ジメチル3,6−ジヒドロキシフタレート、ジメチル4,8−ジヒドロキシナフタレン−1,5−ジカルボキシレート、ジメチル3,7−ジヒドロキシナフタレン−1,5−ジカルボキシレートおよびジメチル2,6−ジヒドロキシナフタレン−1,5−ジカルボキシレートが特に有用である。
【0010】
本明細書に開示される合成において、例えば、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン、ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル、ペルフルオロエテン、ペルフルオロプロプ−1−エン、ペルフルオロブト−1−エン、ペルフルオロペント−1−エン、ペルフルオロヘキス−1−エン、ペルフルオロヘプト−1−エン、ペルフルオロオクト−1−エン、ペルフルオロノン−1−エンおよびペルフルオロデク−1−エンなどの様々なペルフッ素化ビニル化合物を使用することができる。
【0011】
一般に、上記のヒドロキシ芳香族ジエステルおよびペルフッ素化ビニル化合物は、例えば、テトラクロロメタン、テトラブロモメタン、ヘキサクロロエタンおよびヘキサブロモエタンなどのハロゲン化溶媒の存在下で混合する。
【0012】
本明細書に開示される反応は、塩基によって触媒される。様々な塩基性触媒を使用することができる。すなわち、フェノールを脱プロトン化することができるいかなる触媒も使用することができる。非限定的な例としては、ナトリウムメトキシド、水素化カルシウム、ナトリウム金属、カリウムメトキシドおよびカリウムt−ブトキシドが含まれる。特に、カリウムt−ブトキシドが使用される。
【0013】
反応が完了するまで、溶媒および触媒の存在下で、ヒドロキシル芳香族ジエステルおよびペルフッ素化ビニル化合物を混合する。一般に、約−70℃〜反応混合物の還流温度、好ましくは、ほぼ室温(25℃)〜反応混合物の還流温度の範囲の温度で反応を実行する。所望の反応進度が達成されるまで、反応混合物を還流温度に保持することができる。反応時間は、反応温度および反応混合物成分によって異なり、限定されないが、核磁気共鳴分光法、薄層クロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィーを含む様々な技術を用いて、当業者に容易に決定される。次いで、場合により酸(例えば、10% HCl)を用いて、反応混合物をクエンチし、真空下で濃縮後、溶媒(例えば、ジクロロメタン)ですすぐ。2種以上のペルフッ素化芳香族ジエステルを反応混合物中で製造することができ、次いでこれを蒸留またはカラムクロマトグラフィーを含む当業者に既知のいずれかの方法で単離することができる。
【0014】
得られる2−ハロ−1,1,2−トリフルオロ芳香族エステルは、次式の1つによって表すことができる。
【化2】
(式中、(A)および(B)に関して、
各Rは、独立して、H、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各R1は、独立して、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各Xは、独立して、OまたはCF2であり、
各Yは、独立して、OまたはCF2であり、
各Zは、独立して、H、ClまたはBrであり、
各Rf1は、独立して、(CF2nであって、各nは、独立して、0〜10であり、
各Rf2は、独立して、(CF2pであって、各pは、独立して、0〜10であるが、
ただし、pが0である場合、YはCF2であり、
そして各qは、独立して、0〜10であり、
そして、(C)に関して、
各Rは、独立して、H、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各R1は、独立して、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各Xは、独立して、OまたはCF2であり、
各Yは、独立して、OまたはCF2であり、
各Zは、独立して、H、ClまたはBrであるが、ただし、1個のみのZが、Hであることが可能であり、
各Rf1は、独立して、(CF2nであって、各nは、独立して、0〜10であり、各Rf2は、独立して、(CF2pであって、各pは、独立して、0〜10であるが、
ただし、pが0である場合、YはCF2であり、そして、
各qは、独立して、0〜10である。)
【0015】
上記の式に示され得るように、置換基は、いかなる点においてでもベンゼン環に結合可能であり、したがって、上記で定義されるオルト−、メタ−およびパラ−置換基を有することが可能となる。
【0016】
ペルフッ素化エーテル芳香族ジエステルを含んでなるコポリエステルを製造するために、芳香族ジカルボン酸およびそれらのジメチルエステルを含む他の芳香族ジエステルを反応物に添加する。添加可能な1つの特に有用なジエステルは、ジメチルテレフタレートである。いくつかの非限定的で代表的な芳香族ジカルボン酸は、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−スルホニル二安息香酸、4−スルホフタル酸、およびビフェニル−4,4'−ジカルボン酸である。これらのジカルボン酸のジエステル形も、例えば、触媒の存在下で、グリコール(例えば、1,3−プロパンジオール)にジカルボン酸を添加することによって合成可能である。一般に、チタン(IV)をベースとするエステル交換触媒(例えば、チタン(IV)ブトキシドおよびチタン(IV)イソプロポキシド)を反応に使用するが、他の触媒も使用可能である(例えば、アンチモン、亜鉛およびスズをベースとする触媒)。反応が完了するまで混合物を高温で撹拌して反応させる。次いで、形成したポリエステルは、当業者に既知の手段、例えば、減圧蒸留、沈殿、または容器の分解によって単離されてもよい。
【0017】
1,1,2−トリフルオロ(ペルフッ素化エーテル)エトキシジエステルを含んでなるコポリエステルが製造される場合、生成物は、次の一般式の1つによって表すことができる。
【化3】
(式中、(I)および(II)に関して、
各Rは、独立して、H、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各R1は、独立して、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各Xは、独立して、OまたはCF2であり、
各Yは、独立して、OまたはCF2であり、
各Zは、独立して、H、ClまたはBrであり、
各Rf1は、独立して、(CF2nであって、各nは、独立して、0〜10であり、
各Rf2は、独立して、(CF2pであって、各pは、独立して、0〜10であるが、
ただし、pが0である場合、YはCF2であり、
各qは、独立して、0〜10であり、
mは、1〜10,000であり、そして、
wは、1〜10,000であり、
そして、(III)に関して、
各Rは、独立して、H、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各R1は、独立して、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各Xは、独立して、OまたはCF2であり、
各Yは、独立して、OまたはCF2であり、
各Zは、独立して、H、ClまたはBrであるが、ただし、1個のみのZが、Hであることが可能であり、
各Rf1は、独立して、(CF2nであって、各nは、独立して、0〜10であり、各Rf2は、独立して、(CF2pであって、各pは、独立して、0〜10であるが、
ただし、pが0である場合、YはCF2であり、
各qは、独立して、0〜10であり、
mは、1〜10,000であり、そして、
wは、1〜10,000である。)
【0018】
コポリエステルは、上記で開示された方法と類似の方法で、ペルフッ素化芳香族ジカルボン酸、第2の芳香族ジカルボン酸およびグリコールを組み合わせることによって形成することができる。
【0019】
上記の式に示されるように、置換基は、いかなる点でもベンゼン環に結合可能であり、したがって、上記で定義されるオルト−、メタ−およびパラ−置換基を有することが可能となる。
【0020】
本明細書に開示される材料を調製するために使用される1,3−プロパンジオールは、様々な周知の化学的経路のいずれかによって、または生化学的変換経路によって得てもよい。好ましい経路は、例えば、米国特許出願公開第20050069997A1号明細書に開示される。
【0021】
好ましくは、1,3−プロパンジオールは、再生可能な供給源から生化学的に得られる(「生物学的に誘導された」1,3−プロパンジオール)。
【0022】
1,3−プロパンジオールの特に好ましい供給源は、再生可能な生物学的供給源を使用する発酵プロセスによる。再生可能な供給源からの出発材料の実例として、トウモロコシ原料などの生物学的で再生可能な原料から製造された資源を利用する1,3−プロパンジオール(PDO)への生化学経路が開示されている。例えば、グリセロールを1,3−プロパンジオールに変換することができる菌種が、クレブシエラ属(Klebsiella)、シトロバクター属(Citrobacter)、クロストリジウム属(Clostridium)および乳酸菌(Lactobacillus)の種に見られる。米国特許第5821092号明細書には、特に、組み換え型有機体を使用するグリセロールから1,3−プロパンジオールの生物学的な製造方法が開示されている。この方法は、1,2−プロパンジオールに対する特異性を有する異種pduジオール脱水酵素遺伝子で転換された大腸菌(E.coli)を取り入れている。転換された大腸菌(E.coli)は炭素源としてグリセロールの存在下で成長し、そして1,3−プロパンジオールが成長媒体から単離される。細菌および酵母の両方が、グルコース(例えば、トウモロコシ糖)または他の炭水化物をグリセロールに変換することができるので、これらの刊行物に開示された方法は、迅速で、安価で、環境に責任を持てる1,3−プロパンジオールモノマーの供給源を提供する。
【0023】
上記に開示され、参照された方法によって製造されるような生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、1,3−プロパンジオール製造用原料を構成する植物に組み込まれた大気の二酸化炭素からの炭素を含有する。本明細書に開示される方法での使用に好ましい生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、再生可能な炭素のみを含み、化石燃料をベースとする炭素や石油をベースとする炭素を含まない。したがって、この組成物に使用される1,3−プロパンジオールは、枯渇化している化石燃料を減少させることがなく、そして、分解時に、もう一度植物が使用するように大気に炭素を放出するため、生物学的1,3−プロパンジオールから誘導されたPO3Gは、環境に及ぼす影響がほとんどない。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、石油をベースとするグリコールを含有する類似の組成物よりも自然であり、環境に及ぼす影響が少ないと特徴づけることができる。
【0024】
本明細書に開示されるように、ポリマーを本質的に疎油性にするため、または疎水性の向上をもたらすための合成経路を介して、ポリエステル骨格を変性させることができる。より詳しくは、ジメチルテレフタレート(DMT)、ペルフルオロエーテルジメチルテレフタレートまたはペルフルオロエーテルジメチルイソフタレートと、1,3−プロパンジオール(PDO)とのコポリマーを製造し、これを使用して、コポリマーを形成する。一般に、繰り返し単位につき10個または16個のフッ素原子が得られるように、2つの異なる長さのペルフルオロエーテル側鎖を組み込むことができる。
【0025】
フッ素化ジメチル/二酸性テレフタレートまたはジメチル/二酸性イソフタレートをDMT/TPAの濃度に対して様々な濃度で使用して、触媒として、例えば、TYZOR(登録商標)チタンテトライソプロポキシドを使用して、コポリマーを首尾よく合成することができる。
【0026】
対応するコポリマー構造は、分光法(1H−NMR、19F−NMR)、および一般に溶解によるわずかな摂動を明らかにする熱分析、ならびにガラス転移温度によって、純ポリ(トリメチレン)テレフタレートのものと比較して特徴づけることができる。典型的には、約0.9〜1.0の固有粘度(IV)を有するコポリエステルが得られる。
【0027】
このコポリマーを使用して、当業者に既知の熱可塑性ポリマーからフィルムを形成する方法を使用して、フィルムまたはシートを形成することができる。典型的には、「シート」という用語は、約250ミクロン以上の厚さを有する物品に使用され、「フィルム」という用語は、約250ミクロン未満の厚さを有する物品に使用される。フィルムの形成方法は、一般に3つの広いカテゴリーに分類される。すなわち、溶液キャスティング(コーティング製造に適切である)、溶融キャスティングおよび圧縮成形である。
【0028】
溶液キャスティングは、典型的には、溶融押出が不可能であるか、または極めて感熱性であるポリマーに使用されるが、本明細書に開示されるもののようなコポリエステルを含む様々なポリマーに使用可能である。フィルムの溶液キャスティングでは、ポリマーを、場合により酸化防止剤、難燃剤および/または顔料などの添加剤と一緒に、溶媒に溶解する。典型的には、均一なポリマー溶液を濾過し、気体を除去して、続いて、ゲルフィルムの形成および乾燥が行われる。次いで、溶液を表面上に析出させることができる。ゲルフィルムは、蒸発と凝固によって溶液から形成される。適切な表面の例は、表面の接着特性および所望の最終用途によるが、金属、ガラスまたは別の1種のポリマーである。キャスティング後、例えば、加熱することによって、溶媒をフィルムから除去することができる。意図された最終用途次第で、フィルムを表面上に残すことも、または剥離して独立したフィルムを形成することもできる。ゲルフィルムから独立したフィルムへの乾燥速度は、溶媒の拡散速度に部分的に依存する。したがって、溶液キャスティングは、比較的薄いフィルムに最も適切である。溶液キャストフィルムの特性としては、残存配向度の低さ、全方向での均一な特性および平滑な表面が挙げられる。
【0029】
溶融キャスティングは、典型的には、溶融ポリマーから連続的なフィルムを形成するために使用される。ポリマーは、典型的には、ペレット、フレークまたは粉末の形状で、溶融押出機(一軸または二軸)に供給される。この溶融押出機の中で、ポリマーは溶融されて、連続的な溶解物の流れを形成し、次いで、これは、スクリューの連続的な回転によって生じた圧力下でフィルムダイに供給される。ダイは、選択された厚さのものであり、一般に約25〜100ミクロンであるが、より薄いもの、例えば、約10ミクロンも可能である。上記の任意の添加剤は、ポリマーと同時に押出機に供給することができる。商業運転では、様々なフィルムの幅が可能であり、例えば、約25cm程度の狭さ、または6フィート程度の広さが可能である。あるいは、ダイによって、フィルムを、直径が数フィートまで及び得る連続的な中空の円筒形に形成することができる。加工条件は、フィルムの特性に影響を及ぼす。ポリマーにもよるが、フィルムからの熱除去の速度が、フィルムの結晶化の範囲および形態ならびに残存配向度を決定する。フィルム特性に影響するもう1つの要因は、熱がフィルムから除去される温度である。高品質の表面または均一な熱伝達率が必要とされる場合、ピンニング工程を使用することができる。ピンニングは、キャスティング表面への溶融フィルムの強制的な適用として定義される。ピンニングカムは、エアナイフ、真空箱、ニップロールまたは強い静電界によって実行することができる。ピンニングによって、フィルム全体で均一な特性を保持しながら、高い製造速度を可能にすることができる。ピンニング力によって、フィルムとキャスティング表面との間に空気が閉じ込められることが防がれる。ピンニング方法の選択は、操作速度とフィルムの品質次第である。
【0030】
圧縮成形は、典型的には、比較的小さい規模、例えば、商業規模よりも実験室規模で実行される。所望の長さ、幅および厚さ(例えば、4インチ×4インチ×厚さ150ミクロン)のフレームに溶融ポリマーを入れ、次いで、例えば、液圧プレスを使用して、加熱および加圧を行う。ポリマーでフレームを充填し、次いで冷却するのに十分な時間が経過した後、フィルムをフレームから取り外し、試験を行うことができる。
【0031】
フッ素を組み込むことによって、得られたコポリマーの全体的な表面エネルギーが著しく低下することが示された。メルトプレスされ、スパンされた試料では、フッ素化された低エネルギー成分が、空気−固体相間を強化し、純ポリエステル(典型的には、ポリ(トリメチレンテレフタレート))と比較して、撥水性および撥油性の両方を増加させる結果となることが示された。典型的には、純ポリ(トリメチレンテレフタレート)は、ヘキサデカン(C16−脂質)の液滴を完全に湿潤して、60°を超える水接触角を示す。図1aおよび2aに示すように、1種またはそれ以上のペルフッ素化モノマーを含んでなるポリエステル、例えば、ジメチルテレフタレートに対してペルフッ素化モノマーの全体的な添加が10重量%であるF16−イソ−ペルフルオロエーテル−ポリ(トリメチレンテレフタレート)をベースとするコポリマーは、60°を超えるヘキサデカン接触角と110°を超える水接触角を有した。そのうえ、ヘキサデカン液滴は、除去時に完全に脱湿(dewet)され、したがって、本新規表面の疎油性が実証された。図3に示すように、1種またはそれ以上のペルフッ素化モノマーを含んでなるポリエステル、例えば、ジメチルテレフタレートに対してペルフッ素化モノマーの全体的な添加が10重量%であるF16−パラ−ペルフルオロエーテル−ポリ(トリメチレンテレフタレート)をベースとするコポリマーから製造されたフィルムは、50°を超えるヘキサデカン接触角と105°を超える水接触角を有した。図4に示すように、1種またはそれ以上のペルフッ素化モノマーを含んでなるポリエステル、例えば、ジメチルテレフタレートに対してペルフッ素化モノマーの全体的な添加が10重量%であるF10−イソ−ペルフルオロエーテル−ポリ(トリメチレンテレフタレート)をベースとするコポリマーから製造されたフィルムは、35°を超えるヘキサデカン接触角と90°を超える水接触角を有した。
【0032】
表面で45°の角度で、約50Åの総サンプリング深さでESCA/XPSを測定し、そして以下の実施例および表1〜3に示すように、フッ素が最も外側の表面にあること、またその濃度が一般的なバルク組成と比較してより高いことを確認する。
【0033】
したがって、フッ素含有量がわずかであっても、ペルフッ素化モノマーをポリ(トリメチレンテレフタレート)に添加することによって撥油性の著しい向上が示され、加えて、得られたコポリマーの疎水性が向上した。
【0034】
静的接触角は、積分DROPimage Advanced v2.3ソフトウェアシステムを備えたRame’−Hart Instrument Co.製ゴニオメーター Rame'−Hart Model 100−25−A機器で記録した。水またはヘキサデカンのいずれにもマイクロシリンジ分配システムを使用し、4μLの容積の分配液を使用した。
【0035】
Ulvac−PHI Quantera SXM分光計で、モノクロAl X線源(100μm、100W、17.5kV)を使用して、X線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy)(XPS)としても知られる化学分析用電子分光法(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)(ESCA)を実行した。分析には、広域測定走査によって最初に試料表面(約1350μm×200μm)を試験し、表面上にどの元素が存在するのかを決定した。0.2eVの刻み幅で55eVパスエネルギーを使用して、高解像度の詳細なスペクトル取得をし、検出された元素の化学状態とそれらの原子濃度を決定した。典型的には、炭素、酸素およびフッ素を45°の出口角で分析した(炭素電子の脱出深さ約70Å)。データ分析には、PHI MultiPakソフトウェアを使用した。
【実施例】
【0036】
化学薬品および試薬は、以下の通り、受け取ったまま実施例で使用した。
Sigma−Aldrich,Milwaukee,WIから:
・ジメチルテレフタレート
・Tyzor(登録商標)TPTテトラ−n−プロポキシド
・カリウムt−ブトキシド
・ジメチルホルムアミド
・ジクロロメタン
・テトラクロロメタン(四塩化炭素)
・テトラブロモメタン(四臭化炭素)
・塩酸(HCl)
・無水硫酸ナトリウム
・1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート
DuPont Tate & Lyle,Loudon,TNから:
・1,3−プロパンジオール
SynQuest Labs.,Alachua,FLから:
・ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル
【0037】
ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートの調製;
【化4】
ドライボックス中で、撹拌棒と等圧(PE)滴下ロートを備え、オーブンで乾燥された複数の口を有する500mL反応フラスコに1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート(30.25g、0.144モル)を添加した。次いで、テトラヒドロフラン(THF、288mL)を添加し、混合物を形成した。均一な溶液が得られるまで、混合物を撹拌した。カリウムt−ブトキシド(4.435g、0.040モル)を添加し、不均一な混合物を得た。PEロートを通して、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン(155.52g、0.36モル)を添加し、反応混合物を得た。反応混合物を、約40時間、室温(約25℃)で撹拌した。5mLの10%HClの添加によって、反応混合物をクエンチした。この反応混合物から材料を形成した。反応フラスコ中の材料を減圧で濃縮した。次いで、材料をジクロロメタン(約300mL)に溶解し、その後、10%HCl(2×75mL)で洗浄し、水(約75mL)で洗浄して、有機相と水相が得られた。次いで、分離された有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。その後、硫酸ナトリウムを濾去し、得られた材料を減圧で濃縮し、それから、分別真空蒸留を行った。1.4〜1.1トルで134〜136℃の間に沸騰するフラクション(84.55g、収率91.4%)および1.1トルで136〜138の間に沸騰するフラクション(3.35g)(合計収率95.04%)を回収した。これらの試料のNMR(核磁気共鳴)によって、ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートであることが示された。
【0038】
ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートの調製;
【化5】
ドライボックス中で、攪拌器と滴下ロートを備え、オーブンで乾燥された丸底反応フラスコに、テトラヒドロフラン(THF、1000mL)およびジメチル5−ヒドロキシイソフタレート(42.00g、0.20モル)を添加し、次いで、カリウムt−ブトキシド(6.16g、0.055モル)を添加した。そして、滴下ロートを通して、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン(216g、0.50モル)を添加し、反応物を形成した。反応物を室温で撹拌した。24時間後、80mLの10%HClの添加によって、反応を終了した。反応物を減圧下で濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、10%HCl(2×100mL)で洗浄し、次いで、水(2×100mL)で洗浄すると、有機相と粗製生成物が形成した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。粗製生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、86.07g(収率67.32%)のジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートが得られた。
【0039】
実施例1:1,3−プロパンジオールと、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートおよびジメチルテレフタレートとの共重合。
あらかじめ乾燥された500mL3つ口丸底反応フラスコに、ジメチルテレフタレート(DMT、130g、0.66モル)、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレート(DMTに対する重量パーセント)、および1,3−プロパンジオール(90.4g、1.19モル、DMTに対して1.8等量)を添加した。オーバーヘッド攪拌器と蒸留冷却器を反応フラスコに取り付けた。反応フラスコ中の反応物を毎分50回転(rpm)の速度で攪拌し、得られた反応混合物を窒素(g)(N2)パージ雰囲気下で保持し、そして冷却器を23℃に保持した。100トルまで反応フラスコを排気し、N2気体で補充することによって、反応フラスコの内容物を3回脱気した。1回目の排気後、Tyzor(登録商標)TPT触媒[理論的なポリマー収率に対して50ppmのTi、δTYZOR=0.96g/mL]を添加した。160℃にあらかじめ加熱された金属浴に反応フラスコを浸漬した。反応フラスコ中の固体は、20分間160℃で完全に溶解され、その後、攪拌速度を180rpmまでゆっくり増加させた。反応フラスコの温度を210℃まで高めて、90分間その温度に保持し、形成されたメタノールのほとんどを蒸留フラスコ中に蒸留した。反応フラスコの温度を250℃まで高めて、その後、窒素パージを閉じ、真空ランプを開始した。そして、約60分後、真空は50〜60mトルの値に達した。真空が安定したら、攪拌器の攪拌速度を225rpmまで増加し、そして反応を最長3〜4時間保持した。攪拌器のトルクを監視し(180rpmで読み取り)、そして典型的には、約100N/cm2のトルク値に達した時に反応を停止した。熱源を除去することによって重合を停止した。真空を止め、N2気体で系をパージする前に、オーバーヘッド攪拌器を停止し、反応フラスコの底から持ち上げた。反応フラスコに形成された生成物を環境温度まで冷却し、反応容器を取り外し、そしてハンマーで慎重にガラスを割った後、生成物を回収した。Wileyミルを使用して、1,3−プロパンジオールと、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートおよびジメチルテレフタレートとのコポリマーを含有する単離されたポリマー生成物を冷凍粉砕し(液体窒素を使用)、オフホワイトの粉末を得た。全収率約80〜90%。1H−NMR(CDCl3/TFA−d、700MHz):δ8.60(ArH、s、骨格)、8.25〜7.90(ArH−、m、骨格)、7.65(ArH、s、環状二量体),6.10(−CF2−CFH−O−、d、側鎖)、4.75〜4.45(COO−CH2−、m、骨格)、3.95(HO−CH2−R、t、末端基)、3.82(−CH2−O−CH2−、t、骨格 DPG),2.45〜2.05(−CH2−,m,骨格)。F19−NMRの例を図5に示す。
【0040】
フィルムへとプレスした時、純ポリ(トリメチレン)テレフタレートは、ヘキサデカン(C16−脂質)の液滴を完全に湿潤して、また約60°の水接触角を有した。図1および2に示すように、1種またはそれ以上のペルフッ素化モノマーを含んでなるポリエステル、例えば、F16−イソ−ペルフルオロエーテル−ポリ(トリメチレン)テレフタレートをベースとするコポリマー(ジメチルテレフタレートに対して10重量%添加であり、全体的なフッ素化モノマー含有量が2.9モル%である)から製造したフィルムは、60°を超えるヘキサデカン接触角と110°を超える水接触角を有した。
【0041】
ESCA/XPSデータを以下の表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例2:1,3−プロパンジオールと、ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートおよびジメチルテレフタレートとの共重合。
あらかじめ乾燥された500mL3つ口丸底反応フラスコに、ジメチルテレフタレート(DMT、130g、0.66モル)、ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレート(DMTに対する重量パーセント)、および1,3−プロパンジオール(90.4g、1.19モル、DMTに対して1.8等量)を添加した。オーバーヘッド攪拌器と蒸留冷却器を反応フラスコに取り付けた。反応フラスコ中の反応物を毎分50回転(rpm)の速度で攪拌し、反応フラスコ中の得られた反応物質を窒素(g)(N2)パージ雰囲気下で保持し、そして冷却器を23℃に保持した。100トルまでフラスコを排気し、N2気体で補充することによって、反応フラスコの内容物を3回脱気した。1回目の排気後、Tyzor(登録商標)TPT触媒[理論的なポリマー収率に対して50ppmのTi、δTYZOR=0.96g/mL]を添加した。160℃にあらかじめ加熱された金属浴に反応フラスコを浸漬した。反応フラスコ中の固体は、20分間160℃で完全に溶解され、その後、攪拌速度を180rpmまでゆっくり増加させた。反応フラスコの温度を210℃まで高めて、90分間その温度に保持し、形成されたメタノールのほとんどを蒸留フラスコ中に蒸留した。反応フラスコの温度を250℃まで高めて、その後、窒素パージを閉じ、真空ランプを開始した。そして、約60分後、真空は50〜60mトルの値に達した。真空が安定したら、攪拌速度を225rpmまで増加し、そして反応を最長3〜4時間保持した。攪拌器のトルクを監視し(180rpmで読み取り)、そして典型的には、約100N/cm2のトルク値に達した時に反応を停止した。熱源を除去することによって重合を停止した。真空を止め、N2気体で系をパージする前に、オーバーヘッド攪拌器を停止し、反応容器の底から持ち上げた。反応フラスコに形成された生成物を環境温度まで冷却し、反応容器を取り外し、そしてハンマーで慎重にガラスを割った後、生成物を回収した。Wileyミルを使用して、1,3−プロパンジオールと、ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートおよびジメチルテレフタレートとのコポリマーを含有する単離されたポリマー生成物を冷凍粉砕し(液体窒素を使用)、オフホワイトの粉末を得た。全収率約80〜90%。1H−NMR(CDCl3/TFA−d、700MHz):δ8.25〜7.90(ArH−、m、骨格)、7.65(ArH,s,環状二量体)、6.18(−CF2−CFH−O−、d、側鎖)、4.75〜4.45(COO−CH2−、m、骨格)、3.97(HO−CH2−R、t−広域、末端基)、3.82(−CH2−O−CH2−、t、骨格 DPG)、2.45〜2.05(−CH2−、m、骨格)。
【0044】
フィルムへとプレスした時、この材料(ジメチルテレフタレートに対して10重量%添加)は、ヘキサデカンおよび水の液滴が置かれた時に、図3aおよび3bに示すように、それぞれ、約50°および約109°の接触角を示した。
【0045】
ESCA/XPSデータを以下の表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
実施例3:1,3−プロパンジオールと、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)イソフタレートおよびジメチルテレフタレートとの共重合。
あらかじめ乾燥された500mL3つ口丸底反応フラスコに、ジメチルテレフタレート(DMT、130g、0.66モル)、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)イソフタレート(DMTに対する重量パーセント)、および1,3−プロパンジオール(90.4g、1.19モル、DMTに対して1.8等量)を添加した。オーバーヘッド攪拌器と蒸留冷却器を反応フラスコに取り付けた。反応物から反応混合物が形成され、これを反応フラスコ中で毎分50回転(rpm)の速度で攪拌し、そして反応混合物を窒素(g)(N2)パージ雰囲気下で保持し、そして冷却器を23℃に保持した。100トルまで反応フラスコを排気し、N2気体で補充することによって、反応フラスコの内容物を3回脱気した。1回目の排気後、Tyzor(登録商標)TPT触媒[理論的なポリマー収率に対して50ppmのTi、δTYZOR=0.96g/mL]を反応フラスコに添加した。160℃にあらかじめ加熱された金属浴に反応フラスコを浸漬した。反応フラスコ中の固体は、20分間160℃で完全に溶解され、その後、攪拌速度を180rpmまでゆっくり増加させた。反応フラスコの温度を210℃まで高めて、90分間保持し、形成されたメタノールのほとんどを蒸留フラスコ中に蒸留した。反応フラスコの温度を250℃まで高めて、その後、窒素パージを閉じ、真空ランプを開始した。約60分後、真空は50〜60mトルの値に達した。真空が安定したら、攪拌速度を225rpmまで増加し、そして反応を最長3〜4時間保持した。攪拌器のトルクを監視し(180rpmで読み取り)、そして典型的には、約100N/cm2のトルク値に達した時に反応を停止した。熱源を除去することによって重合を停止した。真空を止め、N2気体で系をパージする前に、オーバーヘッド攪拌器を停止し、反応フラスコの底から持ち上げた。反応フラスコに形成された生成物を環境温度まで冷却し、反応フラスコを取り外し、そしてハンマーで慎重にガラスを割った後、生成物を回収した。Wileyミルを使用して、1,3−プロパンジオールと、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)イソフタレートおよびジメチルテレフタレートとのコポリマーを含有する単離されたポリマー生成物を冷凍粉砕し(液体窒素を使用)、オフホワイトの粉末を得た。全収率約80〜90%。1H−NMR(CDCl3/TFA−d,700MHz):δ8.60(ArH、s、骨格)、8.25〜7.90(ArH−、m、骨格)、7.65(ArH、s、環状二量体)、6.10(−CF2−CFH−O−、d、側鎖)、4.75〜4.45(COO−CH2−、m、骨格)、3.95(HO−CH2−R、t、末端基)、3.82(−CH2−O−CH2−、t、骨格 DPG)、2.45〜2.05(−CH2−、m、骨格)。
【0048】
フィルムへとプレスした時、この材料(ジメチルテレフタレートに対して10重量%添加)は、ヘキサデカンおよび水の液滴が置かれた時に、図4aおよび4bに示すように、それぞれ、約35°および約93°の接触角を示した。
【0049】
ESCA/XPSデータを以下の表3に示す。
【0050】
【表3】

次に、本発明の態様を示す。
1. ペルフッ素化モノマーを含んでなるコポリエステルから形成されたフィルムであって、前記ペルフッ素化モノマーの量が、前記コポリエステルの約0〜100重量%であり、60度を超えるヘキサン接触角および110度を超える水接触角を示すフィルム。
2. 前記ポリエステルが、式(I)、(II)または(III)によって表される請求項1に記載のフィルム。
【化6】
(式中、(I)および(II)に関して、
各Rは、独立して、H、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各R1は、独立して、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各Xは、独立して、OまたはCF2であり、
各Yは、独立して、OまたはCF2であり、
各Zは、独立して、ClまたはBrであり、
各Rf1は、独立して、(CF2nであって、各nは、独立して、0〜10であり、
各Rf2は、独立して、(CF2pであって、各pは、独立して、0〜10であるが、 ただし、pが0である場合、YはCF2であり、
各qは、独立して、0〜10であり、
mは、1〜10,000であり、そして、
wは、1〜10,000であり、
そして、(III)に関して、
各Rは、独立して、H、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各R1は、独立して、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各Xは、独立して、OまたはCF2であり、
各Yは、独立して、OまたはCF2であり、
各Zは、独立して、H、ClまたはBrであるが、ただし、1個のみのZが、Hであることが可能であり、そして
各Rf1は、独立して、(CF2nであって、各nは、独立して、0〜10であり、各Rf2は、独立して、(CF2pであって、各pは、独立して、0〜10であるが、
ただし、pが0である場合、YはCF2であり、
各qは、独立して、0〜10であり、
mは、1〜10,000であり、そして、
wは、1〜10,000である。)
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5