【実施例】
【0036】
化学薬品および試薬は、以下の通り、受け取ったまま実施例で使用した。
Sigma−Aldrich,Milwaukee,WIから:
・ジメチルテレフタレート
・Tyzor(登録商標)TPTテトラ−n−プロポキシド
・カリウムt−ブトキシド
・ジメチルホルムアミド
・ジクロロメタン
・テトラクロロメタン(四塩化炭素)
・テトラブロモメタン(四臭化炭素)
・塩酸(HCl)
・無水硫酸ナトリウム
・1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート
DuPont Tate & Lyle,Loudon,TNから:
・1,3−プロパンジオール
SynQuest Labs.,Alachua,FLから:
・ヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテル
【0037】
ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートの調製;
【化4】
ドライボックス中で、撹拌棒と等圧(PE)滴下ロートを備え、オーブンで乾燥された複数の口を有する500mL反応フラスコに1,4−ジメチル−2−ヒドロキシテレフタレート(30.25g、0.144モル)を添加した。次いで、テトラヒドロフラン(THF、288mL)を添加し、混合物を形成した。均一な溶液が得られるまで、混合物を撹拌した。カリウムt−ブトキシド(4.435g、0.040モル)を添加し、不均一な混合物を得た。PEロートを通して、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン(155.52g、0.36モル)を添加し、反応混合物を得た。反応混合物を、約40時間、室温(約25℃)で撹拌した。5mLの10%HClの添加によって、反応混合物をクエンチした。この反応混合物から材料を形成した。反応フラスコ中の材料を減圧で濃縮した。次いで、材料をジクロロメタン(約300mL)に溶解し、その後、10%HCl(2×75mL)で洗浄し、水(約75mL)で洗浄して、有機相と水相が得られた。次いで、分離された有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。その後、硫酸ナトリウムを濾去し、得られた材料を減圧で濃縮し、それから、分別真空蒸留を行った。1.4〜1.1トルで134〜136℃の間に沸騰するフラクション(84.55g、収率91.4%)および1.1トルで136〜138の間に沸騰するフラクション(3.35g)(合計収率95.04%)を回収した。これらの試料のNMR(核磁気共鳴)によって、ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートであることが示された。
【0038】
ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートの調製;
【化5】
ドライボックス中で、攪拌器と滴下ロートを備え、オーブンで乾燥された丸底反応フラスコに、テトラヒドロフラン(THF、1000mL)およびジメチル5−ヒドロキシイソフタレート(42.00g、0.20モル)を添加し、次いで、カリウムt−ブトキシド(6.16g、0.055モル)を添加した。そして、滴下ロートを通して、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−3−(1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−3−(1,2,2トリフルオロビニルオキシ)プロパン−2−イルオキシ)プロパン(216g、0.50モル)を添加し、反応物を形成した。反応物を室温で撹拌した。24時間後、80mLの10%HClの添加によって、反応を終了した。反応物を減圧下で濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、10%HCl(2×100mL)で洗浄し、次いで、水(2×100mL)で洗浄すると、有機相と粗製生成物が形成した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて、減圧下で濃縮した。粗製生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、86.07g(収率67.32%)のジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートが得られた。
【0039】
実施例1:1,3−プロパンジオールと、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートおよびジメチルテレフタレートとの共重合。
あらかじめ乾燥された500mL3つ口丸底反応フラスコに、ジメチルテレフタレート(DMT、130g、0.66モル)、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレート(DMTに対する重量パーセント)、および1,3−プロパンジオール(90.4g、1.19モル、DMTに対して1.8等量)を添加した。オーバーヘッド攪拌器と蒸留冷却器を反応フラスコに取り付けた。反応フラスコ中の反応物を毎分50回転(rpm)の速度で攪拌し、得られた反応混合物を窒素
(g)(N
2)パージ雰囲気下で保持し、そして冷却器を23℃に保持した。100トルまで反応フラスコを排気し、N
2気体で補充することによって、反応フラスコの内容物を3回脱気した。1回目の排気後、Tyzor(登録商標)TPT触媒[理論的なポリマー収率に対して50ppmのTi、δ
TYZOR=0.96g/mL]を添加した。160℃にあらかじめ加熱された金属浴に反応フラスコを浸漬した。反応フラスコ中の固体は、20分間160℃で完全に溶解され、その後、攪拌速度を180rpmまでゆっくり増加させた。反応フラスコの温度を210℃まで高めて、90分間その温度に保持し、形成されたメタノールのほとんどを蒸留フラスコ中に蒸留した。反応フラスコの温度を250℃まで高めて、その後、窒素パージを閉じ、真空ランプを開始した。そして、約60分後、真空は50〜60mトルの値に達した。真空が安定したら、攪拌器の攪拌速度を225rpmまで増加し、そして反応を最長3〜4時間保持した。攪拌器のトルクを監視し(180rpmで読み取り)、そして典型的には、約100N/cm
2のトルク値に達した時に反応を停止した。熱源を除去することによって重合を停止した。真空を止め、N
2気体で系をパージする前に、オーバーヘッド攪拌器を停止し、反応フラスコの底から持ち上げた。反応フラスコに形成された生成物を環境温度まで冷却し、反応容器を取り外し、そしてハンマーで慎重にガラスを割った後、生成物を回収した。Wileyミルを使用して、1,3−プロパンジオールと、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)イソフタレートおよびジメチルテレフタレートとのコポリマーを含有する単離されたポリマー生成物を冷凍粉砕し(液体窒素を使用)、オフホワイトの粉末を得た。全収率約80〜90%。
1H−NMR(CDCl
3/TFA−d、700MHz):δ8.60(ArH、s、骨格)、8.25〜7.90(ArH−、m、骨格)、7.65(ArH、s、環状二量体),6.10(−CF
2−CFH−O−、d、側鎖)、4.75〜4.45(COO−CH
2−、m、骨格)、3.95(HO−CH
2−R、t、末端基)、3.82(−CH
2−O−CH
2−、t、骨格 DPG),2.45〜2.05(−CH
2−,m,骨格)。F
19−NMRの例を
図5に示す。
【0040】
フィルムへとプレスした時、純ポリ(トリメチレン)テレフタレートは、ヘキサデカン(C
16−脂質)の液滴を完全に湿潤して、また約60°の水接触角を有した。
図1および2に示すように、1種またはそれ以上のペルフッ素化モノマーを含んでなるポリエステル、例えば、F
16−イソ−ペルフルオロエーテル−ポリ(トリメチレン)テレフタレートをベースとするコポリマー(ジメチルテレフタレートに対して10重量%添加であり、全体的なフッ素化モノマー含有量が2.9モル%である)から製造したフィルムは、60°を超えるヘキサデカン接触角と110°を超える水接触角を有した。
【0041】
ESCA/XPSデータを以下の表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例2:1,3−プロパンジオールと、ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートおよびジメチルテレフタレートとの共重合。
あらかじめ乾燥された500mL3つ口丸底反応フラスコに、ジメチルテレフタレート(DMT、130g、0.66モル)、ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレート(DMTに対する重量パーセント)、および1,3−プロパンジオール(90.4g、1.19モル、DMTに対して1.8等量)を添加した。オーバーヘッド攪拌器と蒸留冷却器を反応フラスコに取り付けた。反応フラスコ中の反応物を毎分50回転(rpm)の速度で攪拌し、反応フラスコ中の得られた反応物質を窒素
(g)(N
2)パージ雰囲気下で保持し、そして冷却器を23℃に保持した。100トルまでフラスコを排気し、N
2気体で補充することによって、反応フラスコの内容物を3回脱気した。1回目の排気後、Tyzor(登録商標)TPT触媒[理論的なポリマー収率に対して50ppmのTi、δ
TYZOR=0.96g/mL]を添加した。160℃にあらかじめ加熱された金属浴に反応フラスコを浸漬した。反応フラスコ中の固体は、20分間160℃で完全に溶解され、その後、攪拌速度を180rpmまでゆっくり増加させた。反応フラスコの温度を210℃まで高めて、90分間その温度に保持し、形成されたメタノールのほとんどを蒸留フラスコ中に蒸留した。反応フラスコの温度を250℃まで高めて、その後、窒素パージを閉じ、真空ランプを開始した。そして、約60分後、真空は50〜60mトルの値に達した。真空が安定したら、攪拌速度を225rpmまで増加し、そして反応を最長3〜4時間保持した。攪拌器のトルクを監視し(180rpmで読み取り)、そして典型的には、約100N/cm
2のトルク値に達した時に反応を停止した。熱源を除去することによって重合を停止した。真空を止め、N
2気体で系をパージする前に、オーバーヘッド攪拌器を停止し、反応容器の底から持ち上げた。反応フラスコに形成された生成物を環境温度まで冷却し、反応容器を取り外し、そしてハンマーで慎重にガラスを割った後、生成物を回収した。Wileyミルを使用して、1,3−プロパンジオールと、ジメチル2−(1,1,2−トリフルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ペルフルオロプロポキシ)プロポキシ)エトキシ)テレフタレートおよびジメチルテレフタレートとのコポリマーを含有する単離されたポリマー生成物を冷凍粉砕し(液体窒素を使用)、オフホワイトの粉末を得た。全収率約80〜90%。
1H−NMR(CDCl
3/TFA−d、700MHz):δ8.25〜7.90(ArH−、m、骨格)、7.65(ArH,s,環状二量体)、6.18(−CF
2−CFH−O−、d、側鎖)、4.75〜4.45(COO−CH
2−、m、骨格)、3.97(HO−CH
2−R、t−広域、末端基)、3.82(−CH
2−O−CH
2−、t、骨格 DPG)、2.45〜2.05(−CH
2−、m、骨格)。
【0044】
フィルムへとプレスした時、この材料(ジメチルテレフタレートに対して10重量%添加)は、
ヘキサデカンおよび水の液滴が置かれた時に、
図3aおよび3bに示すように、それぞれ、約50°および約109°の接触角を示した。
【0045】
ESCA/XPSデータを以下の表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
実施例3:1,3−プロパンジオールと、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)イソフタレートおよびジメチルテレフタレートとの共重合。
あらかじめ乾燥された500mL3つ口丸底反応フラスコに、ジメチルテレフタレート(DMT、130g、0.66モル)、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)イソフタレート(DMTに対する重量パーセント)、および1,3−プロパンジオール(90.4g、1.19モル、DMTに対して1.8等量)を添加した。オーバーヘッド攪拌器と蒸留冷却器を反応フラスコに取り付けた。反応物から反応混合物が形成され、これを反応フラスコ中で毎分50回転(rpm)の速度で攪拌し、そして反応混合物を窒素
(g)(N
2)パージ雰囲気下で保持し、そして冷却器を23℃に保持した。100トルまで反応フラスコを排気し、N
2気体で補充することによって、反応フラスコの内容物を3回脱気した。1回目の排気後、Tyzor(登録商標)TPT触媒[理論的なポリマー収率に対して50ppmのTi、δ
TYZOR=0.96g/mL]を反応フラスコに添加した。160℃にあらかじめ加熱された金属浴に反応フラスコを浸漬した。反応フラスコ中の固体は、20分間160℃で完全に溶解され、その後、攪拌速度を180rpmまでゆっくり増加させた。反応フラスコの温度を210℃まで高めて、90分間保持し、形成されたメタノールのほとんどを蒸留フラスコ中に蒸留した。反応フラスコの温度を250℃まで高めて、その後、窒素パージを閉じ、真空ランプを開始した。約60分後、真空は50〜60mトルの値に達した。真空が安定したら、攪拌速度を225rpmまで増加し、そして反応を最長3〜4時間保持した。攪拌器のトルクを監視し(180rpmで読み取り)、そして典型的には、約100N/cm
2のトルク値に達した時に反応を停止した。熱源を除去することによって重合を停止した。真空を止め、N
2気体で系をパージする前に、オーバーヘッド攪拌器を停止し、反応フラスコの底から持ち上げた。反応フラスコに形成された生成物を環境温度まで冷却し、反応フラスコを取り外し、そしてハンマーで慎重にガラスを割った後、生成物を回収した。Wileyミルを使用して、1,3−プロパンジオールと、ジメチル5−(1,1,2−トリフルオロ−2−(ペルフルオロプロポキシ)エトキシ)イソフタレートおよびジメチルテレフタレートとのコポリマーを含有する単離されたポリマー生成物を冷凍粉砕し(液体窒素を使用)、オフホワイトの粉末を得た。全収率約80〜90%。
1H−NMR(CDCl
3/TFA−d,700MHz):δ8.60(ArH、s、骨格)、8.25〜7.90(ArH−、m、骨格)、7.65(ArH、s、環状二量体)、6.10(−CF
2−CFH−O−、d、側鎖)、4.75〜4.45(COO−CH
2−、m、骨格)、3.95(HO−CH
2−R、t、末端基)、3.82(−CH
2−O−CH
2−、t、骨格 DPG)、2.45〜2.05(−CH
2−、m、骨格)。
【0048】
フィルムへとプレスした時、この材料(ジメチルテレフタレートに対して10重量%添加)は、
ヘキサデカンおよび水の液滴が置かれた時に、
図4aおよび4bに示すように、それぞれ、約35°および約93°の接触角を示した。
【0049】
ESCA/XPSデータを以下の表3に示す。
【0050】
【表3】
次に、本発明の態様を示す。
1. ペルフッ素化モノマーを含んでなるコポリエステルから形成されたフィルムであって、前記ペルフッ素化モノマーの量が、前記コポリエステルの約0〜100重量%であり、60度を超えるヘキサン接触角および110度を超える水接触角を示すフィルム。
2. 前記ポリエステルが、式(I)、(II)または(III)によって表される請求項1に記載のフィルム。
【化6】
(式中、(I)および(II)に関して、
各Rは、独立して、H、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各R1は、独立して、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各Xは、独立して、OまたはCF2であり、
各Yは、独立して、OまたはCF2であり、
各Zは、独立して、ClまたはBrであり、
各Rf1は、独立して、(CF2)nであって、各nは、独立して、0〜10であり、
各Rf2は、独立して、(CF2)pであって、各pは、独立して、0〜10であるが、 ただし、pが0である場合、YはCF2であり、
各qは、独立して、0〜10であり、
mは、1〜10,000であり、そして、
wは、1〜10,000であり、
そして、(III)に関して、
各Rは、独立して、H、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各R1は、独立して、C1〜C10アルキル、C5〜C15アリールまたはC6〜C20アリールアルキルであり、
各Xは、独立して、OまたはCF2であり、
各Yは、独立して、OまたはCF2であり、
各Zは、独立して、H、ClまたはBrであるが、ただし、1個のみのZが、Hであることが可能であり、そして
各Rf1は、独立して、(CF2)nであって、各nは、独立して、0〜10であり、各Rf2は、独立して、(CF2)pであって、各pは、独立して、0〜10であるが、
ただし、pが0である場合、YはCF2であり、
各qは、独立して、0〜10であり、
mは、1〜10,000であり、そして、
wは、1〜10,000である。)