特許第5731544号(P5731544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5731544復調参照信号のためのアンテナポートマッピング方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731544
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】復調参照信号のためのアンテナポートマッピング方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04J 99/00 20090101AFI20150521BHJP
   H04J 11/00 20060101ALI20150521BHJP
   H04J 13/18 20110101ALI20150521BHJP
【FI】
   H04J15/00
   H04J11/00 Z
   H04J13/18
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-549224(P2012-549224)
(86)(22)【出願日】2010年1月20日
(65)【公表番号】特表2013-517713(P2013-517713A)
(43)【公表日】2013年5月16日
(86)【国際出願番号】CN2010000084
(87)【国際公開番号】WO2011088589
(87)【国際公開日】20110728
【審査請求日】2012年12月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】フ, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】アステリー, デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ハンマルウォール, デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヨングレン, ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】ソン, シンファ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, チアンフェン
【審査官】 佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】 Ericsson, ST-Ericsson,Layer-to-DM RS port mapping for LTE-Advanced[online], 3GPP TSG-RAN WG1#59b R1-100050,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_59b/Docs/R1-100050.zip>,2010年 1月14日
【文献】 Potevio,Considerations on DM-RS pattern design for rank 5-8 in LTE-Advanced[online], 3GPP TSG-RAN WG1#59b R1-100608,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_59b/Docs/R1-100608.zip>,2010年 1月12日
【文献】 NEC Group,Downlink control signalling for transparent MU-MIMO[online], 3GPP TSG-RAN WG1#59b R1-100306,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_59b/Docs/R1-100306.zip>,2010年 1月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 99/00
H04J 11/00
H04J 13/00−13/22
H04B 1/69− 1/719
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザー端末へ復調参照信号を送信する基地局によって実行される方法であって、
前記ユーザー端末への下りリンク送信のための送信ランクを決定する工程と、
前記送信ランク下での前記下りリンク送信のための1本以上の参照信号アンテナポートを決定する工程であって、それぞれのポートを符号分割多重化グループと直交カバーコードを含むグループ/コードのペアによって決定する工程と、
符号分割多重化グループと直交カバーコードが所与のアンテナポートにおいて全ての送信ランクについて同一であるように、参照信号アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングする工程と、
前記参照信号アンテナポートにより前記下りリンク参照信号を送信する工程とを有し、
前記直交カバーコードは長さ4のカバーコードであることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングする工程はさらに、所与の符号分割多重化グループにおいて、低い送信ランクに関連するアンテナポートが、高い送信ランクに関連するアンテナポートのサブセットとなるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングする工程はさらに、選択されたアンテナポートにおいて、チャネル推定のための長さ4の直交カバーコードは2つの長さ2の直交カバーコードに分解可能であるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
選択されたアンテナポートにおいて、前記長さ2の直交カバーコードと前記長さ4の直交カバーコードのいずれかを用いてチャネル推定が実行されるかを示すために制御信号をユーザー端末に送信する工程をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
基地局から送信された復調参照信号を受信するユーザー端末によって実行される方法であって、
前記ユーザー端末への下りリンク送信のための送信ランクを決定する工程と、
前記送信ランク下での前記下りリンク送信のための1本以上の参照信号アンテナポートを決定する工程であって、それぞれのポートを符号分割多重化グループと直交カバーコードを含むグループ/コードのペアによって決定する工程と、
符号分割多重化グループと直交カバーコードが所与のアンテナポートにおいて全ての送信ランクについて同一であるように、参照信号アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングする工程と、
送信ランクに対応した前記参照信号アンテナポートにより前記下りリンク参照信号を受信する工程とを有し、
前記直交カバーコードは長さ4のカバーコードであることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングする工程はさらに、所与の符号分割多重化グループにおいて、低い送信ランクに関連するアンテナポートが、高い送信ランクに関連するアンテナポートのサブセットとなるように構成されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングする工程はさらに、選択されたアンテナポートにおいて、チャネル推定のための長さ4の直交カバーコードは2つの長さ2の直交カバーコードに分解可能であるように構成されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
基地局から制御信号を受信し、その制御信号にしたがって、選択されたアンテナポートにおいて、前記長さ2の直交カバーコードと前記長さ4の直交カバーコードのいずれかを用いてチャネル推定を実行する工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
送信信号プロセッサと送信コントローラとを有する基地局であって、
前記送信信号プロセッサと前記送信コントローラとは、
ユーザー端末への下りリンク送信のための送信ランクを決定し、
前記送信ランク下での前記下りリンク送信のための1本以上の参照信号アンテナポートを決定し、その際、それぞれのポートを符号分割多重化グループと直交カバーコードを含むグループ/コードのペアによって決定し、
符号分割多重化グループと直交カバーコードが所与のアンテナポートにおいて全ての送信ランクについて同一であるように、参照信号アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングし、
前記参照信号アンテナポートにより前記下りリンク参照信号を送信するように構成され、
前記直交カバーコードは長さ4のカバーコードであることを特徴とする基地局。
【請求項10】
前記アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングすることはさらに、所与の符号分割多重化グループにおいて、低い送信ランクに関連するアンテナポートが、高い送信ランクに関連するアンテナポートのサブセットとなるように構成されることを特徴とする請求項9に記載の基地局。
【請求項11】
前記アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングすることは、選択されたアンテナポートにおいて、チャネル推定のための長さ4の直交カバーコードは2つの長さ2の直交カバーコードに分解可能なように構成されることを特徴とする請求項9に記載の基地局。
【請求項12】
選択されたアンテナポートにおいて、前記長さ2の直交カバーコードと前記長さ4の直交カバーコードのいずれかを用いてチャネル推定が実行されるかを示すために制御信号をユーザー端末に送信するようさらに含んで構成されることを特徴とする請求項11に記載の基地局。
【請求項13】
受信信号プロセッサと受信コントローラとを含むユーザー端末であって、
前記受信信号プロセッサと前記受信コントローラとは、
前記ユーザー端末への下りリンク送信のための送信ランクを決定し、
前記送信ランク下での前記下りリンク送信のための1本以上の参照信号アンテナポートを決定し、その際、それぞれのポートを符号分割多重化グループと直交カバーコードを含むグループ/コードのペアによって決定し、
符号分割多重化グループと直交カバーコードが所与のアンテナポートにおいて全ての送信ランクについて同一であるように、参照信号アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングし、
送信ランクに対応した前記参照信号アンテナポートにより前記下りリンク参照信号を受信するよう構成され、
前記直交カバーコードは長さ4のカバーコードであることを特徴とするユーザー端末。
【請求項14】
前記アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングすることはさらに、所与の符号分割多重化グループにおいて、低い送信ランクに関連するアンテナポートが、高い送信ランクに関連するアンテナポートのサブセットとなるように構成されることを特徴とする請求項13に記載のユーザー端末。
【請求項15】
前記アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングすることは、選択されたアンテナポートにおいて、チャネル推定のための長さ4の直交カバーコードは2つの長さ2の直交カバーコードに分解可能であることを特徴とする請求項13に記載のユーザー端末。
【請求項16】
基地局から制御信号を受信し、その制御信号にしたがって、選択されたアンテナポートにおいて、前記長さ2の直交カバーコードと前記長さ4の直交カバーコードのいずれかを用いてチャネル推定を実行するようさらに構成されていることを特徴とする請求項15に記載のユーザー端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはLTEもしくはLTEアドバンスト通信システムにおける復調参照信号(DM-RS)に関する。特に、ユーザー固有のDM-RSのためのアンテナポートの構成設定に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)は、UMTS(全球移動体通信サービス)システムおよびLTE(ロングタームエボルーション)の標準化作業を担っている。UMTSシステムの次の世代の移動通信システムとして考えられているLTEは、下りリンクと上りリンクの両方において、高データレートを達成可能な高速パケット通信を実現化する通信技術である。LTEにおける3GPPの仕様は、E-UTRAN(発展型全球陸上アクセスネットワーク)とも称されている。リリース8(Rel-8)と称されるLTE第1版は、100Mbpsのピークレート、5ms以下の無線ネットワーク遅延、スペクトル効率の顕著な増大、および、ネットワーク制御を簡素化することやコストを削減すること等のために設計されたネットワーク構造を提供することができる。高データレートをサポートするために、LTEは20MHzまでのシステム帯域を許容している。LTEはまた、異なる周波数帯において動作可能であり、FDD(周波数分割複信)とTDD(時分割複信)の両方のモードで動作可能である。LTEで使用される変調技術や送信方法は、OFDM(直交周波数分割多重)であることが知られている。
【0003】
IMT(国際移動体通信)アドバンストと(または)LTEを進化させたLTEアドバンストといった、次世代移動通信システムにおいて、100MHzまでの帯域のサポートについての議論が行われている。LTEアドバンストはLTEスタンダードの将来のリリースと見なされており、また、これはLTEの進化形であることから、LTEによって既に占められているスペクトラムにおいて展開できるように、後方互換性は重要である。LTEとLTEアドバンストの両方において、基地局は発展型 Node Bs(eNBs もしくはeノードB)として知られており、ユーザー端末に高データレートを提供するために、多入力他出力(MIMO)のアンテナ構成や空間多重化が用いられている。MIMOを基準としたシステムの他の例として、WiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)システムがある。
【0004】
異なる複数の下り物理チャネルについてコヒーレントな復調を実行するために、ユーザー端末は下りリンクチャネルの推定値を必要とする。より具体的には、OFDM伝送の場合、ユーザー端末はそれぞれのサブキャリアについての複素チャネルの推定値を必要とする。OFDM伝送の場合にチャネル推定を可能にする一つの方法は、既知の参照シンボルをOFDM時間周波数グリッドに挿入することである。LTEでは、このような参照シンボルは、まとめて、下りリンク参照信号と称されている。
【0005】
LTEシステムでは、2種類の下りリンク参照信号が使用される。すなわち、セル固有の下りリンク参照信号と、ユーザー固有の下りリンク参照信号である。セル固有の下りリンク参照信号は、下りリンクサブフレーム毎に送信され、また、下りリンクのセル帯域の全体を占める。セル固有の参照信号は、空間多重化が用いられる場合以外において、チャネル推定とコヒーレント復調のために使用可能である。ユーザー端末固有の参照信号は、空間多重化が用いられる場合に、下りリンク共通チャネルのチャネル推定と復調のために使われる。ユーザー固有の参照信号は、下りリンク共通チャネル上でデータ送信するために、特定のユーザー端末に割り当てられたリソースブロックの中で送信される。ユーザー端末固有の参照信号は、ユーザー端末に送信されるデータ信号と同じプリコーディングが施される。本発明は、ユーザー端末固有の下りリンク参照信号に適用可能である。
【0006】
図1は、LTEにおける、典型的な一部のOFDM時間-周波数グリッド50を示している。一般的に、時間-周波数グリッド50は1ミリ秒のサブフレームに分割されている。図1には、1つのサブフレームが示されている。それぞれのサブフレームは、いくつかのOFDMシンボルを含む。マルチパスによる歪みが極度に激しくないと予想される状況で使用されるに好適な、標準サイクリックプレフィックス(CP)リンクでは、1つのサブフレームは14個のOFDMシンボルを含む。拡張サイクリックプレフィックスを用いた場合、1つのサブフレームは12個のOFDMシンボルを含む。周波数領域では、物理リソースは分割されて、15kHzの間隔をもつサブキャリアに調節される。サブキャリアの数は、割り当てられるシステム帯域にしたがって変動する。時間-周波数グリッド50の最も小さいエレメントは、リソースエレメントである。リソースエレメントは、1個のサブキャリア上で1つのOFDMシンボルを含む。
【0007】
下りリンク共通チャネル(DL-SCH)上での送信をスケジュールするために、下りリンク時間周波数リソースは、リソースブロック(RBs)と呼ばれるユニットに割り当てられる。それぞれのリソースブロックは、12個の(隣り合っている、もしくは周波数スペクトラムに渡って分散している)サブキャリアと1つのサブフレームの半分を占める。「リソースブロックのペア」という語は、リソースブロックが2つ続いて1ミリ秒のサブフレームすべてを占めたものを言う。
【0008】
それぞれのサブフレーム内におけるいくつかのリソースエレメントは、下りリンク参照信号を送信するために予約済みである。図1は、最大ランク4までの下りリンク送信をサポートするための、下りリンク参照信号の1つの典型的なリソース割り当てパターンを示している。1つのサブフレーム内の24個のリソースエレメントは、下りリンク参照信号の送信のために予約済みである。さらに具体的には、復調参照信号は、OFDMシンボル5、6、12、13(すなわち、6番目、13番目、14番目のシンボル)に搬送される。復調参照信号のためのリソースエレメントは周波数領域に分散している。
【0009】
復調参照信号のためのリソースエレメントは、CDMグループ1とCDMグループ2と称される2つの符号分割多重化(CDM)グループに分けられる。ランク1から4の送信をサポートするLTEシステムでは、2つのCDMグループは、長さ2の直交カバーコード(OCCs)と組み合わせて使用される。直交カバーコードは、2つの参照信号の群(クラスタ)に適用される。ここで用いられる「群(クラスタ)」という語は、同一のサブキャリアにおいて(時間領域において)隣接する参照信号のグループを言う。図1に示される実施形態では、復調参照信号を含むサブキャリアは、それぞれ2つの群を含んでいる。
【0010】
図2は、最大ランク8までの送信をサポートする空間多重化システムのための典型的な参照エレメントの割り当てを示している。このリソース割り当てパターンは、図1に示される割り当てパターンと同じであることに注意すべきである。より高いランクの送信をサポートするために、長さ2のOCCの代わりに長さ4のOCCが使用される。長さ4のOCCは、リソースエレメントの2つの群に渡って適用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
8レイヤまでの空間レイヤをサポートするために、8本までのアンテナポートが規定される。8本のアンテナポートは、それぞれ4つのOCCを使用する2つのCDMグループにマップ可能である。ゆえに、アンテナポートは、CDMグループインデックスとOCCインデックスという2つのパラメータによって一意に識別される。この2つのパラメータは、インデックスペアと称される。現在、アンテナポートとインデックスペアのマッピングは、LTE標準では規定されていない。マッピングによってはランクに依存しており、それぞれの送信ランクについて異なるポートマッピングが使用されることが必要である。異なる送信ランクのための異なるポートマッピングを使用することは、ユーザー端末へ負担をかけることになる。すなわち、送信ランクが変わるときは、チャネル推定を変えて行わなければならない
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、一体的でランクに独立した、アンテナポートとグループ/コードのペアとの間のマッピングを提供する。それぞれのアンテナポートは、1つの符号分割多重化(CDM)グループと、1つの直交カバーコード(OCC)に一意に関連付けられている。アンテナポートとグループ/コードのペアとの間のマッピングは以下のように選ばれる。すなわち、所与のアンテナポートに対し、CDMグループとOCC がすべての送信ランクについて同一である。
【0013】
本発明の1つの典型的な実施形態は、復調参照信号をユーザー端末に送信するために、基地局によって実行される方法を含む。その方法は、前記ユーザー端末への下りリンク送信のための送信ランクを決定する工程と、前記送信ランク下での前記下りリンク送信のための1本以上の参照信号アンテナポートを決定する工程であって、それぞれのポートは符号分割多重化グループと直交カバーコードを含むグループ/コードのペアによって決定される工程と、符号分割多重化グループと符号直交化カバーコードが所与のアンテナポートにおいて全ての送信ランクについて同一であるように、それぞれの送信ランクに対して参照信号アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングする工程と、前記参照信号アンテナポート上で前記下りリンク参照信号を送信する工程とを含む。
【0014】
本発明のさらにもう一つの実施形態は、上記のような方法を実行するように構成された基地局を含む。
【0015】
本発明の1つの典型的な実施形態は、基地局によって送信された復調参照信号を受信するユーザー端末によって実行される方法を含む。そのユーザー端末の方法は、前記ユーザー端末への下りリンク送信のための送信ランクを決定する工程と、前記送信ランク下での前記下りリンク送信のための1本以上の参照信号アンテナポートを決定する工程であって、それぞれのポートは符号分割多重化グループと直交カバーコードを含むグループ/コードのペアを含む工程と、符号分割多重化グループと符号直交化カバーコードが所与のアンテナポートにおいて全ての送信ランクについて同一であるように、それぞれの送信ランクに対して参照信号アンテナポートをグループ/コードのペアにマッピングする工程と、送信ランクに対応した前記参照信号アンテナポートを介して前記下りリンク参照信号を受信する工程とを含む。
【0016】
本発明のさらにもう一つの実施形態は、上記のような方法を実行するように構成されたユーザー端末を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ランク4までの送信をサポートするための、OFDMシステムにおける復調参照信号のリソースエレメントの割り当てを示す図である。
図2】ランク8までの送信をサポートするための、OFDMシステムにおける復調参照信号のリソースエレメントの割り当てを示す図である。
図3】典型的なMIMO通信システムを示す図である。
図4】OFDMシステムにおける典型的な送信信号プロセッサを示す図である。
図5】ランク1から4までの送信についての一実施形態による、コードワードのレイヤへのマッピングを示す図である。
図6】復調参照信号の典型的な送信方法を示す図である。
図7】復調参照信号の受信方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図3は、基地局12(LTEでは発展型 Nodeと呼ぶ)とユーザー端末14とを含む多入力他出力(MIMO)無線通信システムを示している。本発明をLTEシステムの環境で説明する。しかし、本発明は他の種類の通信システムに応用可能である。基地局12は、通信チャネル16を介して第2の局14へ信号を送信する送信器100を含む。一方、ユーザー端末14は、基地局12から送信された信号を受信する受信器200を含む。当業者であれば、双方向通信のために、基地局12とユーザー端末14のそれぞれが、送信器100と受信器200の両方を含むことを理解できるだろう。
【0019】
基地局12において、送信器100に情報信号が入力される。送信器100は、送信器100と送信信号プロセッサ120の全体の動作を制御する制御器110を含む。送信信号プロセッサ120は、エラーコーディング、入力ビットの複素変調シンボルへのマッピングを行い、それぞれの送信アンテナについて送信信号を生成する。高周波数への変換、フィルタリング、増幅の後、送信器100は、送信アンテナ130から通信チャネル16により、ユーザー端末14へ信号を送信する。
【0020】
ユーザー端末14の受信器200は、それぞれのアンテナにおいて受信した信号に対して、復調と復号を行う。受信器200は、受信器200と受信信号プロセッサ220の動作を制御する制御器210を含む。受信信号プロセッサ220は、第1の局12から送信された信号に対し、復調と復号を行う。受信器200からの出力信号は、元の情報信号の推定値を含んでいる。エラーなしの場合、その推定値は、送信機12において入力された元の情報信号と同一である。
【0021】
LTEシステムにおいて、基地局12とユーザー端末14の両方において複数のアンテナがある場合、空間多重化の利用が可能である。図4は、空間多重化における送信信号プロセッサ120の主たる機能構成要素を示している。送信信号プロセッサ120は、レイヤマッピングユニット122とプリコーダー124とリソースマッピングユニット128を含む。一連の情報シンボル(データシンボルと参照シンボル)がレイヤマッピングユニット122に入力される。この一連のシンボルは、1つか2つのコードワードに分割される。レイヤマッピングユニット122は、送信ランクに応じて、コードワードをNLレイヤにマップする。レイヤの数は、アンテナ120の数と等しい必要はないことに注意すべきである。異なるコードワードは、一般的に異なるレイヤにマップされる。しかしながら、単一のコードワードは、1以上のレイヤにマップされる。レイヤの数は、選択された送信ランクに対応する。レイヤマッピング後、プリコーダー124によって、NLシンボルのセット(それぞれのレイヤからは1シンボル)は、線型結合されて、NA本のアンテナポートにマップされる。その結合およびマッピングは、サイズNA×NLのプリコーダー行列によって記述される。リソースマッピングユニット128は、それぞれのアンテナポート126で送信されるシンボルを、MACスケジューラーによって割り当てられたリソースエレメントにマップする。
【0022】
ユーザー端末14が、下りリンク共通チャネル(DL-SCH)上で下りリンク送信を受信するためにスケジュールされるとき、送信局12におけるMACスケジューラーは、1つかそれ以上のリソースブロックのペアをユーザー端末14に割り当てる。前述したように、それぞれのリソースブロックのいくつかのリソースエレメントは、下りリンク参照信号に予約済みである。8レイヤまでの下りリンク送信をサポートするために、ユーザー端末固有の下りリンク参照信号は、8レイヤ分必要となる。本発明によれば、8レイヤまでの送信をサポートするために、8つの個別の参照信号アンテナポートが定義される。それぞれのアンテナポートは、1つの符号分割多重化(CDM)グループと1つの直交カバーコード(OCC)に、一意に関連付けられる。例えば、OCCは、直交符号も使われるが、長さ2もしくは長さ4のウォルシュ符号を含んでも良い。便宜上、CDMグループは、1から2の値を持つグループ識別子によって定義され、OCCは、1から4の値を持つコード識別子によって定義される。CDMグループとOCCとの組み合わせは、ここでグループ/コードペアと称される。
【0023】
典型的な実施形態では、2つのCDMグループと4つのOCCである。したがって、CDMグループとOCCの組み合わせは8つ可能であり(2グループ×4つのOCC)、8レイヤのサポートが可能である。アンテナポートとグループ/コードペアとの間のマッピングは、ランクに独立して構成される。さらに詳細には、アンテナポートとグループ/コードペアとの間のマッピングは、所与のアンテナポートにおいて、すべての送信ランクについてCDMグループとOCCは同一であるように選ばれる。
【0024】
下記の表1と図5は、本発明の一実施形態によるアンテナポートとグループ/コードペアとの間の一つの可能なマッピングを示している。
【0025】
OCCはウォルシュ符号行列によって与えられるウォルシュ符号である。
【0026】
表1に示されるように、アンテナポートマッピングは、CDMグループ1を、ポート1,2,5,6に割り当て、CDMグループ2を、ポート3,4,7,8に割り当てる。OCC1は、ポート1,3に割り当てられ、OCC2はポート2,4に割り当てられ、OCC3はポート5,7に割り当てられ、OCC4はポート6,8が割り当てられる。
【0027】
上述したこのアンテナポートマッピングは、ランクに独立である。したがって、所与のアンテナポートは、送信ランクに関係なく、常に同じCDMグループとOCCを使用することができる。さらに、特定のCDMグループに関連するアンテナポートは、入れ子状になっている。つまり、所与のCDMグループに関連するアンテナポートのセットについて、低い送信ランクに対して使用されるアンテナポートは、高い送信ランクに対して使用されるアンテナポートのサブセットとなる。したがって、CDMグループ1に関連するアンテナポートについて、送信ランク1で使用されるポートは、送信ランク2で使用されるポートのサブセットであり、送信ランク2で使用されるポートは、送信ランク5で使用されるポートのサブセットであり、送信ランク5で使用されるポートは、送信ランク6で使用されるポートのサブセットである。同じ入れ子構造がCDMグループ2に関連するアンテナポートに適用される。
【0028】
上に示したアンテナポートマッピングについての他の有益な特徴は、いくつかのアンテナポートにおいて、長さ4のOCCは長さ2のOCCと同一であることである。例えば、送信ランク2において、アンテナポート1とアンテナポート2における長さ4のウォルシュ符号に、長さ2のウォルシュ符号と同じものが現れている。単一ユーザーMIMOシステムの場合、ユーザー端末14はこの特徴により、チャネル推定を実行するために長さ2のOCCを使用する。チャネル推定のために長さ2のOCCを使用することにより、受信器200は補間することができ、結果として、さらに正確なチャネル推定を生成することができる。改良されたチャネル推定は、高い移動性を持つユーザー端末14にとって効果的である。したがって、送信ランク2と4と5の場合、図5に示されるように、アンテナポート1とアンテナポート2においてチャネル推定を実行するために、受信器は長さ2のウォルシュ符号を使用することができる。同様に、送信ランク3と4の場合、アンテナポート3とアンテナポート4においてチャネル推定を実行するために、受信器は長さ2のウォルシュ符号を使用することができる。2本以上のレイヤが1つのCDMグループに多重された場合、長さ4のOCCがチャネル推定に使用されるべきである。
【0029】
複数ユーザーMIMOシステムの場合、透過型MU-MIMOが使用されるような時には、ユーザー端末14は、他のユーザー端末14が同じ時間に共通してスケジュールされるかどうかがわからない。このように情報が欠落していることにより、ユーザー端末14は低いランクにおいてさえ、チャネル推定のために長さ4のOCCを使用する。したがって、特に高スピードの場合には、性能が多少劣化する可能性がある。長さ2のOCCの利点を活用するために、我々は1ビットOCCの長さのフラグを制御信号に用いることを提案する。これにより、OCCの詳細についてユーザー端末にいくつかのさらなる情報を提供し、結果としてMU-MIMOの性能を向上させることができる。したがって、この1ビットフラグは、動的なSUとMUの切り替えにも有効である。
【0030】
図6は、復調参照信号をユーザー端末14に送信する基地局12によって実行される典型的な方法150を示す。ユーザー端末14は、下りリンク共通チャネル(DL-SCH)上で下りリンク送信を受信するためにスケジュールされたとき、基地局はユーザー端末14に対して下りリンク送信のための送信ランクを決定し(ブロック152)、その送信ランクを基づいて下りリンク送信のための参照信号アンテナポートを1本以上選択する(ブロック154)。基地局12における送信信号プロセッサ120は、所与のアンテナポートにおいて全ての送信ランクについてCDMグループと直交カバーコードが同一であるように、特定のCDMグループと直交カバーコードにアンテナポートをマップするように構成される。送信信号プロセッサ120は、対応する送信ランクにしたがって参照信号アンテナポートに復調参照信号をマップし(ブロック156)、選択されたアンテナポートを介して復調参照信号を送信する。(ブロック158)。
【0031】
図7は、基地局12から下りリンク参照信号を受信するために、ユーザー端末によって実行される典型的な手順160を例示している。ユーザー端末14は、ユーザー端末14に対して下りリンク送信のための送信ランクを決定し(ブロック162)、その送信ランクに基づいて参照信号アンテナポートを1本以上選択する(ブロック164)。受信信号プロセッサ220は、所与のアンテナポートにおいて全ての送信ランクについてCDMグループと直交カバーコードが同一であるように、CDMグループと直交カバーコードに参照信号アンテナポートをマップするように構成される(ブロック166)。受信信号プロセッサ220は、選択されたアンテナポートを介して参照信号を受信し(ブロック168)、信号を処理する。
【0032】
アンテナポートマッピングは、単一ユーザーMIMOと複数ユーザーMIMOの両方に適用可能である。また、DwPTSや拡張CPと同様、複数のコンポーネントのキャリアにも適用可能である。アンテナポートマッピング方法は、ピーク電力のランダム化の影響を低減することに利用することができる。
【0033】
本発明は、もちろん本発明の範囲や本質的な特徴から逸脱することなく他の具体的な方法で実行することができる。したがって、本実施形態は、全ての点において例示的なものであり限定的なものではないと考えられるべきものであり、添付の請求の範囲の意味やその等価物の範囲内における全ての変更はその中に含まれることが意図されている。
図3
図4
図6
図7
図1
図2
図5