特許第5731583号(P5731583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5731583-交差紐背負い袋 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731583
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】交差紐背負い袋
(51)【国際特許分類】
   A45C 3/00 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
   A45C3/00 Q
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-135030(P2013-135030)
(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-8805(P2015-8805A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2013年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000218281
【氏名又は名称】渡辺 芳男
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 芳男
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−054931(JP,A)
【文献】 特開2010−111412(JP,A)
【文献】 特開2011−120808(JP,A)
【文献】 特開平08−322626(JP,A)
【文献】 実開昭48−087205(JP,U)
【文献】 実開昭48−050413(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくても前後で面対称な前壁と背壁とで袋体を形成し、該前壁の上部に左右線対称で一方と他方の天穴を開け、該背壁の上部にも該前壁と重なり合う箇所へ一方と他方の天穴を開け、該天穴は前後で対を成して左右二対と成り、該袋体の下部に左右面対称で地穴を開け、一方と他方の紐を設け、一方の紐の一方の端を背壁の一方の天穴へ外(背)から通して天玉を形成して固定し、一方の紐の他方は紐の交差部を経由して前壁の他方の天穴へ外(前)から通して袋体の外へ天開口部から出して他方の地穴へ外から通して該一方の紐の他方の端を他方の地玉で固定し、他方の紐の一方の端を背壁の他方の天穴へ外(背)から通して天玉を形成して固定し、他方の紐の他方は紐の該交差部を経由して前壁の一方の天穴へ外(前)から通して袋体の外へ該天開口部から出して一方の地穴へ外から通して該他方の紐の他方の端を一方の地玉で固定したことを特徴とする交差紐背負い袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手提げにもなる背負い紙袋に関する物である。
【背景技術】
【0002】
従来の手提げにもなる背負い紙袋及び袋は、前壁に紐を通して背負える構造にしている物もあるが、手提げにする場合、袋開口部の長手方向である左右方向へ腕や手を通して持つ構造(文献1)であり、前記長手方向と直角に交差する袋開口部の幅方向である前後方向へ腕や手を通して持つ構造の袋は、別個の吊手を取り付けた構造の物(文献2)であった。背負い紐を交差させて背負う構造の袋(文献3)は背中で紐を交差させているので交差箇所は手提げに利用できず、帯紐状部材を交差させる構造の提げ手は取付片を収納箱に接着して取り付ける構造であって背負うことは不可能な構造であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登3054918号
【特許文献2】実登3021829号
【特許文献3】実登3038360号
【特許文献4】特開平11−208673号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の問題点を文献単位で述べる。文献1は長手方向である左右方向へ腕や手を通す構造で、中心の帯で左右の背負い帯が連なっているので背負い帯の長さの比が変化し、開き口を通る帯が収納物の出し入れを邪魔する。文献2は手提げにするための吊手を別個に取り付けなければならず、手提げ使用時に肩紐を短く収納できない。文献3は肩掛け紐を交差させる箇所である固定部が使用者の背部に位置し、該固定部は上下方向に開口部がある短い筒形状なので手提げには不向きな形状である。文献4は帯紐状部材がX字状に交差して把手を形成しているが、該帯紐状部材は取付片の接着で固定されているので、該帯紐状部材を引き出して背負い帯紐にすることは不可能である。本発明では前記従来技術の問題の解決を課題にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくても前壁と背壁とを設けて袋体を形成し、該前壁の上部の一方である左側へ一方の天穴を開け、該前壁の上部の他方である右側へ他方の天穴を開け、前後で重なる該背壁でも前記の前壁と重なる位置へ一方と他方の天穴を開け、該袋体の下部の一方である左側へ一方の地穴を開け、該袋体の下部の他方である右側へ他方の地穴を開ける。一方と他方の二本の紐を設け、一方の紐の一方の端を背壁の一方の天穴に外から通して天玉で該紐の端を固定し、一方の紐の他方は交差部を通って前壁の他方の天穴に外から通して袋体の開口部から外へ出して他方の地穴へ一方の紐の他方の端を通して固定し、他方の紐は前記一方の紐の通し構造に対して左右逆の面対称の通し構造で行ない、該紐が二本余裕を持って通せる内径を有する筒を設け、該筒の開口部を左右方向へ向けた状態で該紐を左右別方向から通して該交差部を該筒の内側中央に形成する。地穴と前壁の天穴の間に位置する紐の領域を背負い域とし、天穴から袋体の外に出た紐領域を手提げ域とし、該手提げ域の交差箇所を交差部とする。
【発明の効果】
【0006】
交差部で紐がX字状に交差しているので、腕や手を左右方向や前後方向のどちらへでも通して手提げすることができ、筒の開口部を左右にしているので前後方向へ腕や手を通し易い構造になり、該筒を引き上げれば、該筒内の交差部で紐がスライドすると同時に前壁の天穴からも紐が外へ引き出されるので手提げ状態になる。背負い域を天開口部から左右の外側へ引き出すことで前記背負い域が長くなって背負い状態になる。手提げ域の基部(天穴との隣接領域)は天穴から袋体の外へ出ているので、交差部を袋体の外面へ垂らせば該手提げ域の全てが該袋体の外面へ垂れ下がるので、袋体へ物を出し入れする場合、該手提げ域は前記の出し入れ作業の邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】背負い状態要部透視正面斜視図である。(実施例1)
図2】手提げ状態要部透視正面斜視図である。
図3】置き状態要部透視正面斜視図である。
図4】要部透視底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
別個の吊手を付けることなく袋体の前後方向に腕や手を通して手提げにでき、手提げ域を袋体の外へ容易に垂れ下げられるので収納物の出し入れに障害がなくなり、背負い域を外へ引き出すことで手提げ域が引き込まれて短くなり、引き出されて長くなった背負い域を肩に掛けて楽に背負うことのできる交差紐背負い袋を実現した。
【実施例1】
【0009】
図1は背負い状態要部透視正面斜視図である。透視線は破線で表示し、山折谷折で表示する折り曲げ方向は外側からを基準にして述べる。袋体1は少なくても前壁2と背壁3とによって形成され、正面側に位置する該前壁2と背面側に位置する該背壁3は前後で面対称であることが望ましく、該前壁2と該背壁3との底辺と左右両側辺を連接することで該袋体1は袋形状と成り、該前壁2と該背壁3とだけで形成された平たい形状の袋体1であっても良いが、該前壁2と該背壁3との左右両側辺へ山折線を介して襠壁4を延設し該前壁2と該背壁3との底辺へ山折線を介して底壁5を延設して天面の開口領域を天開口部6とする直方体形状の袋体1であることが望ましく、該天開口部6の縁は切断縁であっても良いが天開口部6の縁を内側へ袋折して返し帯7を延設することが望ましく、該袋体1を構成する素材は布や不織布や人工樹脂膜であっても良いが通常の紙袋に使用されている紙であることが望ましい。
【0010】
袋体1に紐8を通すための穴を開ける場所を述べるならば、前壁2の上部に天穴9を二箇所開け、該天穴9は水平に並ぶことが望ましくて該前壁2の天縁に適宜な幅を有しており、該前壁2の左右横縁に適宜な幅有しており、前記の適宜な幅とは従来の紙袋と同じ程度の幅を意味している。
【0011】
前記の前壁2と正面背面(前後)の面対称で背壁3が有しており、該背壁3の上部にも二箇所の天穴9を開けるのであり、該背壁3に開けられた双方の天穴9は前記前壁2に開けられた双方の天穴9と前後の面対称で重なり合う位置関係で設け、前記四箇所の天穴9は前記返し帯7が袋折によって折り重なった状態で貫通して開ける。
【0012】
袋体1の両側面には縦長矩形の襠壁4が延設されていることが望ましく、該襠壁4は従来の紙袋と同じ形状と構造を成しており、該襠壁4の中央に垂直な谷折線である襠谷線10を入れ、該襠谷線10の下端部(場合によっては下部中間部)を頂点とする直角二等辺の谷折線を入れ、前記直角二等辺の谷折線以下の領域を三角域11とする。
【0013】
袋体1の下部に地穴12を開けるのであるが、前壁2の下部に該地穴12を開けても良いが、襠壁4の下部領域である三角域11に該地穴12を開けることが望ましく、該地穴12は該三角域11の中央に開けても良いが適宜に正面へ移動した箇所に開けることが望ましい。
【0014】
天穴9は四箇所で有しており、該天穴9の符号を区別して述べるならば、前壁2での左側を一方の天穴9aとして右側を他方の天穴9bとし、該前壁2に対して背面へ面対称の対で有する背壁3での左側を一方の天穴9a´として右側を他方の天穴9b´とする。地穴12は少なくても二箇所で有しており、該地穴12の符号を区別して述べるならば、左側である一方の襠壁4aの下部に位置する物を一方の地穴12aとし、右側である他方の襠壁4bの下部に位置する物を他方の地穴12bとする。
【0015】
紐8は一本に繋げた形状であっても良いが、一方の紐8aと他方の紐8bの二本を用いることが望ましい。一方の紐8aの通し構造を述べるならば、一方の端は背壁3の左側である一方の天穴9a´に外(背)から通して一方の天玉13aを設けて該一方の天穴9a´に固定する。一方の紐8aの他方は略矩形の天開口部6の中央を斜めに横断して前壁2の右側である他方の天穴9bへ外(前)から通して該天開口部6から袋体1の外へ出して他方の地穴12bへ外(右)から通して固定する。前記の他方の天穴9bから他方の地穴12bへ外(右)から通し天開口部6の中央を斜めに横断している紐8a領域を一方の手提げ域14aとし、前記の他方の天穴9bから他方の地穴12bの間の紐8aの領域を一方の背負い域15aとする。
【0016】
他方の紐8bの通し構造を述べるならば、一方の端は背壁3の右側である他方の天穴9b´に外(背)から通して他方の天玉13bを設けて該他方の天穴9b´に固定する。他方の紐8bの他方は略矩形の天開口部6の中央を斜めに横断して前壁2の左側である一方の天穴9aへ外(前)から通して該天開口部6から袋体1の外へ出して一方の地穴12aへ外(左)から通して固定する。前記の一方の天穴9aから一方の地穴12aへ外(左)から通し天開口部6の中央を斜めに横断している紐8b領域を他方の手提げ域14bとし、前記の一方の天穴9aから一方の地穴12aの間の紐8bの領域を他方の背負い域15bとする。一方の天玉13aと他方の天玉13bは紐8の端を丸結びすることによって形成するのが望ましいのであるが、人口樹脂製の棒状の玉(商品名カンタッグ)であっても良い。
【0017】
上記手提げ域14は、一方の手提げ域14aと他方の手提げ域14bの二本で構成されており、該一方の手提げ域14aと他方の手提げ域14bの双方は略矩形の天開口部6の中央を互いに逆方向の斜めに横断していることから、前記双方の手提げ域は天開口部6の中央で交差しており、前記の交差箇所を交差部16とする。
【0018】
上記の交差部16がX字状に交差しているので、手や腕を該交差部16の左右方向と前後方向のどちらからでも通して手提げにすることが可能になる。袋体1の天開口部6の長手方向は左右方向であり、前記長手方向へ手や腕を通して手提げにする場合は交差部16を設ける必要もないので、該交差部16を設けた理由は手や腕を前後方向へ通して手提げにすることが本来の目的である。筒17の開口部を左右方向へ向けた状態で設け、該筒17の左右方向の双方から一方の手提げ域14aと他方の手提げ域14bとを通して該筒17の内部に交差部16を形成する。筒17の太さや長さは限定ではなくて適宜であって良いが、筒17の内径は紐8が二本遊びを有して通せる太さであれば良く、筒17の長さは大人の手の平の幅と略同寸であれば良い。筒17の形状は限定ではないが円筒形であることが望ましく、筒17の素材は限定ではなくて紙管であっても良いが、弾力のある人工樹脂であることが望ましい。
【0019】
図2は手提げ状態要部透視正面斜視図である。筒17を引き上げることで交差部16は該筒17の内側中央で交差した状態を保ったままスライドしながら引き上げられ、袋体1の自重及び収納物の重み或いは手で該袋体1を押さえ付けながら該筒17を引き上げることで前壁2の上部に有する天穴9aと9bから紐8aと8bが引き出されて手提げ域14aと14bが長くなって手提げ状態に成り、背負い域15aと15bは天穴9aと9bへ引き込まれるので短くなり、該背負い域15aと15bの弛みが無くなるので手提げの邪魔にならない。
【0020】
襠壁4の下部に開けられた地穴12へ背負い域15の下端が通されて固定しているので、谷折された襠谷線10によって中央が谷折で凹んでいる襠壁4へ該背負い域15が嵌り込み易くなり、該背負い域15が外の障物に当たったり引っ掛ったりなどの邪魔になる恐れがなくなる。
【0021】
手提げ域14と背負い域15との境界は区分箇所の無い紐であることが基本構造であるが、該手提げ域14と該背負い域15との境箇所に中玉18を設けても良く、該中玉18は本発明物を手提げで使用する場合に於いて背負い域15が伸びて弛みが無くなった状態で該背負い域15の上端が前壁2の天穴9に接する箇所に設けることが望ましく、該中玉18は丸結びで形成できる他に別具を挟み込んだり巻き付けたりして形成しても良い。手提げ域14の正面端は該中玉18で固定されて該手提げ域14の背面端は天玉13で固定されているので該手提げ域14の四端が固定されて安定した状態の手提げ袋として使用でき、該中玉18を摘んで外側へ引き出せば背負い使用への切り替えも楽に行える。
【0022】
図3は置き状態要部透視正面斜視図である。本発明は購買物を収納するための梱包用紙袋であることから、置き状態にされた袋体1へ購買物を収納する場合、その収納作業の妨げを排除する必要がある。筒17を袋体1の正面(背面であっても良い)へ出して垂れ下げることで交差部16を含む手提げ域14が該袋体1の外周を取り囲んで垂れ下がり、該袋体1の内部には該手提げ域14は残留していない。該手提げ域14が袋体1の外へ垂れ下がり易くしている要因は、四箇所で有している該手提げ域14の端全てを四箇所で有している天穴9の全てへ外から挿入しているからである。
【0023】
背負い域15は元々袋体1の外へ出ているので改めて外へ出す作業は不要である。前記で述べたように該手提げ域14と該背負い域15の全ては該袋体1の外に出ているので、該袋体1の中へ残留しているのは天玉13と中玉18の小さな箇所だけなので、置き状態の該袋体1へ購買物を収納する場合、その収納作業の妨げになる領域を排除した構造になっている。
【0024】
図4は要部透視底面斜視図である。背負い域15の下端を襠壁4下部に開けられた地穴12へ外から挿入して取り付け固定した状態を図3までで図示していたが、該地穴12は底壁5にも形成されており、該襠壁4の下辺が袋折されて三角域11と該底壁5とが重なった状態で該地穴12は該底壁5をも含めて貫通させて地穴12を設けており、該底壁5に開けられた地穴12の一方を地穴12a´として他方を地穴12b´とする。前記地穴12a´と地穴12b´の各々から背負い域15の下端を出し、該背負い域15の端に地玉20を形成して該背負い域15の下端を固定するのであり、該地穴12a´で地玉20aが固定され、該地穴12b´で地玉20bが固定される。
【0025】
袋体1の底壁5の構造は従来の梱包用紙袋と同じであり、双方の襠壁4の各々の下辺に延設された矩形底片21を直角に内方へ折り曲げ、前壁2と背壁3の各々の下辺に延設された台形底片22を直角に内方へ折り曲げ、該矩形底片21と該台形底片22との重なった領域及び該台形底片22どうしの重なった領域を接着することで該底壁5を形成する。図示していないが該底壁5には略同型略同寸の底板紙を重ねて補強することが望ましく、前記底板紙重合構造は従来構造でもあり、前記底板紙を重ねて貫いた構造で地穴12a´と地穴12b´は補強されて形成されており、前記底板紙と地穴12a´及び地穴12b´とを接着することで前記の補強構造は更に強化される。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、背壁の平な広い面へ広告主の印刷をして、広告媒体として使用することもできる。
【符号の説明】
【0027】
1 袋体
2 前壁
3 背壁
4 襠壁
5 底壁
6 天開口部
7 返し帯
8、8a、8b 紐
9、9a、9b、9a´、9b´ 天穴
10 襠谷線
11 三角域
12、12a、12b、12a´、12b´ 地穴
13、13a、13b 天玉
14、14a、14b 手提げ域
15、15a、15b 背負い域
16 交差部
17 筒
20、20a、20b 地玉
図1
図2
図3
図4