特許第5731585号(P5731585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731585
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
   A63F7/02 326Z
【請求項の数】1
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-143339(P2013-143339)
(22)【出願日】2013年7月9日
(62)【分割の表示】特願2012-119550(P2012-119550)の分割
【原出願日】2009年7月1日
(65)【公開番号】特開2013-198801(P2013-198801A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2013年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】391010943
【氏名又は名称】株式会社藤商事
(74)【代理人】
【識別番号】100100376
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 誠一
(72)【発明者】
【氏名】野尻 貴史
(72)【発明者】
【氏名】大川 貴史
(72)【発明者】
【氏名】小宮 尚徳
【審査官】 鹿戸 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−125493(JP,A)
【文献】 特開2009−119101(JP,A)
【文献】 特開2006−094893(JP,A)
【文献】 特開2005−150583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の当否抽選に基づいて遊技者に有利な遊技状態を発生させる遊技機であって、
遊技機の所定位置に配置される電飾部は、
遊技者に向かう前方面に配置した発光体、及び後方面に配置した回路素子が貫通孔を通して接続される回路構成を有する回路基板と、
前記回路基板の前方面に対面する導光部を有する導電性の反射部材と、を有して構成され、
前記導光部は、前記発光体に向けて突出形成された突出部が、前記発光体の平面形状より広く開口して構成され、
前記導光部と前記発光体とは、前記突出部の開口中心と前記発光体の素子中心とを結ぶ仮想線が、前記回路基板に略直交するよう配置され、
前記回路基板における、前記突出部の開口で構成される領域内には、回路基板を貫通させる前記貫通孔を配置しないよう構成されたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ回路を有して構成される遊技機に関し、特に、迫力あるランプ演出を可能にする遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの弾球遊技機は、遊技盤に設けた図柄始動口と、複数個の表示図柄を所定時間変動させた後に停止させるといった一連の図柄変動態様を表示する図柄表示部と、開閉板が開閉される大入賞口などを備えて構成されている。そして、図柄始動口に設けられた検出スイッチが遊技球の通過を検出すると、遊技球の入賞状態となり、図柄表示部で表示図柄を所定時間変動させる。そして、その後、7−7−7などの所定の態様で図柄が停止すると大当り状態となり、大入賞口が繰返し開放されて遊技者に有利な利益状態を発生させるようにしている。
【0003】
図柄表示部は、通常、液晶ディスプレイで構成されており、リーチ演出や予告演出や大当り演出を含んだ各種の図柄演出動作を実行している。リーチ演出とは、あと一歩で大当り状態となる状態を継続させて遊技者を盛り上げる図柄演出であり、予告演出とは、図柄の変動動作の途中に、何らかのキャラクタを突然登場させることで、その後の大当り状態の招来を予告する図柄演出である。また、大当り演出とは、大当り状態での実行される演出であり、遊技者の喜びに対応して更に派手な図柄演出が実行される。
【0004】
このような図柄演出の実行時には、これに同期してランプ演出も実行されており、リーチ演出時や大当り演出時には、液晶ディスプレイの図柄演出に対応してランプを点滅演出させている。また、大当り状態に突入した後は、更に派手なランプ演出が実行されている。なお、ランプ演出を実現するランプは、遊技機の周縁部に配置するしかないので、通常は、ランプの点灯状態を2値的に規定する点灯データをシリアル信号として遊技機の周縁部まで送信している。
【0005】
上記の通り、迫力ある演出動作を実現するにはランプ演出は欠かせないが、ランプ演出の迫力を増すために、無闇にランプ個数を増加させたのでは、その点灯制御が複雑化するので、必要最小限のランプ個数とすべきである。そのため、ランプ個数を増加させることなく、演出効果を高めるべく、例えば、クロムめっきされた反射板を利用したサイド照明ユニットなどの提案もされている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−125493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、クロムめっきは、導電性を有するので、単純に、導電性の反射板を配置するだけでは、反射板からの静電放電によって、ランプやその駆動素子が破壊されてしまうという問題がある。そして、このような場合、破壊されたランプや駆動素子がそのまま放置する遊技ホールも多いので、意図したランプ演出が、永続的に実現されないことになる。
【0008】
また、例え、ランプや駆動素子が破壊されない場合でも、点灯データをシリアル信号として伝送する場合には、放電ノイズなどの重畳することが問題となり、放電ノイズによって点灯データがビット化けすると、短時間とはいえ、不自然なランプ演出が継続される。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、最小限のランプ数で迫力あるランプ演出が実現でき、しかも、放電ノイズや放電破壊の可能性を低減した遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、所定の当否抽選に基づいて遊技者に有利な遊技状態を発生させる遊技機であって、遊技機の所定位置に配置される電飾部は、遊技者に向かう前方面に配置した発光体、及び後方面に配置した回路素子が貫通孔を通して接続される回路構成を有する回路基板と、前記回路基板の前方面に対面する導光部を有する導電性の反射部材と、を有して構成され、前記導光部は、前記発光体に向けて突出形成された突出部が、前記発光体の平面形状より広く開口して構成され、前記導光部と前記発光体とは、前記突出部の開口中心と前記発光体の素子中心とを結ぶ仮想線が、前記回路基板に略直交するよう配置され、前記回路基板における、前記突出部の開口で構成される領域内には、回路基板を貫通させる前記貫通孔を配置しないよう構成されている。
【0011】
本発明の上記の構成によれば、静電放電を効果的に防止することができ、放電ノイズや放電破壊の可能性を格段に低減することができる。
【発明の効果】
【0020】
上記した本発明によれば、最小限のランプ数で迫力あるランプ演出が実現でき、しかも、放電ノイズや放電破壊の可能性を低減した遊技機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例に示すパチンコ機の斜視図である。
図2図1のパチンコ機の遊技盤を詳細に図示した正面図である。
図3】電飾表示部の構成を示す分解斜視図である。
図4】電飾表示部の各部を説明するための図面である。
図5図1のパチンコ機の全体構成を示すブロック図である。
図6】演出制御部と演出インターフェイス部と液晶制御部の回路構成を示すブロック図である。
図7】ランプ接続基板と電飾表示部との接続関係を示す回路図である。
図8】ドライバの内部構成やドライバの配置位置を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。図1は、実施例に係るパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
【0023】
ガラス扉6の左右には、発光体LUMとドライバ素子とが内蔵された電飾表示部4,4が縦長に配置されている。前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
【0024】
上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
【0025】
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
【0026】
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、表示装置である表示装置DISPが配置されている。また、遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、複数個の普通入賞口17(大入賞口16の左右に4つ)、2つの通過口であるゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
【0027】
液晶ディスプレイDISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この液晶ディスプレイDISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されたり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
【0028】
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
【0029】
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪15aを備えた電動式チューリップで開閉されるよう例えば構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪15aが所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。
【0030】
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
【0031】
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。
【0032】
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。
【0033】
図3は、電飾表示部4の構成要素を示す斜視図であり、図4は、電飾表示部4の断面構造と要部斜視図である。なお、電飾表示部4は、ガラス扉6の左右両側に配置されるが、図3には、ガラス枠ベース50の左側に配置される電飾表示部4だけが図示されている。
【0034】
図4(a)に示す通り、電飾表示部4は、発光体LUMやドライバ素子が搭載された回路基板51と、回路基板51を覆うように配置される反射部材52と、反射部材52との接触面がノコギリ歯状に形成された内側レンズ体53と、内側レンズ体53の外側に配置される外側レンズ体54とで構成されている。なお、回路基板51の外表面と反射部材52の平坦表面とは、実質的に平行関係にあり、離間距離Dに設定されている。
【0035】
図4(b)に示す通り、外側レンズ体54は、外方に向けて緩やかに湾曲させた透明プラスチック板で構成されている。そして、外側レンズ体54の端部が、ガラス枠ベース50に固定されることで、ガラス枠ベース50との間で形成される内部空間に、回路基板51、反射部材52、及び内側レンズ体53が一体的に収容されている。
【0036】
内側レンズ体53は、透明プラスチック板で構成され、反射部材52に接する内表面53aと、円弧状に膨出された外表面53bとを有している。ここで、内側レンズ体53の内表面53aには、幅方向に形成された切込み溝THが、内側レンズ体53の長さ方向に連続することで、内側レンズ体53の断面視がノコギリ歯状となっている。また、内側レンズ体53の外表面53bの略中央には、略V字溝GVが、内側レンズ体53の長さ方向に真っ直ぐに延びている。なお、略V字溝GVは、後述する凹部HOの位置で途絶えるものの、内側レンズ体53の長さ方向に一貫して延設されている。
【0037】
図3及び図4(a)に現れる通り、内側レンズ体53の外表面53bには、6組(合計12個)の凹部HOが形成され、合計12個の凹部HOに対応して、内側レンズ体の内表面53aの対応位置には、6組(合計12個)の突部PRが形成されている(図4(d)参照)。また、内側レンズ体53の幅方向の両側には、薄板状の取付片ATが4個延設されている(図3参照)。
【0038】
図4(a)及び図4(d)に示す通り、内側レンズ体53の凹部HOは、断面視略V字状に形成され、突部PRは、傾斜壁55と、平坦面56と、垂直壁57とを有して構成されている。そして、1組(2個)の突部PR,PRの垂直壁57、57が対面することで、断面視で略U字状の収容空間SPが形成されている。なお、収容空間SPの底面にも切込み溝THが形成されている。
【0039】
反射部材52は、プラスチック材の表面全体をクロムメッキすることで、導電性と光沢性(鏡面反射性)とを有している。そして、反射部材52の長さ方向には、内側レンズ体53に形成された6組の突部PRに対応して、6個の導光部OPNが形成されている。導光部OPNは、回路基板51に向けてやや先細に突出する突出部BXと、突出部BXに収容された傾斜部TRとを有して構成されている。傾斜部TRは、三角峰61を有して三角山状に形成されている。
【0040】
図4(a)に示す通り、突出部BXは、4片の傾斜面60・・・60によって形成され、その先端中央が矩形状に開口している。傾斜面60・・・60の頂上面(開口面)は、回路基板51との間が、発光体LUMの厚みにほぼ等しい離間距離dに設定されている。また、突出部BXの開口中央に、三角峰61が位置するように傾斜部TRが設けられている。そして、内側レンズ体53の収容空間SPに、反射部材52の傾斜部TRが収容されるよう組立てられる。図示の通り、三角峰61が、傾斜面60が形成する先端開口より後退して位置することで、回路基板51との絶縁距離を確保している。なお、実施例では、三角峰61と発光体LUMとは、ほぼ離間距離D−d程度に設定されている。
【0041】
なお、組立て状態では、内側レンズ体53の取付片AT(図3)が、反射部材52の受入溝(不図示)に収容されて、内側レンズ体53が保持される。また、この組立て状態では、反射部材52の傾斜面60の内方面が、内側レンズ体53の傾斜壁55に当接されると共に、傾斜部TRの底面が、内側レンズ体53の切込み溝THに当接される(図4(a)参照)。
【0042】
回路基板51の表面側には、反射部材52の導光部OPNの開口に対応して、6個の発光体LUMが配置されている。特に限定されるものではないが、ここでは、三原色(RGB)の発光ダイオードを内蔵した単一の回路素子を、導光部OPNに対面して回路基板51に配置している。この発光体LUM(図4(e)参照)は、回路素子中心Oから直立する鉛直線に対して、±60°偏移した位置での相対光度が40%以下となる指向性を有している。また、±90°偏移した位置での相対光度は0%となる。
【0043】
なお、回路基板51の裏面側には、発光体LUM以外の全ての回路素子(具体的には、ドライバ素子Drや電流制限抵抗r1)が配置されている。そして、発光体LUMと、その他の回路素子とは、回路基板51に形成したスルーホールを経由して接続されている(図8(b)参照)。ここで、スルーホールとは、回路基板51の導通穴であり、回路基板51の表裏面の回路素子を接続するために、当然ながら、その内壁は導電性を有している。
【0044】
図4(a)に示す通り、突出部BXの開口中心と発光体LUMの素子中心Oとを結ぶ仮想線は、回路基板51に直交するよう配置され、突出部BXの頂上面は、発光体LUMの頂上面にほぼ接する位置まで近接している。また、発光体LUMの中心点O(図4(e))からの鉛直線上に傾斜部TRの三角峰61を位置させている。そのため、発光体LUMからの放射光は、その全てが突出部BXに進入し、傾斜部TRの斜面で正反射されて内側レンズ体53に進入する。
【0045】
内側レンズ体53に進入した放射光は、その外表面53bを通過した屈折光が外側レンズ体54に至る一方、外表面53bで反射された反射光は、内表面53aの切込み溝THで反射されて、再度、外表面53bに至る。
【0046】
このように、発光体LUMから放射された放射光は、内側レンズ体53の外表面53bと内表面53aとで反射されつつ進行するが、内表面53aの切込み溝THにおいて進行方向が変わり、臨界角(屈折が起こる最大入射角)未満の角度で内側レンズ体53の外表面53bに向かう光だけが、内側レンズ体53から外側レンズ体54に向けて放射される。
【0047】
このことを言い換えると、臨界角以上の角度で内側レンズ体53の外表面53bに向った光は、内側レンズ体53から放射されることはなく、再度、内部を進行する内部進行波となる。ところで、スネルの法則によれば、媒質Aから媒質Bへの入射角をθaとすると、媒質Aの絶対屈折率がna、媒質Bの絶対屈折率がnbの場合に、SIN(θa)/SIN(θb)=nb/naの関係が成立する(図4(f)参照)。したがって、臨界角θaは、SIN(θa)=nb/na×SIN(90°)=nb/naからθa=SIN−1(nb/na)となる。
【0048】
このスネルの法則を本実施例に適用すると、媒質Bは空気であるので、空気の屈折率をnb≒1、媒質A(プラスチック材)の屈折率をna=1.3〜1.7に設定すると、臨界角θaは、50〜36°となる。そこで、本実施例では、内側レンズ体53として、屈折率1.5〜1.6程度のプラチップ材を使用することで、40°前後の臨界角θaを実現し、臨界角以上の角度で内側レンズ体53の外表面53bに向う光の放出を防止して反射回数の増加を図っている。
【0049】
しかも、本実施例では、内側レンズ体53の外表面53bに、略V字溝GVを形成しているので、この略V字溝GVでの全反射によっても内部進行波を増加させることができる。以上の構成の結果、この実施例では、6個の発光体LUMを離散的に配置した構成でありながら、電飾表示部4の全体をほぼ一様に明るく発光させることが可能となる。
【0050】
ところで、回路基板51に面実装された発光体LUMに内蔵された発光ダイオードの絶対最大定格は、各々、パルス順電流が100mA程度、逆方向電圧が5V程度である。したがって、この絶対最大定格を超える電流が電圧によって発光ダイオードが破壊されるおそれがある。このような素子破壊を防止する上で特に考慮すべき点は、導電性の反射部材52に帯電した静電気による回路基板51へ静電放電であり、その意味では、回路基板51と反射部材52との離間距離を十分に確保する必要がある。
【0051】
しかし、発光体LUMからの放射光を、全て突出部BXの内部に進入させるには、回路基板51と、導光部OPNとの位置関係は、図4(a)の状態より離間させることはできない。つまり、導光部OPNの頂上面は、発光体LUMの頂上面の位置まで近接させる必要がある。
【0052】
そこで、以上の条件を踏まえて、本発明者が、反射部材52から回路基板51に向かう静電放電の経路について種々実験した結果、(1)発光体LUMの平面形状に対応して、突出部BXの開口をある程度以上広げると、突出部BXから発光体LUM(特に接続端子T)への静電放電を防止できること、(2)また前記(1)の条件を満たした状態で静電放電の通路になりやすいのは、回路基板51に設けたスルーホールであること、が明らかとなった。
【0053】
そこで、本実施例では、突出部BXの開口辺A,Bを、発光体LUMの接続端子Tを含んだ各辺最大長a,bの2倍以上とし、且つ、突出部BXの開口面積A×Bを、発光体LUMの最大面積a×bの6倍以上に設定すると共に、突出部BXの開口に対応して設定される回路基板51の禁止領域INHにスルーホールを設けない構成を採っている。なお、図4(e)の図示例とは異なるが、接続端子Tが幅方向に露出しない発光体LUM、つまり、接続端子Tを板状部品の裏面側に設けた面実装タイプの発光体LUMを使用するのも好適である。
【0054】
何れにしても、禁止領域INHは、突出部BXの各辺最大長A,Bより広い限り、特に限定されないが、好ましくは、少なくとも、突出部BXのすそ野(各辺A’,B’)程度の広さに設定される。このような構成を採ることによって、事実上、静電放電の通路を消滅させることができ、発光体LUMやドライバ素子の破壊を防止することができる。
【0055】
図5は、パチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。図中の一点破線矢印は、主に、直流電圧ラインを示している。
【0056】
図示の通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧やシステムリセット信号SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動する液晶制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD”に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
【0057】
但し、この実施例では、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、コマンド中継基板26と演出インターフェイス基板27を経由して、演出制御基板22に伝送される。また、演出制御基板22が出力する制御コマンドCMD’は、演出インターフェイス基板27を経由して、液晶制御基板23に伝送され、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD”は、主基板中継基板28を経由して、払出制御基板24に伝送される。なお、演出インターフェイス基板27と演出制御基板22とは、ケーブルを使用することなくコネクタによって直結されている。
【0058】
これら主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、これらの制御基板21〜24に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。なお、演出制御部22、液晶制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
【0059】
ところで、このパチンコ機GMは、図5の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材GM1を除く全てが、盤側部材GM2である。
【0060】
図5の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板32と、外部端子基板OTと、球貸機UTとのインターフェイス基板IFとが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。一方、遊技盤5の背面には、主制御基板21、演出制御基板22、液晶制御基板23が、液晶ディスプレイDISPやその他の回路基板と共に固定されている。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタCN1〜CN4によって電気的に接続されている。
【0061】
図5に示す通り、電源基板20は、接続コネクタCN2を通して、主基板中継基板28に接続され、接続コネクタCN3を通して、電源中継基板30に接続されている。そして、主基板中継基板28は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYS、RAMクリア信号、電圧降下信号、バックアップ電源、DC12V、DC32Vを、そのまま主制御部21に出力している。同様に、電源中継基板30も、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インターフェイス基板27に出力している。なお、演出インターフェイス基板27は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部22と液晶制御部23に出力している。
【0062】
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の、システムリセット信号SYS、RAMクリア信号、電圧降下信号、バックアップ電源を、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
【0063】
ここで、電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す信号であり、この信号によって各制御部21〜24のワンチップマイコンその他のIC素子が電源リセットされるようになっている。主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受けるRAMクリア信号は、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。
【0064】
主制御部21及び払出制御部24が、電源基板20から受ける電圧降下信号は、交流電源24Vが降下し始めたことを示す信号であり、この電圧降下信号を受けることによって、各制御部21、24では、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源は、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。したがって、主制御部21と払出制御部24は、電源遮断前の遊技動作を電源投入後に再開できることになる(電源バックアップ機能)。このパチンコ機では少なくとも数日は、各ワンチップマイコンのRAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
【0065】
一方、演出制御部22と液晶制御部23には、上記した電源バックアップ機能が設けられていない。しかし、演出制御部22と液晶制御部23には、システムリセット信号SYSが共通して供給されており、他の制御部21,24と、ほぼ同期したタイミングで電源リセット動作が実現される。
【0066】
図5及び図6に示す通り、演出インターフェイス基板27は、コマンド中継基板26と、電源中継基板30と、枠中継基板31と、演出制御基板22と、ランプ接続基板34と、液晶制御基板23と、インバータ基板33とに接続されている。
【0067】
図6に示すように、演出制御部22は、音声演出・ランプ演出・データ転送などの処理を実行するワンチップマイコン40と、ワンチップマイコン40の制御プログラムなどを記憶するEPROM41と、ワンチップマイコン40からの指示に基づいて音声信号を生成する音声再生LSI42と、生成される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声用メモリ(フレーズROM)43と、ウォッチドッグタイマWDTとを備えて構成されている。
【0068】
ワンチップマイコン40には、シリアル通信回路SIOと、パラレルポートPIOとが内蔵されている。そして、この実施例では、シリアル通信回路SIOからは、シリアルデータDATA及びシフトクロックCLOCKが出力され、パラレルポートPIOからは、ラッチ信号LATCH及び動作制御信号ENABLEが出力されるよう構成されている。また、パラレルポートPIOからは、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’も出力される。
【0069】
ウォッチドッグタイマWDTは、ワンチップマイコン40から定期的に供給されるクリアパルスでリセットされるが、プログラムの暴走などによって、このクリアパルスが途絶えると、リセット信号RESETを出力するようになっている。その結果、ワンチップマイコン40は、初期状態に強制的にリセットされ、プログラムの暴走状態などが解消される。
【0070】
図6に示す通り、演出制御基板22のワンチップマイコン40には、主制御基板21から出力された制御コマンドCMDとストローブ信号(割込み信号)STBとが、演出インターフェイス基板27のバッファ48を経由して供給されている。そして、ストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理によって、演出制御部22は、制御コマンドCMDを取得することになる。演出制御部22が取得する制御コマンドCMDには、(a)エラー報知その他の報知用制御コマンドなどの他に、(b)図柄始動口への入賞に起因する各種演出動作の概要を特定する制御コマンド(変動パターンコマンド)が含まれている。ここで、変動パターンコマンドで特定される演出動作の概要には、演出開始から演出終了までの演出総時間と、大当り抽選における当否結果とが含まれている。なお、これらに加えて、リーチ演出や予告演出の有無などを含めて変動パターンコマンドで特定してもよいが、この場合でも、演出内容の具体的な内容は特定されていない。
【0071】
そのため、演出制御部22では、変動パターンコマンドCMDを取得すると、これに続いて演出抽選を行い、取得した変動パターンコマンドで特定される演出概要を更に具体化している。例えば、リーチ演出や予告演出について、その具体的な内容が決定される。そして、決定された具体的な遊技内容にしたがい、LEDランプ群などの点滅によるランプ演出や、スピーカによる音声演出の準備動作を行うと共に、液晶制御部23に対して、ランプやスピーカによる演出動作に同期した図柄演出に関する制御コマンドCMD’を出力する。
【0072】
この場合、演出制御部22は、液晶制御部23に対するストローブ信号(割込み信号)STB’と共に、制御コマンドCMD’を演出インターフェイス基板27に向けて出力する。なお、演出制御部22は、液晶ディスプレイに関連する報知用制御コマンドその他の制御コマンドを受信した場合は、その制御コマンドを、そのまま割込み信号STB’と共に演出インターフェイス基板27に向けて出力する。
【0073】
このような演出制御基板22の構成に対応して、演出インターフェイス基板27は、8ビット長の制御コマンドCMD’と1ビット長の割込み信号STB’を受けるよう構成されている。そして、これらのデータCMD’,STB’は、バッファ回路45を経由して、そのまま液晶制御基板23に出力される。
【0074】
また、演出インターフェイス基板27は、演出制御部22から出力されるランプ駆動用の制御信号(DATA,CLOCK,ENABLE,LATCH)を受けて、バッファ回路46を経由して出力する。演出インターフェイス基板27から出力されたランプ駆動制御信号は、ランプ接続基板34を経由して電飾表示部4などのLEDランプ群に供給され、その結果、主制御部21が出力した制御コマンドCMDに対応するランプ演出が実現される。
【0075】
図7は、ランプ接続基板34と、電飾表示部4の回路基板51との接続関係を示す回路図であり、複数のドライバDr1,Dr2・・・Drnが直列接続されて構成されている。図示の通り、各ドライバDriは、演出制御部22のワンチップマイコン40から、シリアル信号DATAと、ラッチ信号LATCHと、シフトクロックCLOCKと、動作制御信号ENABLEとを受けて機能している。なお、何ら限定されるものではないが、この実施例では、ドライバDriとして、ROHM社の16ビット定電流LEDドライバであるBD7851FP(図8参照)を使用している。
【0076】
図7及び図8に示す通り、この実施例では、演出制御部22のワンチップマイコン40から受けたシリアル信号DATAは、S_IN端子を経由して、16ビット長のシフトレジスタに供給され、シフトクロックCLOCKに同期してシフトされる。そして、シフトレジスタを経由したシリアル信号は、S_OUT端子から出力される。
【0077】
シフトレジスタに入力されたシリアル信号DATAは、ラッチ信号LATCHがHレベルに立上ったタイミングで、16ビット長のラッチレジスタに取得され、ラッチ信号LATCHがLレベルに戻ると、ラッチレジスタの取得値が保持される。ラッチレジスタの取得値は、動作制御信号ENABLEがLレベルであれば、そのまま出力端子OUT1〜OUT16から出力される。但し、動作制御信号ENABLEがHレベルであれば、オープンコレクタ型の出力ゲート列が全て解放状態となる。
【0078】
先に説明した通り、電飾表示部4の回路基板51には、6個の発光体LUMが搭載され、発光体LUMは、各々、三原色RGBの発光ダイオードLEDで構成されている。そして、この実施例では、電飾表示部4のドライバDrnは、16個の出力端子のうち、2組(6個)の出力端子OUT1〜OUT6だけを使用し、各組の発光体LUM毎に、赤色R、緑色G、青色Bの発光ダイオードを同期して点灯/消灯させている。なお、各ダイオードの順方向電圧降下VFは、2V〜3.8V程度、駆動直流電圧が12Vであるので、これらに対応して、20mA程度の電流が流れるよう電流制限抵抗r1が接続されている。
【0079】
ところで、先に説明した通り、各発光ダイオードの絶対最大定格は、各々、パルス順電流で100mA程度、逆方向電圧で5V程度である。また、ドライバDriの絶対最大定格は、電源電圧Vccで0〜7.0V、入力電圧で−0.3〜Vcc+0.3V程度である。そのため、例えば、ドライバDriの電源端子Vccや、ドライバDriの出力端子OUT1〜OUT6や、発光ダイオードの電源ラインVB(=12V)に、過大な電圧が加わると各回路素子が破壊されるおそれがある。
【0080】
しかし、本実施例では、先に説明した静電放電を防止する構成を採っているので、発光体LUMやドライバDriが破壊される可能性が大幅に低減される。すなわち、図8(b)に示す通り、発光体LUMの接続端子Tと突出部BXとの間には十分な絶縁距離が確保され、且つ、ドライバDriや電流制限抵抗r1は回路基板の裏面に配置され、更に、少なくとも、突出部BXの先端開口の範囲には、スルーホールが存在しないので、静電放電の可能性が低減される。
【0081】
また、本実施例では、このような静電放電を防止する構成を採っているので、演出制御部22から引き回される信号線DATA,ENABLE,CLOCK,LATCHに、放電ノイズが重畳する可能性も低減されて発光体LUMの異常動作も有効に防止される。なお、本実施例のようにドライバや電流制限抵抗を回路基板の裏面側に配置することで、静電放電を気にすることなく、自由な部品配置が可能となる。
【0082】
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。例えば、実施例では、電飾表示部4を遊技機の周縁部に配置したが、例えば、表示装置DISPの周縁部や下方位置に配置しても良い。このような場合、帯電した遊技球によって静電放電の可能性が高まるので、放電を防止した本実施例の構成が更に効果的に機能する。
【符号の説明】
【0083】
GM 遊技機
LUM 発光体
OPN 導光部
BX 突出部
4 電飾部
51 回路基板
53 透光板
図1
図2
図3
図4
図6
図7
図8
図5