特許第5731721号(P5731721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小松製作所の特許一覧

<>
  • 特許5731721-作業車両 図000002
  • 特許5731721-作業車両 図000003
  • 特許5731721-作業車両 図000004
  • 特許5731721-作業車両 図000005
  • 特許5731721-作業車両 図000006
  • 特許5731721-作業車両 図000007
  • 特許5731721-作業車両 図000008
  • 特許5731721-作業車両 図000009
  • 特許5731721-作業車両 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5731721
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/03 20060101AFI20150521BHJP
   B62D 25/10 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   B60K15/03 Z
   B62D25/10 J
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-555425(P2014-555425)
(86)(22)【出願日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】JP2014072123
【審査請求日】2014年12月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕一
【審査官】 鹿角 剛二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−112146(JP,A)
【文献】 特開平08−192647(JP,A)
【文献】 特開2008−149767(JP,A)
【文献】 実開平02−023430(JP,U)
【文献】 特開平08−244784(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3035719(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/03
B62D 25/10
E02F 9/00
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補給口を含むタンクと、
前記タンクを覆い、前記補給口に面する部分に開口部を有する外装カバーと、
前記開口部を覆う開閉カバーと、
前記開閉カバーの下端と前記外装カバーとの間に設けられ、前記開閉カバーを回転可能とするヒンジ部材と、
を備え、
前記開閉カバーが開けられたときの前記ヒンジ部材の上部には、凹部が形成されている、
作業車両。
【請求項2】
前記ヒンジ部材は、前記開閉カバーの回転軸に対して垂直に延びる第1板状部材を少なくとも1つ含み、
前記凹部は、前記第1板状部材に形成される、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記第1板状部材は、複数の前記凹部を含む、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記ヒンジ部材は、第2板状部材をさらに含み、
前記凹部は、前記第2板状部材に形成される、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項5】
前記ヒンジ部材は、第2板状部材をさらに含み、
前記第2板状部材は、前記第1板状部材の前記凹部の数と同数の前記凹部を含む、
請求項3に記載の作業車両。
【請求項6】
前記開閉カバーが開けられたときの、前記第1板状部材の上端と前記第2板状部材の上端とは、同じ水平面上に位置する、請求項4または5に記載の作業車両。
【請求項7】
前記開閉カバーは、前記開閉カバーの少なくとも1つの端部において、屈曲部を含み、
前記開閉カバーが開けられたときの、前記第1板状部材の上端と前記屈曲部の上端とは、同じ水平面上に位置する、請求項2または3に記載の作業車両。
【請求項8】
前記開閉カバーは、前記開閉カバーの内面に設けられた載置部材をさらに含み、
前記開閉カバーが開けられたときの、前記第1板状部材の上端と前記載置部材の上端とは、前記同じ水平面上に位置する、請求項2または3に記載の作業車両。
【請求項9】
前記開閉カバーは、前記開閉カバーの内面に設けられた載置部材をさらに含み、
前記開閉カバーが開けられたときの、前記第1板状部材の上端と前記屈曲部の上端と前記載置部材の上端とは、前記同じ水平面上に位置する、請求項7に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機体を覆うカバーの内側に燃料タンクを配置し、そのカバーに設けられた給油用開口部を覆う開閉自在の蓋を設けている作業車が開示されている。この蓋は、蓋の下端を支点にして外方に水平姿勢に開く。蓋の内面には、持ち運び式の燃料補給タンクに対する位置決め用係止部が設けられている。当該作業車では、蓋の内面に持ち運び式の燃料補給タンクを載置した後、蓋を傾けて燃料を補給することができる。
【0003】
特許文献2には、作業車の前面に設けられ、給油時に開閉する燃料タンクの開閉カバーが開示されている。この開閉カバーの下端にはヒンジが設けられている。当該開閉カバーが開いた状態では、ヒンジに設けられたストッパーによって、開閉カバーの上面がほぼ水平となる。その結果、その上面に給油用のポリタンクを仮置きできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8―192647号公報
【特許文献2】特開2005−112146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る発明では、前後一対の縦フレームと上下一対の横フレームとを有する位置決め用係止部を開閉カバーに設けなければならず、蓋の構造が非常に大がかりとなる。また、特許文献2に係る発明では、開閉カバーの裏面(開閉カバーを開けたときの開閉カバーの上面)に平面を形成しなければならず、この開閉カバーの構造も大がかりである。さらに、給油時に補給用容器が滑りやすく、補給作業が煩わしい。
【0006】
本発明の目的は、簡易な構造で、補給用容器による液体の補給を容易とする作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る作業車両は、タンクと、外装カバーと、開閉カバーと、ヒンジ部材とを備える。タンクは、補給口を有する。外装カバーは、タンクを覆い、補給口に面する部分に開口部を有する。開閉カバーは、開口部を覆う。ヒンジ部材は、開閉カバーの下端と外装カバーとの間に設けられ、開閉カバーを回転可能とする。開閉カバーが開けられたときのヒンジ部材の上部には、凹部が形成されている。
【0008】
ヒンジ部材は、開閉カバーの回転軸に対して垂直に延びる第1板状部材を少なくとも1つ含むとよい。凹部は、第1板状部材に形成されるとよい。
【0009】
第1板状部材は、複数の凹部を含むとよい。
【0010】
ヒンジ部材は、第2板状部材をさらに含んでもよい。凹部は、第2板状部材に形成されるとよい。あるいは、第2板状部材は、第1板状部材の凹部の数と同数の凹部を含むとよい。
【0011】
開閉カバーが開けられたときの、第1板状部材の上端と第2板状部材の上端とは、同じ水平面上に位置するとよい。
【0012】
開閉カバーは、開閉カバーの少なくとも1つの端部において、屈曲部を含むとよい。開閉カバーが開けられたときの、第1板状部材の上端と屈曲部の上端とは、同じ水平面上に位置するとよい。
【0013】
開閉カバーは、開閉カバーの内面に設けられた載置部材をさらに含むとよい。開閉カバーが開けられたときの、第1板状部材の上端と載置部材の上端とは、同じ水平面上に位置するとよい。あるいは、開閉カバーが開けられたときの、第1板状部材の上端と屈曲部の上端と載置部材の上端とは、同じ水平面上に位置するとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る作業車両では、開閉カバーの下端と外装カバーとの間にヒンジ部材が設けられており、開閉カバーが開けられたときのヒンジ部材には、凹部が形成されている。したがって、当該作業車両は、簡易な構造で、補給用容器による液体の補給を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、作業車両の側面図である。
図2図2は、作業車両の上面図である。
図3図3は、還元剤タンク付近の外装カバーの開口部と開閉カバーを拡大した斜視図である。
図4図4は、空いた状態である開閉カバーを車両後方から見た図である。
図5図5は、補給用容器を開閉カバーに載置した状態を前方から見た一例を表す図である。
図6図6は、補給用容器を開閉カバーに載置した状態を斜め前方から見た一例を表す図である。
図7図7は、補給用容器から還元剤タンクの補給口へ還元剤を補給している状態を前方から見た一例を表す図である。
図8図8は、ヒンジ部材の第1の変形例を表す図である。
図9図9は、ヒンジ部材の第2の変形例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<構成>
本発明の一実施形態に係る作業車両1を図1および図2に示す。図1は作業車両1の側面図であり、図2は作業車両1の上面図である。図1、2では、作業車両1として、ブルドーザを図示しているが、油圧ショベル、ホイールローダ、モータグレーダ、ダンプトラックなどの他の作業車両であってもよい。作業車両1は、キャブ2と、車両本体3と、作業機4とを備える。なお、以下の説明において、前後方向とは、作業車両1の前後方向を意味する。言い換えれば、前後方向とは、キャブ2に着座したオペレータから見た前後方向を意味する。また、左右方向とは、キャブ2に着座したオペレータから見た左右方向を意味する。側方とは、作業車両1の車幅方向、すなわち、前述の左方向もしくは右方向のいずれかを意味する。
【0017】
〔キャブ2〕
キャブ2には、作業車両1のオペレータが座るためのシートや各種操作のためのレバー、ペダルおよび計器類が内装されている。また、キャブ2は、転倒時運転者保護構造(ROPS構造)を有しており、車両本体3に配置されている。
【0018】
キャブ2は、前側から順に一対のAピラー21、一対のBピラー22および一対のCピラー23を有している。各ピラー21−23は、左右方向に離間して設けられ、上下方向に延びている。一対のBピラー22と一対のCピラー23とは、ほぼ同じ間隔を隔てて配置されている。Bピラー22とCピラー23とを繋ぐ一対の後部側面24は、互いに概ね平行に配置されている。これに対して、一対のAピラー21は、一対のBピラー22よりも小さな間隔を隔てて配置されている。Aピラー21とBピラー22とを繋ぐ一対の前部側面25は、前側ほど左右方向の間隔が小さくなるように配置されている。前部側面25は、キャブ2の前面に対して傾斜して繋がっている。キャブ2は、前面側の左右方向の幅が小さい先細りの外形を有している。この前部側面25にはオペレータの出入り口が設けられており、ドア26が取り付けられている。また、キャブ2の前面の上半分には、内部のオペレータが前方を目視可能なように前窓部20が設けられている。
【0019】
〔車両本体3〕
車両本体3は、エンジンフード31、排気管32、左右の走行装置33、第1収容部5、第2収容部34、及び、これらを支持するメインフレーム(図示せず)を含む。
【0020】
エンジンフード31は、キャブ2の前方に設けられている。エンジンフード31の上面は、前方且つ下方に傾斜している。エンジンフード31の上面の後端部は、キャブ2の前窓部20の下端に繋がっている。エンジンフード31の上面には、エアクリーナー36の吸気口と排気管32とが貫通する開口が設けられている。
【0021】
車両本体3は、エンジンフード31の内側に、エンジン11及び選択還元触媒装置12を含む。つまり、エンジン11及び選択還元触媒装置12は、エンジンフード31の内側に配置される。エンジン11は、例えば、ディーゼルエンジンであり、走行装置33や図示しない作業機ポンプなどを駆動するための駆動力を発生させる。選択還元触媒装置12は、還元剤によってエンジン11からの排気を処理する。選択還元触媒装置12は、選択的に窒素酸化物NOxを還元する。本実施形態では、還元剤とは、例えば、尿素水である。還元剤が尿素水である場合、ここでいう選択還元触媒装置12は、尿素水を排気中に噴射し、排気中において加水分解させてアンモニアガスを得るための配管も含む。
【0022】
排気管32は、選択還元触媒装置12によって処理されたエンジン11からの排気を外部へ排出するための配管である。排気管32は、エンジンフード31の上面から上方へ突出して設けられている。排気管32の上端は、キャブ2の上面近傍に達している。排気管32は、エンジンフード31の左右方向の中心から側方に偏心して配置されている。排気管32は、背面視において、すなわち、キャブ2内のオペレータから見て、一対のAピラー21のうち右側のAピラーと重なる位置に立設されている。これにより、排気管32によって、キャブ2内のオペレータからの前方の視認性が低下することを防止されている。なお、排気管32の後方には、エアクリーナー36のヘッド部37が配置されている。
【0023】
走行装置33は、メインフレームの左右両側に取り付けられている。走行装置33は、履帯33aを有する。上下の複数の転輪に巻き掛けられた履帯33aを回転させることで、作業車両1は移動する。
【0024】
第1収容部5は、キャブ2後部の第1側方に取り付けられている。図1及び図2では、第1側方として左方の場合が図示されているが、右方であってもよい。車両本体3は、第1収容部5の内部に、還元剤タンク6と作動油タンク14とを含む。つまり、還元剤タンク6と作動油タンク14とは、第1収容部5に格納される。作動油タンク14は、変速機系統および作業機4系統に供給される作動油を貯留する。作動油タンク14は、第1収容部5の後端に配置されている。還元剤タンク6は、選択還元触媒装置12において使用される還元剤を貯留する。還元剤は、選択還元触媒装置12に供給される。還元剤タンク6は、その上面に、上方且つ側方に向かって延びる補給口61を含む(図3及び図5参照)。
【0025】
第2収容部34は、キャブ2後部の第1側方とは反対の第2側方に取り付けられている。車両本体3は、第2収容部34の内部に、燃料タンク13を含む。つまり、燃料タンク13は、第2収容部34に格納される。燃料タンク13は、エンジン11に供給される燃料を貯留する。
【0026】
また、車両本体3には、左右の第1収容部5と第2収容部34との間で、且つ、キャブ2の後方にエンジン冷却モジュール16が設けられている。また、エンジン冷却モジュール16は、第1収容部5と第2収容部34のカバーの後端より前に配置されている。これによって、エンジン冷却モジュール16を外部の障害物から保護するとともに、キャブ2から後方を見たときに、エンジン冷却モジュール16越しに後方の作業状態を容易に確認することができる。このため、作業車両1の後部にリッパやウィンチを取り付けた場合でも、キャブ2からエンジン冷却モジュール16越しに後方作業機を確認しながら作業を行うことができる。
【0027】
エンジン冷却モジュール16は、例えば、ラジエータ、ファン、モータを含む。エンジン冷却モジュール16は、モータによってファンを回転させて、ラジエータ内を流れる冷却水を冷やすことによりエンジン11を冷却する。
【0028】
〔作業機4〕
作業機4は、ブレード41、アーム部材42、および、油圧シリンダ43,44を含む。ブレード41は、エンジンフード31の前方に設けられている。ブレード41は、キャブ2の左右方向の幅よりも大きな幅を有している。また、ブレード41の下端部が地面に接触している状態において、ブレード41の上端部は、エンジンフード31の上面よりも下方に位置しており、エンジンフード31の上面は、ブレード41の上端部とキャブ2の前面の上端部とを結んだ仮想線よりも下方に位置している。アーム部材42は、作業機4を支持する。アーム部材42の一端が車両本体3に接続され、アーム部材42の他端がブレード41に接続されている。油圧シリンダ43,44は、伸縮することによって、ブレード41を所望の方向へ傾けたり、移動させたりする油圧アクチュエータである。
【0029】
〔第1収容部5の詳細構造〕
図3を参照すると、第1収容部5は、外装カバー51と、開閉カバー52と、ヒンジ部材53とを含む。図3に示すように、外装カバー51は、還元剤タンク6を覆い、還元剤タンク6の補給口61に面する部分に開口部51aを有する。開閉カバー52は、開口部51aを覆う。図3及び図5に示すように、ヒンジ部材53は、開閉カバー52の下端と外装カバー51との間に設けられ、開閉カバー52を回転可能とする。
【0030】
図3及び図4に示すように、ヒンジ部材53は、ベース部材530と、第1板状部材531と、第2板状部材532とを含む。第1板状部材531及び第2板状部材532は、ベース部材530と垂直な方向に延び、ベース部材530に対するリブの役割を果たしている。第1板状部材531及び第2板状部材532は、略平行であり、車両前後方向に離隔している。さらに、開閉カバー52が開けられた状態で、第1板状部材531及び第2板状部材532は、左右方向に延びている。つまり、図4に示すように、第1板状部材531及び第2板状部材532は、ヒンジ部材53の回転軸Axに対して垂直な方向に延びている。なお、図4には、開閉カバー52が閉じた状態でのヒンジ部材53の位置を二点鎖線にて示している。
【0031】
第1板状部材531及び第2板状部材532は、それぞれ、凹部531a及び532aを含む。つまり、ヒンジ部材53は、凹部531a及び532aを含む。別の言い方をすれば、凹部531a及び532aは、それぞれ、第1板状部材531及び第2板状部材532に形成される。開閉カバー52が開けられたときの、第1板状部材531及び第2板状部材532の上端には、凹部531a及び532aが形成されている。つまり、開閉カバー52が開けられたときのヒンジ部材32の上側には、凹部531a及び532aが形成されている。好ましくは、第1板状部材531及び第2板状部材532は、それぞれ、複数の凹部531a及び532aを含むが、第1板状部材531及び第2板状部材532は、それぞれ、少なくとも1つの凹部531a及び532aを含んでいればよい。また、第1板状部材531の凹部531aの数と、第2板状部材532の凹部532aの数とは、等しいことが望ましい。
【0032】
ベース部材530は、矩形状の板状部材であり、湾曲した形状を有している。ベース部材530は、ストッパー530aを有している。開閉カバー52が開いた状態で、ストッパー530aは、開口部51aの下端境界51bと当接する。外装カバー51は下方且つ第1側方に傾いているものの、開閉カバー52が開けられたときの、第1板状部材531及び第2板状部材532の上端(図4では一点鎖線HLにて図示)が略水平となるように、ストッパー530aの位置/形状と第1板状部材531及び第2板状部材532の上端の位置とが調整されている。つまり、開閉カバー52が開けられたときの、第1板状部材531及び第2板状部材532の上端は、同じ水平面上に位置する。第1板状部材531及び第2板状部材532は、薄板状であり、開閉カバー52の回転軸と垂直な方向に延びる平面を有する。第1板状部材531及び第2板状部材532の長手方向に延びる縁部の第1側は、ベース部材530の湾曲した形状に沿った形状を有し、ベース部材530に固着されている。第1板状部材531及び第2板状部材532の縁部の第2側(第1側の反対側)は、凹部531a及び532aが設けられている。
【0033】
開閉カバー52は、基部520と、前端屈曲部521と、外端屈曲部522と、載置部材523と、ロック部524と、アジャストハンドル(adjustable handle)525と、第1規制部526と、第2規制部527とを含む。基部520と、前端屈曲部521と、外端屈曲部522とは、一枚の板状部材から形成されている。前端屈曲部521は、開閉カバー52が開けられたときの前端屈曲部521の上端が略水平となるように、基部520から屈曲している。外端屈曲部522は、開閉カバー52が開けられたときの外端屈曲部522の上端が略水平となるように、基部520から屈曲している。開閉カバー52が開けられたときの、第1板状部材531、第2板状部材532、前端屈曲部521、及び外端屈曲部522の上端は、同じ水平面上に位置する。前端屈曲部521は、基部520の車両前後方向の前端部に設けられている。外端屈曲部522は、基部520の外端部(ヒンジ部材53から最も離れた基部520の端部)に設けられている。したがって、開閉カバー52は、開閉カバー52の少なくとも1つの端部において、屈曲部を含む。
【0034】
載置部材523は、基部520から基部520に対して垂直な方向に延びている。すなわち、載置部材523は、開閉カバー52が開けられた状態で基部520から上方に延びている。載置部材523は、開閉カバー52の内面(開閉カバー52が閉じられたときに、作業車両1の内部に面する面)に設けられている。載置部材523は、基部520に溶接によって固定されている。載置部材523は、逆L字型の形状を有しており、開閉カバー52が開いた状態で載置部材523の上端が略水平となる。開閉カバー52が開けられたときの、第1板状部材531、第2板状部材532、及び、載置部材523の上端は、同じ水平面上に位置する。つまり、開閉カバー52が開けられたときの、第1板状部材531、第2板状部材532、前端屈曲部521、外端屈曲部522、及び、載置部材523の上端は、同じ水平面上に位置する。
【0035】
ロック部524は、回転自在の掛金部524aを含む。開閉カバー52外側の鍵穴に鍵を差込み、鍵を回転させることによって、掛金部524aが回転する。開閉カバー52が閉じられた後、掛金部524aが所定の方向に回転されると、第1受金511と当接する(図3及び図5参照)。第1受金511は、開口部51aの外周付近に設けられ、外装カバー51の内面に取り付けられている。これによって、開閉カバー52がロックされる。
【0036】
アジャストハンドル(adjustable handle)525は、開閉カバー52外側に位置するボタン及び開閉ハンドルを含む(図示せず)。さらに、アジャストハンドル525は、開閉カバー52内側に位置する係止部材525aを含む。係止部材525aは、例えば、ボルトである。アジャストハンドル525では、ボタンが押されてロックが解除されると、開閉ハンドルが開閉カバーの外側に向かって開く。作業者は、この開かれた開閉ハンドルを持つことで開閉カバーを開けることが出来る。そして、開閉カバー52が閉じられて、開閉ハンドルが開閉カバー52外側に設けられた窪み(図示せず)に格納されると、アジャストハンドル525は、ロックされる。このとき、係止部材525aは、第2受金512と当接する。第2受金512は、開口部51aの外周付近に設けられ、外装カバー51の内面に取り付けられている。図3では、アジャストハンドル525がロックされた状態における、係止部材525aの姿勢を表示している。アジャストハンドル525がアンロックされると、係止部材525aは、開口部51aの外周から離れるように回動する。図3の例では、係止部材525aは、作業車両1の側方から見て反時計回りに回動する。これによって、係止部材525aは、第2受金512から離れる。
【0037】
第1規制部526、第2規制部527は、それぞれ、前端屈曲部521、外端屈曲部522に固定されている。第1規制部526は、開閉カバー52を閉じると、第1弾性部材513と当接する。第1弾性部材513は、開口部51aの上端付近に設けられ、外装カバー51の内面に取り付けられている。第2規制部527は、開閉カバー52を閉じると、第2弾性部材514と当接する。第2弾性部材514は、開口部51aの車両前後方向の前端付近に設けられ、外装カバー51の内面に取り付けられている。第1弾性部材513、第2弾性部材514は、例えば、ゴムなどから成る。第1規制部526及び第2規制部527はV字状の板状部材を有している。第1規制部526が第1弾性部材513と上下方向で挟むように当接することで、開閉カバー52の上下方向のずれを制限する。第2規制部527が第2弾性部材514と車両前後方向で挟むように当接することで、開閉カバー52の車両前後方向のずれを制限する。図4等を参照すると、第1規制部526及び第2規制部527のV字状の板状部材は、開閉カバー52が開けられた状態で、前端屈曲部521及び外端屈曲部522の上端から突出している。しかし、第1規制部526及び第2規制部527は、開閉カバー52が開けられた状態で、それらのV字状の板状部材が前端屈曲部521及び外端屈曲部522の上端の下方となるように構成されてもよい。
【0038】
図5及び図6は、補給用容器7を開閉カバー52に載置した状態を表す。補給用容器7は、容器本体70と、容器本体から延びるノズル71とを含む。ノズル71は、蛇腹状の部分を含む。容器本体70には、還元剤が充填されている。容器本体70は、ダンボールに覆われている。ここでは、ダンボールを含めた還元剤容器を容器本体70と呼ぶ。図5及び図6に示すように、開閉カバー52が開けられたときの、第1板状部材531、第2板状部材532、前端屈曲部521、及び、載置部材523の上端は、同じ水平面上に位置するので、第1板状部材531、第2板状部材532、前端屈曲部521、及び、載置部材523の上端に、容器本体70の平坦な底部70aを置くことができる。
【0039】
図7は、補給用容器7から還元剤タンクの補給口へ還元剤を補給している状態を表す。ノズル71は短いため、ノズル71を還元剤タンク6の補給口に挿すためには、容器本体70を傾ける必要がある。しかし、容器本体70の底部前端70bを凹部531a,532aに引っ掛けて、凹部531a,532aを支点として容器本体70を傾けることによって、ノズル71を補給口61に容易に挿すことができる。したがって、補給用容器7による液体の補給が容易となる。
【0040】
なお、補給用容器7は、図5乃至図7に示した容器に限らず、他の異なる容量の容器も存在する。その場合、その容器本体70の大きさに合わせた凹部531a,532aを選択することによって、他の容器においてもノズル71を補給口61に容易に挿すことができる。
【0041】
<特徴>
本実施形態に係る作業車両1は、以下の特徴を有する。
(1)作業車両1では、開閉カバー52が開けられたときのヒンジ部材53の上部には、凹部531a,532aが形成されている。これによって、容器本体70の底部前端70bを凹部531a,532aに引っ掛けて、凹部531a,532aを支点として容器本体70を傾けることによって、ノズル71を補給口61に容易に挿すことができる。したがって、補給用容器7による液体の補給が容易となる。
【0042】
(2)凹部531aは、第1板状部材531に形成される。あるいは、凹部532aは、第2板状部材532に形成される。したがって、ヒンジ部材53の強度を向上するとともに、凹部形成のための加工が容易である。
【0043】
(3)第1板状部材531は、複数の凹部531aを含む。あるいは、第2板状部材532は、複数の凹部532aを含む。これによって、様々な容量の補給用容器7に対して液体の補給が容易となる。
【0044】
(4)ヒンジ部材53は、第1板状部材531と第2板状部材532とを含む。これによって、第1板状部材531と第2板状部材532との厚さが薄くても安定して補給用容器7を支持することができる。
【0045】
(5)第1板状部材531の凹部531aの数と、第2板状部材532の凹部532aの数とは、等しい。これによって、様々な容量の補給用容器7に対応する、凹部531aと凹部532aとを選択して、選択した凹部に補給用容器7の底部前端70bを引っ掛けて、液体の補給を行うことができる。
【0046】
(6)開閉カバー52が開けられたときの、第1板状部材531の上端と第2板状部材532との上端は、同じ水平面上に位置する。したがって、第1板状部材531と第2板状部材532との上に、安定して補給用容器7を置くことができる。
【0047】
(7)開閉カバー52は、少なくとも1つの端部において、前端屈曲部521を含み、開閉カバーが開けられたときの、第1板状部材531及び/または第2板状部材532の上端と前端屈曲部521の上端は、同じ水平面上に位置するとよい。これによって、補給用容器7を安定して開閉カバー52上に置くことができる。
【0048】
(8)開閉カバー52は、開閉カバー52の内面に設けられた載置部材523をさらに含む。開閉カバー52が開けられたときの、第1板状部材531及び/または第2板状部材532の上端と載置部材523の上端とは、同じ水平面上に位置する。これによって、補給用容器7を安定して開閉カバー52上に置くことができる。
【0049】
(9)開閉カバー52が開けられたときの、第1板状部材531及び/または第2板状部材532の上端と前端屈曲部521の上端と載置部材523の上端とは、同じ水平面上に位置する。これによって、補給用容器7は位置が異なる3箇所以上で支持される。したがって、補給用容器7をさらに安定して開閉カバー52上に置くことができる。
【0050】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
上述の実施形態における第1板状部材531及び第2板状部材532において、部材531を第2板状部材とし、部材532を第1板状部材としてもよい。また、ヒンジ部材53は、上述する凹部を含む、3つ以上の板状部材を含んでもよい。
【0052】
図8に示すように、ヒンジ部材53は、1つの補強部材535を含み、補強部材535が凹部535aを含んでもよい。
【0053】
また、図9に示すように、ヒンジ部材53は、1つの折り曲げ加工がされた折り曲げ部材536によって凹部536aを形成し、それを複数の柱部材537で支持するような構成を有してもよい。
【0054】
さらには、ヒンジ部材53は、複数の柱部材を一列に並べることによって形成された凹部を含んでもよい。あるいは、ベース部材530を加工することによって凹部が形成されてもよい。
【0055】
上述の実施形態では、凹部531a及び532aが第1板状部材531及び第2板状部材532にのこぎり状に形成されているが、凹部531a及び532aが、それぞれ、第1板状部材531及び第2板状部材532に1つだけ形成されてもよい。あるいは、補給用容器7の種類に対応した数だけの凹部531a及び532aが第1板状部材531及び第2板状部材532に形成されてもよい。また、第1板状部材531の凹部531aの数と、第2板状部材532の凹部532aの数とは、必ずしも等しくなくてもよい。
【0056】
前端屈曲部521と、外端屈曲部522と、載置部材523と、ロック部524と、アジャストハンドル(adjustable handle)525と、第1規制部526と、第2規制部527と、第1受金511と、第2受金512と、第1弾性部材513と、第2弾性部材514とは、適宜省略されてもよい。あるいは、これらの部品の装着位置が変更されてもよい。例えば、前端屈曲部521に代えて、後端に容器本体70の平坦な底部70aを置くことが可能な屈曲部が設けられてもよい。
【0057】
載置部材523は、上述の実施形態の形状に限らず、U字形状、直方体形状、円柱形状など他の形状でも構わない。また、載置部材523と基部520との固定方法は、溶接に限らず、ボルト=ナットなど他の方法でもよい。
【0058】
前端屈曲部521と、外端屈曲部522とは、基部520から折り曲げによって形成されるのに限らず、溶接などで形成されてもよい。また、前端屈曲部521と、外端屈曲部522とは、上述の実施形態で図示した形状に限らず、例えば、基部520から垂直に延びた板状に形成されてもよい。
【0059】
補給用容器7の容器本体70はダンボールに覆われてなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、簡易な構造で、補給用容器による液体の補給を容易とする作業車両を提供することができる。
【要約】
作業車両は、タンク(6)と、外装カバー(51)と、開閉カバー(52)と、ヒンジ部材(53)とを備える。タンク(6)は補給口(61)を有する。外装カバー(51)は、タンク(6)を覆い、補給口(61)に面する部分に開口部(51a)を有する。開閉カバー(52)は、開口部(51a)を覆う。ヒンジ部材(53)は、開閉カバー(52)の下端と外装カバー(51)との間に設けられ、開閉カバー(52)を回転可能とする。開閉カバー(52)が開けられたときのヒンジ部材(53)の上部には凹部(531a,532a)が形成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9