(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731747
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】ノッキングセンサ
(51)【国際特許分類】
G01H 17/00 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
G01H17/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-266837(P2009-266837)
(22)【出願日】2009年11月24日
(65)【公開番号】特開2011-112406(P2011-112406A)
(43)【公開日】2011年6月9日
【審査請求日】2011年12月2日
【審判番号】不服2013-23471(P2013-23471/J1)
【審判請求日】2013年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109298
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 昇
(72)【発明者】
【氏名】平田 智大
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓馬
【合議体】
【審判長】
尾崎 淳史
【審判官】
藤田 年彦
【審判官】
三崎 仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−251792(JP,A)
【文献】
実公平05−12740(JP,Y2)
【文献】
特開平3−143958(JP,A)
【文献】
特開2004−117045(JP,A)
【文献】
特開2008−163222(JP,A)
【文献】
特開平11−105097(JP,A)
【文献】
特開2007−258181(JP,A)
【文献】
特開2006−151442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H1/00-17/00
G01M15/08
F02D35/00,45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部及びこの筒状部の一端に位置しつつ径方向外側に向かって突出する鍔部を含む主体金具、
筒状部の外周に嵌め込まれた環状の圧電素子、
前記圧電素子の上面及び下面に重ねられる上側電極板及び下側電極板、
前記筒状部の外周に嵌め込まれ、前記鍔部との間に前記圧電素子を挟むウエイト、
前記鍔部と前記下側電極板との間に配置され、前記鍔部と下側電極板とを電気的に絶縁する下側絶縁板、
前記上側電極板と前記ウエイトとの間に配置され、前記上側電極板と前記ウエイトとを電気的に絶縁する上側絶縁板、を有するセンサ本体と、
前記センサ本体を被覆する樹脂製の樹脂成形体と、
を備えるノッキングセンサであって、
前記上側絶縁板及び前記下側絶縁板は、厚さがそれぞれ0.05mm〜0.50mmの範囲内にあり、
前記樹脂成形体は、ポリフェニレンサルファイド、または、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体からなるノッキングセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を用いたノッキングセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の内燃機関のノッキング現象を検出するノッキングセンサが知られており、ノッキングセンサの検出に応じて点火プラグの点火時期の遅角制御が行われている。
上記したノッキングセンサとして、
図5、
図6に示す構成のものが知られている(特許文献1、2)。このノッキングセンサ100は、内燃機関のシリンダブロックへ取付けるための取付孔120bを中心部に有する、いわゆるセンターホール式非共振型のノッキングセンサである。
【0003】
図6の分解斜視図に示すように、ノッキングセンサ100は、筒状部121と筒状部121の下端に位置する鍔部122とを有する主体金具120を有している。筒状部121の外周には、鍔部122側から順に、それぞれ円環状の下側絶縁板130、下側電極板140、圧電素子150、上側電極板160、上側絶縁板135、ウエイト170、及び皿バネ180が嵌め込まれている。なお、下側電極140及び上側電極160の径方向外側には、それぞれ電圧を取り出すための上側、下側端子141、161が片状に延びている。 筒状部121の上側外周面には雄ネジ部121bが形成され、一方でナット185の内面に雌ネジ部185bが形成されている。そして、ナット185を雄ネジ部121bに螺合することにより、下側絶縁板130から皿バネ180に至る積層体が鍔部122とナット185との間に挟まれて固定され、センサ本体190を構成している(
図5参照)。そして、
図5に示すように、センサ本体190は樹脂成形体110によって被覆され、ノッキングセンサ100が構成されている。
【0004】
このような形態のノッキングセンサ100は、主体金具120の鍔部122の下面が、シリンダブロックに接触するように取り付けられて使用に供されるため、主体金具120はシリンダブロックと電気的に接続(接触)することになり、また、主体金具120と電気的に接続するウエイト170も結果としてシリンダブロックに電気的に接続(接触)することになる。そこで、ノッキングセンサ100では、センサ本体190の構成部品として、主体金具120の鍔部122と下側電極板140とを電気的に絶縁する下側絶縁板140、上側電極板160とウエイト170とを電気的に絶縁する上側絶縁板135を用いて、圧電素子150の主体金具120やウエイト170に対する絶縁を確保している。なお、筒状部121の外周面には円筒状の絶縁スリーブ131が嵌められており、下側電極140、圧電素子150及び上側電極160が筒状部121に電気的に接続するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−322580号公報
【特許文献2】特開2008−144677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したノッキングセンサの樹脂成形体としては、一般にナイロン等のポリアミド系樹脂が用いられ、ノッキングセンサの使用温度は130℃程度になっている。ところで近年、エンジンの燃費向上を図るため、エンジンを高温で運転する傾向が高まっており、ノッキングセンサの使用温度も150℃以上にすることが要求されている。
【0007】
ところが、従来のノッキングセンサの場合、150℃以上の高温では絶縁抵抗が低下するという問題がある。ここで、本発明者らの検討により、ノッキングセンサの絶縁抵抗は、樹脂成形体110の表面抵抗と、下側絶縁板130及び上側絶縁板135の厚み(換言すれば、体積抵抗)によって決まることが判明した。つまり、ノッキングセンサ100の絶縁抵抗が温度上昇によって低下する現象は、主体金具120の鍔部122と下側電極板140との間でみると、下側絶縁板130の厚み方向(下側絶縁板130自身)、及び、樹脂成形体110の内側の表面(樹脂成形体110のうち、下側絶縁板130と接する面)の少なくともいずれかが導通経路となって生ずる。また、上記の現象は、上側電極板160とウエイト170との間でみると、上側絶縁板135の厚み方向(上側絶縁板135自身)、及び、樹脂成形体110の内側の表面(樹脂成形体110のうち、上側絶縁板135と接する面)の少なくともいずれかが導通経路となって生ずる。なお、樹脂成形体110は肉厚であるので、その厚み方向でなく表面が導通経路となり、表面抵抗が絶縁特性を左右する対象となる。
【0008】
ここで、下側絶縁板130及び上側絶縁板135は、加工が容易であることから、厚みの調整や材料の選択の余地があり、それら絶縁板130,135自身の体積抵抗を高め易い傾向がある。しかし、樹脂成形体110は、成型性が要求され、また、ノッキングセンサとしての大きさの制約があるため、それを考慮した樹脂材料の選定や寸法の設定が余儀なくされ、樹脂成形体110の表面抵抗を高めることは容易ではない。従って、ノッキングセンサの絶縁抵抗を全体として高くして150℃といった高温での使用を可能とするためには、高温下での樹脂成形体110自身の表面抵抗率を高くし、樹脂成形体110の表面抵抗を高めることが重要になる。
【0009】
また、樹脂成形体110の材料をこれまでのポリアミド系樹脂としながら、下側絶縁板130及び上側絶縁板135の厚みを厚くすることで、温度上昇に伴う樹脂成形体110の表面抵抗(表面抵抗率)の低下を補いながら、ノッキングセンサ100の絶縁抵抗を高めることが考えられる。しかしながら、下側絶縁板130及び上側絶縁板135の厚みを大きくすると、ノッキングセンサ100の周波数特性が乱れ、ノッキングの検出精度が低下してしまう問題がある。
そこで、本発明は、150℃以上の使用温度でも絶縁特性が良好で、かつノッキングの検出特性に優れたノッキングセンサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明のノッキングセンサは、筒状部及びこの筒状部の一端に位置しつつ径方向外側に向かって突出する鍔部を含む主体金具、筒状部の外周に嵌め込まれた環状の圧電素子、前記圧電素子の上面及び下面に重ねられる上側電極板及び下側電極板、前記筒状部の外周に嵌め込まれ、前記鍔部との間に前記圧電素子を挟むウエイト、前記鍔部と前記下側電極板との間に配置され、
前記鍔部と下側電極板とを電気的に絶縁する下側絶縁板、前記上側電極板と前記ウエイトとの間に配置され、前記上側電極板と前記ウエイトとを電気的に絶縁する上側絶縁板、を有するセンサ本体と、前記センサ本体を被覆する樹脂製の樹脂成形体と、を備えるノッキングセンサであって、前記上側絶縁板及び前記下側絶縁板は、厚さがそれぞれ0.05mm〜0.50mmの範囲内にあり、前記樹脂成形体は、ポリフェニレンサルファイド、または、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体からなるノッキングセンサである。
【0011】
本発明のノッキングセンサによれば、センサ本体を被覆する樹脂成形体が、成型性及び耐熱性が良好なポリフェニレンサルファイド、又はテトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体から構成されている。これらポリフェニレンサルファイド、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体は、常温下での表面抵抗率が高く、さらに150℃における表面抵抗率が1.0×10
10Ω(またはΩ/q)以上を示す。このため、上記の特定材料によって樹脂成形体を構成することで、ノッキングセンサが150℃以上といった高温下に晒された場合にも、上側絶縁板及び下側絶縁板を過度に厚くすることなく、ノッキングセンサの絶縁抵抗を全体として高くすることができる。
【0012】
また、本発明のノッキングセンサでは、樹脂成形体を上記の特定材料にて構成しているため、上述したように上側絶縁板及び下側絶縁板の厚みを過度に厚くする必要がないため、その厚みを0.50mm以下に抑えることができる。よって、本発明によれば、高絶縁でありながらノッキングセンサの周波数特性が低下せず、ノッキングの検出精度に優れたノッキングセンサが得られる。一方、上側絶縁板及び下側絶縁板の厚みは、0.05mm以上としている。樹脂成形体自身の表面抵抗率を高めても、絶縁板自身の体積抵抗が低下しては、ノッキングセンサの絶縁抵抗を全体として高く維持することができないからである。なお、上側絶縁板及び下側絶縁板としては、上記の厚みの範囲を満たす条件であれば、汎用の樹脂材料(例えば、PET)を用いることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、150℃以上の使用温度でも絶縁特性が良好で、かつノッキングの検出特性に優れたノッキングセンサが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るノッキングセンサの軸方向に沿う断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るノッキングセンサの分解斜視図である。
【
図3】ノッキングセンサの150℃での絶縁抵抗値を示す図である。
【
図5】従来のノッキングセンサの軸方向に沿う断面図である。
【
図6】従来のノッキングセンサの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るノッキングセンサ10の断面図である。
図1において、ノッキングセンサ10は、内燃機関のシリンダブロックへ取付けるための取付孔12fを中心部に有する、いわゆるセンターホール式非共振型のノッキングセンサである。ノッキングセンサ10は、詳しくは後述するセンサ本体20を樹脂成形体11によって被覆して構成され、全体として短寸の円筒状に形成され、円筒の外周の一部からコネクタ部11bが径方向外側に突出している。コネクタ部11bの内側には、下側電極14及び上側電極16からそれぞれ延びる第1端子14a、第2端子16aが突出し(
図1では第1端子14aのみ図示)、図示しない外部コネクタと接続されるようになっている。
【0016】
そして、
図2の分解斜視図に示すように、ノッキングセンサ10は、筒状部12aと、筒状部12aの下端に位置する鍔部12bとを有する金属製の主体金具12を有している。筒状部12aの外周には、鍔部12b側から順に、それぞれ円環状の下側絶縁板13、下側電極14、圧電素子15、上側電極16、上側絶縁板13t、ウエイト17、及び皿バネ18が嵌め込まれ、下側絶縁板13が鍔部12b上に載置されている。
筒状部12aの上部外周面には雄ネジ部12xが形成され、一方でナット19の内面に雌ネジ部19yが形成されている。そして、ナット19を雄ネジ部12xに螺合することにより、下側絶縁板13から皿バネ18に至る積層体が鍔部12bとナット19との間に挟まれて固定され、センサ本体20を構成している。なお、筒状部12aの外周面には円筒状の絶縁スリーブ13sが嵌められ、下側電極14、圧電素子15及び上側電極16が筒状部12aに電気的に接続(接触)するのを防止している。
【0017】
ここで、下側絶縁板13は、主体金具12の鍔部12bの上面と下側電極板14との電気的な接続(接触)を防止するための部材であり、上側絶縁板13tは、上側電極板16とウエイト170との電気的な接続(接触)を防止するための部材である。上側絶縁板13t及び下側絶縁板13のそれぞれの厚みが、0.05mm〜0.50mm以下の範囲内で設定され、この厚み範囲を満たせば十分な体積抵抗が得られるので、この上側絶縁板13t及び下側絶縁板13は、汎用の樹脂材料で構成されている。本実施形態では、上側絶縁板13t及び下側絶縁板13は、PET(ポリエチレンテレフタレート)にて構成されており、それぞれの厚みは0.35mmとされ、体積抵抗は50GΩ以上である。
【0018】
一方、本実施形態のノッキングセンサ10では、センサ本体20を被覆する樹脂成形体11として、成型性に優れるポリフェニレンサルファイド(PPS)、または、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ETFE)から構成されている。ETFEは、下記の式1
-(CF
2-CF
2)
m-(CH
2-CH
2)
n ・・・(1)
(m,nは自然数)で表され、フッ素樹脂の特性を有しつつ、成形性(押出成形・射出成形等)を備えている。ETFEは、例えば旭硝子株式会社のフッ素樹脂ETFEとして市販されている。
【0019】
樹脂成形体11を構成する樹脂材料であるPPSまたはETFEは、150℃における表面抵抗率が1.0×10
10Ω以上であるばかりか、180℃における表面抵抗率が1.0×10
10Ω以上の値を示す(後述する
図4参照)。そのため、この材料によって樹脂成形体11を構成することで、ノッキングセンサが150℃以上といった高温下に晒された場合にも、上側絶縁板及び下側絶縁板を0.50mm以下と厚みが薄い状況でありながらも、ノッキングセンサ10の絶縁抵抗を全体として高くすることができる。
【0020】
図3は、種々の樹脂材料から構成した樹脂成形体11を有するノッキングセンサ10を作製し、絶縁抵抗を測定した結果を示す。なお、上側絶縁板13t及び上側絶縁板13は、厚み0.35mm、内径14.72mm、外径23.10mmのPETから構成されたものを用いた。
まず、樹脂成形体として従来のナイロン樹脂(
図3のPA66)を用いた場合、150℃で絶縁抵抗が10MΩ未満であるのに対し、樹脂成形体として本発明のポリフェニレンサルファイド(
図3のPPS)を用いた場合では、150℃で絶縁抵抗が10MΩ以上となった。
【0021】
図4は、各種樹脂の表面抵抗率を示す。絶縁抵抗が10MΩ未満であるナイロン樹脂(
図4のPA66)の場合、150℃における表面抵抗率が1.0×10
10Ω未満であった。一方、絶縁抵抗が10MΩ以上であるポリフェニレンサルファイド(
図4のPPS)の場合、150℃における表面抵抗率が1.0×10
10Ω以上となった。このことより、150℃における表面抵抗率が1.0×10
10Ω以上の樹脂成形体を用いることで、150℃以上でノッキングセンサを使用できることがわかる。
なお、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(
図4のETFE)の場合も、150℃における表面抵抗率が1.0×10
10Ω以上となり、本発明に使用できることがわかる。
この表面抵抗率は、JIS K6911に沿って求めたものであり、樹脂成形体110を構成する材料にてバルク体を形成し、そのバルク体の表面上に複数の円環状の電極を設けた試料体を準備して求めた。
【0022】
ここで、ノッキングセンサの絶縁抵抗は、主体金具12と上側電極16との間の絶縁抵抗、主体金具12と下側電極14との間の絶縁抵抗、上側電極16と下側電極14との間の絶縁抵抗、及び上側電極16とウエイト17との間の絶縁抵抗をそれぞれ測定し、それらのうち最も値の低い抵抗値として採用した。
【0023】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、ウエイト17を、別部材であるナット19にて皿バネ18を介して保持する構成を採ったが、皿バネ18を省略してもよいし、また、ウエイト及びナットを一体化した一部材にて構成してもよい。また、ナット19は、主体金具12に螺合にて固定する必要はなく、主体金具12の上部に対して溶接によって固着させてもよい。さらに、上記実施形態では、樹脂成形体11にコネクタ部11bを一体化させた構成を採用したが、コネクタ部を樹脂成形体から離間させると共に、ケーブルを介して両者を接続し、離間したコネクタ部から圧電素子15の出力を取り出すようにしてもよい。
【実施例】
【0024】
上側絶縁板13t及び下側絶縁板13として厚み0.35mm、内径14.72mm、外径23.10mmのPETを用い、圧電素子15としてPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用い、ウエイト17として鉄材料を用い、主体金具12として鉄材料を用い、樹脂成形体11としてそれぞれナイロン樹脂及びポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いて、ノッキングセンサ10を2個作製した。
得られたノッキングセンサ10の150℃での絶縁抵抗値を測定した。測定は、主体金具12と上側電極16との間の絶縁抵抗、主体金具12と下側電極14との間の絶縁抵抗、上側電極16と下側電極14との間の絶縁抵抗、及び上側電極16とウエイト17との間の絶縁抵抗をそれぞれ測定し、それらのうち最も値の低い抵抗値を採用した。なお、絶縁抵抗(絶縁抵抗値)は、絶縁抵抗計WT−8753(日置電機株式会社製)を用い、500Vの電圧を上記の各部材間に印加することにより測定した。
【0025】
得られた結果を
図3に示す。上記したように、樹脂成形体としてナイロン樹脂(
図3のPA66)を用いた場合、150℃で絶縁抵抗値が10MΩ未満であるのに対し、樹脂成形体としてポリフェニレンサルファイド(
図3のPPS)を用いた場合、150℃で絶縁抵抗値が10MΩ以上となった。なお、樹脂成形体としてナイロン樹脂を用いた場合の50℃での絶縁抵抗値、樹脂成形体としてポリフェニレンサルファイドを用いた場合の50℃及び100℃での絶縁抵抗値は絶縁抵抗計の測定の上限値を示したため、
図3ではその上限値を記載している。
このように、樹脂成形体としてポリフェニレンサルファイドを用いた本発明のノッキングセンサでは、高温下にて良好な絶縁特性を示すことが確認された。
【符号の説明】
【0026】
10 ノッキングセンサ
11 樹脂成形体
12 主体金具
12a 筒状部
12b 鍔部
13 下側絶縁板
13t 上側絶縁体
14 下側電極
15 圧電素子
16 上側電極
17 ウエイト
20 センサ本体