(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731756
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
F23N 5/24 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
F23N5/24 113Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-79502(P2010-79502)
(22)【出願日】2010年3月30日
(65)【公開番号】特開2011-208922(P2011-208922A)
(43)【公開日】2011年10月20日
【審査請求日】2013年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 晃
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 雄一
(72)【発明者】
【氏名】中田 知也
(72)【発明者】
【氏名】森川 勝美
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭56−082902(JP,A)
【文献】
実公平07−011319(JP,Y2)
【文献】
特開昭56−088507(JP,A)
【文献】
実開昭62−028202(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/24
G09B 9/00
G09B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給する電源部と、
第1,第2の端子を有し、これらの端子がそれぞれ前記電源部の第1、第2の端子に電気的に接続されて、前記電源部より電力が供給されることにより駆動する少なくとも1つの負荷と、
この負荷毎に設けられ、当該負荷の第1の端子と一端が接続された第1の電磁リレーと、
前記電源部の第1の端子に一端が接続され、他端が前記第1の電磁リレーの他端と接続された第2の電磁リレーと、
前記電源部の第2の端子と前記負荷の第2の端子との間に接続された第3の電磁リレーと、
前記第1の電磁リレー、前記第2の電磁リレーおよび前記第3の電磁リレーに対して駆動を制御する駆動信号を出力する制御部と、
前記第1〜第3の電磁リレーの駆動を検出し、この検出結果を前記制御部に出力する検出部と
を備え、
この検出部は、
前記第1の電磁リレーの駆動を検出し、この検出結果を前記制御部に出力する第1の検出部と、
前記第2の電磁リレーの駆動を検出し、この検出結果を前記制御部に出力する第2の検出部と、
前記第3の電磁リレーの駆動を検出し、この検出結果を前記制御部に出力する第3の検出部と
からなり、
前記制御部は、出力した前記駆動信号に基づく前記第1〜第3の検出部からの前記検出結果に基づいて、前記第1〜第3の電磁リレーの異常を検出し、
前記制御部は、前記第2の電磁リレーの異常の有無を検出するとき、前記第3の電磁リレーをオフさせる
ことを特徴とする制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼炉の燃焼を制御する制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボイラシステムなどの燃焼炉を備えたシステムにおいて、燃料バルブや点火トランスなどの燃焼炉の燃焼を制御する各構成要素に対して、配線ケーブルを介して通電を制御することによってその燃焼を制御するようにした制御装置システムが知られている。一般に、燃料バルブなどの各構成要素の制御には電磁リレーが用いられているが、リレー接点が溶着するなど電磁リレーが故障してしまうと、燃料流出などが生じる恐れがある。そこで、安全のためにリレーを2重に設けたり、リレーの接点の負荷側の電圧を測定して溶着を検出したりする技術が数多く提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−007329号公報
【特許文献2】特開2009−168404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単にリレーを2重に設けただけでは、両方に異常が生じた場合には対応することができなかった。また、負荷側の電圧を測定する技術では、一方が溶着している状態で他方をテスト等で動作させると負荷が誤動作する恐れがあった。このため、従来より、簡便に誤動作を防ぐことができる制御システムが要求されていた。
【0005】
そこで、本発明は、簡便に誤動作を防ぐことができる制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る制御システムは、電力を供給する電源部と、電力が供給されることにより駆動する少なくとも1つの負荷と、この負荷毎に設けられ、前記電源部に対して直列に接続された第1の電磁リレーと、前記電源部および第1の電磁リレーに対して直列に接続された第2の電磁リレーと、前記電源部、第1の電磁リレーおよび第2の電磁リレーに対して直列に接続された第3の電磁リレーと、前記第1の電磁リレー、前記第2の電磁リレーおよび前記第3の電磁リレーに対して駆動を制御する駆動信号を出力する制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
上記制御システムにおいて、前記第1〜第3の電磁リレーの駆動を検出し、この検出結果を前記制御部に出力する検出部をさらに備え、前記制御部は、出力した前記駆動信号に基づく前記検出部からの前記検出結果に基づいて、前記第1〜第3の電磁リレーの異常を検出するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1〜第3の電磁リレーを直列に接続するという簡便な構成を採ることにより、全ての電磁リレーが駆動しないと負荷に電力が供給されないので、負荷の誤動作を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明に係る制御システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る制御システムにおける異常検出動作を説明する図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る制御システムの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
<燃焼制御システムの構成>
図1に示すように、本実施の形態に係る燃焼制御システムは、電源1と、この電源1と2本の接続線2,3により直列に接続された負荷4と、接続線2に直列に接続された第1のリレーK1および第3のリレーK3と、接続線3に直列に接続された第2のリレーK2と、制御部5とを備えている。
【0012】
第1のリレーK1、第2のリレーK2および第3のリレーK3は、機械的接点を有する公知の電磁リレーから構成される。これらのうち、第1,第2のリレーK1,K2は、緊急遮断用のリレーであり、燃焼制御システムに異常が発生したときに接点を開状態(OFF状態)として負荷4の通電を遮断するものであり、通常は接点が閉状態(ON状態)となっている。一方、第3のリレーK3は、通常制御用のリレーであり、ON状態とOFF状態を切り換えることにより負荷4の駆動を制御するものである。このような第1〜第3のリレーK1〜K3は、制御部5から駆動信号が入力されると接点をON状態とし、駆動信号が入力されないと接点をOFF状態とする。また、第1〜第3のリレーK1〜K3には、その動作を検出する検出回路が設けられており、この検出結果(K1−FB,K2−FB,K3−FB)は制御部4に出力される。
【0013】
負荷4は、パイロットバルブ、メインバルブ、点火トランスなど、燃焼炉を制御する構成要素からなる。このような負荷4は、電源1から通電すると動作する。
【0014】
制御部5は、第1〜第3のリレーK1〜K3に対して駆動信号を出力することにより、第1〜第3のリレーK1〜K3の接点の開閉を制御する電気回路から構成される。また、制御部5は、第1〜第3のリレーK1〜K3に対して出力する駆動信号と、上述した検出回路から入力される検出結果とに基づいて、第1〜第3のリレーK1〜K3の異常を検出する異常検出動作を行う。この異常検出動作については後述する。
【0015】
このように、第1〜第3のリレーK1〜K3を直列に接続して、これら全てがON状態にならないと負荷4が動作しないという構成を採ることにより、第1〜第3のリレーK1〜K3の何れかが故障しても、負荷4が誤動作して燃料が流出する等の異常を防ぐことができる。
【0016】
<異常検出動作>
次に、
図2を参照して、制御部5による異常検出動作について説明する。なお、この異常検出動作は、基本的に起動時に行われるものである。
【0017】
まず、制御部5は、第1〜第3のリレーK1〜K3の全てに駆動信号を出力していない状態において、検出結果(K1−FB,K2−FB,K3−FB)から全ての第1〜第3のリレーK1〜K3がOFF状態であるか否かを確認する(ステップS1)。
【0018】
第1〜第3のリレーK1〜K3は、正常に動作している場合、制御部5から駆動信号が入力されない限り接点がOFF状態であり、通電しない。このような場合、第1〜第3のリレーK1〜K3の検出回路は、通電していることを示すパルス波形(電源1が交流の場合)を検出しないはずである。そこで、制御部5は、検出結果がパルス波形を示しているか否かを確認することにより、第1〜第3のリレーK1〜K3の全てがOFF状態であるか否かを確認する。何れかかの第1〜第3のリレーK1〜K3の検出結果がパルス波形を示している、すなわちON状態であることを確認すると、制御部5は、そのON状態のリレーまたはこのリレーの検出回路に異常があることを検出する。このように異常を検出した場合、制御部5は、続くステップに進まずに全ての処理を停止する。
【0019】
全ての第1〜第3のリレーK1〜K3がOFF状態であることを確認すると、制御部5は、第1のリレーK1に対して駆動信号を出力し、第1のリレーK1が正常に動作するか否かを確認する(ステップS2)。
【0020】
第1のリレーK1は、正常に動作している場合、制御部5から駆動信号が入力されると、接点がON状態となって通電する。すると、第1のリレーK1の検出回路は、その通電状態を示すパルス波形を検出し、これを検出結果(K1−FB)を制御部5に出力する。したがって、検出結果としてパルス波形が入力された場合、制御部5は、第1のリレーK1が正常に動作していることを検出する。一方、検出結果としてパルス波形が入力されない場合、制御部5は、第1のリレーK1またはこの第1のリレーK1の検出回路に異常があることを検出する。このように異常を検出した場合、制御部5は、続くステップに進まず、全ての処理を停止する。
【0021】
第1のリレーK1が正常に動作していることを確認すると、制御部5は、第1のリレーK1に対する駆動信号の出力を停止した後(ステップS3)、第2のリレーK2に対して駆動信号を出力し、第2のリレーK2が正常に動作するか否かを確認する(ステップS4)。
【0022】
第2のリレーK2は、正常に動作している場合、制御部5から駆動信号が入力されると、接点がON状態となって通電する。すると、第2のリレーK2検出回路は、その通電状態を示すパルス波形を検出し、これを検出結果(K2−FB)を制御部5に出力する。したがって、検出結果としてパルス波形が入力された場合、制御部5は、第2のリレーK2が正常に動作していることを検出する。一方、検出結果としてパルス波形が入力されない場合、制御部5は、第2のリレーK2またはこの第2のリレーK2の検出回路に異常があることを検出する。このように異常を検出した場合、制御部5は、続くステップに進まず、全ての処理を停止する。
【0023】
第2のリレーK2が正常に動作していることを確認すると、制御部5は、第3のリレーK3が正常に動作するか否かを確認するために、さらに第1のリレーK1に対して駆動信号を出力するとともに(ステップS5)、第3のリレーK3に対して駆動信号を出力する(ステップS6)。
【0024】
第1のリレーK1および第2のリレーK2の接点がON状態であるとき、第3のリレーK3は、正常に動作している場合、制御部5から駆動信号が入力されると、接点がON状態となって通電する。すると、第3のリレーK3検出回路は、その通電状態を示すパルス波形を検出し、これを検出結果(K3−FB)を制御部5に出力する。したがって、検出結果としてパルス波形が入力された場合、制御部5は、第3のリレーK3が正常に動作していることを検出する。一方、検出結果としてパルス波形が入力されない場合、制御部5は、第3のリレーK3またはこの第3のリレーK3の検出回路に異常があることを検出する。このように異常を検出した場合、制御部5は、続くステップに進まず、全ての処理を停止する。
【0025】
上述したような手順で第1〜第3のリレーK1〜K3の動作を確認することにより、それぞれの異常を確実に検出することができる。また、何れかのリレーまたは検出回路の異常を検出すると、全ての処理が停止されるので、燃料の流出等の異常を防ぐことができる。
【0027】
次に、燃焼制御システムの具体例を
図3に示す。
【0028】
図3に示す燃焼制御システムは、電源11のR相側に直列に接続された第1のリレーK11と、電源11のS相側に直列に接続された第2のリレーK12と、第1のリレーK11と第2のリレーK12との間に直列に接続された第3〜第5のリレーK13〜K15とを備えている。このような燃焼制御システムにおいて、第3のリレーK13にはパイロットバルブ16、第4のリレーK14にはメインバルブ17、第5のリレーK15には点火トランス18が接続されている。
【0029】
第1〜第3のリレーK11〜K15は、機械的接点を有する公知の電磁リレーから構成される。これらのうち、第1,第2のリレーK11,K12は、緊急遮断用のリレーであり、燃焼制御システムに異常が発生したときに接点をOFF状態としてパイロットバルブ16,メインバルブ17および点火トランス18への通電を遮断するものであり、通常は接点が閉状態(ON状態)となっている。一方、第3〜第5のリレーK13〜15は、通常制御用のリレーであり、ON状態とOFF状態を切り換えることにより接続されたパイロットバルブ16,メインバルブ17または点火トランス18の駆動を制御するものである。このような第1〜第5のリレーK11〜K15は、制御装置(図示せず)から駆動信号が入力されると接点をON状態とし、駆動信号が入力されないと接点をOFF状態とする。また、第1〜第5のリレーK11〜K15には、フォトカプラを備えた回路からなり、対応するリレーの動作を検出する検出回路21〜25が設けられており、この検出結果は制御装置に出力される。
【0030】
パイロットバルブ16は、燃焼炉内に設けられたサブバーナへ燃料を供給する燃料流路に設けられ、サブバーナへの燃料の供給を制御する公知のバルブから構成される。このようなパイロットバルブ16は、第1〜第3のリレーK11〜K13の接点がON状態となって通電することにより駆動する。
【0031】
メインバルブ17は、燃焼炉内に設けられたメインバーナへ燃料を供給する燃料流路に設けられ、メインバーナへの燃料の供給を制御する公知のバルブから構成される。このようなメインバルブ17は、第1,第2,第4のリレーK11,K12,K14の接点がON状態となって通電することにより駆動する。
【0032】
点火トランス18は、メインバーナおよびサブバーナの点火を制御する公知の点火トランスから構成される。このような点火トランス18は、第1,第2,第5のリレーK11,K12,K15の接点がON状態となって通電することにより駆動する。
【0033】
制御装置は、第1〜第5のリレーK11〜K15に対して駆動信号を出力することにより、第11〜第15のリレーK11〜K15の接点の開閉を制御する電気回路から構成される。また、制御装置は、第11〜第15のリレーK11〜K15に対して出力する駆動信号と、検出回路21〜25から入力される検出結果とに基づいて、
図2を参照して説明した異常検出動作と同等の、第1〜第5のリレーK11〜K15の異常を検出する異常検出動作を行う。
【0034】
このように、第1〜第5のリレーK11〜K15を直列に接続して、これら全てがON状態にならないとそれぞれの負荷が動作しないような構成を採ることにより、第1〜第5のリレーK11〜K15の何れかが故障しても、燃料の流出等の異常を防ぐことができる。また、制御装置により、第1〜第5のリレー11〜15の異常検出動作を行うことにより、それぞれの異常を確実に検出することができる。また、何れかのリレーまたは検出回路の異常を検出すると、全ての処理が停止されるので、燃料の流出等の異常を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、ボイラシステムなど電磁リレーを備えた各種装置やシステムに適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1,11…電源、2,3…接続線、4…負荷、5…制御部、16…パイロットバルブ、17…メインバルブ、18…点火トランス、K1,K11…第1のリレー、K2,K12…第2のリレー、K3,K13…第3のリレー、K14…第4のリレー、K5…第5のリレー。