特許第5731902号(P5731902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731902
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】漏電遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 83/02 20060101AFI20150521BHJP
   H01H 83/04 20060101ALI20150521BHJP
   G01R 31/327 20060101ALI20150521BHJP
   G01R 31/333 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   H01H83/02 H
   H01H83/04
   H01H83/02 E
   G01R31/32 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-113992(P2011-113992)
(22)【出願日】2011年5月20日
(65)【公開番号】特開2012-243642(P2012-243642A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智晴
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−119128(JP,A)
【文献】 特許第2774377(JP,B2)
【文献】 特開2004−096818(JP,A)
【文献】 実開平06−015247(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 83/00−83/22
G01R 31/327
G01R 31/333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の電力線で構成された電路の零相電流を検出する零相変流器と、所定の基準電圧と前記零相変流器の出力電圧波形の一方の極性の波形とを比較して漏電発生を判定するIC化された漏電検出回路と、漏電発生と判定したら電路上に設けられた開閉手段を開操作して電路を遮断する遮断手段と、疑似漏電電流を発生させて前記漏電検出回路をテストする漏電テスト回路を備えた漏電遮断器であって、
前記漏電検出回路が、同一の基準電圧で判定動作を行う第1漏電検出回路及び第2漏電検出回路の2回路で構成されると共に、前記零相変流器を構成するコア及びコイルのうち、少なくともコイルが前記第1及び第2漏電検出回路に対して独立に設けられ、
前記コイルの発生電圧が、前記第1及び第2の漏電検出回路に対して互いに逆相で入力され、双方の漏電検出回路のうち少なくとも一方が漏電発生と判定したら前記遮断手段が遮断動作する一方、
前記漏電テスト回路は、前記零相変流器に対して電源側の一方の電力線と負荷側の他方の電力線とを前記零相変流器を通過させず接続した第1電流路と、
前記零相変流器に対して電源側の他方の電力線と負荷側の一方の電力線とを前記零相変流器を通過させず接続した第2電流路と、
前記第1電流路に特定の1方向の電流のみを流す第1整流手段、及び前記第2電流路に特定の1方向の電流のみを流す第2整流手段と、
前記第1電流路及び前記第2電流路のうち何れか一方を選択して閉路する閉路手段とを有し、
前記閉路手段により双方の電流路を切り替えて閉路操作することで、逆方向の極性の零相電流を発生させることを特徴とする漏電遮断器。
【請求項2】
前記第1漏電検出回路に入力される零相変流器のコイルと、前記第2漏電検出回路に入力される零相変流器のコイルとは、同一の環状コアに巻回されて成ることを特徴とする請求項1記載の漏電遮断器。
【請求項3】
前記第1整流手段及び前記第2整流手段が、前記漏電検出回路に直流電源を供給するために前記零相変流器の負荷側の電路から分岐して設けられた全波整流回路であって、
前記第1電流路の前記他方の電力線に接続する電流路と、前記第2電流路の前記一方の電力線に接続される電流路とが、前記全波整流回路の負極出力部に一体に接続されたことを特徴とする請求項1又は2記載の漏電遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は漏電遮断器に関し、詳しくは直流成分が重畳された脈流漏電であっても交流の漏電と同様に良好に検出して遮断動作する漏電遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電設備が一般家庭に普及している。また、電気自動車の実用化により、その充電設備が一般家庭に普及し始めている。ところが、このような設備は交流/直流変換が実施されるため、漏電が発生した場合は直流成分が重畳された脈流電流による漏電の発生が考えられる。しかしながら、従来の漏電遮断器は図6に示すよな回路構成となっており、脈流電流に対しては正しく検知できなかった。
【0003】
具体的に、図6において、21は電路Lの零相電流を検出する零相変流器、22はIC化された漏電検出回路、23は電路Lを遮断操作するトリップコイル、24は漏電検出回路22に電源を供給するための整流回路であり、零相変流器21を使用して電路Lの漏電を検出している。
漏電検出回路22は、定電圧回路22a、漏電を判定するための基準電圧を生成する基準電圧生成回路22b、検出した零相電流と基準電圧を比較する差動増福回路で構成される比較回路22c、判定結果を保持するラッチ回路22d等を備え、零相変流器21が検出した漏電電流波形(電圧波形で出力される)に対して、比較回路22cが正負何れか一方の極性の半波に対して閾値(基準電圧)と比較して判定動作する。そのため、例えば正の半波に対して比較回路22cが判定動作する構成の場合、負の直流成分が重畳された漏電が発生した場合、漏電が発生しても検知できない状況が発生した。
このような背景から、直流成分が重畳された漏電電流であっても確実に漏電を検知する“A型”と称される漏電遮断器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−14478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたA型の漏電遮断器は、IC化された汎用の漏電検出回路に加えて、複数の零相変流器やホール素子、更に直流変換回路を必要とするためコスト高であった。また、新たな回路を追加するために信頼性に不安があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、IC化された漏電検出回路を引き続き使用して正負何れの直流が重畳された脈流漏電であっても、別途判定回路を設けずに所定の大きさの漏電電流が発生したら確実に漏電を検知して遮断動作する漏電遮断器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の発明は、2本の電力線で構成された電路の零相電流を検出する零相変流器と、所定の基準電圧と前記零相変流器の出力電圧波形の一方の極性の波形とを比較して漏電発生を判定するIC化された漏電検出回路と、漏電発生と判定したら電路上に設けられた開閉手段を開操作して電路を遮断する遮断手段と、疑似漏電電流を発生させて前記漏電検出回路をテストする漏電テスト回路を備えた漏電遮断器であって、前記漏電検出回路が、同一の基準電圧で判定動作を行う第1漏電検出回路及び第2漏電検出回路の2回路で構成されると共に、前記零相変流器を構成するコア及びコイルのうち、少なくともコイルが前記第1及び第2漏電検出回路に対して独立に設けられ、前記コイルの発生電圧が、前記第1及び第2の漏電検出回路に対して互いに逆相で入力され、双方の漏電検出回路のうち少なくとも一方が漏電発生と判定したら前記遮断手段が遮断動作する一方、前記漏電テスト回路は、前記零相変流器に対して電源側の一方の電力線と負荷側の他方の電力線とを前記零相変流器を通過させず接続した第1電流路と、前記零相変流器に対して電源側の他方の電力線と負荷側の一方の電力線とを前記零相変流器を通過させず接続した第2電流路と、前記第1電流路に特定の1方向の電流のみを流す第1整流手段、及び前記第2電流路に特定の1方向の電流のみを流す第2整流手段と、前記第1電流路及び前記第2電流路のうち何れか一方を選択して閉路する閉路手段とを有し、前記閉路手段により双方の電流路を切り替えて閉路操作することで、逆方向の極性の零相電流を発生させることを特徴とする。
この構成によれば、第1漏電検出回路と第2漏電検出回路とは互いに逆相の電圧波形により漏電を判定するので、漏電電流に直流成分が重畳されて正負非対称な脈流漏電であっても、何れか一方の漏電検出回路が漏電発生を検出して確実に電路を遮断することができる。そのため、漏電検出回路として汎用のIC化された回路を引き続き使用し、別途判定回路等を設けることなくA型の漏電遮断器を構成でき、信頼度の高い漏電遮断器を構成できる。
そして、閉路手段の操作で第1電流路及び第2電流路の何れかに電流を通電させて疑似漏電を発生させることができ、第1電流路と第2電流路とでは特定の方向の電流が流れるので、正負双方の極性の漏電電流を選択して発生させることが可能であり、2つの漏電検出回路をそれぞれ個別にテストできる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、前記第1漏電検出回路に入力される零相変流器のコイルと、前記第2漏電検出回路に入力される零相変流器のコイルとは、同一の環状コアに巻回されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、1つの環状コアで2つの出力を有する零相変流器を構成するため、零相変流器設置スペースを拡張しなくて済む。
【0010】
請求項の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記第1整流手段及び前記第2整流手段が、前記漏電検出回路に直流電源を供給するために前記零相変流器の負荷側の電路から分岐して設けられた全波整流回路であって、前記第1電流路の前記他方の電力線に接続する電流路と、前記第2電流路の前記一方の電力線に接続される電流路とが、前記全波整流回路の負極出力部に一体に接続されたことを特徴とする。
この構成によれば、漏電検出回路の電源を生成する全波整流回路を利用して特定方向の疑似漏電電流を発生させるので、第1電流路及び第2電流路に別途整流手段を設ける必要がない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1漏電検出回路と第2漏電検出回路とは互いに逆相の電圧波形により漏電を判定するので、漏電電流に直流成分が重畳されて正負非対称な脈流漏電であっても、何れか一方の漏電検出回路が漏電発生を検出して確実に電路を遮断することができる。そのため、漏電検出回路として汎用のIC化された回路を引き続き使用し、別途判定回路等を設けることなくA型の漏電遮断器を構成でき、信頼度の高い漏電遮断器を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る漏電遮断器の一例を示す回路図である。
図2図1の回路において、漏電テスト回路を変更した漏電遮断器の回路図である。
図3】漏電遮断器の他の例を示す回路図である。
図4図3の回路において、漏電テスト回路を変更した漏電遮断器の回路図である。
図5】漏電遮断器の他の例を示す回路図である。
図6】従来の漏電遮断器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る漏電遮断器の一例を示す回路図であり、1は電源側端子、2は負荷側端子、3は電源側端子1と負荷側端子2の間の電路Lを開閉する開閉接点、4は零相変流器、5は開閉接点4を開操作して電路Lを遮断するためのトリップコイル、6は漏電が発生したら遮断信号を出力する漏電遮断回路、7は漏電発生を判断するIC化された漏電検出回路(第1漏電検出回路7a,第2漏電検出回路7b)、8は漏電検出回路7を動作させるための電源回路を構成する全波整流回路、10は漏電遮断回路6の動作テストを行うための漏電テスト回路である。尚、電路Lは2本の電力線L1,L2で構成されている。
【0014】
零相変流器4は、電路Lを挿通した1個の環状コアCに第1コイルM1及び第2コイルM2の2つのコイルが独立して巻回された零相変流器4aであり、第1コイルM1は第1漏電検出回路7aに検出した零相電流情報を出力し、第2コイルM2は第2漏電検出回路7bに検出した零相電流情報を出力するよう接続されている。ただし、双方のコイルM1,M2は互いに逆相の電流情報を出力するよう接続されている。
【0015】
第1漏電検出回路7a及び第2漏電検出回路7bは同一のICが使用され、例えば日本電気株式会社製バイポーラアナログ集積回路μPC1702が使用される。この回路は、上記図6の漏電遮断回路22と同様の回路構成であり、8端子から成る端子を備えて第1端子が基準電圧発生端子、第2端子が比較回路入力端子、第3端子がGND端子、第4端子が比較回路出力端子、第5端子がラッチ回路入力端子、第7端子がラッチ回路出力端子、第8端子が電源端子である。
そして、内部に備えられている比較回路は、入力される正負の極性の電圧情報のうち特定の一方の極性の電圧情報と閾値とを比較して判定動作する。
【0016】
零相変流器4aのそれぞれのコイルM1,M2の引出線間には抵抗RLが接続され、第1コイルM1及び第2コイルM2が出力する零相電流情報は電圧に変換されて出力され、双方の漏電検出回路7a,7bの比較回路入力端子である第2端子に入力される。但し、第1漏電検出回路7aと第2漏電検出回路7bとでは、逆相の電圧情報が入力されるよう引出線は互いに反転されて接続される。
そして、漏電判定出力であるラッチ回路出力(第7端子)はダイオードD2,D3を用いたOR回路を介してサイリスタZ1のゲートに接続される。
【0017】
漏電テスト回路10は、零相変流器4a設置部位より負荷側の電路Lの間に接続された電流路10aにスイッチ11を設けて構成され、途中零相変流器4aのコアCに挿通されている。このスイッチ11のオン操作で何れか一方の漏電検出回路7が検知動作してトリップコイル5がトリップ動作して電路Lが遮断される。
【0018】
このように構成された漏電遮断器は次のように動作する。但し、上述したように第1漏電検出回路7aと第2漏電検出回路7bとは互いに逆相の電圧情報に対して判定するため、ここでは、第1漏電検出回路7aが零相変流器4aが出力する交流電圧波形のうち、正極の電圧波形と基準電圧発生端子(第1端子)から出力される所定の閾値とを比較し、第2漏電検出回路7bが零相変流器4aが出力する交流電圧波形のうち、負極の電圧波形と基準電圧発生端子から出力される所定の閾値とを比較するものとする。
【0019】
今、正極性の直流が重畳された漏電が発生した場合、零相変流器4aの出力交流電圧波形は、負極性の波形に対して正極性の波形が大きい交流電圧波形が出力される。すると、正極性の電圧波形が最初に閾値に達する。尚、第1漏電検出回路7a及び第2漏電検出回路7bの閾値は同一値である。
従って、第1漏電検出回路7aの比較回路が漏電発生を検知し、比較回路出力端子(第4端子)から信号(漏電検出信号)が出力される。
【0020】
逆に、負極性の直流が重畳された漏電が発生した場合は、零相変流器4aの出力交流電圧波形は、正極性に対して負極性の波形が大きい交流電圧波形が出力される。この場合は、第2漏電検出回路7bの比較回路が漏電発生を検知し、比較回路出力端子から信号(漏電検出信号)が出力される。この結果、零相変流器4aの出力する正負双方の極性に対して設定された閾値を超える漏電が発生したら(波形ピーク値が閾値を超えたら)漏電発生の判定を実施する。
また、直流成分のない正負対称の交流電圧波形が零相変流器4aから出力された場合は、2つの漏電検出回路7a,7bのうち最初に閾値を超えた方が漏電検出信号を出力する。
【0021】
こうして第1漏電検出回路7a或いは第2漏電検出回路7bの第4端子から出力された信号(漏電検出信号)は、それぞれのラッチ回路(第5端子)に入力される。漏電検出信号がラッチ回路に入力されると、ラッチ回路出力端子(第7端子)からトリップコイル5の起動信号が出力され、ダイオードD2,D3を介してサイリスタZ1のゲートに供給され、サイリスタZ1がオンしてトリップコイル5がトリップ動作する。こうして、開閉接点3が開動作して電路Lが遮断される。
【0022】
このように、第1漏電検出回路7aと第2漏電検出回路7bとは互いに逆相の電圧波形により漏電を判定するので、漏電電流に直流成分が重畳されて正負非対称な脈流漏電であっても、何れか一方の漏電検出回路7が漏電発生を検出して確実に電路を遮断することができる。そのため、漏電検出回路7として汎用のIC化された回路を引き続き使用し、別途判定回路等を設けることなくA型の漏電遮断器を構成でき、信頼度の高い漏電遮断器を構成できる。
また、1つの環状コアCで2つの出力を有する零相変流器4aを構成するため、零相変流器設置スペースを拡張しなくて済む。
【0023】
図2図1の漏電遮断器において漏電テスト回路を変更した構成を示し、上記図1と共通する回路や素子には同一の符号を付与してある。12が漏電テスト回路であり、漏電検出回路7等他の回路は同一の構成となっている。以下、漏電テスト回路12を説明する。
【0024】
漏電テスト回路12は、零相変流器4aの電源側電路Lの双方の電力線L1,L2と、零相変流器4aの負荷側に設けられたダイオードブリッジ回路で構成された全波整流回路8の出力部(正極出力部P1及び負極出力部P2)のうち、負極出力部P2との間に電流路を設けて形成されている。この電流路は、一方の電力線L1に接続された第1電流路12aと他方の電力線L2に接続される第2電流路12bとを有し、双方の電流路12a,12bは、通電する電流路を選択する切替スイッチ13を介して1本に統合され、全波整流回路8の負極出力部P2に接続されている。
【0025】
切替スイッチ13により電流路を選択することで、図2に示すように一方の電力線L1から全波整流回路8を介して他方の電力線L2に電流i1が流れる回路と、他方の電力線L2から全波整流回路8、トリップコイル5を介して一方の電力線L1に電流i2が流れる回路とが選択される。尚、R2は電流路を流れる電流を規制するための抵抗である。
【0026】
この結果、第1電流路12aが閉路して通電した場合と、第2電流路12bが閉路して通電した場合とで、逆方向の疑似漏電電流が発生し、零相変流器4aが零相電流として検知する。例えば第1電流路12aを通電すれば第1漏電検出回路7aが漏電検知動作してトリップコイル5が動作して電路Lが遮断されるし、第2電流路12bを通電すれば第2漏電検出回路7bが漏電検知動作してトリップコイル5が動作して電路Lが遮断される。
【0027】
このように、切替スイッチ13の操作で第1電流路12a及び第2電流路12bの何れかに電流を通電させることで疑似漏電を発生させることができる。そして、第1電流路12aと第2電流路12bとでは特定の方向の電流が流れるので、正負双方の極性の漏電電流を選択して発生させることができ、2つの漏電検出回路7a,7bをそれぞれ個別にテストできる。
また、漏電検出回路7の電源を生成するための全波整流回路8を利用して特定方向の疑似漏電電流を発生させるので、第1電流路12a及び第2電流路12bに別途整流手段を設ける必要がない。
【0028】
図3は本発明の漏電遮断器の他の形態を示している。上記図1とは零相変流器4が異なり、漏電検出回路7など他の構成は同一である。共通する回路や素子には同一の符号を付与してある。以下、零相変流器4を説明する。
零相変流器4は、電路Lを挿通する環状コアCにコイルが巻回されて形成されている点は図1の零相変流器4aと共通であるが、第1コイルM1と第2コイルM2とが連続して形成され、全体が1個のコイルとして形成された零相変流器4bとなっている。この結果、引出線のうちコイル中央部の引出線Naは第1コイルM1と第2コイルM2とで共通となり、全体の引出線は3本で構成され、配線数を削減できる。
【0029】
尚、図3の漏電遮断器においても、零相変流器4bを通過させた電流路10aを有する漏電テスト回路10を備えているが、上記図2の漏電テスト回路12を採用して第1漏電検出回路7a及び第2漏電検出回路7bを個別にテストできるよう構成しても良い。図4は漏電テスト回路12を図3の漏電遮断器に採用した回路図を示している。
また上記実施形態では、1個の環状コアCに第1コイルM1と第2コイルM2と設けて零相変流器4の設置スペースを削減しているが、双方の漏電検出回路7a,7bに対して全く独立した零相変流器4を設けても良い。図5はこのような場合を示し、第1コイルM1及び第2コイルM2はそれぞれ独立したコアCに件介した2つの零相変流器4c,4cとし、漏電電流に対して正の波形と負の波形を独立した回路で検出する構成としている。そして、この場合も図2に示すような漏電テスト回路12を設けることができる。
【符号の説明】
【0030】
1・・電源側端子、2・・負荷側端子、3・・開閉接点(開閉手段)、4(4a,4b,4c)・・零相変流器、5・・トリップコイル(遮断手段)、6・・漏電遮断回路、7・・漏電検出回路、7a・・第1漏電検出回路、7b・・第2漏電検出回路、8・・全波整流回路(第1整流手段、第2整流手段)、12・・漏電テスト回路、12a・・第1電流路。12b・・第2電流路、13・・切替スイッチ、L1・・第1電力線、L2・・第2電力線、C・・環状コア、M1・・第1コイル、M2・・第2コイル、P2・・負極出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6