(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731916
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20150521BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-142013(P2011-142013)
(22)【出願日】2011年6月27日
(65)【公開番号】特開2013-6253(P2013-6253A)
(43)【公開日】2013年1月10日
【審査請求日】2013年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】富田 章文
(72)【発明者】
【氏名】清原 隆志
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−136777(JP,U)
【文献】
特開2009−039058(JP,A)
【文献】
特開2001−064903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25B 21/00
B25B 23/00
B25D 9/00−16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の半割ハウジングを組み付けて形成されたハウジングにモータを収容する電動工具であって、
各前記半割ハウジングは、前記モータの冷却風を前記ハウジングの内部に吸気する吸気口と、前記冷却風を前記ハウジングの外部へ排出する排気口と、を有し、
各前記半割ハウジングは、前記吸気口又は前記排気口よりも下方に配置されて、各前記半割ハウジングの内部と外部とを連通させる排水口を有し、
各前記半割ハウジングの内面には、前記吸気口又は前記排気口よりも下方で前記排水口よりも上方に配置されて、前記吸気口又は前記排気口から各前記半割ハウジングの内部に浸入した水を前記排水口へ誘導する複数の線状溝を、前記半割ハウジングの上下方向に対して斜めに配列した網目状に形成したことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
左右の半割ハウジングを組み付けて形成されたハウジングに、モータを収容する電動工具であって、
各前記半割ハウジングは、前記モータの冷却風を前記ハウジングの内部に吸気する吸気口と、前記冷却風を前記ハウジングの外部へ排出する排気口と、を有し、
各前記半割ハウジングは、前記吸気口又は前記排気口よりも下方に配置されて、各前記半割ハウジングの内部と外部とを連通させる排水口を有し、
各前記半割ハウジングの内面に、
前記吸気口又は前記排気口よりも下方で前記排水口よりも上方に配置されて、前記吸気口又は前記排気口から各前記半割ハウジングの内部に浸入した水を前記排水口側へ誘導する複数の線状溝と、
上端部が前記線状溝に到達して下端部が前記排水口に向かうように突設された排水用リブと、
を有することを特徴とする電動工具。
【請求項3】
左右の半割ハウジングを組み付けて形成されたハウジングに、モータを収容する電動工具であって、
各前記半割ハウジングは、前記モータの冷却風を前記ハウジングの内部に吸気する吸気口と、前記冷却風を前記ハウジングの外部へ排出する排気口と、を有し、
各前記半割ハウジングは、前記吸気口又は前記排気口よりも下方に配置されて、各前記半割ハウジングの内部と外部とを連通させる排水口を有し、
各前記半割ハウジングの内面に、
前記吸気口又は前記排気口よりも下方で前記排水口よりも上方に配置されて、前記吸気口又は前記排気口から各前記半割ハウジングの内部に浸入した水を前記排水口へ誘導する誘導溝を、各半割ハウジング内に設けられたスイッチの配置部を挟んで前記吸気口側又は前記排気口側と、前記排水口側と、に分離して形成し、
前記誘導溝を、複数の線状溝で形成したことを特徴とする電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開口部を備えたハウジングの前記開口部よりも下方側に、ハウジングの内部と外部とを連通させる排水口を開設した電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、モータを収容するハウジングに、モータの冷却用空気を導入する吸気口を設けたインパクトドライバが開示されている。また近年のインパクトドライバでは、モータの収容部に連設されて下方に延びてハウジングを構成するハンドル部に、ハンドル部の内部と外部とを連通させる排水口を開設することで、吸気口等の開口部からハウジングの内部に誤って水が浸入した場合でも、排水口からハンドル部の外部に水を排出することがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−72867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のインパクトドライバに代表される電動工具のハウジングの内部に水が浸入した場合には、ハウジングの内面に水が付着して留まることがあった。このため、ハウジングに排水口を開設したにもかかわらず、ハウジングの内部に浸入した水を十分にハウジングの外部へ排出できないことが懸念されていた。
【0005】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、開口部からハウジングの内部に浸入した水をハウジングの外部に排出する性能を向上させた電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る電動工具は、
左右の半割ハウジングを組み付けて形成されたハウジングにモータを収容する電動工具であって、
各前記半割ハウジングは、前記モータの冷却風を前記ハウジングの内部に吸気する吸気口と、前記冷却風を前記ハウジングの外部へ排出する排気口と、を有し、各前記半割ハウジングは、前記吸気口又は前記排気口よりも下方に配置されて、各前記半割ハウジングの内部と外部とを連通させる排水口を有し、各前記半割ハウジングの内面には、前記吸気口又は前記排気口よりも下方で前記排水口よりも上方に配置されて、前記吸気口又は前記排気口から各前記半割ハウジングの内部に浸入した水を前記排水口へ誘導する
複数の線状溝を、前記半割ハウジングの上下方向に対して斜めに配列した網目状に形成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、
左右の半割ハウジングを組み付けて形成されたハウジングに、モータを収容する電動工具であって、各前記半割ハウジングは、前記モータの冷却風を前記ハウジングの内部に吸気する吸気口と、前記冷却風を前記ハウジングの外部へ排出する排気口と、を有し、各前記半割ハウジングは、前記吸気口又は前記排気口よりも下方に配置されて、各前記半割ハウジングの内部と外部とを連通させる排水口を有し、各前記半割ハウジングの内面に、前記吸気口又は前記排気口よりも下方で前記排水口よりも上方に配置されて、前記吸気口又は前記排気口から各前記半割ハウジングの内部に浸入した水を前記排水口側へ誘導する複数の線状溝と、上端部が前記線状溝に到達して下端部が前記排水口に向かうように突設された排水用リブと、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、
左右の半割ハウジングを組み付けて形成されたハウジングに、モータを収容する電動工具であって、各前記半割ハウジングは、前記モータの冷却風を前記ハウジングの内部に吸気する吸気口と、前記冷却風を前記ハウジングの外部へ排出する排気口と、を有し、各前記半割ハウジングは、前記吸気口又は前記排気口よりも下方に配置されて、各前記半割ハウジングの内部と外部とを連通させる排水口を有し、各前記半割ハウジングの内面に、前記吸気口又は前記排気口よりも下方で前記排水口よりも上方に配置されて、前記吸気口又は前記排気口から各前記半割ハウジングの内部に浸入した水を前記排水口へ誘導する誘導溝を、各半割ハウジング内に設けられたスイッチの配置部を挟んで前記吸気口側又は前記排気口側と、前記排水口側と、に分離して形成し、前記誘導溝を、複数の線状溝で形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1
〜3の発明に係る電動工具によれば、開口部からハウジングの内部に浸入した水を、誘導溝で排水口に誘導して排水口からハウジングの外部に排出できる。したがって、ハウジングの内部に浸入した水をハウジングの外部に排出する性能が向上する。
請求項
1〜3の発明によれば、複数の線状溝を網目状に配列することで、開口部から排水口へ向けた水の流路を枝分かれさせて複数形成することが可能になる。よって、開口部からハウジングの内部に浸入した水を効率良く排水口からハウジングの外部に排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1のインパクトドライバの本体ハウジングを構成する半割ハウジングの内面図である。
【
図2】実施形態1の半割ハウジングの部分拡大斜視図である。
【
図3】実施形態2のインパクトドライバの本体ハウジングを構成する半割ハウジングの内面図である。
【
図4】実施形態2の半割ハウジングの部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1及び
図2を参照しつつ説明する。インパクトドライバの本体ハウジング1は、樹脂製の左右の半割ハウジングを組み付けて形成される。
図1及び
図2には、右半割ハウジング1Rを示した。この右半割ハウジング1Rは、右側胴体部2Rと、右側ハンドル部3Rと、右側バッテリー装着部4Rとを有する。
【0012】
右側胴体部2Rと、左半割ハウジング(図示せず。)の左側胴体部とによって、インパクトドライバの前後方向(
図1の左右方向)に延びる筒状の胴体部2が形成される。この胴体部2の内部にはモータ(図示せず。)が収容される。右半割ハウジング1Rには、モータの近傍位置に吸気口5及び排気口6がそれぞれ複数形成されている。左半割ハウジングにも、右半割ハウジング1Rと同様に吸気口及び排気口がそれぞれ複数形成されている。複数の吸気口5は、胴体部2の内部にモータの冷却風を吸気するために用いられる。複数の排気口6は、前記冷却風を胴体部2の外部へ排出するために用いられる。なお、インパクトドライバは本発明の電動工具の一例である。また右半割ハウジング1Rは本発明のハウジングの一例であり、吸気口5及び排気口6は本発明の開口部の一例である。
【0013】
右側ハンドル部3Rと、左半割ハウジングの左側ハンドル部とによって、インパクトドライバの側面視で略T字形状となるように、ハンドル部3が胴体部2から連設されている。ハンドル部3の内部には、開口7からトリガを露出させた状態でスイッチ(図示せず。)が収容されている。右側ハンドル部3Rの内面には、インパクトドライバの上下方向(
図1の上下方向)でスイッチよりも下側の位置に、側面形状が緩やかなS字状とされたシール部材8が配置されている。右側ハンドル部3Rと左側ハンドル部とを組み付けた状態ではシール部材8は、ハンドル部3の内部でスイッチと後述のバッテリー装着部4との間に当たる位置に嵌装される。シール部材8には、上下方向(
図1の上下方向)にシール部材8を貫通するリード線通し孔が形成されている。シール部材8を境界としてハンドル部3の上側内部と下側内部との間には、リード線通し孔を除き隙間が生じることを防止できる。なお、開口7は本発明の開口部の一例である。
【0014】
さらに右側ハンドル部3Rには、右側ハンドル部3Rの根元に当たる右側バッテリー装着部4Rとの境界付近の位置に排水口9が開設されている。この排水口9は、S字形状を形成するシール部材8の下側傾斜部8Aの下端の際に位置し、右半割ハウジング1Rの内部と外部とを連通させる。下側傾斜部8Aは、排水口9側に下り傾斜している。また左側ハンドル部にも、右側ハンドル部3Rとの組み付け状態で排水口9と対向する位置に、左半割ハウジングの内部と外部とを連通させる排水口が開設されている。
【0015】
右側バッテリー装着部4Rと、左半割ハウジングの左側バッテリー装着部とによって、ハンドル部3の下端にはバッテリー装着部4が形成されている。バッテリー装着部4にはバッテリーパック(図示せず。)が着脱自在に装着される。バッテーパックは、シール部材8のリード線通し孔に挿通されるリード線によりスイッチと電気的に接続されている。
【0016】
本実施形態では右側ハンドル部3Rの内面に、複数の線状溝10と排水用リブ11とが形成されている。複数の線状溝10は、例えば吸気口5、排気口6やハンドル部3からトリガを露出させる開口7から本体ハウジング1の内部に誤って浸入した雨水を排水口9へ誘導するために用いられる。ここではスイッチの配置部Pを除く右側ハンドル部3Rの内面に、複数の線状溝10が、右側ハンドル部3Rの上下方向と前後方向とに対して斜めに配列した網目状に設けられている。排水用リブ11は、右側ハンドル部3Rの内面に突設されている。この排水用リブ11は、前記配置部Pを避けて右側ハンドル部3Rの前後方向の略中央位置から斜め下方の排水口9に向かうように湾曲した形状を有する。なお、複数の線状溝10は本発明の誘導溝の一例である。
【0017】
図1及び
図2に示すように右側ハンドル部3Rの上方側内面には、多数の線状溝10の終端が排水用リブ11の上端部に到達するように配列されている。一方、右側ハンドル部3Rの下方側内面には、多数の線状溝10の終端がシール部材8のS字形状を形成する上側傾斜部8Bに到達するように配列されている。この上側傾斜部8Bは、排水口9側へ下り傾斜している。加えて排水用リブ11の下端部は、前記下方側内面における一部の線状溝10に到達する。
【0018】
次に吸気口5、排気口6や開口7から本体ハウジング1の内部に浸入した雨水を排水口9から排出する動作を説明する。まず吸気口5や排気口6から胴体部2の内部に浸入した雨水は、ハンドル部3を形成する右半割ハウジング1R及び左半割ハウジングの各内面とスイッチとの間の隙間等を通じてハンドル部3の内部を流下する。このとき右半割ハウジング1Rの内面上の雨水は、右側ハンドル部3Rの上方側内面に配列した線状溝10に沿って流れて排水用リブ11に到達する。本実施形態では複数の線状溝10を網目状に配列したことで、枝分かれされた複数の雨水の流路を形成できる。したがって、雨水を右半割ハウジング1Rの内面に残留させずに排水用リブ11に到達させることが可能になる。
【0019】
排水用リブ11に到達した雨水は、この排水用リブ11に沿って流下することで右側ハンドル部3Rの下方側内面に配列した線状溝10に誘導される。その後雨水はこの線状溝10に沿って流れてシール部材8の上側傾斜部8Bに到達する。そして上側傾斜部8Bに到達した雨水は、各傾斜部8B、8Aを流下することで排水口9に誘導される。その結果雨水は、ハンドル部3の内部から排水口9を通過してハンドル部3の外部に排出される。
【0020】
ここでは、右半割ハウジング1Rの内面に配列した線状溝10を用いて本体ハウジング1の内部に浸入した雨水を排水口9から排出する例を示したが、左半割ハウジングの内面に配列した線状溝によっても、右半割ハウジング1Rの例と同様に、雨水を排水口9からハンドル部3の外部に排出できる。
【0021】
一方、開口7からハンドル部3の内部に浸入した雨水は、シール部材8に向けて流下する。このとき右半割ハウジング1Rの内面上の雨水は、右側ハンドル部3Rの下方側内面に配列した線状溝10に沿って流れてシール部材8の上側傾斜部8Bに到達する。上側傾斜部8Bに到達した雨水は、吸気口5や排気口6から胴体部2の内部に雨水が浸入した場合と同様に、各傾斜部8B、8Aを流下した後に排水口9を通過してハンドル部3の外部に排出される。左半割ハウジングの内面上の雨水も、右半割ハウジング1Rの例と同様に排水口9を通過してハンドル部3の外部に排出される。
【0022】
<実施形態1の効果>
本実施形態のインパクトドライバでは、吸気口5、排気口6から胴体部2の内部に誤って浸入した雨水や開口7からハンドル部3の内部に誤って浸入した雨水を、複数の線状溝10を用いて排水口9に誘導することで排水口9からハンドル部3の外部に排出できる。したがって、本体ハウジング1(胴体部2、ハンドル部3)の内部に浸入した雨水を、本体ハウジング1の外部に排出する性能が向上する。
【0023】
また、右半割ハウジング1Rや左半割ハウジングの各内面に、複数の線状溝10を網目状に配列することで、吸気口5、排気口6や開口7から排水口9に向けた雨水の流路を枝分かれさせて複数形成することが可能になる。よって、吸気口5、排気口6や開口7から本体ハウジング1の内部に浸入した雨水を効率良く排水口9から本体ハウジング1の外部に排出できる。
【0024】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を
図3及び
図4を参照しつつ説明する。ここでは実施形態1と同一の構成は同一の符号を付しその説明を省略する。
図3及び
図4には、インパクトドライバの本体ハウジング1Aを形成する右半割ハウジング21Rを示した。本実施形態では、スイッチの配置部Pを除く右側ハンドル部3Rの内面に、複数の線状溝10Aが形成されている。複数の線状溝10Aは、右側ハンドル部3Rの前後方向に所定間隔をおいて互いに平行で右側ハンドル部3Rの上下方向へ直線状に配列されている。
【0025】
図3及び
図4に示すように右側ハンドル部3Rの上方側内面には、1つの線状溝10Aの終端が排水用リブ11の上端部に到達するように配置されている。
図3に示すように、各線状溝10Aの始端側(
図3の上方側)には吸気口5や排気口6が位置し、各線状溝10Aの終端側(
図3の下方側)には排水口9が位置する。加えて前記上方側内面では、前記1つの線状溝10Aを除く他の線状溝10Aの終端が、終端同士を繋いで延設された第1連続溝10Bによって繋がれている。さらに第1連続溝10Bの終端は、前記1つの線状溝10Aの略中間位置に繋がれている。なお、複数の線状溝10Aは本発明の誘導溝の一例である。
【0026】
一方、右側ハンドル部3Rの下方側内面には、1つの線状溝10Aの始端が排水用リブ11の下端部に到達するように配置されている。
図3に示すように、各線状溝10Aの始端側には開口7が位置し、各線状溝10Aの終端側には排水口9が位置する。加えて前記下方側内面では、すべての線状溝10Aの終端が、終端同士を繋いで延設された第2連続溝10Cによって繋がれている。この第2連続溝10Cは、シール部材8の上側傾斜部8Bに沿って配置されることで、排水口9側に下り傾斜している。第2連続溝10Cの下端は、右側ハンドル部3Rの内側面に到達する。
【0027】
次に吸気口5、排気口6や開口7から本体ハウジング1Aの内部に誤って浸入した雨水を排水口9から排出する動作を説明する。以下では右半割ハウジング21Rの内面に配列した線状溝10Aを用いて雨水を排出する例を示すが、左半割ハウジングの内面に配列した線状溝によっても、右半割ハウジング21Rの例と同様に、雨水を排出できる。吸気口5や排気口6から本体ハウジング1Aの内部に雨水が浸入すると、右半割ハウジング21Rの内面上の雨水は、右側ハンドル部3Rの上方側内面に配列した線状溝10Aに沿って流下する。本実施形態では、複数の線状溝10Aを右側ハンドル部3Rの前後方向に所定間隔をおいて互いに平行で右側ハンドル部3Rの上下方向へ直線状に配列したことで、吸気口5や排気口6から排水口9に向けた雨水の流路をそれぞれ独立させて複数形成できる。上記の他の線状溝10Aを流下した雨水は、第1連続溝10Bに流れ込んだ後に、排水用リブ11の上端部に到達する1つの線状溝10Aに流れ込んで排水用リブ11に到達する。さらに1つの線状溝10Aを流下した雨水も、排水用リブ11に到達する。
【0028】
排水用リブ11に到達した雨水は、この排水用リブ11に沿って流下することで右側ハンドル部3Rの下方側内面に配置した1つの線状溝10Aに誘導される。その後雨水は、該線状溝10Aの終端から第2連続溝10Cに流れ込んだ後に右側ハンドル部3Rの内側面に到達する。そして雨水は前記内側面を流下することで排水口9に誘導される。その結果雨水は、排水口9を通過してハンドル部3の外部に排出される。
【0029】
一方、開口部7からハンドル部3の内部に雨水が浸入すると、右半割ハウジング21Rの内面上の雨水は、右側ハンドル部3Rの下方側内面に配列した線状溝10Aに沿って流下する。その後雨水は、線状溝10Aの終端から第2連続溝10Cに流れ込んで右ハンドル部3Rの内側面に到達する。右ハンドル部3Rの内側面に到達した雨水は、該内側面を流下した後に排水口9を通過してハンドル部3の外部に排出される。
【0030】
<実施形態2の効果>
本実施形態のインパクトドライバでは、右半割ハウジング21Rや左半割ハウジングの各内面に、吸気口5、排気口6や開口7から排水口9に向けた雨水の流路をそれぞれ独立させて複数形成することが可能になる。よって、吸気口5、排気口6や開口7から本体ハウジング1Aの内部に浸入した雨水を排水口9から本体ハウジング1Aの外部に排出し易くなる。
【0031】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。例えば上述した実施形態とは異なり、複数の線状溝を、右側ハンドル部や左側ハンドル部の上下方向と前後方向とに配列して格子状に設けてもよい。また上述した実施形態では、右側ハンドル部3Rや左側ハンドル部の上方側内面に配列した線状溝と、下方側内面に配列した線状溝とを排水用リブ11を介して連続するようにしたが、これに限らない。例えば排水用リブ11を設けずに、前記上方側内面の線状溝と前記下方側内面の線状溝を連続させて、雨水を記上方側内面から前記下方側内面へ誘導してもよい。
【0032】
さらに上述した実施形態1では、前記下方側内面において、多数の線状溝10の終端をシール部材8の上側傾斜部8Bに到達させたが、これに限らない。例えば複数の線状溝の終端を排水口9の近傍まで延長して、雨水を線状溝から排水口9へ誘導し易くしてもよい。加えて、上述したインパクトドライバに限らず、本発明をハンマドリル等の電動工具に適用してもよい。さらに加えて、上述した実施形態とは異なり、右側ハンドル部3Rや左側ハンドル部に排水口9を開設しなくても、開口7を利用することで吸気口5や排気口6から本体ハウジング1、1Aの内部に浸入した雨水を本体ハウジング1、1Aの外部に排出してもよい。そのために、例えば排水用リブの傾斜下端側が開口7に向かうように排水用リブを右側ハンドル部3Rの内面に突設させてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1R・・右半割ハウジング、5・・吸気口、6・・排気口、7・・開口、9・・排水口、10、10A・・線状溝。