(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液体は、水、イオン水、オゾン水、生理食塩水、精製水、又は滅菌精製水の何れか一つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のガスミスト圧浴用カバー。
前記液体は、メンソール、ビタミンE、ビタミンC誘導体、レチノール、麻酔薬、シクロデキストリン、光触媒、光触媒とアパタイトの複合体、ヒアルロン酸、コエンザイムQ10、シードオイル、プロポリス、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、酢酸アルキルジアミノエテルグリシン、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、セスキ炭酸ナトリウム、シリカ、ポピドンヨード、炭酸水素ナトリウム、高濃度炭酸泉剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗真菌剤、抗インフルエンザウィルス剤、インフルエンザワクチン、ステロイド剤、抗ガン剤、血圧降下剤、化粧剤、増毛剤、発毛剤、又は育毛剤のうち、何れか一つ又は複数をさらに含有することを特徴とする請求項5に記載のガスミスト圧浴用カバー。
【背景技術】
【0002】
従来から、炭酸ガス(二酸化炭素:CO
2)は、水に溶けやすい(水溶性)だけでなく油にも溶けやすい(脂溶性)という性質を双方併せ持つおかげで、水と油の混じったような生体の皮膚及び粘膜に触れるだけでその皮下に浸透し、浸透部位の血管を拡張させて血液循環を改善する作用があることが知られている。そしてこの血行促進作用により、血圧降下、代謝の改善、疼痛物質や老廃物の排除促進等、様々な生理的効果を発揮する。また、抗炎症、抗菌作用も有している。このため、近年、炭酸ガスは医療目的のほか、健康増進、美容促進といった点からも注目を集めている。
【0003】
生体の組織中で二酸化炭素は、赤血球内のヘモグロビンに結合して運ばれた酸素を放出させる働きがある。二酸化炭素濃度の高いところでは、赤血球はより多くの酸素を放出する。このように、赤血球による細胞への酸素の供給は、主に二酸化炭素がコントロールしている。つまり、二酸化炭素なしでは、ヘモグロビンは酸素が結合したままの状態となり、細胞は酸素を受け取ることができなくなってしまう。このように、二酸化炭素は、細胞の活動の結果出てくる老廃物のように思われがちだが、実は体の中で非常に重要な役割を果たしている。
【0004】
また、近年では、高濃度酸素も、新陳代謝の活性、疲労回復、血圧の安定等に効果があることが広く知られている。
【0005】
そこで、炭酸ガスや酸素、又はこれらの混合ガスを生体の皮膚や粘膜から直接吸収させるため、本発明者は、生体の皮膚及び粘膜を覆うガスミスト圧浴用カバーに上記のガスを封入し、所定圧力でガスを生体の皮膚や粘膜に接触させる、ガスミスト圧浴装置及びガスミスト圧浴システムをこれまでに提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のガスミスト圧浴に用いる従来のガスミスト圧浴用カバーでは、カバー内の加圧を迅速かつ効率的に行うことは難しかった。
【0008】
そこで本発明は、上記状況に鑑みて、構造が単純で加圧の容易なガスミスト圧浴用カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、
ガス供給手段から供給される所定値以上の濃度の炭酸ガス、酸素又は炭酸ガスと酸素の混合ガス(以下、「ガス」という)と
液体供給手段から供給される液体を粉砕溶解させたミスト(以下、「ガスミスト」という)を
生成するガスミスト供給手段と、
開口部を通して生体に着用される生体カバー部材と、
前記生体カバー部材内に前記ガスミストを導入するための、内部に逆流防止弁を有するガスミスト供給口と、
前記生体カバー部材内から前記ガスミストを排気する排出部と、前記生体カバー部材を介して前記開口部の外周に沿って生体の部位に巻き付けたとき両端が重なる長尺のベルト形状を有する加圧手段と、巻き付けた前記加圧手段のずれや外れを防止するために前記生体カバー部材の開口部に沿ってリング状に設けたストッパー部材と、を備え、前記ガスミスト供給口から
前記生体カバー部材へ前記ガスミスト
を供給し、続いて前記ガス供給手段から前記ガスを直接供給した後、前記加圧手段を巻き付け
て前記生体カバー部材の一部を前記生体に密着させ
て内容積を狭めること
で内部に封入されている前記ガスミストの圧力を高め
、高め
た圧力
は前記排出部から
の排気によって調整可能にしたことを特徴とするガスミスト圧浴用カバーを提供する。
【0010】
なお、本願においては、液体を粉砕し微細な液滴にしてガス(炭酸ガス、酸素、又は炭酸ガスと酸素の混合ガス)と接触混合させることを、粉砕溶解という。
【0012】
また、前記生体カバー部材の形状は、袋状、円筒状、パンツ状であるのが好適である。
【0013】
さらに、前記生体カバー部材の少なくとも一部は、ジャバラ状に形成されて折り畳み可能であるのが好適である。そして、このジャバラ状に形成された前記生体カバー部材は、そのジャバラの一箇所において分断されており、前記生体カバー部材の開閉が可能であるのが良い。
【0014】
ここで、前記液体は、水、イオン水、オゾン水、生理食塩水、精製水、又は滅菌精製水の何れか一つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする。
【0015】
また、前記液体は、本発明のガスミスト圧浴カバーの使用目的に応じて、メンソール、ビタミンE、ビタミンC誘導体、レチノール、麻酔薬、シクロデキストリン、光触媒、光触媒とアパタイトの複合体、ヒアルロン酸、コエンザイムQ10、シードオイル、プロポリス、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、酢酸アルキルジアミノエテルグリシン、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、セスキ炭酸ナトリウム、シリカ、ポピドンヨード、炭酸水素ナトリウム、高濃度炭酸泉剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗真菌剤、抗インフルエンザウィルス剤、インフルエンザワクチン、ステロイド剤、抗ガン剤、血圧降下剤、化粧剤、増毛剤、発毛剤、又は育毛剤のうち、何れか一つ又は複数をさらに含有するようにしても良い。
【0016】
そして、前記生体カバー部材内に導入される前記ガスミスト粒径は、10μm以下であることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のガスミスト圧浴用カバーによれば、カバー内部の圧力調整を簡便に行い、効率的にガスミスト圧浴を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
〔第一の実施形態〕
まず、本発明のガスミスト圧浴用カバーを適用するガスミスト圧浴及びガスミスト圧浴装置の概略とともに、本実施形態のガスミスト圧浴用カバーについて説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るガスミスト圧浴用カバーの概略を示す模式図である。まず、ガスミスト圧浴装置は、炭酸ガス、酸素、又は炭酸ガスと酸素の混合ガス(以下、単にガスという)を供給するガス供給手段111と、液体を供給する液体供給手段112と、液体供給手段112からの液体を微細な液滴にしてガス供給手段111からのガスと粉砕溶解させたミスト(以下、ガスミストという)を生成、供給するガスミスト供給手段113と、供給されたガスミストを内部に封入する空間を形成するガスミスト圧浴用カバー1と、を備える。また、制御装置を設けて、ガスや液体、ガスミストの供給制御等を行うようにしても良い。
【0021】
ガス供給手段111は、ガスミスト供給手段113に炭酸ガス、酸素、又は炭酸ガスと酸素の混合ガスを供給する。例えばガスボンベを用いるのが最適である。なお、図示は省略するがガス供給手段111にはガスの圧力調整のためのレギュレータが設けられるのが良い。
【0022】
液体供給手段112は、ポンプ等から構成され、ガスミスト供給手段113に液体を供給する。この液体としては、水、イオン水、オゾン水、生理食塩水、精製水、又は滅菌精製水の何れか一つ又は複数の組み合わせである。若しくは、使用者の疾患、症状等に有効な薬液を用いても良い。
【0023】
さらに、液体には、メンソール等の清涼作用を生じさせる薬剤や、血行をより促進させるビタミンE、皮膚組織に吸収されやすく美肌効果の高いビタミンC誘導体、皮膚の角化作用を正常にし粘膜を保護するレチノール、皮膚及び粘膜への刺激を和らげるための麻酔薬、ガスの臭気を除去するためのシクロデキストリン、皮膚及び粘膜表面に付着している細菌等を殺菌するための薬剤(例えば、光触媒又は光触媒とアパタイトの複合体)、保水力に優れ肌の保湿効果を有するヒアルロン酸、細胞を活性化し免疫力を向上させるコエンザイムQ10、抗酸化物質や多量の栄養素を含むシードオイル、抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用、鎮痛・麻酔作用、免疫作用等を有するプロポリス等を単独あるいは複数組み合わせて混合して、ガスの生理作用との相乗効果を生じさせることも可能である。さらに、炭酸塩と有機酸を主成分とする高濃度炭酸泉剤(有効成分の一例としては、硫酸塩、炭酸塩、有機酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム)、炭酸水素ナトリウム等を添加しても良い。この液体供給手段112には、液体を加温する(例えば水を40℃程度の湯にする)ためのヒータ(図示せず)や、温度制御のための温度計(図示せず)を配置するのが望ましい。
【0024】
ガスミスト供給手段113は、ガス供給手段111から供給されたガスと、液体供給手段112から供給された液体から、液体を微細な液滴にしてガスと粉砕溶解させたガスミストを生成し、これをガスミスト圧浴用カバー1へ供給する装置である。この際、生成するミストの粒径は10μm以下であるのが最適である。ガスミスト供給手段113としては、例えば、超音波式ミスト生成装置や、ジェット式ミスト生成装置、流体ノズルを用いたミスト生成装置等、様々な方式のミスト生成装置を利用することができる。
【0025】
ガスミスト圧浴用カバー1は、生体の皮膚及び粘膜を覆い、ガスミスト及びガスを内部に封入する空間を形成できるカバーである。
図1に示すように、本実施形態に係るガスミスト圧浴用カバー1は、生体の皮膚及び粘膜を覆う形状(ここでは袋状)を有する生体カバー部材11と、この生体カバー部材11の外側に取り付け、生体カバー部材11を外周から適度に締め付けることにより生体カバー部材11を加圧する、加圧手段としての締付具21とから構成される。
図2はその生体カバー部材11の概略を示す図、
図3は締付具21の概略を示す図である。
【0026】
生体カバー部材11には、
図2に示すように、この生体カバー部材11の内部にガス及びガスミストを導入するためのガスミスト供給口12と、生体カバー部材11の内部の空気やガス、ガスミストの圧力の量を調整するための排出部13と、生体カバー部材11の開口部に設けられ、締付具21が生体カバー部材11からずれたり外れたりすることを防ぐためのストッパー14と、生体カバー部材11の開口部内側に設けられ、締付具21の締め付けによる不快感を和らげるためのクッション部材16と、が設けられている。
【0027】
生体カバー部材11は、ここでは対象とする生体の部位(例として、人体の下肢)を被覆できる程度の大きさの袋体から構成されている。また、加圧に耐えられる耐圧性があり且つ一定以上の強度を有する可撓性の非通気性素材(好適にはポリ塩化ビニル等の樹脂)から構成される。さらに、生体カバー部材11は、透明又は半透明のものを用いるのが好適だが、ガスミストを充填すると曇りにより生体カバー部材11内部の視認性が悪化するため、その内側には曇り止めコーティングが施されているのが良い。
【0028】
ガスミスト供給口12は、生体カバー部材11内部に通じる、ガス及びガスミストの導入部である。このガスミスト供給口12にガスミスト供給手段113やガス供給手段111を接続して、生体カバー部材11内にガス及びガスミストを供給する。ガス及びガスミストの逆流を防止するため、このガスミスト供給口12内部には逆流防止弁を配置するのが良い。
【0029】
排出部13は、生体カバー部材11内の空気を抜く際や、生体カバー部材11内のガス及びガスミストを抜いて圧力を調整する際に、空気やガス、及びガスミストを排出するための通気孔である。排出部13は、通常時は弁やキャップ等で通気を防止しており、上記排出を行う際にのみ開弁させたりキャップを外したりすることにより通気が可能となる構造を有している。また、所定圧以上になると開き、ガス及びガスミストを排出する構造であっても良い。
【0030】
ストッパー14は、締付具21が生体カバー部材11の開口付近に設置される際に、開口からのずれや外れを防止するため、生体カバー部材11の開口に沿って設けられる厚みのあるリング状の部材である。着脱が容易であるとともに、生体に装着した際に余計な隙間を作らないため、ゴム等の弾性体から構成されるのが好適である。
【0031】
クッション部材16は、締付具21による締め付け感の緩和のために、例えばウレタンフォーム等の柔軟性と弾性を有する素材から構成される。また、例えば、クッション部材16の内側に、生体カバー部材11内の密閉性を高めるため、生体の皮膚及び粘膜に粘着する素材をさらに設けるようにしても良い。この粘着素材には、例えばポリウレタンやシリコンゴム等からなる粘弾性ゲルを用いる。この粘着素材は、取り外しが可能で使用の都度、あるいは粘性が弱くなれば交換できる構成とするのが好ましい。
【0032】
次に、締付具21は、
図3に示すように、本実施形態ではラックピニオン式の締付機構を有する締付具21を用いている。例として、特開2007−260293号公報(特許文献1)に記載される締付機構及び保持機構を用いる。
【0033】
この締付具21は、クッションベルト201、締付用ベルト202、締付機構211、保持機構221を備えている。
【0034】
クッションベルト201は、締付用ベルト202が接触することにより生体カバー部材11を損傷することがないように設けられるベルトで、長尺状の部材を端部が重なるように円筒状にしたものである。クッションベルト201が形成する円筒は、締付機構211、保持機構221の動きに伴って径が可変である。
【0035】
締付用ベルト202は、樹脂製の長尺部材であり、ラック203が形成された長穴状の開口部204と、その開口部204に沿って上下に所定ピッチで設けられる保持用孔205と、開口部204が形成されていない部分に設けられる貫通孔206とを有している。
【0036】
締付機構211は、クッションベルト201に固定される基台(図示せず)と、基台に回転自在に設けられた回転軸(図示せず)が嵌入することにより回転自在な撮み212と、撮み212の裏面に形成され、締付用ベルト202のラック203と係合可能なピニオンギア(図示せず)を備えている。締付用ベルト202はその一端が基台に連結されるとともに、その他端は基台に形成された溝に挿入されている。さらに、締付用ベルト202の開口部204に撮み212の裏側に形成されたピニオンギアが挿入された状態で、撮み212は基台の回転軸と嵌合する。これにより、撮み212を回転させることによりピニオンギアも回転し、ラック203が送られることにより、締付用ベルト202及びクッションベルト201が縮径する。
【0037】
保持機構221は、締付用ベルト202の保持用孔205に係入する保持用ピン(図示せず)と、保持用ピンを保持用孔205への係入方向へ付勢するばね(図示せず)と、保持用ピンを保持用孔205から強制的に外すための開放レバー222と、を備える。
【0038】
保持用ピンは、図示しない軸中心に回動自在に設けられており、保持用孔205に対して係入、離脱が可能である。保持用ピンが保持用孔205に係入することにより、締付用ベルト202の移動を抑え、その位置を保持する。通常は、保持用ピンはばねによって保持用孔205への係入方向に付勢されているが、撮み212を回転させて締付用ベルト202を締付方向に送ると、保持用ピンは締付用ベルト202の移動に負けて保持用孔205から離脱するとともに、次の保持用孔205に係入し、締付用ベルト202を保持する。この動作を繰り返すことにより、締付用ベルト202は縮径して締め付けを可能とする。
【0039】
開放レバー222を操作すると、保持用ピンは強制的に保持用孔205からの離脱方向へ回動する。これにより、保持用孔205から保持用ピンが離脱して、締付用ベルト202は拡径して、締め付け状態から開放される。
【0040】
なお、上記の締付具21における締付用ベルト202、締付機構211、保持機構221の構造は、特許文献1の記載に沿ったものであるため、ここでは簡単な説明に留める(詳細は特許文献1を参照のこと)。
【0041】
そこで、上記のような構造の締付具21を用いたガスミスト圧浴の態様について説明する。まず、生体カバー部材11をガスミスト圧浴を行いたい生体の部位(ここでは人体の下肢)に装着する。このとき、開口部や排出部から内部の空気をできるだけ排出しておく。次いでガス供給手段111からガスを、液体供給手段112から液体を、ガスミスト供給手段113へ供給し、ガスミストを生成する。生体カバー部材11の開口部を手などで押さえつつ、ガスミスト供給手段113からのガスミストは、ガスミスト供給口12を介して生体カバー部材11に供給される。生体カバー部材11内に十分にミストが供給された場合は、ガス供給手段111から直接ガスのみが生体カバー部材11内に供給される。このとき、生体カバー部材11内にガスが約95−97%、液体が約3−5%の割合で存在するようにする。次いで装着した生体カバー部材11の上に締付具21を、
図1に示すように開口近傍に配置し、撮み212を回して徐々に締付用ベルト202及びクッションベルト201を縮径させて締め付ける。こうすることにより、生体カバー部材11内の容積が狭まり、適度な加圧状態とすることができる。なお、圧力が高すぎた場合の微調整や、内部のガス及びガスミストの入替を行いたい場合は、排出部13から排気することができる。以上のようにして、最適なガスミスト圧浴を行う。
【0042】
〔第二の実施形態〕
図4は、本発明の第二の実施形態に係るガスミスト圧浴用カバーの概略を示す模式図である。本実施形態では、面ファスナーを用いた締付具を適用する例について示す。なお、
図1に示す第一の実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】
図4に示すように、本実施形態のガスミスト圧浴用カバー2は、生体の皮膚及び粘膜を覆う形状(ここでは袋状)を有する生体カバー部材11と、この生体カバー部材11を外周から適度に締め付けることにより生体カバー部材11を加圧する、加圧手段としての締付具31とから構成される。
図5は、その締付具31の概略を示す図である。
【0044】
本実施形態に係る締付具31は、
図5に示すように、締付用バンド32と、この締付用バンド32の一端に設けられる折返し用リング33とから構成される。
【0045】
締付用バンド32は、柔軟で弾性を有する長尺な部材からなり、その一端には折返し用リング33が設けてある。折返し用リング33を設けるには、例えば、締付用バンド32の一端に折返し用リング33を通し、折返し用リング33を挟むように締付用バンド32の端部を折って輪状に縫い合わせれば良い。
【0046】
締付用バンド32の表面は、起毛したループ状の繊維からなる面ファスナーのループ部34が形成されている。また、締付用バンド32の折返し用リング33が設けられていない側の端部には、起毛したフック状の繊維からなる面ファスナーのフック部35が設けられている。
【0047】
締め付けを行う際には、装着した生体カバー部材11の上に締付具31を、
図4に示すように開口近傍に配置し、
図5(b)に示すように、フック部35が設けられている端部を折返し用リング33に奥側から手前側へと通して環状にする。この折返し用リング33に通した端部を引っ張ると、締付用バンド32は縮径するため、適度に生体カバー部材11を締め付ける。そして、
図5(c)に示すように、締付用バンド32を折返し用リング33から折り返して、フック部35をループ部34で任意の位置に固定する。こうすることにより、生体カバー部材11内の容積が狭まり、適度な加圧状態とすることができる。
【0048】
なお、上記第一及び第二の実施形態では、袋状の生体カバー部材11を人体の下肢(特に膝下部)に装着する例を示したが、袋の形状を変えることで、人体の前腕や手部、足部、頭部等にも適用可能であることは言うまでもない。以下、上記実施形態とは形状の異なる生体カバー部材について説明する。
図6は、様々な形状を有する生体カバー部材の模式図である。
【0049】
図6(a)には、筒型の生体カバー部材11Aを示している。この生体カバー部材11Aは、主に、手や足等の生体の細長い部位に装着するのが向いている。生体カバー部材11Aには、ガスミスト供給口12Aと、排出部13Aとが設けられている。また、その両端部の開口には、ストッパー14A、15Aが設けられている。ガスミスト圧浴を行う際には、両端部に締付具を配置するのが好適だが、片方のみに締付具を配置し、他方は紐やゴム、面ファスナー等で開口部を閉じるだけの構成としても良い。
【0050】
図6(b)には、大径の筒型の生体カバー部材11Bを示している。この生体カバー部材11Bは、主に、胸部から腹部にかけてや、頚部のガスミスト圧浴を行いたい場合に向いている。生体カバー部材11Bには、ガスミスト供給口12Bと、排出部13Bとが設けられている。また、その両端部の開口には、ストッパー14B、15Bが設けられている。ガスミスト圧浴を行う際には、両端部に締付具を配置するのが好適だが、片方のみに締付具を配置し、他方は紐やゴム、面ファスナー等で開口部を閉じるだけの構成としても良い。
【0051】
図6(c)には、パンツ型の生体カバー部材11Cを示している。この生体カバー部材11Cは、主に、人体の下腹部から鼠蹊部、臀部、大腿部にかけてガスミスト圧浴を行いたい場合に向いている。生体カバー部材11Cには、ガスミスト供給口12Cと、排出部13Cとが設けられている。また、その上部(下腹部側)の開口にはストッパー14C、下部(大腿部側)の二つの開口にはストッパー15Cが設けられている。ガスミスト圧浴を行う際には、開口部近傍に締付具を配置するのが好適だが、上部か下部の一方のみに締付具を配置し、他方は紐やゴム、面ファスナー等で開口部を閉じるだけの構成としても良い。
【0052】
次に、折り畳み式の生体カバー部材について説明する。
図7及び
図8は、折り畳み式の生体カバー部材の概略を示す模式図である。
図7に示すように、生体カバー部材11D(ここでは筒状)には、中央にジャバラ部17が設けられている。また、ガスミスト供給口12D、排出部13D、さらにその両端部の開口には、ストッパー14D、15Dが設けられている。このように、一部にジャバラ部17を設けることにより、生体カバー部材11Dは不使用時には小さく折り畳むことが可能となる。また、
図8(a)のように、生体カバー部材11Dをジャバラ部17の一箇所で分断しても良い。分断するのは、生体カバー部材11Dの略中央部であるのが好ましい。分断部17A、17Bは、例えば嵌め込み式により結合と分離が自在にできるため、
図8(b)に示すようにアコーディオンカーテン状に開閉が可能である。このように、生体カバー部材11Dがジャバラ部17で開閉可能であることにより、例えば、ガスミスト圧浴と鍼治療を同時に行う(生体カバー部材11Dを生体に装着した後に分断部17A、17Bを開き、生体カバー部材11Dを装着した部位に鍼を打ち、次いで分断部17A、17Bを閉じてからガスミスト圧浴を行う)等、他の療法の施術を併用することが可能となる。
【0053】
なお、上記実施形態では、ガスミスト圧浴用カバーを人体に適用する例を示したが、本発明のガスミスト圧浴用カバーは、人体に限らず動物等に用いても良い。
【0054】
上記のように構成したため、本発明のガスミスト圧浴用カバーによれば、カバー内部の圧力調整を簡便に行い、効率的にガスミスト圧浴を行うことが可能となる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。