(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
サラダドレッシング、卵製品、焼き菓子、パン、バー、スナックチップス、パスタ、ソース、スープ、飲料、冷菓、バター、またはスプレッドである、請求項1に記載の食品組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のこの詳細な説明は、読者の便宜をはかり、節および小節に分割される。第I節は、本明細書で使用される種々の用語についての定義を提供する。第II節は、パートA〜Eで、微細藻類バイオマスを調製する方法を説明し、好適な生物(A)、色素沈着を欠いているか、有意に低減された色素沈着を有する微細藻類株を生成する方法(B)、培養条件(C)、濃縮条件(D)、および本発明に基づいて産生されたバイオマスの化学組成(E)を含む。第III節は、パートA〜Dで、微細藻類バイオマスを、本発明の藻類フレーク(A)、藻類粉末(B)、藻類粉(C)、および藻類油(D)へと加工する方法を説明する。第IV節は、本発明の種々の食物、および微細藻類バイオマスを他の食物成分と組み合わせる方法を説明する。
【0019】
本明細書で説明される加工の全ては、GMPまたは同等の規制に基づいて行われ得る。米国においては、人の食物を製造、こん包、または保持するためのGMP規制が21C.F.R.110で成文化される。これらの条項、ならびにかかる条項で参照される付属条項は、参照によりその全体が全目的で本明細書によって組み込まれる。米国におけるGMP条件、および他の管轄における同等の条件は、食物に不純物が混じっているかどうか(食物に適さないような条件下で食物が製造されている)、または汚染された可能性があるか、健康に有害な状態にされた可能性があるような、不衛生な条件下で調製、こん包、または保持されたかどうかを決定する際に適用される。GMP条件には、疾病管理;清浄度および人員の教育;建物および施設の維持管理ならびに衛生運営;適切な衛生施設および収容設備の条項;機器ならびに器具の設計、建造、維持管理、および清浄度;あらゆる源からの汚染を防止するための適切な衛生原則に従って、全ての妥当な予防措置が、食品の受容、検査、輸送、隔離、調製、製造、包装、および収納においてとられたことを保証するための適切な品質管理手順の条項;および物理的、化学的、または望ましくない微生物汚染に対して、ならびに食物および容器の劣化に対して食物を保護するような条件下での、最終食物の収納および輸送を管理する規制を固守することが含まれ得る。
【0020】
I. 定義
以下で別途定義されないかぎり、本明細書で使用される全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する技術分野に精通する者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書で使用される用語の多くの一般的定義は、Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2nd ed.1994)、The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.,1988)、The Glossary of Genetics,5th Ed.,R.Rieger et al.(eds.),Springer Verlag(1991)、およびHale & Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)に見出すことができる。
【0021】
「無菌」とは、他の生存生物に汚染されていない生物の培養を意味する。
【0022】
「焼き菓子」とは、典型的にはパン屋で見られる、オーブンの使用によって調理された食品を意味する。焼き菓子にはブラウニー、クッキー、パイ、ケーキ、およびペストリーが含まれるが、それらに限定されない。
【0023】
「バイオリアクタ」および「発酵槽」とは、細胞が、典型的には懸濁液中で培養される発酵タンクまたは発酵溶液等の密閉あるいは部分的密閉を意味する。
【0024】
「パン」とは、小麦粉、液体、および膨脹剤を含む食品を意味する。パンは一般的にオーブンで焼くことにより調理されるが、他の調理法も可能である。膨張材は、本質的に化学的または有機的になりうる。典型的には、有機膨張材は酵母である。膨張材が本質的に化学的である場合(ベーキングパウダーおよび/または重曹等)、これらの食品は「クイックブレッド」と称される。
【0025】
「セルロース物質」とはセルロースの消化の生成物で、得にブドウ糖およびキシロースを意味する。セルロース消化は、典型的には、二糖類、オリゴ糖、リグニン、フルフラール、および他の化合物等のさらなる添加化合物を産生する。セルロース物質の源には、例えば砂糖きびバガス、甜菜パルプ、トウモロコシ茎葉、木材チップ、おがくず、およびスイッチグラスが含まれるがそれらに限定されない。
【0026】
「共培養」、そしてその変形である「共栽培」および「共発酵」などは培養条件下で同バイオリアクタの中に2つ以上の細胞が存在していることを意味する。2つ以上の細胞は、本発明の目的のために、典型的に両方とも微生物で、典型的に両方とも微細藻類だが、場合によっては微細藻類でない細胞形を1つ含むことがある。共培養に適した培養条件は、場合によっては、2つ以上の細胞形の成長を助長および/または繁殖を、および他の場合は、残りの細胞の成長を保ちながら2つ以上の細胞の1つのみ、または1つの部分集合のみの成長を促進および/または増殖するものを含む。
【0027】
「補因子」とは酵素がその酵素活性を実行するために必要な、基質以外の分子を意味する。
【0028】
「従来の食品」とは消費を意図とした組成物、例えば人間による、藻類バイオマスや他の藻類成分が不足していて、および他の食用成分と共に得に野菜油、動物性油および/あるいは卵などの食べ物と常時関連する成分を含むものを意味する。従来の食品は店およびレストランで売られているものおよび家で作られるものを含む。従来の食品は、大抵、油あるいは藻類が源ではない脂肪、および/または他の食用成分と共に卵の含有を特定した従来のレシピに従って作られる。
【0029】
「調理品」とは、例えば一定時間オーブン等で加熱された食べ物を意味する。
【0030】
「クリーミーサラダドレッシング」とは、粘度が高く注入速度の遅い安定分散のサラダドレッシングを意味する。一般的に、クリーミーサラダドレッシングは不透明である。
【0031】
「栽培」、「培養」、および「発酵」およびその変形とは、培養条件を用いたひとつ以上の細胞、一般的には微細藻類の意図的な成長の助長および/または繁殖を意味する。意図的な状況とは、本質的な微生物の成長および/または繁殖を意味する。(直接的な人間の介入無しで)
「細胞溶解」とは、低張性の環境下での細胞の溶解を意味する。細胞溶解は、内部の浸透圧に耐え切れずに破裂する水分過剰の状態につながる細胞内部への浸透現象または水の移動に起因する。
【0032】
「食物繊維」とは、微細藻類を含む、細胞壁を含む植物および他の生物に見られる、非澱粉の炭水化物を意味する。食物繊維は可溶性(水に溶ける)または不溶性(水に溶けない)であり得る。総食物繊維は可溶性および不溶性の繊維によって占められる。
【0033】
「脱脂された食事」とは、油抽出過程済みのため油抽出前のバイオマスと比較して含油が少ない藻類バイオマスを意味する。脱脂された食事の細胞は主に溶解済である。脱脂された食事は溶媒(ヘキサン)抽出された藻類バイオマスを含む。
【0034】
「可消化粗タンパク質」とは、利用可能な、または胃酵素で消化されたのち遊離窒素化(アミノ酸)できる、タンパク質の一部である。可消化粗タンパク質の試験管内測定は、ペプシンなどの胃酵素を用い、および試料を消化し、および消化後に遊離アミノ酸を測定することによって遂行される。可消化粗タンパク質の生体内測定は飼料/食物試料のタンパク質レベルを測定し、およびその試料を動物に与え、およびその動物の排泄物に収集された窒素の量を測定することによって遂行される。
【0035】
「乾燥重量」および「乾燥細胞重量」とは、水の相対的な欠如で定められる重量を意味する。例えば、乾燥重量で指定された割合の特定の成分を含むものとしての微細藻類バイオマスに対する言及は、割合が、実質的に全ての水が取除かれた後でバイオマスの重量に基づいて測定されることを意味する。
【0036】
「食用成分」とは、食に適しているいずれかの物質あるいは組成物を意味する。「食用成分」には穀物、果物、野菜、タンパク質、香草、香辛料、炭水化物、脂肪が含まれるが、それらに限定されない。
【0037】
「外因的に提供される」とは、細胞に提供される分子を意味する(培養細胞の培地への提供を含む)。
【0038】
「脂肪」とは、通常の室温および圧力では一般的に固体の、脂質または脂質の混合物を意味する。「脂肪」にはラードおよびバターが含まれるが、それらに限定されない。
【0039】
「繊維」とは、多糖類の形態の非澱粉の炭水化物を意味する。繊維は水溶性、または不水溶性であり得る。微細藻類の多くは、一般的に細胞壁に存在する、溶性および不溶性の両方の繊維を産生する。
【0040】
「最終食品」および「最終食物成分」とは、包装、使用、消費の準備ができている食物組成物を意味する。例えば、「最終食品」は調理されているか、または「最終食品」を含む成分が混合、またもしくは互いに総合したものであり得る。「最終食物成分」は一般的に、食品を形成するために他の成分と組み合わせて使用される。
【0041】
「固定炭素源」とは、一般的には有機分子で、外気温で存在し固体または液体状では圧力の、炭素を含む分子を意味する。
【0042】
「食べ物」、「食物組成物」、「食品」、および「食糧」とは、栄養および/またはカロリー源としてヒトによって摂取されることが意図された、または予期されたあらゆる組成物を意味する。食物組成物は主に炭水化物、脂肪、水および/あるいはタンパク質で構成され、実質上人の毎日のカロリー摂取のすべてを占めている。「食物組成物」は、一般的な錠剤やカプセル剤の重量より少なくとも10倍は多い最小重量を有することができる(一般的な錠剤/カプセル剤の重量範囲は、100mg以下から最大1500mgまで)。「食物組成物」はカプセルに包まれていない、または錠剤形態ではない。
【0043】
「グリセロ脂質プロファイル」とは、バイオマスおよび油の特定の試料内の異なる炭素鎖長の分布、およびグリセロ脂質の飽和水準を意味する。例えば、試料はグリセロ脂質の約60%がC18:1で、20%がC18:0で、15%がC16:0で、5%がC14:0であるグリセロ脂質のプロファイルを有することができる。炭素の長さが「C:18」など、一般的に参照される場合、これらの参照はあらゆる量の飽和を含むことができ、例えば、C:18として脂質を20%含む微細藻類バイオマスはC18:0、C18:1、C18:2、およびそれに類するものを同量また各種量、その合計がバイオマスの20%を構成する量を含むことができる。特定の飽和型の割合への関連、例えば「18:1グリセロ脂質形態で少なくとも50%が一価不飽和」とは、グリセロ脂質の脂肪族側鎖の少なくとも50%が18:1だが、必ずしもトリグリセリドの少なくとも50%がトリオレイン(3つの18:1鎖が単一のグリセロール骨格に付着している)というわけではないことを意味し、このようなプロファイルは、総側鎖の少なくとも50%が18:1だとすると、18:1と他の鎖の混合したグリセロ脂質を含むことができる。
【0044】
「適正製造基準」および「GMP」とは、21C.F.R.110(人間の食物用)および111(健康補助食品用)で発表された規制によって設立された条件、または米国の外の現地で設立された同等の規制方針を意味する。米国の規制は、人の食用の食品および健康補助食品の製造業者、加工業者、および包装業者を規制するために、連邦食品・医薬品・化粧品法の権力下で、米国食品医薬品局によって正式に公表されている。
【0045】
「成長」とは細胞径、細胞内含量の合計、および/または固定炭素源の細胞内油への変換による細胞重量の増加を含む、各細胞の細胞量または重量の増大を意味する。
【0046】
「破砕物」とは、物理的に破壊されたバイオマスを意味する。「均質化」とは、更なる処理が起こりうる分散液を形成し、粒子の寸法のより細かくより均質な細分を含む、流体機械的な過程である。均質化は、安定性、保存期間、消化、および味を向上させるために、さまざまな食物および乳製品の処理に使われる。
【0047】
「脂質収率の増大」とは微生物培養の、例えば、培養1リットルあたりの細胞の乾燥重量の増加、脂質を含む細胞の割合の増加、および/または単位時間ごとの培養容量1リットルあたりの脂質の全体量の増加によって実現する 微生物培の脂質・油生産力の増大を意味する。
【0048】
「生体内原位置で」とは、「定位置」または「当初の位置で」を意味する。例えば、培養物は、触媒を分泌する第1の微細藻類細胞型と、基質を分泌する第2の微細藻類細胞型を含み得、第1および第2の細胞型が、物質の更なる分離や処理を必要とせずに、共培養時に生体内原位置で特定の化学反応を発生させるために必要な成分を産生する。
【0049】
「脂質」とは、無極性溶媒(エーテル、ヘキサン等)に溶解でき、および水には相対的にまたは完全に不溶である、あらゆるクラスの分子を意味する。脂質分子の大部分は、本質的に疎水性の長い炭化水素の尾で構成されているため、これらの特性を有する。例えば、脂質は脂肪酸(飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸)、グリセリドまたはグリセロ脂質(モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドまたは中性脂肪およびホスホグリセリドまたはグリセロリン脂質等)および非グリセリド(スフィンゴ脂質、トコフェロール、トコトリエノール、コレステロールおよびステロイドホルモンを含むステロール脂質、テルペノイド、脂肪アルコール、ワックス、およびポリケチドを含むプレノール脂質)を含む。
【0050】
「溶解物」とは、溶解細胞の内容物を含む溶液を意味する。
【0051】
「溶解」とは原形質膜の破損、および任意に、大抵その完全性を備える機械的および浸透性メカニズムによって実現する、細胞壁の生物を少なくとも一部遊離するのに十分な細胞内容物を意味する。
【0052】
「溶解する」とは、細胞膜、および任意に、生物有機体の細胞壁または少なくとも一部の細胞内容物を遊離するのに十分な細胞の破壊を意味する。
【0053】
「微細藻類」とは、光合成を実行できる、またはできない葉緑体を含む真核性微生物を意味する。微細藻類は、固定炭素源をエネルギーとして代謝できない偏性光合成独立栄養生物、及び光光合成を実行できない偏性従属栄養生物を含む固定炭素源のみで生きる偏性光合成独立栄養生物を含む。微細藻類はクラミドモナス、及び例えば2つの明瞭な細胞の単純性多細胞光合成微小生命体であるボルボックス等の微小生命体等、細胞分裂の後ほどなく姉妹細胞から分離する単細胞生物を含む。「微細藻類」にはクロレラ、パラクロレラおよびドナリエラも含まれる。
【0054】
「微細藻類バイオマス」、「藻類バイオマス」および「バイオマス」とは、微細藻類細胞の成長および/または繁殖によって産生された物質を意味する。バイオマスは細胞および/または細胞内容物および細胞外溶物を含んでもよい。細胞外溶物は細胞によって分泌された化合物を含むが、それに限定されない。
【0055】
「微細藻類油」および「藻類油」とは、トリアシルグリセロールを含む、微細藻類によって産生されたあらゆる脂質成分を意味する。
【0056】
「微粒化した」とは、少なくとも50%の粒径が、最長寸法で10μm以下になるよう、高圧化で均質化したバイオマス(または同等の過程)を意味する。一般的に、これらの粒子の少なくとも50%から90%以上は、最長寸法が5μm以上である。いずれの場合においても、微粒化したバイオマスの平均粒径は無処置の微細藻類細胞よりも小さい。
【0057】
「微生物」および「微小生命体」とは、あらゆる顕微鏡的単細胞生物を意味する。
【0058】
「栄養補助食品」とは、大量のカロリーとは対象的に、特定の栄養素の提供により食生活の補助をする組成物を意味する。栄養補助食品は以下の成分を1つ以上含み得る:ビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸、必須脂肪酸、および他の物質。栄養補助食品は一般的に、錠剤性か被包性である。一般的には、1日あたり15グラム以下の水準で錠剤性か被包性の栄養補助食品をひとつ摂取する。栄養補助食品は、ヨーグルトや「スムージー」などの、食物組式で混在可能な、成分調合済みの小袋で提供され得る、および通常は、一日あたり25グラム以下の水準で摂取される。
【0059】
「油」とは微細藻類、他の植物、および/または動物を含む、生物によって産生されるいずれかのトリアシルグリセリドを意味する。「油」は、別途定義されていないかぎり「脂肪」と区別して、通常の室温あるいは圧力では一般的に液状である脂質に言及する。例えば、「油」には大豆、ナタネ、キャノーラ、ヤシ、ヤシ種、ココナッツ、トウモロコシ、オリーブ、ひまわり、綿実、クフェア、ピーナッツ、ナガミノアマナズナ、からし種子、カシューナッツ、カラスムギ、ハウチワマメ、ケナフ、キンセンカ属、大麻、コーヒー、亜麻仁、ヘーゼルナッツ、トウダイグサ属、カボチャ種子、コリアンダー、ツバキ、胡麻、ベニバナ、米、アブラギリ、ココア、コプラ、ケシ、トウゴマの種子、ペカン、ホホバ、ジャトロファ属、マカデミア、ブラジルナッツ、およびアボカド、およびその合併を含む、植物から得られる野菜または種油を含むが、それらに限定されない。
【0060】
「浸透圧衝撃」とは、浸透圧の急激な低下後の溶液内の細胞の破断を意味し、細胞の細胞成分の遊離を溶液へ誘発するために使われることがある。
【0061】
「低温殺菌」とは、食品の微生物増殖を減速することを意図とした、加熱の過程を意味する。一般的には、低温殺菌は短時間、高温(ただし沸点前)で行われる。本明細書に記載してある通り、低温殺菌は食品の不要な微小生命体数を減らすだけでなく、食品に存在している特定の酵素も不活性化することができる。
【0062】
「多糖類」および「グリカン」とは、単糖類のグリコシド結合によって作られる、あらゆる炭水化物を意味する。セルロースは特定の植物の細胞壁を構成している多糖類の1例である。
【0063】
「ポート」とは、 ガス、液体、細胞等の物質の流込または流出を可能にするバイオリアクタの開口部を意味し、ポートは通常、管材に繋がれている。
【0064】
「主に被包された」とは、50%以上の、および通常75%から90%以上の、例えば微細藻類細胞を含むことができる、例えば藻類油の、当該成分が当該容器に隔離されることを意味する。
【0065】
「主に無処置の細胞」および「主に無処置のバイオマス」とは、50以上、および多くの場合75、90、および98%以上の無処置の細胞を含む細胞集団を意味する。この文脈においては、「無処置」とは、培養の細胞膜の透過性を超える程度に細胞の細胞内成分が遊離することのないよう、細胞の細胞内成分を密閉している細胞膜また/および細胞壁の物理的継続性が、いかなる方法によっても破壊されていないことを意味する。
【0066】
「主に溶解された」とは、50%以上、および通常は75から90%以上の細胞が、細胞の細胞内成分がもはや細胞膜内に完全に密閉されないまでに破壊された細胞集団を意味する。
【0067】
「増殖」とは、成長および繁殖、両方を合わせたものを意味する。
【0068】
「繁殖」とは、有糸分裂または他の細胞分裂を介する細胞数の増加を意味する。
【0069】
「近似分析」とは、脂肪、窒素/タンパク質、粗繊維(主成分としてセルロースとリグニン)、水分および灰分の食糧分析を意味する。可溶性炭水化物(総食物繊維および遊離糖類)は、100(差の炭水化物)から、近似分析で既知の値の合計を引くことで計算できる。
【0070】
「超音波処理」とは、音波エネルギーによる細胞等の生体物質の破壊を意味する。
【0071】
「フルフラールの化学種類」とは、2−フランカルボキシアルデヒド、および同等の基本的な構造的特性を有するその誘導体を意味する。
【0072】
「わら」とは、穀物を豊作物から収集した後に残る、その豊作物の乾燥した茎と葉を意味する。
【0073】
「人の食用に適する」とは、組成物が人間にとって健康への悪影響なく、食事摂取で消費可能であり、消化管内での消化物質取り込みによって有意なカロリー摂取を提供できるということを意味する。
【0074】
「未調理品」とは、加熱されていない組成物を意味するが、以前に加熱の対象となった成分を1つ以上含み得る。
【0075】
「V/V」または「v/v」とは、容量割合に関連して、組成物内の1つの物質の容量と組成物の容量の比率を意味する。例えば、微細藻類油を5%v/v含む組成物に関連する、とは組成物の容量の5%は微細藻類油で構成されていて(例:容量が100mm
3の組成物は5mm
3の藻類油を含む)、および組成物の残りの容量が(例:例では95mm
3)他の成分で構成されていることを意味する。
【0076】
「W/W」または「w/w」とは、重量割合に関連して、組成物内の1つの物質の重量と組成物の重量の比率を意味する。例えば、微細藻類バイオマスを5%w/w含む組成物に関連する、とは組成物の重量の5%は微細藻類バイオマスで構成されていて(例えば、重量が100mgの組成物は5mgの藻類バイオマスを含む等)、および組成物の残りの重量が(例えば、実施例では95mg)他の成分で構成されていることを意味する。
【0077】
II. 微細藻類バイオマスを調製する方法
本発明は、脂質および/またはタンパク質成分を含む、栄養が豊富な人の食用に適した藻類バイオマスを提供し、かかる藻類バイオマスを、食用成分およびかかる藻類バイオマスを含有する食物組成物と組み合わせる方法を含む。本発明は、一部には、藻類バイオマスを、高い油含量および/または優秀な機能性で調製することができ、また得られたバイオマスを、バイオマスの油および/またははタンパク質含量が、従来の食品中の存在する油および/もしくは脂肪および/もしくはタンパク質を全体的にまたは部分的に置き換えることが可能であるような、食品に組み込むことができるという発見から生じた。藻類油は、主に一価飽和油を含み、従来の食品中にしばしば見出される飽和、硬化(トランス脂肪)および多価不飽和脂肪と比較して、健康上の利益を提供する。藻類油はまた、トランス脂肪を含まない健康的で安定的な調理油として、使用され得る。藻類バイオマスの残余物は、少なくとも食品が調理されるまで、油を被包することができ、それによって油の保存期間を延長させる。未調理品においては、細胞は無処置のままであり、バイオマスはまた、油中に見出される天然酸化防止剤と共に、さもなければ不快な臭気、味、および食感作り出すような酸化から、油を保護する。バイオマスはまた、藻類由来の食物繊維(可溶性および不溶性炭水化物の両方)、リン脂質、糖タンパク質、フィトステロール、トコフェロール、トコトリエノール、およびセレン等の油および/またはタンパク質に加えて、複数の有益な微量栄養素を提供する。
【0078】
この項目は、最初に本発明の方法における使用に適した微細藻類の種類(パートA)、色素沈着を欠くか、または有意に低減された色素沈着を有する微細藻類株を生成する方法(パートB)、次いでバイオマスを繁殖させるために使用される培養条件(パートC)、次いでバイオマスをさらなる処理のために調製するために使用される濃縮ステップ(パートD)を概説し、本発明の方法に基づいて調製されたバイオマスの化学組成の説明で締めくくる(パートE)。
【0079】
A.
本発明の方法で使用するための微細藻類
本発明の方法に基づいて、好適な油および/または脂質および/またはタンパク質を産生する微細藻類の種々の種を使用することができるが、高容量の好適な油および/または脂質および/またはタンパク質を天然で産生する微細藻類が好ましい。本発明で使用するための微細藻類の選択に影響する考察には、食品の産生のための好適な油、脂質、またはタンパク質の産生に加えて、(1)細胞重量の割合としての高脂質(またはタンパク質)含量、(2)成長の容易性、(3)繁殖の容易性、(4)バイオマス処理の容易性、(5)グリセロ脂質プロファイル、および(6)藻類毒素の非存在(以下の実施例5は、乾燥微細藻類バイオマス、および藻類毒素を欠くバイオマスから抽出される油または脂質を示す)が含まれる。
【0080】
幾つかの実施形態では、微細藻類の細胞壁は、放出活性成分を放出するため、または消化のために、食品処理の間に(例えば、調理)破壊される必要があり、これらの実施形態では、特に藻類バイオマスが未調理食物に使用されるような場合、動物、例えば、人または他の単胃動物の消化管内での消化の影響を受けやすい細胞壁を備える微細藻類の株が好ましい。消化率は、細胞壁内で高いセルロース/ヘミセルロース含有を有する微細藻類株に対して、一般的に減少する。消化率は、標準ペプシン消化率検定を用いて評価され得る。
【0081】
特定の実施形態では、微細藻類は、乾燥重量で少なくとも10%以上の油である細胞を含む。他の実施形態では、微細藻類は、乾燥重量で少なくとも25〜35%以上の油を含有する。一般的に、これらの実施形態では、微細藻類中により多くの油が含まれるほど、バイオマスの栄養価は高くなり、したがって乾燥重量で少なくとも40%、少なくとも50%、75%、またはそれ以上の油を含有するように培養され得る微細藻類が特に好ましい。本発明の方法で使用するための好ましい微細藻類は、従属栄養的に(光の非存在下での糖類上で)成長することができるか、または偏性従属栄養生物である。それらは望ましくない味または不快な臭気を有する可能性があり、また安定性不足を示すかまたは口当たりの悪さを提供する可能性があるため、全ての種類の脂質が、食物および/または栄養補助食品における使用に望ましいわけではなく、これらの考察はまた、本発明の方法で使用するための微細藻類の選択に影響する。
【0082】
クロレラ属からの微細藻類は、一般的に本発明の方法で有用である。クロレラは、単細胞緑藻類の属であり、緑藻植物門に属する。クロレラ細胞は、一般的に球形、直径約2〜10μmであり、鞭毛を欠く。クロレラの幾つかの種は、天然で従属栄養である。好ましい実施形態では、本発明の方法で使用される微細藻類は、クロレラ・プロトセコイデス、クロレラ・エリプソイダ、クロレラ・ミヌティッシマ、クロレラ・ゾフィニエネシ(Chlorella zofinienesi)、クロレラ・ルテオビリディス、クロレラ・ケッセレリ、クロレラ・ソロキニアナ、クロレラ・フスカ・バー・バクオレタ・クロレラ属の一種、クロレラ・シーエフ(cf.)ミヌチシマ、またはクロレラ・エマゾーニである。クロレラ、特にクロレラ・プロトセコイデスは、その高い脂質の組成を理由として、本発明の方法で使用するために好ましい微生物である。本発明の方法で使用するためのクロレラ・プロトセコイデスの特に好ましい種には、以下の実施例で例示される種族が含まれる。
【0083】
本発明の方法における使用に適したクロレラの他の種には、アニトラタ、アンタルクティカ、アウレオビリディス、キャンディダ、キャプスラタ、デシカート、エリプソイダ(CCAP211/42株を含む)、エマゾーニ、フスカ(バー・バクオレタを含む)、グルコトロファ、インフシオナム(バー・アクトフィラおよびバー・アウェノフィラを含む)、ケッセレリ(UTEX397、2229、398株のいずれかを含む)、ロボフォラ(SAG37.88株を含む)、ルテオビリディス(SAG2203株、ならびにバー・アウレオビリディスおよびルテスセンスを含む)、ミニアタ、シーエフ(cf.)ミヌティッシマ、ミヌティッシマ(UTEX2341株を含む)、ムタビリス、ノクツルナ、オバァリス、パルバ、ファトフィリア、プリングシェイミィ、プロトセコイデス(UTEX1806、411、264、256、255、250、249、31、29、25、もしくはCCAP211/8D株のいずれかを含む、またはCCAP211/17およびバー・アシジコラを含む)、レグラリス(バー・ミニマおよびウンブリカタを含む)、レイシグリィ(CCP11/8株を含む)、サッカロフィア(CCAP211/31、CCAP211/32株、およびバー・エリプソイダを含む)、サリナ、シンプレックス、ソロキニアナ(SAG211.40B株を含む)、属の一種(UTEX2068株およびCCAP211/92を含む)、スファエリカ、スティグマトフォラ、ツレボウシオイデス、バニエリィ、ブルガリス(CCAP211/11K、CCAP211/80株、ならびにエフ・テルティアおよびバー・アウトトロフィカ、ヴィリディス、ブルガリス、ブルガリス・エフ・テルティア、およびブルガリス・エフ(f.)ヴィリディスを含む)、シャンセラ、およびゾフィンジエンシスからなる群から選択される種が含まれる。
【0084】
本発明で使用するためのクロレラの種(および他の微細藻類属からの種族)は、それらのゲノムの特定の標的領域を、本明細書で識別される種のそれらの同一領域と比較することによって識別され得、好ましい種は、本明細書で識別される種との同一性を示すか、少なくとも非常に高水準の相同性を示す種である。例えば、特定のクロレラの種または株の識別は、プライマーおよびゲノムの適切な領域を使用する方法、例えばWu et al.,Bot.Bull.Acad.Sin.42:115−121(2001)に説明される方法を使用して、核および/または葉緑体DNAの増幅および配列決定を通じて達成することができる。クロレラ属の種の識別は、リボソームDNA配列を使用して単離する。リボソーム内部転写スペーサー(ITS1およびITS2rDNA)、23S RNA、18S rRNA、および他の保存ゲノム領域の増幅および配列決定等の系統樹解析の、十分に確立された方法は、クロレラの種族だけでなく、本明細書で説明する方法における使用に適した油および脂質を産生する他の微細藻類を識別するために、当業者によって使用され得る。藻類の識別および分類の方法の例については、Genetics,170(4):1601−10(2005)およびRNA,11(4):361−4(2005)を参照のこと。
【0085】
したがって、ゲノムDNA比較は、本発明で使用される好適な微細藻類の種を識別するために使用され得る。23S rRNAをコードするDNA等であるがそれに限定されない保存ゲノムDNAの領域は、例えば、本発明に使用される好ましい微細藻類と分類学的に関連し得、それらの好ましい種の対応する領域と比較され得る微細藻類種から増幅され得る。次いで高水準の類似性を示す種族は、本発明の方法で使用するために選択される。クロレラ属内の種間でのかかるDNA配列比較の例示的な例は、以下で提供される。ある場合には、本発明で使用するのに好ましい微細藻類は、配列番号1〜23および26〜27に記載される配列のうちの少なくとも1つに対して、少なくとも65%ヌクレオチド同一性を有する23S rRNAをコードするゲノムDNA配列を有する。他の場合には、本発明で使用するのに好ましい微細藻類は、配列番号1〜23および26〜27に記載される配列のうちの少なくとも1つに対して、少なくとも75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上のヌクレオチド同一性を有する23S rRNAをコードするゲノムDNA配列を有する。食物組成物を調合するためにそれを他の成分と組み合わせる前の、食物組成物の遺伝子型決定および/または藻類バイオマスの遺伝子型決定はまた、藻類バイオマスが、微細藻類の単一株を超える株からの藻類バイオマスであるかどうかを決定するための確実な方法でもある。
【0086】
ヌクレオチドまたはアミノ酸同一性の割合を決定するための配列比較については、一般的に1つの配列が、参照配列として作用し、それに対して検査配列が比較される。配列比較アルゴリズムを適用するにあたり、検査配列および参照配列がコンピュータに入力され、必要であれば、副配列配位が設計され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが設計される。次いで配列比較アルゴリズムは、設計されたプログラムパラメータ上で、参照配列と相対した検査配列についての配列同一性の割合を算出する。比較のために最適な配列のアラインメントが、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局地的相同性アルゴリズムによって、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、およびPearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA85:2444(1988)の類似性方法の検索によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実施によって(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または視覚的検査によって(一般的にはAusubel et al.,supraを参照のこと)実施され得る。配列同一性および配列類似性の割合を決定するのに適した別の例示的アルゴリズムは、BLASTアルゴリズムであり、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990)に説明される。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(ウェブアドレスwww.ncbi.nlm.nih.govにて)を通じて一般に入手可能である。 クロレラに加えて、微細藻類の他の属もまた、本発明の方法で使用され得る。好ましい実施形態では、微細藻類は、パラクロレラ・ケッセレリ、パラクロレラ・ベイエリンキイ、ネオクロリス・オレオアブンダンス、B.グランディス、B.シナバリナス、およびB.エリアスを含むブラクテアコッカス、ブラクテオコッカス属の一種、またはセネデスムス・ルベッセンスからなる群から選択される種である。微細藻類種の他の非限定的な例としては、アクナンセス・オリエンタイルス;アグメネルム;アンフィプロラ・ヒアリン;A.c.コフェイフォルミス・リネア、A.c.プンクタタ、A.c.タヨロリ、A.c.テヌイス、A.c.デリカティッシマ、A.c.デリカティッシマ・キャピタタを含む、A.コフェイフォルミスを含む、アンフォラ;アナバエナ;A.ファルカタスを含む、アンキストロデスムス;ボエケロヴィア・ホオグランディ;ボロディネラ;B.スデティクスを含む、ボツリョコッカス・ブラウニイ;B.エリアス、B.グランディス、B.シナバリナス、B.マイナー、およびB.メディオヌクレタスを含む、ブラクテオコッカス;カルテリア;C.グラシリス、C.ムエレリ、およびC.ムエレリ・スブサルスムを含むカエトセロス;C.インフシオナムを含む、クロロコッカム;クロゴニウム;クロオモナス;クリソスファエラ;クリコスファエラ;クリプテコディニウム・コーニィ;クリプトモナス;C.クリプティカおよびC.メネグヒニアナを含む、サイクロテラ;D.バルダウィル、D.バイオクラタ、D.グラヌラテ、D.マリタイム、D.ミヌタ、D.パルバ、D.ペイルセイ、D.プリモレクタ、D.サリナ、D.テリコラ、D.テルチオレクタ、およびD.ヴィリディスを含む、ドナリエラ;E.ヴィリディスを含む、エレモスファエラ;エリプソイデン;エウグレナ;フランセイア;F.クロトネンシスを含む、フラギラリア;グレオカプサ;グロエオサムニオン;ヒメノモナス;I.エーエフエフ・ガルバナおよびI.ガルバナを含む、イソクリシス;レポシンクリス;ミクラクチニウム(UTEX LB2614を含む);M.ミヌツムを含むモノラフィディウム;モノラフィディウム;ナンノクロリス;N.サリナを含む、ナンノクロロプシス;N.アクセプタタ、N.ビスカンテラエ、N.シュードテネロイデス、N.ペリクロサ、およびN.サプロフィラを含む、ナビクラ;ネオクロリス・オレオアブンダンス;ネフロクロリス;ネフロセルミス;ニツスチア・コムニス;N.アレクサンドリア、N.コムニス、N.デイシパタ、N.フルスツルム、N.ハンツスチアナ、N.インコンスピクア、N.インテルメディア、N.マイクロセファラ、N.プシラ、N.プシラ・エリプティカ、N.プシラ・モノエンシス、およびN.クアヅラングラーを含む、ニツスチア;オクロモナス;O.パルバおよびO.プシラを含む、オオサイスティス;O.リムネティカおよびO.スブレヴィスを含む、オスシラトリア;P.・ベイエリンキイ(SAG2046株を含む)およびP.ケッセレリ(SAG11.80、14.82、21.11H9株のいずれかを含む)を含む、パラクロレラ;P.アシドフィラを含む、パスケリア;パブロバ;ファングス;フォルミディウム;プラティモナス;P.カーターアエおよびP.デンタテを含む、プレウロクリシス;P.スタグノラ(UTEX327株を含む)、P.ポルトリセンシス、およびP.モリフォルミス(UTEX1441、1435、1436、1437、1439株を含む)を含む、プロトテカ;シュードクロレラ・アクアティカ;ピラミモナス;ピロボツリス;ロドコッカス・オパクス;サルシノイド・クリソフィテ;S.アルマツスおよびS.ルベッセンスを含む、セネデスムス;シゾシツリウム;スピロギラ;スピルリナ・プラテンシス;スチココッカス;シネココッカス;テトラエヅロン;T.スエシカを含む、テトラセルミス;タラッシオシラ・ウェイッスフロギィ;およびヴィリデイエラ・フリデリシアナからなる種および属の群からのそれらの種が含まれる。
【0087】
B.
色素沈着を欠くか、有意に低減された色素沈着を有する微細藻類株を生成する方法
低減された色素沈着
クロレラ等の微細藻類は、光合成または従属栄養のいずれかで成長することができる可能性がある。炭素源が固定炭素源であり、光の非存在下である従属栄養条件下で成長した場合、通常緑色の微細藻類は、黄色い色を有し、緑色色素沈着を欠くか、緑色色素沈着が有意に低減される。低減された(または緑色色素沈着を欠く)緑色色素沈着の微細藻類は、食物成分として有利であり得る。低減された(または緑色色素沈着を欠く)緑色色素沈着の微細藻類の1つの利点は、微細藻類が、低減されクロロフィル風味を有するということである。低減された(または緑色色素沈着を欠く)緑色色素沈着の微細藻類の別の利点は、食物成分として、微細藻類の食糧への添加が、消費者にとって魅力のない可能性のある緑色を与えないであろうことである。従属栄養条件下で成長した微細藻類の、低減された緑色色素沈着は、一過性のものである。光栄養の成長に再び切り替えられるとき、光栄養および従属栄養で成長できる微細藻類は、緑色色素沈着を取り戻すであろう。さらに、低減された緑色色素であっても、従属栄養的に成長した微細藻類は、黄色い色であり、これは消費者が、食糧の色が白色または明るい色であることを期待する場合の一部の食物適用に適さない可能性がある。したがって、従属栄養で成長でき(したがってそれは、緑色色素沈着が低減されているか、または緑色色素沈着を欠いている)、また黄色色素沈着も低減されている(したがってそれは、食物適用のために中間色である)微細藻類株を生成することは有利である。
【0088】
色素沈着を欠いているか、または有意に低減された色素沈着を有する、かかる微細藻類株を生成するための1つの方法は、突然変異生成、次いで所望の表現型のためのスクリーニングを通じる方法である。突然変異生成複数の方法は、当技術分野で既知であり、実施されている。例えば、Urano et al.,(Urano et al.,J Bioscience Bioengineering(2000)v.90(5):pp.567−569)は、UV照射を用いて生成される、クロレラ・エリプソイダの黄色および白色の色彩突然変異株を説明し、Kamiya(Kamiya,Plant Cell Physiol.(1989)v.30(4):513−521)は、クロレラ・ブルガリス、11h(M125)の無色の株を説明する。
【0089】
UV照射による突然変異生成に加えて、化学的突然変異生成もまた、低減された色素沈着を備える(または色素沈着を欠いている)微細藻類を生成するために採用され得る。エチルメタンスルホン酸(EMS)またはN−メチル−N’ニトロ−N−ニトログアニジン(NTG)等の化学的突然変異原は、酵母、菌類、ミコバクテリウム属、および微細藻類を含む種々の微小生命体に対する効果的な化学的突然変異原であることが示されている。突然変異生成はまた、複数周期でも実行され得、その場合微細藻類は、突然変異原(UVもしくは化学的突然変異原のいずれか、または両方)に曝露され、次いで所望の低減された色素沈着表現型のためにスクリーニングされる。所望の表現型を備えるコロニーは次いで、突然変異が、1つの生成から次の生成まで安定的であること、およびコロニーが純粋で混合群からなっていないことを保証するために、プレート上で画線を施され、再び単離される。
【0090】
特定の実施例では、クロレラ・プロトセコイデスは、UVおよび化学的突然変異生成の組み合わせを用いて、色素沈着を欠いているか、または低減された色素沈着を備える株を生成するために使用された。クロレラ・プロトセコイデスは、NTGおよびコロニーを備える、1周期の化学的突然変異生成に曝露され、色彩突然変異株のためにスクリーニングされた。色彩突然変異を示さないコロニーは次いで、1周期のUV照射に供され、再び色彩突然変異株のためにスクリーニングされた。1つの実施形態では、色素沈着を欠くクロレラ・プロトセコイデス株が単離されたが、それは、2009年10月13日に、10801University Boulevard,Manassas,VA20110−2209におけるAmerican Type Culture Collectionにて、Budapest Treatyに基づいて寄託された、Patent Deposit Designation of PTA−XXXXでの、クロレラ・プロトセコイデス33〜55である。別の実施形態では、低減された色素沈着を備えるクロレラ・プロトセコイデス株が単離されたが、それは、2009年10月13日に、10801University Boulevard,Manassas,VA20110−2209におけるAmerican Type Culture Collectionにて、Budapest Treatyに基づいて寄託された、Patent Deposit Designation of PTA−XXXX.Cでの、クロレラ・プロトセコイデス25〜32である。 C.
微細藻類のための培地および培養条件
微細藻類は、本発明の方法に基づいてバイオマスを繁殖させるために、液体培地で培養される。本発明の方法では、微細藻類種は、光の非存在下で、固定炭素および/または固定窒素源を含有する培地で成長させられる。かかる成長は、従属栄養成長として既知である。微細藻類の幾つかの種については、例えば、窒素制限条件下での、10〜15日またはそれ以上の日数等の長期間の従属栄養成長は、細胞内の高脂質含量の蓄積をもたらす。
【0091】
微細藻類培養培地は、一般的に固定炭素源(以下で説明される)、固定窒素源(タンパク質、大豆ミール、酵母エキス、コーンスティープリカー、アンモニア(純粋または塩の形態で)、硝酸エステル、または硝酸塩等)、微量元素(例えば、亜鉛、ホウ素、コバルト、銅、マンガン、およびモリブデン等の成分を、例えば、ZnCl
2、H
3BO
3、CoCl
2・6H
2O、CuCl
2・2H
2O、MnCl
2・4H
2O、および(NH
4)
6Mo
7O
24・4H
2O)のそれぞれの形態で含有し、任意にpH維持管理のために緩衝液、およびリン酸エステル(リンの源;他のリン酸塩を使用することができる)を含有する。他の成分には、特に海水微細藻類のために、塩化ナトリウム等の塩が含まれる。
【0092】
特定の例では、クロレラ・プロトセコイデス培養するのに適した培地には、Proteose Mediumが含まれる。この培地は、純粋培養に適し、1gのプロテオースペプトンを1リットルのBristol Mediumへ添加することによって、1L容量の培地(pH約6.8)を調製することができる。Bristol培地は、水溶液中に2.94mM NaNO
3、0.17mM CaCl
2・2H
2O、0.3mM MgSO
4・7H
2O、0.43mM、1.29mM KH
2PO
4、および1.43mM NaClを含む。1.5%寒天培地については、15gの寒天を、1Lの溶液に添加することができる。溶液は蓋をされ、加圧滅菌され、次いで使用前に冷蔵温度で保管される。クロレラ・プロトセコイデスを、乾燥重量の割合として高い油量に成長および繁殖させるための他の方法が説明されている(例えば、Miao and Wu,J.Biotechnology,2004,11:85−93およびMiao and Wu,Biosource Technology(2006)97:841−846(55%の油乾燥細胞重量を獲得するための発酵方法を説明している)を参照のこと)。高油藻類は、一般的に、窒素制限下で過剰の炭素源を提供しながら、発酵の期間を延長させることによって生成され得る。
【0093】
固体および液体成長培地は、一般的に多種多様の源から入手可能であり、多種多様の微生物株に適した特定の培地の調整についての指示は、例えば、Austin、University of Texas(UTEX)により藻類の培養収集について維持管理されるサイトである、http://www.utex.org/にて、オンラインで見出され得る。例えば、種々の未使用の水培地には、1/2、1/3、1/5、1X、2/3、2X CHEV Diatom Medium;1:1DYIII/PEA+Gr+;Ag Diatom Medium;Allen Medium;BG11−1Medium;Bold 1NV and 3N Medium;Botryococcus Medium;Bristol Medium;Chu’s Medium;CR1、CR1−S、and CR1+Diatom Medium;Cyanidium Medium;Cyanophycean Medium;Desmid Medium;DYIII Medium;Euglena Medium;HEPES Medium;J Medium;Malt Medium;MES Medium;Modified Bold3N Medium;Modified COMBO Medium;N/20Medium;Ochromonas Medium;P49Medium;Polytomella Medium;Proteose Medium;Snow Algae Media;Soil Extract Medium;Soilwater:BAR、GR−、GR−/NH4、GR+、GR+/NH4、PEA、Peat、およびVT Medium;Spirulina Medium;Tap Medium;Trebouxia Medium;Volvocacean Medium;Volvocacean−3N Medium;Volvox Medium;Volvox−Dextrose Medium;Waris Medium;ならびにWaris+Soil Extract Mediumが含まれる。Various Salt Water Mediaには、1%、5%、および1X F/2Medium;1/2、1X、および2X Erdschreiber’s Medium;1/2、1/3、1/4、1/5、1X、5/3、および2X Soil+Seawater Medium;1/4ERD;2/3Enriched Seawater Medium;20%Allen+80%ERD;Artificial Seawater Medium;BG11−1+36%NaCl Medium;BG11−1+1%NaCl Medium;Bold 1NV:Erdshreiber(1:1)および(4:1);Bristol−NaCl Medium;Dasycladales Seawater Medium;ES/10、ES/2、およびES/4を含む、1/2および1X Enriched Seawater Medium;F/2+NH4;LDM Medium;Modified1Xおよび2X CHEV;Modified2X CHEV+Soil;Modified Artificial Seawater Medium;Porphridium Medium;ならびにSS Diatom Mediumが含まれる。
【0094】
本発明の方法と共に使用するための他の好適な培地は、以上で特定されるURLを閲覧することによって、またはSAG、CCAP、またはCCALA等の微生物の培養物を維持管理する他の組織を閲覧することによって、容易に特定され得る。SAGは、University of Gottingen(Gottingen、Germany)における、藻類の培養収集(Culture Collection of Algae)に言及し、CCAPは、Scottish Association for Marine Science(Scotland、United Kingdom)によって管理される、藻類および原生動物の培養収集(culture collection of algae and protozoa)に言及し、CCALAは、Institute of Botany(Trebon、Czech Republic)における、藻類研究所の培養収集(culture collection of algal laboratory)に言及する。
【0095】
本発明の方法に基づき有用な微生物は、世界中の種々の場所および環境で見出される。他の種からのそれらの単離、およびそれらの得られた進化分岐の結果として、油および/または脂質および/またはタンパク質を、微小生命体のあらゆる特定の種から最適に成長させ、生成するための特定の成長培地は、予測が困難または不可能であり得るが、当業者は、本明細書の開示を考慮した所定の試験によって、適切な培地を容易に見出すことができる。ある場合には、微生物のある種は、一部の阻害成分の存在のために、または微生物の特定株によって必要とされる一部の必須栄養要件の非存在のために、特定の成長培地上で成長できない可能性がある。以下の例は、乾燥細胞重量の割合として高容量の脂質を蓄積するために、微細藻類の種々の種を培養する例示的方法を提供する。
【0096】
固定炭素源は、培地の主要成分である。本発明の目的のための好適な固定炭素源には、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、ガラクトース、キシロース、マンノース、ラムノース、アラビノース、N−アセチルグルコサミン、グリセロール、フロリドシド、グルクロン酸、および/またはアセテートが含まれる。本発明に基づいて微細藻類を培養するための他の炭素源には、グリセロールおよびブドウ糖の混合物、ブドウ糖およびキシロースの混合物、果糖およびブドウ糖の混合物、ならびにショ糖および解重合された糖質ビートパルプの混合物等の混合物が含まれる。微細藻類を培養する際の使用に適した他の炭素源には、黒液、コーンスターチ、解重合されたセルロース物質(例えば、コーンストーバー、糖質ビートパルプ、およびスイッチグラスに由来)、乳糖、乳清、糖蜜、ジャガイモ、米、ソルガム、ショ糖、甜菜、サトウキビ、および小麦が含まれる。1つ以上炭素源は、少なくとも約50M、少なくとも約100M、少なくとも約500M、少なくとも約5mM、少なくとも約50mM、および少なくとも約500mMの濃度で供給され得る。
【0097】
したがって、種々の実施形態では、成長培地に使用される固定炭素エネルギー源には、グリセロールおよび/またはブドウ糖、果糖、および/またはキシロース等の5−および/または6−炭素糖が含まれ、それらは、解重合されたセルロース物質を含む、ショ糖および/またはセルロース物質に由来し得る。クロレラの多数の種および種内の多数の株は、米国特許出願公開第20090035842号、第20090011480号、第20090148918号でそれぞれ説明されるとおり、ショ糖、解重合されたセルロース物質、およびグリセロールの存在下で成長させることができ、PCT特許出願公開第2008/151149号もまた参照されたく、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0098】
したがって、本発明の1つの実施形態では、微生物は、原料として解重合されたセルロース質バイオマスを用いて培養される。サトウキビもしくは甜菜からのコーンスターチまたはショ糖等の他の原料とは対照的に、セルロース質バイオマス(解重合されるか、または他の方法による)は、人の食用に適さず、潜在的に低費用で入手可能であり得るため、それは本発明の目的のために特に有利である。微細藻類は、解重合されたセルロース物質上で増殖することができる。セルロース物質には、一般的にセルロースが乾燥重量で40〜60%、ヘミセルロースが乾燥重量で20〜40%、およびリグニンが乾燥重量で10〜30%含まれる。好適なセルロース物質には、草本および木質エネルギー作物、ならびに農作物、すなわち、主食または繊維製品と共に田畑から除去されていない、主に茎および葉である植物部位からの残留物が含まれる。例としては、サトウキビバガス、もみ殻、トウモロコシ繊維(茎、葉、殻、および穂軸を含む)、麦わら、稲わら、糖質ビートパルプ、かんきつパルプ、かんきつ果皮等の農業廃棄物;堅木および軟木間伐、ならびに材木作業からの堅木および軟木残留物等の林業廃棄物;製材工場廃棄物(木材チップ、おがくず)およびパルプ工場廃棄物等の木材廃棄物;都市固形廃棄物の紙分数等の都市廃棄物、市町村の芝生の刈り取り等の都市部木材廃棄物および都市の緑の廃棄物;および木材の建設廃棄物が挙げられる。さらなるセルロース質には、スイッチグラス、複合型ポプラ材およびオギ、繊維茎、ならびに繊維ソルガム等の専用のセルロース作物が含まれる。かかる物質等から産生される5炭素糖には、キシロースが含まれる。実施例20は、コーンストーバーおよび糖質ビートパルプから、セルロース由来の糖類を用いて、従属栄養条件下で成功裏に栽培されたクロレラ・プロトセコイデスを説明する。
【0099】
一部の微小生命体は、セルロース物質を処理し、セルロース物質を炭素源として直接に活用することができる。しかしながら、セルロース物質は一般的に、利用可能な表面積を増加させるために、またはセルロースを、炭素源としての微生物活用のための調製として最初に分解させるために、処理される必要がある。酵素消化のためにセルロース物質を調製または前処理する方法は、当技術分野で周知である。この方法は、2つの主なカテゴリーに分割される:(1)利用可能な表面積を増加させるために、セルロース物質をより小さな粒子に分解すること、および(2)酵素消化のために使用可能な基質を作り出すために、セルロース物質を化学的に処理すること。
【0100】
利用可能な表面積を増加させる方法は、蒸気爆砕を含み、それはセルロース物質を分解するための、高温での蒸気の使用を伴う。この加工の高温要件のために、セルロース物質内の糖類の一部は失われる可能性があり、ひいては酵素消化のために入手可能な炭素源を減少させる(例えば、Chahal,D.S.et al.,Proceedings of the 2
nd World Congress of Chemical Engineering;(1981)およびKaar et al.,Biomass and Bioenergy(1998)14(3):277−87を参照のこと)。アンモニア爆砕は、セルロース物質のより低温での爆砕を可能にするが、実施するためにより費用がかかり、またアンモニアが後の酵素消化過程を妨げる可能性がある(例えば、Dale,B.E.et al.,Biotechnology and Bioengineering(1982);12:31−43を参照のこと)。別の爆砕技術は、セルロース物質をより小さな断片に分解するために、超臨界二酸化炭素爆砕の使用を伴う(例えば、Zheng et al.,Biotechnology Letters(1995);17(8):845−850)を参照のこと。
【0101】
酵素消化に使用可能な基質を作り出すために、セルロース物質化学的に処理するための方法は、当技術分野で既知である。米国特許第7,413,882号は、ベータグルコシダーゼを発酵培養液へ分泌する遺伝子改変の微小生命体の使用、およびセルロース物質のブドウ糖への加水分解を亢進させるために、セルロース物質を発酵培養液で処理することを説明する。セルロース物質はまた、後の酵素消化を助けるために、強酸および塩基で処理され得る。米国特許第3,617,431号は、セルロース物質を分解するためのアルカリ消化の使用を説明する。
【0102】
クロレラは、解重合されたセルロース物質等の、キシロースおよびブドウ糖の組み合わせを含有する培地で増殖することができ、驚くべきことに、幾つかの種は、ブドウ糖またはキシロースのいずれかのみで培養される場合よりも、ブドウ糖およびキシロースの組み合わせで培養される場合に、より高水準の産生率を示しさえする。したがって、ある種の微細藻類は、セルロース物質(または前処理されたセルロース物質)またはグリセロール等のさもなければ食用でない原料活用する、炭素源として活用しかつ食用油を産生することができる。これは、通常人間の食物連鎖の一部ではない、食用でないセルロースおよびグリセロールの(トウモロコシブドウ糖、ならびにサトウキビおよび甜菜からのショ糖とは対照的に)、高栄養の食用油への変換を可能にし、それにより毎日の人間の食生活の一部として栄養およびカロリーを提供することが可能になる。したがって、本発明は、食用でない原料を、高栄養の食用油、食品、および食物組成物に変化させるための方法を提供する。
【0103】
分泌可能なショ糖インベルターゼを発現する生物と共培養された微細藻類、またはショ糖インベルターゼを含有する培地、もしくは外因性ショ糖インベルターゼ遺伝子を発現する(インベルターゼが分泌されているか、生物もまたショ糖輸送体を発現しているかのいずれかの場合)培地で培養された微細藻類は、サトウキビからの廃棄糖蜜またはショ糖の他の源の上で増殖することができる。かかる低価値のショ糖含有廃棄品の使用は、食用油の産生の際の、有意な費用節減を提供することができる。したがって、ショ糖原料上で微細藻類を栽培し、食物組成物および栄養補助食品を調合する方法は、本明細書で説明されるとおり、低栄養のショ糖を高栄養の油(オレイン酸、DHA、ARA等)およびかかる油を含有するバイオマスに変換する手段を提供する。
【0104】
以上で参照される特許出願で詳述されるとおり、多数の独特なクロレラ種および株は、精製された試薬グレードのグリセロール上だけでなく、バイオディーゼルエステル交換反応からの酸性および非酸性のグリセロール副生成物上でも非常によく増殖する。驚くべきことに、一部のクロレラ株は、ブドウ糖の存在下でよりも、グリセロールの存在下でより迅速に細胞分割を経る。細胞が、最初に細胞密度を迅速に増加させるためにグリセロールを供給され、次いで脂質を蓄積するためにブドウ糖を供給される、2段階の成長過程は、脂質が産生される効率を改善することができる。
【0105】
乾燥細胞重量の割合として、脂質を増加させる別の方法は、微細藻類のための原料として、アセテートの使用を伴う。アセテートは、脂肪酸合成を開始する代謝の時点まで直接に送り込まれ(すなわち、アセチル−CoA)、したがって培養物内のアセテートを提供することにより、脂肪酸産生を増加させることができる。一般的に、微小生命体は、微生物脂質および/または脂肪酸収率を増加させるために、特に、アセテートの非存在下での収率と相対して、十分な量のアセテートの存在下で培養される。アセテート供給は、脂質として、高い割合の乾燥細胞重量を有する微細藻類バイオマスを生成するために、本明細書で供給される方法の有用な構成要素である。
【0106】
別の実施形態では、脂質収率は、脂質経路酵素(例えば、脂肪酸合成酵素)のための1つ以上の補因子の存在下で脂質を産生する微細藻類を培養する。一般的に、補因子の濃度は、補因子の非存在下での微生物脂質収率を上回って、微生物脂質(例えば、脂肪酸)収率を増加させるために十分である。特定の実施形態では、補因子は、補因子を分泌する微小生命体を培養物内に含むことによって、または補因子を培養培地に添加することによって、培養物に提供される。代替的に、微細藻類は、補因子の合成に関与するタンパク質をコードする外因性遺伝子を発現するように、操作され得る。ある実施形態では、好適な補因子は、例えば、ビオチンまたはパントテン酸等の脂質経路酵素によって必要とされるあらゆるビタミンを含む。
【0107】
微細藻類からの高脂質バイオマスは、より少ない量の微細藻類バイオマスを添加し、同量の脂質を食物組成物に組み込むことを可能にするため、低脂質バイオマスと比較して、食品への含有に有利な物質である。これは、高脂質微細藻類からの健康的な油が、低脂質バイオマスと比較して、食感および味等の他の属性を変化させることなく食品に添加され得るため、有利である。本発明の方法によって提供される脂質の豊富なバイオマスは、一般的に乾燥細胞重量で少なくとも25%の脂質を有する。加工条件は、脂質である細胞の重量パーセントを増加させるために調節され得る。例えば、ある実施形態では、微細藻類は、ブドウ糖等の過剰の炭素源を提供しながら、例えば、窒素、リン、または硫黄等の1つ以上栄養素の制限濃度の存在下で培養される。窒素制限は、窒素が過剰に提供される培養物内の微生物脂質収率を上回って、微生物脂質収率を増加させる傾向がある。特定の実施形態では、脂質収率の増加は、少なくとも約10%、50%、100%、200%、または500%である。微小生命体は、全培養期間の一部、または期間全体にわたり、制限量の栄養素の存在下で培養され得る。幾つかの実施形態では、栄養素濃度は、全培養期間中に少なくとも2回、制限濃度と非制限濃度との間で循環させられる。
【0108】
安定した成長状態で、細胞は油を蓄積するが、細胞分割を経ることはない。本発明の1つの実施形態では、成長状態は、固定窒素源を除いて、元の成長培地の全ての成分を細胞に提供し続けることによって維持される。細胞に、固定窒素源を除いて、元々提供された全ての栄養素を、細胞に長期間供給することを通じて等で、供給することによって、微細藻類細胞を栽培することは、乾燥細胞重量で高い割合の脂質をもたらす。
【0109】
他の実施形態では、高脂質バイオマスは、全ての固定窒素が、少なくとも1週間または2週間等の長期間にわたり消費された後に、固定炭素源を細胞に供給することによって生成される。幾つかの実施形態では、細胞は、固定炭素源の存在下および固定窒素源の非存在下で、20日以上にわたり油を蓄積させられる。本明細書で説明される条件を用いて、または当技術分野で既知の他の方法で成長した微細藻類は、乾燥重量で少なくとも約20%の脂質を含み得、しばしば乾燥重量で35%、45%、55%、65%、および75%以上もの脂質を含む。しがたって、微生物脂質の産生における、脂質としての乾燥細胞重量の割合は、細胞が炭素を消費し、油を蓄積するが、細胞分割を経ることはないような従属栄養成長状態に細胞を保持することによって、改善され得る。
【0110】
藻類からの高タンパク質バイオマスは、食品中への含有のために有利な別の物質である。本発明の方法はまた、タンパク質として、少なくとも30%の乾燥細胞重量を有するバイオマスを提供する。成長条件は、タンパク質である細胞の重量パーセントを増加させるために調節され得る。好ましい実施形態では、微細藻類は、窒素の豊富な環境、およびブドウ糖または上述のあらゆる他の炭素源等の過剰の固定炭素エネルギー上で培養される。窒素が過剰に存在する条件は、窒素が過剰に提供されない培養物内の微生物タンパク質収率を上回って、微生物タンパク質収率を増加させる傾向がある。最大限のタンパク質産生のために、微小生命体は、好ましくは全培養期間にわたり、過剰窒素の存在下で培養される。微細藻類に好適な窒素源は、有機窒素源および/または無機窒素源に由来してもよい。
【0111】
有機窒素源は、1900代初期以来、微生物培養に使用されている。コーンスティープリカー等の有機窒素源の使用は、ペニシリンのかびからの産生と共に一般に普及した。研究者らは、コーンスティープリカーの培養培地への含有が、微生物の成長を促進させ、生成物(ペニシリン等)における収率増加をもたらすことを見出した。コーンスティープリカーの分析により、それが窒素、またさらにB複合ビタミン、リボフラビン、パントテン酸、ナイアシン、イノシトール等のビタミン、ならびにカルシウム、鉄分、マグネシウム、リン、およびカリウム等の無機栄養素の豊富な源であることが決定された(Ligget and Koffler,Bacteriological Reviews(1948);12(4):297−311)。コーンスティープリカー等の有機窒素源は、酵母、バクテリア、菌類、および他の微生物のための発酵培地に使用されている。有機窒素源の非限定的例としては、酵母エキス、ペプトン、コーンスティープリカー、およびコーンスティープパウダーが挙げられる。好ましい無機窒素源の非限定的例としては、例えば、制限なしに(NH
4)
2SO
4およびNH
4OHが挙げられる。1つの実施形態では、本発明を実施するための培養培地は、無機窒素源のみを含有する。別の実施形態では、本発明を実施するための培養培地は、有機窒素源のみを含有する。さらに別の実施形態では、本発明を実施するための培養培地は、有機および無機窒素源の混合物を含有する。
【0112】
本発明の方法では、それらの生理的循環の種々の期を通じて、微細藻類細胞を培養するために、バイオリアクタまたは発酵槽が使用される。例としては、脂質を産生する微細藻類細胞の接種材料は、培地内に導入されるが、細胞が繁殖し始める前に、遅滞期間(遅滞期)が存在する。遅滞期間に続いて、繁殖率は安定的に増加し、対数または指数増殖期に入る。指数増殖期に続き、窒素等の栄養素の減少、有害物質の増加、および菌体密度感知機構に起因する繁殖の減速が生じる。この減速の後に、繁殖は停止し、細胞は、細胞に提供される特定の環境に依存して、静止期または安定的成長状態に入る。タンパク質の豊富なバイオマスを獲得するために、培養物は、一般的に指数増殖期の間または直後に収集される。脂質の豊富なバイオマスを獲得するために、培養物は、一般的に指数増殖期のかなり後に収集されるが、指数増殖期は、窒素または別の主要な栄養素(炭素以外)を枯渇させることによって早期に終了され得、それにより過剰に存在する炭素源を脂質に変換することを細胞に強いる。培養物条件パラメータは、産生された脂質の種の組み合わせ、および/または特定の油の産生である、総計の油の産生を最適化するために操作され得る。
【0113】
バイオリアクタは、従属栄養成長および繁殖方法に使用するための多くの利点を提供する。理解されるであろうが、従属栄養成長において固定炭素源を用いる場合、光合成成長方法での細胞に対して光を利用可能にするようにされた設備は不要であり、繁殖方法は本明細書で説明される。食物に使用するためのバイオマスを産生するために、微細藻類は好ましくは、例として懸濁培養掖等の液体で、大量に発酵させられる。スチール発酵槽等のバイオリアクタ(5000リットル、10,000リットル、40,000リットル、およびそれを上回るサイズが本発明の種々の実施形態で使用される)は、非常に大きい培養容量を収容することができる。バイオリアクタはまた、一般的に温度、pH、酸素圧、および二酸化炭素濃度等の培養条件の制御を可能にする。例えば、バイオリアクタは、一般的に、例えば、管材に連結されたポートを用いて、酸素または窒素等のガスを含む構成要素が、液体培養中で泡立つことを可能するように構成可能である。
【0114】
バイオリアクタは、微細藻類が繁殖し、数を増加させる間である期間を通じて、培養培地を、バイオリアクタに流入されるように構成され得る。幾つかの実施形態では、例えば、培地は、接種後であるが、細胞が所望の密度に到達する前に、バイオリアクタに注入され得る。他の例では、バイオリアクタは、培養の初めに培養培地で満たされ、培養培地は、培養物が接種された後は注入されない。言い換えれば、微細藻類バイオマスは、微細藻類が繁殖し、数を増加させる間である一定期間に水性培地で培養される。しかしながら、多量の水性培養培地は、この期間を通じてバイオリアクタへ流入されない。したがって幾つかの実施形態では、水性培養培地は、接種後、バイオリアクタへ流入されない。
【0115】
加圧ガス注入のための手段である、回転刃および羽根、振動機構、撹拌バー等の装置を装備されたバイオリアクタは、微細藻類培養物を混合に供するために使用され得る。混合は、継続的または間欠的であってもよい。例えば、幾つかの実施形態では、ガス注入および培地注入の乱流様式は、該微細藻類の数の所望の増加が達成されるまで、微細藻類の繁殖のために維持されない。
【0116】
以上で簡単に言及したとおり、バイオリアクタはしばしば、例えば、微細藻類の培養物のガス含量を操作することを可能にするような、種々のポートを装備される。例示すると、バイオリアクタの容量の一部は、液体よりはむしろガスであり得、バイオリアクタのガス注入口は、ガスの、バイオリアクタ内へのポンプ注入を可能にする。バイオリアクタ内に有益にポンプ注入され得るガスには、大気、大気/CO
2混合物、アルゴン等の希ガス、および他のガスが含まれる。バイオリアクタは、一般的に、ユーザが、ガスのバイオリアクタへの注入率を制御することを可能にするように装備される。上述のとおり、バイオリアクタへのガス流入を増加させることは、培養物の混合を増加させるために使用され得る。
【0117】
ガス流入の増加は、培養物の濁度にも影響する。乱流は、バイオリアクタに入るガスが、培養物の表面に向かって泡立つように、ガス注入ポートを、水性培養培地の位置より下に配置することによって達成され得る。1つ以上のガス排出ポートは、ガスが脱出することを可能にし、それによってバイオリアクタ内の圧力の蓄積を防止する。好ましくは、ガス排出ポートは、汚染微生物がバイオリアクタに入ること防止する「一方向」弁につながる。
【0118】
本明細書で説明されるバイオリアクタ、培養条件、ならびに従属栄養成長および繁殖方法の特定の例は、微生物成長ならびに脂質および/またはタンパク質産生の効率を改善するためのあらゆる好適な方法で組み合わされることができる。
【0119】
D.
発酵後の微細藻類の濃縮
以上で説明される方法に従って生成される微細藻類培養物は、発酵培地内で微細藻類バイオマスを産出する。食物組成物として使用するためのバイオマスを調製するために、バイオマスは、発酵培地から濃縮または収集される。微細藻類バイオマスを発酵培地から収集した時点で、バイオマスは、水性培養培地にけん濁した、主に無処置の細胞を含む。バイオマスを濃縮するために、脱水ステップが実施される。脱水または濃縮は、バイオマスの発酵培養液または他の液体培地からの分離に言及し、したがってそれは固体−液体分離である。したがって、脱水の間、培養培地は、バイオマスから除去されるか(例えば、発酵培養液を、バイオマスを保持するろ過器を通して排水することによって)、またはバイオマスが他の方法で、培養培地から除去される。脱水のための一般的な加工には、遠心分離、ろ過、および機械的圧力の使用が含まれる。これらの加工は、個別でまたはあらゆる組み合わせで使用されることができる。
【0120】
遠心分離は、混合物を分離するための遠心力の使用を伴う。遠心分離の間、混合物のより高密度の成分は、遠心分離機の軸から離れて移動する一方で、混合物のそれほど高密度でない成分は軸の方向へ移動する。有効重力を増加させることによって(すなわち、遠心分離速度を高めることによって)、固体等のより高密度の物質は、液体等のそれほど高密度でない物質から分離し、そのようにして密度に従って分離される。バイオマスおよび培養液、または他の水溶液の遠心分離により、微細藻類細胞を含む濃縮ペーストが形成される。遠心分離は、有意な量の細胞内水分を除去しない。実際、遠心分離の後、バイオマス中に依然としてかなりの量の表面水分または自由水分が存在し得(例えば、70%を上回る)、したがって遠心分離は、乾燥させるステップであると見なされない。
【0121】
ろ過はまた、脱水のために使用されてもよい。本発明に適したろ過の一例としては、直交流ろ過としても知られる、タンジェント流ろ過(TFF)がある。タンジェント流ろ過は、固体を液体から分離するために、膜システムおよび流体力を使用する分離技術である。例示的な好適ろ過方法については、Geresh,Carb.Polym.50;183−189(2002)を参照されたく、それはMaxCell A/G Technologiesの0.45μMの中空繊維ろ過器の使用を説明する。また、例えば、100kD、300kD、1000kD膜(カタログ番号P2C01MC01)、0.1μM膜(カタログ番号P2VVPPV01)、0.22μM(カタログ番号P2GVPPV01)、および0.45μM膜(カタログ番号P2HVMPV01)と共に使用されるMillipore Pellicon(登録商標)装置も参照のこと。残余分は、好ましくはろ過器を有意な水準で通過せず、残余分中の生成物は、好ましくはろ過器物質に付着しない。TFFはまた、中空繊維ろ過システムを用いて行われ得る。少なくとも約0.1マイクロメートルの細孔径、例えば、約0.12、0.14、0.16、0.18、0.2、0.22、0.45、または少なくとも約0.65マイクロメートルの細孔径を備えるろ過器が好適である。TFFの好ましい細孔径は、発酵培養液中の溶質および残屑が流入することを可能にするが、微生物細胞が流入することは可能にしない。
【0122】
脱水はまた、液体発酵培養液を、バイオマスを脱水するのに十分であるが、細胞の主要な溶解を引き起こさない微生物バイオマスから分離するために、バイオマスに直接に適用された機械的圧力で達成される。微生物バイオマスを脱水するための機械的圧力は、例えば、ベルトフィルタプレスを用いて適用され得る。ベルトフィルタプレスは、2つの張力をかけたベルトの間から、次第に狭まるロール径の蛇行路を通過させられるスラリーに、機械的圧力を適用する脱水装置である(例えば、発酵槽またはバイオリアクタから直接に取得される微生物バイオマス)。ベルトフィルタプレスは、実際は3つのゾーンに分割され得る:自由排水水/液体が多孔質ベルトを通して重力によって排水される、重力ゾーン;固体が、圧力適用のために調製される、くさびゾーン;および調節可能な圧力が重力により排水された固体に適用される、圧力ゾーン。
【0123】
濃縮後、微細藻類バイオマスは、本明細書の以下で説明されるとおり、真空包装固形物、藻類フレーク、藻類ホモジネート、藻類粉末、藻類粉、または藻類油を産生するために加工されることができる。
【0124】
E.
微細藻類バイオマスの化学組成
本明細書で説明される培養方法によって生成される微細藻類バイオマスは、微細藻類油および/またはタンパク質、ならびに微生物によって生成されるか、発酵の間に培養培地からの微生物によって組み込まれる他の成分を含む。
【0125】
乾燥重量で高い割合の油/脂質蓄積を備える微細藻類バイオマスは、当技術分野で既知の方法を含む、異なる培養の方法を用いて生成されている。高い割合の蓄積された油/脂質を備える微細藻類バイオマスは、本発明に基づいて有用である。高鉄分(Fe)濃度を用いて、独立栄養条件下で成長した静置培養内の、乾燥細胞重量(DCW)で上限56.6%の脂質を備えるクロレラ・ブルガリス培養物が、説明されている(Li et al.,Bioresource Technology 99(11):4717−22(2008)。光バイオリアクタ窒素飢餓条件下で成長した、それぞれDCWで60%の脂質およびDCWで39.8%の脂質を備える、ナンノクロロプシス属の一種およびキートセラスカリストランス培養物もまた説明されている(Rodolfi et al.,Biotechnology&Bioengineering(2008))。光合成および低窒素条件下で成長した場合の、DCWで約30%の脂質を備えるパリエトクロリス・インシサ培養物が、説明されている(Solovchenko et al.,Journal of Applied Phycology20:245−251(2008)。窒素飢餓状態の特定の従属栄養条件下で成長した場合、クロレラ・プロトセコイデスは、DCWで上限55%の脂質を産生することができる(Miao and Wu,Bioresource Technology97:841−846(2006))。低窒素培地条件下で、撹拌タンクバイオリアクタ内で成長した場合、クロレラ・エマゾーニ、クロレラ・ソロキニアナ、およびクロレラ・ミヌティッシマを含む他のクロレラ種は、DCWで上限63%の油を蓄積していることが説明されている(Illman et al.,Enzyme and Microbial Technology27:631−635(2000)。DCWでさらに高い割合の脂質が報告されており、それらは高濃度NaCl条件下で成長したデュナリエラ・ターティオレクタ培養物における70%の脂質(Takagi et al.,Journal of Bioscience and Bioengineering101(3):223−226(2006))およびボツリョコッカス・ブラウニイ培養物における75%の脂質(Banerjee et al.,Critical Reviews in Biotechnology22(3):245−279(2002))を含む。
【0126】
従属栄養成長は、相対的に低クロロフィル含量をもたらす(開放池または閉鎖型光バイオリアクタ系等の光栄養系と比較して)。低減されたクロロフィル含量は、一般的に微細藻類の官能特性を改善し、したがってより多くの藻類バイオマス(またはそこから調製された油)が食品に組み込まれることを可能にする。従属栄養的に成長した微細藻類中に見出される低減されたクロロフィル含量(例えば、クロレラ)はまた、光合成で成長した微細藻類と比較して、バイオマス中の緑色を低減する。したがって、低減されたクロロフィル含量は、光合成で成長した微細藻類を含有する食品に関連する、しばしば望ましくない緑色着色を回避し、藻類バイオマスの食品への組み込み、または藻類バイオマスの食品への増量された組み込みを可能にする。少なくとも1つの実施形態では、食品は、光合成で成長した微細藻類と比較して、低減されたクロロフィル含量を有する、従属栄養的に成長した微細藻類を含有する。
【0127】
本明細書で説明される培養方法によって生成され、本発明に基づいて有用な、油の豊富な微細藻類バイオマスは、DCWで少なくとも10%の微細藻類油を含む。幾つかの実施形態では、微細藻類バイオマスは、DCWで少なくとも15%、25%、50%、75%、または少なくとも90%の微細藻類油を含む。
【0128】
本明細書で説明される(またはバイオマスから抽出された)バイオマスの微細藻類油は、1つ以上の独特な脂肪酸エステル側鎖を備えるグリセロ脂質を含み得る。グリセロ脂質は、1個、2個、または3個の脂肪酸分子とエステル結合したグリセロール分子からなり、それは種々の長さであり得、種々の飽和度を有し得る。藻類油の特定の混合物は、藻類の単一種内で、または微細藻類の2つ以上の種からのバイオマス(または藻類油)を共に混合することによるいずれかで調製され得る。
【0129】
したがって、油組成、すなわち、グリセロ脂質の脂肪酸成分の特性および割合もまた、微細藻類の少なくとも2つの独特な種からのバイオマス(または油)を組み合わせることによって、操作され得る。幾つかの実施形態では、微細藻類の少なくとも2つの独特な種は、異なるグリセロ脂質プロファイルを有する。微細藻類の独特な種は、それぞれの油を生成するために、好ましくは従属栄養条件下で、本明細書で説明されるとおり共にまたは別個で培養され得る。微細藻類の異なる種は、細胞のグリセロ脂質内に、異なる割合の独特な脂肪酸成分を含有し得る。
【0130】
幾つかの実施形態では、微細藻類油は、主に一価不飽和油からなる。ある場合には、藻類油は、少なくとも20重量%の一価不飽和油である。種々の実施形態では、藻類油は、少なくとも25重量または容量%、50重量または容量%、75重量または容量%以上の一価不飽和油である。幾つかの実施形態では、一価不飽和油は、18:1、16:1、14:1、または12:1である。幾つかの実施形態では、微細藻類油は、少なくとも10重量または容量%、20重量または容量%、25重量または容量%、または50重量または容量%以上のエステル化されたオレイン酸またはエステル化されたアルファリノレン酸を含む。少なくとも1つの実施形態では、藻類油は、10重量または容量%未満、5重量または容量%未満、3重量または容量%未満、2重量または容量%未満、もしくは1重量または容量%未満のエステル化されたドコサヘキサエン酸(DHA(22:6))を含むか、または実質上エステル化されたドコサヘキサエン酸を含まない。クリプテコディニウム・コーニィにおける微細藻類等の、高DHA含有微細藻類の産生の例については、米国特許第7,252,979号、第6,812,009号、および第6,372,460号を参照のこと。
【0131】
高タンパク質微細藻類バイオマスは、異なる培養の方法を用いて生成されている。高い割合のタンパク質含量を備える微細藻類バイオマスは、本発明に基づいて有用である。例えば、微細藻類の種々の種のタンパク質含量が報告されている(Becker,Biotechnology Advances(2007)25:207−210の表1を参照のこと)。テトラセルミス・スエシカの半連続式光独立栄養培養における再生率を制御することは、1細胞当たりのタンパク質含量に影響することが報告されており、最も高い量は約22.8%のタンパク質である(Fabregas,et al.,Marine Biotechnology(2001)3:256−263)。
【0132】
本明細書で説明される培養方法によって生成され、高タンパク質に関連する本発明のそれらの実施形態に基づいて有用な微細藻類バイオマスは、一般的に乾燥細胞重量で少なくとも30%のタンパク質を含む。幾つかの実施形態では、微細藻類バイオマスは、乾燥細胞重量で少なくとも40%、50%、75%以上のタンパク質を含む。幾つかの実施形態では、微細藻類バイオマスは、乾燥細胞重量で30〜75%のタンパク質、または乾燥細胞重量で40〜60%のタンパク質を含む。幾つかの実施形態では、微細藻類バイオマス中のタンパク質は、少なくとも40%の可消化粗タンパク質を含む。他の実施形態では、微細藻類バイオマス中のタンパク質は、少なくとも50%、60%、70%、80%、または少なくとも90%の可消化粗タンパク質を含む。幾つかの実施形態では、微細藻類バイオマス中のタンパク質は、40〜90%の可消化粗タンパク質、50〜80%の可消化粗タンパク質、または60〜75%の可消化粗タンパク質を含む。
【0133】
微細藻類バイオマス(およびそこから抽出された油)はまた、微細藻類によって産生された、または培養培地からのバイオマスに組み込まれた他の成分を含み得る。これらの他の成分は、使用される培養条件および微細藻類の種(ならびに、該当する場合、微細藻類油をバイオマスから回収するために使用される抽出方法)に依存して、種々の量で存在し得る。他の成分には、制限なしに、リン脂質(例えば、藻類レシチン)、炭水化物、可溶性および不溶性繊維、糖タンパク質、フィトステロール(例えば、β−シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、およびブラシカステロール)、トコフェロール、トコトリエノール、カロテノイド(例えば、α−カロテン、β−カロテン、およびリコピン)、キサントフィル(例えば、ルテイン、ゼアキサンチン、α−クリプトキサンチン、およびβ−クリプトキサンチン)、タンパク質、多糖類(例えば、アラビノース、マンノース、ガラクトース、6−メチルガラクトース、およびブドウ糖)、ならびに種々の有機または無機化合物(例えば、セレン)が含まれる。
【0134】
ある場合には、バイオマスは、少なくとも10ppmのセレンを含む。ある場合には、バイオマスは、少なくとも25%w/wの藻類多糖類を含む。ある場合には、バイオマスは、少なくとも15%w/wの藻類糖タンパク質を含む。ある場合には、バイオマスは、0〜115mcg/gの総カロテノイドを含む。ある場合には、バイオマスは、少なくとも0.5%の藻類リン脂質を含む。ある場合には、藻類バイオマスに由来する油は、少なくとも0.10mg/gの総トコトリエノールを含む。ある場合には、藻類バイオマスに由来する油は、0.125mg/g〜0.35mg/gの総トコトリエノールを含む。ある場合には、藻類バイオマスに由来する油は、少なくとも5.0mg/100gの総トコフェロールを含む。ある場合には、藻類バイオマスに由来する油は、5.0mg/100g〜10mg/100gのトコフェロールを含む。クロレラ・プロトセコイデスにおけるトコトリエノールおよびトコフェロール組成の詳細な説明は、以下の実施例に含まれる。
【0135】
ある場合には、微細藻類バイオマスは、少なくとも10%の可溶性繊維を含む。他の実施形態では、微細藻類バイオマスは、少なくとも20%〜25%の可溶性繊維を含む。幾つかの実施形態では、微細藻類バイオマスは、少なくとも30%の不溶性繊維を含む。他の実施形態では、微細藻類バイオマスは、少なくとも50%〜少なくとも70%の不溶性繊維を含む。総食物繊維とは、可溶性繊維および不溶性繊維の計である。幾つかの実施形態では、微細藻類バイオマスは、少なくとも40%の総食物繊維を含む。他の実施形態では、微細藻類バイオマスは、少なくとも50%、55%、60%、75%、80%、90%、および〜95%の総食物繊維を含む。
【0136】
III. 微細藻類バイオマスの最終食物への加工
成分
本発明の方法に基づいて産生される濃縮微細藻類バイオマスは、それ自体が最終食物成分であり、さらなる修正なしに、または最小限の修正のみで使用されてもよい。例えば、固形物は、真空包装または冷凍されることができる。代替的に、バイオマスは、「フリーズドライ」加工である凍結乾燥を介して乾燥させられてもよく、この加工においてバイオマスは、真空が適用されるフリーズドライチャンバで冷凍される。フリーズドライチャンバへの真空の適用は、水のバイオマスからの昇華(一次乾燥)および脱着(二次乾燥)をもたらす。しかしながら、本発明は、濃縮微細藻類バイオマスに適用され得る本発明の処理方法によって得られる、改良された特性を備える種々の微細藻類由来の最終食物成分を提供する。
【0137】
主に無処置、またはホモジネート形態のいずれかで、微細藻類バイオマスを乾燥させることは、さらなる加工を促進するために、または本明細書で説明される方法におけるバイオマス、および本明細書で説明される組成物を使用するために有利である。乾燥させるとは、主に無処置のバイオマスからの自由水分または表面水分/水の除去、または均質化された(例えば、微粒子化によって)バイオマスのスラリーからの表面水の除去に言及する。藻類バイオマスが乾燥しているかどうかに依存して、異なる食感および風味が食品に与えられ得、乾燥している場合、乾燥させる方法である。本明細書で説明される培養された微細藻類から生成されるバイオマスを乾燥させることは、最終食品または食物成分の望ましくない成分であり得る水を除去する。ある場合には、バイオマスを乾燥させることは、より効率的な微細藻類油の抽出加工を促進し得る。
【0138】
1つの実施形態では、濃縮微細藻類バイオマスは、この項目のパートAで説明されるとおり、藻類フレークを産生するために、フレーク形態にまでドラム乾燥させられる。別の実施形態では、濃縮微細藻類バイオマスは、この項目のパートBで説明されるとおり、主に無処置の細胞を含有する粉末を形成し、藻類粉末を産生するために、噴霧またはフラッシュ乾燥させられる(すなわち、空気乾燥加工に供される)。別の実施形態では、濃縮微細藻類バイオマスは、この項目のパートCで説明されるとおり、主たる溶解細胞のホモジネートを形成するために微粒化され(均質化され)、それは次いで産生する藻類粉を産生するために、噴霧またはフラッシュ乾燥させられる。別の実施形態では、油は、この項目のパートDで説明されるとおり、藻類油を形成するために、濃縮微細藻類バイオマスから抽出される。
【0139】
A.
藻類フレーク
本発明の藻類フレークは、回転、加熱ドラムの表面に膜として適用される濃縮微細藻類バイオマスから調製される。乾燥させられた固体は次いで、ナイフまたは刃で削り取られ、細かいフレークがもたらされる。米国特許第6,607,900号は、事前の遠心分離(濃縮)ステップなしに、ドラム乾燥機を用いて微細藻類バイオマスを乾燥させることを説明し、かかる加工は、本発明の方法に基づいて使用されてもよい。
【0140】
バイオマスは、乾燥加工の間に高温に曝露され得るため、乾燥前に、酸化防止剤をバイオマスに添加することは有利であり得る。酸化防止剤の添加は、乾燥の間にバイオマスを保護するだけでなく、保管される場合に乾燥微細藻類バイオマスの保存期間を延長させるであろう。好ましい実施形態では、酸化防止剤は、乾燥または均質化等の、後の加工の前に、微細藻類バイオマスに添加される。使用に適した酸化防止剤は、以下で詳述される。
【0141】
さらに、脱水された微細藻類バイオマスの産生と、後の加工ステップとの間にかなりの時間が存在する場合、乾燥前に、バイオマスを低温殺菌することは有利であり得る。バイオマスの産生と、乾燥との間にかなりの時間が存在する場合、リパーゼからの遊離脂肪酸が形成され得る。バイオマスの低温殺菌は、これらのリパーゼを不活性化し、得られた乾燥させられたバイオマス製品における「せっけんのような」風味の形成を防止する。したがって、1つの実施形態では、本発明は、低温殺菌された微細藻類バイオマスを提供する。別の実施形態では、低温殺菌された微細藻類バイオマスは、藻類フレークである。
【0142】
B.
藻類粉末
本発明の藻類粉末は、空気または噴霧乾燥機を用いて、濃縮微細藻類バイオマスから調製される(例えば、米国特許第6,372,460号を参照のこと)。噴霧乾燥機では、液体懸濁液中の物質は、微細液滴分散で熱風の気流へ噴霧される。混入物質は、迅速に乾燥させられ、乾燥粉末を形成する。ある場合には、パルス燃焼乾燥機もまた、最終的な乾燥させられた物質における粉末状の質感を達成するために使用され得る。他の場合には、乾燥させられた微生物バイオマスのための最適条件を達成するために、噴霧乾燥に続いて流動床乾燥機を使用する組み合わせが使用される(例えば、米国特許第6,255,505号を参照のこと)。代替として、空気乾燥機もまた、藻類粉末の産生に使用され得る。空気乾燥機は、熱風の気流で乾燥させられる物質を引き込むか、または混入する。物質が熱風に混入される間、水分は、迅速に除去される。乾燥させられた物質は、次いで湿った空気から分離され、湿った空気は、次いでさらなる乾燥のために再循環させされる。
【0143】
C.
藻類粉
本発明の藻類粉は、機械的に溶解させられ、均質化され、ホモジネート噴霧またはフラッシュ乾燥させられた(または別の空気乾燥システムを用いて乾燥させられる)濃縮微細藻類バイオマスから調製される。藻類粉の産生は、細胞がそれらの油を放出するために溶解させられ、細胞壁および細胞内成分が微粒化されるか、10μm以下の平均寸法になるまで粒径を縮小されることを必要とする。得られた油、水、および微粒化した粒子は、油が乾燥前に分散液から分離しないように、乳化される。例えば、圧力破壊器は、細胞を溶解させるために、スラリーを含有する細胞を、制限オリフィス弁にポンプで送り込むために使用され得る。高圧(上限1500バール)が適用され、続いて排出ノズルを通じて即時の拡張が行われる。3つの異なる機構によって、細胞破壊が遂行される:弁上での衝突、オリフィス内での高液体せん断、および細胞の爆砕を引き起こす排出直後の突如の圧力低下。この方法は、細胞内分子を放出させる。細胞を主に長さ0.2〜5ミクロンの粒子に加工するために、Niro(Niro Soavi GEA)ホモジナイザー(またはあらゆる他の高圧ホモジナイザー)が使用される。藻類バイオマスの高圧下での加工(約1000バール)は、一般的に細胞の90%を超える部分を溶解させ、粒径を5ミクロン未満に縮小させる。
【0144】
代替的に、ボールミルを使用することができる。ボールミルでは、細胞は、ビーズ等の小研磨粒子と共に懸濁液中で撹拌される。細胞は、せん断力、ビーズ間の研磨、およびビーズとの衝突によって壊れる。ビーズは、細胞を破壊し、細胞内内容物を放出する。1つの実施形態では、藻類バイオマスは、Dyno−mill ECM Ultra(CB Mills)ボールミルを用いて破壊され、安定的乳液に形成される。細胞はまた、細胞を破壊するための混合器の使用(例として、高速またはWaring混合器等による)、加圧型細胞破壊装置、または弱い細胞壁の場合は遠心分離等によるせん断力によって破壊され得る。寸法および刃の細目を含む好適なボールミルボールについては、米国特許第5,330,913号で説明される。
【0145】
均質化の直接生成物は、油および水中にけん濁した、元の細胞より寸法の小さい粒子のスラリーである。粒子は、細胞残屑を示す。油および水は、細胞によって置き換えられる。均質化の前に、さらなる水が、細胞を含有する水性培地によって提供される。粒子は、好ましくはの微粒化したホモジネート形態である。放置された場合、より小さな粒子の一部は癒着する可能性がある。しかしながら、小粒子の均等分散は、微結晶セルロース等の微結晶安定剤の播種によって保護され得る。
【0146】
藻類粉を形成するために、スラリーは、噴霧またはフラッシュ乾燥させられ、それにより水を除去し、細胞残屑および油を含有する乾燥粉末をもたらす。粉末の油含量は、乾燥粉末の少なくとも10、25、または50重量%であり得るが、粉末は、脂っぽい感触および外見よりはむしろ乾燥した感触(例えば、目に見える油を欠く)を有し得、また振とうされると自由に流動する。種々の流動化剤(シリカ由来製品を含む)もまた添加され得る。乾燥後、粉末の含水量または水分含量は、一般的に10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、または1重量%未満である。空気乾燥機またはパルス燃焼乾燥機等の他の乾燥機もまた、藻類粉を産生するために使用され得る。
【0147】
藻類粉の油含量は、藻類バイオマスの油の割合に依存して異なり得る。藻類粉は、種々の油含量の藻類バイオマスから産生され得る。ある実施形態では、藻類粉は、同一の油含量の藻類バイオマスから産生される。他の実施形態では、藻類粉は、異なる油含量の藻類バイオマスから産生され得る。後者の場合、種々の油含量の藻類バイオマスは、組み合わされることができ、次いで均質化ステップが実施される。他の実施形態では、種々の油含量の藻類粉は、所望の最終的な油含量を含有する藻類粉生成物を達成するために、最初に産生され、次いで種々の割合で共に混合される。さらなる実施形態では、異なる脂質プロファイルの藻類バイオマスは、共に組み合わされることができ、次いで藻類粉を産生するために均質化され得る。別の実施形態では、異なる脂質プロファイルの藻類粉は、所望の最終的な脂質プロファイルを含有する藻類粉生成物を達成するために、最初に産生され、次いで種々の割合で共に混合される。
【0148】
本発明の藻類粉は、広範な食物の調理に有用である。油含量、繊維含量、および微粒化粒子のために、藻類粉は、多機能食物成分である。藻類粉は、焼き菓子、クイックブレッド、酵母生地製品、卵製品、ドレッシング、ソース、栄養飲料、藻類牛乳、パスタ、およびグルテンを含まない製品に使用されることができる。これらの食品を調合することについてのさらなる詳細、および藻類粉についてのさらなる説明は、以下の実施例で説明される。
【0149】
藻類粉は、焼き菓子において、従来の脂肪源(例えば、油、バター、またはマーガリン)、および卵の代わりに使用され得る。焼き菓子およびグルテンを含まない製品は、バターおよび卵で作られる従来の焼き菓子と見分けがつかない、すぐれた水分含量およびくし型構造を有する。すぐれた水分含量のために、これらの焼き菓子は、より長い保存期間を有し、藻類粉なしで産生される従来の焼き菓子よりも長くそれらの元の食感を保持する。
【0150】
藻類粉はまた、スムージー、ソース、またはドレッシングに使用されるとき、脂肪増量剤としても作用し得る。藻類粉の組成は、その官能的品質を伝達する能力、およびより高い脂肪含量を備える食品に匹敵する口当たりの点で独特である。藻類粉で作られるドレッシング、ソース、および飲料は、これらの食品が、約半分の脂肪/油量含しても、従来のより高い脂肪レシピに近いレオロジーおよび不透明度を有する。藻類粉はまた、すぐれた乳化剤でもあり、ソース、ドレッシング、およびスープ等のとろみ、不透明度、および粘度を必要とする調理における使用に好適である。さらに本明細書で説明される本発明の藻類粉に見出される脂質プロファイルは、トランス脂肪を含有せず、バターまたはマーガリン(または他の動物性脂肪)と比較して、より高容量の健康な、不飽和の脂肪を有する。したがって、藻類粉で作られる製品は、従来の脂肪源を用いる従来のレシピを用いて作られる、同一の食品の口当たりおよび官能的品質を犠牲にすることなく、(より健康的な脂肪を備えた)より低い脂肪含量を有し得る。
【0151】
藻類粉はまた、粉末化または液体卵に添加され得、それらは一般的に食品サービス環境で出される。藻類粉の添加は、粉末化および液体卵の外見、食感、および口当たり改善し、また調理卵が、スチームテーブル上に保持される場合でさえも、経時的な外見、食感、および口当たりの改善を延長する。特定の調合および感覚に関するパネルの結果は、実施例Dで下述される。
【0152】
D.
藻類油
1つの態様では、本発明は、藻類油をGMP条件下で、乾燥重量で少なくとも15%の油を含む藻類バイオマスから収集することによって、藻類油を調製する方法を対象とし、この場合藻類油は、50%18:1脂質を上回る。ある場合には、藻類バイオマスは、微細藻類の少なくとも2つの独特な種の混合物を含む。ある場合には、微細藻類の少なくとも2つの独特な種は、別個で培養されている。少なくとも1つの実施形態では、微細藻類の少なくとも2つの独特な種は、異なるグリセロ脂質プロファイルを有する。ある場合には、藻類バイオマスは、従属栄養的に成長した藻類に由来する。ある場合には、微細藻類の少なくとも2つの独特な種の全ては、乾燥重量で少なくとも15%の油を含有する。
【0153】
1つの態様では、本発明は、食物組成物を形成するために、乾燥重量で少なくとも10%、または少なくとも15%の油を含有する藻類細胞から獲得される藻類油を、1つ以上他の食用成分と組み合わせることを含む、食物組成物を作製する方法を対象とする。ある場合には、方法はさらに、GMP条件下で藻類油を調製することを含む。
【0154】
藻類油は、食品に使用(他の適用の中でも特に)するために、溶解させられたバイオマスから分離されることができる。油の抽出後に残る藻類バイオマスは、脱脂された食事と称される。脱脂された食事は、乾燥重量または容量で、抽出前に含まれる微細藻類よりも少ない油を含有する。一般的に、脱脂された食事が、例えば、抽出前のバイオマスの油含量の10〜50%を含有するように、油の50〜90%が抽出される。しかしながら、バイオマスは、タンパク質および上述の他の成分の含量において、依然として高い栄養価を有する。したがって、脱脂された食事は、動物の飼料に、または人の食物適用に使用されることができる。
【0155】
この方法の幾つかの実施形態では、藻類油は、少なくとも50%w/wのオレイン酸であり、5%未満のDHAを含有する。この方法の幾つかの実施形態では、藻類油は、少なくとも50%w/wのオレイン酸であり、0.5%未満のDHAを含有する。この方法の幾つかの実施形態では、藻類油は、少なくとも50%w/wのオレイン酸であり、18を超える炭素鎖長を含有する5%未満のグリセロ脂質を含有する。ある場合には、藻類油が獲得される源である藻類細胞は、微細藻類の少なくとも2つの独特な種からの細胞の混合物を含む。ある場合には、微細藻類の少なくとも2つの独特な種は、別個で培養される。少なくとも1つの実施形態では、微細藻類の少なくとも2つの独特な種は、異なるグリセロ脂質プロファイルを有する。ある場合には、藻類細胞は、従属栄養条件下で培養される。ある場合には、微細藻類の少なくとも2つの独特な種の全ては、乾燥重量で少なくとも10%、または少なくとも15%の油を含有する。
【0156】
1つの態様では、本発明は、GMP条件下で調製される、少なくとも50%の一価不飽和油を含有し、1%未満のDHAを含有する藻類油を対象とする。ある場合には、一価不飽和油は、18:1脂質である。ある場合には、藻類油は、油の単位用量の送達のためにカプセルに内包される。ある場合には、藻類油は、微細藻類の少なくとも2つの独特な種の混合物に由来する。ある場合には、微細藻類の少なくとも2つの独特な種は、別個で培養されている。少なくとも1つの実施形態では、微細藻類の少なくとも2つの独特な種は、異なるグリセロ脂質プロファイルを有する。ある場合には、藻類油は、従属栄養条件下で培養された藻類細胞に由来する。
【0157】
1つの態様では、本発明は、60%を超える18:1、および少なくとも0.20mg/gのトコトリエノールを含む油を対象とする。
【0158】
1つの態様では、本発明は、60%を超える18:1エステル、および少なくとも0.20mg/gのトコトリエノールを含む脂肪酸アルキルエステル組成を対象とする。
【0159】
本発明の藻類油は、濃縮され、洗浄された微細藻類バイオマスから、抽出によって調製される。バイオマス内の細胞は、抽出前に溶解させされる。任意に、微生物バイオマスは、溶解(細胞破壊)前に乾燥させられてもよい(オーブン乾燥、凍結乾燥等)。代替的に、細胞は、発酵が完了したとき、発酵培養液の一部または全てから分離されることなく、溶解させられ得る。例えば、細胞が溶解させられるとき、細胞は、細胞外液に対して、1:1v:v細胞未満の比率であり得る。
【0160】
脂質を含有する微細藻類は、溶解物を産生するために溶解させられ得る。本明細書で詳述されるとおり、微生物を溶解させるステップ(細胞溶解とも称される)は、熱誘導溶解、塩基の添加、酸の添加、プロテアーゼおよびアミラーゼ等の多糖類分解酵素等の酵素の使用、超音波の使用、機械的圧力ベースの溶解、ならびに浸透圧衝撃を用いる溶解を含む、あらゆる簡便な手段によって達成され得る。微生物を溶解させるためのこれらの方法の各々は、単一の方法として、または同時にもしくは順次に組み合わせて使用され得る。細胞破壊の程度は、顕微分析によって観察され得る。以上の方法の1つ以上を用いて、一般的に70%を超える細胞破壊が観察される。好ましくは、細胞破壊は、80%を超える、より好ましくは90%を超える、および最も好ましくは約100%の細胞破壊である。
【0161】
本発明に基づいて微細藻類によって生成される脂質および油は、抽出によって回収され得る。ある場合には、抽出は、有機溶剤または油を用いて行われ得るか、または無溶剤抽出手順を用いて行われ得る。
【0162】
微細藻類油の有機溶剤抽出について、好ましい有機溶剤は、ヘキサンである。一般的に、有機溶剤は、溶解組成物の事前分離なしに、溶解物に直接に添加される。1つの実施形態では、以上で説明される方法の1つ以上によって生成される溶解物は、脂質成分が有機溶剤で溶液を形成することを可能にするために十分な一定期間、有機溶剤に接触させられる。ある場合には、溶液は、特定の所望の脂質成分を回収するために、次いでさらに精製され得る。次いで混合物は、ろ過され、ヘキサンは、例えば、回転蒸発によって除去される。ヘキサン抽出方法は、当技術分野で周知である。例えば、Frenz et al.,Enzyme Microb.Technol.,11:717(1989)を参照のこと。
【0163】
MiaoおよびWuは、微細藻類脂質の、クロレラ・プロトセコイデス培養物からの回収のプロトコル説明し、そこでは細胞は、遠心分離によって収集され、蒸留水で洗浄され、凍結乾燥によって乾燥させられた。得られた細胞粉末は、すり鉢で粉砕され、次いでn−ヘキサンで抽出された。Miao and Wu,Biosource Technology97:841−846(2006)。
【0164】
ある場合には、微細藻類油は、液化(例えば、Sawayama et al.,Biomass and Bioenergy17:33−39(1999)およびInoue et al.,Biomass Bioenergy6(4):269−274(1993)を参照のこと)、油液化(例えば、Minowa et al.,Fuel74(12):1735−1738(1995)を参照のこと)、または超臨界CO
2抽出(例えば、Mendes et al.,Inorganica Chimica Acta356:328−334(2003)を参照のこと)を用いて抽出され得る。
【0165】
油抽出は、溶解組成物の事前分離なしに、油を溶解物へ直接に添加することを含む。油の添加後、溶解物は、自然にまたは遠心分離の結果として等のいずれかにより、異なる層へ分離する。この層は、密度の高い方から順番に:重い固体のペレット、水性相、乳液相、および油相を含む。乳液相は、脂質および水性相の乳液である。溶解物、存在する場合は遠心分離の力、水性培地の容量、および他の要因に関連して(w/wまたはv/v)添加される油の割合に依存して、乳液および油相のいずれかまたは両方が存在し得る。細胞溶解物もしくは油を備える乳液相の培養または処置は、微生物によって産生された脂質が、不均質混合物を形成するために油中で可溶化することを可能にするために十分な時間にわたって行われる。
【0166】
種々の実施形態では抽出加工に使用される油は、大豆、ナタネ、キャノーラ、ヤシ、ヤシ種、ココナッツ、トウモロコシ、廃棄植物油、ナンキンハゼ、オリーブ、ヒマワリ、綿実、鶏脂、牛脂、豚脂、微細藻類、大型藻類、クフェア、亜麻、ピーナッツ、上質ホワイトグリース(ラード)、ナガミノアマナズナ、からし種子、カシューナッツ、カラスムギ、ハウチワマメ、ケナフ、キンセンカ属、大麻、コーヒー、亜麻仁、ヘーゼルナッツ、トウダイグサ属、カボチャ種、コリアンダー、ツバキ、胡麻、ベニバナ、米、アブラギリ、ココア、コプラ、ケシ、トウゴマの種子、ペカン、ホホバ、ジャトロファ属、マカデミア、ブラジルナッツ、およびアボカドからの油からなる群から選択される。溶解物に添加される油の量は、一般的に油が組み合わされようとしている溶解物の5%を超える(v/vおよび/またはw/wによって測定)量である。したがって、油の好ましいv/vまたはw/wは、細胞溶解物の5%、10%、20%、25%、50%、70%、90%、または少なくとも95%を超えるv/vまたはw/wである。
【0167】
脂質は、溶解物を冷却することによって、有機溶剤もしくは油を多量にまたは全く使用することなく、無溶剤抽出手順を介して溶解物から抽出され得る。超音波処理もまた、特に温度が室温から65oCの間である場合、使用され得る。遠心分離または沈降直後のかかる溶解物は、層に分離される得、そのうちの1つは、水性:脂質層である。他の層には、固体ペレット、水性層、および脂質層が含まれる。脂質は、凍結融解または他の方法で乳液を冷却することによって、乳液層から抽出され得る。かかる方法では、いかなる有機溶剤または油を添加することも不必要である。溶剤または油が少しでも添加される場合、それは、溶解物の5%v/vまたはw/w未満であり得る。
【0168】
IV. 微細藻類バイオマスまたはそこから派生する材料を他の食物成分と組み合わせる
1つの態様では、本発明は、少なくとも0.1%w/wの藻類バイオマスおよび1つ以上の他の食用成分を含む食物組成物を対象とし、該藻類バイオマスは、乾燥重量で少なくとも10%の油含み、任意に、油の少なくとも90%はグリセロ脂質である。幾つかの実施形態では、藻類バイオマスは、乾燥重量で少なくとも25%、40%、50%、または60%の油を含有する。ある場合には、藻類バイオマスは、乾燥重量で10〜90%、25〜75%、40〜75%、または50〜70%の油を含有し、任意に、油の少なくとも90%はグリセロ脂質である。少なくとも一実施形態では、油の少なくとも50重量%は、一価不飽和グリセロ脂質油である。ある場合には、油の少なくとも50重量%は、グリセロ脂質形態で18:1脂質である。ある場合には、油の5重量%未満は、ドコサヘキサエン酸(DHA)である(22:6)。少なくとも一実施形態では、油の1重量%未満はDHAである。低レベルの多価不飽和脂肪酸(PUFA)の藻類脂質含量は、バイオマスの化学的安定性を保証することが好まれる。好ましい実施形態では、藻類バイオマスは、従属栄養条件下で成長し、緑色色素沈着を低減した。他の実施形態では、微細藻類は、色素沈着を欠く、または色素沈着が低減された色彩突然変異株である。
【0169】
別の態様では、本発明は、少なくとも0.1%w/wの藻類バイオマス、および1つ以上他の食用成分を含む食物組成物を対象とし、藻類バイオマスは、乾燥重量で少なくとも30%のタンパク質、乾燥重量で少なくとも40%のタンパク質、乾燥重量で少なくとも45%のタンパク質、乾燥重量で少なくとも50%のタンパク質、乾燥重量で少なくとも55%のタンパク質、乾燥重量で少なくとも60%のタンパク質、または乾燥重量で少なくとも75%のタンパク質を含む。ある場合には、藻類バイオマスは、乾燥重量で30〜75%または40〜60%のタンパク質を含有する。幾つかの実施形態では、粗タンパク質の少なくとも40%は消化可能、粗タンパク質の少なくとも50%は消化可能、粗タンパク質の少なくとも60%は消化可能、粗タンパク質の少なくとも70%は消化可能、粗タンパク質の少なくとも80%は消化可能、または粗タンパク質の少なくとも90%は消化可能である。ある場合には、藻類バイオマスは、従属栄養条件下で成長した。少なくとも一実施形態では、藻類バイオマスは、窒素充満条件下で成長した。他の実施形態では、微細藻類は、色素沈着を欠く、または色素沈着が低減された色彩突然変異株である。
【0170】
ある場合には、藻類バイオマスは、主に無処置の細胞を含む。幾つかの実施形態では、食物組成物は、バイオマスの細胞内部に主に、または完全に被包された油を含む。ある場合には、食物組成物は、主に無処置の微細藻類細胞を含む。ある場合には、藻類油は、バイオマスの細胞中で主に被包されている。他の場合には、バイオマスは、主に溶解細胞(例えば、ホモジネート)を含む。上述のように、かかるホモジネートは、スラリー、フレーク、粉末、または粉として提供され得る。
【0171】
食物組成物の幾つかの実施形態では、藻類バイオマスは、少なくとも10ppmのセレンをさらに含む。ある場合には、バイオマスは、少なくとも15%w/wの藻類多糖類をさらに含む。ある場合には、バイオマスは、少なくとも5%w/wの藻類糖タンパク質をさらに含む。ある場合には、バイオマスは、0〜115mcg/gの総カルテノイドを含む。ある場合には、バイオマスは、少なくとも0.5%w/wの藻類リン脂質を含む。言及されたように、全ての場合において、これらの成分は真細胞成分であり、細胞外ではない。
【0172】
ある場合には、食物組成物の藻類バイオマスは、酸化防止性質を有する成分を含有する。強烈な酸化防止性質は、藻類バイオマス中に存在するカロテノイド、亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム、およびマンガン等の必須ミネラルを含むが、それらに限定されない多数の酸化防止剤に起因し得る。また、藻類バイオマスは、トコトリエノールおよびトコフェロール等の他の酸化防止剤を含有することを表している。ビタミンEファミリーのこれらのメンバーは重要な酸化防止剤であり、脳卒中による損傷に対する保護効果、動脈閉塞の回復、乳癌細胞および前立腺癌細胞の成長の阻害、コレステロールレベルの低下、タイプII糖尿病の低減されたリスク、および緑内障障害に対する保護効果等の他の健康上の利益を有する。トコトリエノールおよびトコフェロールの自然源は、パーム、ヒマワリ、トウモロコシ、大豆、およびオリーブ油から産生された油の中に見出され得る、しかしながら本明細書に提供される組成物は、従来既知の物質よりも有意に大きいレベルのトコトリエノールを有する。
【0173】
ある場合には、本発明の食物組成物は藻類油を含有し、少なくとも5mg/100g、少なくとも7mg/100g、または少なくとも8mg/100gの総トコフェノールを含む。ある場合には、本発明の食物組成物は藻類油を含有し、少なくとも0.15mg/g、少なくとも0.20mg/g、または少なくとも0.25mg/gの総トコトリエノールを含む。
【0174】
組成物および/または上述の方法の特定の実施形態では、微細藻類はカロテノイドを産生する。幾つかの実施形態では、微細藻類により産生されたカロテノイドは、脂質または微細藻類により産生された油で共脱脂され得る(すなわち、油または脂質はカロテノイドを含有するであろう)。幾つかの実施形態では、微細藻類により産生されたカロテノイドは、キサントフィルである。幾つかの実施形態では、微細藻類により産生されたカロテノイドは、カロチンである。幾つかの実施形態では、微細藻類により産生されたカロテノイドは、カロチンおよびキサントフィルの混合物である。種々の実施形態では、微細藻類により産生されたカロテノイドは、アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、アルファ−カロチン、trans−ベータカロチン、cis−ベータカロチン、リコピンおよびそれらのあらゆる組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのカロテノイドを含む。クロレラ・プロトセコイデスからの油のカロテノイドプロファイルの非限定的例は、下記の実施例に含まれる。
【0175】
食物組成物の幾つかの実施形態では、藻類バイオマスは、培養された藻類に由来し、適切な製造基準(GMP)条件下で乾燥された。ある場合には、藻類バイオマスは、穀物、果物、野菜、タンパク質,脂質、香草および/または香辛料成分を含むが限定されない1つ以上の他の食用成分と組み合わされる。ある場合には、食物組成物は、サラダドレッシング、卵製品、焼き菓子、パン、バー、パスタ、ソース、スープ飲料、飲料、冷菓、バター、またはスプレッドである。特定の実施形態では、食物組成物はピルまたは粉末ではない。ある場合には、本発明に基づいて食物組成物は、少なくとも50g、または少なくとも100gの重量を有する。
【0176】
バイオマスは、食品を作るため、1つ以上の他の食用成分と組み合すことができる。バイオマスは単一の藻類源(例えば、株)から、または多数の源(例えば、異なる株)からの藻類バイオマスからであり得る。また、バイオマスは、単一の藻類種からであり得るが、異なる組成物プロファイルを伴う。例えば、最終食物中で所望される油およびタンパク質含量を抽出するため、製造業者は、高い油含量の微細藻類を高いタンパク質含量の微細藻類と混合できる。小売販売または食品サービス使用のための最終食品を作るため、食品製造業者により、組み合わせは実行され得る。代替的に、製造業者は藻類バイオマスを品として売ることができ、消費者は藻類バイオマスを食品に組み込むことができる、例えば、従来のレシピの改良により。どちらの場合においても、藻類バイオマスは典型的に、従来の食品に多く使用される油、脂肪、卵等の全てまたは一部を置き換えるために使用される。
【0177】
1つの態様では、本発明は、少なくとも0.1%w/の藻類バイオマスおよび1つ以上の他の食用成分を含む食物組成物を対象とし、乾燥重量で所望の割合タンパク質および脂質のブレンドを得るために、藻類バイオマスは、乾燥重量で少なくとも40%のタンパク質を含有する藻類バイオマスを、乾燥重量で40%の脂質を含有する藻類バイオマスで混合することを通して調合される。幾つかの実施形態では、バイオマスは藻類の同一株からである。代替的に、凝集物中で、乾燥重量で少なくとも10%の脂質および1%のDHAを含有する乾燥バイオマスのブレンドを得るため、DHAとしてその脂質の1%未満を含有する乾燥重量で少なくとも40%の脂質を含有する藻類バイオマスは、DHAとしてその脂質の少なくとも5%を含有する乾燥重量で少なくとも20%の脂質を含有する藻類バイオマスと混合される。
【0178】
1つの態様では、本発明は、乾燥重量で少なくとも15%の藻類油を含む藻類バイオマスを提供するために、藻類培養物をGMP条件下で乾燥させることを含み、藻類油は、50%を超える一価不飽和脂質である藻類バイオマスを調製する方法を対象とする。
【0179】
1つの態様では、本発明は、GMP条件下で製造された乾燥重量で少なくとも15%の油を含有する藻類バイオマスを対象とし、該藻類油は、50%を越える18:1脂質である。1つの態様では、本発明は、GMP条件下で製造された乾燥重量で少なくとも40%油を含有する藻類バイオマスを対象とする。1つの態様では、本発明は、GMP条件下で製造された乾燥重量で少なくとも55%油を含有する藻類バイオマスを対象とする。ある場合には、藻類バイオマスは、単位用量のバイオマスの送達のため錠剤として包装される。ある場合には、藻類バイオマスは、藻類バイオマスを他の食用成分と組み合わせるための指示を提供するするラベルで包装されるか、さもなければ備えている。
【0180】
1つの態様では、本発明は、下記で説明されるように、食物組成物または食糧を形成するために、微細藻類バイオマスおよび/またはそれに由来する物質を、上述のように、少なくとも1つの他の最終食物成分と組み合わせる方法を対象とする。種々の実施形態では、本発明の方法により形成された食物組成物は、卵製品(粉末または液体)、パスタ製品、ドレッシング製品、マヨネーズ製品、ケーキ製品、パン製品、エネルギーバー、乳製品、ジュース製品、スプレッド、またはスムージーを含む。ある場合には、食物組成物は、ピルまたは粉末ではない。種々の実施形態では、食物組成物は、少なくとも10g、少なくとも25g、少なくとも50g、少なくとも100g、少なくとも250g、または少なくとも500g、もしくはそれ以上の重量を有する。幾つかの実施形態では、微細藻類バイオマスおよび/またはそれに由来する品の組み合わせにより形成された食物組成物は、未調理品である。他の場合には、食物組成物は調理品である。
【0181】
他の場合には、食物組成物は調理品である。ある場合には、藻類バイオマスによって提供される油を除いて、食物組成物は、25重量%未満の油または脂肪を含有する。硬化野菜油が実施される場合、飽和トリグリセリド(TAGまたはランス脂肪酸)の形態の脂肪が作られ、マーガリン等のスプレッドを作製する場合のように実施される。藻類バイオマス中に含有される脂肪は、トランス脂肪酸の存在を有さない。ある場合には、バイオマスによって提供される油を除いて、食物組成物は、25重量%未満の油または脂肪を含有する。少なくとも一実施形態では、バイオマスによって提供される油を除いて、食物組成物は、油または脂肪を含まない。ある場合には、食物組成物は、バイオマスによって提供される油以外の油を含まない。ある場合には、食物組成物は、卵または卵製品を含まない。
【0182】
1つの態様では、本発明は、食物組成物を作製する方法を対象とし、従来の食品中の脂肪または油は、少なくとも10重量%の油を含有する藻類バイオマスで全て、または部分的に代用される。1つの実施形態では、バイオマス中の藻類油の割合および従来の食品中の油または脂肪の量を使用して代用するための、藻類バイオマスの量を決定する方法を含み、藻類バイオマスを、少なくとも1つの他の食用成分および従来の食品中に含有される油または脂肪の量未満と組み合わせ、食物組成を形成する。ある場合には、少なくとも1つの他の成分と組み合わされた藻類バイオマスの量は、従来の食品の中の油および/または脂肪の質量または容量の1〜4倍である、
幾つかの実施形態では、上述の方法は、油または脂肪と組み合わされた少なくとも1つの他の食用成分を含有する従来の食品のためのレシピ提供すること、藻類バイオマスの1〜4倍の質量または容量を少なくとも1つの他の食用成分と、従来の食品中の脂肪または油の質量または容量として組み合わせること、をさらに含む。ある場合には、方法は、GMP条件下で藻類バイオマスを調製することをさらに含む。
【0183】
ある場合には、組み合わせ微細藻類バイオマスおよび/またはそれに由来する品によって形成される食物組成物は、少なくとも0.1%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、または少なくとも50%w/wもしくはv/vの微細藻類バイオマスまたは微細藻類油を含む。幾つかの実施形態では、本明細書で説明されるように形成される食物組成物は、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、または少なくとも95%w/wの微細藻類バイオマス、もしくはそれに由来する品を含む。ある場合には、食物組成物は、藻類バイオマスもしくはそれに由来する品の、重量または用量ごとの5〜50%、10〜40%、または15〜35%を含む。
【0184】
上述のように、微細藻類バイオマスは、食品中にさもなければ従来含まれる他の成分で代用され得る。幾つかの実施形態では、バイオマスによって、あるいは微細藻類源から提供される微細藻類油を除いて、食物組成物は、重量ごとの50%未満、40%未満、または30%未満の油または脂肪を含有する。ある場合には、バイオマスによって、あるいは微細藻類源から提供される微細藻類油除いて、食物組成物は、重量ごとの25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満の油または脂肪を含有する。少なくとも一実施形態では、バイオマスまたは微細藻類源によって提供される微細藻類油を除いて、食物組成物は、油または脂肪を含まない。ある場合には、食物組成物は、卵、バター、または他の脂肪/油、もしくは同等の従来の食品中に常時含まれ得る少なくとも1つの他の成分を含まない。一部の食品は、乳製品(例えば、バター、クリームおよび/またはチーズ)を含まない。
【0185】
食物組成物を調製するために使用する藻類バイオマスの量は、従来の食品中で置き換えられる非藻類油、脂肪、卵等の量および藻類バイオマス中の油の割合による。したがって、少なくとも一実施形態では、本発明の方法は、バイオマス中の油の割合からの少なくとも1つの他の食用成分、および従来の食品中の少なくとも1つの他の食用成分と常時組み合わされる油および/または脂肪の割合と組み合わせる藻類バイオマスの量を決定することを含む。例えば、藻類バイオマスが50%w/wの微細藻類油であり、従来のレシピ中の油または脂肪の完全な置き換えが所望される場合、次いで油は、例えば2:1の比率で置き換えられる。比率は質量で測定できるが、実用的には、計量カップまたはスプーンを使用した容量の測定が大抵の場合容易であり、置き換えは用量によって可能である。一般的な場合では、置き換える油または脂肪の容量または質量は、(100/100−X)容量、または藻類バイオマスの質量によって置き換え、Xは、微細バイオマス中の藻類油の割合である。一般に、従来のレシピにおいて置き換える油および脂肪は、合計で藻類バイオマスにより置き換えることができるが、全体の置き換えは必要ではなく、油および/または脂肪のいずれの所望の割合も保有され得、残余物は、味および必要栄養量に従って置き換えられる。藻類バイオマスは、乳化剤として機能するタンパク質およびリン脂質を含有するため、卵等の品は、藻類バイオマスと全体または一部の置き換えが可能である。卵をバイオマスで全体を置き換えだ場合、それは食物組成物中の乳化特性をさらなる乳化剤(複数可)で増大させるあるいは必要である、および/または卵によってさもなければ提供されるであろうこれらの成分の損失を代償する、さらなる水もしくは他の液体(複数可)を添加することが望ましい。卵は全て脂肪ではないため、卵を置き換えるのに使用されるバイオマスの量は、純粋な油または脂肪を置き換えるのに使用されるもの未満であり得る。平均卵は約58gの重量を有し、かつ約11.2%の脂肪含む。したがって、50重量%の微細藻類油含む約13gの藻類バイオマスは、卵全体の総脂肪部を置き換えるために使用され得る。全てまたは一部の食品中の卵を置き換えることは、コレステロールを低下させるさらなる利益を有する。
【0186】
便宜上、代用比率は、バイオマスの質量または容量で置き換えられた油、脂肪、および/または卵の質量または容量の観点からも提供され得る。ある方法では、従来のレシピにおける油、脂肪、および/または卵の質量または容量は、油、脂肪、および/または卵の質量または容量の5〜150%、25〜100%、または25〜75%で置き換える。置き換え比率は、食品、所望の食品の栄養の概要、食品の全体の食感および外見、およびバイオマスの油含量等の因子に依存する。
【0187】
調理された食物では、割合(すなわち、重量または容量)の決定は、調理前または後に下され得る。液体の損失のため、藻類バイオマスの割合は、調理過程の間に増加することができる。ある藻類バイオマス細胞は調理過程中で溶解し得るため、直接調理品中で藻類バイオマスの含量を測定することは困難であり得る。しかしながら、含量は、最終食品の重量または容量の割合として未加工品に投入されたバイオマスの質量または容量から間接的に決定され得る(バイオマス乾燥固体基盤上で)、ならびにゲノム配列または特定のカロテノイド等の藻類バイオマスによってのみ送達される化合物等の藻類バイオマス特有の成分を分析する方法によって決定され得る。
【0188】
ある場合には、藻類バイオマスを、従来の食品中に存在する油、脂肪、卵等の比例する量を超える量の少なくとも1つの他の食用成分と組み合わせることが望まれ得る。例えば、個人は、従来の食品中の油および/または脂肪の質量または容量を、藻類バイオマスの量の1、2、3、4倍、またはそれ以上で置き換えることができる。本発明の方法の幾つかの実施形態では、油または脂肪と組み合わされた少なくとも1つの他の食用成分を含有する従来の食品のためのレシピを提供すること、かつ藻類バイオマスの1〜4倍の質量または容量を、従来の食品中の脂肪または油の質量または容量として少なくとも1つの他の食用成分と組み合わせること、を含む。
【0189】
食品を形成するために、藻類バイオマス(主に無処置の、または均質化、もしくは微粒化され)および/または藻類油を、少なくとも1つの他の食用成分と組み合わされた。ある食品では、藻類バイオマスおよび/または藻類油は、1〜20、2〜10、または4〜8つの他の食用成分と組み合わされた。食用成分は、果物、野菜、マメ科植物、肉、魚、穀物(例えば、小麦、米、カラスムギ、コーンミール、オオムギ)、香草、香辛料、水、野菜の煮汁、ジュース、ワイン、および酢を含むが、それらに限定されない全ての主要な食品群から選択され得る。幾つかの食物組成物では、少なくとも2、3、4、または5つの食品群、ならびに藻類バイオマスまたは藻類油が示される。
【0190】
また、油、脂肪、卵等は食物組成物に組み合わせられ得るが、上述のように、従来の食品と比較して低減された量(例えば、油、脂肪、または卵の質量または容量の50%、25%、または10%未満)に通常存在する。本発明の幾つかの食品は、藻類バイオマスおよび/または藻類油によって提供される以外の油を含まない。幾つかの食品は、藻類バイオマスによって提供される以外の油をを含まない。幾つかの食品は、藻類バイオマスまたは藻類油によって提供される以外の脂肪を含まない。幾つかの食品は、藻類バイオマスによって提供される以外の脂肪を含まない。幾つかの食品は、藻類バイオマスまたは藻類油によって提供される以外の油および脂肪の双方を含まない。幾つかの食品は、藻類バイオマスによって提供される以外の油および脂肪の双方を含まない。幾つかの食品は、卵を含まない。幾つかの実施形態では、特定の脂肪酸成分(複数可)またはレベルを含むため、微細藻類によって産生された油は、培養条件または株選択の目的に合わせて作られ得る。
【0191】
ある場合には、食物組成物を作製することに使用される藻類バイオマスは、微細藻類の少なくとも2つの独特な種の混合物を含む。ある場合には、微細藻類の少なくとも2つの独特な種は、別々に培養された。少なくとも一実施形態では、微細藻類の少なくとも2つの独特な種は、異なるグリセロ脂質の概要を有する。ある場合には、上述の方法は、従属栄養条件下で藻類を培養すること、および藻類からのバイオマスを調製することをさらに含む。ある場合には、微細藻類の全ての少なくとも2つの独特な種は、乾燥重量で少なくとも10%、または少なくとも15%の油を含有する。ある場合には、食物組成は、同一種のバイオマスの2つの独特な調製のブレンドを含有し、第1の調製は、乾燥重量で少なくとも30%の油を含有し、第2は、乾燥重量で15%未満の油を含有する。ある場合には、食物組成は、同一の種のバイオマスの2つの独特な調製のブレンドを含有する、第1の調製は、乾燥重量で少なくとも50%の油を含有し、第2は、乾燥重量で15%未満の油を含有する、さらに種は、クロレラ・プロトセコイデスである。
【0192】
従来の食物中で油、脂肪、または卵の置き換えとして藻類バイオマスを使用することに加えて、藻類バイオマスを、スムージー等の油を通常含有しない食物中で補助食品として使用することができる。主に炭水化物である油の組み合わせを用いる品は、油に関連する利益、炭水化物の血糖指数を低下することによって、油および炭水化物の組み合わせから利益を得ることができる。バイオマス中で被包された油の条項は、油を酸化から保護するのに有利であり、スムージーの味および食感を向上させることもできる。
【0193】
藻類バイオマスから抽出された油は、バイオマス自体として同一手段(従来のレシピにおいて油、脂肪、卵等の置き換えとして)で使用され得る。油は、約1:1重量/重量または容量/容量に基づいて従来の油および/または脂肪と置き換えて使用され得る。任意でさらなる水および/または乳化剤(平均58gの卵は約11.2%の脂肪であり、藻類油は約0.915g/mlの密度を有し、ティースプーン1杯は約5ml=1.2ティースプーンの藻類油/卵の容量を有する)と組み合わせて、卵ごとにティースプーン約1杯の藻類油の代用によって、油を卵と置き換えることができる。また、油は、ドレッシング、ソース、スープ、マーガリン、クリーム、ショートニング等に組み込まれ得る。 油は、他の食物成分を用いる油の組み合わせが所望の味、食感、および/または外見を提供するのに必要とされる食品に特に有用である。食品中の重量または容量ごとの油の含量は、少なくとも5、10、25、40、または50%であり得る。
【0194】
また、少なくとも一実施形態では、藻類バイオマスから抽出された油は、食品製造業者、レストランおよび/または消費者によって調理油として使用され得る。そのような場合では、藻類油は、ベニバナ油、キャノーラ油、オリーブ油、ブドウ種子油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ココナッツ油、パーム油、またはいずれの他の従来使用されている調理油等の従来の調理油を置き換えることができる。他の種の油と同様に藻類バイオマスから得られた油は、調理のためのその適合性をさらに精密化することに供しえる(例えば、煙点を上昇した)。油は、遊離脂肪酸を除去するため苛性ソーダで中和され得る。遊離脂肪酸は、取り外し可能なソープストックを形成する。油の色は、カーボンブラックおよび漂白土等の化学薬品で漂白することによって、除去され得る。漂白土および化学薬品は、濾過によって油から単離され得る。また、油は、蒸気で処理することによって脱臭され得る。
【0195】
主に無処置のバイオマス、均質化または微粒化したバイオマス(スラリー、フレーク、粉末、または粉として)および精製された藻類油は、食品を形成するために、全て他の食物成分と組み合わされ得る。全ては、好適な栄養の概要を伴う油の源である(相対的に高く一価不飽和された含量)。また、主に無処置、均質化、および微粒化したバイオマスは、上述のように、高品位タンパク質(平衡したアミノ酸組成物)、炭水化物、繊維、および他の栄養を供給する。いずれのこれらの品を組み込む食物は、完全菜食主義または菜食主義形態でもあり得る。タンパク質源として微細藻類バイオマス(主に無処置のまたは均質化された(もしくは微粒化された)のどちらか、あるいは双方)を使用することの別の利点は、それが、大豆、卵、または乳製品等の主要なアレルゲン源ではない完全菜食主義/菜食主義タンパク質源であることである。
【0196】
本発明に基づいて藻類バイオマスおよび/または藻類油と混合され得る他の食用成分は、穀物、果物、野菜、タンパク質、肉、香草、香辛料、炭水化物、および脂肪を、含むが、それらに限定されない。食物組成物を形成するために藻類バイオマスおよび/または藻類油と混合される他の食用成分は、産生される食品ならびに所望の味、食感、および食品の他の特性による。
【0197】
藻類油のいずれのこれらの源は、一般にいずれの食品においても使用され得るが、好ましい源は、油が主に食物の食感、外見、または味としてよりも栄養目的のために存在しているのか、あるいはカロリー目的のために存在しているのかに一部よる、または代替的に、他の食物成分と組み合わせた油が、その栄養またはカロリープロファイルを向上する、かつ、あるいはに代わって、食物の所望の味、食感、または外見を提供することを意図しているのかによる。
【0198】
食物は、従来の手順によって所望のように調理され得る。期間および温度により、調理過程は、幾つかの細胞壁を破壊し得、混合物中において他の成分と組み合わせるように、油が放出される。しかしながら、大抵少なくとも幾つかの藻類細胞は、調理を無処置で残存する。代替的に、食品は調理無しで使用され得る。この場合には、藻類壁は無処置で存続し、油を酸化から保護する。
【0199】
主に無処置の細胞の形態で、またはホモジネート粉末として提供された場合、その中で藻類バイオマスは、油、脂肪、または卵とは異なり、それが乾燥成分として提供され得、粉等の他の乾燥成分と混合することを促進する。1つの実施形態では、藻類バイオマスは、乾燥ホモジネートとして提供され、乾燥重量で25〜40%の油を含有する。また、バイオマスホモジネートはスラリーとしても提供され得る。乾燥成分(および使用される場合、バイオマスホモジネートスラリー)および水等の液体を混合した後、添加され得る。幾つかの食品には、バイオマスの非油成分ためおよび/または卵等の他の成分によって水が供給されないため、必要とされる液体の量は、従来の食品中のものより若干高い。しかしながら、従来の調理において見られるように、水の量は容易に測定され得る。
【0200】
1つの態様では、本発明は、乾燥重量で少なくとも10%の藻類油を含有する少なくとも0.5%w/wの藻類バイオマス、および少なくとも1つの他の食用成分を含む食物成分組成を対象とし、食物成分は、該液体の該食物成分組成への添加によって、再構成食品に変換され得る。1つの実施形態では、液体は水である。
【0201】
均質化または微粒化した高油バイオマスは、特に液体、および/またはソース、スープ、飲料、サラダドレッシング、バター、スプレッド等の乳化食品(油中の水および水乳液中の油)において有利であり、バイオマスによって提供される油は、他の液体を用いて乳液を形成する。ドレッシング、ソース、およびスプレッド等の向上したレオロジーから利益を得る品は、下記の実施例において説明される。均質化バイオマスを使用する所望の食感(例えば、口当たり)、味、および外見(例えば、乳白度)を伴う乳液は、従来の油を用いる従来の品の場合よりも低い油含有率(品全体の重量または容量)で形成され得、したがって脂肪増量剤として使用され得る。それは低カロリー(すなわち、食生活)品に対して有用である。また、精製された藻類油は、かかる液体および/または乳化品に対しても有利である。均質化または微粒化した高油バイオマスおよび精製された藻類油の双方は、焼き菓子における他の食用成分と上手く組み合わされ、従来の油、脂肪、および/または卵で作られるが、向上した栄養の概要(例えば、一価飽和油の高い含量、および/または高い含量もしくは高品位のタンパク質、および/または高い含量の繊維および/または他の栄養素)を伴うさもなければ同様の品に対して同様、またはより優れた味、外見、および食感を達成する。
【0202】
主に無処置のバイオマスは、食品用の栄養の概要(例えば、高い油含有率、異なる油含有率(例えば、さらなる一価不飽和油)、高いタンパク質含量、高いカロリー含量、他の栄養素の高い含量)を変化、あるいは増加させることが所望される状況において、特に有用である。かかる食物は、例えば、消耗性疾患を罹患する運動選手または患者に対して、有用であり得る。主に無処置のバイオマスは、増量剤としても使用され得る。増量剤は、例えば、より高価な食物の量(例えば、ミートヘルパー等)の増大、または菜食主義者のための肉の代替物等の模擬もしくは模造食物における増大のため、使用され得る。模擬もしくは模造食物は、風味および増量において自然の食物とは異なり、通常異なる源によって提供される。例えば、肉等の自然の食物の風味は、増量剤に与えられ得、風味を保持する。主に無処置のバイオマスは、かかる食物において増量剤として使用され得る。また、良き水結合特性を有するため、主に無処置のバイオマスは、特にパスタ等の乾燥食物において有用であり、したがってかかる食物の再水和を促進する。また、主に無処置のバイオマスは、例えば、焼き菓子において、防腐剤として有用である。主に無処置のバイオマスは、水貯留を向上することができ、したがって保存期間を向上できる。
【0203】
また、破壊されたまたは微粒化された藻類バイオマスは、水貯留を向上することができ、したがって保存期間を向上できる。向上した保湿は、グルテンを含まない焼き菓子等のグルテンを含まない品において特に望ましい。破壊された藻類バイオマスを使用するグルテンを含まないクッキーの配合の詳細な記述、および後の保存期間研究は、以下の実施例で説明される。
【0204】
ある場合には、藻類バイオマスは、卵調製において使用され得る。幾つかの実施形態では、従来の乾燥粉末卵調製に添加された藻類バイオマス(例えば、藻類粉)は、藻類バイオマス無しで調製され乾燥粉末卵よりもよりクリーム状のスクランブルエッグを作り出し、より多くの水分、より優れた食感を有する。他の実施形態では、次いでスチームテーブルで保持された卵の全体の食感および水分を向上させるため、藻類バイオマスは、全液体卵に添加される調製される。前述の調製の特定の例は、以下の実施例で説明される。
【0205】
藻類バイオマス(主に無処置のおよび/または均質化あるいは微粒化され)および/または藻類油は、実質的にいかなる食物組成物にも組み込まれ得る。幾つかの例は、糖質クッキー、ビスケット、およびパイを含むブリオッシュ、クッキーを含むケーキ、ブラウニー、イエローケーキ、パン等の焼き菓子を含む。他の例は大抵、パスタまたは粉末ドレッシング、乾燥クリーム、減脂肉および肉の代替物等の乾燥形態において提供される品を含む。結合および/または増量剤として主に無処置のバイオマスをかかる品に組み込むことは、水和を向上でき、主に無処置のバイオマスの水結合能力のため、収率を増加できる。また、乾燥粉末卵で作られたスクランブルエッグ等の再水和食物は、向上した食感および栄養の概要を有し得る。他の例は、ソース、スープ、ドレッシング(インスタント)、クリーム、牛乳飲料、ジュース飲料、スムージー、クリーム等の液体食品を含む。他の液体食物は、食事代替または藻類牛乳としての役割を果たす栄養飲料を含む。他の食品は、ショートニング、マーガリン/スプレッド、ナッツバター、およびナチョソース等のチーズ製品を含むターまたはチーズ等を含む。他の食物は、エネルギーバー、レシチンチョコレート菓子置き換え、食事代替バー、グラノーラバー種の品を含む。食品の別の種は、衣用生地およびコーティングである。食物を囲む油の層を提供することによって、主に無処置のバイオマスまたはホモジネートは、調理培地からの余分な油が食物に浸透するのを防ぐ。したがって、食物は、より少ない望ましい油を取得すること無く、コーティングの高い一価不飽和油含量の利益を保有することができる(例えば、トランス脂肪酸、飽和脂肪、および調理油からの品による)。また、調理油のより少ない吸収およびその副生成物のため、バイオマスのコーティングは、望ましい食感(例えば、軽い歯応え)および清潔な風味を食物に提供し得る。
【0206】
未調理である食物には、バイオマス中の大抵の藻類細胞が無処置のままである。これは、藻類油を酸化から保護する利点を有し、それは長い保存期間を与え、他の成分との有害な相互作用を最小化する。食物の本質により、細胞によって与えられた保護は、冷蔵、真空包装すること等の必要性を低下させることができる、あるいは避けることができる。また、無処置の細胞保有することは、油と消費者の口の直接的接触を防止し、望ましくはないであろう油または脂肪感覚を低下させる。油が栄養補助食品としてより使用される食品は、品の感覚受容性特性の向上における利点であり得る。したがって、主に無処置のバイオマスは、かかる品における使用に対して適している。しかしながら、サラダドレッシング等の油が所望の口当たりを与える未調理品において(例えば、酢等の水溶液を用いる乳液として)、精製された藻類油または微粒化したバイオマスの使用が好ましい。調理された食物では、本来無処置のバイオマスの幾つかの藻類細胞は溶解され得るが、他の藻類細胞は無処置のままであり得る。無処置の細胞への溶解の比率は、調理過程の温度および持続時間による。他の成分を用いた均一の様式での油の分散が、味、食感および/または外見(例えば、焼き菓子)のために所望される調理された食物では、微粒化したバイオマスまたは精製された藻類油の使用が好まれる。調理された食物では、油および/またはタンパク質および他の栄養素を供給のために使用される藻類バイオマスは、主に食感よりもそれらの栄養またはカロリー値ためである。
【0207】
また、藻類バイオマスは、藻類バイオマス無しで作られたさもなければ同様の従来の品と相対して、食品の満腹指数を増加させるのに有用であり得る(例えば、食事代替飲料またはスムージー)。満腹指数とは、異なる食物の同カロリー数によって食欲が満たされる程度の測定値である。かかる指数を試験された食物を給餌することによって、かつその後の固定間隔で他の食物に対する食欲を測定することによって測定することができる。その後の他の食物に対する食欲が少ないことは、満腹指数が高いことである。満腹指数の値は、100の値を割り当てられる規模で表される。高い満腹指数を伴う食物は、食生活に対して有用である。メカニズムの理解に依存しないが、藻類バイオマスは、カロリーの所与の量に対して食物のタンパク質および/または繊維含量を増加させることにより、食物の満腹指数を増加することが考えられる。
【0208】
また、藻類バイオマス(主に無処置の、および均質化または微粒化された)および/または藻類油は、栄養または健康補助食品の中に製造され得る。例えば、藻類油は、魚油と同様の様式で消化可能カプセルの中に被包される。かかるカプセルは、ボトル内に包装され得、日常的に摂取され得る(例えば、1日につき1〜4カプセルまたは錠剤)。カプセル剤は、単位用量の藻類バイオマスまたは藻類油を含有することができる。同様に、バイオマスは、錠剤の中に製薬または他の添加物と任意に加圧され得る。錠剤は、例えば、ボトル内に、またはブリスター包装に梱包され得、例えば、1日につき1〜4の錠剤を毎日摂取することができる。ある場合には、錠剤または他の用量配合は、単位用量のバイオマスまたは藻類油を含む。カプセル剤および錠剤品、ならびに他の補助食品の製造は、21C.F.R.111で成文化された栄養補助食品に対して適切なGMP条件下で、または外国管轄によって設立された同等の規制によって好ましくは実行される。藻類バイオマスは他の粉末で混合でき、混ぜる準備のできた物質(例えば、水、ジュース、牛乳、または他の液体で)として小袋中に存在し得る。また、藻類バイオマスは、ヨーグルト等の品の中に混合され得る。
【0209】
藻類バイオマスおよび/または藻類油は栄養補助食品の中に組み込まれ得るが、上述の機能的な食品は、ピル、カプセル、または粉末の形態である典型的な栄養補助食品からは区別される特質を有する。かかる食品の一人前の分量は、重量の観点、および供給されるカロリーの観点の双方において、典型的に栄養補助食品よりも非常に大きい。例えば、食品は、大抵100gを越える重量を有しおよび/または梱包された場合、あるいは消費された場合、1度に少なくとも100カロリーを供給する。典型的に、食品は、タンパク質、炭水化物、または液体のどれかである少なくとも1つの成分を含有し、2つまたは3つのかかる他の成分を大抵含有する。食品中のタンパク質または炭水化物は大抵、食品の少なくとも30%、50%、または60%のカロリーを供給する。
【0210】
上述のように、藻類バイオマスは製造業者によって作られる、商業的環境または家庭での使用のためレストランまたは個人等の消費者へと売られることができる。かかる藻類バイオマスは、好ましくは食品のための適切製造基準(GMP)条件下で製造され、梱包される。主に無処置の形態、または粉末として均質化あるいは微粒化した形態の藻類バイオマスは、密封バッグ等の気密容器に大抵乾燥状態で梱包される。スラリー形態中で均質化または微粒化したバイオマスは、便宜上他の容器のうちタブ内に包装される。任意に、藻類バイオマスは、保存期間を亢進させるため真空下で梱包され得る。梱包された藻類バイオマスの冷蔵は、必要ではない。上述のように、梱包された藻類バイオマスは、従来のレシピにおける油、脂肪、または卵の所与の量を置き換えるためにどれくらいの量の藻類バイオマスを使用するかに対する指示を含む使用のための指示を含有することができる。便宜上、指示は、バイオマスの質量または容量によって、油または脂肪は2:1の比率で、卵は11gのバイオマスの比率で、あるいは卵ごとに1ティースプーンの藻類油で置き換えられると記載できる。上述のように、例えば、バイオマスの10〜175%質量または容量の比率を使用して、または従来のレシピにおける油および/または脂肪および/または卵の質量または容量を使用して、他の比率が可能である。密封梱包を開封する場合、説明書は、広く商用されているもの(例えば、Glad)等の気密容器中に藻類バイオマスを保存し、任意で冷蔵することを使用者に指示し得る。
【0211】
また、藻類バイオマス(主に無処置の、均質化または微粒化した粉末)は、他の乾燥成分(例えば、砂糖、粉、乾燥果物、風味)と組み合わされた形態内に包装され得、品において均一性を保証するため分割して梱包され得る。次いで、水または牛乳等の液体を添加する、任意に混合する、および/または油または脂肪無しで調理することによって、混合物は、簡単に消費者または食品サービス会社により食品に変換され得る。ある場合には、乾燥藻類バイオマス組成物を再構成するために液体が添加される。調理は、電子レンジ、対流式オーブン、従来のオーブン、またはコンロ上を使用して任意に実行され得る。かかる混合物は、作製するケーキ、パン、パンケーキ、ワッフル、飲料、ソース等のために使用され得る。かかる混合物は、消費者に対して便宜の利点を有し、ならびらに冷蔵無しで長い保存期間を有する。典型的にかかる混合物は、混合物を食品に転換するため液体を添加するための説明書を備える密封容器内に、包装される。
【0212】
食物成分として使用されるための藻類油は、同様に食物のためのGMP条件下で好ましくは製造され、梱包される。典型的に藻類油は、従来使用された油と同様のやり方でボトルまたは他の容器内に包装される。容器は、調理油として食品中の従来の油、脂肪、または卵との置き換えにおける油の使用に対する指示を伴う装着されたラベルを含み得る。密封容器内に包装された場合、油は実質的な劣化無く長い保存期間(少なくとも1年)を有する。開封後、主に一価不飽和油を含む藻類油は、酸化に対する敏感な感受性は無い。しかしながら、未使用部分の油は長く保存できる、低い温度および/または直射日光を避けて保存した場合(例えば、食器棚等の密閉空間内で)、酸化が少ない。油と共に含まれる指示は、そのような好ましい収納情報を含有する。
【0213】
任意に、藻類バイオマスおよび/または藻類油は、保存期間を最大限に高めるため、カロテノイド(例えば、アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、アルファ−カロチン、ベータ−カロチンおよびリコピン)、リン脂質(例えば、N−acylホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ならびにリゾホスファチジルコリン)、トコフェロール(例えば、アルファトコフェノール、ベータトコフェノール、ガンマトコフェノールならびにデルタトコフェノール)、トコトリエノール(例えば、アルファトコトリエノール、ベータトコトリエノール、ガンマトコトリエノール、ならびにデルタトコトリエノール)、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ポリフェノール、ロスマリン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ソルビン酸、安息香酸、メチルパラベン、レブリン酸、アニス酸、酢酸、クエン酸、およびビオフラボノイドを含むがそれらに限定されない認可された食物防腐剤/酸化防止剤を含有し得る。
【0214】
主に無処置のバイオマス、均質化、または微粒化したバイオマス(スラリー、フレーク、粉末、または粉)もしくは藻類油の人間栄養に対する食物への組み込みの記述は、非ヒト動物に対する食品にも一般に適用できる。
【0215】
バイオマスは、かかる食物において高品質油またはタンパク質の双方を与える。藻類油の含量は、藻類タンパク質の含量のように、好ましくは少なくとも10または20重量%。主に無処置のバイオマスから少なくとも幾つかの藻類油および/またはタンパク質を得ることは、時として猟犬またはウマ等の高性能動物のための食物に対して有利である。また、主に無処置のバイオマスは、防腐剤としても有用である。藻類バイオマスまたは油は、典型的に動物食物(例えば、肉、肉風味、脂肪酸、野菜、果物、澱粉、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、プロバイオティクス)およびそれらのあらゆる組み合わせにおいて見出される他の成分と組み合わされる。また、かかる食物は、ペット、特に活動的なライフスタイルを有するものにも適している。タウリンの含有は、キャットフードに対して薦められる。従来の動物食物のように、食物は、目的の動物に対して適切な一口大の小片で提供され得る。
【0216】
脱脂された食事は、家畜、例えば、反芻動物、家禽類、ブタ、および水産養殖に対する動物飼料として有用である。脱脂された食事は、食物または他の目的のいずれかのため、精製された藻類油を調製することの副製品である。油含量は低減されるが、得られた食事は、高品位タンパク質、炭水化物、繊維、灰分、および動物飼料に対して適切な他の栄養をなおも含有する。細胞は主に溶解されるため、脱脂された食事は、かかる動物によって容易に消化可能である。脱脂された食事は、動物飼料中で穀物等の他の成分と任意に組み合わされ得る。脱脂された食事は粉末状の整合性を有するため、それを商用されている押出機または拡張機を使用してペレットに圧搾することができる。
【0217】
以下の実施例は特許請求された発明を例証するために提供されているが、それを限定するものではない。
【実施例】
【0218】
V. 実施例
実施例1
高油含有量を得るための微細藻類の栽培
微細藻類株を、乾燥細胞重量で20%超の油を得ることを目標に、振とうフラスコ内に栽培した。使用したフラスコ培地は以下の通りであった。K
2HPO
4:4.2 g/L、NaH
2PO
4:3.1g/L、MgSO
4・7H
2O:0.24g/L、クエン酸一水和物:0.25g/L、CaCl
2 2H
2O:0.025g/L、酵母エキス:2g/L、および2%ブドウ糖。凍結保存細胞を室温で解凍し、500μlの細胞を4.5mlの培地に追加し、6ウェルプレートで撹拌(200rpm)しながら28℃で7日間成長させた。乾燥細胞重量を、事前に量られたエッペンチューブ内で、1mlの培養物を5分間14,000rpmで遠心分離することによって測定した。培養上清を廃棄し、得られた細胞ペレットを脱イオン水1mlで洗浄した。培養物を再び遠心分離し、上清を廃棄し、細胞ペレットが凍るまで−80℃に置いた。その後、試料を24時間凍結乾燥させ、乾燥細胞重量を計算した。培養内の総脂質の決定には、培養物3mlを除去し、Ankomシステム(Ankom Inc., Macedon, NY)を用い製造業者のプロトコルに従って分析に供した。製造業者のプロトコルに従い、試料はAmkomXT10抽出装置による溶媒抽出に供した。総脂質は、酸で加水分解された乾燥試料と溶媒抽出した乾燥試料との質量差として測定した。乾燥細胞重量での含油率を表1に示す。
【0219】
【表1】
実施例2
高油含量の藻類バイオマスを生成することを目標として、3つの異なる培地配合で3つの異なる発酵過程が行われた。第1の配合(培地1)は、Wu et al.(1994 Science in China,vol.37,No.3,pp.326−335)に記載された培地に基づき、1リットルごとの構成は、KH
2PO
4、0.7g;K
2HPO
4、0.3g;MgSO
4−7H
2O、0.3g;FeSO
4−7H
2O、3mg;チアミン塩酸塩、10μg;ブドウ糖、20g;グリシン、0.1g;H
3BO
3、2.9mg;MnCl
2−4H
2O、1.8mg;ZnSO
4−7H
2O、220μg;CuSO
4−5H
2O、80μg;およびNaMoO
4−2H
2O、22.9mgからなった。第2の培地(培地2)は、実施例1に記載されているフラスコ培地に由来し、1リットルごとの構成は、K
2HPO
4、4.2g;NaH
2PO
4、3.1g;MgSO
4−7H
2O、0.24g;クエン酸一水和物、0.25g;塩化カルシウム脱水物、25mg;ブドウ糖、20g;酵母エキス、2gからなった。3つ目の培地(培地3)は、ハイブリッドであり、1リットルごとの構成は、K
2HPO
4、4.2g;NaH
2PO
4、3.1g;MgSO
4−7H
2O、0.24g;クエン酸一水和物、0.25g;塩化カルシウム脱水物、25mg;ブドウ糖、20g;酵母エキス、2g;H
3BO
3、2.9mg;MnCl
2−4H
2O、8mg;ZnSO
4−7H
2O、220μg;CuSO
4−5H
2O、80μg;およびNaMoO
4−2H
2O、22.9mgからなった。3つすべての培地配合を、121℃で30分間、実験室規模の発酵容器で調製および加圧滅菌器殺菌した。加圧滅菌器殺菌後に冷ました後、滅菌ブドウ糖を追加した。
【0220】
各発酵槽の接種は、接種された発酵槽の培地および温度条件を用い、2つのフラスコ段階にて調製したクロレラ・プロトセコイデス(UTEX250)だった。各発酵装槽は対数増殖中期の培養物10%(v/v)で接種した。実験中、3つの実験規模の発酵容器を28℃に保持した。培地1の微細藻類細胞の成長を23℃の温度でも評価した。すべての発酵槽において、pHは6.6〜6.8に、撹拌は500rpmに、および気流圧は1vvmに保った。発酵培養物を11日間栽培した。バイオマスの蓄積を750nmの光学濃度および乾燥重量で測定した。
【0221】
脂質・油濃度を標準ガスクロマトグラフ法にて、直接的エステル交換を用いて測定した。簡潔に述べると、バイオマスを有する発酵ブロスの試料を吸い取り紙にブロットし、遠心管へ移し、65〜70℃で1時間、真空オーブンで乾燥させた。試料が乾燥した後、2mLのメタノール中5%H
2SO
4を管に加えた。管をその後、断続的にボルテックスおよび超音波処理をしながら、加熱ブロックの上で65〜70℃で3.5時間加熱した。その後2mlのへプタンを追加し、管を激しく振盪した。2mlの6%のK
2CO
3を追加し、管を激しく振盪した後、800rpmで2分間、遠心分離した。その後、Na
2SO
4乾燥剤を含むGCバイアルに上清を移し、標準ガスクロマトグラフ法を行った。油/脂質の割合(%)は、乾燥細胞重量基準に基づいた。乾燥細胞重量は、以下を用いて成長した。培地1は23℃では9.4g/L、培地1は28℃では1.0g/L、培地2は28℃では21.2g/L、および培地3は28℃では21.5g/Lであった。脂質・油濃度は、以下を用いて成長した。培地1は23℃では3g/L、培地1は28℃では0.4g/L、培地2は28℃では18g/L、および培地3は28℃では19g/Lであった。乾燥細胞重量に基づいた油の割合(%)は、以下を用いて成長した。培地1は23℃では32%、培地1は28℃では40%、培地2は28℃では85%、および培地3は28℃では88%であった。3つの異なる培地配合を28℃で用いて生成した藻類バイオマスの脂質プロファイルを(内標準に対して正規化したあと、面積%で)以下の表2に要約する。
【0222】
【表2】
実施例3
食品用のバイオマスの調製
微細藻類バイオマスは、実施例1から2のいずれかに定義されているように、微細藻類の培養によって生成する。微細藻類バイオマスは、発酵槽、フラスコ、または他のバイオリアクタから収集される。
【0223】
GMPの手順がそれに続く。健康診断、または上司の観察により、はれもの、痛み、または感染創を含む開いた傷、疾病、またはその他の、食物、食品接触面、または食品包装材料が汚染される合理的な可能性のある微生物汚染の異常な発生要因を有することが示された、または有するように見えた人は、疾患が治るまで、そのような汚染に至ると予期される業務から除外することとする。従業員は、そういった健康状態を管理者に報告するよう指示される。微細藻類バイオマス、バイオマス接触面、およびバイオマス包装材料と直接的接触して作業するすべての人は、勤務中、微細藻類バイオマスを汚染から保護するのに必要な程度の衛生的慣行に従う。清浄度を保つための方法には、以下が含まれるがそれらに限定されない:(1)バイオマス、バイオマス接触面、またはバイオマス包装材料を汚染から保護することに適する外衣を着用すること。(2)個人が適切な清浄度を保つこと。(3)仕事前、仕事場から離れた後ごと、および手が汚れた、または汚染された場合、適切な手洗い所で徹底的に手を洗うこと(および望ましくない微生物の汚染から保護するために、必要であれば消毒する)。(4)バイオマス、機器、または容器に落ちる可能性のある、固定されていない宝飾品およびその他をすべて取除くこと、およびバイオマスを手作業で操作している時に適切に消毒できない、手の宝飾品を取除くこと。このような手の宝飾品を取除けない場合は、無処置、清潔、および衛生的な状況を保つことができる、およびこれらの物体によるバイオマス、バイオマス接触面、バイオマス包装材料への汚染から効果的に保護する物質で覆うことができる。(5)バイオマス取扱いに使用されている場合、手袋を損なわれない、清潔、および衛生的な状況で保つこと。手袋は不透水性材料のものであること。(6)必要に応じて、効果的に、ヘッドネット、ヘッドバンド、帽子、髭カバー、またはその他の効果的な髪を保定するものを着用すること。(7)バイオマスが露出している場所または機器または器具が洗浄されている場所以外のところに洋服や他の所持品を収納すること。(8)以下をバイオマスが露出している場所または、機器または器具が洗浄されている場所以外のところに制限する。バイオマスの摂食、ガムを噛むこと、飲料を飲むこと、またはタバコの使用。(9)バイオマス、バイオマス接触面、またはバイオマス包装材料を、微生物、または、汗、髪の毛、化粧品、タバコ、化学製品、および皮膚に塗布される薬剤を含むが、それらに限定されない異物による汚染から保護する、他のあらゆる注意をすること。微細藻類バイオマスは、任意に溶解物を生成するために細胞破壊手順に供することができる、および/または任意に微細バイオマス組成物を形成するために乾燥させることができる。
【0224】
実施例4
高脂質藻類フレークを生成するためのクロレラ・プロトセコイデスの培養
クロレラ・プロトセコイデス(UTEX250)バイオマスを、実施例2と3に記載されている過程を用い、5,000Lの発酵タンクを用いて産生した。ブドウ糖(コーンシロップ)濃度を産生過程を通じで監視した。ブドウ糖濃度が低い場合、より多くのブドウ糖が発酵タンクに追加された。すべての窒素が消費された後、細胞は脂質を蓄積し始めた。実行中、バイオマスの試料を採って脂質レベルを監視し、実行はバイオマスが目標の脂質含量に達した(乾燥細胞重量で40%を超えた)時に停止した。この場合、バイオマスは、乾燥細胞重量で脂質が約50%を達した時に収穫した。
【0225】
微細藻類バイオマスを藻類フレークに加工するために、採集したクロレラ・プロトセコイデスのバイオマスを、遠心分離を用いて培養培地から分離し、標準方法を用いて、約150〜170℃でドラム乾燥機の上で乾燥した。得られた、乾燥細胞重量で脂質が約50%(高脂質)のドラム乾燥したクロレラ・プロトセコイデスのバイオマスを包装し、および藻類フレークとして使用するため保管した。
【0226】
実施例5
乾燥クロレラ・プロトセコイデスバイオマスの藻類毒素の欠如
クロレラ・プロトセコイデス(UTEX250)バイオマスの試料を、実施例4に記載されている方法を用いて成長させ、調製した。乾燥バイオマスを、汚染藻類およびラン藻毒素の有無について、液体クロマトグラフィー質量分析・質量(LC−MS/MS)分析を用いて分析した。分析は、文献に発表されたおよび国際的食品規制に述べられた、あらゆる群の藻類およびラン藻毒素を扱った。その結果は、バイオマス試料には、検査されたいかなる藻類またはラン藻毒素も、いかなる検出可能レベルでも含まれていないことを示す。結果を表3に要約する。
【0227】
【表3】
実施例6
クロレラ・プロトセコイデスバイオマスの繊維含量
Official Methods of ACOC International(AOAC Method 991.43)に従い、実施例4および実施例17に記載している方法を用いて成長させ、調製した乾燥クロレラ・プロトセコイデス(UTEX250)バイオマスに対して、近似分析を行った。両方の試料に総脂肪含量(脂質・油)の酸加水分解を行い、高脂質藻類バイオマスの脂肪含量は約50%であり、および高タンパク藻類バイオマスでは約15%であった。粗繊維含量は、高脂質および高タンパク藻類バイオマスの両方において2%であった。水分(重量測定法で測定)は、高脂質および高タンパク藻類バイオマスの両方において5%であった。ルツボ燃焼および無機灰分の分析によって測定した灰分含量は、高脂質藻類バイオマスにおいては2%であり、高タンパクバイオマスにおいては4%であった。各バイオマスを燃焼した際に遊離した窒素量によって測定した粗タンパク質は、高脂質バイオマスでは5%であり、高タンパクバイオマスでは50%であった。炭水化物含量は、 前述で知られている脂肪、粗製繊維、水分、灰分、粗製タンパク質の値の合計を100から引いて、その差から算出された。高脂質バイオマス中で算出された炭水化物含量は36%、および高タンパクバイオマス中で算出された炭水化物含量は24%であった。
【0228】
両方の藻類バイオマスの炭水化物含量の更なる分析により、試料中に約4〜8%(w/w)の遊離糖類(主にショ糖)が示された。多数のロットの高脂質を含む藻類バイオマスを、遊離糖類(果糖、ブドウ糖、ショ糖、麦芽糖、および乳糖)について検査をしたところ、ショ糖の量は2.83%〜5.77%の範囲、麦芽糖は未検出から0.6%の範囲、およびブドウ糖は未検出から0.6%の範囲であった。いかなる検査されたロット中にも、その他の糖分、すなわち果糖、麦芽糖、および乳糖は検出されなかった。多数のロットの高タンパクを含む藻類バイオマスにも遊離糖類の検査をし、あらゆるロット中でショ糖のみが、6.93%から7.95%の範囲で検出された。
【0229】
両方の藻類バイオマスの食物繊維総含量の分析(藻類バイオマスの炭水化物画分内)は、Official Methods of ACOC International(AOAC Method 991.43)に基づいて行われた。高脂質バイオマスには、可溶性繊維が19.58%、および不溶性繊維が9.86%で、総食物繊維が29.44%含まれていた。高タンパクバイオマスには、可溶性繊維が10.31%、および不溶性繊維が4.28%で、総食物繊維中が14.59%含まれていた。
【0230】
実施例7
藻類バイオマスのアミノ酸プロファイル
実施例4に記載した方法を用いて成長させ、調製した、乾燥細胞重量で脂質50%を有する乾燥したクロレラ・プロトセコイデス(UTEX 250)バイオマスの試料のアミノ酸含量を、Official Methods of AOAC Internationalに基づいて分析した(トリプトファンの分析:AOAC法 988.15、 メチオニンおよびシスティンの分析:AOAC法 985.28、 および、その他のアミノ酸の分析:AOAC法 994.12)。乾燥した藻類バイオマスの(総タンパク質の割合(%)で表される)アミノ酸プロファイルは、乾燥全卵のアミノ酸プロファイル(Whole Egg, Protein Factory Inc.,New Jerseyの製品仕様書からのプロファイル)と比べられ、およびその結果は、ふたつの源が同等のタンパク栄養価を含むことが示された。クロレラ・プロトセコイデス試料の(総タンパク質に対する)相対的なアミノ酸プロファイルの結果は、バイオマスには、メチオニン(2.25%)、システイン(1.69%)、リジン(4.87%)、フェニルアラニン(4.31%)、ロイシン(8.43%)、イソロイシン(3.93%)、スレオニン(5.62%)、バリン(6.37%)、ヒスチジン(2.06%)、アルギニン(6.74%)、グリシン(5.99%)、アスパラギン酸(9.55%)、セリン(6.18%)、グルタミン酸(12.73%)、プロリン(4.49%)、ハイドロキシプロリン(1.69%)、アラニン(10.11%)チロシン(1.87%)、およびトリプトファン(1.12%)が含まれていることを示した。藻類バイオマスおよび全卵のアミノ酸プロファイルの比較を
図2に示す。
【0231】
実施例8
クロレラ・プロトセコイデスUTEX250バイオマスのカロテノイド、リン脂質、トコトリエノールおよびトコフェロール組成
実施例4に記載された方法を用いて産生された藻類バイオマスの試料を、トコトリエノールおよびトコフェロール含量について、順相HPLC、AOCS法Ce8−89を用いて分析した。トコトリエノールおよびトコフェロールを含むバイオマスの断片をヘキサンまたは別の無極性溶媒を用いて抽出した。完全なトコトリエノールおよびトコフェノール組成分析の結果を表4に要約する。
【0232】
【表4】
カロテノイドを含むバイオマスの断片を分離し、HPL法を用いカロテノイドについて分析した。カロテノイドを含む断片は凍結乾燥したバイオマス(実施例3に記載された方法を用いて産生)を、アルミニウム乳鉢の中で炭化ケイ素と混合し、乳鉢および乳棒で4回、各1分間粉砕して調製した。その後、粉砕したバイオマスおよびシリコン混合物をテトラヒドロフラン(THF)で洗浄し、上清を収集した。上清が無色になるまでバイオマスの抽出を繰り返し、すべての抽出されたTHF上清を貯蔵して、標準HPLC法を用いてカロテノイド含量を分析した。ドラム乾燥機を用いて乾燥した藻類バイオマスのカロテノイド含量も、上述の方法を用いて分析した。
【0233】
凍結乾燥した藻類バイオマスのカロテノイド含量は、総ルテイン(66.9〜68.9mcg/g:cis−ルテインが12.4〜12.7mcg/gまでの範囲で、trans−ルテインが54.5〜56.2mcg/gまでの範囲)、trans−ゼアキサンチン(31.427〜33.451mcg/g)、cis−ゼアキサンチン(1.201〜1.315mcg/g)t−アルファクリプトキサンチン(3.092〜3.773mcg/g)、t−ベータクリプトキサンチン(1.061〜1.354mcg/g)、15−cis−ベータカロチン(0.625〜0.0675mcg/g)、13−cis−ベータカロチン(0.0269〜0.0376mcg/g)、t−アルファカロチン(0.269〜0.0376mcg/g)、c−アルファカロチン(0.043〜0.010mcg/g)、t−ベータカロチン(0.664〜0.741mcg/g)および9−cis−ベータカロチン(0.241〜0.263mcg/g)からなった。報告された総カロテノイドは、105.819mcg/gから110.815mcg/gの範囲にわたった。
【0234】
ドラム乾燥した藻類バイオマスのカロテノイド含量は有意に低く、総ルテイン(0.709mcg/g trans−ルテインが0.091mcg/gであり、およびcis−ルテインが0.618mcg/gである)、trans−ゼアキサンチン(0.252mcg/g)、cis−ゼアキサンチン(0.037mcg/g)、アルファ−クリプトサンチン(0.010mcg/g)、ベータ−クリプトサンチン(0.010mcg/g)およびt−ベータ−カロチン(0.008mcg/g)からなった。報告された総カロテノイドは1.03mcg/gであった。これらのデータは、カロテノイドの含量が、藻類バイオマスを乾燥させるために用いる方法によって有意に影響されることを示唆した。
【0235】
藻類バイオマスに、リン脂質分析も行った。リン脂質を含む画分を、Folch extraction method(クロロホルム、メタノール、および水の混合物)を用いて抽出し、油試料はAOCS Official Method Ja 7b−91である、加水分解されたレシチンのHPLCによる決定 (International Lecithin and Phopholipid Society 1999)を用いて分析し、およびリン脂質含量には、光散乱検出によるリン脂質の分析(International Lecithin and Phospholipid Society 1995)を用いた。総リン脂質は、パーセントw/wで、1.18%であった。藻類油のリン脂質プロファイルは、ホスファチジルコリン(62.7%)、ホスファチジルエタノールアミン(24.5%)、リゾホスファチジルコリン(1.7%)およびホスファチジルイノシトール(11%)であった。藻類バイオマスからのリン脂質を含む画分のヘキサン抽出物を用いた同様の分析も行った。総リン脂質は、パーセントw/wで、0.5%であった。リン脂質プロファイルは、ホスファチジルエタノールアミン(44%)、ホスファチジルコリン(42%)およびホスファチジルイノシトール(14%)であった。
【0236】
実施例9
藻類フレーク(高油)を含む食品
心臓・代謝性の健康バー
心臓・代謝性の健康バーの材料は、クイックオーツ(30.725%)、ライスパフ(9.855%)、微粒なグラニュー糖(ショ糖)(14.590%)、ライト・ブラウンシュガー(6.080%)、塩(0.550%)、キャノーラ油(10.940%)、コーンシロップ42DE(7.700%)、蜂蜜(3.650%)、水(7.700%)、レシチン(0.180%)、重曹(0.180%)、乾燥藻類バイオマス(クロレラ・プロトセコイドUTEX250、脂質48%)(1.540%)、Corowise植物ステロール(1.060%)、イヌリン(可溶性繊維)(4.280%)、およびサイリウム(可溶性繊維)(0.970%)で構成した。
【0237】
作成法:(1)オーブンを対流で華氏325度(摂氏約163度)に予熱しておく。(2)最初の5つの材料をボウルに量り分ける。(3)水、レシチンおよび重曹をホバートミキサーで混ぜる。(4)蜂蜜、コーンシロップおよびキャノーラ油を混ぜ合わせ、電子レンジで30〜40秒加熱する。スパチュラで手混し、混合物をホバートミキサーに流し入れる。(5)所望の標準食用香料を加える。(6)乾燥栄養補助食品(藻類バイオマス、植物ステロール、繊維)をホバートミキサーに加える。(7)残りの粉成分を加える。(8)形成し、対流式オーブンで華氏325度で20〜25分間焼く。
【0238】
Cardio Daily Shot(無処置の高油藻類バイオマスを含む液体食品)
オレンジ味のcardio shotの成分は、蒸留水(869.858g)、安息香酸ナトリウム(0.100g)、Ticaloid5415粉(1.000g)、濃縮サトウキビ汁の砂糖(88.500g)、乾燥藻類バイオマス(油40%強)(16.930g)、fibersol−2ADM(47.000g)、Corowise ES−200植物ステロール(18.300g)、顆粒状クエン酸(1.312g)、オレンジエッセンス(WONF、Flavor884.0062U)(1.000g)で構成した。材料を合わせ、滑らかになるまで混合した。
【0239】
体重管理スムージー(無処置の高油藻類バイオマスを含む液体食品)
フルーツベースのスムージーの材料は、蒸留水(815.365g)、安定剤(4.5g)、濃縮りんごジュース(58g)、濃縮オレンジジュース(46.376g)、濃縮レモンジュース(1.913g)、濃縮マンゴーピュレ(42.5g)、バナナピュレ(40.656g)、濃縮パッションフルーツジュース(8.4g)、アスコルビン酸(0.320g)、藻類フレーク(46.41g)、オレンジ香味料エッセンス(1g)、パイナップル香味料(0.4g)およびマンゴー香味料(0.16g)で構成した。材料を合わせ、滑らかになるまで混合した。
【0240】
心臓・代謝性の錠剤(被包性/錠剤形態の無処置の高油藻類バイオマス)
代謝性健康錠剤の材料(1.25〜1.75gの大きさ)は、クロレラ・プロトセコイデス乾燥微細藻類バイオマス(UTEX 250、乾燥細胞重量で脂質40%強)(1000mg/錠剤)Betateneベータカロチン(ドナリエラからのベータカロチン20%)(15mg/錠剤)、アスコルビン酸としてビタミンC(100mg/錠剤)、およびバイオペリン(胡椒の生物学的利用能増進剤)(2.5mg/錠剤)で構成した。
【0241】
藻類スナックチップス
藻類スナックチップスの材料は、無漂白小麦粉(1カップ)、ジャガイモ粉(1/2カップ)、藻類バイオマス(乾燥細胞重量で脂質40%強)(大さじ3)、塩(小さじ3/4、好みに応じて調節する)、大麦粉(大さじ2)、水(1/3〜1カップ)、および調味料(例:クミン、カレー、ランチドレッシング)(好みに応じて)で構成した。
【0242】
調製手順:乾燥成分を混ぜ、乾燥成分に水1/3カップを加えた。生地を形成するために、さらに水を追加した(合計で1カップまで)。生地を均質になるよう練りあげ、その後30分間、室温で静置させた。静置した生地を切り、薄いチップスに形成し、275°F(135°C)で20〜30分間、またはカリッとなるまで焼いた。
【0243】
藻類レーズンクッキー
藻類レーズンクッキーの材料は、バターまたはマーガリン(1/2カップ、 従来のレシピは3/4カップを要する)、大麦フレークまたはオートミール(1と3/4カップ)、ナツメグ(小さじ1/4)、水または牛乳(大さじ2〜3)、ブラウンシュガー(1カップ)、塩(小さじ1/2)、ベーキングパウダー(小さじ1/2)、バニラ(小さじ1)、シナモン(小さじ1)、レーズン(任意にブランデーまたはオレンジジュースに予浸したもの)(3/4カップ)、および乾燥微細バイオマス(油30%超)(1/3カップ)で構成した。このレシピで、約2ダースのクッキーができた。
【0244】
従来の食品レシピは、卵2個とバターまたはマーガリン3/4カップを要する。乾燥藻類バイオマスの使用によって、油を含む藻類バイオマスで代用することで1/4カップのバターまたはマーガリンおよび卵を除外した。
【0245】
調製手順:バターと砂糖をクリーム状にする。適度にふんわりするまでかき混ぜる。バニラを加える。粉および大麦フレークおよび藻類を合わせる。バター混合物を粉・フレーク混合物と合わせる。レーズンを加える。小さじ1杯分の量ずつ落し、やや平たくする。9〜10分間、375度F(約191度C)で焼く。
【0246】
藻類大麦パスタ
藻類入りの大麦パスタの材料は、大麦粉(3/4カップ)、乾燥細胞重量で少なくとも脂質が20%の乾燥藻類バイオマス(大さじ2)Lサイズの卵(1)、および塩(小さじ1/2)で構成した。
【0247】
調製手順:粉をボウルに入れ、藻類と塩を加える。共に泡立てる。中央に卵を加え(くぼみを作る)、徐々に粉を入れながら混ぜる。入れ混ぜにくいようなら、水大さじ1を振りかけながら加える。粉がすべて混ざったら、均質になるように生地を練り始める。これは5〜8分間で終了する。生地が均質になったら、2つの球に分割し、外側にオリーブ油を塗る。被いをし、約30分間静置させる。フェットチーネ風のパスタには、生地を平らにし、その後めん棒で1/8インチ(0.32cm)の厚さに伸ばす。パスタを薄く細長く切る。塩を入れた熱湯に落とす。約8〜10分間調理する。パスタは少量のおろしパルメザンチーズを上にのせ、および少量の粗引き胡椒を添えて供し得る。
【0248】
パスタ
本実施例では、従来のレシピと、従来のレシピにある卵を全細胞高脂質バイオマス(乾燥細胞重量で脂質48%のクロレラ・プロトセコイデス(株UTEX 250))で置き換えて作られるパスタを比較する。
【0249】
【表5】
【0250】
【表6】
いずれの場合においても、調理手順は次の通りであった。
1.ドゥフックを使用し、キッチンエイドのボウルに粉と塩を合わせる。
2.卵を軽くかき混ぜる。低速(速度#2)で、固い生地を形成するまで、ややかき混ぜた卵を加える。
3.必要に応じて、水を大さじ1〜2入れ混ぜる。
4.3〜4分間混ぜ、べたつきすぎるようなら少々余分に粉を加える。
5.生地を、シート化可能な部に分割するシート化する前に、生地を1時間静置させる。
6.パスタシーターを用い、生地を所望の厚さにシート化する。
7.パスタを細い一片に切る。
8.コンロに水の入った鍋を置き、沸騰させる。
9.パスタを調理し、くっつくのを防ぐために油・バターであえる。ソースを添えて供する。
【0251】
全細胞バイオマスのパスタは、従来のレシピのものと同様の食感と外見であった。突出した藻類味は認められなかった。全細胞藻類バイオマスは、多分水締め作用によって、乾燥パスタの収率が向上した。こうした観察は、全細胞バイオマスが乾燥または加工食品の優良な増量剤になり得る、という考えと調和する。.
藻類乳
藻類乳は心臓健康脂質4%、必須アミノ酸が豊富なタンパク質2.5%、炭水化物1.5%、繊維0.5%を含む固形物を8%含み、ビタミンAおよびDを含む。藻類乳は非常に健康的であり、完全菜食であり、牛乳および豆乳の代用品として使用できる。牛乳と異なり、飽和脂肪が非常に少なく、豆乳と異なり、脂肪は主に一価不飽和である(50%強がC18:1)。藻類乳は淡白な味である;豆乳のように「豆っぽく」はない。イチゴやラズベリーなどの香味料を加え得る。
【0252】
藻類乳の成分は、脂質(8%)約40%を含む乾燥全藻類細胞、ビタミンD(200単位)、ビタミンA(200単位)、キサンタンガム(0.2%)、および水(100%まで)で構成された。水を加温し、キサンタンガムを分散させた。乾燥藻類細胞の全部をその後温かいキサンタンガム溶液で分散させ、ビタミンを加えた。その後、高圧破砕機を用いて溶液を均質化し、および低温殺菌した。藻類粉を用いたさらなる処方は、以下に含まれる。
【0253】
実施例10
藻類ホモジネートの産生(高脂質)
実施例4に記載されている方法および条件を用いて成長させた高脂質を含むクロレラ・プロトセコイデス(UTEX250)を、高脂質藻類ホモジネートに加工した。微細藻類バイオマスを藻類ホモジネートに加工するため、採集されたクロレラ・プロトセコイデスバイオマスをまず藻類フレークに加工した。(実施例4参照)。乾燥藻類フレークはその後、固形物濃度約40%で、脱イオン水で再水和した。その後、得られた藻類フレーク懸濁液を圧力レベル1000〜1200バールで作動する高圧破砕機(GEAモデルNS1001)を用いて、バイオマスの平均粒径が10μm以下になるまで微粒子化した。得られた藻類バイオマスを包装し、使用するまで保管した。
【0254】
実施例11
機能性食品:脂肪分の代替物として食物に用いた高脂質藻類フレークおよび藻類ホモジネート
以下の実施例は、従来および低脂肪のレシピの脂肪分の代替として高脂質(重量で40%強)藻類フレークまたは藻類ホモジネートを使用したものである。高脂質藻類フレークは、実施例4に記載されている方法を用いて調製した。高脂質藻類ホモジネートは、実施例8に記載されている方法を用いて調製した。
【0255】
チョコレートブラウニー
本実施例では、従来のレシピ、低脂肪対象のレシピ、および従来のレシピの脂肪分を高脂質藻類フレーク(乾燥重量で脂質 48%のクロレラ・プロトセコイデス(株UTEX250))で置き換えたもので作られたチョコレートブラウニーを比較する。
【0256】
【表7】
【0257】
【表8】
【0258】
【表9】
いずれの場合も、調理手順は次の通りであった。
1.オーブンを350°F(約177°C)に予熱する。8x8のケーキ型に油を塗り、粉をまぶす。
2.小さなソースパンに、バターとココアパウダーを共に溶かす。それを別に取っておき、冷ます。
3.へら型のアタッチメントを付けたキッチンエイドのボウルで、卵が泡立つまでかき混ぜる。徐々に砂糖を加え入れる。
4.室温/少し熱したバター・ココアパウダーの混合物を卵の混合物に加える。
5.粉とベーキングパウダーを混ぜ合わせる。生地に1/2の混合物をゆっくり加える。
6.残りの粉に、ペカンを加える。混合物を生地に加える。低速(速度#2)でよく混ざるまで混ぜる。バニラエッセンスを加え、混ぜる。
7.生地を型に伸ばす。20〜25分間焼く。
8.ブラウニーを冷まし、所望であればアイシングをかける。
【0259】
低脂肪の対照ブラウニー(バターおよび卵を除いた)は、藻類フレークで作られたブラウニーまたは従来のブラウニーと比べ、同等の団粒構造を有していなかった。藻類フレークのブラウニーは、良好の、可視の団粒構造を有していたが、全脂肪ブラウニーと比べると、少々密度が高く、およびゴム状であった。総合的に、藻類フレークで作れられたブラウニーは、従来のブラウニーと比べると64%の脂肪含量の減少を有した。
【0260】
黄色ケーキ
本実施例では、従来のレシピ、低脂肪のレシピ、従来のレシピの卵およびバターを高脂質藻類ホモジネート(HL−AH)で置き換えたもの、および従来のレシピの卵を高脂質藻類フレークで置き換えたもので作られる黄色ケーキを比較する。藻類ホモジネートおよび藻類フレークはともに、乾燥重量で脂質48%のクロレラ・プロトセコイデス(UTEX 250株)からのものであった。
【0261】
【表10】
【0262】
【表11】
【0263】
【表12】
【0264】
【表13】
いずれの場合においても、調理手順は次の通りであった。
1.オーブンを350°F(約177°C)に予熱する。9x13のケーキ型2つに油を塗り、粉をまぶす。
2.粉、ベーキングパウダー、重曹を一緒に振るい合わせる。それを別に取っておく。
3.キッチンエイドのボウルで、バターおよび砂糖を軽くなるまでクリーム状にする。卵を1つずつ混ぜ入れる。
4.バニラエッセンスを加える。
5.生地に、粉の混合物とバターミルクを交互に加える。軽く合わさるまで混ぜる。
6.用意した型に生地を流し入れる。
7.35〜40分間、または爪楊枝になにも付かなくなるまで焼く。
8.冷ます。
【0265】
高脂質藻類フレーク(卵の置き換えとして)で作られた黄色いケーキは非常に密度が高く、団粒構造をほとんど有していなかった。しかし、非常に密度が高く乾燥していた低脂肪陰性対照と比べると、高脂質藻類フレークで作られた黄色いケーキはしっとりとしていた。高脂質藻類ホモジネート(HL−AH)(全脂肪ケーキのバターと卵をすべて置き換えた)で作られたケーキはとてもしっとりとしていて、バターのような食感および従来のレシピのケーキに類似した、非常に良好の団粒構造を有していた。試食では、HL−AHで作られたケーキは従来のケーキに存在していたバター風味が不足していた。総合的に、HL−AHは従来の黄色いケーキのレシピのバターおよび卵の良好な代用品であった。HL−AHの入ったケーキは、従来の黄色いケーキよりも約75%少ない脂肪を含んでいたが、良好な団粒構造、食感、およびしっとりさを有するケーキを産生した。
【0266】
ビスケット
本実施例では、従来のレシピ、従来のレシピの卵およびショートニングを高脂質藻類フレークで置き換えたもの、および従来のレシピの卵およびショートニングを高脂質藻類ホモジネート(HL−AH)で置き換えたもので作られるビスケットを比較する。藻類ホモジネートおよび藻類フレークは両方とも、乾燥重量で脂質48%のクロレラ・プロトセコイデス(UTEX 250株)からのものであった。
【0267】
【表14】
【0268】
【表15】
【0269】
【表16】
いずれの場合においても、調理手順は次の通りであった。
1.オーブンを450°F(約232°C)に余熱する。
2.キッチンエイドのボウルに、小麦粉、ベーキングパウダー、砂糖、および塩を合わせる。
3.荒い断片を形成するまでショートニングを混合物に加える。(スピード#2)。
4.卵を牛乳と共にかき混ぜる。水分を含む成分を乾燥成分に加え、乾燥成分が湿るまで軽く混ぜる。
5.生地を形成するまで混ぜる(スピード#2で15秒間)。
6.3/4インチ(約1.9cm)の厚さまでのばす(または所望であればシート化する)。粉をまぶした2と1/2インチ(約6.5cm)のビスケットカッターで切る。
7.軽く油を塗った天板に置く。8〜10分間、またはキツネ色になるまで焼く。
8.温かいまま供する。
【0270】
HL−AHで作られた試料は全脂肪の対照レシピの食感および外見と類似しているように見えた。総合的に、HL−AHビスケットが従来のレシピのビスケットに最も近く、従来のレシピのビスケットの食感および膨らみを保時しているが、脂肪が65%少ないビスケットを産生した。
【0271】
クリーミーサラダドレッシング
本実施例では、従来のレシピを使用した、40%脂肪対照、20%脂肪対照の低脂肪のレシピ、および乾燥細胞重量で脂質48%のクロレラ・プロトセコイデス(株UTEX250)からの高脂質藻類ホモジネート(HL−AH)(重量で脂肪〜20%)を含むレシピを用いたマヨネーズ・サラダドレッシングを比較する。
【0272】
【表17】
【0273】
【表18】
【0274】
【表19】
いずれの場合においても、調理手順は次の通りであった。
1.フードプロセッサーを用い、卵黄、酸、水および塩を合わせる。
2.堅い乳濁液が形成するまで、ゆっくりと油を注ぎ入れる。
3.乳濁液が堅すぎる場合、さらに水を追加する。
4.内側をこそげて、全ての油滴を混ぜるために10秒間せん断する。
【0275】
20%脂肪対照のドレッシング(キャノーラ油で作られた)は粘度が全く無く、乳濁液を形成するのに失敗した。表面は泡立っていて、およびドレッシングをそのままでねかせた後、油滴が形成した。HL−AHで作られたドレッシングは、バイオマスの味、良好な不透明度および粘度、およびクリーミーな口当たりを有した。総合的に、HL−AHは脂肪20%および40%のドレッシング両方に比べると、より良い不透明度および粘度をドレッシングに与えた。HL−AHは優れた乳化剤として作用し、半分の脂肪含量で適切な口当たりを有する、脂肪40%のドレッシングの特性を有するドレッシングを産生した。微粒化したHL−AH(脂肪含量19%)が入ったオランデーズソースのレシピ(従来の対照のレシピは脂肪80%であった)で類似した結果を得た。HL−AHで産生したオランデーズソースはクリーミーな口当たりおよび良好な粘度で、滑らかおよび濃厚な味わいであった。そのソースの色は、全脂肪対照よりも少し濃い黄色であった。総合的に、微細化したHL−AHが入ったオランデーズソースは、75%脂肪が少なく、全脂肪対照と同等の製品を産生した。
【0276】
モデルのチョコレート飲料
この実施例では、従来のレシピで作られたモデルのチョコレート栄養飲料と、従来のレシピの牛乳および油を高脂質藻類ホモジネート(HL−AH)で置き換えたもの、および従来のレシピの牛乳および油を高脂質藻類フレークバイオマスで置き換えたものを比較する。藻類ホモジネートおよび藻類フレークは両方とも、乾燥重量で脂質48%のクロレラ・プロトセコイデス(UTEX250株)からのものであった。
【0277】
【表20】
【0278】
【表21】
【0279】
【表22】
いずれの場合においても、調理手順は次の通りであった。
1)乾燥成分を混ぜる
2)水分材料(香味料以外)を鍋に入れる。
3)乾燥成分を泡だて器で混ぜ入れる。
4)スティックブレンダーで1分間せん断する。
5)コンロで200°F(約93°C)まで加熱する。
6)2500/500psiで均質化する。
7)40°F(約4度)未満まで冷まし、冷蔵庫に入れる。
【0280】
HL−AHを含むチョコレート飲料は、藻類フレークを含むチョコレート飲料よりとろみがあり、濃厚な外見であり、より従来のチョコレート飲料の外見に近かった。総合的に、微粒化したHL−AHの試料は、良好な粘度があり従来のチョコレート飲料対照よりやや不透明で、より従来のチョコレート飲料対照に似ていた。
【0281】
実施例12
藻類粉(高脂質)の産生
実施例4に記載されている発酵方法および条件を用いて成長させた高脂質を含むクロレラ・プロトセコイデス(UTEX250)を、高脂質藻類パウダーに加工した。微細藻類バイオマスを藻類パウダーに加工するために、採集したクロレラ・プロトセコイデス バイオマスを培養培地から分離し、その後遠心分離を用いて濃縮し、標準方法に従ってスプレー乾燥機を用いて乾燥した。得られた藻類パウダー(パウダー形態にスプレー乾燥された全藻類細胞)を包装し、使用するまで保管した。
【0282】
実施例13
藻類粉(高脂質)の産生
実施例4に記載されている発酵方法および条件を用いて成長させた高脂質を含むクロレラ・プロトセコイデス(UTEX250)を、高脂質藻類粉に加工した。微細藻類バイオマスを藻類粉に加工するために、採集したクロレラ・プロトセコイデスのバイオマスを、遠心分離を用いて培養培地から分離した。得られた40%強の水分を含む濃縮バイオマスを、圧力レベル1000−1200バールで作動する高圧破砕機(GEAモデルNS1001)を用いてバイオマスの平均粒径が10μm以下になるまで微粒子化した。その後、藻類ホモジネートを標準の方法を用いてスプレー乾燥した。得られた藻類粉(パウダー形態にスプレー乾燥された、微粒化した藻類細胞)は包装し、使用されれるまで保管した。
【0283】
実施例14
藻類フレーク(高油)を含む食物
以下の実施例は、従来のレシピの脂肪分の置き換えとして高脂質(重量で少なくともを20%、典型的には重量で脂質25〜60%)藻類粉を使用したものである。追加実施例も、粉末スクランブルエッグ等の調理済み食品などに使われる場合、保湿力を増大し、および食感を向上させる、藻類粉独特の機能性を実証したものである。以下の実施例で使用している高脂質藻類粉は、実施例13に記載している方法を用いて調製した。
【0284】
チョコレートブラウニー
機能性および味の特性の差を評価するために、従来のレシピで作られたブラウニーを、藻類粉で作られたブラウニーおよび従来の低脂肪ブラウニーと比較した。高脂質(乾燥重量で脂質約53%)藻類粉を、バターおよび卵の代わりに使用した。
【0285】
【表23】
【0286】
【表24】
【0287】
【表25】
いずれの場合においても、ベーキング手順は次の通りであった。
1.オーブンを350°F(約177°C)に予熱する。8”x8”のケーキ型に油を塗り、粉をまぶす。
2.小さなソースパンに、バターとココアパウダーを溶かす。それを別に取っておいて、冷ます。
3.やや泡立つまで、バニラと共に卵をかき混ぜる。徐々に砂糖および残りの水分を含む材料を加え入れる。
4.卵の混合物にバター・ココア混合物を加える。残りの乾燥材料を合わせ、混ざるまでゆっくりと水分を含む材料に加える。
5.生地を型に伸ばし、20〜25分間または固まるまで焼く。
【0288】
藻類粉入りのブラウニーでは、粉、乾燥材料を合わせおよびその後、乾燥材料に藻類粉を加えた。その後、水分を含む材料(水およびバニラ)を乾燥材料に混ぜ入れた。生地を型に伸ばし、27〜28分間焼く。
【0289】
従来の低脂肪のレシピは乾燥した食感のブラウニーを産生し、およびブラウニーというよりも、ケーキのような食感であった。藻類粉(脂肪が約8%と、低脂肪のレシピのブラウニーと類似した脂肪割合を有した)で作られたブラウニーは非常にしっとりしていてブラウニーの食感を有していたが、従来のブラウニーのレシピ(脂肪が約19%)と比べると、よりもろい団粒構造を有していた。実施例11に記載した藻類フレークで作られたブラウニーと比べると、藻類粉で作られたブラウニーはそれほど高密度ではなく、よりやわらかい団粒構造を有していた。総合的に、焼き菓子のレシピにおいて、藻類粉はバターおよび卵の効果的な代用品であり、従来のレシピの製品に食感、味、および外見が類似した製品を産生した。藻類粉は、藻類フレークの使用では見られない、独特の機能性(例:より微粒な団粒構造、ゴム状ではなく、軽い食感)を呈した。
【0290】
マヨネーズ
藻類粉の乳化能力を評価するために、水(w/vで40%)で戻し、スラリーを生産するため低圧(100−200バール)で均質化された藻類粉で作られたマヨネーズを、従来のレシピで作られたマヨネーズおよび低脂肪マヨネーズと比較した。藻類粉スラリーは、乾燥重量で脂質を53%有する高脂質藻類粉で作られ、および従来のレシピの油および卵黄を完全に置き換えた。
【0291】
【表26】
【0292】
【表27】
【0293】
【表28】
いずれの場合においても、手順は次の通りであった。
1.フードプロセッサーを用いて、酸、水、および乾燥成分を合わせる。
2.卵黄を加え、ゆっくりと油または藻類粉スラリーを注ぎ入れる。堅い乳濁液が形成するはずである。乳濁液が堅すぎるようなら、乳濁液が所望の濃度に達するまで、さらに水を追加する。
3.内側をこそげて、全ての油滴を混ぜるために、また10秒間、せん断する。
【0294】
藻類粉スラリーで作られたマヨネーズは、従来および低脂肪マヨネーズの間の粘度を有していた。藻類粉スラリーマヨネーズの口当たりは、従来のマヨネーズのものと同等であった(だが総脂肪分の50%以下を含む)。より「塗りやすく」するために水をより結合および製品を堅くするため、低脂肪マヨネーズおよび藻類粉スラリーマヨネーズの両方でインスタント食品用澱粉が必要となった。総合的に、従来のマヨネーズのレシピの全ての脂肪源(例えば油および卵黄)を藻類粉スラリーで置き換えることで、従来のマヨネーズと区別がつかない、良好な粘度および口当たりのマヨネーズを産生した。藻類粉スラリーは、従来のマヨネーズに見られる油および卵黄の機能性を置き換えることに成功し、効果的な乳化剤として機能した。
【0295】
さらなる適用で、低脂肪のハニーマスタードディッピングソースのドレッシングを作るために高脂質藻類粉スラリーを使用した。上記に記載した調製マヨネーズ(ディッピングソースドレッシングの適切な濃度を得るためにやや改変したもの)に、蜂蜜、マスタード、ホワイトビネガー、レモン果汁香味料、および海塩を加えた。すべての成分を合わせ、均質および滑らかになるまで、フードプロセッサーで混ぜた。最終産物は重量で藻類粉を約14%含み、総脂肪は約8%であった。藻類粉を含むハニーマスタードディッピングソースのドレッシングは、従来の(全脂肪)ハニーマスタードディッピングディップと同等のクリーミーな口当たりを有した。
【0296】
味噌サラダドレッシング
クリーミーサラダドレッシング適用の藻類粉を評価するために、従来のレシピ、および前条のマヨネーズ処方で記載された方法を用いて産生した、スラリー(固形物40%)として戻した高脂質藻類粉を含むレシピを用いて味噌サラダドレッシングを調製した。
【0297】
【表29】
【0298】
【表30】
いずれの場合においても、乾燥材料を混ぜ合わせ、別にとっておいた。水、酢、酸を混ぜ合わせ、別にとっておいた。味噌は別途に量り分けた。従来のレシピでは、油を共に合わせ、別にとっておいた。藻類粉を含むレシピでは、藻類粉スラリー、油、および二酸化チタンを別途に量り分け、合わせた。その後、水・酢の混合物を高せん断ブレンダーで混ぜた。混ぜた後、水・酢の混合物に乾燥材料を加えた。その後、水・酢および乾燥成分を高せん断ブレンダーで混ぜながら、油の混合物をゆっくりと注ぎ入れた。その後、ドレッシングを2分間190°F(約88°C)まで加熱し、その後ドレッシングを最もきつい設定でコロイドミルに通した。その後完成したドレッシングをボトルに詰め、使用されるまで保管した。
【0299】
従来および藻類粉を含むレシピは両方、濃厚で不透明なクリーミーサラダドレッシングを産生した。視覚的に、2つのドレッシングの色および質感は同等であった。従来のレシピで作られた味噌サラダドレッシングには脂肪が30%含まれていたが、藻類粉スラリーで作られた味噌サラダドレッシングには脂肪が約12.65%含まれていた。総合的に、藻類粉スラリーで作られた味噌サラダドレッシングは、クリーミーな口当たりおよび不透明度を保持しつつ、従来のレシピで作られた味噌ドレッシングの脂肪分の半分以下を含んだ。
【0300】
ピザ生地・ブレッドスティック
従来のピザ生地・ブレッドスティックのレシピおよび重量で藻類粉を5%または10%含むピザ生地・ブレッドスティックのレシピを用いて、酵母生地の適応での藻類粉の機能性能力を試験した。藻類粉を含むピザ生地・ブレッドスティックは、前条のマヨネーズ処方で記載された方法を用いて産生した高脂質藻類スラリー(固形物40%)で作られた。
【0301】
いずれの場合においても、酵母7.3グラムを中力粉9.3グラムと合わせ、温水58と混ぜた。酵母の混合物を室温で少なくとも10分間ねかせた。藻類粉スラリーを含む試料では、スラリーを水167グラムと混ぜ、およびミキサーで中力粉217グラムおよび塩4.9グラムと合わせた。従来のレシピでは、水はミキサーで粉および塩と合わせただけであった。合わせた後、生地に酵母の混合物を加え、さらに中力粉90グラムを加えた。その後、生地の水分が多い場合は必要に応じてさらに粉を足しながら、生地を手で練った。生地を被い、温かい場所で1時間膨らませた。膨らませた後、生地を分割しおよびピザとして伸ばした、あるいはブレッドスティックに形を整えた。その後、生地を450°F(約216°C)のオーブンで8〜12分間、または完成するまで焼いた。
【0302】
従来のレシピのピザ生地およびブレッドスティックは伝統的な皮で、噛み応えがあった。藻類粉スラリーを5%含むピザ生地はよりクラッカーのような食感を有し、従来のレシピのピザ生地よりサクサクとしていた。藻類粉スラリーを10%含むピザ生地は、藻類粉スラリーを5%含むピザ生地よりサクサクとしていた。藻類粉スラリーで作られたブレッドスティックでは、藻類5%のブレッドスティックは従来のレシピのブレッドスティックに比べて、しっとりとした噛みごたえのある芯を有した。藻類粉スラリーを10%含むブレッドスティックは、藻類5%のブレッドスティックよりも、さらにしっとりとしていた。藻類粉を含むブレッドスティック両方の焼き時間を増加した。再び、藻類粉スラリーを含むブレッドスティックは、総合的な味を妨げないごくわずかな藻類の味を有した。総合的に、藻類粉スラリーは、従来のレシピのブレッドスティックと比べると、ピザ生地のサクサクした感じを増強し、およびよりクラッカーのような食感を与え、およびブレッドスティックのしっとりさを増強した。別の適用では、コーン・トルティーヤのレシピに高脂質藻類粉スラリー(固形物40%)を使用し、従来のレシピで作られたコーン・トルティーヤと比較した。ピザ生地の結果と同様に、藻類粉スラリーを含むコーン・トルティーヤは、従来のレシピのトルティーヤと比べ、よりクラッカーのような食感で、よりカリカリとしていた。
【0303】
ソフト焼きチョコレートチップクッキー
従来のチョコレートチップクッキーのレシピ、低脂肪のチョコレートチップクッキーのレシピ、および高脂質藻類スラリー(前条のマヨネーズ処方で記載された方法を用いて産生した)で作られたチョコレートチップクッキーのレシピを用いて、クッキー適用での藻類粉の機能性能力を試験した。従来および低脂肪クッキーのレシピ両方において、すべてのバターおよび卵を藻類粉スラリーで置き換えた。
【0304】
【表31】
【0305】
【表32】
【0306】
【表33】
いずれの場合においても、手順は次の通りであった。
1.オーブンを350°F(約177°C)に予熱する。ボウルに粉、重曹、ベーキングパウダーおよび塩を合わせる。別に取っておく。
2.バター・藻類粉スラリーを、滑らかになるまで砂糖およびコーンシロップと共にクリーム状にする。卵(もしあれば)およびバニラを混ぜ入れる。
3.徐々に乾燥材料を加え、軽く生地を形成するまで混ぜる。チョコレートチップを混ぜ入れる。
4.大さじ1杯分の生地を取り、クッキーシートの上に落とす、またはボールに丸めクッキーシートの上に置く。
5.焼付け半ばでクッキーシートを回転し、16〜18分間またはキツネ色になるまで焼く。
【0307】
従来のレシピのクッキーは焼付け中、良好の広がりを有しおよび焼きたて時はやわらかくふんわりとしていた。低脂肪のクッキーでは、第1の焼き分では生地が広がらなかったので、その後の焼き分では焼く前に生地を平らにした。低脂肪のクッキーの焼きあがりは、オーブンから出した際にはやわらかく、冷めるうちに高密度のクッキーに固まった。低脂肪のクッキーは明白で直接的なコーンシロップの味もした。藻類粉クッキーは従来のレシピのクッキーと同等の広がりを有し、および食感的には低脂肪のクッキーよりも良好であった。外気温にて3日間後、藻類粉クッキーは従来のレシピのクッキーおよび低脂肪クッキーよりもしっとりとしていた。総合的に、藻類バイオマススラリーはクッキー適応でバターおよび卵の置き換えとして効果的であった。機能的には、外気温にて3日間後により水分を保時していたことからして、藻類バイオマススラリーはクッキーの保存期間を延ばした。
【0308】
グルテンを含まないオートミールレーズンクッキーの保存期間の試験
上記のチョコレートチップクッキーの実験で延長した保存期間の結果に伴って、実施例13に記載された方法を用いて産生した高脂質藻類粉(乾燥重量で脂質約53%)を使用して、グルテンを含まないオートミールレーズンクッキーを作った。クッキーを焼き、および外気温で7日間保持した。初期の感覚に関する試験および水分活性を、焼いて冷ました直後のクッキーに行った。1、3および7日目に、さらなる感覚による試験および水分活性の試験を行った。各試験日に、レーズンおよびオーツが試料に平等に分配されるよう、1つのクッキーを細かく切った。試験の正確さを確保するため、水分活性試験にて各クッキーに対し少なくとも2つの試料を試験した。水分活性(Aw)試験はAqua Lab、モデルシリーズ3TE(Decagon Devices,Inc.)器具を用いて、製造業者のプロトコルに従って行われた。手短に言えば、水分活性とは製品の有用な、化学的に結合していない水分を定量化する水蒸気圧を測定するものであり、 Aw値が高ければ高いほど、製品はより多い水分を有する。このクッキーの適用ではAw置が高いほど、より長い保存期間に相関する。達成目標は0.65の水準であった。
【0309】
【表34】
手順は次の通りであった。
1.オーブンを375°F(約191°C)に余熱する。
2.オート麦と藻類粉以外の乾燥材料を混ぜ合わせる。オート麦に1/4の水を加え。藻類粉に3/4の水を加えて、およびハンドミキサーでよく混ぜる。10分間、オーツ麦と藻類粉を湿潤化する。
3.湿潤化した藻類粉を乾燥材料に加え、よく混ぜる。バニラを加え、混合し滑らかになるまでよく混ぜる。
4.オーツ麦を加え、軽く均質になるまで混ぜる。
5.クッキーをクッキーシート上に分割し、および各自軽く押し付ける。
6.焼き付け半ばでクッキーシートを回転し、オーブンでクッキーを20分間焼く。
【0310】
感覚および水分活性による検査の結果を表5に要約する。感覚による検査の試料は、10段階評価にて評価された。1〜2=容認できない;3〜4=不良;5〜6=まずまず;7〜8=良い;および9〜10=非常に良い。総合的に、藻類粉で調理したクッキーは、外気温で7日間保持したところ、味および食感に劣化が少なく、良好な水分レベルを保有した。
【0311】
【表35】
スクランブルエッグ(粉末卵から)
再構成した粉末卵の適用における、藻類粉の、水分を保持しおよび食感的向上を提供する能力を検査した。粉末卵は、従来のレシピ、および対応するパーセント(w/w)の粉末卵を異なるレベル(5%、10%および20%)の高脂質藻類粉で置き換えたものを用いて、調製した。以下の処方で使用する藻類粉は実施例13に記載されている方法を用いて調製し、乾燥重量で脂質を約53%含んだ。
【0312】
【表36】
【0313】
【表37】
【0314】
【表38】
【0315】
【表39】
いずれの場合においても、卵は次の通りに調理した。
1.藻類粉(もしあれば)を粉末卵と混ぜる。卵を水と混ぜる。滑らかになるまで泡立てる。必要に応じて、ハンドミキサーを用いてあらゆる塊を切断する。
2.予熱したノンスティックのフライパンに、卵の混合物を流し入れる。
3.固まるまで卵の混合物を調理し、所望の味付けをする。
【0316】
全ての調製品は類似した色であり、および従来のレシピの卵および藻類粉を含む卵の間には、注目すべき色の差は無かった。従来のレシピの卵は乾燥していて、過度に空気が入っており、食感はスポンジのようで、クリーミーな口当たりが欠落していた。藻類バイオマス5%で調理した卵は、従来のレシピの卵よりしっとりとしていておよび食感が硬かった。口当たりは、従来のレシピの卵よりもクリーミーであった。藻類粉10%で調理した卵は、従来のレシピの卵よりさらにしっとりとしていて、新鮮な卵で調理したスクランブルエッグの食感および口当たりを有した。藻類粉20%で調理した卵は水っぽすぎて、生焼けで流れやすい卵の食感を有した。総合的に、藻類粉の含有は、従来の調理した粉末卵と比べ、調理した粉末卵の口当たり、食感、および水分において改善した。5%および10%では、藻類粉は有意に脂肪含量を増加することなく卵の適応で功を奏した。20%では、藻類粉は水分を与えすぎ、調理した粉末卵の食感を容認できないものにした。
【0317】
粉末卵保留試験
藻類粉が粉末卵に有意な水分を加え、および食感を向上することができたため、蒸気保温器で保持した時に調理済みの卵がどのように機能するかを評価するために、以下の保留試験が行われた。粉末卵を用いて従来のレシピで、藻類粉5%、および藻類粉10%で作られたスクランブルエッグ(すべて上記の方法を用いて作った)を、コンロで調理する前に10〜15分間水分を加えた。調理した後、直ちに試料を蒸気保温器に移し、30分間160〜200°F(約71°C〜93°C)の間の温度で、被いながら保持された。保持した試料と比較するために、10分ごとに新鮮な試料を作った。試料は10段階評価で評価された:1〜2=容認できない;3〜4=不良;5〜6=まずまず;7〜8=良い;および9〜10=非常に良い。検査の結果を以下の表40に要約する。
【0318】
【表40】
Egg Beaters(登録商標)
Egg Beaters(登録商標)を用いて、スクランブルした卵白の食感および口当たりを向上する藻類粉の能力を試験した。Egg Beaters(登録商標)100グラムを、小さなノンスティックのフライパンを用いて、卵が固まるまで約1〜2分間スクランブルした。バター及び調味料は使用しなかった。高脂質藻類粉スラリーを10%w/w代用した試料(乾燥重量で脂質を約53%含む藻類粉のマヨネーズの適応に記載されている方法を用いて調製した)。藻類粉入りのEgg Beaters(登録商標)は、対照と同様に調理された。
【0319】
対照の試料はより水気の多い粘度を有し、水のように口に溶け、相対的に食感が少ない、もしくは無かった。藻類粉スラリーを10%含む試料は、むしろ新鮮な卵で作られたスクランブルエッグのように出来上がった。藻類粉スラリー10%の試料も、新鮮な卵で作られたスクランブルエッグに類似した、スクランブルエッグのような食感および豊かな口当たりであった。総合的に、藻類粉スラリーの追加は卵白のスクランブルエッグの食感および口当たりを向上するのに非常に成功し、卵白を新鮮な全卵で作られたスクランブルエッグのような味にした。
【0320】
液状全卵
藻類粉の、液状全卵を用いたスクランブルエッグの食感および水分を向上させる能力を保留試験および感覚パネルを用いて試験した。液状全卵は、対照として製造業者のプロトコルに従い調理し、および藻類粉スラリー10%(藻類粉2.5%で水7.5%)入りの液状全卵と比較した。対照および藻類粉10%の卵は両方スクランブルエッグとして調理され、合計で60分間、蒸気保温器の上で保持した。各スクランブルエッグから試料を取り、10分ごとに感覚パネルで試験した。感覚パネルは、スクランブルエッグ製品の総合的な外見、水分レベル、食感および口当たりを、1が容認できない、3が適度に容認できる、5がまずまず、7が容認できる、および9が非常に良い、である1から9の段階で評価した。
【0321】
総合的に、藻類粉スラリー(藻類粉固形分2.5%)10%の追加は調理した卵の食感、水分レベル、および口当たりを向上した。蒸気保温器の上にて60分後、藻類粉スラリー10%入りのスクランブルエッグ製品は、容認できないから適度に容認できるまでの範囲(感覚尺度で2.7)であった対象のスクランブルエッグと比べ、まだ容認できるものであった(感覚尺度で5)。すべての時点での結果を
図3に要約する。
【0322】
粉末卵入りのパンケーキ
小売店で見られるパンケーキ/ワッフルの混合物は、成分として粉末全卵を含む。上記の粉末卵処方に示されているように、高脂質藻類粉の追加は調理した卵製品の食感および口当たりを向上した。高脂質藻類粉の、成分調合済みのパンケーキ混合物で作られたパンケーキの食感および口当たりを向上する能力を試験した。
【0323】
【表41】
【0324】
【表42】
どちらの場合においても、粉末卵、藻類粉、および無脂乳固形分を再湿潤するのに水を用いた。その後、残りの成分を加え、生地がまめらかになるまで泡だて器で混ぜた。生地を熱した、油を引いていないノンスティックのフライパンに、パンケーキ大に分割して流し入れた。パンケーキは、表面の気泡がはち切れるまで焼き、その後ひっくり返しできるまで焼いたく。
【0325】
生地は両方、外見は類似していて、およびパンケーキの調理時間は両方ともほぼ同等であった。藻類粉を含むパンケーキの食感は対照のパンケーキより軽く、よりクリーミーで、およびよりふんわりとしていて、ゴムのような食感はより少なかった。総合的に、藻類粉を重量で50%の乾燥卵の代用とすることで、より良好な口当たりの、食感的により良好なパンケーキを産生した。
【0326】
藻類乳/冷菓
高脂質藻類粉を用いて、藻類乳のさらなる処方を産生した。藻類乳は以下の成分(重量で)を含んだ:水88.4%、粉6.0%、3.0%濃縮ホエータンパク、砂糖1.7%、バニラエッセンス0.6%、塩0.2%、および安定剤0.1%。材料は、手動破砕機を用いて低圧で合わせた。得られた藻類乳は、供する前に冷やした。口当たりは全乳のものと同等であり、良好の不透明度を有していた。使用した藻類粉には脂質が約50%含んでいたため、得られた藻類乳は脂質を約3%含んでいた。バニラ味の豆乳(Silk)と比べると、藻類乳は同等の口当たりおよび不透明度を有し、豆乳の豆っぽい味が無かった。
【0327】
その後藻類乳をさらなる砂糖およびバニラエッセンスと合わせ、ブレンダーで2〜4分間、均質になるまで混ぜた。混合物を、所望の粘度に達するまで1〜2時間、事前に冷やしたアイスクリームメーカー(Cuisinart)に入れた。比較として、ハーフアンドハーフ325グラム、乳脂肪分2%の牛乳220、および卵黄1個で作られた従来のレシピのアイスクリームを調製した。従来のレシピのアイスクリームはソフトクリームと同等の粘度を有し、濃厚な味の、滑らかな食感のアイスクリームであった。藻類乳から作られたアイスクリームは、従来のレシピのアイスクリームの総合的なクリームのような濃度と口あたりに欠けていたが、粘度と口あたりはアイスミルクの濃厚な味と同等であった。. 総合的に、冷菓応用への藻類乳の使用は成功であり、藻類乳が生み出した冷菓は、従来のアイスクリームの低脂肪の代替物となった。
【0328】
実施例15
藻類油
バイオマスからの油の溶媒抽出
藻類油は、本明細書に開示される方法を用いてバイオマスを乾燥させ、本明細書に開示される方法を用いてバイオマスを破壊し、破壊されたバイオマスを例えばヘキサン等の有機溶媒と、油にヘキサンとの溶液を形成させるのに十分な一定期間、に接触させることによって、実施例1〜4に記載されるように調製された微細藻類バイオマスから抽出する。その後、溶液をろ過し、回転蒸発によってヘキサンを除去し、抽出油を回収する。
【0329】
バイオマスからの油の無溶媒抽出
藻類油は、実施例1〜4に記載されているように、バイオマスを乾燥させ、油糧種子圧搾機で物理的に破壊して調製された微細藻類バイオマスから抽出し、藻類油がバイオマスから遊離するようになる。破壊されたバイオマスからこのようにして分離された油を、その後回収する。
【0330】
藻類種における脂質鎖の多様性
実施例1で成長させた株の部分集合からの脂質サンプルを、HPLCを用いて脂質プロファイルについて分析した。結果を
図1に示す。
【0331】
実施例16
藻類油を含む栄養補助食品および食品
藻類油カプセル((a)溶媒抽出を通じて、または(b)非溶媒抽出を通じて藻類から抽出されたカプセル入りの油)
完全防御システム−天然起源のトコトリエノール、トコフェロール、カロテノイド、オメガ3、およびステロールを提供する藻類油。これは、魚油使用にかわる植物性、非動物性の代替物を提供する。
【0332】
【表43】
藻類油(溶媒抽出または非溶媒抽出を通じて藻類から抽出された油)
【0333】
【表44】
藻類油を含むブラウニーおよびバニラケーキ
実施例4で記載された発酵方法を用いて成長させたクロレラ・プロトセコイデス(UTEX 250)から抽出した油を、焼き菓子への応用に使用した。黄色ケーキ(Moist Deluxe、Duncan Hines)とブラウニー(Chocolate Chunk、Pillsbury)を、製造業者の推奨する指示によって、クロレラ・プロトセコイデスから抽出した油1/3カップを使用して作った。黄色ケーキおよびブラウニーの両方の結果は、野菜油および同じ箱のミックスを使用して作られた黄色ケーキおよびブラウニーと見分けがつかなかった。
【0334】
実施例17
高タンパク藻類バイオマスの産生
タンパク質量の高い微細藻類の従属栄養培養
従属栄養産生されたクロレラ・プロトセコイデス(UTEX 250)を、実施例2〜4に記載された培地を補充する、酵母エキス(有機性窒素源)、NH
4OH、および(NH
4)
2SO
4のうちの1つ以上が提供される窒素が豊富な条件下で成長させた。培養地を除いて、発酵条件は実施例2で記載された条件と全く同じだった。おおよそ3日〜5日の指数増殖を経て、所望の培養密度に達したとき、高タンパク藻類バイオマスを採集した。上記記載の処理方法(実施例4の藻類フレーク、実施例10の藻類ホモジネート、実施例 12の藻類パウダー、実施例13の藻類粉)のいずれもが、高タンパク藻類バイオマスに適用できる。
【0335】
微細藻類バイオマスの近似分析
実施例4に記載された方法を用いて高タンパクバイオマスを藻類フレークに処理した。乾燥バイオマス、高脂質(実施例 4)、高タンパクの全てにOfficial Methods of ACOC Internationalに従った方法で、水分、脂質、食物繊維、灰分、粗製タンパク、タンパク質消化率分析を行った。結果を下の表45 に要約する。
【0336】
【表45】
100%から近似分析で求めたパーセンテージを差し引くことによる差分から総炭水化物を算出した。高脂質バイオマスは総炭水化物重量の約36%で、高タンパクバイオマスは総炭水化物重量の約24%であった。
【0337】
前述の粗繊維はバイオマスサンプルのセルロースとリグニンの分量(他の成分中)を表す。両バイオマスをOfficial Methods of ACOC International(AOAC method 991.43)に従う方法でバイオマスの炭水化物成分の一部である可溶性繊維および不溶性繊維量(共に総食物繊維)について測定した。高脂質バイオマス中、可溶性繊維は19.58%、不溶性繊維9.86%(29.44%の総食物繊維量)であった。高脂質バイオマス中、可溶性繊維は10.31%、不溶性繊維4.28%(14.59%の総食物繊維量)であった。
【0338】
藻類バイオマスのタンパク質の消化率
複数ロットの高タンパクおよび高脂質バイオマス(実施例4で記載の方法を用いて産生 )および高タンパクバイオマスを、試験管内消化率分析(0.2% ペプシン消化率測定、AOAC Method 971.09番)で消化率について分析した。高脂質バイオマス中、粗タンパク質総量の割合は5.4%〜10.3%の範囲であり、その中で消化性タンパク質の総量の割合は46.4%〜58.6%であった。高タンパクバイオマス中、粗タンパク質総量の割合は40.8%〜53.3%の範囲であり、その中で消化性タンパク質総量の割合は71.6%〜85.3%の範囲であった。同様の消化率測定をヘキサン抽出のバイオミール(藻類油のヘキサン抽出後の高脂質藻類バイオマス)にも行った。粗タンパク質総量の割合は、試験した全ロットで、約11〜12%であり、その中で消化性タンパク質総量の割合は76.72%〜80.2%の範囲であった。
【0339】
約40.9%の粗タンパク質総量の割合および95.35%の消化性タンパク質総量の割合を有する全粒大豆粉と比較すると、高タンパク藻類バイオマスは全粒大豆粉よりやや少ない消化性タンパク質総量の割合であった。高タンパク藻類バイオマスについて追加測定を行い、藻類細胞をほぼ溶解処理した。これらの測定から、消化性タンパク質合計割合は、全粒大豆粉中に含まれるものと同等(約95%が消化性タンパク質)であるという結果が出た。総合的に、高タンパクバイオマスの粗タンパク質総量の割合と消化性タンパク質総量の割合のレベルは全粒大豆粉中におけるものと同等であった。
【0340】
ヘキサン抽出のバイオミールの消化性測定結果は、バイオミールが動物飼料の実現可能な添加物となりうることを示した。バイオミールは残留タンパク質と油の両方を含み、約80%のレベルの消化性タンパク質総量の割合であった。
【0341】
実施例18
高タンパク藻類バイオマスを含む食品
高タンパク藻類バイオマス(藻類フレークおよび藻類ホモジネート)を使用した食物組成物
以下のレシピで用いた高タンパク藻類バイオマスは、上述実施例17で記載された方法で作られた。以下のレシピで使う藻類バイオマスは、クロレラ・プロトセコイデス(UTEX 250)由来で、約51重量%のタンパク質を含み、以下で高タンパク藻類バイオマスと呼ばれ、藻類フレークまたは藻類ホモジネートという用語をあてる。
【0342】
ベジタリアンハンバーガーのパテ
この実施例は、従来のレシピで作られたベジタリアンハンバーガーのパテと、菜食主義のタンパク源(組織状大豆タンパク質(TSP)、小麦グルテンおよび/または大豆タンパク質分離物(SPI))を、藻類フレークまたは藻類ホモジネート(AH)のいずれかの高タンパク藻類バイオマスに置き換えて作ったものを比較する。
【0343】
【表46】
【0344】
【表47】
【0345】
【表48】
【0346】
【表49】
【0347】
【表50】
いずれの場合においても、調理手順は次の通りである。
1.2つの組織状大豆タンパク質を一緒に量る。(可能な場合)
2.調理用ミキサーボウルに水を一部(TSPの 2.5〜3 倍の量)加え、10分間混ぜる。
3.濃縮大豆タンパク質、メチルセルロース、小麦グルテンおよび藻類バイオマスを量り、一緒に混ぜたものを乾燥させる。
4.乾燥材料を調理用ミキサーに加える。残りの水を加え、5〜10分混ぜる。
5.塩と香味料を量る。油を量る。ミキサーに加え5分間混ぜる。
6.型を使ってパテを形成し(各パテは65〜75g)、覆いをして凍らせる。
【0348】
TSPを藻類バイオマス(藻類フレークおよび藻類ホモジネート)に置き換えたサンプルでは、パテの粘度が高く、調理したときに比較的形にならなかった。調理のとき、パテを作ったオーツ、オーツブラン、玄米粉等、他の接合剤を加え固い食感にした。大豆タンパク質分離物を藻類フレークに置き換えたレシピで、対照より柔らかく、べちゃっとした、食感の少ないパテができた。大豆タンパク質分離物を藻類ホモジネートで置き換えたパテは対照に匹敵する固さと食感を有していた。総合的に、大豆タンパク質分離物を藻類ホモジネートで置き換えて作ったベジタリアンバーガーパテは、試験しベジタリアンの対照パテに匹敵するパテを作る最も成功したレシピだが、ほぼ2倍の食物繊維での場合であった。
【0349】
プロテインバー
次の実施例は、従来のプロテインバーと従来のタンパク源(大豆タンパク質分離物(SPI)および濃縮乳タンパク(MPC))を藻類フレークまたは藻類ホモジネート(AH)の高タンパク藻類バイオマスで置き換えて作ったものを比較する。
【0350】
【表51】
【0351】
【表52】
【0352】
【表53】
いずれの場合においても、調理手順は次の通りであった。
1.シロップ状の成分をすべて混ぜる。
2.レンジの上面を190°F(約88°C)に加熱し、蓋をして10分間置く。時々かき混ぜる。
3.加熱を止め、10分間待つ。約140°F(約60°C)まで冷ます。
4.乾燥材料を合わせる。
5.厚切りに分割し、一晩置く。棒状に切り、要望どおりの混合のコーティングと包装で覆う。
【0353】
総合的に、高タンパク藻類ホモジネートのプロテインバーは、藻類フレークで作ったプロテインバーに比べわずかに接合に優れていることを示した。また、藻類ホモジネートのプロテインバーは、材料を接合するコーンシロップの必要量が最も少なかった。高タンパク藻類ホモジネートで作ったプロテインバーは従来のプロテインバーに比べ、より成功した配合であった。タンパク質と脂肪量が同等で、約3倍の食物繊維を含んでいた。
【0354】
チョコレート栄養飲料(食事の代替)
次の実施例は、従来のチョコレート風味の栄養飲料と従来のタンパク源(大豆タンパク質分離物(SPI)および濃縮乳タンパク(MPC))を高タンパク藻類フレークまたは藻類ホモジネート(AH)で置き換えて作ったチョコレート栄養飲料を比較する。
【0355】
【表54】
【0356】
【表55】
【0357】
【表56】
高タンパク藻類ホモジネートは、従来のレシピの飲料と比べて、よりとろみがある栄養飲料を作り出した。高タンパク藻類フレークは対照より希薄な栄養飲料を作り出した。総合的に、高タンパク藻類ホモジネートを含む飲料は、この応用で非常に不透明で濃い栄養飲料を作り出すことにより成功した。藻類ホモジネートで作られた栄養飲料は、ほぼ10倍の食物繊維を含むが、従来の飲料と、砂糖、脂肪、タンパク質レベルで同等であった。
【0358】
実施例19
食用に適する他の微細藻類株を識別するための遺伝子型の調査
藻類の遺伝子型の調査
ゲノムのDNAは以下のように藻類バイオマスから分離された。細胞(約200mg)を液体培養から5分間14,000xgで遠心分離した。細胞を5分間14,000xgの遠心分離で滅菌蒸留水に再懸濁させ、浮遊物を捨てた。直径約2mmのガラスビーズ1つをバイオマスに加え、管を少なくとも15分間−80℃に置いた。試料を取り出し、150μlの粉砕バッファ(1% サルコシル、0.25Mショ糖、50mM NaCL、20mM EDTA、100mM Tris−HCl、pH8.0、RNase A0.5ug/μl)を加えた。ボルテックスで沈殿物をしばらく再懸濁させたのに続き、5MのNaCl 40μlを追加した。試料をしばらくボルテックスし、66μlの5%CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)を追加して最後に短期間のボルテックスを起こした。試料を次に65℃で10分間培養し、その後14,000gで10分間遠心分離した。浮遊物を未使用管に移し、300μlのフェノール:クロロホルム:イソペンチルアルコール12:12:1で一度抽出した後、5分間14,000gで遠心分離した。得られた水相を0.7容量のイソプロパノール(約190μl)を含む未使用管に移し、反転で混ぜ、30分または一晩4℃の室温で培養した。DNAを14,000gで10分間遠心分離して回収した。得られた沈殿物をその後2度、70%エタノールで洗浄し、続いて100%エタノールで最終洗浄した。浮遊物を20〜30分間室温で空気乾燥し、10mM TrisCl50μl、1mM EDTA(pH8.0)に再懸濁させた。
【0359】
上記記載の方法で調製した5μlの藻類DNAを、pH8.0の10mM Trisで1:50に希釈した。PCR反応で最終量20μlを次のように準備した。2 x iProof HF master mix(BIO−RAD)の10μlをプライマーSZ02613(5’−TGTTGAAGAATGAGCCGGCGAC−3’(配列番号24)10mM原液濃度)0.4μlに加えた。このプライマー配列はGen Bank受託番号L43357の位置567〜588から開始し、高等植物および藻類プラスチド遺伝子で高度に保存される。その後、0.4μlのプライマーSZ02615(5’−CAGTGAGCTATTACGCACTC−3’(配列番号25)10mM原液濃度)を追加する。このプライマー配列はGen Bank受託番号L43357の位置1112−1093と相補的であり、高等植物および藻類プラスチド遺伝子で高度に保存される。次に、5μlの希釈総DNAおよび3.2μlのdH
2Oを追加した。PCR反応を次のように行った:98℃、45秒、98℃、8秒、53℃、12秒、72℃、20秒を35サイクル、続いて72℃に1分間、そして25℃で保った。PCR生成物を精製し、pH8.0の10mM Tris 20μlを各反応に加え、40μlのフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール 12:12:1で抽出し、ボルテックスし、14,000gで5分間遠心分離した。PCR反応をS−400カラム(GE Healthcare)に適用し、2分間3,000gで遠心分離した。その後、精製されたPCR生成物をPCR8/GW/TOPOにTOPOクローン化し、LB/Specプレート上で陽性クローンを選択した。精製されたプラスミドDNAをM13順方向および逆方向プライマーを用いて両方向に配列を決定した。配列アラインメントおよび根絶した階層を、
図12a〜12iに示すGeneious DNA分析ソフトウェアを用いて生成した。株1〜23(実施例13で指定)からの配列を、添付の配列表に配列番号1〜23として列挙する。
【0360】
クロレラ・プロトセコイデス8株の23S rRNAのゲノムDNA分析
クロレラ・プロトセコイデス(UTEX25、UTEX249、UTEX250、UTEX256、UTEX264、UTEX411、CCAP211/17、CCAP211/8d)8株のゲノムDNAを単離し、23S rRNAのゲノムDNA分析を上記実施例30に記載の方法で行った。試験したクロレラ・プロトセコイデス全株は、UTEX25を除いて配列において同一であった。結果を
図13a〜13cの分岐図で要約する。全8株の配列を、付属配列表に配列番号26および27として列挙する。
【0361】
商業的に購入したクロレラ試料の遺伝子型決定分析
3つの商業的に購入したクロレラ試料、クロレラ・レグラリス(New Chapter、390mg/ジェルキャップ)、Whole Foods Broken Cell Wall Chlorella(Whole Foods、500mg/プレス加工された錠剤)およびNutriBiotic CGF Chlorella(NutriBiotic、500mg/プレス加工された錠剤)を実施例30に記載の方法で遺伝子型決定した。約200mgの各商業的に購入したクロレラ試料をゲノムDNA単離法により滅菌蒸留水に再懸濁させた。
【0362】
得られたPCR生成物を単離し、ベクターに複製し、M13順方向および逆方向プライマーを使用して配列を決定した。配列をBLASTサーチを使い既知の配列と比較した。
【0363】
23s rRNA DNA配列の比較で、3つのうち2つの商業的に購入したクロレラ試料が現リングビア・アエスツアリイ(Lyngbya aestuarii)(Whole Foods Broken Wall Chlorella およびNutriBiotic CGF)と一致するDNA配列を有していることが明らかとなった。リングビア・アエスツアリイは海産種シアノバクテリアの一種である。これらの結果はいくつかの市販のクロレラが、毒を作ることで知られるリングビア等の属からの有機体を含む、他の種類の汚染微生物を含むことを示す(例えば、Teneva et. al, Environmental Toxicology, 18(1)1, pp.9 ‐ 20(2003)、 Matthew et al., J Nat Prod., 71(6):pp.1113−6(2008)、およびCarmichael et al., Appl Environ Microbiol, 63(8):pp.3104−3110(1997)を参照)。
【0364】
実施例20
食品利用に適する微細藻類バイオマスの色素変異体
色素変異体を作る化学作用による突然変異生成
クロレラ・プロトセコイデス(UTEX 250)を実施例1に記載の方法および条件で育てた。化学作用による突然変異生成を藻類株でN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトログアニジン(NTG)を用いて実行した。藻類培養を突然変異原(NTG)にさらし、その後2.0%ブドウ糖寒天プレートで再分離を繰り返させて選択した。コロニーを色素変異体についてスクリーニングした。従属栄養的に育てられた場合、クロレラ・プロトセコイデス(野生型)は金色に見える。スクリーニングによって、寒天プレート上に白色に見える1株が産生された。この色素変異体を33−55と名づけた。(PTA−XXXXの特許寄託指定番号で、ブダペスト条約に従って2009年10月13日に10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110−2209のAmerican Type Culture Collectionに寄託)。別のコロニーも単離し、この突然変異が安定していることを確認するため再度分離を3ラウンド行った。この突然変異体は寒天プレートで淡黄色に見え、25−32と名づけた(PTA−XXXXの特許寄託指定番号で、ブダペスト条約に従って2009年10月13日に10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110−2209のAmerican Type Culture Collectionに寄託)。
【0365】
クロレラ・プロトセコイデス33−55の脂質特性
クロレラ・プロトセコイデス 33−55および親のクロレラ・プロトセコイデス(UTEX 250)を実施例1に記載の方法および条件に従って育てた。脂質割合(乾燥細胞重量による)を両株で測定した。クロレラ・プロトセコイデス33−55は脂質68%であり、親株は脂質62%であった。脂質状態を両株で測定したところ、次のとおりであった。(面積(%)で表現)クロレラ・プロトセコイデス33−55、C14:0(0.81);C16:0(10.35)、C16:1(0.20)、C18:0(4.09)、C18:1(72.16)、C18:2(10.60)、C18:3(0.10)、および他(1.69)。親株C14:0(0.77)、C16:0(9.67)、C16:1(0.22)、C18:0(4.73)、C18:1(71.45)、C18:2(10.99)、C18:3(0.14)、および他(2.05)。
【0366】
実施例21
食品利用に適する微細藻類バイオマスの育成のためのセルロース原料
クロレラ・プロトセコイデス(UTEX 250)が非食用炭素源を使用できたかどうかを評価するために、セルロース物質(爆砕したトウモロコシ茎葉)を、先述の実施例で上述した食品応用のいずれの使用にも適しているクロレラ・プロトセコイデスの従属栄養での育成の炭素源として調製した。
【0367】
湿った爆砕したトウモロコシ茎葉物質は、1.4%硫黄の酸性溶液中でトウモロコシ茎葉を調理し、得られたスラリーを脱水することにより、National Renewable Energy Laboratory(Golden, CO)によって調製された。Mettler Toledo水分分析器を使用し、湿ったトウモロコシ茎葉中の乾燥固形は24%であることが測定された。100gの湿った試料を脱イオン水に再懸濁して最終分量を420mlとし、10NのNaOHを用いてpHを4.8に調整した。Celluclast(商標)(Novozymes)(セルラーゼ)加え4%を終末濃度とし、得られたスラリーを50℃で72時間振盪させて培養した。この物質のpHをその後NaOH(無視できる量の変化)で7.5に調整し、0.22μmフィルタでフィルタ殺菌し、−20℃で保管した。試料を以下に記載するように、Sigmaのヘキソキナーゼベースのキットを使用したグルコースの濃度測定のために保存した。
【0368】
グルコースの濃度をSigma Glucose Assay Reagent #G3293を使って測定した。上記のように処理された試料を400倍に希釈し、40μlを反応物に加えた。トウモロコシ茎葉セルロース調製物は、約23g/Lのグルコースを含むことが測定された。
【0369】
酵素処理およびセルロースのグルコース、キシロース、および他の単糖砂糖類への糖化の後、上記で調製された物質を実施例1に記載の培地を用いたクロレラ・プロトセコイデス(UTEX 250)の成長原料として評価した。純グルコースを配合した様々な濃縮度のセルロース糖を試験した。(0、12.5、25、50、100%セルロース糖)細胞を様々な濃度のセルロース糖で28℃の暗闇の中で振盪(300rpm)させて培養した。成長をUV分光光度計の750nmで吸収度測定して評価した。クロレラ・プロトセコイデス培養は、発酵性糖の100%をセルロースで生成する培地条件を含みCelluclastで調製されたトウモロコシ茎葉物質で育った。同様の実験をセルロース原料としてAccelleraseを使った砂糖きびバガスを用いても行った。トウモロコシ茎葉物質で得られた結果のように、クロレラ・プロトセコイデス培養の全てが、炭素源としてセルロース生成の糖を利用することができた。
【0370】
2007年1月19日に出願された、PCT特許出願第:PCT/US2007/001319号、表題“Nutraceutical Compositions from Microalgae and Related Methods of Production and Administration”は、その全体が全目的で本明細書によって組み込まれる。2007年1月19日に出願された、PCT特許出願第:PCT/US2007/001653、表題“Microalgae−Derived Composition for Improving Health and Appearance of Skin”は、その全体が全目的で本明細書によって組み込まれる。2008年1月2日に出願された、PCT特許出願第:PCT/US2008/065563号、表題“Production of Oil in Microorganisms”は、その全体が全目的で本明細書によって組み込まれる。2008年4月8日に出願された、米国仮特許出願第61/043,318号、表題“Fractionation of Oil−Bearing Microbial Biomass”および2008年4月9日に出願された、米国仮特許出願第61/043,620号、表題“Direct Chemical Modification of Microbial Biomass”は、その全体が参照することにより全目的で本明細書によって組み込まれる。
【0371】
特許、特許出願、および公開を含む本明細書で引用される全ての参照文献は、以前に明確に組み込まれたかどうかにかかわらず、参照によりその全体が本明細書によって組み込まれる。本明細書で言及される公開は、本発明に関連して使用されてもよい試薬、方法、および概念を説明ならびに開示する目的で引用される。本明細書のいかなるものも、これらの参照が、本明細書で説明される本発明との関連で先行技術であることを承認するものと解釈されるべきではない。
【0372】
本発明は、本発明の特定の実施形態に関連して説明されたが、それはさらなる修正が可能であることは理解されよう。本出願は、本発明の原理に一般的に従い、かつ、本発明が関係する技術分野内で公知のまたは慣習的な慣行内であり、上記で開示された本質的な特徴に当てはまり得る本開示からの逸脱を含む、本発明の任意の変形、使用、または改造を含むことが意図されている。