特許第5731985号(P5731985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5731985-吸湿性樹脂組成物及びその成形体 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731985
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】吸湿性樹脂組成物及びその成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/08 20060101AFI20150521BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20150521BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   C08L33/08
   C08K3/34
   C08K5/098
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-538364(P2011-538364)
(86)(22)【出願日】2010年10月19日
(86)【国際出願番号】JP2010068394
(87)【国際公開番号】WO2011052433
(87)【国際公開日】20110505
【審査請求日】2013年8月22日
(31)【優先権主張番号】特願2009-245823(P2009-245823)
(32)【優先日】2009年10月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】村元 勝広
(72)【発明者】
【氏名】米川 雄平
(72)【発明者】
【氏名】土本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】秋元 稔雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 耕平
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−308674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 33/08
C08K 3/34
C08K 5/098
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレートとアクリロニトリル−スチレンの共重合体、エチレン−エチルアクリレートと無水マレイン酸とアクリロニトリル−スチレンの共重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体を含む樹脂(A)100質量部と、ゼオライト40〜300質量部とを含む吸湿性樹脂組成物(但し、吸湿性樹脂組成物中には、金属水和物を含まない)
【請求項2】
前記樹脂(A)100質量部中に含有されるメチルアクリレート単位、エチルアクリレート単位及びブチルアクリレート単位の合計の割合が15質量%以上である請求項1記載の吸湿性樹脂組成物。
【請求項3】
さらに、分散剤0.5〜5質量部を配合してなる請求項1に記載の吸湿性樹脂組成物。
【請求項4】
前記分散剤がステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、低分子量ポリエチレンワックスから選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の吸湿性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の吸湿性樹脂組成物を成形してなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸湿性樹脂組成物及びその成形体に関し、特に、従来より吸湿性が高く、吸湿速度が速く、接着性を有する吸湿性樹脂組成物及びその成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、医薬品、健康食品をはじめとした食品類、化粧品、半導体製品、機械部品などの包装において、吸湿による商品の劣化を防ぐ目的で、シリカゲル、塩化カルシウム、酸化カルシウム、ゼオライト等の乾燥剤が用いられている。
これらの乾燥剤は上記用途において粒状あるいは粉末状の乾燥剤を紙や不織布で包装したり、容器等に封入した状態で商品と共に包装されて用いられている。そのために、乾燥剤を包装している包装材の破損が生じたり、食品と共に包装されている場合に食品と間違えて乾燥剤を誤飲したりするなどの問題がしばしば発生する。
このような問題を解決する方法としては、熱可塑性樹脂と乾燥剤微粒子の混合物を成形して成形体として用いる提案がある。
例えば、特許文献1には、防湿性を有するポリオレフィン系樹脂層(A)の内側に、吸湿機能を有する無機化合物を配合してなるポリオレフィン系樹脂組成物層(B)を設けたことを特徴とする吸湿容器が開示され、特許文献2には、水不溶性熱可塑性樹脂と合成ゼオライトとを混練してなる組成物であって、前記水不溶性熱可塑性樹脂の少なくとも一部が40℃、90%RH、厚み100μmにおける水蒸気透過率が100g/(m2・24hr)以上である水蒸気透過性樹脂である吸湿性組成物及びその成形体が開示されている。このような吸湿機能付き容器は、容器内の湿度を低湿度状態に長期間保つことが可能である。
しかしながら、上記のような吸湿機能を有する樹脂層で成形された容器で保管する、吸湿により性能低下を生じ易い内容物としては、例えば血糖値センサーや尿試験紙のように、取り出す為に何度も開閉を繰り返して使用されるものが存在する。その場合、容器の蓋を一旦開放する度に湿気を含む外気が容器内に導入されてしまう為、閉蓋した後、再び容器内を短時間で低湿度状態にするような能力を持つ吸湿性能が必要となる。このような用途に対し、吸湿性が高く、吸湿速度の速い吸湿性樹脂組成物及び成形体が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−352255号
【特許文献2】特開2005−15568号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、吸湿性が高く、吸湿速度が速く、接着性を有する吸湿性樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、前記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、下記特定のアクリル系樹脂とゼオライトとを所定の量で配合した組成物を用いることにより、前記の課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に示す(1)〜(5)を提供するものである。
(1)エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレートとアクリロニトリル−スチレンの共重合体、エチレン−エチルアクリレートと無水マレイン酸とアクリロニトリル−スチレンの共重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体を含む樹脂(A)100質量部と、ゼオライト40〜300質量部とを含む吸湿性樹脂組成物。
(2)前記樹脂(A)100質量部中に含有されるメチルアクリレート単位、エチルアクリレート単位、ブチルアクリレート単位の合計の割合が15質量%以上である前記(1)記載の吸湿性樹脂組成物。
(3)さらに、分散剤0.5〜5質量部を配合してなる前記(1)に記載の吸湿性樹脂組成物。
(4)前記分散剤がステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、低分子量ポリエチレンワックスから選ばれる少なくとも1種である前記(3)記載の吸湿性樹脂組成物。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の吸湿性樹脂組成物を成形してなる成形体。
【発明の効果】
【0006】
本発明の吸湿性樹脂組成物及びその成形体は、従来より吸湿性が高く、吸湿速度が速く、接着性を有する。詳しくは、ゼオライトを含有する樹脂成分として、エチレン−メチルアクリレート、エチレン−エチルアクリレート、エチレン−ブチルアクリレート、エチレン−エチルアクリレートとアクリロニトリル−スチレンの共重合体、エチレン−エチルアクリレートと無水マレイン酸とアクリロニトリル−スチレンの共重合体から選ばれる少なくとも1種の重合体を必須とする吸湿性樹脂組成物及びその成形体は、ゼオライト単体以上に有効な吸湿性を有する。更に、接着性を有する該樹脂成分により、新たに接着剤を必要とせず、積層体を含む吸湿性成形体作製に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1及び比較例1〜4で得られた樹脂組成物の経時的な湿度の変化を示す図である。
図2】各実施例及び比較例で作製した成形体の開蓋状態を示す俯瞰図である。
図3】各実施例及び比較例で作製した成形体の開蓋状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の吸湿性樹脂組成物は、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−ブチルアクリレート共重合体(EBA)、EEAとアクリロニトリル−スチレン(AS)の共重合体、EEAと無水マレイン酸とASの共重合体から選ばれる少なくとも1種を含む樹脂100質量部と、ゼオライト40〜300質量部を含む吸湿性樹脂組成物である。
このような組成としたことにより、本発明の吸湿性樹脂組成物は、吸湿性が高いだけでなく、吸湿速度が速く、速乾性を有する。また、長時間吸湿効果を持続するという理由から繰り返して使用しても、吸湿性が劣化しづらいため繰り返し使用に適している。
ゼオライトが40質量部未満であると十分な吸湿性効果が得られず、300質量部を超えると分散性が低下し、有効な吸湿性を得ることが出来ない。またその成形性も困難になり成形体の物性も低下してしまう。
ゼオライトの添加量としては、前記から選ばれる少なくとも1種の重合体を含む樹脂100質量部に対し、40〜300質量部が好ましく、50〜200質量部がさらに好ましい。
ゼオライトの種類としては、特に制限されないが、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、銀、リチウム、ベリリウム、等の金属イオンを含有する塩が挙げられる。具体的には、[K,Na][(AlO2)(SiO2)] nH2O やNa[(AlO2)(SiO2)] nH2Oや43Na[43(AlO2)53(SiO2)] nH2Oであり、ゼオライトの細孔径が3〜12Åの特徴を有するものである。特にカリウムイオンを含有するゼオライト(細孔径3Å)を使用するのがより好ましい様態である。
【0009】
本発明の吸湿性樹脂組成物は、前記から選ばれる少なくとも1種の重合体を含む樹脂(A)の他に、他の樹脂成分(B)を混合してもよい。即ち、前記樹脂に加えて、樹脂のメルトマスフローレイト(MFR)を高めることにより、成形加工性の向上、成形体の物性強化等、樹脂特性付与の目的から、汎用オレフィン樹脂、エンジニアリングプラスチック樹脂等の樹脂を混合使用することも好ましい様態である。例えば使用する樹脂には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリメチルメタクリレート、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。好ましくはアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリメチルメタクリレート、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体がある。同時に、その他の樹脂成分(B)の混合割合は、(A)及び(B)の樹脂混合物中に含有するメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートの割合が15質量%以上となるように調製するのが好ましく、目的の十分な吸湿性が損なうことなく使用できる。例えば、エチルアクリレート成分の含有率が25質量%であるアクリレート共重合体90質量部に対し、低密度ポリエチレン10質量部を添加する場合があげられる。この混合した場合は、2つの樹脂の合計量に対してエチルアクリレート成分が22.5質量%となり、その成形体は吸湿性効果を十分に有する。
【0010】
本発明の吸湿性樹脂組成物は、ゼオライトを均一に分散させる目的で分散剤を配合しても良い。分散剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニュウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリルアマイド、低分子量ポリエチレンワックス、流動パラフィン、パラフィン合成ワックス、ポリプロピレンワックス、シリコーンオイル等が挙げられる。好ましくはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、低分子量ポリエチレンワックスがあげられる。
分散剤の配合量としては樹脂100質量部に対して、通常0.5〜5質量部であり、好ましくは1〜3質量部である。5質量部以下であればとゼオライト表面に分散剤が多すぎず吸湿効果が低下することがない。又、0.5質量部以上であれば成形体表面が粗くならず外観も良好である。但し、用途に応じては、接着性、吸湿性を兼ね備えた特性から、分散剤の無添加による積層成形体としての応用へも繋がる。
【0011】
本発明の吸湿性樹脂組成物には、上記各成分に加え、本発明の効果を阻害しない範囲で、添加剤を加えることが出来る。添加剤とは、滑性剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、酸化防止剤を配合でき、滑性剤としては、例えば、高級脂肪酸、エステルワックス類、ポリエチレンワックス類、金属石鹸類等が挙げられ、帯電防止剤としては、例えば、脂肪酸アミン、脂肪酸アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸アマイド、スルホン酸化合物等が挙げられ、紫外線防止剤としては、例えば、サリチル酸誘導体化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール誘導体等のベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート化合物等が挙げられ、酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、鱗系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオ尿素系酸化防止剤等が挙げられ、これらの少なくとも1種以上を組み合わせて配合することも好ましい。
【0012】
本発明の吸湿性樹脂組成物の調製方法については,一般にバンバリーミキサー,ナウターミキサー,混練ロール,又は一軸、二軸押し出し機などにより、溶融混合、分散処理されて着色樹脂組成物を得ることが出来る。また混連前に分散均一化する目的で、タンブラーミキサー、ブレンダー、高速混合機といった予備分散を行う。
【0013】
本発明の吸湿性樹脂組成物を用いた成形方法についても特に制限はなく、射出成形,押出成形、圧縮成形等公知の方法により成形することができる。
成形体の形状としては、例えば、シート状、フィルム状の他、各種形状の成形物、例えば、キャップ形状、カップ形状、蓋つき容器、筐体等が挙げられる。例えば、血糖値センサーや尿試験紙のような製品を保管する蓋付き容器としては、図2に示すような成形体の形状が挙げられる。この成形体1は、底壁を有する筒状本体4と蓋体5とがヒンジ部6を介して開閉自在に連結され、一体成形される熱可塑性樹脂から成る外層体2と、筒状本体4の内面側に設けられている吸湿性樹脂組成物から成る内層体3とから構成されている。また、筒状本体4の側壁上面及び蓋体5の側壁内面には蓋体が閉じた時に互いに係合する係止部が設けられており、閉蓋状態を安定に維持することが出来る。
尚、外層体2の熱可塑性樹脂材としては前述した樹脂成分(B)の何れかを用いて構わないが、容器の密封性を考慮すると、低、中、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等が好適である。また、上記蓋付き容器の成形法としては、二つの射出ユニットを保有する2色射出成形機を用いて二色成形法(2つの材料を用いて同時に成形する方法)により射出成形して形成する方法や予め内層体3を成形後、金型内で内層体3を保持した状態で、後から外層体2を射出成形して成形するインサート成形法が挙げられる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
実施例1
(1)樹脂組成物の調製
エチレン−エチルアクリレート[EEA](NUC社製 DPD−J9169:商品名)100質量部に対して、細孔径3ÅのA型ゼオライト(Na.Kイオンを含有)(ユニオン昭和社製 モレキュラーシーブ3A:商品名)を233質量部、及びステアリン酸マグネシウム(日油社製 マグネシウムステアレート)を3質量部配合した。配合物を二軸押出機(JSW社製 TEX−30α:商品名)に投入し、均一に分散してコンパウンドを得た。混練条件は下記第1表の通りである。
【0015】
【表1】
【0016】
(2)試験用シートの作製
得られたコンパウンドは、圧縮成形機(進藤金属工業社製 圧縮成形機)にてシート型(厚さ0.5mm、縦20cm、横20cm)でのシートの成形を行った。圧縮成形機は160℃ 、15MPaの加圧を一分間行い、冷却して試験用シートを得た。
試験用シートは試験前に乾燥を行った。露点−30℃の除湿乾燥機を使用し、設定温度60℃、2時間の乾燥を行った。
(3)試験用成形体の作製
図2に示す成形体を、外層体をポリプロピレン、内層体を得られたコンパウンドで、2色成形法にて試作した。
(4)評価方法
1.吸湿試験
吸湿試験は、デシケータを使用し、これに試験用シートと湿度計(日置電機社 3641温湿度ロガー)をセットし、23℃での相対湿度90%に調製した空気を充填する。この湿度調整した空気は恒温恒湿機(東洋精機社製 恒温恒湿機AGX−224)で調製した。
試験用シートと湿度計と湿度調製した空気を入れたデシケータは空気が漏れないように蓋をし、23℃相対湿度50%の環境で静置した。
この時のデシケータ内湿度は一定間隔で湿度計によって記録される。
このように得られた吸湿測定結果から湿度の経時変化を示すグラフを作製した。図1にその一例を示す。
3時間後に湿度計を取り出し、3時間後の湿度を測定した。

2.初期の吸湿速度
上記の吸湿試験で得られたすグラフを基に初期の吸湿速度(Vとする)を算出した。吸湿試験開始0分後の湿度をH0とし、10分後の湿度をH1とすると初期の吸湿速度は下式で算出した。
初期の吸湿速度(V)={(H0−H1)}/10 ・・・式(1)
単位:V=%/min

3.メルトマスフローレイト(MFR)の測定
MFRの測定は、JIS K7210[プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法]に準じた。即ちMFR測定機(タカラサーミスタ社製 メルトインデクサーL241:商品名)にてMFRを測定した。測定機のシリンダーを190℃に昇温し15分間以上エージングしてから試料を充填した。試料の上にピストンとおもりを載せて加重は2.16kgとした。予熱を行い、30秒間に流出した試料を切り取った。流出物を計量し、これを10分間当たりの流出量に換算した。

4.成形性の評価(外観及び接着性評価)
図2に示す形状の成形体を作製する中で、成形体の成形時における成形性について評価を行った。
成形性評価として、成形体の内層の外観及び外層と吸着層である内層との接着性について、目視による評価を行った。
外観は以下のようにして評価した。
○:寸法、形、表面状態が良好である
△:寸法、形、表面状態少し損なわれている
×:寸法、形が大きく損なわれ、表面に縞模様や凹凸がある

接着性は以下のようにして評価した。
○:成形後の容器の内層と外層がしっかり接着している
△:成形後の容器の内層と外層が一部接着していない
×:成形後の容器の内層と外層が接着せず、分離する

5.臭気性の評価
試験用シートを3gはかり取り容量50ccの蓋付きガラス瓶に密閉した。これを50℃に設定した箱型乾燥機で30分間加温し、加温後異臭のない室内で、ガラス瓶の蓋を開け臭気を評価した。臭気判定は5人の被験者による官能試験である。
判定結果を平均し、個々のサンプルの臭気度合いの評価を行った。
○:異臭がなく、非常に優れている。
△:僅かな異臭がある。
×:不快な異臭がある。
以上1〜5の評価結果を第2表に示す。
【0017】
実施例2〜5
吸湿性樹脂組成物の組成を第2表に示す。実施例2〜5は、実施例1と同様の成分の組み合わせであって、Na、Kを含有する細孔径3Åのゼオライトの添加量を変えたものである。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、評価方法の1〜5の項目を評価した結果を第2表に示す。
実施例6〜8
吸湿性樹脂組成物の組成を第2表に示す。実施例6〜8は、実施例4と同様の配合量で、ゼオライトの種類を変えたものである。
実施例6のNa、K、Caを含有するゼオライトの細孔径3Å、実施例7のNaを含有するゼオライトの細孔径4Å、実施例8のNa、Caを含有するゼオライトの細孔径5Åであった。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、評価方法の1〜5の項目を評価した結果を第2表に示す。
実施例9〜12
吸湿性樹脂組成物の組成を第3表に示す。実施例9〜12は、実施例4と同様の配合量で、樹脂をエチレン−ブチルアクリレート[EBA](三井デュポンケミカル社製 ELVAROY3717AC:商品名)、エチレン−メチルアクリレート[EMA](三井デュポンケミカル社製 ELVALOY1820AC:商品名)、エチレン−エチルアクリレート[EEA]とアクリロニトリル−スチレン[AS]の共重合体(日油社製 モディパー5400:商品名)、エチレン−エチルアクリレート[EEA]とアクリロニトリル−スチレン[AS]と無水マレイン酸の共重合体(日油社製 モディパー8400:商品名)としたものである。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、評価方法の1〜5の項目を評価した結果を第3表に示す。
実施例13〜15
吸湿性樹脂組成物の組成を第3表に示す。実施例13〜15は、実施例4と同様の配合量で、分散剤の種類を変えたものである。
実施例13のステアリン酸カルシウム(堺化学社製 ステアリン酸カルシウム:商品名)、実施例14のステアリン酸亜鉛(自油社製 ジンクステアレーロ:商品名)、実施例15の低分子量ポリエチレンワックス(ハネウェル社製 ACポリエチレン6:商品名)であった。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、評価方法の1〜5の項目を評価した結果を第3表に示す。
【0018】
実施例16〜17
吸湿性樹脂組成物の組成を第4表に示す。実施例16〜17は、実施例4と同様の配合量から、分散剤の添加量を変えたものである。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、評価方法の1〜5の項目を評価した結果を第4表に示す。
実施例18〜20
吸湿性樹脂組成物の組成を第4表に示す。実施例18〜20は、実施例4と同様の配合量で、エチルアクリレート含有率20質量%であるエチレン−エチルアクリレート(NUC社製 DPD−J9169:商品名)と低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製 ノバテックLD JF641M:商品名)、ポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ノバテックPP BC03C:商品名)、ポリスチレン(DIC社製 ディックスチレン CR−2500:商品名)を混合したものである。この時の樹脂成分量に対してエチルアクリレート成分の含有率は、それぞれ18質量%である。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、評価方法の1〜5の項目を評価した結果を第4表に示す。
【0019】
比較例1
(コンパウンドの調製)
エチレン−酢酸ビニル共重合体[EVA](三井デュポンケミカル社製 エバフレックス360:商品名)100質量部に対して、細孔径3ÅのA型ゼオライト(Na、Kイオン含有)(ユニオン昭和社製 モレキュラーシーブ3A:商品名)を67質量部、及びステアリン酸マグネシウム(日油社製 マグネシウムステアレート)を2質量部配合した。配合物を二軸押出機(JSW社製 TEX−30α:商品名)に投入し、均一に分散してコンパウンドを調製した。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、1〜5を評価した結果を第5表に示す。
比較例2〜3
比較例2〜3は、比較例1と同様の配合量で、樹脂をポリビニルアルコール[PVA](クラレ社製)、低密度ポリエチレン[LDPE](旭化成ケミカルズ社製 サンテックM2270:商品名)」に変えたものである。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、1〜5を評価した結果を第5表に示す。
比較例4
比較例4は、A型ゼオライト(Na、Kイオン含有)を単体で吸湿試験したものである。
デシケータ中にゼオライトの粉体を実施例1記載の配合物に含まれるゼオライトの質量に等しくなるように計量した。1、2及び5を評価した結果を第5表に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上詳細に説明したように、本発明の吸湿性樹脂組成物及びその成形体は、従来より吸湿性が高く、吸湿速度が速い。このため、湿度を嫌う容器内物品を湿気から防ぐなど、より品質を安定に保つのに有効である。
このため、食品類、化粧品、半導体製品、機械部品などの分野において速乾性が要求される成形体、例えば、健康食品容器や半導体包装等に有用である。また、接着性を有することから、例えば、容器の内層として使用する場合に、接着剤が必要なく、製造工程が簡略化できる上に、低コストで製造できる。
【符号の説明】
【0025】
1 成形体
2 外層体
3 内層体
4 筒状本体
5 蓋体
6 ヒンジ部
図1
図2
図3