【0008】
本発明の吸湿性樹脂組成物は、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−ブチルアクリレート共重合体(EBA)、EEAとアクリロニトリル−スチレン(AS)の共重合体、EEAと無水マレイン酸とASの共重合体から選ばれる少なくとも1種を含む樹脂100質量部と、ゼオライト40〜300質量部を含む吸湿性樹脂組成物である。
このような組成としたことにより、本発明の吸湿性樹脂組成物は、吸湿性が高いだけでなく、吸湿速度が速く、速乾性を有する。また、長時間吸湿効果を持続するという理由から繰り返して使用しても、吸湿性が劣化しづらいため繰り返し使用に適している。
ゼオライトが40質量部未満であると十分な吸湿性効果が得られず、300質量部を超えると分散性が低下し、有効な吸湿性を得ることが出来ない。またその成形性も困難になり成形体の物性も低下してしまう。
ゼオライトの添加量としては、前記から選ばれる少なくとも1種の重合体を含む樹脂100質量部に対し、40〜300質量部が好ましく、50〜200質量部がさらに好ましい。
ゼオライトの種類としては、特に制限されないが、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、銀、リチウム、ベリリウム、等の金属イオンを含有する塩が挙げられる。具体的には、[K,Na][(AlO
2)(SiO
2)] nH
2O やNa[(AlO
2)(SiO
2)] nH
2Oや43Na[43(AlO
2)53(SiO
2)] nH
2Oであり、ゼオライトの細孔径が3〜12Åの特徴を有するものである。特にカリウムイオンを含有するゼオライト(細孔径3Å)を使用するのがより好ましい様態である。
【実施例】
【0014】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
実施例1
(1)樹脂組成物の調製
エチレン−エチルアクリレート[EEA](NUC社製 DPD−J9169:商品名)100質量部に対して、細孔径3ÅのA型ゼオライト(Na.Kイオンを含有)(ユニオン昭和社製 モレキュラーシーブ3A:商品名)を233質量部、及びステアリン酸マグネシウム(日油社製 マグネシウムステアレート)を3質量部配合した。配合物を二軸押出機(JSW社製 TEX−30α:商品名)に投入し、均一に分散してコンパウンドを得た。混練条件は下記第1表の通りである。
【0015】
【表1】
【0016】
(2)試験用シートの作製
得られたコンパウンドは、圧縮成形機(進藤金属工業社製 圧縮成形機)にてシート型(厚さ0.5mm、縦20cm、横20cm)でのシートの成形を行った。圧縮成形機は160℃ 、15MPaの加圧を一分間行い、冷却して試験用シートを得た。
試験用シートは試験前に乾燥を行った。露点−30℃の除湿乾燥機を使用し、設定温度60℃、2時間の乾燥を行った。
(3)試験用成形体の作製
図2に示す成形体を、外層体をポリプロピレン、内層体を得られたコンパウンドで、2色成形法にて試作した。
(4)評価方法
1.吸湿試験
吸湿試験は、デシケータを使用し、これに試験用シートと湿度計(日置電機社 3641温湿度ロガー)をセットし、23℃での相対湿度90%に調製した空気を充填する。この湿度調整した空気は恒温恒湿機(東洋精機社製 恒温恒湿機AGX−224)で調製した。
試験用シートと湿度計と湿度調製した空気を入れたデシケータは空気が漏れないように蓋をし、23℃相対湿度50%の環境で静置した。
この時のデシケータ内湿度は一定間隔で湿度計によって記録される。
このように得られた吸湿測定結果から湿度の経時変化を示すグラフを作製した。
図1にその一例を示す。
3時間後に湿度計を取り出し、3時間後の湿度を測定した。
2.初期の吸湿速度
上記の吸湿試験で得られたすグラフを基に初期の吸湿速度(Vとする)を算出した。吸湿試験開始0分後の湿度をH0とし、10分後の湿度をH1とすると初期の吸湿速度は下式で算出した。
初期の吸湿速度(V)={(H0−H1)}/10 ・・・式(1)
単位:V=%/min
3.メルトマスフローレイト(MFR)の測定
MFRの測定は、JIS K7210[プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法]に準じた。即ちMFR測定機(タカラサーミスタ社製 メルトインデクサーL241:商品名)にてMFRを測定した。測定機のシリンダーを190℃に昇温し15分間以上エージングしてから試料を充填した。試料の上にピストンとおもりを載せて加重は2.16kgとした。予熱を行い、30秒間に流出した試料を切り取った。流出物を計量し、これを10分間当たりの流出量に換算した。
4.成形性の評価(外観及び接着性評価)
図2に示す形状の成形体を作製する中で、成形体の成形時における成形性について評価を行った。
成形性評価として、成形体の内層の外観及び外層と吸着層である内層との接着性について、目視による評価を行った。
外観は以下のようにして評価した。
○:寸法、形、表面状態が良好である
△:寸法、形、表面状態少し損なわれている
×:寸法、形が大きく損なわれ、表面に縞模様や凹凸がある
接着性は以下のようにして評価した。
○:成形後の容器の内層と外層がしっかり接着している
△:成形後の容器の内層と外層が一部接着していない
×:成形後の容器の内層と外層が接着せず、分離する
5.臭気性の評価
試験用シートを3gはかり取り容量50ccの蓋付きガラス瓶に密閉した。これを50℃に設定した箱型乾燥機で30分間加温し、加温後異臭のない室内で、ガラス瓶の蓋を開け臭気を評価した。臭気判定は5人の被験者による官能試験である。
判定結果を平均し、個々のサンプルの臭気度合いの評価を行った。
○:異臭がなく、非常に優れている。
△:僅かな異臭がある。
×:不快な異臭がある。
以上1〜5の評価結果を第2表に示す。
【0017】
実施例2〜5
吸湿性樹脂組成物の組成を第2表に示す。実施例2〜5は、実施例1と同様の成分の組み合わせであって、Na、Kを含有する細孔径3Åのゼオライトの添加量を変えたものである。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、評価方法の1〜5の項目を評価した結果を第2表に示す。
実施例6〜8
吸湿性樹脂組成物の組成を第2表に示す。実施例6〜8は、実施例4と同様の配合量で、ゼオライトの種類を変えたものである。
実施例6のNa、K、Caを含有するゼオライトの細孔径3Å、実施例7のNaを含有するゼオライトの細孔径4Å、実施例8のNa、Caを含有するゼオライトの細孔径5Åであった。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、評価方法の1〜5の項目を評価した結果を第2表に示す。
実施例9〜12
吸湿性樹脂組成物の組成を第3表に示す。実施例9〜12は、実施例4と同様の配合量で、樹脂をエチレン−ブチルアクリレート[EBA](三井デュポンケミカル社製 ELVAROY3717AC:商品名)、エチレン−メチルアクリレート[EMA](三井デュポンケミカル社製 ELVALOY1820AC:商品名)、エチレン−エチルアクリレート[EEA]とアクリロニトリル−スチレン[AS]の共重合体(日油社製 モディパー5400:商品名)、エチレン−エチルアクリレート[EEA]とアクリロニトリル−スチレン[AS]と無水マレイン酸の共重合体(日油社製 モディパー8400:商品名)としたものである。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、評価方法の1〜5の項目を評価した結果を第3表に示す。
実施例13〜15
吸湿性樹脂組成物の組成を第3表に示す。実施例13〜15は、実施例4と同様の配合量で、分散剤の種類を変えたものである。
実施例13のステアリン酸カルシウム(堺化学社製 ステアリン酸カルシウム:商品名)、実施例14のステアリン酸亜鉛(自油社製 ジンクステアレーロ:商品名)、実施例15の低分子量ポリエチレンワックス(ハネウェル社製 ACポリエチレン6:商品名)であった。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、評価方法の1〜5の項目を評価した結果を第3表に示す。
【0018】
実施例16〜17
吸湿性樹脂組成物の組成を第4表に示す。実施例16〜17は、実施例4と同様の配合量から、分散剤の添加量を変えたものである。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、評価方法の1〜5の項目を評価した結果を第4表に示す。
実施例18〜20
吸湿性樹脂組成物の組成を第4表に示す。実施例18〜20は、実施例4と同様の配合量で、エチルアクリレート含有率20質量%であるエチレン−エチルアクリレート(NUC社製 DPD−J9169:商品名)と低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製 ノバテックLD JF641M:商品名)、ポリプロピレン(日本ポリプロ社製 ノバテックPP BC03C:商品名)、ポリスチレン(DIC社製 ディックスチレン CR−2500:商品名)を混合したものである。この時の樹脂成分量に対してエチルアクリレート成分の含有率は、それぞれ18質量%である。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、評価方法の1〜5の項目を評価した結果を第4表に示す。
【0019】
比較例1
(コンパウンドの調製)
エチレン−酢酸ビニル共重合体[EVA](三井デュポンケミカル社製 エバフレックス360:商品名)100質量部に対して、細孔径3ÅのA型ゼオライト(Na、Kイオン含有)(ユニオン昭和社製 モレキュラーシーブ3A:商品名)を67質量部、及びステアリン酸マグネシウム(日油社製 マグネシウムステアレート)を2質量部配合した。配合物を二軸押出機(JSW社製 TEX−30α:商品名)に投入し、均一に分散してコンパウンドを調製した。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、1〜5を評価した結果を第5表に示す。
比較例2〜3
比較例2〜3は、比較例1と同様の配合量で、樹脂をポリビニルアルコール[PVA](クラレ社製)、低密度ポリエチレン[LDPE](旭化成ケミカルズ社製 サンテックM2270:商品名)」に変えたものである。
実施例1と同様にして試験用シートを作製し、1〜5を評価した結果を第5表に示す。
比較例4
比較例4は、A型ゼオライト(Na、Kイオン含有)を単体で吸湿試験したものである。
デシケータ中にゼオライトの粉体を実施例1記載の配合物に含まれるゼオライトの質量に等しくなるように計量した。1、2及び5を評価した結果を第5表に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】