(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態(以降、「本実施形態」と称す。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
はじめに、
図1を用いて、制御システム100の全体構成例を説明し、次に、活線挿抜装置1の構成例について説明する。
制御システム100は、CPU(Central Processing Unit)3、電源装置4、1以上のプロセス入出力装置50、そのプロセス入出力装置50を収納するラック筐体(不図示)を備えている。プロセス入出力装置50は、不図示のラック筐体内に脱着可能であり、ラック筐体に装着(挿入)されると、電源装置4から電力を供給されて、CPU3や制御対象装置60に対して入出力動作を実行し、故障した場合には、取り外す(抜去する)ことができる。
【0011】
CPU3は、プロセス入出力装置50が取得した制御対象装置60の情報をデータ回線31を介して受信して演算を行い、制御情報を生成し、生成した制御情報をプロセス入出力装置50に送信する機能を有する。
電源装置4は、電源線41を介して、不図示のラック筐体内に装着(挿入)されたプロセス入出力装置50に電力を供給する機能を有する。
【0012】
プロセス入出力装置50は、活線挿抜装置1と主回路部2とを備える。
活線挿抜装置1は、プロセス入出力装置50を制御システム100に活線挿抜する際に、CPU3との通信の実行または停止や、電源供給の遮断等の活線挿抜制御を行う機能を有し、制御システム100を安全に稼動させ続けることができる。なお、活線挿抜装置1の詳細については、後記する。
【0013】
主回路部2は、制御対象装置60との通信制御機能やプロトコル変換機能を有し、制御対象装置60から情報を受信し、制御対象装置60に対して制御信号を送信する。
【0014】
次に、活線挿抜装置1の構成例について、
図1を用いて説明する。活線挿抜装置1は、入出力部10と電源監視部20とを備えている。
入出力部10は、プロセス入力装置50が活線挿抜される際に、CPU3との間で行う情報の入出力動作の実行や停止を制御するための機能を有している。具体的には、入出力部10は、活線挿抜用切替部11、リセット部12、入出力制御部13、演算部14、LED(Light Emitting Diode)15を備える。
【0015】
活線挿抜用切替部11は、活線挿抜時に、ユーザの操作を受け付けて出力信号レベルを切替る機能を有する。例えば、活線挿抜用切替部11は、トグルスイッチのように、ONとOFFとを切替られるスイッチであることが好ましい。
【0016】
リセット部12は、プロセス入出力装置50が電源線41に接続されて、電力供給が開始された時から、所定の信号レベルを出力し、電力供給開始時から所定時間(例えば、百〜二百ミリ秒程度)経過後に、それまで出力していた所定の信号のレベルを変えて出力する機能を有する。
【0017】
演算部14は、活線挿抜用切替部11の出力である切替部信号
(第1の信号)142、リセット部12の出力であるリセット部信号
(第2の信号)145を入力とし、活線挿抜信号147およびリセット信号148を生成して出力する機能を有する。
活線挿抜信
号147は、活線挿抜が不可の状態(活線挿抜不可状態)か、活線挿抜が可能の状態(活線挿抜可能状態)かを、信号レベルの高低で表す。
リセット信
号148は、入出力動作を停止しているリセット状態か、入出力動作を実行するリセット解除状態かを、信号レベルの高低で表す。
【0018】
演算部14の具体例は、
図1に示すように、活線挿抜信号147やリセット信号148を生成するためのFF(フリップフロップ)141、第1のAND回路144、第2のAND回路146を備えている。なお、FF141は、Dフリップフロップを用いた場合で説明する。
【0019】
活線挿抜用切替部11の出力である切替部信号142は、FF141のDおよび^C(クリア)と、第1のAND回路144に入力される。また、リセット部12の出力であるリセット部信号145は、FF141のCK(クロック)と第2のAND回路146に入力される。FF141の出力信号^Q143は、第1のAND回路144および第2のAND回路146に入力される。そして、第1のAND回路144から活線挿抜信号147が出力され、第2のAND回路146からリセット信号148が出力される。
【0020】
入出力制御部13は、活線挿抜信号147およびリセット信号148の信号レベルの高低に基づいて、入出力動作を制御する機能やLED15を点灯するか否かを判定する機能を有する。入出力制御部13は、LED15を点灯する場合には、LED信号151の電圧をVccより低く設定し、LED15を点灯しない場合には、LED信号151の電圧をVcc以上に設定する。
【0021】
LED15は、点灯または消灯する機能を備え、活線挿抜可能な状態か否かを点灯か否かによってユーザに知らせる。
【0022】
また、活線挿抜装置1は、
図1に示すように、電源監視部20を備える。これは、過電流状態のプロセス入出力装置50を活線抜去する場合には、活線抜去時に他のプロセス入出力装置50へ供給している電源を大きく変動させてしまう可能性があるためである。
電源監視部20は、電源異常検出部21と電源スイッチ22とを備え、電源異常検出部21が過電流のような電源異常を検出し、電源異常の検出時には遮断スイッチ22をOFF状態にする機能を有する。これにより、プロセス入出力装置50内で電源異常が検出された場合、電源装置4からの電力供給を遮断し、より安全に活線抜去できる状態となる。そのため、制御システム100の信頼性を向上させることができる。
【0023】
次に、プロセス入出力装置50の活線挿抜時に、入出力制御部13に入力する活線挿抜信号147およびリセット信号148の信号レベル変化を示す信号タイムチャート例について、
図2を用いて説明する(適宜、
図1参照)。
【0024】
図2の横軸は、時間を表し、活線挿入時(t1)、活線挿入後所定時間経過時(t2)、活線挿抜用切替部をOFF操作した時(活線挿抜用切替部OFF時)(t3)、活線挿抜用切替部をON操作した時(活線挿抜用切替部ON時)(t4)、活線抜去時(t5)の時刻を破線で示している。また、縦軸は、
図2の最上段から、(a)活線挿抜用切替部11の出力である切替部信号142、(b)リセット部12の出力であるリセット部信号145、(c)演算部14内のFF141の出力信号^Q143、(d)演算部14の出力である活線挿抜信号147、(e)演算部14の出力であるリセット信号148、の順に、信号レベルを表している。また、最下段には、(f)入出力動作の状態を表している。
【0025】
活線挿入時(t1)には、活線挿抜用切替部11はON状態にされている。したがって、切替部信号142はHighレベルとなる。また、リセット部12は、電源供給されると所定時間(t1〜t2の間)において、Lowレベルのリセット部信号145を出力する。つまり、FF141の入力D,^Cには切替部信号142のHighレベルが入力され、入力CKにはリセット部信号145のLowレベルが入力される。
【0026】
そして、活線挿入後(電源供給後)において入力CKがLowレベルからHighレベルに一度も変化していない間は、FF141の出力信号^Q143は不定となる。活線挿抜信号147は、切替部信号142と出力信号^Q143とを第1のAND回路144により論理積して生成されるので、出力信号^Q143が不定であることにより、不定となる。また、リセット信号148は、リセット部信号145と出力信号^Q143とを第2のAND回路146により論理積して生成されるので、リセット部信号145がLowレベルであるので、出力信号^Q143が不定であってもLowレベルとなる。したがって、入出力制御部13は、リセット信号148がLowレベルであることから、リセット状態であると判断し、CPU3や制御対象装置60に対する入出力動作を実行しないように制御する。つまり、入出力制御部13の入出力動作の状態は、停止状態となる。
【0027】
活線挿入後所定時間経過時(t2)には、リセット部12はリセット部信号145を自動的にHighレベルにして出力する。そのため、FF141の入力CKがLowレベルからHighレベルに変化するので、出力信号^Q143はLowレベルとなる。その結果、活線挿抜信号147はLowレベル(活線挿抜不可状態)となり、リセット信号148は変化しないでLowレベル(リセット状態)のままである。これにより、入出力制御部13は、活線挿抜信号147の信号レベルを問わず、リセット状態を示すリセット信号148に基づいて、リセット状態であると判断し、CPU3や制御対象装置60に対する入出力動作を実行しないように制御する。つまり、入出力制御部13の入出力動作の状態は、停止状態となる。
【0028】
次に、ユーザの操作を受け付けて活線挿抜用切替部11がOFF状態(t3)にされると、切替部信号142はLowレベルになる。FF141の入力D,^CにはLowレベルが入力されるため、FF141の出力信号^Q143はHighレベルとなる。その結果、活線挿抜信号147は変化せずにLowレベル(活線挿抜不可状態)のままとなり、リセット信号148がHighレベル(リセット解除状態)となる。これにより、入出力制御部13は、活線挿抜不可状態を示す活線挿抜信号147とリセット解除状態を示すリセット信号148との組み合わせに基づいて、CPU3や制御対象装置60に対する入出力動作を実行するように制御する。つまり、入出力制御部13の入出力動作の状態は、実行状態となる。
【0029】
このように、本実施形態のプロセス入出力装置50は、活線挿抜装置1に活線挿抜用切替部11を備えたことにより、ユーザがプロセス入出力装置50の装着状態を確認した上で、リセット解除できるようになっている。つまり、プロセス入出力装置50が不完全な挿入状態で自動的に入出力動作を開始することを防止できるので、安全に活線挿入することができる。
【0030】
次に、活線抜去のために、活線挿抜用切替部11がON状態(t4)にされると、切替部信号142がHighレベルとなり、活線挿抜信号147はHighレベル(活線挿抜可能状態)となる。ただし、リセット信号148はHighレベル(リセット解除状態)のままである。これにより、入出力制御部13は、活線挿抜可能状態を示す活線挿抜信号147とリセット解除状態を示すリセット信号148との組み合わせに基づいて、活線挿抜可能状態であると判断し、CPU3に活線挿抜可能状態になったことを通知する。また、入出力制御部13は、LED信号151をLowレベルにすることによってLED15を点灯させる。また、入出力制御部13は、CPU3や制御対象装置60に対する入出力動作を停止するように制御する。つまり、入出力制御部13の入出力動作の状態は、停止状態となる。
【0031】
活線抜去時(t5)には、ユーザはLED15が点灯していることを確認した後、制御システム100からプロセス入出力装置50を活線抜去することになる。その際、入出力動作は停止状態になっているので、プロセス入出力装置50は、安全に活線抜去できる。
【0032】
次に、活線挿抜装置1による活線挿入時の処理フロー例について、
図3を用いて説明する(適宜、
図1,2参照)。
ステップS301では、活線挿抜装置1は、活線挿抜用切替部11がONの状態で活線挿入され、電源装置4から受電する(
図2の時間t1)。
【0033】
ステップS302では、活線挿抜装置1は、リセット部12が受電から所定時間までの間で出力するリセット部信号145により、リセット信号148をリセット状態に保持する。ただし、プロセス入出力装置50は、リセット状態では、入出力動作を実行しない(
図2の時間t1〜t2)。
【0034】
ステップS303では、活線挿抜装置1は、受電してから所定時間経過後に、リセット部12が出力信号レベルを変化し、活線挿抜信号147を活線挿抜不可状態に設定する(
図2の時間t2)。ただし、リセット状態はそのままである。
【0035】
ステップS304では、活線挿抜装置1は、活線挿抜用切替部11が操作されて、OFFの状態に変わると、リセット信号148をリセット解除状態に変更する(
図2の時間t3)。ただし、活線挿抜不可状態はそのままである。
【0036】
ステップS305では、入出力制御部13は、リセット解除状態かつ活線挿抜不可状態であると判定し、入出力動作を実行する。なお、ユーザは、プロセス入出力装置50が正常に入出力動作を実行していることを制御システム100のモニタ等で確認する。
【0037】
次に、活線挿抜装置1による活線抜去時の処理フロー例について、
図4を用いて説明する(適宜、
図1,2参照)。
ステップS401では、活線挿抜装置1は、活線挿抜用切替部11がユーザの操作を受け付けてONの状態に変わると、活線挿抜信号147を活線挿抜可能状態に設定する(
図2の時間t4)。ただし、リセット解除状態はそのままである。
【0038】
ステップS402では、活線挿抜装置1は、活線挿抜信号147が活線挿抜可能状態になった場合、LED信号151をLowレベルに変化させ、LED15を点灯する。そして、入出力制御部13は、入出力動作を停止する。なお、ユーザは、LED15が点灯していることを確認して、活線抜去を実行する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態における活線挿抜装置1は、制御システム100においてプロセス入出力装置50を脱着する際に、情報の入出力動作を実行または停止する制御を行う。具体的には、活線挿抜装置1は、ユーザの操作を受け付けて切替部信号142の信号レベルを切替える活線挿抜用切替部11と、活線挿入後所定時間経過するとリセット部信号145の信号レベルを切替えるリセット部12と、切替部信号142の信号レベルおよびリセット部信号145の信号レベルを取得して演算し、活線挿抜信号147およびリセット信号148を出力する演算部14と、活線挿抜信号147およびリセット信号148それぞれの信号レベルの組合わせに基づいて、情報の入出力動作の実行または停止を制御する入出力制御部13と、を備える。そして、活線挿抜装置1は、活線挿抜信号147の信号レベルが活線挿抜不可の状態を示し、かつリセット信号148の信号レベルが入出力動作を実行する状態を示すリセット解除状態である場合、入出力動作を実行するように制御する。また、活線挿抜装置1は、リセット信号148の信号レベルが入出力動作の停止状態を示すリセット状態である場合、または、活線挿抜信号147の信号レベルが活線挿抜可能の状態を示す場合、入出力動作を停止するように制御する。また、活線挿抜装置1は、プロセス入出力装置50内で電源異常が検出された場合、電源装置4からの電力供給を遮断する。そのため、活線挿抜装置1は、安全に活線挿抜することができる。
【0040】
また、
図2の時間t4において、活線挿抜用切替部11がON状態にされて、活線挿抜信号147の信号レベルが活線挿抜可能状態となったときに、電源監視部20が遮断スイッチ22を遮断状態にしても良い。このようにすることによって、電源装置4からの電力供給を遮断し、より安全に活線抜去することができる。