(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5731999
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20150521BHJP
G01C 21/28 20060101ALI20150521BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20150521BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20150521BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G01C21/28
G08G1/005
G09B29/10 A
G09B29/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-65991(P2012-65991)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-195377(P2013-195377A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 巧
【審査官】
島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−165693(JP,A)
【文献】
特開平09−319991(JP,A)
【文献】
特開2007−205948(JP,A)
【文献】
特開2000−097722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G01C 21/28
G08G 1/005
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地点までの経路を提示する経路案内提示部と、
ユーザの現在位置を推定する現在位置推定部と、
前記現在位置を含む所定領域内に、ランドマークが存在するか否かを判定するランドマーク検出部と、
前記所定領域内に前記ランドマークが存在する場合には、前記ユーザが前記ランドマークを確認できているかどうかを判断するための質問を提示する質問提示部と、
前記ユーザが前記質問を提示してから第1の経過時間を過ぎても、前記質問に対して、前記ランドマークを確認できていることを示す回答を返さない場合には、前記ユーザが前記経路から外れている可能性があることを通知するメッセージ通知部と、を備え、
前記ランドマークを確認できていることを示す回答が、前記質問を提示してから第2の経過時間経過後かつ前記第1の経過時間経過前に返ってきた場合には、
前記現在位置推定部は、前記現在位置を推定する際の移動距離を変更する、ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記メッセージ通知部は、
前記ユーザが一定時間内に前記質問に対して、前記ランドマークを確認できていることを示す回答を返さない場合には、前記ユーザが確認できる他のランドマークの入力を促すメッセージを提示し、
前記現在位置推定部は、
前記ユーザが入力した他のランドマークに基づいて、前記ユーザの現在位置を再度推定し、
前記経路案内提示部は、
再度推定された現在位置から前記目的地点までの経路を提示する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
経路案内提示部が、目的地点までの経路を提示する工程と、
現在位置推定部が、ユーザの現在位置を推定する工程と、
ランドマーク検出部が、前記現在位置を含む所定領域内に、ランドマークが存在するか否かを判定する工程と、
質問提示部が、前記所定領域内に前記ランドマークが存在する場合には、前記ユーザが前記ランドマークを確認できているかどうかを判断するための質問を提示する工程と、
メッセージ通知部が、前記ユーザが前記質問を提示してから第1の経過時間を過ぎても、前記質問に対して、前記ランドマークを確認できていることを示す回答を返さない場合には、前記ユーザが前記経路から外れている可能性があることを通知する工程と、を含み、
前記ランドマークを確認できていることを示す回答が、前記質問を提示してから第2の経過時間経過後かつ前記第1の経過時間経過前に返ってきた場合には、
前記現在位置を推定する工程において、前記現在位置推定部が、前記現在位置を推定する際の移動距離を変更する、ナビゲーション方法。
【請求項4】
コンピュータを、
目的地点までの経路を提示する経路案内提示部と、
ユーザの現在位置を推定する現在位置推定部と、
前記現在位置を含む所定領域内に、ランドマークが存在するか否かを判定するランドマーク検出部と、
前記所定領域内に前記ランドマークが存在する場合には、前記ユーザが前記ランドマークを確認できているかどうかを判断するための質問を提示する質問提示部と、
前記ユーザが前記質問を提示してから第1の経過時間を過ぎても、前記質問に対して、前記ランドマークを確認できていることを示す回答を返さない場合には、前記ユーザが前記経路から外れている可能性があることを通知するメッセージ通知部と、して機能させ、
前記ランドマークを確認できていることを示す回答が、前記質問を提示してから第2の経過時間経過後かつ前記第1の経過時間経過前に返ってきた場合には、
前記現在位置推定部は、前記現在位置を推定する際の移動距離を変更する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS受信機を搭載した携帯端末を用いたナビゲーションシステムが急激に普及している。このようなナビゲーションシステムは、屋外の経路案内のみならず、地下や屋内などの経路案内も行うようになっている。しかし、地下や屋内などでは、GPSからの測位情報を受信しにくい場合が多く、このような場所では、例えば歩数計を用いて現在位置を推定している。
【0003】
例えば特許文献1には、GPS位置情報の精度が低下していると判断した場合、現在位置をユーザに確認させるための質問を作成して提示し、提示された質問に対するユーザの回答に基づいて、現在位置を推定し直す経路案内装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−340689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された装置では、ユーザの回答結果から現在位置を推定しているため、ユーザが質問に回答しない場合には現在位置の推定が行えず、仮にユーザが誤った経路を進んでいても、ユーザにそのことを通知することができなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、正確な現在位置推定が困難な場所における経路案内において、ユーザが誤った経路を進むことを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るナビゲーション装置は、目的地点までの経路を提示する経路案内提示部と、ユーザの現在位置を推定する現在位置推定部と、前記現在位置を含む所定領域内に、ランドマークが存在するか否かを判定するランドマーク検出部と、前記所定領域内に前記ランドマークが存在する場合には、前記ユーザが前記ランドマークを確認できているかどうかを判断するための質問を提示する質問提示部と、前記ユーザが前記質問を提示してから第1の経過時間を過ぎても、前記ランドマークを確認できていることを示す回答を返さない場合には、前記ユーザが前記経路から外れている可能性があることを通知するメッセージ通知部と、を備える。
【0008】
また、前記メッセージ通知部は、前記ユーザが一定時間内に前記質問に対して、前記ランドマークを確認できていることを示す回答を返さない場合には、前記ユーザが確認できる他のランドマークの入力を促すメッセージを提示し、前記現在位置推定部は、前記ユーザが入力した他のランドマークに基づいて、前記ユーザの現在位置を再度推定し、前記経路案内提示部は、再度推定された現在位置から前記目的地点までの経路を提示するようにしてもよい。
【0009】
また、前記ランドマークを確認できていることを示す回答が、前記質問を提示してから第2の経過時間経過後かつ前記第1の経過時間経過前に返ってきた場合には、前記現在位置推定部は、前記現在位置を推定する際の移動距離を変更するようにしてもよい。
【0010】
本発明に係るナビゲーション方法は、目的地点までの経路を提示する工程と、ユーザの現在位置を推定する工程と、前記現在位置を含む所定領域内に、ランドマークが存在するか否かを判定する工程と、前記所定領域内に前記ランドマークが存在する場合には、前記ユーザが前記ランドマークを確認できているかどうかを判断するための質問を提示する工程と、前記ユーザが前記質問を提示してから第1の経過時間を過ぎても、前記ランドマークを確認できていることを示す回答を返さない場合には、前記ユーザが前記経路から外れている可能性があることを通知する工程と、を含む。
【0011】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、目的地点までの経路を提示する経路案内提示部と、ユーザの現在位置を推定する現在位置推定部と、前記現在位置を含む所定領域内に、ランドマークが存在するか否かを判定するランドマーク検出部と、前記所定領域内に前記ランドマークが存在する場合には、前記ユーザが前記ランドマークを確認できているかどうかを判断するための質問を提示する質問提示部と、前記ユーザが前記質問を提示してから第1の経過時間を過ぎても、前記質問に対して、前記ランドマークを確認できていることを示す回答を返さない場合には、前記ユーザが前記経路から外れている可能性があることを通知するメッセージ通知部と、して機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、正確な現在位置推定が困難な場所における経路案内において、ユーザが誤った経路を進むことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態による、ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【
図2】本発明の実施の形態による、ナビゲーション装置の動作のフローチャート。
【
図3】本発明の実施の形態による、経路案内中に表示される画面の例を示す図。
【
図4】本発明の実施の形態による、経路案内中に表示される質問の例を示す図。
【
図5】ユーザが探索された経路から外れている状況を説明する図。
【
図6】ユーザの歩幅が歩数計の設定とずれている状況を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態によるナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、携帯電話機、携帯情報端末、携帯型ナビゲーション装置、ノートパソコン、その他の携帯可能な端末装置である。なお、ナビゲーション装置1は、ナビゲーションの専用端末でもよい。
【0015】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、制御装置11、入力装置12、表示装置13を備える。制御装置11は、ハードウェアとして、CPU、ROMやRAM等のメモリ、各種の情報を格納する外部記憶装置、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバス等を備えている。制御装置11は、機能的には、経路案内提示部111、現在位置推定部112、ランドマーク検出部113、質問提示部114、メッセージ通知部115、地図データ記憶部116を備える。経路案内提示部111、現在位置推定部112、ランドマーク検出部113、質問提示部114、メッセージ通知部115は、CPUがROM等に格納された所定のプログラムを実行することにより実現される機能のモジュールに相当する。地図データ記憶部116は、外部記憶装置により実装される。
【0016】
経路案内提示部111は、入力された経路探索条件に従い、地図データ等を参照して、出発地から目的地までの最適経路を探索し、探索された経路に基づいて、表示装置13に出発地点から目的地点までの経路を表示する。このとき、出発地点のノードから目的地点のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるリンクをたどって案内経路とすることによって、最適経路を探索することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法やダイクストラ法などの周知の手法を利用することができる。「最適な」経路とは、出発地点から目的地点までのコスト情報が最小であることをいう。リンクのコスト情報は、距離、所要時間、料金、その他のパラメータ、及び各種パラメータを任意に組み合わせたもの等、目的に応じて設定可能である。
【0017】
現在位置推定部112は、現在位置を検出する位置検出手段としての機能を備える。現在位置推定部112は、GPS受信機によりGPS衛星信号を受信し、ナビゲーション装置1の現在位置(緯度及び経度)を測位する。また、現在位置推定部112は、ジャイロセンサ、地磁気センサなどを備えることにより自律航法によってナビゲーション装置1の現在位置を測位することもできる。これにより、GPS受信機がGPS衛星信号から測位できない場合にも現在位置を測位することができる。
【0018】
また、現在位置推定部112は、屋内や地下などでは、近くに設置されているアクセスポイントと通信し、アクセスポイントの位置情報によって現在位置を検知することができる。また、屋内に設置されたRFID等の情報発信装置の信号を受信して屋内の現在位置を検知してもよい。現在位置推定部112は、屋内や地下などでこれらの方法によって測位情報を取得しにくい場合には、歩数計の値に基づいて現在位置を推定する。
【0019】
ランドマーク検出部113は、現在位置を含む所定領域内に、ランドマークが存在するか否かを判定する。ランドマークは、店舗やビル、交差点など経路上で目印になるものであり、ランドマーク検出部113は、地図データ記憶部116に記憶された地図データを利用して、現在位置からの所定領域内(例えば、半径10m以内)に存在するランドマークを検出する。なお、地図データに含まれる構造物の中からランドマークとして取り扱うものを予め登録しておくようにしてもよい。
【0020】
質問提示部114は、現在位置を含む所定領域内にランドマークが存在する場合に、ユーザがそのランドマークを確認できているかどうかを判断するための質問を提示する。例えば、所定領域内にランドマークとして「○○商店」が存在する場合には、「○○商店は見えますか?」のように、ユーザがランドマークを確認できているかどうかを尋ねる質問を表示装置13に表示する。具体的には、表示装置13に質問内容とともに「はい」、「いいえ」を選択するタッチパネル等を表示する。また、表示装置13に、質問とともにランドマークとなる施設の外観の写真等をあわせて表示し、ユーザが確認しやすいようにしてもよい。
【0021】
メッセージ通知部115は、質問提示部114が提示した質問に対して、ユーザが一定時間内にランドマークを確認できていることを示す回答を返さない場合には、ユーザが探索した経路から外れている可能性があることを通知する。すなわち、ユーザが質問に対してランドマークを確認できていないことを示す回答(「いいえ」)を選択するか、あるいは回答をしない場合には、表示装置13に「道が間違っていませんか?」のような、経路から外れていることを示唆するメッセージを表示する。
【0022】
地図データ記憶部116には、屋外及び屋内の地図データ、道路ネットワークデータ等が記憶されている。地図データは、ベクタ方式やラスタ方式等で構成される地図データである。道路ネットワークデータは、道路の交差点、屈曲点、端点などをノードとし、各ノード間を結ぶ経路をリンクとし、ノードデータ(ノードの緯度及び経度)と、リンクデータ(リンク番号)と、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)に関するリンクコストデータとを含むデータベースとして構成される。なお、地図データや道路ネットワークデータは、通信ネットワーク上のデータベース等から取得するようにしてもよい。
【0023】
入力装置12は、ユーザによる操作及び入力のためのものであり、数字キーやアルファベットキー、その他の機能キー、選択キー、スクロールキーなどを操作して種々の入力操作を行うキーボードや、出力手段である表示装置13に表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択するタッチパネルとすることができる。
【0024】
表示装置13には、メニュー画面や探索された経路の他、利用者への質問内容やメッセージなどが表示される。利用者が経路案内を利用する場合、入力装置12を操作し、サービスメニュー画面や所定の入力画面を表示装置13に表示して、出発地や目的地などの経路探索条件を入力する。
【0025】
次に、ナビゲーション装置1の動作について説明する。
図2は、ナビゲーション装置1の動作のフローチャートである。ここでは、屋内や地下などで現在位置の取得が困難な場合における経路案内時の動作を想定している。なお、後述の各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる。一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。
【0026】
まず、ステップS11で、経路案内提示部111は、ユーザ操作によって出発地点と目的地点が設定されるまで待機する。出発地点と目的地点が設定されると、ステップS12に移行する。出発地点と目的地点は、ユーザが入力装置12を介して地図上の地点を指定したり、施設名、住所等を入力したりすることにより設定することができる。また、出発地点として現在位置が選択されると、現在位置推定部112が測位した現在位置が出発地点として設定される。
【0027】
ステップS12では、ステップS11で設定された出発地点から目的地点までの経路が探索される。このとき、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるリンクをたどって案内経路とすることによって、最適経路を探索することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法やダイクストラ法などの周知の手法を利用することができる。
【0028】
ステップS13では、経路案内提示部111が、ステップS12で探索された経路に基づいて、表示装置13に出発地点から目的地点までの経路を地図データと共に表示する。また、ルート上に、ナビゲーション装置1の現在位置を表すカーソル等を表示する。
【0029】
次に、ステップS14において、現在位置推定部112は、GPS測位情報が精度よく取得できるか否かを判定する。GPS測位情報が精度よく取得できる場合には(YES)、ステップS15へ移行し、GPS測位情報に基づく通常の経路案内を行う。屋内や地下などで、GPS測位情報等の取得が困難な場合には(NO)、ステップS16へ移行し、歩数計の値に基づいてナビゲーション装置1の現在位置を推定する。例えば、現在位置推定部112において、1歩あたり50cmとして、歩数計で計測されたユーザの歩数を掛けることにより移動距離を算出する。さらに、ユーザが探索された経路に沿って移動していると仮定して、算出した移動距離に基づいて現在の位置を推定する。
【0030】
ステップS17において、ランドマーク検出部113は、ステップS15で推定した現在位置を含む所定領域内に、ランドマークが存在するか否かを判定する。
図3は、経路案内中に表示装置13に表示される画面の例を示す図である。カーソルCが、推定された現在位置を表している。
図3に示すように、経路R上、現在位置から見て左前方にランドマークとして登録されている「××ビル」がある。実際の距離では「××ビル」は現在位置から約7mの位置にある。所定領域が現在位置から半径10m以内に設定されている場合、ランドマーク検出部113は、「××ビル」をランドマークとして検出し、ステップS18に進む。
【0031】
ステップS18において、質問提示部114は、ユーザがランドマークを確認できているかどうかを判断するための質問を提示する。例えば、
図4に示すように、「××ビルは見えますか?」というメッセージを表示装置13に表示し、ユーザが回答を入力するためのタッチパネル「はい」、「いいえ」も表示する。また、メッセージは「いま××ビルの前にいますか?」のようなものであってもよい。
【0032】
次に、ステップS19において、メッセージ通知部115は、ステップS18で提示した質問に対するユーザからの回答入力の有無を判定し、回答が入力された場合には(YES)ステップS20へ進み、回答が入力されていない場合には(NO)ステップS23へ進む。
【0033】
ステップS23では、メッセージ通知部115は、ステップS18で質問を提示してから第1の経過時間(例えば3分)が経過したか否かを判定し、経過している場合にはステップS24へ進む。
【0034】
ステップS24では、メッセージ通知部115は、ユーザが探索した経路から外れている可能性があることを知らせるメッセージを表示装置13に表示する。具体的には「道が間違っていませんか?」のような、経路から外れていることを示唆するメッセージを表示する。
【0035】
図5に示すように、ユーザUが探索結果の経路R1ではなく、誤った経路R2を進んでいる場合、推定される現在位置Cからは確認できるランドマークLをユーザUは確認することが出来ない。したがってこのような場合、ユーザUは質問に対して否定的な回答を選択するか、ランドマークLを探して一定時間(第1の経過時間)を経過しても回答できない状況になると考えられる。このような状況で、「道が間違っていませんか?」というメッセージを提示することにより、ユーザは道の間違いに早く気付き、正しい経路上に戻ることができる。
【0036】
ステップS20では、メッセージ通知部115は、入力された回答が、ユーザがランドマークを確認できていることを示す回答(肯定回答:「はい」)であるか否かを判定する。肯定回答である場合には(YES)、ステップS21へ移行する。一方、否定回答である場合(「いいえ」)には、ステップS24へ移行する。
【0037】
ステップS21では、メッセージ通知部115は、ステップS18で質問を提示してから、第1の経過時間よりも短い第2の経過時間(例えば1分)が経過しているか否かを判定し、経過している場合にはステップS22へ進む。
【0038】
ステップS22では、現在位置推定部112が現在位置を推定する際の歩幅の設定を短く補正する。例えば、1歩当たり例えば50cmだったものを30cmに補正する。
【0039】
図6に示すように、ユーザUは正しい経路R1を進んでいても、1歩の幅が歩数計の設定よりも短いために、推定される現在位置Cまで到達していない状況も発生しうる。この場合には、ユーザからの回答が質問の提示直後ではなく、少し遅れて返ってくると考えられる。したがって、肯定回答が第2の経過時間を経過してから返ってきた場合には、現在位置推定部112が現在位置を推定する際の歩幅の設定を短くするようにしてもよい。ステップS22で歩幅を補正したら、ステップS14へ移行する。
【0040】
ステップS21で、質問を提示してから第2の経過時間が経過していないと判断した場合には、ステップS14へ移行し、引き続き経路案内を続行する。
【0041】
なお、例えば「いま××ビルの前にいますか?」のような質問に対して肯定回答が第1の経過時間内に入力された場合には、現在位置推定部112が現在位置を補正し、経路上の「××ビル」の前に、現在位置を示すカーソルを移動するようにしてもよい。なお、現在位置の補正は、ユーザが手動操作によって行うことも可能である。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、推定した現在位置を含む所定領域内にランドマークが存在する場合、ユーザがランドマークを確認できているかどうかを判断するための質問を提示し、ユーザが一定時間内にランドマークを確認できていることを示す回答を返さない場合には、経路から外れている可能性があることを通知するようにしたので、屋内や地下など正確な現在位置推定が困難な場所における経路案内において、ユーザが誤った経路を進むことを防止することができる。
【0043】
なお、質問を表示装置13に表示する代わりに、音声で出力するようにしてもよい。また、ユーザの回答方法もタッチパネル等を介した入力に限らず、例えば音声で入力するようにしてもよい。
【0044】
また、ユーザが一定時間内に肯定回答を返さない場合に、メッセージ通知部115は「何が見えていますか?」のようなメッセージを提示し、ユーザが確認できるランドマークを入力させるようにしてもよい。例えば
図5に示す状況であれば、ユーザは「△△屋」と入力すると考えられる。この入力結果に基づいて、現在位置推定部112がユーザの現在位置を再度推定しなおし、経路案内提示部111がその位置からの経路案内を行うようにしてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、1回の質問に対して一定時間内に肯定回答が返ってこない場合に、経路から外れていることを通知するようにしたが、質問に対して一定時間内に肯定回答が返ってこない状態が何度か続いたら、経路から外れていることを通知するようにしてもよい。
【0046】
また、本実施形態においてナビゲーション装置1が備える機能および記憶部の少なくとも一部を、通信ネットワークを介して接続されるサーバに備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 ナビゲーション装置、11 制御装置、12 入力装置、13 表示装置、111 経路案内提示部、112 現在位置推定部、113 ランドマーク検出部、114 質問提示部、115 メッセージ通知部、116 地図データ記憶部