【課題を解決するための手段】
【0031】
驚くべきことに、インスリンとGLP−1アゴニストとの組み合わせが、インスリン又はGLP−1アゴニストの単独での使用と比較して、食後期及び吸収後期(postprandial
and postabsorptive phases)における血中グルコースの調節において相乗効果を示すことが見出されている:
・ 空腹時及び食後のグルコースレベルに対する補完的な活性の組み合わせ(これらは互いに補完する)に基づくより高い活性(実施例2及び3)。この組み合わせは、単独のGLP−1アゴニストと同様に食後グルコース濃度の低下(すなわち改善された耐糖能)を示し、そしてさらにインスリンと同様のグルコースの吸収後の低下を示す(実施例9)。・ 低血糖リスクの低減(実施例2〜4)。
・ 血中グルコース濃度の正常血糖レベルへの改善された適応(実施例8)。
・ 改善された耐糖能及び吸収後グルコース濃度の低下(実施例9)。
・ グルコース濃度に対するこの組み合わせの相乗的活性が、GLP−1アゴニスト濃度範囲で一桁の大きさで(10倍)観察される。(実施例4及び2と比較した実施例6)。比較的小さなGLP−1用量及び/又はGLP−1に対するインスリンの比較的大きな比率の場合のみ、インスリンの活性が主となる。
・ β細胞の機能を維持する(実施例10)。
・ 減量/体重増加の低減。
・ 全ての実施例は、GLP−1アゴニストとインスリンとが有害な相互作用を示さないことを示している。
・ 空腹時、食後及び吸収後の血中グルコース濃度に対する活性の結果として、組み合わせの投与回数を1日1回まで減らすことが可能となる。
【0032】
本発明は、少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含む薬剤を提供し、本薬剤は、インスリン及びGLP−1アゴニストをそれぞれ所定の量で含み、かつ患者の個別の要件に適合する用量で投与することができるように製剤化及び/又は調合されている。
【0033】
本発明の薬剤は特に糖尿病患者、より詳細には1型又は2型糖尿病患者を処置するために使用される。
【0034】
本発明の薬剤は、糖尿病、より詳細には1型又は2型糖尿病の患者の場合に血中グルコース濃度を正常血糖レベルまでより効果的に適合させることを可能にする。
【0035】
本薬剤は、好ましくは糖尿病患者、より詳細には1型又は2型糖尿病患者の空腹時、食後及び/又は吸収後の血中グルコース濃度を調節するために使用される。より好ましくは、本発明の薬剤は、糖尿病患者、より詳細には1型又は2型糖尿病患者の食後及び/又は吸収後の血中グルコース濃度を調節するために使用される。この文脈における調節は、正常血糖の血中グルコース濃度が実質的に達成されるか、又は少なくともそれに近い値が得られることを意味する。正常血糖レベルは、より詳細には正常範囲(変動幅60〜140mg/dl、3.3〜7.8mmol/lに相当する)の血中グルコース濃度を意味する。この変動の範囲は、空腹条件、食後条件及び吸収後条件下での血中グルコース濃度を包含する。
【0036】
食後及び吸収後は、糖尿病学分野の当業者にはよく知られた用語である。本明細書で使用される食後は、より詳細には食事の後及び/又は実験における糖負荷の後の段階を指す。この段階は、より詳細には、健康な個体において血液中のグルコース濃度の増加及び降下を特徴とする。吸収後、又は吸収後期は、本明細書において、より詳細には食後期に続く段階を指すために使用される。食後期は、典型的には食事及び/又はグルコース負荷の4時間後までに終了する。吸収後期は、典型的には8〜16時間まで続く。
【0037】
本発明の薬剤はまた、好ましくは糖尿病患者、より詳細には1型又は2型糖尿病患者の処置において耐糖能を改善するために使用される。耐糖能を改善することは、本発明の薬剤が食後血中グルコース濃度を低下させることを意味する。耐糖能を改善することはまた、本発明の薬剤が吸収後血中グルコース濃度を低下させることを意味するとも解釈される。低下させることとは、より詳細には、血中グルコース濃度が実質的に正常血糖値に達するか又は少なくともそれに近づくことを意味する。
【0038】
本発明の薬剤は、例えば吸収後期で起こり得る低血糖のリスクを低下させることができる。本発明の薬剤は、好ましくは糖尿病、より詳細には1型又は2型糖尿病の患者の処置において低血糖を予防するために使用され、より詳細には低血糖は吸収後期において起こり得る。
【0039】
本発明の薬剤は、膵臓β細胞の機能を維持し得る。本発明の薬剤は、糖尿病、より詳細には1型又は2型糖尿病の患者において膵臓β細胞の機能の喪失を予防するために好ましく使用される。β細胞の機能の喪失は、より詳細にはアポトーシスにより引き起こされ得る。
【0040】
さらに、本発明の薬剤は、糖尿病、より詳細にはI型又はII型糖尿病の患者において減量をもたらし得、かつ/又は体重増加を予防し得る。糖尿病患者、特に2型糖尿病患者において、体重増加及び過剰な体重は頻繁に起こる問題である。従って、本発明の薬剤を投与することは、過剰体重の処置のための治療を支持し得る。
【0041】
当然のことながら、本発明の薬剤は、糖尿病、より詳細には1型又は2型糖尿病の患者において、本明細書で記載される好ましい適応症の1つより多くを処置するために使用することができる。従って本発明は、個々の好ましい適応症だけでなく適応症の任意の組み合わせも包含する。従って本発明の薬剤は、糖尿病、より詳細には1型又は2型糖尿病の患者において、例えば空腹時、食後及び/若しくは吸収後の血中グルコース濃度を調節する目的のため、耐糖能を改善するため、低血糖を予防するため、膵臓β細胞の機能の喪失を予防するため、減量のため、並びに/又は体重増加を予防するために、本明細書に記載される適応症の1つ又はそれ以上を処置するために使用することができる。空腹時、食後及び/若しくは吸収後の血中グルコース濃度の調節、耐糖能の改善、並びに/又は低血糖の予防が好ましい。
【0042】
本発明の薬剤はまた、例えば空腹時、食後及び/若しくは吸収後の血中グルコース濃度を調節するため、耐糖能を改善するため、低血糖を予防するため、膵臓β細胞の機能の喪失を予防するため、減量のため、並びに/又は体重増加を予防するためのような、本明細書に記載される適応症の1つ又はそれ以上を処置するための医薬品を製造するために使用することができる。
【0043】
少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストはまた、例えば空腹時、食後及び/若しくは吸収後の血中グルコース濃度を調節するため、耐糖能を改善するため、低血糖を予防するため、膵臓β細胞の機能の喪失を予防するため、減量のた
め、並びに/又は体重増加を予防するためのような、本明細書に記載される適応症の1つ又はそれ以上を処置するための医薬品を製造するためにも使用され得る。
【0044】
少なくとも1つのGLP−1アゴニスト及び少なくとも1つのインスリンは、1つの医薬組成物で一緒に提供されてもよい。この場合、第一及び第二の組成物、ならびに場合により少なくとも1つのさらなる医薬組成物が提供され、それぞれがインスリン及びGLP−1アゴニストを含む。従って本発明は、それぞれが少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含み、そして組成物の総質量に対して異なる質量分率で少なくとも1つのインスリン及び/又は少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含有する、第一の医薬組成物及び第二の医薬組成物、並びに場合により少なくとも1つのさらなる医薬組成物を含む薬剤を提供する。
【0045】
本明細書において、「場合により少なくとも1つのさらなる医薬組成物」は、本発明の薬剤が、第一及び第二の医薬組成物に加えて、少なくとも1つのさらなる医薬組成物を含み得るということを意味する。それ故、本発明の薬剤は、例えば3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の本発明の医薬組成物を含み得る。
【0046】
好ましい薬剤は、本発明の第一及び第二の医薬組成物を含む薬剤である。
【0047】
本発明の第一、第二及び第三の医薬組成物を含む薬剤も同様に好ましい。
【0048】
本発明の第一、第二、第三及び第四の医薬組成物を含む薬剤も同様に好ましい。
【0049】
第一、第二、第三、第四、及び第五の医薬組成物を含む薬剤も同様に好ましい。
【0050】
少なくとも1つのインスリンの質量分率及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストの質量分率は、質量分率に基づいて医薬組成物がGLP−1アゴニストに対して異なる比率のインスリンを含むように、第一の医薬組成物、第二の医薬組成物、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる医薬組成物において選択され得る。
【0051】
この場合、第一の組成物は最小比率を含有し得、そして第二の組成物は次に大きい比率を含有し得る。少なくとも1つのさらなる組成物が存在する場合、それは次に大きな比率を含有し得る。その上さらなる組成物が存在する場合、それが今度は次に大きな比率を含有し得る。従って組成物は、質量分率に基づいて、第一の組成物から第二の組成物へと、そして使用された場合はさらなる組成物へと増加する、GLP−1アゴニストに対するインスリンの比率を含有し得る。
【0052】
第一の医薬組成物、第二の医薬組成物、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる医薬組成物中の、2つの活性化合物、すなわち少なくとも1つのインスリン又は少なくとも1つのGLP−1アゴニストのうち一方の質量分率は、好ましくはこの活性化合物の所定の用量が、規定された体積の第一、第二及び/又は少なくとも1つのさらなる組成物を投与することにより投与され得るようにそれぞれの場合において選択される。この活性化合物が少なくとも1つのインスリンであることが特に好ましい。
【0053】
第一の医薬組成物、第二の医薬組成物、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる医薬組成物中の、2つの活性化合物、すなわち少なくとも1つのインスリン又は少なくとも1つのGLP−1アゴニストのうち他方の質量分率は、好ましくは、質量分率に基づいてGLP−1アゴニストに対するインスリンの比率が、第一の組成物から第二の組成物、そして使用される場合はさらなる組成物へと増加するように選択される。この活性化合物が少なくとも1つのGLP−1アゴニストであることが特に好ましい。
【0054】
さらに、医薬組成物中の2つの活性化合物のうち他方の質量分率は、医薬組成物の一方が、投与しようとする2つの活性化合物の第一のものの用量及び投与しようとする第二の活性化合物の用量が規定された体積で与えられるように選択され得るように決定される。それ故、所望の比率を含有する医薬組成物が選択される。
【0055】
理論的には、全ての患者のために両方の活性化合物について要件に合わせた最適の投薬量を得るために、少なくとも1つのGLP−1アゴニストに対する少なくとも1つのインスリンのそれぞれ個々の治療的に望ましい質量分率の比率の医薬組成物を提供することは可能だろう。
【0056】
本発明において、特定の数の医薬組成物は、2つの活性化合物について実際に必要とされる投薬量を網羅するために十分である。各患者について、規定された投薬量範囲は、2つの活性化合物のそれぞれについて治療上合理的な間隔内で規定される。これにより、投与しようとする用量は過量投与も過少量投与もなく、特定の患者について本質的にこの投薬範囲内で変動するべきである。
【0057】
驚くべきことに、血漿中のグルコース濃度に対する少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストの組み合わせの相乗効果がGLP−1アゴニストの1桁の大きさ(10倍)の濃度範囲で起こるということが見出されている。個々の患者に適合されて正確に投薬されなければならないのは主にインスリンの量であるので、GLP−1アゴニストの相乗的濃度範囲により、少なくとも1つのGLP−1アゴニストに対して規定された比率の少なくとも1つのインスリンを含有する本発明の医薬組成物が、関連した相乗作用量のGLP−1アゴニストと同時に治療範囲のインスリン用量を網羅することが可能となる。この比率は、全ての所望のインスリン用量がその対応する用量の少なくとも1つのGLP−1アゴニストを有するように選択することができ、これは所望の範囲、例えば相乗作用範囲内にある。上で先に述べたように、本薬剤の第一、第二、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる組成物の比率はまた、これらの比率が第一の組成物から第二の組成物、そして使用される場合は少なくとも1つのさらなる組成物へと増加するように選択され得る。組成物の(例えば第一の組成物の)所望のインスリン用量でGLP−1アゴニストの用量がGLP−1アゴニストの所望の投薬量範囲外(一般的には上方)である場合、少なくとも1つのGLP−1アゴニストに対してより高い比率の少なくとも1つのインスリンを含む次の組成物(例えば第二の組成物)又はさらなる組成物が使用のために選択され、ここで所望のインスリン用量におけるGLP−1アゴニストの量は所望の範囲内にある。本薬剤の第一、第二及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる組成物の比率は、少なくとも1つのGLP−1アゴニストの所望の投薬量に対応するインスリン投薬量範囲が互いに境界を接するか、かつ/又は互いに重なるようにさらに選択され得る。好ましくはこれらの範囲は重なる。重なるとは、より詳細には少なくとも1つのインスリンの所望の用量において、それぞれが所望の投薬量範囲内にある量の少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含有する少なくとも2つの組成物を選択することが可能であるということを意味する。
【0058】
例えば、3つの組成物は、個々の患者について少なくとも1つのインスリンの用量を15〜80単位のインスリンの範囲から選択されるレベルに調節し、かつ同時に10〜20μgの範囲内の量でGLP−1アゴニストを投薬するために十分である(実施例11を参照のこと)。
【0059】
GLP−1アゴニストのそれぞれ所望の投薬量について、所望の範囲、例えば相乗作用範囲内にある少なくとも1つのインスリンの対応する投薬量が存在するように、これらの比率が選択される本発明の薬剤を提供することも可能である。本薬剤の第一、第二及び使
用される場合は少なくとも1つのさらなる組成物の比率はまた、少なくとも1つのインスリンの所望の投薬量に対応するGLP−1アゴニストの投薬量の範囲が互いに境界を接するか、かつ/又は互いに重なるように選択され得る。好ましくはこれらの範囲は重なる。この文脈における重なるとは、より詳細には、少なくとも1つのGLP−1アゴニストの所望の投薬量において、それぞれが所望の投薬量範囲内にある量の少なくとも1つのインスリンを含有する少なくとも2つの組成物を選択することが可能であるということを意味する。
【0060】
好ましくは、本発明の薬剤は、上で定義される医薬組成物を多くとも10まで、より好ましくは多くとも5まで、4まで、3まで、又は2つの医薬組成物を含む。
【0061】
本発明の組成物は、同一であるか又は異なる質量分率で少なくとも1つのインスリンを含有し得る。例えば、本発明の組成物の少なくとも2つは、少なくとも1つのインスリンを実質的に同一の質量分率で含有し得る。
【0062】
第一、第二、及び使用される場合はさらなる組成物が、少なくとも1つのインスリンを実質的に同一の質量分率で、そして少なくとも1つのGLP−1アゴニストを異なる質量分率で含有することが好ましい。
【0063】
本発明の組成物は、少なくとも1つのGLP−1アゴニストを同一であるか又は異なる質量分率で含有し得る。例えば、本発明の組成物のうち少なくとも2つは、少なくとも1つのGLP−1アゴニストを実質的に同一の質量分率で含有し得る。
【0064】
第一、第二、及び使用される場合はさらなる組成物が、少なくとも1つのGLP−1アゴニストを実質的に同一の質量分率で、そして少なくとも1つのインスリンを異なる質量分率で含有することもまた好ましい。
【0065】
第一、第二、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる組成物に加えて、本発明の薬剤は、少なくとも1つのインスリン又は少なくとも1つのGLP−1アゴニストのいずれかを含有する少なくとも1つのさらなる医薬組成物を含み得る。本発明の薬剤はまた、本明細書に記載される第一、第二、又は使用される場合はさらなる医薬組成物のような質量分率の比率で少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含有する少なくとも1つのさらなる医薬組成物も含み得る。
【0066】
本発明はさらに、第一の医薬組成物及び第二の医薬組成物を含む薬剤を提供し、第一の医薬組成物は少なくとも1つのインスリンを含み、そして第二の医薬組成物は少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含み、本薬剤は、第一の医薬組成物及び第二の医薬組成物の独立した投与のために製剤化及び/又は調合されている。
【0067】
実施例12は、2つ又はそれ以上の組成物を組み合わせる場合に、両方の活性化合物をいずれかの所望の量でかつ互いに所望の比率で投与することができるように、どのようにして2つ又はそれ以上の活性化合物の組み合わせを製剤化することができるかを示す。これは、活性化合物のうち少なくとも1つが組み合わせの結果として(例えば投与直前の混合により)希釈されてはならないという事実を考慮する。
【0068】
本発明は、第一の活性化合物及び第二の活性化合物、並びに場合により少なくとも1つのさらなる活性化合物を含む薬剤を提供し、これらの活性化合物は、第一、第二、及び場合により少なくとも1つのさらなる組成物で提供される。第一の活性化合物は全ての組成物中に存在する。第二の活性化合物は第二の製剤中に存在し、そして少なくとも1つのさらなる活性化合物は、使用される場合、場合により少なくとも1つのさらなる組成物中に
存在する。それ故、第二の組成物及び各さらなる組成物は、別の活性化合物と組み合わせた第一の活性化合物を含む。
【0069】
従って、本発明はさらに、第一の医薬組成物及び第二の医薬組成物、並びに場合により少なくとも1つのさらなる医薬組成物を含む薬剤を提供し、第一の医薬組成物は少なくとも1つの第一の活性化合物を含み、そして第二の医薬組成物は少なくとも1つの第一の活性化合物及び少なくとも1つの第二の活性化合物を含み、そして少なくとも1つのさらなる医薬組成物は、少なくとも1つの第一の活性化合物及び少なくとも1つのさらなる活性化合物を含む。本明細書における活性化合物は、任意の所望の活性化合物であり得る。
【0070】
第一の組成物は、好ましくは活性化合物として少なくとも1つの第一の活性化合物のみを含む。
【0071】
第一、第二、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる組成物は、組成物の総質量に対して実質的に同一の質量分率又は異なる質量分率で第一の活性化合物を含み得る。
【0072】
第一の医薬組成物、第二の医薬組成物、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる医薬組成物が組成物の総質量に対して実質的に等しい質量分率で第一の活性化合物を含むことが好ましい。これは、いずれかの所望の比率の第一及び第二の組成物、並びに適切な場合はいずれかの所望の比率の第一及び少なくとも1つのさらなる組成物を使用することができることを確実にすることが可能であるということを意味し、第一の活性化合物の投薬は、投与される組成物の総量に従って行われる。2つの組成物の比率を介して、第二の組成物のみに、及び適切な場合は少なくとも1つのさらなる組成物に存在する活性化合物の量を無段階式に(steplessly)増加させることが可能である。従って、このようにして、第二の活性化合物に対するいずれかの所望の量及びいずれかの所望の比率の第一の化合物、並びに適切な場合は、さらなる活性化合物に対するいずれかの所望の量及びいずれかの所望の比率の第一の活性化合物を、第一の活性化合物の濃度を変更することなく投薬することが容易に可能である。
【0073】
第一の活性化合物は少なくとも1つのインスリンであり得る。第二の活性化合物は少なくとも1つのGLP−1アゴニストであり得る。第一の医薬組成物及び第二の医薬組成物、並びに場合により少なくとも1つのさらなる医薬組成物を含む薬剤であって、第一の医薬組成物が少なくとも1つのインスリンを含み、かつ第二の医薬組成物が少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含み、かつ少なくとも1つのさらなる医薬組成物が少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのさらなる活性化合物を含む、薬剤が好ましい。
【0074】
第一の組成物は、好ましくは活性化合物として少なくとも1つのインスリンのみを含む。
【0075】
さらなる活性化合物はいずれかの所望の活性化合物であり得る。より詳細には、さらなる活性化合物は、糖尿病(1型及び/又は2型)患者を処置するために使用される活性化合物であり、糖尿病に付随する障害を処置するための活性化合物も含まれる。
【0076】
第一、第二、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる組成物は、組成物の総質量に対して実質的に等しい質量分率又は異なる質量分率のインスリンを含み得る。
【0077】
第一の医薬組成物、第二の医薬組成物、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる医薬組成物が、組成物の総質量に対して実質的に等しい質量分率でインスリンを含むことが好ましい。これは、いずれかの所望の比率の第一及び第二の組成物、並びに適切な場
合はいずれかの所望の比率の第一及び少なくとも1つのさらなる組成物を使用することができることを確実にすることが可能であるということを意味し、インスリンの投薬は、投与される組成物の総量により行われる。2つの組成物の比率を介して、第二の組成物のみに、及び適切な場合は少なくとも1つのさらなる組成物に存在する活性化合物の量を無段階式に増加させることが可能である。従って、このようにして、GLP−1アゴニストに対するいずれかの所望の量及びいずれかの所望の比率のインスリン、並びに適切な場合は、さらなる活性化合物に対するいずれかの所望の量及びいずれかの所望の比率のインスリンを、少なくとも1つのインスリンの濃度を変更することなく投薬することが容易に可能である。
【0078】
本発明において、2つの組成物における活性化合物の「実質的に等しい質量分率」は、2つの組成物の一方が、他方の組成物におけるその質量分率よりも例えば、多くとも10%、多くとも5%、多くとも1%又は多くとも0.1%高い質量分率で活性化合物を含有することを意味する。
【0079】
第一の活性化合物はまた、少なくとも1つのGLP−1アゴニストであってもよい。第二の活性化合物は少なくとも1つのインスリンであってもよい。第一の医薬組成物及び第二の医薬組成物、並びに場合により少なくとも1つのさらなる医薬組成物を含む薬剤であって、第一の医薬組成物が少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含み、かつ第二の医薬組成物が少なくとも1つのGLP−1アゴニスト及び少なくとも1つのインスリンを含み、かつ少なくとも1つのさらなる医薬組成物が少なくとも1つのGLP−1アゴニスト及び少なくとも1つのさらなる活性化合物を含む、薬剤が好ましい。
【0080】
第一の組成物は、好ましくは活性化合物として少なくとも1つのGLP−1アゴニストのみを含む。
【0081】
第一、第二、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる組成物は、組成物の総質量に対して実質的に等しい質量分率または異なる質量分率でGLP−1アゴニストを含み得る。第一の医薬組成物、第二の医薬組成物、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる医薬組成物が、組成物の総質量に対して実質的に等しい質量分率で少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含むことが好ましい。
【0082】
従って本発明は、それぞれが1つの活性化合物(より詳細にはインスリン又はGLP−1アゴニスト)を含有する別個の組成物を含み、先行技術の組成物を超える多数の利点を示す薬剤を提供し、これら利点としては以下が挙げられる:
・ 第二の活性化合物に対する第一の活性化合物の比、及び適切な場合は少なくとも1つのさらなる活性化合物に対する第一の活性化合物の比を、使用者が自由に選択することができる。
・ 第一の活性化合物が全ての組成物中に、より詳細には等しい質量分率で存在するので、この活性化合物は第一の組成物が第二の組成物と、適切な場合はさらなる組成物と混合される場合に希釈されない。このことは、例えば薬物動態が濃度/希釈により影響を受ける場合にインスリンのような活性化合物に関して重要である。
・ 注射体積が低減される(実施例12を参照のこと)。それ故、第二の活性化合物(例えばGLP−1アゴニスト)の希釈、及び適切な場合はさらなる活性化合物の希釈が低減される。
【0083】
本発明はさらに、本発明の薬剤を含むキットを提供する。本発明のキットは、医療従事者による使用、又は専門家の医療訓練を行っていない人物、より詳細には患者自身又は血縁者のような助力者による使用を意図され得る。本発明のキットにおいて、本発明の薬剤を含む個別の医薬組成物が別個のパックにまとめられているので、患者は現在の要件に適
した組成物を選択することができ、そしてその要件に一致する量を投与することができる。本発明のキットは、例えば本発明の組成物を含む一組のシリンジ、ガラスアンプル及び/又はペン(pens)の形態で本発明の薬剤を含む。
【0084】
本発明の薬剤を投与することができる種々の方法が存在する。本薬剤は非経口投与してもよい。本薬剤は注射されてもよく、針を用いるか又は用いない注射システムの使用が見込まれる。さらに、本薬剤は吸入により投与されてもよい。この場合、液体組成物を吸入することが可能であり、又は組成物を粉末形態で吸入することができる。さらに、本発明の薬剤は、スプレー剤として、より詳細には鼻腔スプレー剤として投与されてもよい。さらに、本発明の薬剤は経皮システムにより投与されてもよい。当業者はこれらの投与方法を知っており、本発明の薬剤をこれらの投与方法の1つにより有効に投与することができるようなやり方で製剤化することができる。本発明の薬剤の組成物は好ましくは液体である。さらに、本発明の薬剤が非経口投与、より詳細には注射により投与されることが好ましい。
【0085】
本発明はさらに、本発明の薬剤を投与するためのデバイスを提供する。このデバイスは、本発明の薬剤に含まれる医薬組成物を別個の容器中に含み、そして医薬組成物が互いに独立して投薬されることを可能にする。本発明のデバイスは非経口投与用のデバイスであってもよい。本発明のデバイスは針を用いるか又は用いない注射用のデバイスであってもよい。さらに、本デバイスは吸入用のデバイスであってもよく、この場合には、液体組成物が吸入されるか、又は組成物が粉末の形態で吸入される。さらに、本デバイスはスプレー剤、より詳細には鼻腔スプレー剤を投与するためのデバイスであってもよい。さらに、本デバイスは経皮投与システムであってもよい。本発明のデバイスが非経口投与用のデバイス、より詳細には注射デバイスであることが好ましい。
【0086】
「調合すること」は、当業者に知られている用語であり、薬理学では、例えば最終使用者による使用のための薬剤の仕上げの処理、例えば分割及び包装することと特定される。本明細書において、「調合された」又は「調合すること」は、より詳細には、本発明の医薬組成物を適切なやり方で治療有効量で包装して、本発明の薬剤の組成物のうち少なくとも1つの本明細書に記載される選択を、少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストの所望の投薬のために可能にすることを意味する。より詳細には、非経口投与、好ましくは注射、より好ましくは皮下注射が意図される。適切な包装は、例えばシリンジ又は適切に密閉されるガラス容器であり、これらから、必要に応じて個々の治療上活性な用量を取り出すことができる。本発明の医薬組成物を含有する容器(例えばカートリッジ)を含む、インスリン投与のための注射ペン(injection pen)も適切である。
【0087】
「製剤化すること」又は「製剤化」は、当業者に知られている用語であり、そして薬理学の分野では、薬剤及び薬組成物の製造、並びに添加剤を用いたそれらの製造を指す。本明細書において、「製剤化すること」又は「製剤化」は、より詳細には、本発明の組成物が治療有効量の活性化合物の投与を可能にする適切な形態で提供されることを意味する。より詳細には、製剤化は非経口投与、好ましくは注射、より好ましくは皮下注射を意図される。
【0088】
本発明において、用語「GLP−1アゴニスト」には、GLP−1、その類似体及び誘導体、エキセンジン−3及びその類似体及び誘導体、並びにエキセンジン−4及びその類似体及び誘導体が含まれる。本発明の組成物は、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、GLP−1の類似体及び誘導体、エキセンジン−3、エキセンジン−3の類似体及び誘導体、エキセンジン−4、エキセンジン−4の類似体及び誘導体、並びにそれらの薬理学的に許容しうる塩からなる群から互いに独立して選択される1つ又はそれ以上のものを
含む。GLP−1の生物学的活性を示す物質も含まれる。
【0089】
GLP−1類似体及び誘導体はWO98/08871に記載されており、例えば;エキセンジン−3、エキセンジン−3の類似体及び誘導体、並びにエキセンジン−4及びエキセンジン−4の類似体及び誘導体はWO01/04156、WO98/30231、US5,424,286、EP出願第99610043.4号、WO2004/005342及びWO04/035623に見出され得る。これらの書類は参照により本明細書に含まれる。これらの書類に記載されるエキセンジン−3及びエキセンジン−4、並びにそこに記載されるそれらの類似体及び誘導体を、本発明の組成物においてGLP−1アゴニストとして使用することができる。これらの書類に記載されるエキセンジン−3及びエキセンジン−4、並びにそこに記載される類似体及び誘導体のいずれかの所望の組み合わせをGLP−1アゴニストとして使用することも可能である。少なくとも1つのGLP−1アゴニストは、好ましくはエキセンジン−4、エキセンジン−4の類似体及び誘導体、並びにそれらの薬理学的に許容しうる塩からなる群より独立して選択される。
【0090】
さらなる好ましいGLP−1アゴニストは:
H−desPro
36−エキセンジン−4−Lys
6−NH
2、
H−des(Pro
36,37)−エキセンジン−4−Lys
4−NH
2、
H−des(Pro
36,37)−エキセンジン−4−Lys
5−NH
2、及びそれらの薬理学的に許容しうる塩
からなる群より選択されるエキセンジン−4の類似体である。
【0091】
さらなる好ましいGLP−1アゴニストは:
desPro
36 [Asp
28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro
36 [IsoAsp
28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro
36 [Met(O)
14,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro
36 [Met(O)
14,IsoAsp
28]エキセンジン−4(1−39)、desPro
36 [Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−2(1−39)、
desPro
36 [Trp(O
2)
25,IsoAsp
28]エキセンジン−2(1−39)、
desPro
36 [Met(O)
14Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro
36 [Met(O)
14Trp(O
2)
25,IsoAsp
28]エキセンジン−4(1−39)及びそれらの薬理学的に許容しうる塩
からなる群より選択されるエキセンジン−4の類似体である。
【0092】
さらなる好ましいGLP−1アゴニストは、ペプチド−Lys
6−NH
2がエキセンジン−4類似体のC末端に結合されている、上の段落に記載される群より選択されるエキセンジン−4の類似体である。
【0093】
さらなる好ましいGLP−1アゴニストは:
H−(Lys)
6−des Pro
36[Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−Lys
6−NH
2
des Asp
28Pro
36,Pro
37,Pro
38エキセンジン−4(1−39)−NH
2、
H−(Lys)
6−des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2、
H−Asn−(Glu)
5 des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2、
des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−(
Lys)
6−NH
2、
H−(Lys)
6−des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)
6−NH
2、
H−Asn−(Glu)
5− des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)
6−NH
2、
H−(Lys)
6−des Pro
36[Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−Lys
6−NH
2、
H− des Asp
28 Pro
36,Pro
37,Pro
38[Trp(O
2)
25]エキセンジン−4(1−39)−NH
2、
H−(Lys)
6− des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2、
H−Asn−(Glu)
5−des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2、
des Pro
36,Pro
37,Pro
38 [Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)
6−NH
2、
H−(Lys)
6−des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)
6−NH
2、
H−Asn−(Glu)
5−des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)
6−NH
2、
H−(Lys)
6−des Pro
36[Met(O)
14,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−Lys
6−NH
2、
des Met(O)
14 Asp
28 Pro
36,Pro
37,Pro
38エキセンジン−4(1−39)−NH
2、
H−(Lys)
6−des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Met(O)
14,Asp
28
]エキセンジン−4(1−39)−NH
2、
H−Asn−(Glu)
5−des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Met(O)
14,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2、
des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Met(O)
14,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)
6−NH
2、
H−(Lys)
6−des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Met(O)
14,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−Lys
6−NH
2、
H−Asn−(Glu)
5 des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Met(O)
14,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)
6−NH
2、
H−(Lys)
6−des Pro
36[Met(O)
14,Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−Lys
6−NH
2、
des Asp
28 Pro
36,Pro
37,Pro
38[Met(O)
14,Trp(O
2)
25]エキセンジン−4(1−39)−NH
2、
H−(Lys)
6−des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Met(O)
14,Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2、
H−Asn−(Glu)
5−des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Met(O)
14,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2、
des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Met(O)
14,Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)
6−NH
2、
H−(Lys)
6−des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Met(O)
14,Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)
6−NH
2、
H−Asn−(Glu)
5−des Pro
36,Pro
37,Pro
38[Met(O)
14,Trp(O
2)
25,Asp
28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)
6−NH
2、及びその薬理学的に許容しうる塩
からなる群より選択されるエキセンジン−4類似体である。
【0094】
さらなる好ましいGLP−1アゴニストは、Arg
34,Lys
26(N
ε(γ−グルタミル(N
α−ヘキサデカノイル)))GLP−1(7−37)[リラグルチド]及びその薬理学的に許容しうる塩からなる群より選択される。
【0095】
さらなる好ましいGLP−1アゴニストはAVE0010である。AVE0010はPro
36エキセンジン−4(1−39)−Lys
6−NH
2の配列を有する。この物質はWO01/04156において配列番号93として公開されている。AVE0010の薬理学的に許容しうる塩もまた好ましい。
【0096】
用語「少なくとも1つのGLP−1アゴニスト」は、本発明の組成物において使用される本明細書に記載されるGLP−1アゴニストの組み合わせを含み、例は本明細書に記載されるGLP−1アゴニストから選択される2つ又はそれ以上のGLP−1アゴニストのいずれかの所望の組み合わせである。
【0097】
少なくとも1つのGLP−1アゴニストは、さらに好ましくはエキセンジン−4、Pro
36エキセンジン−4(1−39)−Lys
6−NH
2及びArg
34,Lys
26(N
ε(γ−グルタミル(N
α−ヘキサデカノイル)))GLP−1(7−37)[リラグルチド]、並びにその薬理学的に許容しうる塩から独立して選択される。
【0098】
本発明の組成物は、GLP−1アゴニストを10μg/ml〜20mg/mlの量で、好ましくは25μg/ml〜15mg/mlの量で含有する。酸性から中性で溶解されたGLP−1アゴニストについては、量は好ましくは20μg/ml〜300μg/mlであり、そして中性から塩基性のアゴニストについては、好ましくは500μg/ml〜10mg/mlである。エキセンジン−4類似体については、20μg/ml〜150μg/mlが好ましい。
【0099】
本明細書において、用語「インスリン」は、未修飾インスリンだけでなく、インスリン類似体、インスリン誘導体、及びインスリン代謝物も包含する。本発明の組成物は、インスリン(例えば未修飾インスリン)、インスリン類似体、インスリン誘導体、及びインスリン代謝物、並びにそれらのいずれかの所望の組み合わせからなる群より独立して選択される1つ又はそれ以上のものを含む。
【0100】
少なくとも1つのインスリンは、ウシインスリン、その類似体、誘導体及び代謝物、ブタインスリン、その類似体、誘導体及び代謝物、並びにヒトインスリン、その類似体、誘導体及び代謝物からなる群より独立して選択され得る。好ましくは、少なくとも1つのインスリンはヒトインスリン、その類似体、誘導体及び代謝物から独立して選択される。
【0101】
さらに、本発明のインスリンは、未修飾インスリン、より詳細にはウシインスリン、ブタインスリン、及びヒトインスリンから独立して選択され得る。
【0102】
少なくとも1つのインスリンは、ウシインスリン、ブタインスリン、及びヒトインスリンからなる群より独立して選択され得る。より好ましくは、少なくとも1つのインスリンはヒトインスリンより独立して選択される。本発明のインスリンは、未修飾インスリン、より詳細にはウシインスリン、ブタインスリン、及びヒトインスリンから選択され得る。
【0103】
本発明のインスリン誘導体は、化学修飾により得られる、天然に存在するインスリン及び/又はインスリン類似体の誘導体である。化学修飾は、1つ又はそれ以上の規定された化学基を1つ又はそれ以上のアミノ酸上に付加することにあり得る。
【0104】
EP 0 214 826、EP 0 375 437、EP 0 678 522、
EP 0 885 961、EP 0 419 504、WO 92/00321、独国特許出願第10 2008 003 568.8号及び10 2008 003 566.1号、並びにEP−A 0 368 187に記載されるインスリン類似体は、本発明の組成物の一部であり得る。書類EP 0 214 826、EP 0 375 437、EP 0 678 522、EP 0 419 504、WO 92/00321及びEP−A 0 368 187は参照により本明細書に含まれる。
【0105】
本発明の1つの好ましいインスリン類似体は、Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン、Lantus);Arg(A0)−His(A8)−Glu(A15)−Asp(A18)−Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリンアミド、Lys(B3)−Glu(B29)ヒトインスリン;Lys
B28Pro
B29ヒトインスリン(インスリンlyspro)、B28 Aspヒトインスリン(インスリンaspart)、B28の位置におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val若しくはAlaで置換されており、そしてここでB29の位置におけるLysがProで置換されていてもよいヒトインスリン;AlaB26ヒトインスリン;des(B28−B30)ヒトインスリン;des(B27)ヒトインスリン又はB29Lys(ε−テトラデカノイル),des(B30)ヒトインスリン(インスリンdetemir)からなる群より選択され得る。
【0106】
本発明の好ましいインスリン誘導体は、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−ミリストイルヒトインスリン、B29−N−パルミトイルヒトインスリン、B28−N−ミリストイルLys
B28Pro
B29ヒトインスリン、B28−N−パルミトイル−Lys
B28Pro
B29ヒトインスリン、B30−N−ミリストイル−Thr
B29Lys
B30ヒトインスリン、B30−N−パルミトイル−Thr
B29Lys
B30ヒトインスリン、B29−N−(N−パルミトイル−Υ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−(N−リトコリル(lithocholyl)−Υ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン、B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンからなる群より選択され得る。
【0107】
本発明のより高度に好ましいインスリン誘導体は、Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン、Lys
B28Pro
B29ヒトインスリン(インスリンlyspro)、B28 Aspヒトインスリン(インスリンaspart)、B29Lys(ε−テトラデカノイル),desB30ヒトインスリン(インスリンdetemir)からなる群より選択される。
【0108】
用語「少なくとも1つのインスリン」には、本発明の組成物において使用される、本明細書に記載されるインスリン、その類似体、誘導体及び代謝物の組み合わせ、例えば本明細書に記載されるインスリン、類似体、誘導体及び代謝物より選択される2つ又はそれ以上のいずれかの所望の組み合わせが含まれる。
【0109】
本発明の組成物は、60〜6000nmol/ml、好ましくは240〜3000nmol/mlの本明細書で定義されるインスリンを含有する。使用されるインスリンに依存して、240〜3000nmol/mlの濃度がおおよそ1.4〜35mg/ml又は40−500単位/mlの濃度に相当する。
【0110】
2〜10、好ましくは3〜5ペンカバーオール(cover all)システムにおいて、本組成物は、GLP−1アゴニスト20μg/ml及びインスリン100U/mlからGLP−1アゴニスト300μg/ml及びインスリン500U/mlの範囲である。
以下の濃度範囲が好ましい:25μg/ml及び100U/ml、33μg/ml及び100U/ml、40μg/ml及び100U/ml、66μg/ml及び100U/ml、並びに75μg/ml及び100U/ml。
【0111】
インスリンの望ましい投薬量範囲は、特に相乗効果のある投薬量である。ここではこれらの値は5〜100U、好ましくは15〜80Uである。GLP−1アゴニストについては、投薬量範囲の値は5μg〜2mg、好ましくは10μg〜1.8mg、より好ましくは10μg〜30μgである。
【0112】
[使用される量及び投薬量に関するここでのより正確な詳細]
本発明の医薬組成物の好ましい提示形態は、特に非経口投与、より好ましくは注射、最も好ましくは皮下注射に適した液体組成物の形態である。特に、本発明の医薬組成物は1日に1回の注射に適している。
【0113】
本発明の医薬組成物は、酸性又は生理的pHを有し得る。酸性pH範囲は、好ましくはpH1〜6.8の範囲、より好ましくはpH3.5〜6.8、なおより好ましくはpH3.5〜4.5、最も好ましくは約4.0〜4.5のpH範囲に位置づけられる。生理的pHは、好ましくはpH4.0〜8.5の範囲、より好ましくはpH5.0〜8.5、なおより好ましくはpH6.0〜8.5の範囲に位置づけられる。
【0114】
本発明の組成物は適切な保存料を含み得る。適切な保存料の例としては、フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコール及び/又はp−ヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられる。
【0115】
本発明の組成物はさらに適切な緩衝剤を含み得る。特にpHレベルを約4.0〜8.5の間に設定するために使用することができる緩衝物質としては、例えば酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。その他では、生理学的に好ましくない点のない希酸(典型的にはHCl)又はアルカリ(典型的にはNaOH)がpHレベルを設定するために適している。緩衝剤及び対応する塩の好ましい濃度は、5〜250mMの範囲、より好ましくは10〜100mMの範囲である。
【0116】
本発明の組成物は亜鉛イオンを含み得る。亜鉛イオンの濃度は、好ましくは0μg/ml〜500μg/mlの範囲、より好ましくは5μg〜200μgの亜鉛/mlの範囲である。
【0117】
本発明の組成物はさらに、適切な等張剤を含み得る。適切な例としては、グリセロール、デキストロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、グルコース、NaCl、カルシウム化合物又はマグネシウム化合物、例えばCaCl
2などが挙げられる。グリセ
ロール、デキストロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール及びグルコースは、典型的には100〜250mMの範囲、NaClは150mMまでの濃度である。
【0118】
本発明の組成物は界面活性剤をさらに含み得る。界面活性剤は、酸性インスリン組成物の安定性を大きく増加させ得る。界面活性剤を使用して、何ヶ月にもわたる温度曝露でも疎水性凝集核に関して優れた安定性を保証する組成物を製造することも可能である。
【0119】
界面活性剤は、好ましくはグリセロール及びソルビトールのような多価アルコールの脂肪酸部分エステル及び脂肪酸エステル及びエーテル、並びにポリオール類からなる群より選択され、グリセロール及びソルビトールの部分エステル及び脂肪酸エステル及びエーテルは、Span(登録商標)、Tween(登録商標)、Myrj(登録商標)、Brij(登録商標)及びCremophor(登録商標)を含む群より選択され;そしてポリ
オール類は、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリソルベート、プルロニック、及びテトロニックの群より選択される。界面活性剤の好ましい濃度は、5〜200μg/mlの範囲、好ましくは5〜120μg/ml、そしてより好ましくは20〜75μg/mlの範囲である。
【0120】
本発明の組成物はさらに、例えば少なくとも1つのインスリンの放出を遅らせる塩のような他の添加物を含み得る。
【0121】
本発明の1つの特に好ましい主題は、Lys
B28Pro
B29ヒトインスリン(インスリンlyspro)、B28 Aspヒトインスリン(インスリンaspart)、B29Lys(ε−テトラデカノイル),desB30ヒトインスリン(インスリンdetemir)、及びインスリングラルギン(Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン)から独立して選択される少なくとも1つのインスリンを含み、そしてAVE0010及び/又はその薬理学的に許容しうる塩を含む、本明細書に記載される薬剤である。さらなる特に好ましい主題は、インスリングラルギン(Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン)並びにAVE0010(des Pro
36エキセンジン−4(1−39)−Lys
6−NH
2)及び/又はその薬理学的に許容しうる塩を含む本明細書に記載される薬剤である。これらの特に好ましい薬剤の組成物は、好ましくは1〜6.8の酸性pH、より好ましくはpH3.5〜6.8、なおより好ましくはpH3.5〜5.0、最も好ましくは約4.0〜4.5のpHを有する。さらに、これらの特に好ましい薬剤の組成物は、本明細書に記載されるような界面活性剤を含み得る。
【0122】
本発明のさらなる主題は、インスリングラルギン(Gly(A21)−Arg(B31)−Arg(B32)ヒトインスリン)とAVE0010(des Pro
36エキセンジン−4(1−39)−Lys
6−NH
2)及び/又はその薬理学的に許容しうる塩との組み合わせである。
【0123】
本発明はさらに、本明細書に記載される本発明のキット又は薬剤を用いて患者を処置する方法を提供する。
【0124】
患者を処置するための本発明の方法は、少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含む本発明の薬剤を投与することを含み、この薬剤は、インスリン及びGLP−1アゴニストをそれぞれ所定の量で含み、かつ患者の個別の要件に適合する用量で投与することができるように製剤化及び/又は調合されている。
【0125】
より詳細には、本方法は第一の医薬組成物及び第二の医薬組成物、並びに場合により少なくとも1つのさらなる医薬組成物を含む薬剤を投与することを含み、組成物はそれぞれ少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含み、そして少なくとも1つのインスリン及び/又は少なくとも1つのGLP−1アゴニストを組成物の総質量に対して異なる質量分率で含有し、上記方法は:
(a) 投与しようとする少なくとも1つのインスリンの用量を選択すること、
(b) 投与しようとする少なくとも1つのGLP−1アゴニストの用量を選択すること、
(c) (a)及び(b)からの用量が同じ体積中に存在するような濃度で(a)及び(b)からの用量を含む薬剤の、第一、第二及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる組成物から、組成物を選択すること、並びに
(d) (a)及び(b)からの用量に対応する量を決定しそして投与すること、
を含む。
【0126】
工程(a)及び/又は工程(b)に従う用量は、患者の個別の要件に従って決定される。
【0127】
本発明の処置方法の工程(c)は表に基づいて行われ得る。この表は、本発明の薬剤の一部であり得る。実施例11は本発明の表の例を含む。
【0128】
患者を処置する方法は、より詳細には薬剤を投与することを含み得、この薬剤は、第一の医薬組成物及び第二の医薬組成物、並びに場合により少なくとも1つのさらなる医薬組成物を含み、第一の医薬組成物は少なくとも1つの第一の活性化合物を含み、そして第二の医薬組成物は少なくとも1つの第一の活性化合物及び少なくとも1つの第二の活性化合物を含み、少なくとも1つのさらなる医薬組成物は少なくとも1つの第一の活性化合物及び少なくとも1つのさらなる活性化合物を含み、そしてこの方法は以下の工程を含む:
(i.) 投与しようとする少なくとも1つの第一の活性化合物の用量を選択し、そして選択した用量の少なくとも1つの第一の活性化合物が総量中に存在できるように、第一、第二、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる組成物の総量を決定すること、
(ii.) 投与しようとする少なくとも1つの第二の活性化合物の用量を選択し、そして選択した用量の少なくとも1つの第二の活性化合物が、第二の組成物の総量中に存在できるように第二の組成物の総量を決定すること、
(iii.) 必要に応じて、投与しようとする少なくとも1つのさらなる活性化合物の用量を選択し、そして選択した用量の少なくとも1つのさらなる活性化合物が、少なくとも1つのさらなる組成物の総量中に存在できるように少なくとも1つのさらなる組成物の総量を決定すること、
(iv.) 工程(i)による総量から、工程(ii)による第二の組成物の総量を差し引いて、そして必要に応じて工程(iii)による少なくとも1つのさらなる組成物の総量を差し引いた量に相当する投与量の第一の組成物を患者に投与すること、並びに
(v.) 工程(ii)において決定された総量の第二の組成物、及び必要に応じて、工程(iii)において決定された総量の少なくとも1つのさらなる組成物を、患者に投与すること、
を含む。
【0129】
第一の活性化合物はインスリンであり得、そして第二の活性化合物はGLP−1アゴニストであり得る。従って、患者を処置する方法はより詳細には薬剤を投与することを含み得、この薬剤は第一の医薬組成物及び第二の医薬組成物、並びに場合により少なくとも1つのさらなる医薬組成物を含み、第一の医薬組成物は少なくとも1つのインスリンを含み、そして第二の医薬組成物は少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含み、そして少なくとも1つのさらなる医薬組成物は少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのさらなる活性化合物を含み、そして本方法は:
(i.) 投与しようとする少なくとも1つのインスリンの用量を選択し、そして選択した用量の少なくとも1つのインスリンが総量中に存在できるように、第一、第二、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる組成物の総量を決定する工程、
(ii.) 投与しようとする少なくとも1つのGLP−1アゴニストの用量を選択し、そして選択した用量の少なくとも1つのGLP−1アゴニストが、第二の組成物の総量中に存在できるように第二の組成物の総量を決定する工程、
(iii.) 必要に応じて、投与しようとする少なくとも1つのさらなる活性化合物の用量を選択し、そして選択した用量の少なくとも1つのさらなる活性化合物が、少なくとも1つのさらなる組成物の総量中に存在できるように少なくとも1つのさらなる組成物の総量を決定する工程、
(iv.) 工程(i)による総量から、工程(ii)による第二の組成物の総量を差し引いて、そして必要に応じて工程(iii)による少なくとも1つのさらなる組成物の総量を差し引いた量に相当する投与量の第一の組成物を患者に投与する工程、並びに
(v.) 工程(ii)において決定された総量の第二の組成物、及び必要に応じて、工程(iii)において決定された総量の少なくとも1つのさらなる組成物を、患者に投与する工程、
を含む。
【0130】
第一の活性化合物はGLP−1アゴニストであり得、そして第二の活性化合物はインスリンであり得る。従って、患者を処置する方法は、より詳細には薬剤を投与することを含み得、この薬剤は、第一の医薬組成物及び第二の医薬組成物、並びに場合により少なくとも1つのさらなる医薬組成物を含み、第一の医薬組成物は少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含み、そして第二の医薬組成物は少なくとも1つのGLP−1アゴニスト及び少なくとも1つのインスリンを含み、そして少なくとも1つのさらなる医薬組成物は少なくとも1つのGLP−1アゴニスト及び少なくとも1つのさらなる活性化合物を含み、そして本方法は:
(i.) 投与しようとうする少なくとも1つのGLP−1アゴニストの用量を選択し、そして選択した用量の少なくとも1つのGLP−1アゴニストが総量中に存在できるように、第一、第二、及び使用される場合は少なくとも1つのさらなる組成物の総量を決定する工程、
(ii.) 投与しようとする少なくとも1つのインスリンの用量を選択し、そして選択した用量の少なくとも1つのインスリンが、第二の組成物の総量中に存在できるように第二の組成物の総量を決定する工程、
(iii.) 必要に応じて、投与しようとするなくとも1つのさらなる活性化合物の用量を選択し、そして選択した用量の少なくとも1つのさらなる活性化合物が、少なくとも1つのさらなる組成物の総量中に存在できるように少なくとも1つのさらなる組成物の総量を決定する工程、
(iv.) 工程(i)による総量から、工程(ii)による第二の組成物の総量を差し引いて、そして必要に応じて工程(iii)による少なくとも1つのさらなる組成物の総量を差し引いた量に相当する投与量の第一の組成物を患者に投与する工程、並びに
(v.) 工程(ii)において決定された総量の第二の組成物、及び必要に応じて、工程(iii)において決定された総量の少なくとも1つのさらなる組成物を、患者に投与する工程、
を含む。
【0131】
工程(i)、(ii)及び/又は(iii)は、少なくとも1つの表に基づいて行われてもよく、この表は本薬剤の一部であり得る。工程(i)、(ii)及び(iii)の各工程について、互いに独立して表が提供され得る。
【0132】
本発明の処置方法は、より詳細には、糖尿病患者、より詳細には1型又はII型糖尿病患者を処置するために使用され得る。好ましくは本方法は、空腹時、食後及び/若しくは吸収後の血中グルコース濃度を調節するため、耐糖能を改善するため、低血糖を予防するため、膵臓β細胞の機能の喪失を予防するため、減量のため、並びに/又は体重増加を予防するために使用される。
【0133】
本発明はさらに、本発明の薬剤を製造する方法を提供し、この方法は、該薬剤がインスリン及びGLP−1アゴニストをそれぞれ所定の量で含み、かつ患者の個別の要件に適合する用量で投与することができるように製剤化及び/又は調合することを含む。本製造方法において、薬剤は好ましくは、例えば第一の医薬組成物及び第二の医薬組成物、並びに場合により少なくとも1つのさらなる医薬組成物を含み、各組成物が少なくとも1つのインスリン及び少なくとも1つのGLP−1アゴニストを含み、かつ少なくとも1つのインスリン及び/又は少なくとも1つのGLP−1アゴニストを組成物の総質量に対して異なる質量分率で含む、本発明の薬剤のような、本明細書に記載される本発明の薬剤の1つを
得ることができるように製剤化及び調合される。
【0134】
本発明を、以下の図面及び以下の実施例によって説明するが、これらはどのような形であれ本発明を何ら限定しない。