【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる鉄筋支持金具を提案するものであって、本発明に係る鉄筋支持金具は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、支保工(37)の表面(37a)に固着される内側固定座(25)と、この内側固定座(25)に被さる防水シー
ト(36)が間に介在する状態で前記内側固定座(25)に対して嵌合可能な外側嵌合具(1)とか
ら成り、前記内側固定座(25)には、一対の防水シート受け部(28a,28b)が設けられ、前記
外側嵌合具(1)には、内側固定座(25)の一対の防水シート受け部(28a,28b)に対応する防水シート押え部(7,11)を各別に備え且つ相対的に移動自在な一対の挟持体(2,3)と、この一
対の挟持体(2,3)を、前記一対の防水シート受け部(28a,28b)に対して各防水シート押え部(7,11)を接近させる方向に移動させて、防水シート(36)を前記一対の防水シート受け部(28a,28b)と各挟持体(2,3)の防水シート押え部(7,11)との間で挟持固定させるための挟持体駆動手段(20)と、鉄筋支持部材接続部(19)が設けられた鉄筋支持金具において、前記挟持体駆動手段(20)が、前記一対の挟持体(2,3)の内、内側の挟持体(2)に対しては自転のみ可能で、外側の挟持体(3)に設けられた挟持体移動方向と平行な長孔(12)を貫通する回転軸
体(4)と、当該外側の挟持体(3)の外側において前記回転軸体(4)に取り付けられた回転操
作用カム板(5)と、この回転操作用カム板(5)に隣接するように前記外側の挟持体(3)から
突設されたカム従動部(14)によって構成され、前記回転操作用カム板(5)は、正回転によ
り前記カム従動部(14)と前記回転軸体(4)との間に入り込んで当該カム従動部(14)を前記
回転軸体(4)から押し離すように作用する、回転半径が漸増するカム周縁部(21)に、前記
カム従動部(14)との係合によりこの回転操作用カム板(5)の逆回転を阻止する逆止用凹凸(21a)が形成され、前記回転操作用カム板(5)の正回転操作時の前記一対の挟持体(2,3)の相対移動により、防水シート(36)が前記一対の防水シート受け部(28a,28b)と各挟持体(2,3)の防水シート押え部(7,11)との間で挟持固定される構成になっている。
【0007】
上記構成の本発明の鉄筋支持金具は、次のように使用することが出来る。即ち、支保工(37)の表面(37a)に溶接などにより固着された内側固定座(25)の外側に防水シート(36)を
、当該内側固定座(25)の周囲に必要な弛みを持たせた状態で張設し、この防水シート(36)の外側から外側嵌合具(1)を内側固定座(25)に対して嵌合させる。即ち、外側嵌合具(1)の一対の挟持体(2,3)を、その各挟持体(2,3)の防水シート押え部(7,11)間の間隔が内側固定座(25)に対して嵌合させることが出来る間隔となるように行程限まで相対移動させた状態で、内側固定座(25)に嵌合させる。
【0008】
この結果、この外側嵌合具(1)と内側固定座(25)との間に防水シート(36)が挟み込まれ
た状態で、内側固定座(25)の一対の防水シート受け部(28a,28b)に対して外側嵌合具(1)の一対の挟持体(2,3)の各防水シート押え部(7,11)が対応する状態になるので、回転操作用
カム板(5)を正方向に手作業で回転操作し、その回転半径が漸増するカム周縁部(21)を、
外側の挟持体(3)のカム従動部(14)と前記回転軸体(4)との間に進入させ、外側の挟持体(3)と内側の挟持体(2)を、各挟持体(2,3)の防水シート押え部(7,11)が内側固定座(25)の一
対の防水シート受け部(28a,28b)との間で防水シート(36)を挟み込む方向に互いに相対移
動させる。このとき、防水シート(36)の介在による抵抗で回転操作用カム板(5)が操作方
向とは逆方向に反力を受ける状況になれば、換言すれば、手作業による回転操作用カム板(5)の回転操作によって、外側嵌合具(1)が間に防水シート(36)を挟み込んだ状態で内側固定座(25)に引っ掛かった状態になれば、回転操作用カム板(5)に対する回転操作を中断し
ても、当該回転操作用カム板(5)のカム周縁部(21)の逆止用凹凸(21a)がカム従動部(14)に係合して、当該回転操作用カム板(5)の逆回転が自動的に阻止されているので、外側嵌合
具(1)から手を放しても脱落する恐れはない。
【0009】
この後は、インパクトドライバーやラチェットハンドルなどの工具を使用して、前記回転軸体(4)を介して回転操作用カム板(5)を正方向の行程限まで完全に回転操作すれば、外側嵌合具(1)の各挟持体(2,3)の防水シート押え部(7,11)が内側固定座(25)の一対の防水シート受け部(28a,28b)側に完全に押圧され、間に挟まれた防水シート(36)を完全に挟持固
定することが出来る。このようにして、本発明の鉄筋支持金具を、間に防水シート(36)を挟み込んだ状態で支保工(37)に強固に固定したならば、外側嵌合具(1)が備える鉄筋支持
部材接続部(19)に鉄筋支持部材(39)を結合し、この鉄筋支持部材(39)に、二次覆工層内に埋設される鉄筋(40)を連結して支持させれば良い。
【発明の効果】
【0010】
上記のように本発明の鉄筋支持金具によれば、外側嵌合具を内側固定座に対し、間に防水シートを挟み込んだ状態で手作業により簡単に仮止めすることが出来る。従って、間に防水シートを挟み込んだ状態で外側嵌合具を内側固定座に最初から電動工具などを使用して最終段階まで取付けなければならないものと比較して、現場での作業性が改善される。勿論、本発明のものも最初から電動工具などを使用して最終段階まで取付けることも可能であるが、何れにしても外側嵌合具と内側固定座との間に挟む込まれた防水シートによって外側嵌合具の一対の挟持体に対する締付け操作に一定以上の負荷がかかったときに当該締付け操作を完了することが出来るので、例えば使用される防水シートの厚さが薄くなったために、間に防水シートを挟んだ状態での内側固定座に対する外側嵌合具の結合が不十分で両者間にガタが生じ、外側嵌合具に結合される鉄筋支持部材が不安定になる、というような事態や、逆に使用される防水シートの厚さが厚くなって、間に防水シートを挟んだ状態で外側嵌合具を内側固定座に固定出来ない事態が生じるようなことが無くなる。
【0011】
尚、先に示した特許文献1に記載の構成では、内側固定座の一対の防水シート受け部が互いに対向する内向きのコ形嵌合部によって構成され、外側嵌合具の一対の挟持体の各防水シート押え部が、前記一対の防水シート受け部間に嵌合した状態で互いに離間する方向に移動して各内向きコ形嵌合部に嵌合するように構成されている。本発明を実施する場合も、内側固定座(25)の一対の防水シート受け部(28a,28b)と外側嵌合具(1)の一対の挟持体(2,3)の各防水シート押え部(7,11)の位置関係が、上記特許文献1に記載されているよう
に、内側固定座(25)の一対の防水シート受け部(28a,28b)が外側嵌合具(1)の一対の挟持体(2,3)の各防水シート押え部(7,11)の外側に位置するように構成することも出来るが、こ
の逆の位置関係に構成するのが望ましい。即ち、前記内側固定座(25)の一対の防水シート受け部(28a,28b)は、内側固定座(25)の外端部から両側に突出する張出し板部で構成し、
前記外側嵌合具(1)の一対の挟持体(2,3)の各防水シート押え部(7,11)は、前記内側固定座(25)の一対の防水シート受け部(28a,28b)に対する接近移動によりこれら一対の防水シー
ト受け部(28a,28b)に各別に外嵌するように、これら一対の挟持体(2,3)の移動方向の端部から内側に突出するように設けられたコ形嵌合部(6,10)によって構成し、前記回転操作用カム板(5)の正回転操作時の前記一対の挟持体(2,3)の相対移動により、前記一対の挟持体(2,3)の防水シート押え部(7,11)が互いに接近移動するように構成することが出来る。
【0012】
この場合、前記外側の挟持体(3)から突設されたカム従動部(14)は、前記回転操作用カ
ム板(5)の正回転操作時の当該外側の挟持体(3)の移動方向側の側辺の一部を外側に折曲させた折曲起立板部(13)で構成することが出来る。
【0013】
又、前記回転操作用カム板(5)が取り付けられて当該カム板(5)と一体に自転する回転軸体(4)には、特許文献1にも記載されるように、電動工具などで回転操作用カム板(5)を回転駆動するときの回転力入力部として角軸状の突出端部(15)を設け、この突出端部(15)に、前記鉄筋支持部材接続部(19)となるネジ孔(19a)を同心状に設けることが出来るが、前
記回転操作用カム板(5)には、前記逆止用凹凸(21a)を備えたカム周縁部(21)の最大半径側の端部とこの回転操作用カム板(5)の最小半径周辺部とをつなぐ直線側辺から外側に折曲
させた指掛け用折曲起立板部(22)を設けることにより、当該回転操作用カム板を手動で正方向に回転操作するとき、親指を回転軸体の突出端部に当てると共に人差し指や中指を回転操作用カム板の前記指掛け用折曲起立板部に掛けて、当該指掛け用折曲起立板部を前記回転軸体の周りに正方向に捩じるように操作することにより、簡単容易に回転操作用カム板を手動で操作することが出来る。
【0014】
外側嵌合具(1)は、その一対の挟持体(2,3)が直線状に相対移動出来る構成でなければならないが、当該一対の挟持体(2,3)の内、内側の挟持体(2)には、その移動方向と平行な両側辺から外側の挟持体(3)の両側辺を挟む折曲起立側辺部(8a,8b)を設けることにより、一対の挟持体(2,3)が直線状に相対移動出来るようになるが、この場合、外側の挟持体(3)に設けられる前記長孔(12)の周囲から、当該外側の挟持体(3)の表面より突出する前記折曲
起立側辺部(8a,8b)の上端とほぼ同一高さの起立周側壁部(12a)を突設し、前記回転操作用カム板(5)は、前記折曲起立側辺部(8a,8b)と前記起立周側壁部(12a)の上に摺接するよう
に構成することが出来る。この構成によれば、内側の挟持体は、その両側辺に設けられる前記折曲起立側辺部によって補強すると共に、外側の挟持体は、その長孔の周囲の前記起立周側壁部によって補強することが出来、しかも前記回転操作用カム板は、前記起立周側壁部と前記折曲起立側辺部によって安定良く支持され、摩擦抵抗の少ない状態で軽く円滑に回転操作することが出来る。
【0015】
更に、前記回転軸体(4)は、前記回転操作用カム板(5)から外側に突出する角軸状の突出端部(15)と、この突出端部(15)から内側に同心状に連設されて前記外側の挟持体(3)の長
孔(12)と内側の挟持体(2)の軸孔(9)を貫通する円筒状部(16)と、当該円筒状部(16)の内端に前記軸孔(9)の周囲に重なるように形成された抜け止め用鍔部(17)を備えた構造とし、
前記内側の挟持体(2)の内側面に、前記抜け止め用鍔部(17)に対して挟持体(2,3)の移動方向の両側に位置するように、当該抜け止め用鍔部(17)とほぼ同一高さの突条部(18a,18b)
を設けることが出来る。この構成は、先に説明したように、内側固定座に対して外側嵌合具が間に防水シートを挟むようにして外嵌する構成において、外側嵌合具が、回転軸体の内端に必要な抜け止め用鍔部とその両側の前記突条部を介して、内側固定座との間で防水シートを挟むことになり、外側嵌合具の一対の挟持体を内側固定座の表面上で安定的に滑動させることが出来る。