(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732020
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】鉄筋支持金具
(51)【国際特許分類】
E21D 11/38 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
E21D11/38 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-236186(P2012-236186)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-84672(P2014-84672A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2014年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000143558
【氏名又は名称】株式会社国元商会
(72)【発明者】
【氏名】山岡 由賢
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−291686(JP,A)
【文献】
特開2004−150117(JP,A)
【文献】
特開2001−214590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支保工の表面に固着される内側固定座と、この内側固定座に被さる防水シートが間に介在する状態で前記内側固定座に対して嵌合固定可能な外側嵌合具とから成り、この外側嵌合具に鉄筋支持部材接続部が設けられた鉄筋支持金具において、前記内側固定座には、防水シートを前記内側固定座から遠ざけるための起伏揺動自在な補助用具が設けられ、この補助用具は、この内側固定座が取り付けられる支保工の表面に沿う倒伏姿勢からほぼ90度揺動させた起立姿勢において位置決め可能に構成されている、鉄筋支持金具。
【請求項2】
前記補助用具は、内側固定座の本体に支承された支軸部と、この支軸部と平行な防水シート受け部と、前記支軸部と防水シート受け部とを互に連結一体化するレバー部から成る、請求項1に記載の鉄筋支持金具。
【請求項3】
前記補助用具は、倒伏姿勢と起立姿勢との間のほぼ90度の範囲内でのみ回転自在に支承されている、請求項1又は2に記載の鉄筋支持金具。
【請求項4】
前記内側固定座の本体は、一端が支保工の表面に固着される脚部と、この脚部の他端から両側に張り出す一対の防水シート受け部を備え、前記外側嵌合具には、互に接近移動して前記防水シート受け部のそれぞれに外嵌する一対のコ形の防水シート押え部が設けられ、前記補助用具は、内側固定座の本体の前記脚部に起伏揺動自在に軸支されている、請求項2又は3に記載の鉄筋支持金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてトンネルのコンクリート覆工工事における二次覆工作業において、一次覆工層の表面を覆う防水シートの外側に、当該防水シートを貫通する部材を使用しないで鉄筋を所定位置に支持させることの出来る鉄筋支持金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネルのコンクリート覆工工事における二次覆工作業においては、一次覆工層の表面に防水シートを張設し、この防水シートの外側(一次覆工層のある側とは反対側)に鉄筋を配置したコンクリート打設空間を型枠にて形成し、当該コンクリート打設空間内にコンクリートを打設して、一次覆工層との間が防水シートで区画された二次覆工層(トンネル内面を形成する鉄筋コンクリート層)を構築するのであるが、前記コンクリート打設空間内に配置される鉄筋を所定位置に支持させるために、強度のある一次覆工層の支保工に当該鉄筋を支持させる必要がある。このとき、支保工に溶接された鉄筋支持部材が防水シートを貫通したのでは、当該防水シートの防水効果が前記鉄筋支持部材の貫通により著しく低下する。このため近年は、特許文献1に記載されるように、前記支保工に溶接された内側固定座を防水シートで覆い、この防水シートの外側から前記内側固定座に嵌合させて固定出来る外側嵌合具を使用し、この外側嵌合具に鉄筋支持部材をネジ結合させる構成が考えられている。
【0003】
この特許文献1に記載されるように、従来のこの種の鉄筋支持金具は、支保工の表面に固着される内側固定座と、この内側固定座に被さる防水シートが間に介在する状態で前記内側固定座に対して嵌合固定可能な外側嵌合具とから成り、この外側嵌合具に鉄筋支持部材接続部が設けられた構成のものであって、内側固定座と外側嵌合具との間に防水シートを無理なく容易に挟み込ませるための工夫は全く講じられていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−291686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
即ち、内側固定座を覆う防水シートには、この内側嵌合具と外側嵌合具との嵌合部内に手作業で防水シートを入れ込んでおくことにより、防水シートを間に挟み込んだ状態での外側嵌合具の内側固定座に対する嵌合操作が無理なく容易に行えるのであるが、この防水シートに対する作業には、防水シートの内側固定座を覆う領域に必要な弛み(余裕面積)を確保しておかなければならないが、鉄筋支持金具側にこのための特別な工夫が講じられていなかったので、防水シートの張設作業時に作業者の勘に頼って必要な弛みを確保しなければならず、作業に多大の手間と時間を要することになっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる鉄筋支持金具を提案するものであって、本発明に係る鉄筋支持金具は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、支保工(37)の表面(37a)に固着される内側固定座(25)と、この内側固定座(25)に被さる防水シー
ト(36)が間に介在する状態で前記内側固定座(25)に対して嵌合固定可能な外側嵌合具(1)
とから成り、この外側嵌合具(1)に鉄筋支持部材接続部(19)が設けられた鉄筋支持金具に
おいて、前記内側固定座(25)には、防水シート(36)を前記内側固定座(25)から遠ざけるための起伏揺動自在な補助用具(27)が設けられ、この補助用具(27)は、この内側固定座(25)が取り付けられる支保工の表面に沿う倒伏姿勢からほぼ90度揺動させた起立姿勢において位置決め可能な構成になっている。
【発明の効果】
【0007】
上記の本発明の鉄筋支持金具によれば、一次覆工層の支保工の表面に内側固定座を溶接し、この内側固定座が備える補助用具を起立姿勢に位置決めした状態で、一次覆工層の表面を覆うように防水シートを張設することにより、防水シートの内側固定座を覆う領域を前記起立姿勢の補助用具によって内側固定座から突き出された状態にすることが出来る。従って、外側嵌合具の嵌合操作に先だって、前記起立姿勢の補助用具を防水シートの外側から押し倒して倒伏姿勢に切り換えることにより、防水シートの内側固定座を覆う領域に必要な弛み(余裕面積)を確保することが出来るので、この防水シートの弛み分を利用して防水シートを内側固定座の外側嵌合具が嵌合する部分に容易且つ確実に添わせることが出来る。従って、外側嵌合具を、間に防水シートを挟み込むように内側固定座に嵌合させる作業が容易且つ確実に行わせることが出来るだけでなく、防水シートに局部的に無理な引張力を作用させて損傷させる恐れも回避出来る。
【0008】
以上のように本発明の鉄筋支持金具を使用することにより、間に防水シートを挟み込む状態での内側固定座に対する外側嵌合具の嵌合固定作業が、防止シートを損傷させる恐れなく容易且つ確実に行える。後は従来と同様に、防水シートの外側に位置する外側嵌合具の鉄筋支持部材接続部に鉄筋支持部材を接続し、この鉄筋支持部材に二次覆工層内に配置すべき鉄筋を支持させることになる。
【0009】
尚、前記補助用具(27)は、内側固定座(25)の本体(26)に支承された支軸部(27a)と、こ
の支軸部(27a)と平行な防水シート受け部(27c)と、前記支軸部(27a)と防水シート受け部(27c)とを互に連結一体化するレバー部(27b)から構成することが出来る。又、この補助用
具(27)は、倒伏姿勢と起立姿勢との間のほぼ90度の範囲内でのみ回転自在に支承しておくことにより、内側固定座を支保工表面に溶接する際、重力で補助用具が自然に倒伏
姿勢から起立姿勢に回転する向きに設定するだけで、スプリングなどの特別な位置決め手段を併用する必要がなくなり、安価に実施することが出来る。
【0010】
更に、前記内側固定座(25)の本体(26)を、一端が支保工(37)の表面(37a)に固着される
脚部(26b)と、この脚部(26b)の他端から両側に張り出す一対の防水シート受け部(28a,28b)を備えた構造とし、前記外側嵌合具(1)には、互に接近移動して前記防水シート受け部(28a,28b)のそれぞれに外嵌する一対のコ形の防水シート押え部(7,11)を設け、前記補助用
具(27)は、内側固定座(25)の本体(26)の前記脚部(26B)に起伏揺動自在に軸支することが出来る。この構成によれば、内側固定座の補助用具によって当該内側固定座の本体から突き出された状態の防水シート部分を、補助用具を倒伏姿勢に切り換えた後に両側から内側固定座の本体の一対の防水シート受け部と支保工表面との間に押し込むように操作するだけで、簡単に防水シートで内側固定座を包み込むことが出来、外側嵌合具の嵌合のための防水シートに対する下準備を簡単且つ容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図3Aは、内側固定座の平面図、
図3Bは、同一部縦断側面図、
図3Cは、同内側固定座の補助用具を起立姿勢に切り換えた状態を示す一部縦断側面図である。
【
図4】
図4は、内側固定座の取付け状態を示す一部縦断側面図である。
【
図5】
図5Aは、内側固定座に対する外側嵌合具の取付け第一段階を示す一部縦断側面図、
図5Bは、同取付け第一段階での外側嵌合具を示す正面図である。
【
図6】
図6Aは、内側固定座に対する外側嵌合具の取付け完了状態を示す一部縦断側面図、
図6Bは、同取付け完了状態での外側嵌合具を示す正面図である。
【
図7】
図7は、外側嵌合具に鉄筋支持部材を取り付けた状態を示す一部縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び
図2に示す外側嵌合具1は、互いに重ねられた内側挟持体2と外側挟持体3、これら両挟持体2,3を一体化する回転軸体4、及びこの回転軸体4に固着されて外側挟持体3の外側に重なる回転操作用カム板5から構成されている。
【0013】
内側挟持体2は、帯状板の一端部を内側にコ字形に折り返して形成したコ形嵌合部6から成る防水シート押え部7と、この帯状板の両側辺から外向きに折曲させた一対の折曲起立側辺部8a,8b、及び軸孔9を備えている。外側挟持体3は、内側挟持体2の一対の折曲起立側辺部8a,8b間に当該折曲起立側辺部8a,8bに沿った方向に移動自在に重なる帯状板から構成されたもので、内側挟持体2のコ形嵌合部6のある側とは反対側の端部を内側へコ字形に折り返して形成したコ形嵌合部10から成る防水シート押え部11と、内側挟持体2の軸孔9に重なる位置でこの外側挟持体3の移動方向と平行に設けられた長孔12と、この長孔12の周囲から外側に折曲形成された起立周側壁部12aと、前記コ形嵌合部10のある側とは反対側の端部で折曲起立側辺部8aに隣接する側の角部から外向きに折曲された折曲起立板部13によって構成されたカム従動部14を備えている。
【0014】
尚、内側挟持体2のコ形嵌合部6と外側挟持体3のコ形嵌合部10とは、その開口部が内向きに対向するもので、コ形嵌合部6の外側内向き板部6aとコ形嵌合部10の外側内向き板部10aとは、内外両挟持体2,3を水平にしたときに同一高さにある。又、内側挟持体2の一対の折曲起立側辺部8a,8bは、外側挟持体3の長孔12の周囲から外側に突出する起立周側壁部12aの上端と同一レベルまで外側挟持体3の外側面より突出している。
【0015】
回転軸体4は、全体が筒状のものであって、回転操作用カム板5から外側に突出する角軸状の突出端部15と、この角軸状の突出端部15の内端から同心状に一体に連設された、当該角軸状の突出端部15の最大径よりも小径の円筒状部16とから成るもので、円筒状部16が外側挟持体3の長孔12と内側挟持体2の軸孔9とを相対回転自在に貫通し、この軸孔9から内側に突出する円筒状部16の先端に軸孔9の周囲に重なる抜け止め用鍔部17が一体形成されている。回転操作用カム板5は、その内側面が回転軸体4の突出端部15の内端と面一で且つ外側挟持体3の長孔12の周囲の起立周側壁部12aの外端面と内側挟持体2の一対の折曲起立側辺部8a,8bの上端とに当接出来る高さになるように、当該突出端部15に外嵌する状態で溶接により固着されている。又、内側挟持体2には、回転軸体4の抜け止め用鍔部17に対して外側挟持体3の移動方向の両側に位置するように、当該抜け止め用鍔部17とほぼ同一高さで且つ内側挟持体2の巾方向に沿った直線状の突条部18a,18bが一体形成されている。更に、回転軸体4の中央貫通孔の内、突出端部15の内側になる領域はネジ孔19aに加工されて、鉄筋支持部材接続部19となっている。
【0016】
回転軸体4と、当該回転軸体4と一体の回転操作用カム板5、及び外側挟持体3に連設されたカム従動部14は、挟持体駆動手段20を構成するものである。回転操作用カム板5は、その平面形状が勾玉形のもので、180度弱の範囲内で回転軸体4の軸心からの半径が漸増するカム周縁部21に、外側挟持体3のカム従動部14を構成する折曲起立板部13の角部13aと係合する鋸歯状の逆止用凹凸21aが形成されている。又、回転操作用カム板5には、カム周縁部21の最大半径側の端部とこの回転操作用カム板5の最小半径周辺部とをつなぐ直線側辺から外側に折曲する指掛け用折曲起立板部22が設けられている。
【0017】
上記構成の挟持体駆動手段20によれば、
図1及び
図2Aに示すように、内側挟持体2と外側挟持体3とが、それぞれのコ形嵌合部6,10(防水シート押え部7,11)間の間隔が最大に広げられる後退側行程限まで相対的に移動して、回転軸体4が外側挟持体3の長孔12の一端に当接しているとき、回転操作用カム板5は、その指掛け用折曲起立板部22が外側挟持体3のカム従動部14から最も離れた位置にあって且つカム周縁部21を有する部分が外側挟持体3の片側の折曲起立側辺部8aの上で受けられる待機状態にある。係る待機状態から回転操作用カム板5を、例えば回転軸体4の突出端部15の内側(カム周縁部21のある側)に右手の親指を当てると共に同右手の人差し指乃至は中指を指掛け用折曲起立板部22の外側(カム周縁部21のある側とは反対側)に当てて、時計回りに捩じるように操作して、そのカム周縁部21が回転軸体4とカム従動部14との間に進入する正方向に回転操作すると、半径が漸増するカム周縁部21が回転軸体4とカム従動部14との間の間隔を漸増させ、回転軸体4を有する内側挟持体2とカム従動部14を有する外側挟持体3が互に反対方向に相対移動して、コ形嵌合部6,10(防水シート押え部7,11)間の間隔が徐々に狭められる。このとき、コ形嵌合部6,10(防水シート押え部7,11)間を広げる方向の抵抗力が作用していると、回転操作用カム板5の正方向の回転を止めたとき、カム周縁部21の鋸歯状の逆止用凹凸21aの谷部がカム従動部14の角部、即ち、折曲起立板部13の角部13aに嵌合し、当該回転操作用カム板5が前記抵抗力によって逆回転するのを阻止する。
【0018】
図3に示す内側固定座25は、一枚の鉄板の裁断と曲げ加工により構成される本体26と、丸棒鋼から構成される補助用具27との組み合わせから成る。本体26は、天板部26aと脚部26b、及び一対の防水シート受け部28a,28bを備えている。防水シート受け部28a,28bは、天板部26aの両端の内側への折返し重なり板部で構成され、脚部26bは、防水シート受け部28a,28bの内側辺から天板部26aに対して直角に折曲連設された一対の脚板部26cと、天板部26aの防水シート受け部28a,28bを構成していない両側辺から脚板部26c間に配置されるように折曲連設された一対の軸受け板部26dによって構成されている。補助用具27は、丸棒鋼をコ字形に曲げ加工したもので、本体26の脚部26bにおける一対の軸受け板部26dに設けられた軸孔29を貫通する支軸部27aと、この支軸部27aの一端から横側方に直角に折曲されたレバー部27bと、このレバー部27bの先端から支軸部27aのある側へ当該支軸部と平行に折曲された防水シート受け部27cから構成されている。尚、この防水シート受け部27cの先端は、防水シートに対する引っ掛かりを抑えるために、支軸部27aのある側に直角に折曲させている。
【0019】
補助用具27の支軸部27aは、扁平な帯板状に形成され、本体26の前後一対の軸受け板部26cに設けられた軸孔29には、当該支軸部27aの回転角を、
図3Bに示すように、防水シート受け部27cが本体26の天板部26aとほぼ平行になる倒伏姿勢と、
図3Cに示すように、防水シート受け部27cが本体26の天板部26aに対して直角外方に位置する起立姿勢との間の範囲内に補助用具27(支軸部27a)の回転を制限する一対の突起部29a,29bが形成されている。又、支軸部27aには、本体26の脚部26bにおける前後一対の軸受け板部26dの外側に隣接するように、軸方向移動制限用のカシメ部材30a,30bが取り付けられている。
【0020】
次に上記構成の外側嵌合具1と内側固定座25から成る本発明の鉄筋支持具の使用方法を説明すると、トンネルのコンクリート覆工工事における二次覆工作業の第一段階において、
図4に示すように、一次覆工層35の内側に防水シート36が張設されるが、この防水シート36の張設作業に先立って、一次覆工層35の表面と面一に埋設されている支保工37の露出表面37aを利用して、トンネルの周方向と長手方向とに関して適当間隔おきに本発明の鉄筋支持具の内側固定座25を取り付ける。この支保工37に対する内側固定座25の取り付けは、本体26の脚部26bにおける一対の脚板部26cの先端を支保工37の露出表面37aに溶接止めすることにより行われるが、このとき、補助用具27の支軸部27aがトンネル長手方向と平行な水平向きとなり且つ重力で補助用具27が前記起立姿勢の方に回転力を受ける向きで、内側固定座25を支保工37に取り付ける。この結果、
図4に示すように、支保工37に取り付けられた内側固定座25の補助用具27は重力により起立姿勢となり、その防水シート受け部27cが、本体26の天板部26aから直角外方へ(トンネル内部側へ)離れて位置している。
【0021】
上記のように一次覆工層35の内側に内側固定座25を所定の配置で取り付けたならば、次に防水シート36を、各内側固定座25と一次覆工層35を覆うように張設するのであるが、上記のように各内側固定座25の起立姿勢にある補助用具27の防水シート受け部27cが内側固定座25の本体26の天板部26aから大きく突出しているので、防水シート36の各内側固定座25を覆う部分が、起立姿勢にある補助用具27によって内側固定座25の本体26から突き出された状態になる。防水シート36の張設にあたっては、起立姿勢の補助用具27を含む内側固定座25の周囲に防水シート36を出来る限り寄せて、防水シート36の内側固定座25を覆う部分に、本体26の防水シート受け部28a,28bを有するΠ形周面に沿わせることが出来るだけの余裕を確保させておく。
【0022】
図4に示すように、各内側固定座25と一次覆工層35を覆うように防水シート36を張設したならば、次に防水シート36の外側から内側固定座25に外側嵌合具1を嵌合させる。即ち、
図5Aに示すように、外側嵌合具1を嵌合させようとする内側固定座25の起立姿勢にある補助用具27を防水シート36の外側から手で操作して、当該補助用具27を重力に抗して倒伏姿勢に切り換える。このとき、或る程度の硬さを有する防水シート36も、その倒伏姿勢になった補助用具27を押え付けるように一次覆工層35の方に押し付けておき、出来れば指先で、内側固定座25を覆っている防水シート36を、当該内側固定座25の防水シート受け部28a,28bを有するΠ形周面に沿わせるように変形させておく。係る状態で、防水シート押え部7,11間の間隔が最大になっている、
図1及び
図2Aに示す待機状態の外側嵌合具1を、
図5Aに示すように、その防水シート押え部7,11が内側固定座25の防水シート受け部28a,28bを挟む状態になるように、防水シート36の外側から内側固定座25に外嵌させる。換言すれば、このように前記待機状態の外側嵌合具1を、内側固定座25の防水シート受け部28a,28bを挟むように、防水シート36の外側から内側固定座25に外嵌させることが出来るように、前記待機状態の外側嵌合具1の防水シート押え部7,11間の間隔と内側固定座25の左右一対の防水シート受け部28a,28bの最大巾とが設定されている。
【0023】
次に外側嵌合具1の回転操作用カム板5を、
図5Bに示すように、先に説明したように、回転軸体4の角軸状の突出端部15と回転操作用カム板5側の指掛け用折曲起立板部22とを利用して正方向に回転させ、当該回転操作用カム板5の正方向の回転に伴わせて内外両挟持体2,3を、その防水シート押え部7,11間の間隔が狭まる方向に相対移動させる。この結果、内側固定座25を覆っている防水シート36が、互いに接近する方向に相対移動する外側嵌合具1の防水シート押え部7,11によって、内側固定座25の一対の防水シート受け部28a,28bと支保工37の露出表面37aとの間に押し込まれながら、内側固定座25の一対の防水シート受け部28a,28bとこれに外嵌する外側嵌合具1の防水シート押え部7,11(コ形嵌合部6,10)との間に挟み込まれることになり、防水シート36が或る程度の硬さを有するものであるから、正方向に回転させている回転操作用カム板5に対する抵抗が大きくなる。この状態で回転操作用カム板5から手を離しても、回転操作用カム板5が逆方向に回転することは、先に説明したように、回転操作用カム板5のカム周縁部21における逆止用凹凸21aとカム従動部14との係合により自動的に阻止され、防水シート押え部7,11が互いに離間する方向に内外両挟持体2,3が相対移動することはない。
【0024】
即ち、防水シート36の外側から外側嵌合具1を内側固定座25に外嵌させると共に、回転操作用カム板5を、指先で無理なく回転させることが出来る範囲内で正方向に回転させることにより、間に防水シート36を挟み込んだ状態で外側嵌合具1が内側固定座25に外嵌した状態に仮止めされることになるので、外側嵌合具1から手を離しても当該外側嵌合具1が脱落してしまうことは無い。最後に、
図6に示すように、インパクトドライバーやラチェットハンドルなどの回転操作用工具のボックススパナ部38を回転軸体4の角軸状の突出端部15に外嵌させて、この回転軸体4を介して回転操作用工具により回転操作用カム板5を正方向に強制回転操作し、外側嵌合具1の防水シート押え部7,11(コ形嵌合部6,10)と内側固定座25の防水シート受け部28a,28bとの間で防水シート36を完全に挟み込ませることにより、本発明の鉄筋支持具の取付け作業が完了する。
【0025】
以上のようにして、支保工37に固着された内側固定座25に対して外側嵌合具1を、間に防水シート36を挟み込んだ状態で外嵌固定したならば、各外側嵌合具1が有する鉄筋支持部材接続部19、即ち、ネジ孔19aに、
図7に示すように鉄筋支持部材、ここでは適当長さの鉄筋などの丸棒鋼の一端に螺軸部39aを設けて成る鉄筋支持部材39の螺軸部39aをネジ込んで、一次覆工層35の表面に対して直角向きに鉄筋支持部材39を取り付けることにより、一次覆工層35を覆うように形成される二次覆工層内に配置すべき鉄筋40を、前記鉄筋支持部材39に溶接や番線止め等の適当な方法で取り付けて支持させることが出来る。
【0026】
尚、内側固定座25に設けた補助用具27は、本発明に必須のものでは無く、省いても良い。又、内側固定座25側の防水シート受け部28a,28bを張出し板状に構成し、外側嵌合具1側の相対移動自在な内外両挟持体2,3に設けられる防水シート押え部7,11を、前記防水シート受け部28a,28bに外嵌するコ形嵌合部6,10によって構成したが、特許文献1に記載されるように、内側固定座25側に互いに対向するコ形嵌合部から成る防水シート受け部28a,28bを設け、外側嵌合具1側の相対移動自在な内外両挟持体2,3の、前記防水シート押え部7,11を設けた側とは反対側の端部、即ち、回転操作用カム板5の正方向回転により相対移動する内外両挟持体2,3の互いに離間移動する方向の端部に、内側固定座25側のコ形嵌合部から成る防水シート受け部28a,28b内に内嵌する張出し板状の防水シート押え部7,11を設けて構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の鉄筋支持金具は、トンネルのコンクリート覆工工事における二次覆工作業において、一次覆工層の内側を覆う防水シートの内側に、当該防水シートを貫通する部材を使用しないで鉄筋を所定位置に支持させるための手段として活用出来る。
【符号の説明】
【0028】
1 外側嵌合具
2 内側挟持体
3 外側挟持体
4 回転軸体
5 回転操作用カム板
6,10 コ形嵌合部
7,11 防水シート押え部
8a,8b 折曲起立側辺部
9 軸孔
12 長孔
12a 起立周側壁部
13 折曲起立板部
14 カム従動部
15 回転軸体の角軸状突出端部
16 回転軸体の円筒状部
17 回転軸体の抜け止め用鍔部
18a,18b 突条部
19a ネジ孔
20 挟持体駆動手段
21 カム周縁部
21a 逆止用凹凸
22 指掛け用折曲起立板部
25 内側固定座
26 内側固定座の本体
26a 本体の天板部
26b 本体の脚部
27 内側固定座の補助用具
27a 補助用具の支軸部
27b 補助用具のレバー部
27c 防水シート受け部
28a,28b 一対の防水シート受け部
35 一次覆工層
36 防水シート
37 支保工
39 鉄筋支持部材
39a 鉄筋支持部材の螺軸部
40 鉄筋