(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732021
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】パリレンAF4の触媒的又は光触媒的調製方法
(51)【国際特許分類】
C07C 17/269 20060101AFI20150521BHJP
C07C 23/18 20060101ALI20150521BHJP
B01J 27/138 20060101ALI20150521BHJP
B01J 27/08 20060101ALI20150521BHJP
B01J 27/055 20060101ALI20150521BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20150521BHJP
【FI】
C07C17/269
C07C23/18
B01J27/138 Z
B01J27/08 Z
B01J27/055 Z
!C07B61/00 300
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-236320(P2012-236320)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-19700(P2014-19700A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2012年10月29日
(31)【優先権主張番号】101125578
(32)【優先日】2012年7月16日
(33)【優先権主張国】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509004044
【氏名又は名称】ユアン シン マテリアルズ テクノロジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】チュン スー リン
(72)【発明者】
【氏名】チェン イ スン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ユ イン
(72)【発明者】
【氏名】チュン シー リ
(72)【発明者】
【氏名】ヨ チュン チョウ
【審査官】
太田 千香子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−515507(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第1295996(CN,A)
【文献】
特表平11−513689(JP,A)
【文献】
Tetrahedron Letters,2002年,Vol.43, No.4,p.669-71
【文献】
Organic Letters,2000年,Vol.2, No.13,p.1867-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 17/269
C07C 23/18
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パリレンAF4(オクタフルオロ−[2,2]−パラシクロファン)を調製する方法であって、
(A)反応体、還元剤及び触媒を準備する工程(ここで、反応体は、1,4−ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン及び1,4−ビス(ヨードジフルオロメチル)ベンゼンからなる群より選択される少なくとも1つであり;還元剤は、亜鉛であり;触媒は、(1)アルカリ金属塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属過酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アミド;(2)アルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物;(5)非金属元素酸、非金属元素酸化物;(6)ハロゲン;(7)第四級アンモニウム塩の相間移動触媒、第四級ホスホニウム塩の相間移動触媒及びクラウンエーテルの相間移動触媒からなる群より選択される少なくとも1つであり、
アルカリ金属塩は、CF3COOLi、LiNH2、KH2PO3、KCl、KBr、KI、CH3COOK、K2SO4、フタル酸水素カリウム(KHP)、カリウムtert−ブトキシド、Na2SO4、K2S2O8、K2CO3、アクリル酸カリウム、NaCl、NaI、Na2CO3、NaNH2、CH3COONa、C2H5ONa、C6H5COONa、CH3ONa、C6H4(OH)COONa、及びシュウ酸ナトリウムから成る群から選ばれ、
アルカリ金属酸化物はNa2Oであり;
アルカリ金属過酸化物はNa2O2であり;
アルカリ金属水酸化物は、LiOH及びNaOHであり;
アルカリ金属アミドはカリウムフタルイミドであり;
アルカリ土類金属塩は、CaCl2、CaCO3、CaSO4、MgCl2、MgSO4、MgCO3、Ba(NO3)2及びBaCl2から成る群から選ばれ;
アルカリ土類金属酸化物は、MgO及びCaOから成る群から選ばれ;
アルカリ土類金属水酸化物はCa(OH)2であり、
非金属元素酸はホウ酸であり;
非金属元素酸化物はP2O5であり;
ハロゲンは、臭素(Br2)及びヨウ素(I2)から成る群から選ばれ;
第四級アンモニウム塩の相間移動触媒は、テトラメチルアンモニウムクロリド(PTC−A1)、フェニルトリメチルアンモニウムクロリド(PTC−A2)及びベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(PTC−A3)から成る群から選ばれ;
第四級ホスホニウム塩の相間移動触媒は、テトラフェニルホスホニウムブロミド(PTC−B1)及びメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(PTC−B2)から成る群から選ばれ;クラウンエーテルの相間移動触媒は、18−クラウン−6−エーテル、12−クラウン−4−エーテル及び15−クラウン−5−エーテルから成る群から選ばれる。);
(B)反応体、還元剤及び触媒を非プロトン性の極性溶媒に加えて混合物を形成する工程;並びに
(C)上記混合物を100〜200℃に加熱して、パリレンAF4を得る工程
を含む方法。
【請求項2】
工程(B)の非プロトン性の極性溶媒が、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン及びアセトニトリルからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(B)において、還元剤と反応体の重量比(還元剤:反応体)が1:1〜5である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
工程(B)において、反応体と溶媒の重量比(反応体:溶媒)が1:1〜30である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
工程(B)において、触媒と反応体の重量比(触媒:反応体)が1:10〜500である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
パリレンAF4(オクタフルオロ−[2,2]−パラシクロファン)を合成する方法であって、
(A)反応体、還元剤、及び光開始剤を準備する工程(ここで、反応体は、1,4−ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン及び1,4−ビス(ヨードジフルオロメチル)ベンゼンからなる群より選択される少なくとも1つであり;還元剤は、亜鉛、ニッケル、鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム及びスズからなる群より選択される少なくとも1つである);
(B)反応体、還元剤及び光開始剤を非プロトン性の極性溶媒に加えて混合物を形成する工程;並びに
(C)UV光線を照射しつつ、上記混合物を加熱して、パリレンAF4(オクタフルオロ−[2,2]−パラシクロファン)を得る工程
を含む方法。
【請求項7】
工程(B)の非プロトン性の極性溶媒が、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン及びアセトニトリルからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
工程(B)において、還元剤と反応体の重量比(還元剤:反応体)が1:1〜5である、請求項6記載の方法。
【請求項9】
工程(B)において、反応体と溶媒の重量比(反応体:溶媒)が1:1〜30である、請求項6記載の方法。
【請求項10】
工程(C)において、反応温度が50〜250℃である、請求項6記載の方法。
【請求項11】
光開始剤が、ジアゾ化合物、過酸化物、アントラキノン、ホスフィンオキシド及びケトンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項6記載の方法。
【請求項12】
光開始剤と反応体の重量比(光開始剤:反応体)が1:10〜100である、請求項6記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オクタフルオロ−(2,2)−パラシクロファン(パリレンAF4)の調製方法に関し、より詳細には、本発明はパリレンAF4の触媒的又は光触媒的調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空熱分解化学蒸着(CVD)法を使用することによって、パリレンを、優れた均一性、化学安定性及び高度な透明性を有する極めて薄い膜にすることができる。パリレンは、プリント回路基板の電気的絶縁、センサー又は医療機器の湿気防止、電気ユニットの絶縁層、多様な保護膜又は包装材料及び金属被覆の腐食防止の用途において被覆薄膜の形態で広く使用されている。
【0003】
近年、式(1)に示されている構造を有するポリ(テトラフルオロ−パラ−キシレン)(パリレンHT)のようなフッ素化パリレンポリマーの高い融点(約450℃)及び低い誘電率(約2.2)のために、伝統的なパリレンN、パリレンC及びパリレンDと比較して、これは優れた抗UV特性、耐老化性及び熱安定性を有する。
【0004】
【化1】
【0005】
加えて、パリレンHTを種々の不規則な物質表面、例えばガラス、金属、樹脂、プラスチック、セラミック及び紙に被覆することができる。パリレンHTを被覆された製品は、通常、優れた防食、防湿及び絶縁保護性能を有し、極薄く透明でピンホールがないという利点によって、パリレンHTを電子ユニット、自動車産業、太陽エネルギー産業及び半導体産業用低誘電率膜に使用することができる。現在、パリレンHTの被覆はCVDプロセスによって調製される。CVDプロセスの際に、フリーラジカルモノマーが生成され、次に重合されて、物体の表面においてパリレンHTとなる。この方法は、液体被覆法(例えば、浸漬被覆、噴霧被覆、スパッター被覆及びプラズマ被覆)を介した他の一般的な調製と異なる。被覆プロセスは、最初にパリレンAF4(式(2))のようなフッ素化パリレン二量体を気化すること;次に高温熱分解によりフッ素化パラ−キシレンラジカルを形成すること;最終的に被覆基材に付着させること;及び、重合して、被覆物体の表面を一般的にパリレンHTと呼ばれ、式(1)に示されているポリ(テトラフルオロ−パラ−キシレン)にすることを含む。
【0006】
【化2】
【0007】
CVDを介する重合によりパリレンAF4がパリレンHTになる機構は式(3)において示される。
【0008】
【化3】
【0009】
パリレンAF4の多くの合成方法が文献に発表されており、これらは主に、式(4)に示される1,4−ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン(CFB)を使用して、還元剤の亜鉛(Zn)と反応させてパリレンAF4を得る。しかし以前の方法では、望ましくない副産物の形成を防止するため、反応は通常極めて希釈された条件下で実施され、すなわち、大量の溶媒が合成方法に必要であり、したがって、溶媒の購入及び保存、溶媒又は不純物の供給及び除去が、長い反応時間、更なる副産物及びパリレンAF4の精製手順の複雑さと合わさって、調製の価格を上げることになり、これらの方法は大量生産には適していない。
【0010】
【化4】
【0011】
したがって、高い反応体濃度、短い反応時間、低い費用、少ない副産物、容易な精製、良好な再現性及び安定した収率によって特徴付けられるパリレンAF4(オクタフルオロ−[2,2]−パラシクロファン)の調製方法を開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、触媒又は光触媒を使用してパリレンAF4(オクタフルオロ−[2,2]−パラシクロファン)を合成する調製方法を提供し、これは高濃度反応混合物により反応時間を低減し、パリレンAF4の収率を増加することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
目的を達成するために、本発明の触媒を使用する調製方法は、(A)反応体、還元剤及び触媒を準備すること(ここで、反応体は、1,4−ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン(CFB)、1,4−ビス(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン(BFB)及び1,4−ビス(ヨードジフルオロメチル)ベンゼン(IFB)からなる群より選択される少なくとも1つであり;還元剤は、亜鉛、ニッケル、鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム及びスズからなる群より選択される少なくとも1つであり;触媒は、(1)アルカリ金属塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属過酸化物、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属アミド;(2)アルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物;(3)遷移金属塩、遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物及び遷移金属塩含有水和物;(4)両性元素塩、両性元素酸化物、両性元素水酸化物 、両性元素過酸化物及び両性元素塩含有水和物;(5)非金属元素酸及び非金属元素酸化物;(6)ハロゲン;(7)第四級アンモニウム塩の相間移動触媒、第四級ホスホニウム塩の相間移動触媒及びクラウンエーテルの相間移動触媒からなる群より選択される少なくとも1つである);(B)反応体、還元剤及び触媒を非プロトン性の極性溶媒に加えて混合物を形成すること;(C)混合物を加熱して、パリレンAF4(オクタフルオロ−[2,2]−パラシクロファン)を得ることを含む。
【0014】
本発明の光触媒反応による他の調製方法は、(A)反応体及び還元剤を準備すること(ここで、反応体は、1,4−ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン及び1,4−ビス(ヨードジフルオロメチル)ベンゼンからなる群より選択される少なくとも1つであり;還元剤は、亜鉛、ニッケル、鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム及びスズからなる群より選択される少なくとも1つである);(B)反応体及び還元剤を非プロトン性の極性溶媒に加えて混合物を形成すること;(C)UV光線供給源を準備し、混合物を加熱して、パリレンAF4(オクタフルオロ−[2,2]−パラシクロファン)を得ることを含む。ここで、上記の工程(B)は、少なくとも1つの光開始剤を更に含み、これはジアゾ化合物、過酸化物、アントラキノン、ホスフィンオキシド及びケトンからなる群より選択される少なくとも1つである。
【0015】
本発明の調製方法によると、反応体は、CFB、BFB若しくはIFBの単一成分又はCFEとBFB、CFEとIFB若しくはBFBとIBFの2成分混合物又はCFB、BFB及びIFBの3成分混合物でありうる。
【0016】
本発明の調製方法によると、工程(B)において、還元剤の電気化学ポテンシャルは、0.45〜2.5eVの値でなければならず、還元剤は、亜鉛、ニッケル、鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム及びスズからなる群より選択される少なくとも1つであり、ここで亜鉛が好ましい。還元剤と反応体の重量比(還元剤:反応体)は1:1〜5であり、ここで1:1.2〜3.0が好ましい。
【0017】
本発明の方法において、工程(B)における非プロトン性の極性溶媒は、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)及びアセトニトリル(AN)からなる群より選択される少なくとも1つであり、ここでDMACが好ましい。反応体と溶媒の重量比(反応体:溶媒)は1:1〜30であり、ここで1:1.5〜10が好ましい。
【0018】
本発明による触媒を使用する方法では、工程(B)に使用される触媒は、(1)アルカリ金属塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属過酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アミド;(2)アルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物;(3)遷移金属塩、遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物、遷移金属塩含有水和物;(4)両性元素塩、両性元素酸化物、両性元素水酸化物 、両性元素過酸化物、両性元素塩含有水和物;(5)非金属元素酸、非金属元素酸化物;(6)ハロゲン;(7)第四級アンモニウム塩の相間移動触媒、第四級ホスホニウム塩の相間移動触媒及びクラウンエーテルの相間移動触媒からなる群より選択される少なくとも1つであり;ここで、(1)アルカリ金属塩は、アルカリ金属ハロゲン塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属アミン塩、アルカリ金属有機塩、アルカリ金属ホスフィン、アルカリ金属過硫酸塩及びアルカリ金属シュウ酸塩であることが好ましく、CF
3COOLi、LiNH
2、KH
2PO
3、KF、KCl、KBr、KI、CH
3COOK、K
2SO
4、フタル酸水素カリウム(KHP)、カリウムtert−ブトキシド、Na
2SO
4、K
2S
2O
8、K
2CO
3、アクリル酸カリウム、NaCl、NaI、Na
2CO
3、NaNH
2、CH
3COONa、C
2H
5ONa、C
6H
5COONa、CH
3ONa、C
6H
4(OH)COONa、シュウ酸ナトリウム及びCsFがより好ましく、CF
3COOLi、LiNH
2、KH
2PO
3、KF、KCl、KBr、KI、K
2SO
4、K
2S
2O
8、アクリル酸カリウム、NaCl、NaI、Na
2SO
4、NaNH
2、CH
3COONa、CH
3ONa、シュウ酸ナトリウム及びNa
2CO
3が最も好ましく;アルカリ金属酸化物はNa
2Oであることが好ましく;アルカリ金属過酸化物はNa
2O
2であることが好ましく;アルカリ金属水酸化物は、LiOH及びNaOHであることが好ましく、NaOHがより好ましく;アルカリ金属アミドはカリウムフタルイミドであることが好ましく;(2)アルカリ土類金属塩は、アルカリ土類金属ハロゲン塩、アルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩及びアルカリ土類金属硝酸塩であることが好ましく、CaCl
2、CaCO
3、CaSO
4、MgCl
2、MgSO
4、MgCO
3、Ba(NO
3)
2及びBaCl
2がより好ましく、CaCl
2、CaCO
3、MgCl
2、MgSO
4、MgCO
3及びBaCl
2が最も好ましく;アルカリ土類金属酸化物は、MgO及びCaOであることが好ましく;アルカリ土類金属水酸化物はCa(OH)
2であることが好ましく;(3)遷移金属塩は、遷移金属ハロゲン塩、遷移金属酢酸塩、遷移金属硫酸塩、遷移金属硝酸塩及び遷移金属炭酸塩であることが好ましく、Ag
2SO
4、NiCl
2、NiCO
3、CuI
2、ZnSO
4及びZnCl
2がより好ましく、CuI
2が最も好ましく;遷移金属酸化物はZnOであることが好ましく;遷移金属塩含有水和物は、Zn(NO
3)
2・6H
2O、Zn(CH
3COO)
2・2H
2O、Fe(NO
3)
3・9H
2O、FeCl
3・6H
2O、MnSO
4・H
2O、CuCl
2・2H
2O、Cu(NO
3)
2・2.5H
2O及びCoCl
2・6H
2Oであることが好ましく、Zn(NO
3)
2・6H
2O、MnSO
4・H
2O及びCu(NO
3)
2・2.5H
2Oがより好ましく;(4)両性元素塩は、両性元素ハロゲン塩、両性元素硫酸塩及び両性元素硝酸塩であることが好ましく、PbCl
2、Pb(NO
3)
2及びSnCl
2がより好ましく;両性元素酸化物は、PbO及びPb
3O
4であることが好ましく;両性元素水酸化物はAl(OH)
3であることが好ましく;両性元素塩含有水和物は、Pb(CH
3COO)
2・3H
2O及びAl(NO
3)
3・9H
2Oであることが好ましく、Pb(CH
3COO)
2・3H
2Oがより好ましく;(5)非金属元素酸はホウ酸であることが好ましく;非金属元素酸化物はP
2O
5であることが好ましく;(6)ハロゲンは、臭素(Br
2)及びヨウ素(I
2)であることが好ましく;(7)第四級アンモニウム塩の相間移動触媒は、テトラメチルアンモニウムクロリド(PTC−A
1)、フェニルトリメチルアンモニウムクロリド(PTC−A
2)及びベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(PTC−A
3)であることが好ましく、PTC−A
1及びPTC−A
2がより好ましく;第四級ホスホニウム塩の相間移動触媒は、テトラフェニルホスホニウムブロミド(PTC−B
1)及びメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(PTC−B
2)であることが好ましく、PTC−B
1がより好ましく;クラウンエーテルの相間移動触媒は、18−クラウン−6−エーテル、12−クラウン−4−エーテル及び15−クラウン−5−エーテルであることが好ましく、18−クラウン−6−エーテルがより好ましい。触媒と反応体の重量比(触媒:反応体)は1:10〜500である。反応時間を短縮するために、二量体化は、触媒を添加することにより、及び望ましくない副産物の形成を減少することによっても促進することができる。
【0019】
本発明の方法では、工程(C)において、反応温度は50〜250℃であり、80〜200℃が好ましく、100〜135℃がより好ましい。
【0020】
本発明の触媒を使用する方法では、工程(C)において、反応時間は1〜24時間であり、1〜12時間が好ましい。
【0021】
本発明の光触媒反応の方法において、工程(B)は光開始剤を更に含み、光開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなジアゾ化合物;過酸化ベンゾイル(BPO)のような過酸化物;2−エチルアントラキノン(EAQ)のようなアントラキノン;ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(DTBPO)のようなホスフィンオキシド;並びに1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(HCPK)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン(HMPP)、ベンジル−α,α−ジメチルケタール(BDK)及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(MPMPO)のようなケトンからなる群より選択される少なくとも1つであり、ここで光開始剤と反応体の重量比(光開始剤:反応体)は、1:10〜100であり、1:30〜60がより好ましい。
【0022】
本発明のパリレンAF4を調製する方法では、CFB、BFB及びIFBの群から選択される少なくとも1つの反応体を少量の溶媒に加え、還元剤と組み合わせて高濃度反応混合物を形成し、触媒の添加により又は光開始剤での光触媒反応により触媒作用を及ぼし、加熱により反応を促進させて、パリレンAF4を得る。パリレンAF4生成の能力は、高濃度の反応混合物により有意に増加し、したがって、大規模のパリレンAF4製造が大きな商業的利点を約束する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施態様1]
この実施態様は、250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に75mlのDMAC溶媒、15.68g(0.24mol)の還元剤亜鉛末及び0.21g(3.5mmol)の触媒KFを加え、撹拌し、120℃に予熱することを伴う。次に、29.64g(0.12mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を135℃に徐々に増加し、供給時間は約2時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を濾過し、DMACで洗浄する。濾液中の二重結合含有副産物を、過マンガン酸カリウムにより酸化し、濾液を濃縮し、水を、無機物質を除去するために、得られた粗固体に加える。粗固体を濾液から得て、クロロホルム(CHCl
3)から再結晶させて、8.43gの純粋なパリレンAF4(純度99.5%、収率40.28%)を得た。パリレンAF4生成物は分析と一致し、352.0g/molの分子量は、GC/MS分析と一致し、H
1NMRは、δ 7.1ppm(s)であり、F
19 NMRは、δ−118.0ppm(s)である。
【0024】
[実施態様2]
本発明のこの実施態様では、250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に50mlのDMAC溶媒、7.48g(0.12mol)の還元剤亜鉛末及び0.10g(0.6mmol)の触媒KIを加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFB及び1.95g(0.006mol)の反応体BFBの混合物を反応ボトルに滴加し、反応温度を140℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、3.58gのパリレンAF4を得る(純度99.63%、収率31.0%)。
【0025】
[実施態様3]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に150mlのDMSO溶媒、7.84g(0.12mol)の還元剤亜鉛末及び0.10g(0.6mmol)の触媒KIを加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を131℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、パリレンAF4を99.34%の純度及び26.7%の収率で得る。
【0026】
[実施態様4]
1000mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に300mlのDMAC溶媒、125.4g(1.92mol)の還元剤亜鉛末及び1.9g(11.4mmol)の触媒KIを加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、237.0g(0.96mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を142℃に徐々に増加し、供給時間は約3時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、77.2gのパリレンAF4を得る(純度99.7%、収率45.7%)。
【0027】
[実施態様5]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に75mlのDMAC溶媒、15.68g(0.24mol)の還元剤亜鉛末及び0.2g(3.4mmol)の触媒NaClを加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、29.64g(0.12mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を135℃に徐々に増加し、供給時間は約2時間であり、反応を2時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、7.9gのパリレンAF4を得る(純度99.5%、収率37.44%)。
【0028】
[実施態様6]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に75mlのDMAC溶媒、15.68g(0.24mol)の還元剤亜鉛末及び0.2g(1.4mmol)の触媒硫酸ナトリウム(Na
2SO
4)を加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、29.64g(0.12mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を134℃に徐々に増加し、供給時間は約2時間であり、反応を2時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、7.74gのパリレンAF4を得る(純度99.66%、収率36.7%)。
【0029】
[実施態様7]
この実施態様は、250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に50mlのDMAC溶媒、7.84g(0.12mol)の還元剤亜鉛末及び0.63g(15.8mmol)の触媒水酸化ナトリウム(NaOH)を加え、撹拌し、120℃に予熱することを伴う。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を130℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、3.7gのパリレンAF4を得る(純度99.28%、収率35.24%)。
【0030】
[実施態様8]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に50mlのDMAC溶媒、7.84g(0.12mol)の還元剤亜鉛末及び0.10g(2.5mmol)の触媒MgOを加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を130℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を2時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、パリレンAF4を99.39%の純度及び30.10%の収率で得る。
【0031】
[実施態様9]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に75mlのDMAC溶媒、15.68g(0.24mol)の還元剤亜鉛末及び0.20g(1.8mmol)の触媒CaCl
2を加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、29.64g(0.12mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を132℃に徐々に増加し、供給時間は約2時間であり、反応を2時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、8.36gのパリレンAF4を得る(純度99.45%、収率39.81%)。
【0032】
[実施態様10]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に50mlのDMAC溶媒、7.84g(0.12mol)の還元剤亜鉛末及び0.10g(0.59mmol)の触媒MnSO
4・1H
2Oを加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を140℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、パリレンAF4を99.59%の純度及び31.43%の収率で得る。
【0033】
[実施態様11]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に50mlのDMAC溶媒、7.84g(0.12mol)の還元剤亜鉛末及び0.10g(0.32mmol)の触媒CuI
2を加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を140℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、パリレンAF4を99.37%の純度及び30.6%の収率で得る。
【0034】
[実施態様12]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に50mlのDMAC溶媒、7.84g(0.12mol)の還元剤亜鉛末及び0.20g(2.5mmol)の触媒ZnOを加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を132℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を2時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、パリレンAF4を99.6%の純度及び31.00%の収率で得る。
【0035】
[実施態様13]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に50mlのDMAC溶媒、7.84g(0.12mol)の還元剤亜鉛末及び0.10g(1.3mmol)の触媒Al(OH)
3を加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を136℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、パリレンAF4を99.5%の純度及び31.42%の収率で得る。
【0036】
[実施態様14]
本発明のこの実施態様は、250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に75mlのDMAC溶媒、15.68g(0.24mol)の還元剤亜鉛末及び0.28g(1.0mmol)の触媒PbCl
2を加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、29.64g(0.12mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を130℃に徐々に増加し、供給時間は約2時間であり、反応を2時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、7.6gのパリレンAF4を99.46%の純度及び36.2%の収率で得る。
【0037】
[実施態様15]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に75mlのDMAC溶媒、15.68g(0.24mol)の還元剤亜鉛末及び0.20g(0.53mmol)の触媒Pb(CH
3COO)
2・3H
2Oを加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、29.64g(0.12mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を134℃に徐々に増加し、供給時間は約2時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、6.63gのパリレンAF4を99.3%の純度及び31.4%の収率で得る。
【0038】
[実施態様16]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に75mlのDMAC溶媒、15.68g(0.24mol)の還元剤亜鉛末及び0.30g(2.7mmol)の触媒PTC−A
1を加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、29.64g(0.12mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を136℃に徐々に増加し、供給時間は約2時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、8.6gのパリレンAF4を99.45%の純度及び40.76%の収率で得る。
【0039】
[実施態様17]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に75mlのDMAC溶媒、15.68g(0.24mol)の還元剤亜鉛末及び0.50g(1.4mmol)の触媒PTC−B
2を加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、29.64g(0.12mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を140℃に徐々に増加し、供給時間は約2時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、7.53gのパリレンAF4を99.61%の純度及び35.7%の収率で得る。
【0040】
[実施態様18]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に75mlのDMAC溶媒、15.68g(0.24mol)の還元剤亜鉛末及び0.40g(1.5mmol)の触媒18−クラウン−6を加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、29.64g(0.12mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を136℃に徐々に増加し、供給時間は約2時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、8.04gパリレンAF4を99.72%の純度及び38.1%の収率で得る。
【0041】
[実施態様19]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に50mlのDMAC溶媒、7.84g(0.12mol)の還元剤亜鉛末及び0.30g(13mmol)の触媒LiNH
2を加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を136℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、パリレンAF4を99.41%の純度及び40.5%の収率で得る。
【0042】
[実施態様20]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に50mlのDMAC溶媒、7.84g(0.12mol)の還元剤亜鉛末及び0.30g(12.5mmol)の触媒LiOHを加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を136℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、パリレンAF4を99.52%の純度及び29.8%の収率で得る。
【0043】
[実施態様21〜100]
実施態様21〜100の調製方法、反応体、還元剤、触媒、溶媒、及び投与量、反応温度、反応時間並びにパリレンAF4の収率を表1に示す。
【0044】
[実施態様101]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に50mlのDMAC溶媒及び7.84g(0.12mol)の還元剤亜鉛末を加え、UV光線に曝露し、撹拌し、120℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を134℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を20時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、パリレンAF4を99.23%の純度及び33.9%の収率で得る。
【0045】
[実施態様102]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に50mlのDMAC溶媒、7.84g(0.12mol)の還元剤亜鉛末及び0.30g(1.83mmol)の光触媒AIBNを加え、次にUV光線に曝露し、撹拌し、120℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を132℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、パリレンAF4を99.31%の純度及び33.3%の収率で得る。
【0046】
[実施態様103〜115]
実施態様103〜115の調製方法は、実施態様102と同じであり、実施態様103〜115のこれらの反応体、還元剤、光開始剤、溶媒、及び投与量、反応温度、反応時間並びにパリレンAF4の収率を表2に示す。
【0047】
[比較例1]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に100mlのDMAC溶媒及び31.16g(0.48mol)の還元剤亜鉛末を加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、59.28g(0.24mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を130℃に徐々に増加し、供給時間は約2時間であり、反応を26時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、14.50gのパリレンAF4を99.33%の純度及び34.5%の収率で得る。
【0048】
[比較例2]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に50mlのDMAC溶媒、3.24g(0.12mol)の還元剤アルミニウム粉末及び0.10g(0.6mmol)の触媒KIを加え、撹拌し、120℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を138℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を3時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、パリレンAF4を99.45%の純度及び11.8%の収率で得る。
【0049】
[比較例3]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に150mlのAN溶媒、7.84g(0.12mol)の還元剤亜鉛末及び0.10g(0.6mmol)の触媒KIを加え、撹拌し、80℃に予熱する。次に、14.82g(0.06mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を82.5℃に徐々に増加し、供給時間は約1時間であり、反応を20時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、1.06gのパリレンAF4を99.64%の純度及び10.05%の収率で得る。
【0050】
[比較例4]
250mlの三つ首ボトルを準備し、窒素でパージし、次に100mlのDMAC溶媒及び15.68g(0.24mol)の還元剤亜鉛末を加え、UV光線に曝露し、撹拌し、120℃に予熱する。次に、29.64g(0.12mol)の反応体CFBを反応ボトルに滴加し、反応温度を130℃に徐々に増加し、供給時間は約2時間であり、反応を20時間続ける。粗生成物を実施態様1と同じ方法により精製及び分析し、パリレンAF4を99.68%の純度及び35.7%の収率で得る。
【0051】
【表1】
注:幾つかの省略化学名は以下のとおりである。
PTC-A
1 テトラメチルアンモニウムクロリド
PTC-A
2 フェニルトリメチルアンモニウムクロリド
PTC-A
3 ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド
PTC-B
1 テトラフェニルホスホニウムブロミド
PTC-B
2 メチルトリフェニルホスホニウムブロミド
KHP フタル酸水素カリウム
CFB 1,4−ビス(クロロジフルオロメチル)ベンゼン
BFB 1,4−ビス(ブロモジフルオロメチル)ベンゼン
DMAC N,N−ジメチルアセトアミド
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
AN アセトニトリル
C
4H
9KO カリウムtert−ブトキシド
C
3H
3KO
2 アクリル酸カリウム
C
2Na
2O
4 シュウ酸ナトリウム
C
8H
4KNO
2 カリウムフタルイミド
K
2S
2O
8 過硫酸カリウム
Ni-Al-Si ニッケル−シリカに付着させた酸化ニッケル−アルミナである
XERTEX Dohrmann(ドイツの会社)のGC充填
カラム用途の製品
【表2】
注:上記の化学名は以下のとおりである。
AIBN 2,2−アゾビスイソブチロニトリル
HMPP 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン
HCPK 1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン
BDK ベンジルα,α−ジメチルケタール
BPO 過酸化ベンゾイル
DTBPO ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオ
キシド
EAQ 2−エチルアントラキノン
MPMPO 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリ
ノ−プロパン−1−オン
【0052】
本発明は好ましい実施態様に関連して説明されてきたが、特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく他の多くの可能な修正及び変更を行えることが理解される。