(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回動ロック機構による前記第2のユニットの前記閉位置でのロックと連動して、前記シフト機構が、前記一方のギアを、前記退避位置から、前記他方のギアと噛み合う位置に移動させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
前記回動ロック機構による前記第2のユニットの前記閉位置でのロックの解除と連動して、前記シフト機構が前記一方のギアを前記退避位置に移動させることを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
前記回動ロック機構が前記第2のユニットを前記閉位置でロックするときに、前記ロック部も前記第2のユニットを前記閉位置でロックすることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
前記他方のギアを、前記第1の搬送部材または前記第2の搬送部材に対して、前記一方のギアとの噛み合い方向に変位し得るように連結する連結部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1から13までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の実施の形態.
<画像形成装置の構成>
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置100の外観形状を示す斜視図である。画像形成装置100は、アッパカバー1、サイドカバー2,3およびロアカバー4からなる本体カバーを有している。画像形成装置100は、一方向に長い形状を有している。
【0011】
図1において、画像形成装置100の長手方向をX方向とし、幅方向をY方向とする。また、XY面は水平面とする。XY面に直交する方向(鉛直方向)をZ方向とする。なお、これらの定義は、説明の便宜上のものであり、使用時の画像形成装置の向きを限定するものではない。
【0012】
アッパカバー1の前面(+Y方向の面)には、画像形成装置100内に媒体(例えば印刷媒体)7を挿入するための媒体挿入口6が設けられている。また、ロアカバー4上には、媒体挿入口6に挿入される媒体7を案内する案内部としてのステージ5が設けられている。
【0013】
図2は、画像形成装置100から、アッパカバー1、サイドカバー2,3、ロアカバー4およびステージ5を取り外した状態を示す斜視図である。また、
図3は、画像形成装置100の要部を拡大して示す斜視図である。画像形成装置100は、第1のユニットとしてのロアフレームユニット8と、第2のユニットとしてのアッパフレームユニット9とを有している。アッパフレームユニット9は、ロアフレームユニット8に対して、X方向の回動軸Aを中心として回動可能に取り付けられている。
【0014】
ロアフレームユニット8とアッパフレームユニット9との間には、媒体7を搬送する媒体搬送路Fが形成される。ロアフレームユニット8には、媒体搬送路Fに沿って媒体7を搬送するための搬送機構(後述する搬送駆動部17)が設けられている。アッパフレームユニット9には、媒体搬送路Fに沿って搬送される媒体7に画像を形成する印刷ヘッド10を含むキャリッジユニット11(
図4参照)が搭載されている。このように、画像形成装置100は、アッパフレームユニット9とロアフレームユニット8との上下2つのユニットを有している。
【0015】
図4は、アッパフレームユニット9が上方に開放された位置(開位置)にあるときの画像形成装置100を示す斜視図である。ロアフレームユニット8には、媒体7を搬送するフロントローラ対を構成するフロントアッパローラ12とフロントロアローラ13とが配置されている。フロントロアローラ13(
図4では隠れている)は、フロントアッパローラ12の下側(−Z側)に配置されている。フロントアッパローラ12およびフロントロアローラ13は、いずれもX方向の回転軸を有し、互いに反対方向(対向部での表面の移動方向が同じになる方向)に回転する。
【0016】
フロントローラ対よりも−Y側(奥側)には、リアローラ対を構成するリアロアローラ(第1の搬送部材)15が配置されている。また、アッパフレームユニット9において、リアロアローラ15の上側(+Z側)に対向する位置には、リアアッパローラ(第2の搬送部材)14が配置されている。リアアッパローラ14およびリアロアローラ15は、いずれもX方向の回転軸を有し、互いに反対方向(対向部での表面の移動方向が同じになる方向)に回転する。
【0017】
図3に示すように、フロントローラ対12,13およびリアローラ対14,15の各回転軸の−X側の端部には、ギア16a,16b,16c,16dが取り付けられている(ギア16cは、
図3では隠れているが、
図4に示されている)。フロントアッパローラ12のギア16aと、フロントロアローラ13のギア16bとは、互いに噛み合っている。リアアッパローラ14のギア(第2のギア)16cと、リアロアローラ15の(第1のギア)ギア16dとは、互いに噛み合っている。
【0018】
図3に示すように、フロントロアローラ13のギア16bと、リアロアローラ15のギア16dとの間には、これらに噛み合う伝達ギア16eが設けられている。この伝達ギア16eは、減速ギア16fを介して、ロアフレームユニット8内に設けられた搬送モータ18に連結されている。これにより、搬送モータ18の駆動力がギア16a〜16dに伝達され、フロントローラ対12,13およびリアローラ対14,15が、媒体7を+Y方向または−Y方向に搬送するように回転する。ロアフレームユニット8に配設された搬送モータ18、ギア16a,16b,16d,16e,16eは、搬送駆動部17(
図3に一点鎖線で示す)を構成している。
【0019】
図4に示すように、媒体7の搬送方向(Y方向)において、フロントローラ対12,13とリアローラ対14,15との間には、X方向に長いプラテン19が配置されている。
【0020】
アッパフレームユニット9において、プラテン19の上方(+Z方向)に対向する位置に、X方向を軸方向とするキャリッジシャフト21が取り付けられている。キャリッジシャフト21には、キャリッジユニット11がX方向に移動可能に取り付けられている。
【0021】
キャリッジユニット11は、媒体7に画像を形成するヘッド部としての印刷ヘッド10が搭載されている。この印刷ヘッド10は、プラテン19に対向する側にヘッドノーズを有している。
【0022】
アッパフレームユニット9には、また、インクリボンを収容したインクリボンカセット51(
図2)が着脱可能に取り付けられている。インクリボンカセットは、インクリボンを、キャリッジユニット11に着脱可能に取り付けられたリボンガイド52を介し、印刷ヘッド10のヘッドノーズのプラテン19側を通って走行するように案内している。印刷ヘッド10とインクリボンカセットの構成は公知であるため、詳細説明を省略する。
【0023】
キャリッジユニット11をX方向に移動させるため、アッパフレームユニット9には、ベルト体28と、ベルト体28が張架された駆動プーリ29および従動プーリ(図示せず)とが配設されている。ベルト体28はキャリッジユニット11に固定されている。また、駆動プーリ29は、アッパフレームユニット9に取り付けられたキャリッジ駆動モータ27(
図2)によって回転駆動される。
【0024】
キャリッジ駆動モータ27の駆動力によって駆動プーリ29が回転すると、ベルト体28が走行し、キャリッジユニット11がキャリッジシャフト21に沿ってX方向に移動する。なお、キャリッジユニット11の可動範囲には、媒体搬送路FのX方向外側に位置するスタンバイ位置が設けられている。
【0025】
このようにキャリッジユニット11をX方向に移動させながら、印刷ヘッド10のヘッドノーズからワイヤが突出し、プラテン19に衝突する。プラテン19とワイヤとの間には媒体7およびインクリボンがあり、この衝突動作によりインクリボンのインクが媒体7に転写される。これにより、媒体7上にX方向の1次元画像(ラインイメージ)が形成される。そして、上述したフロントローラ対12,13およびリアローラ対14,15によって媒体7を順次Y方向に搬送することにより、媒体7上に2次元画像が形成される。
【0026】
次に、アッパフレームユニット9をロアフレームユニット8に対して回動(開放/閉鎖)させるための構成について説明する。
【0027】
上述したように、アッパフレームユニット9は、X方向の回動軸Aを中心として回動可能であり、ロアフレームユニット8上に位置する閉位置(
図2)と、上方に回動した開位置(
図4)との間で回動する。アッパフレームユニット9が閉位置にあるときには、アッパフレームユニット9とロアフレームユニット8との間に媒体搬送路Fが形成される。一方、アッパフレームユニット9が開位置にあるときには、媒体搬送路Fが開放される。
【0028】
アッパフレームユニット9の+X側(
図4の左側)には、回動ロック機構としてのチルトレバー22が取り付けられている。また、アッパフレームユニット9の−X側(
図4の右側)には、回動係止部材としてのロックレバー23が取り付けられている。
【0029】
図5(A)は、アッパフレームユニット9を+X側から見た図であり、
図5(B)は、アッパフレームユニット9を−X側から見た図である。
【0030】
図5(A)に示すように、チルトレバー22は、アッパフレームユニット9のサイドプレート91の外側に、図示しない軸受部を介して回動可能に取り付けられている。チルトレバー22は、また、アッパフレームユニット9に取り付けられたキャリッジシャフト21に固定されている。キャリッジシャフト21の+X方向の端部は、D字断面を有するように加工されている(
図6参照)。チルトレバー22は、キャリッジシャフト21の当該端部に係合するD字形状の係合穴(図示せず)を有している。これにより、チルトレバー22は、キャリッジシャフト21と一体となって、当該キャリッジシャフト21の中心軸Bを中心として回動する。
【0031】
チルトレバー22は、ロアフレームユニット8の+X側の側面に形成されたボス24a(係合部)に順次係合する溝部22a〜22c(
図5では第1溝部22aのみ表れている)を有している。溝部22a〜22cとボス(係合部)24aとの係合により、チルトレバー22は、アッパフレームユニット9の回動を案内し、またはロックする。
【0032】
チルトレバー22は、
図5(A)に実線で示す回動位置にあるときには、後述するようにアッパフレームユニット9をロアフレームユニット8に対して閉位置でロックする。また、
図5(A)に破線で示す回動位置にあるときには、後述するようにアッパフレームユニット9のロックを解除する。
【0033】
図5(B)に示すように、ロックレバー23は、アッパフレームユニット9のサイドプレート92に、図示しない軸受部を介して回動可能に取り付けられている。ロックレバー23は、また、キャリッジシャフト21に固定されている。キャリッジシャフト21の−X方向の端部は、D字断面を有するように加工されており、ロックレバー23は、キャリッジシャフト21の当該端部に係合するD字形状の係合穴を有している。これにより、ロックレバー23は、キャリッジシャフト21と一体となって、当該キャリッジシャフト21の中心軸Bを中心として回動する。
【0034】
ロックレバー23は、ロアフレームユニット8の−X側の側面に形成されたボス24b(係合部)に係合する係合溝23aを有している。係合溝23aとボス24bとの係合により、ロックレバー23は、アッパフレームユニット9の回動をロックする。
【0035】
ロックレバー23は、
図5(B)に実線で示す回動位置にあるときには、係合溝23aがボス24aに係合することにより、アッパフレームユニット9をロアフレームユニット8に対して閉位置でロックする。また、
図5(B)に破線で示す回動位置にあるときには、係合溝23aがボス24aから外れることにより、アッパフレームユニット9のロックを解除する。
【0036】
図6は、アッパフレームユニット9が閉位置にあるときのチルトレバー22を、サイドプレート91の内側(−X側)から見た図である。チルトレバー22には、ロアフレームユニット8のボス24aに係合する第1溝部22a(第1の部分)が形成されている。第1溝部22aは、キャリッジシャフト21の中心軸Bを中心とした円弧状に延在している。
【0037】
アッパフレームユニット9が閉位置にあるときには、チルトレバー22の第1溝部22aが、ロアフレームユニット8のボス24aに係合している。この状態でアッパフレームユニット9を、回動軸Aを中心として上方に回動させようとしても、チルトレバー22の第1溝部22aとボス24aとの係合により、アッパフレームユニット9は上方に回動しない。すなわち、アッパフレームユニット9は、閉位置でロックされた状態となる。
【0038】
図7は、
図6の状態から、チルトレバー22を、図中時計回りに所定角度(ここでは25°)回動させた状態を示す図である。チルトレバー22は、第1溝部22aの終端から、回動軸Aを中心とした円弧状に下方に延在する第2溝部22b(第2の部分)を有している。
【0039】
チルトレバー22の回動によって第1溝部22aがボス24aから外れると、アッパフレームユニット9のロックが解除され、開位置に向けた回動が可能となる。アッパフレームユニット9を回動軸Aを中心として上方に回動させると、チルトレバー22の第2溝部22bがボス24aに沿って移動する。
【0040】
図8は、アッパフレームユニット9を開位置まで回動させたときのチルトレバー22を示す図である。アッパフレームユニット9を開位置まで回動させると、第2溝部22bの終端(下端)がボス24aに達する。
【0041】
図9は、
図8の状態から、チルトレバー22を、図中時計回りに所定角度(ここでは5°)回動させたときのチルトレバー22を示す図である。チルトレバー22は、第2溝部22bの終端(下端)から、キャリッジシャフト21の中心軸Bを中心とした円弧状に延在する第3溝部22c(第3の部分)を有している。
【0042】
アッパフレームユニット9が開位置に達し、さらにチルトレバー22を所定角度回動させることにより、チルトレバー22の第3溝部22cがロアフレームユニット8のボス24aに係合する。この状態では、チルトレバー22の第3溝部22cとボス24aとの係合により、アッパフレームユニット9は下方に回動しない。すなわち、アッパフレームユニット9は、開位置でロックされた状態となる。
【0043】
ここで、チルトレバー22の回動方向については、
図6〜
図9における時計回り方向を、正転方向(D1方向)とし、その反対方向(
図6〜
図9における反時計回り方向)を、反転方向(D2方向)と称する。
【0044】
次に、アッパフレームユニット9を閉位置に戻す際に、ギア同士の衝突を防止するための構成について説明する。
【0045】
上述した各ローラ12,13,14,15のうち、フロントローラ対12,13は共にロアフレームユニット8に取り付けられているが、リアローラ対14,15は、一方(リアアッパローラ14)がアッパフレームユニット9に取り付けられ、他方(リアロアローラ15)がロアフレームユニット8に取り付けられている。そのため、アッパフレームユニット9を閉位置に戻す際に、ギア16cとギア16dとの衝突を防止する必要がある。そこで、本実施の形態では、ギア16cとギア16dの衝突を防止するため、以下の構成を設けている。
【0046】
図10および
図11は、ギア16cの取り付け構造を示す分解斜視図および斜視図である。リアアッパローラ14のギア16cは、X方向に移動可能に支持されている。ギア16cをX方向に移動させることで、アッパフレームユニット9を閉位置に戻す際にギア16cとギア16dとの衝突を回避できるからである。
【0047】
すなわち、リアアッパローラ14のシャフト14aの端部(ギア保持部)は、D字断面を有するように加工されている。ギア16cは、シャフト14aの端部(D字断面部)に、軸方向に摺動可能に係合するD字形状の係合穴(図では隠れている)を有している。シャフト14aのD字断面部は、ギア16cのX方向の可動範囲をカバーするだけの長さを有している。これにより、ギア16cは、リアアッパローラ14のシャフト14aに沿ってX方向に移動可能であると共に、リアアッパローラ14と一体となって回動する。
【0048】
リアアッパローラ14のシャフト14aを囲むように、ギア16cを−X方向に付勢する付勢手段としてのコイルバネ26が配設されている。コイルバネ26は、X方向を巻き軸方向とし、一端がシャフト14aに当接し、他端が、アッパフレームユニット9に設けられたシャフト保持部9aに当接している。
【0049】
また、ギア16cがリアアッパローラ14のシャフト14aから完全に外れないよう、アッパフレームユニット9には、ギア16cの−X方向の移動限界を規制するストッパ9b(
図11)が設けられている。
【0050】
アッパフレームユニット9の開閉に応じてギア16cをX方向に移動させるため、キャリッジシャフト21の−X側の端部近傍には、シフト機構としてのカム部材25(
図4)が取り付けられている。
【0051】
図12は、カム部材25を示す斜視図である。カム部材25は、全体として、X方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。より具体的には、カム部材25は、略円筒状の外周面25aと、その+X方向の端部に設けられた円板部25bとを有している。円板部25bの略中央には、キャリッジシャフト21のD字断面部に係合するD字形状の係合穴25cが形成されている。これにより、カム部材25はキャリッジシャフト21と一体となって、当該キャリッジシャフト21の中心軸Bを中心として回動する。
【0052】
カム部材25は、キャリッジシャフト21と一体となって(従ってチルトレバー22と一体となって)回動するため、チルトレバー22が正転方向(D1方向)に回動するときには、カム部材25も同じ正転方向(D1方向)に回動し、チルトレバー22が反転方向(D2方向)に回動するときには、カム部材25も同じ反転方向(D2方向)に回動する。
【0053】
カム部材25は、外周面25aよりも半径方向内側に退避した凹部25eと、外周面25aよりも半径方向外側に突出した突出部25fとを有している。凹部25eと突出部25fとの間には、カム面25dが形成されている。カム面25dは、カム部材25正転方向(D1方向)に回動するにつれて+X方向に変位するような傾斜を有している。
【0054】
図13(A)は、カム部材25を+X側から見た図である。
図13(B)は、カム面25dのカム曲線を示す図である。チルトレバー22が
図6に示す位置にあるとき(すなわちアッパフレームユニット9が閉位置でロックされているとき)のカム部材25の回動角度を0°(基準角度)とする。カム部材25の回動角度が基準角度(0°)であるときに、中心軸Bとカム部材25の最下点とを結ぶ直線Lを基準とすると、カム面25dは、直線Lに対して−5°から25°までの角度範囲に形成されている。
【0055】
図14(A)は、リアアッパローラ14のギア16cと、リアロアローラ15のギア16dと、カム部材25との関係を示す斜視図である。
図14(B)は、カム部材25とギア16cとの当接部の近傍を上方(+Z側)から見た図である。
【0056】
リアロアローラ15のギア16dは、リアロアローラ15のシャフト15aに、ユニバーサルジョイント15b(連結部材)を介して取り付けられている。これは、厚い媒体7が
リアアッパローラ14とリアロアローラ15との間に侵入してきた場合に、ローラ間が離間しても、ギア16cとギア16dとの噛み合いが外れないようにするためである。
【0057】
この
図14(A)および(B)は、アッパフレームユニット9が閉位置でロックされているときの状態を示している。カム部材25の回動角度は、上述した基準角度(
図13に示した0°)である。このようにカム部材25の回動角度が0°であるときには、ギア16cは、カム部材25の凹部25e内に位置し、カム面25dに対向している。但し、ギア16cはストッパ9bに当接しており、
図14(B)に円で囲って示すように、ギア16cとカム面25dとは接触していない。
【0058】
図15(A)は、
図14に示した状態から、カム部材25が正転方向(D1方向)に回動した状態を示す斜視図である。
図15(B)は、カム部材25とギア16cとの当接部の近傍を上方(+Z側)から見た図である。カム部材25が基準角度から正転方向(D1方向)に2°回動すると、カム部材25のカム面25dがギア16cに接触する。
【0059】
カム部材25がさらに正転方向(D1方向)に回動すると、カム部材25のカム面25dがギア16cを+X方向に付勢する。これにより、ギア16cは、コイルバネ26の付勢力に抗して、+X方向に移動する。
【0060】
図16(A)は、カム部材25がさらに正転方向(D1方向)に回動した状態を示す斜視図である。
図16(B)および(C)は、カム部材25とギア16cとの当接部の近傍をそれぞれ上方(+Z側)および前方(+Y側)から見た図である。カム部材25の基準角度からの回動角度が20°に達すると、カム部材25のカム面25dに付勢されたギア16cが、ギア16dとの噛み合いから外れる。回動角度が25°に達すると、
図16(C)に円で囲って示すように、ギア16cとギア16dとの噛み合いが完全に外れ、両ギアが離間した状態となる。
【0061】
カム部材25の正転方向の回動角度が25°に達するのは、
図7に示すようにチルトレバー22の第1溝部22aがボス24aから外れ、なお且つ、ロックレバー23の係合溝23aがボス24bから外れたとき、すなわち、アッパフレームユニット9の閉位置でのロックが解除されたときである。従って、アッパフレームユニット9の閉位置でのロックが解除されるときには、リアアッパローラ14のギア16cとリアロアローラ15のギア16dとの噛み合いが外れていることになる。
【0062】
その後、アッパフレームユニット9が閉位置から開位置まで回動する際には、チルトレバー22は回動操作されないため、カム部材25の中心軸Bを中心とする回動位置は変化しない。従って、ギア16cはギア16dに対して+X方向にシフトした位置で保持される。
【0063】
また、アッパフレームユニット9が開位置に到達した後、
図9に示すように、アッパフレームユニット9を開位置でロックするためにチルトレバー22を正転方向(D1方向)に回動させる際には、カム部材25は回動するが、カム部材25のギア16cとの当接部がカム面25dの終端から突出部25fの平坦面(
図13)に移るだけであるため、ギア16cの位置は変化しない。すなわち、ギア16cは、ギア16dに対して+X方向にシフトした位置で保持される。
【0064】
また、アッパフレームユニット9が開位置から閉位置まで回動する際には、チルトレバー22は回動操作されないため、カム部材25の中心軸Bを中心とする回動位置は変化しない。従って、ギア16cは、ギア16dに対して+X方向に変位した位置で保持される。
【0065】
そのため、アッパフレームユニット9が閉位置に戻ったときには、アッパフレームユニット9のギア16cは、ロアフレームユニット8のギア16dに対して、+X方向にシフトした位置にある。従って、アッパフレームユニット9を閉位置に戻す際にギア16cとギア16dとが衝突することはない。
【0066】
その後、アッパフレームユニット9を閉位置でロックするためにチルトレバー22を反転方向(D2方向)に回動させると、
図15に示すように、カム部材25が反転方向(D2方向)に回動する。カム部材25が反転方向(D2方向)に回動すると、カム面25dとギア16cとの当接位置が−X方向に移動するため、ギア16cは、コイルバネ26の付勢力により−X方向に移動する。
【0067】
カム部材25の回動角度が基準角度に対して20°まで戻ると、ギア16cとギア16とが噛み合いを開始する。カム部材25の回動角度が基準角度に対して2°まで戻ると、
図14に示すようにギア16cがストッパ9bに当接する。この状態で、ギア16cとギア16とは、完全に噛み合った状態となる。カム部材25の回動角度が0°(基準角度)まで戻ると、カム部材25がギア16cから所定距離だけ離間する。
【0068】
<画像形成装置の動作>
まず、画像形成装置100の動作(印刷動作)について、説明する。
図1において、使用者は、印刷用紙等の媒体7を、ステージ5に沿って媒体挿入口6から挿入する。媒体7が、媒体挿入口6の奥に配置された図示しない媒体センサに検知されると、搬送モータ18が回転を開始する。搬送モータ18の回転は、
図3および
図4に示したギア16a〜16dに伝達され、フロントローラ対12,13およびリアローラ対14,15がそれぞれ回転し、媒体7を−Y方向(後方)に搬送する。
【0069】
媒体7の前端がプラテン19上を通過するタイミングで、キャリッジ駆動モータ27(
図3)が回転を開始し、
図4に示したキャリッジユニット11をX方向に移動させる。キャリッジユニット11がX方向に移動している間、印刷ヘッド10のヘッドノーズからワイヤが突出してプラテン19に衝突し、この衝突動作によりインクリボンのインクが媒体7に転写される。これにより、媒体7上にX方向のラインイメージ(1次元画像)が形成される。
【0070】
このようにX方向のラインイメージを形成しながら、フロントローラ対12,13およびリアローラ対14,15によって媒体7を順次Y方向に搬送する。これにより、媒体7上に2次元画像が形成される。
【0071】
媒体7の後端が上記媒体センサを通過してから所定時間(すなわち媒体7の後端がプラテン19を通過するまでの時間)が経過すると、キャリッジユニット11をスタンバイ位置まで移動させる。そして、フロントローラ対12,13およびリアローラ対14,15が媒体7を+Y方向(前方)に搬送し、媒体挿入口6から排出する。これにより媒体7への印刷動作が完了する。
【0072】
<媒体ジャムが発生した場合の操作>
上記の印刷動作において、媒体7のジャム(詰まり)が発生する場合がある。この場合、使用者は、まず画像形成装置100のアッパカバー1(
図1)を取り外す。アッパカバー1の取り外しにより、
図4に示すようにチルトレバー22が外部に露出し、チルトレバー22の回動操作が可能となる。
【0073】
次に、使用者は、チルトレバー22を後方(−Y側)に倒すようにして、キャリッジシャフト21の中心軸Bを中心として正転方向(D1方向)に回動させる。チルトレバー22の回動に伴い、
図6に示すように、(キャリッジシャフト21の中心軸Bを中心とする円弧状の)チルトレバー22の第1溝部22aが、ロアフレームユニット8のボス24aに沿って移動し、次に、チルトレバー22の第2溝部22bがボス24aに係合する。
【0074】
一方、
図5(B)に示したロックレバー23は、チルトレバー22と連動して、キャリッジシャフト21の中心軸Bを中心として回動する。チルトレバー22の第1溝部22aがボス24aから外れるのとほぼ同時に、ロックレバー23の係合溝23aがボス24bから外れる。これにより、アッパフレームユニット9の閉位置でのロックが解除される。
【0075】
アッパフレームユニット9のロックが解除される際、ギア16cとギア16dとの噛み合い状態が、以下のようにして切り換えられる。
【0076】
まず、チルトレバー22の正転方向(D1方向)の回動に伴い、キャリッジシャフト21自身も中心軸Bを中心として回動する。そのため、キャリッジシャフト21に取り付けられたカム部材25も、当該中心軸Bを中心として正転方向(D1方向)に回動する。
【0077】
カム部材25が基準角度(
図13に示した0°)から正転方向(D1方向)に2°回動すると、
図15に示すように、カム部材25のカム面25dが、リアアッパローラ14のギア16cに当接する。カム部材25がさらに正転方向(D1方向)に回動すると、カム部材25のカム面25dがギア16cを+X方向に付勢し、ギア16cがコイルバネ26の付勢力に抗して+X方向に移動する。
【0078】
カム部材25の基準角度からの回動角度が20°に達すると、ギア16cとギア16dとの噛み合いが外れる。回動角度が25°に達すると、
図16に示すように、ギア16cとギア16dとの噛み合いが完全に外れ、両ギアが離間した状態となる。
【0079】
このように、アッパフレームユニット9の閉位置でのロックが解除されるのと同時に、ギア16cとギア16dとの噛み合いが外れる。
【0080】
そののち、使用者は、
図7に示すように、アッパフレームユニット9を、回動軸Aを中心として上方に回動させる。これに伴い、チルトレバー22の第2溝部22bが、ロアフレームユニット8のボス24aに沿って移動する。そして、アッパフレームユニット9の回動が進むと、第2溝部22bの下端がボス24aに到達する。
【0081】
そして、
図8に示すように、チルトレバー22の第2溝部22bの下端がボス24aに到達すると、それ以上アッパフレームユニット9は上方に回動しない。この状態で、使用者は、チルトレバー22を、再びキャリッジシャフト21の中心軸Bを中心として正転方向(D1方向)に回動させる。
【0082】
チルトレバー22を、上記中心軸Bを中心として正転方向(D1方向)に5°回動させることにより、
図9に示すように、チルトレバー22の第3溝部22cが、ロアフレームユニット8のボス24aに係合する。これにより、アッパフレームユニット9の回動がロックされ、アッパフレームユニット9は開位置で保持される。このとき、チルトレバー22は、開位置のアッパフレームユニット9を支えるステーとして機能する。
【0083】
このようにアッパフレームユニット9を開位置で保持することで、リアアッパローラ14とリアロアローラ15との間を開放し、またキャリッジユニット11とプラテン19との間を開放することができる。使用者は、ジャムを生じた媒体7を、リアアッパローラ14とリアロアローラ15との間、またはキャリッジユニット11とプラテン19との間から、簡単に除去することができる。
【0084】
ジャムを生じた媒体7の除去が完了すると、使用者は、再び、アッパフレームユニット9を開位置から閉位置に戻す。
【0085】
すなわち、使用者は、まず、
図9に示した状態から、チルトレバー22を、キャリッジシャフト21の中心軸Bを中心として反転方向(D2方向)に回動させる。チルトレバー22の回動に伴い、ロアフレームユニット8のボス24aに、チルトレバー22の第3溝部22cが第2溝部22bに係合する。その結果、アッパフレームユニット9の開位置でのロックが解除される。
【0086】
次に、使用者は、アッパフレームユニット9を、回動軸Aを中心として下方に回動させる。これに伴い、
図8に示すように、ロアフレームユニット8のボス24aに沿って、チルトレバー22の第2溝部22bが移動する。
【0087】
アッパフレームユニット9が閉位置に達すると、
図7に示すように、チルトレバー22の第2溝部22bの上端が、ロアフレームユニット8のボス24aに達する。
【0088】
アッパフレームユニット9が閉位置に戻ったとき、アッパフレームユニット9に設けられたギア16cは、上述したように、ギア16dに対して+X方向にシフトした位置にある。そのため、アッパフレームユニット9に取り付けられたギア16cの歯先と、ロアフレームユニット8に取り付けられたギア16dの歯先とが衝突することがない。従って、ギア16c,16dの損傷が防止される。
【0089】
次に、使用者は、チルトレバー22を反転方向(D2方向)に回動させる。このとき、
図6に示すように、チルトレバー22の第1溝部22aが、ロアフレームユニット8のボス24aに係合する。
【0090】
一方、ロックレバー23は、チルトレバー22と連動して、キャリッジシャフト21の中心軸Bを中心として回動する。チルトレバー22の第1溝部22aがボス24aに係合するのとほぼ同時に、ロックレバー23の係合溝23aがボス24bに係合する。これにより、アッパフレームユニット9が閉位置でロックされる。
【0091】
アッパフレームユニット9が閉位置でロックされる際、ギア16cとギア16dとの噛み合い状態が、以下のようにして切り換えられる。
【0092】
すなわち、チルトレバー22が反転方向(D2方向)に回動すると、カム部材25も当該中心軸Bを中心として反転方向(D2方向)に回動する。カム部材25が中心軸Bを中心として反転方向(D2方向)に回動すると、カム面25dとギア16cとの当接位置が−X方向に移動するため、ギア16cは、コイルバネ26の付勢力により−X方向に移動する。
【0093】
カム部材25の回動角度が基準角度に対して20°まで戻ると、ギア16cとギア16dとが噛み合いを開始する。カム部材25の回動角度が基準角度に対して2°まで戻ると、ギア16cはストッパ9bに当接して−X方向の移動を停止する。この状態で、
図14に示したように、ギア16cとギア16dとは完全に噛み合う。カム部材25の回動角度が基準角度(0°)に戻った時点で、カム部材25のカム面25dがギア16cから所定距離だけ離間する。
【0094】
ギア16cとギア16dとが噛み合うことで、搬送モータ18の駆動力がギア16a〜16dの全てに伝達可能となる。すなわち、フロントローラ対12,13とリアローラ対14,15による媒体7の搬送と、媒体7に対する印刷が可能な状態となる。
【0095】
以上の一連の動作は、インクリボンカセットの取り付けおよび取り外しの際にも、同様に行われる。
【0096】
<第1の実施の形態の効果>
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、アッパフレームユニット9をロアフレームユニット8に対して閉位置に移動させるときには、シフト機構としてのカム部材25により、ギア16cを、ギア16dと噛み合わない位置(退避位置)で保持しているため、ギア16cとギア16dとの衝突を防止することができる。その結果、ギア16c,16dの破損を防止することができる。
【0097】
また、チルトレバー22がアッパフレームユニット9の閉位置でのロックを解除する動作と連動して、カム部材25がギア16cをギア16dと噛み合わない退避位置に移動させるため、使用者は、ギア16cを退避位置に移動させるための操作を別途行う必要がない。
【0098】
さらに、チルトレバー22がアッパフレームユニット9を閉位置でロックする動作と連動して、カム部材25がギア16cをギア16dと噛み合う位置に移動させるため、アッパフレームユニット9を閉位置に戻してから、速やかに印刷動作を行うことができる。
【0099】
また、カム部材25が、ギア16cをその回転軸の方向(X方向)に移動させるようにしたため、ギア16cとギア16dとの噛み合い状態の切り替えを、比較的簡単な構成で実現することができる。
【0100】
また、チルトレバー22が、アッパフレームユニット9に回動可能に取り付けられ、ロアフレームユニット8のボス24に係合する溝部22a〜22cを有しているため、チルトレバー22によりアッパフレームユニット9の回動を操作し、またロックすることができる。
【0101】
さらに、チルトレバー22が、アッパフレームユニット9を開位置で支持するステー機能を有しているため、アッパフレームユニット9を開位置で支持する別部材を設ける必要がない。
【0102】
また、カム部材25が、キャリッジユニット11を案内するキャリッジシャフト21に取り付けられているため、簡単な構成で、チルトレバー22によるアッパフレーム
ユニット9のロック動作/解除動作と、カム部材25によるギア16cの移動動作とを連動させることができる。
【0103】
第2の実施の形態.
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態で説明したカム部材25とロックレバー23とを一体に構成している。第2の実施の形態における画像形成装置は、カム部材とロックレバーとを一体に構成したことを除き、第1の実施の形態における画像形成装置と同様の構成を有している。
【0104】
図17は、第2の実施の形態の画像形成装置の要部を拡大して示す斜視図である。
図17に示すように、アッパフレームユニット9のサイドプレート92の外側には、第1の実施の形態で説明したロックレバー23は設けられていない。
【0105】
図18は、画像形成装置のアッパフレームユニット9を開放した状態を示す斜視図である。アッパフレームユニット9内には、第1の実施の形態で説明したカム部材25とロックレバー23とを一体に構成した、ロックレバー兼用カム部材75(以下、カム部材75と称する)が設けられている。
【0106】
図19は、カム部材75の形状を示す斜視図である。
図20は、カム部材75の正面図(A)と、カム曲線図(B)である。
図19に示すように、カム部材75は、X方向を軸方向とする略円筒形状の円筒部75Aと、その円筒部75Aから半径方向に突出するロックレバー部75Bとを有している。円筒部75Aは、略円筒状の外周面75aと、その+X方向の端部に設けられた円板部75bとを有している。円板部75bの略中央には、キャリッジシャフト21の端部に係合する係合穴75cが形成されている。これにより、カム部材75は、第1の実施の形態のカム部材25と同様、キャリッジシャフト21と一体となって、当該キャリッジシャフト21の中心軸Bを中心として回動する。
【0107】
ロックレバー部75B(ロック部)は、カム部材75の回動中心(上述した中心軸B)から回転半径方向に延在している。ロックレバー部75Bの先端には、中心軸Bを中心とする円弧状に形成された係合溝75gが形成されている。
【0108】
ロックレバー部75Bの係合溝75gは、アッパフレームユニット9が閉位置にあるときに、
図18に示したロアフレームユニット8のボス74に係合して、アッパフレームユニット9を閉位置でロックするものである。
【0109】
カム部材75の円筒部75Aには、外周面75aよりも半径方向内側に退避した凹部75eと、外周面75aよりも半径方向外側に突出した突出部75fとが形成されている。凹部75eと突出部75fとは、カム面75dが形成されている。これら凹部75e、突出部75fおよびカム面75dは、第1の実施の形態で説明した凹部25e、突出部25fおよびカム面25dと同様に構成されている。
【0110】
図20(B)に示すカム面75dのカム曲線は、第1の実施の形態で説明したカム面25dのカム曲線(
図13(B))と同じである。すなわち、カム部材75が基準角度(0°)から正転方向(D1方向)に2°回動すると、カム部材75のカム面75dがギア16cに接触する。カム部材75の基準角度からの回動角度が20°に達すると、カム部材75のカム面75dに付勢されたギア16cとギア16dとの噛み合いが外れる。回動角度が25°に達すると、ギア16cとギア16dとの噛み合いが完全に外れ、両ギアが離間した状態となる。
【0111】
図21(A)は、アッパフレームユニット9を+X側から見た図である。
図21(B)は、アッパフレームユニット9を−X側から見た図である。第1の実施の形態で説明したように、チルトレバー22は、
図21(A)に実線で示す回動位置にあるときには、アッパフレームユニット9を閉位置でロックする。また、
図21(A)に破線で示す回動位置において、アッパフレームユニット9の閉位置でのロックを解除する。
【0112】
カム部材75のロックレバー部75Bは、
図21(B)に実線で示す回動位置にあるときには、係合溝75gがボス74に係合することにより、アッパフレームユニット9を閉位置でロックする。また、
図21(B)に破線で示す回動位置にあるときには、係合溝75gがボス74から外れることにより、アッパフレームユニット9のロックを解除する。
【0113】
なお、第2の実施の形態のボス74は、第1の実施の形態のボス24b(
図5)と比較して、より+Y側で、且つ+Z側に配設されている。第2の実施の形態のロックレバー部75Bは、アッパフレームユニット9のサイドプレート92よりも内側に配置されているため、ギア16cとの干渉を避ける必要があるためである。
【0114】
図22(A)は、アッパフレームユニット9が閉位置でロックされているときのリアアッパローラ14のギア16cと、リアロアローラ15のギア16dと、カム部材75との関係を示す斜視図である。
図22(B)は、カム部材75とギア16cとの当接部の近傍を上方(+Z側)から見た図である。
【0115】
このときのカム部材75の回動角度は、上述した基準角度(
図20に示した0°)である。カム部材75の回動角度が0°であるときには、ギア16cは、カム部材75の凹部75e内に位置し、カム面75dに対向している。但し、
図22(C)に示すように、ギア16cとカム面75dとは接触していない。
【0116】
アッパフレームユニット9の閉位置でのロックの解除は、第1の実施の形態で説明したように行われる。このとき、ギア16cとギア16dとの噛み合い状態が、以下のようにして切り換えられる。
【0117】
図23(A)は、
図22に示した状態から、カム部材75が正転方向(D1方向)に回動した状態を示す斜視図である。
図23(B)は、カム部材75とギア16cとの当接部の近傍を上方(+Z側)から見た図である。カム部材75が基準角度から正転方向(D1方向)に2°回動すると、カム部材75のカム面75dがギア16cに接触する。
【0118】
カム部材75がさらに正転方向(D1方向)に回動すると、カム部材75のカム面75dがギア16cを+X方向に付勢する。これにより、ギア16cは、コイルバネ26の付勢力に抗して、+X方向に移動する。
【0119】
図24(A)は、カム部材75がさらに正転方向(D1方向)に回動した状態を示す斜視図である。
図24(B)は、カム部材75とギア16cとの当接部の近傍を上方(+Z側)から見た図である。
図24(C)は、カム部材75とギア16cとの当接部の近傍を前方(+Y側)から見た図である。
【0120】
カム部材75の基準角度からの回動角度が20°に達すると、カム部材75のカム面75dに付勢されたギア16cと、ギア16dとの噛み合いが外れる。回動角度が25°に達すると、ギア16cとギア16dとの噛み合いが完全に外れ、両ギアが離間した状態となる。
【0121】
カム部材75の正転方向の回動角度が25°に達するのは、チルトレバー22の第1溝部22aがボス24aから外れ(
図7参照)、なお且つ、カム部材75のロックレバー部75Bの係合溝75gがボス74から外れたとき、すなわち、アッパフレームユニット9の閉位置でのロックが解除されたときである。従って、アッパフレームユニット9のロック解除と連動して、ギア16cとギア16dとの噛み合いが外れることになる。
【0122】
その後、アッパフレームユニット9が閉位置から開位置まで回動する際には、チルトレバー22は回動操作されないため、カム部材75の回動位置は変化せず、ギア16cは、ギア16dに対して+X方向にシフトした位置で保持される。
【0123】
また、アッパフレームユニット9が開位置に到達した後、アッパフレームユニット9を開位置でロックするためにチルトレバー22を正転方向(D1方向)に回動させる際には(
図9参照)、カム部材75は回動するが、ギア16cとの当接部が、カム面75dの終端から突出部75fの平坦面(
図19)に移動するだけであるため、ギア16cの位置は変化しない。すなわち、ギア16cは、ギア16dに対して+X方向にシフトした位置で保持される。
【0124】
また、アッパフレームユニット9が開位置から閉位置まで回動する際には、チルトレバー22は回動操作されないため、カム部材75の回動位置は変化せず、ギア16cは、ギア16dに対して+X方向にシフトした位置で保持される。
【0125】
そのため、第1の実施の形態と同様、アッパフレームユニット9が閉位置に戻ったときには、アッパフレームユニット9のギア16cは、ロアフレームユニット8のギア16dに対して+X方向にシフトした位置にある。従って、ギア16cとギア16dとが衝突することはなく、各ギアの損傷を防止することができる。
【0126】
その後、第1の実施の形態で説明したように、アッパフレームユニット9が閉位置でロックされる。このとき、ギア16cとギア16dとの噛み合い状態が、以下のようにして切り換えられる。
【0127】
まず、アッパフレームユニット9を閉位置でロックするためにチルトレバー22を反転方向(D2方向)に回動させると、カム部材75が反転方向(D2方向)に回動する。カム部材75が反転方向(D2方向)に回動すると、カム面75dとギア16cとの当接位置が−X方向に移動するため、ギア16cは、コイルバネ26の付勢力により−X方向に移動する。
【0128】
カム部材25の回動角度が基準角度に対して20°まで戻ると、ギア16cとギア16dとが噛み合いを開始する。回動角度が基準角度に対して2°まで戻ると、ギア16cはストッパ9bに当接して−X方向の移動を停止する。この状態で、ギア16cとギア16dとは完全に噛み合う。カム部材25の回動角度が基準角度(0°)に戻った時点で、カム部材25のカム面25dがギア16cから所定距離だけ離間する。
【0129】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様、アッパフレームユニット9をロアフレームユニット8に対して閉位置に移動させるときには、シフト機構としてのカム部材75により、ギア16cを、ギア16dと噛み合わない位置(退避位置)で保持している。従って、ギア16cとギア16dとの衝突を防止することができ、これによりギア16c,16dの破損を防止することができる。
【0130】
さらに、第2の実施の形態では、カム部材75がロックレバー部75Bを有しているため、ギア16c,16dの噛み合い状態の切り替えと、アッパフレームユニット9のロックとを、共通の部品で行うことができる。従って、第1の実施の形態と比較して、部品点数および組立工数を少なくすることができ、その結果、製造コストを低減することができる。
【0131】
なお、上記の各実施の形態では、印刷媒体である媒体7を搬送し、印刷ヘッド10で印刷する画像形成装置について説明したが、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、例えば、原稿等の読取媒体を搬送して、読取ヘッドで読み取る構成を備えた画像形成装置にも適用することができる。
【0132】
また、上記の各実施の形態では、チルトレバー22およびロックレバー23により、アッパフレームユニット9を閉位置でロックしたが、画像形成装置が大型でなければ、チルトレバー22のみでロックするように構成してもよい。
【0133】
また、上記の各実施の形態では、リアアッパローラ14のギア16cとリアロアローラ15のギア16dとの衝突を防止するため、リアアッパローラ14のギア16cをX方向に移動させたが、逆に、リアロアローラ15のギア16dをX方向に移動させてもよい。
【0134】
また、上記の各実施の形態では、アッパフレームユニット9がロアフレームユニット8に対して回動可能に構成されていたが、本発明は、このような構成に限定されるものではなく、第1のユニットと第2のユニットとが、媒体搬送路を境に離間可能であればよい。
【0135】
また、上記の各実施の形態では、リアアッパローラ14のギア16cと、リアロアローラ15のギア16dとの衝突を防止するための構成について説明したが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。第1のユニットに設けられた第1の搬送部材のギアと、第2のユニットに設けられた第2の搬送部材のギアとの衝突を防止する構成であればよい。
【0136】
また、
図13(
図20)に示したカム部材25(75)のカム曲線は、あくまで一例であり、画像形成装置の具体的な構成に応じて、適宜変更することができる。
【0137】
本発明は、2つのユニットを有し、一方のユニットを開閉可能に構成された画像形成装置(例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機)に適用することができる。