(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半田を供給する半田供給ヘッドのX方向の移動速度を調整することにより、X方向各点の前記半田供給量を変更する請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の半田供給方法。
前記移動範囲の両端部で前記半田不足量に相当する時間、半田を吐出しながら前記ノズルを停止させることにより、不足する半田を供給する請求項8に記載の半田供給方法。
前記算出手段は、印刷処理に伴って減少するX方向各点の半田減少量を、前記マスクシートに形成された開口の断面積に基づいて算出する請求項10に記載の半田供給装置。
前記変更手段は、半田を供給する半田供給ユニットのX方向の移動速度を調整することにより、X方向各点の前記半田供給量を変更する請求項10ないし請求項13のいずれか一項に記載の半田供給装置。
半田を供給する半田供給ヘッドに設けられ、半田を吐出するノズルの移動範囲が、前記スキージの長さより短い場合に、前記算出手段は、前記スキージの長さに対する前記ノズルの前記移動範囲の不足距離と前記半田供給ヘッドの移動速度とに基づいて、前記移動範囲の両端部の半田不足量を算出する請求項10に記載の半田供給装置。
前記変更手段は、前記移動範囲の両端部で前記半田不足量に相当する時間、半田を吐出しながら前記ノズルを停止させることにより、前記両端部の前記半田供給量を変更する請求項16に記載の半田供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図13によって説明する。
1.印刷装置の全体構成
実施形態1に適用の印刷装置10は、マスクシート100上にスキージ50を摺動させることにより、マスクシート100に形成された開口105を通じてプリント基板U上にクリーム半田を印刷するものである。尚、以下の説明において、スキージ50の長さ方向をX方向、スキージ50の移動方向をY方向とする。また、上下方向をZ方向とする。
【0021】
印刷装置10は、スキージ50を支持する第1支持フレーム30を、筐体の天井壁20から吊り下げた吊り下げタイプの装置であり、
図1、
図2に示すように天井壁20には一対のYレール21、21が取り付けられている。これらYレール21、21は、X方向に離間しつつY方向に平行に延びている。Yレール21、21には第1支持フレーム30がスライド可能に取り付けられている。
【0022】
具体的に説明すると、第1支持フレーム30は、左右一対の側壁31を図外の連結壁で連結した構成となっている。そして、左右一対の側壁31、31には、それぞれYスライダ32、32が固定されている。Yスライダ32、32はYレール21、21に対してスライド可能に嵌合している。
【0023】
また、
図1、
図2に示す手前側のYレール21の内側にはベルト伝動装置25が設けられている。ベルト伝動装置25は、前後一対のプーリ26、26と、両プーリ間に架け渡されたベルト体27から構成されていて、サーボモータM1を駆動させると、ベルト体27がY方向に循環移動する。そして、ベルト体27には、第1支持フレーム31が図外の連結部を介して固定されていることから、サーボモータM1を駆動させることで、第1支持フレーム30及び第1支持フレーム30に取り付けられたスキージ50をYレール21、21に沿ってY方向に移動させることができる。
【0024】
第1支持フレーム30には、
図2に示すように、X方向に長い形状をなすスキージ50が、サスペンション機構部41を介して上下移動可能に固定されている。具体的に説明すると、サスペンション機構部41は、上下一対の支持板45、46と、両支持板45、46を相対変位可能に支持する一対のガイドシャフト42、42と、両支持板間に設けられたコイルばね47、47とを備える。そして、サスペンション機構部41の下部にスキージ50が固定されている。スキージ50は、X方向に長い形状をなす。スキージ50は、支持板46の下部に固定された支持部49に対してヒンジ49Aを介して連結されていて、ヒンジ49Aを中心に回転する構成となっている。
【0025】
また、第1支持フレーム30を構成する左右の側壁31、31には、それぞれZレール33、33が取り付けられている。これらZレール33はZ方向に平行に延びている。そして、Zレール33、33に対して、サスペンション機構部41に設けられたZスライダ48、48がスライド可能に嵌合している。以上のことから、第1支持フレーム30の下部に固定されたサーボモータM2を駆動させると、サーボモータM2の動力により、サスペンション機構部41と共にスキージ50を、Zレール33に沿って上下移動させることが出来る。
【0026】
図1に戻って説明を続けると、第1支持フレーム30の手前側には、半田供給ユニット70が、第2支持フレーム61を介して取り付けられている。第2支持フレーム61はX方向に長い形状をしている。この第2支持フレーム61は、ステー35、35を介して、第1支持フレーム30を構成する左右一対の側壁31、31に固定されている。
【0027】
図4、
図5に示すように、第2支持フレーム61の中央には、X方向に水平に延びるXレール63が固定されている。このXレール63には、Xスライダ73を介して、半田供給ヘッド80を支持する支持ベース71がスライド可能に嵌合している。
【0028】
また、Xレール63の上方にはベルト伝動装置65が設けられている。ベルト伝動装置65は左右一対のプーリ66、66と、両プーリ間に架け渡されたベルト体67から構成されていて、サーボモータM3を駆動させると、ベルト体67がX方向に循環移動する。そして、ベルト体67には、支持ベース71が図外の連結部を介して固定されていることから、サーボモータM3を駆動させることで、支持ベース71と共に、半田供給ヘッド80をXレール63に沿ってX方向に移動させることができる。
【0029】
半田供給ヘッド80は
図4に示すように、収納ポット81と、吐出アダプタ83と、吐出アダプタ83の先端に取り付けられたノズル85と、収納ポット81を下方に押圧する押圧部材87と、駆動部90とを備える。収納ポット81は底面が開口する筒型をなし、内部にクリーム半田を収納する。吐出アダプタ83は、収納ポット81の底面に隙間なく嵌合される円盤型をなすピストン83Aと、ピストン下部に設けられた吐出管83Bとを備える。ピストン83Aの外周部には、シール部材83Cが取り付けられていて、収納ポット81との間をシールする構成となっている(
図6参照)。尚、
図6は半田供給ヘッド80の模式図である。
【0030】
駆動部90は、サーボモータM4とボール螺子機構91を備える。ボール螺子機構91は螺子軸93を上下方向に向けつつ、サーボモータM4に対して左右に並んでいる。そして、サーボモータM4と螺子軸93との間にはベルト99が掛けられていて、サーボモータM4の動力がベルト99を介してボール螺子機構91に伝達される構成となっている。
【0031】
ボール螺子機構91は、サーボモータM4の動力を螺子軸方向、すなわち上下方向の動力に変換し、押圧部材87に固定された直動体95を上下移動させる。駆動部90を作動させて押圧部材87を下降させると、収納ポット81が押圧部材87に押されて下方に変位し、収納ポット81の天井面からピストン83Aまでの距離が近くなる。そのため、収納ポット81からクリーム半田が押し出され、吐出管83Bを介してノズル先端より吐出される構成になっている(
図6参照)。尚、
図4、
図5に示す符号86は、ノズル83より吐出されたクリーム半田をカットする半田カッターである。
【0032】
また、
図5に示すように、支持ベース71にはブラケットを介して、検出センサ(本発明の「計測部」の一例)120が取り付けられている。検出センサ120は、検出面を下方に向けて取り付けられている。検出センサ120は、例えば反射型の光学式センサであり、マスクシート表面での反射光を受光して得られる受光信号のレベルに基づいて、マスクシート100上に供給されたクリーム半田の有無を検出する。本印刷装置10では、検出センサ120を用いてクリーム半田の有無の境界を検出することで、クリーム半田の半田幅Wpを計測する。
【0033】
また、スキージ50の下方には、図外のマスクシート保持装置を介して印刷マスクTが取り付けられている。印刷マスクTは、金属製の角パイプを枠状に形成したマスク枠110の底面側に、テンショナーを介してマスクシート100を固定したものである。尚、マスクシート(ステンシル)100は平板状の薄板に、クリーム半田を基板上面に印刷するための印刷用の開口105を多数個形成したものである。
【0034】
次に、印刷装置10の電気的構成を説明する。印刷装置10は、コントローラ150と、モータドライバ160と、検出センサ120と、マスクシートカメラ140等を備える。モータドライバ160には、各サーボモータM1〜M4が電気的に接続されている。コントローラ150はCPU151と記憶部153とを備え、モータドライバ160を通じて各サーボモータM1〜M4を制御することで、スキージ50の移動制御(Y方向、Z方向への移動制御)や、半田供給ヘッド80の移動制御(X方向、Y方向への移動制御)及びクリーム半田の供給量を制御する機能を果たす。記憶部153には、後述するクリーム半田の補充シーケンスを実行するための動作プログラムや、クリーム半田補充シーケンスを実行するための各データが記憶されている。尚、コントローラ150が、本発明の「算出手段」、「変更手段」の一例である。
【0035】
また、マスクシートカメラ140は、マスクシート100の画像を撮影するものである。マスクシートカメラ140は、例えば、基板支持装置130の支持ベース131上に撮像面を上に向けた状態で取り付けられている。マスクシートカメラ140によりマスクシート100の画像を撮影することで、マスクシート100の状態(開口105部分の伸びや変形の有無)を検出することが出来る。
【0036】
2.印刷動作の説明
本印刷装置10は、基板支持装置130により搬送されたプリント基板Uを、図外の昇降装置を介してマスクシート100の下面に重ね合わせた後、半田供給ヘッド80のノズル85から、クリーム半田を吐出し、マスクシート100表面に供給する。例えば、X方向に沿ったライン状に供給する。
【0037】
そして、クリーム半田の供給後、マスクシート100上にスキージ50を下降させる。その後、
図8に示すように、スキージ50をY方向に移動させつつマスクシート100の表面を摺動させる。スキージ50の移動により、クリーム半田はスキージ50により押されつつマスクシート100上を拡がり、マスクシート100に形成された開口105に充填される。そのため、マスクシート100の裏面に重ね合わされたプリント基板U上にクリーム半田を印刷することが出来る(印刷処理)。
【0038】
3.クリーム半田の供給方法
通常、印刷前に、マスクシート100上に供給されるクリーム半田の量は、印刷処理に伴って開口105に充填されるクリーム半田の量に比べて多い。そのため、印刷処理終了後、マスクシート100上の印刷終了位置(Y方向端部)の近傍には、
図9に示すように、印刷処理で開口105に充填されなかったクリーム半田が残る。開口105に充填されなかったクリーム半田(以下、残半田)Rは、
図10に示すように、断面が概ね逆U字型で、X方向に長い線状をなす。そして、マスクシート100上に残る残半田Rの量が、所定の基準値より少ない場合には、クリーム半田を供給(補充)してから、次基板の印刷処理を行う必要がある。
【0039】
本印刷装置10は、こうしたクリーム半田の補充を行うにあたり、まず、半田供給ヘッド80に搭載された検出センサ120で、残半田Rの半田幅(Y方向の幅)Wpを計測する処理をX方向の複数点について行う。そして、計測した半田幅Wpから、X方向の各計測点Pにおける半田供給量Xpを算出する。
【0040】
その後、算出した各計測点Pの半田供給量Xpに基づいてX方向における半田供給量の分布を算出し、算出した半田供給量の分布に従って、X方向各点の半田供給量Xpを変更する(変更処理)。
【0041】
このようにすることで、クリーム半田の調整精度(補充精度)を高めることが可能となる。すなわち、マスクシート100に形成されている開口105の面積はX方向各点で異なるため、印刷処理に伴って減少する半田量は、X方向各点で異なる。本印刷装置10では、X方向の各計測点Pにおける半田供給量Xpをそれぞれ算出して、半田供給量を各点ごとに変更する。そのため、X方向各点の半田減少量に応じてクリーム半田を供給することが出来ることから、クリーム半田の調整精度を高めることが可能となる。
【0042】
以下、残半田Rの半田幅(Y方向の幅)Wpを計測する計測処理と、計測した半田幅WpからX方向の各計測点Pにおける半田供給量Xpを算出する算出処理と、半田供給量Xpの分布に従ってX方向各点の半田供給量を変更する変更処理について説明を行う。
【0043】
(A)計測処理(S20〜S40)
計測処理では、検出センサ120をY方向に移動させながら残半田Rの上方を通過させ、残半田Rの有無を検出する。そして、残半田Rの検出開始位置の座標と、残半田Rの検出終了位置の座標の差を算出することで、計測位置Pにおける、残半田Rの半田幅Wpを計測できる。例えば、
図11に示す「A」の位置から「B」の位置まで、検出センサ120により残半田Rが検出された場合、検出終了位置である「B」位置のY座標「YB」から、検出開始位置である「A」位置のY座標「YA」を引き算することで、半田幅Wpを計測出来る。本印刷装置10では、このような計測処理を、計測位置Pを変えて、X方向の複数点で行う。
【0044】
Wp=|YB−YA|・・・・・・(1)式
「Wp」は、計測位置Pの残半田Rの半田幅である。「YA」は残半田Rの検出開始位置の座標、「YB」は残半田Rの検出終了位置の座標である。
【0045】
また、計測位置Pは、以下のいずれかの計測条件を満たす場所であることが好ましい。
(1)マスクシート100に形成された開口105のY方向長さの変化が小さいポイント
(2)マスクシート100に形成された開口105のY方向長さが最大なポイント
(3)マスクシート100に形成された開口105のY方向長さが最小なポイント
(4)マスクシート100に形成された開口105のY方向長さが概ね平均なポイント
【0046】
図12は横軸をマスクシート100のX方向の座標、縦軸を開口105のY方向長さとして、開口105のY方向長さの推移を示したグラフである。例えば、
図12の場合であれば、開口105のY方向長さの変化が小さい座標P1や、開口105のY方向長さが最大となる座標P2、開口105のY方向長さが最小となる座標P3、開口105のY方向長さが概ね平均である座標P4などを計測位置にすることが好ましい。尚、「開口105のY方向長さ」とは、開口105がY方向に複数ある場合には、それら複数開口105のトータル長を指すものとする。また、「変化が小さい」とは、開口105のY方向長さのX方向に対する変化が小さいことを意味する。
【0047】
上記のようなポイントを計測位置Pとすることで、半田幅WpのX方向のばらつきを精度よく検出することが出来る。本印刷装置10では、計測処理を実行するにあたり、まず(1)〜(4)の条件に適合する計測位置Pを、マスクシート100の検査データ(マスクシート100に形成された開口105の位置、形状、大きさ等を検査したデータ)に基づいて決定する処理を行うようにしている。
【0048】
また、上記の他にも、
図10にて破線の枠で囲ったD部のように、印刷終了位置から開口105までの距離が遠い場所を計測位置Pに選択してもよい。印刷終了位置から開口105までの距離が遠い場合は、開口105を通過してからスキージ50が印刷終了位置に達するまでの間に、残半田Rがスキージ50により伸ばされて均一化されるので、半田幅Wpの安定したデータを取得できるというメリットがある。
【0049】
(B)算出処理(S60)
算出処理では、計測処理により計測した残半田Rの半田幅Wpを以下の(2)式に代入する演算を各計測位置Pについてそれぞれ行うことにより、各計測位置Pの半田供給量Xpを算出する。
Xp=((Wt/2)×(Wt/2)−(Wp/2)×(Wp/2))×π×D×ΔM・・・(2)式
「Xp」は、計測位置Pの半田供給量である。
「Wt」は、半田幅の目標値である。
「D」は、残半田Rの真円に対する形状割合(面積比)である。
ΔMは、X方向の単位長さである(
図10参照)。
【0050】
(C)変更処理(S120)
変更処理では、残半田Rに対して半田供給ヘッド80でクリーム半田を補充する際に、サーボモータM4の回転速度を調整することにより、X方向各点の半田供給量Xpを、算出処理にて算出した半田供給量Xpに応じて変更する。すなわち、半田供給量Xpを多くする場合、サーボモータM4の回転速度を大きくする。サーボモータM4の回転速度を大きくすると、押圧部材87が収納ポット81を押す速度が速くなり、クリーム半田の吐出圧が上昇する。そのため、半田供給量Xpを増やすことができる。一方、半田供給量Xpを少なくする場合、サーボモータM4の回転速度を小さくする。サーボモータM4の回転速度を小さくすると、押圧部材87が収納ポット81を押す速度が遅くなって、クリーム半田の吐出圧が下がることから、半田供給量Xpを減らすことができる。このように、半田供給量XpをサーボモータM4の回転速度で調整する場合、半田供給ヘッド80の速度を低下させずに、半田供給量Xpが調整できるというメリットがある。
【0051】
また、半田供給量Xpの変更方法は、上記のようにサーボモータM4の回転速度を変える方法の他に、半田供給ヘッド80の移動速度(X方向の移動速度)を調整するようにしてもよい。すなわち、半田供給量Xpを多くする場合、ノズル85からの吐出量は一定に保ったまま、半田供給ヘッド80の移動速度を遅くし、それとは反対に、半田供給量Xpを少なくする場合、ノズル85からの吐出量は一定に保ったまま、半田供給ヘッド80の移動速度を遅くする。このように、半田供給量Xpを半田供給ヘッド80の移動速度で調整する場合、速度調整だけで、半田供給量Xpが調整できるというメリットがある。
【0052】
4.クリーム半田の補充シーケンス
次に、クリーム半田の補充シーケンスを、
図13を参照して説明する。印刷装置10が自動運転を開始して、初回の印刷処理が完了すると、
図10に示すように印刷終了位置の近傍に残半田Rが残された状態となる(S10)。尚、印刷処理は、マスクシート100上でスキージ50をY方向に往復移動(すなわち、印刷終了位置と印刷開始位置が同じ)させて、1枚又は複数枚のプリント基板Uに対して印刷を行う処理である。
【0053】
S20では、半田幅Wpの計測位置Pを決定する処理が、コントローラ150により実行される。具体的には、印刷処理前にマスクシートカメラ140にて撮影したマスクシート100の画像を解析して、マスクシートの開口105のY方向長さの分布を算出する(
図12参照)。そして、算出した分布より、上記した(1)〜(4)の条件に適合するポイントを複数点(一例として「10点」)抽出し、抽出した位置を計測位置に決定する。
【0054】
尚、マスクシート100に形成された開口105のデータは、マスクシートカメラ140で撮影したマスクシート100の画像データから得られる他、マスクシート100の設計データや、検査データから取得することが出来る。
【0055】
S20にて計測位置が決定されると、処理はS30に移行する。S30では、コントローラ150により、検出センサ120を、計測位置に移動させる処理が実行される。1回目に行われるS30の処理では、1番目の計測位置のX座標に検出センサ120を移動させる処理が、コントローラ150により実行される。尚、検出センサ120は、半田供給ヘッド80に搭載されているから、サーボモータM3を駆動して半田供給ヘッド80をX方向に移動させることで、検出センサ120を目標となる位置に移動できる。
【0056】
そして、検出センサ120が1番目の計測位置PのX座標に至ると、処理はS40に移行する。S40では、検出センサ120を用いて、1番目の計測位置Pにおける残半田Rの半田幅Wpを計測する処理が実行される。具体的には、サーボモータM1を駆動して半田供給ヘッド80をY方向に移動させつつ、検出センサ120を、残半田Rの上方を通過させて、残半田Rの有無を検出する。そして、残半田Rの検出開始位置の座標と、残半田Rの検出終了位置の座標の差を算出することで、残半田Rの半田幅Wpを得ることが出来る。
【0057】
その後、処理はS50に移行する。S50では、S40で計測した残半田Rの半田幅Wpが、目標値より小さいかどうか判定する処理がコントローラ150により実行される。目標値は、印刷処理を行うのに最適とされる半田幅の最適値であり、例えば、記憶部153に記憶されている。残半田Rの半田幅Wpが目標値より小さい場合(半田補充要の場合)、S50にてYES判定され、S60に移行する。
【0058】
S60では、コントローラ150により、半田供給量Xpを算出する処理が実行される。半田供給量Xpの算出方法は既に説明した通りであり、S40で算出した半田幅Wpを、上記の(2)式に代入することにより、半田供給量Xpを算出する。ここでは、S60の処理により1番目の計測位置Pについて半田供給量Xpが算出されることになる。その後、処理はS70に移行する。尚、コントローラ150により実行されるS60の処理により、本発明の「算出手段」の処理機能が実現されている。また、S50でNO判定された場合は、S60の処理(供給量を算出する処理)を実行することなく、S70に移行する。
【0059】
S70では、コントローラ150により、半田幅Wpの計測が、全ての計測位置Pで終了したかどうか判定する処理が行われる。この段階では1番目の計測位置Pしか計測が終了していないので、S70ではNO判定されることになる。S70でNO判定された場合、処理はS30に戻り、検出センサ120を2番目の計測位置Pに移動させる処理が行われる。
【0060】
その後、検出センサ120を用いて、2番目の計測位置Pにて、半田幅Wpを計測する処理が実行され、更に、計測した半田幅Wpから半田供給量Xpが決定される。このような処理が各計測位置Pについて行われ、全ての計測位置Pについて半田供給量Xpが算出されると、S70にてYES判定される。
【0061】
S70でYES判定されると、処理はS80に移行する。S80では、コントローラ150により、各計測位置Pでの半田供給量Xpより、半田供給量XpのX方向の分布が算出される。その後、S90に移行して半田供給は不要かどうか判定する処理がコントローラ150により実行される。半田供給が不要と判断される場合(例えば、X方向の各点について半田幅が概ね目標値に近い場合)は、S150に移行して次基板に対する印刷処理が開始されることになる。
【0062】
一方、半田供給が必要と判断される場合は、S100に移行して、マスクシート100上の残半田Rにクリーム半田を供給する処理が開始される。具体的には、半田を吐出するノズル85の位置が、残半田RのX方向の一端(例えば、
図10の左端)に一致するように半田供給ヘッド80の位置を調整した後、ノズル85の先端からクリーム半田を吐出させながら、半田供給ヘッド80をX方向の他端(例えば、
図10の右端)に向けて移動し、クリーム半田を補充する。この時、コントローラ150は、S80で算出した半田供給量Xpの分布に応じて、サーボモータM4の回転速度を調整することにより、X方向各点の半田供給量Xpを増減調整する(S110、S120)。尚、計測位置Pでない場所(半田幅Wpを計っていない場所)の半田供給量Xpは、各計測位置Pの半田供給量Xpの平均値を適用する。これは、計測位置Pでない場所では、クリーム半田の減少量が概ね平均的であると考えているからである。また、コントローラ150により実行されるS120の処理により、本発明の「変更手段」の果たす処理機能が実現されている。
【0063】
そして、半田供給ヘッド80のノズル85が、X方向の他端(
図10の右端)まで移動すると、S130にてYES判定される。その後、処理はS140に移行して、コントローラ150により、半田供給ヘッド80の移動を停止する処理と、クリーム半田の供給を停止する処理が実行される。その後、処理は、S150に移行して次基板に対する印刷処理が開始されることになる。
【0064】
5.効果説明
以上説明したように本印刷装置10は、X方向各点の半田供給量Xpを、X方向各点の半田幅Wpに応じて変更する。そのため、半田量の調整精度が高く、マスクシート100上に供給される半田量をX方向にて概ね均一化できる。仮に半田量が不均一であると、スキージ50でクリーム半田を引き延ばして印刷する時に、クリーム半田に加わる圧力が不均一になる。具体的にはクリーム半田の高さが低い場所や断面積の小さい場所では、圧力が下がるのに対して、高さが高い場所や断面積の大きな場所では圧力が高くなる。圧力の低い場所は開口105に対してクリーム半田を充填する圧力が下がるので、プリント基板Pに印刷されるクリーム半田の膜厚が薄くなるのに対して、圧力の高い場所では、開口105に対してクリーム半田を充填する圧力が高くなるので、プリント基板Pに印刷されるクリーム半田の膜厚が厚くなる。そのため、X方向各点の半田量が不均一であると、X方向各点でクリーム半田の膜厚にばらつきが生じて印刷品質に影響を及ぼすことになる。印刷性能からすると、クリーム半田の膜厚が規定値以上になればよいが、本印刷装置10では、X方向の各点で半田量を均一化できることから、クリーム半田の膜厚を規定値以上にした上で、更にX方向各点のクリーム半田の膜厚を均一化することが可能となる。そのため、良好な印刷品質を確保することが可能となる。
【0065】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図14によって説明する。
実施形態1では、各計測位置Pの半田供給量Xpを半田幅Wpより算出した。実施形態2は、実施形態1とは異なる方法で半田供給量Xpを算出する。それ以外の点は実施形態1の構成と同じであるため、ここでは実施形態1と相違する点のみ説明する。
【0066】
実施形態2では、検出センサ120に変えて、残半田Rの高さHを計測できる検出センサ200(本発明の「計測部」の一例)を使用する。尚、残半田Rの高さHが検出できるセンサとしては、レーザ変位計を例示することが出来る。
【0067】
検出センサ200は、実施形態1の検出センサ120と同様、半田供給ヘッド80に検出面を下に向けた状態で取り付けられていて、サーボモータM1やサーボモータM3を駆動させることにより、半田供給ヘッド80と一体的にX方向、Y方向に移動できる。
【0068】
実施形態2では、
図14に示すように、各計測位置Pにて、検出センサ200をY方向に移動させながら、残半田Rの高さHを所定のサンプリング周期Δtで計測する。そして、計測した残半田RのY方向各点(i→j)の高さHのデータに基づいて、次の(3)式より計測位置Pにおける残半田Rの断面積Spを算出する。
【0069】
Sp=ΣH×Δt×V・・・・・・・・・(3)式
「Sp」は、計測位置Pの残半田Rの断面積である。
「Δt」は、サンプリング周期である。
「V」は、検出センサ200のY方向の移動速度である。
【0070】
そして、更に、算出した断面積Spに基づいて、次の(4)式より半田供給量Xpを算出する。
Xp=(St−Sp)×ΔM・・・・・・・(4)式
「Xp」は、計測位置Pの半田供給量である。
「St」は、半田の目標断面積である。
ΔMは、X方向の単位長さである(
図10参照)。
【0071】
このように、実施形態2では、各計測位置Pの半田供給量Xpを、残半田Rの断面積Spに基づいて算出する。実施形態2は、実施形態1に比べて、各計測位置Pの半田供給量Xpを正確に算出することが出来ることから、半田量をX方向にて均一化できる。
【0072】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を
図15、
図16を参照して説明する。
実施形態1や実施形態2では、検出センサ120、200の計測値から半田供給量Xpを算出した。すなわち、実際に測定したデータからクリーム半田の減り具合を求め、それに見合う分のクリーム半田を供給するようにした。
【0073】
実施形態3では、印刷処理に伴う半田減少量は、マスクシート100に形成された開口105に充填されるクリーム半田の充填量に等しいことに着目し、開口105の断面積Qpに基づいて以下の(5)式により半田減少量Gpを算出する。そして、算出した半田減少量Gpを半田供給量Xpとする。
【0074】
Qp=Lp×B・・・・・・(4)式
Gp=Qp×ΔM・・・・・(5)式
Xp=Gp・・・・・・・・(6)式
「Gp」は、X方向の位置Pの半田減少量(=半田供給量)である。
「Lp」は、X方向の位置Pの開口長さ(開口が複数ある場合はトータル長)である。
「B」はマスクシートの厚さである。
ΔMは、X方向の単位長さである(
図10参照)。
【0075】
尚、1回の印刷処理で、クリーム半田を複数枚(例えば、2枚)のプリント基板Uに印刷する場合には、開口105に対するクリーム半田の充填量は、枚数倍(2枚印刷の場合は2倍)になるので、上記した(5)式の半田減少量Gpを枚数倍にする必要がある。
【0076】
また、マスクシート100に形成された開口105のデータは、マスクシートカメラ140で撮影したマスクシート100の画像データから得られる他、マスクシート100の設計データや、検査データから取得することが出来る。
【0077】
次に、
図16を参照してクリーム半田の補充シーケンスを説明する。印刷装置10が自動運転を開始して、初回の印刷処理が完了すると、
図10に示すようにマスクシート100上の印刷終了位置の近傍に残半田Rが残された状態となる(S210)。
【0078】
S220では、コントローラ150により、クリーム半田の供給は不要かどうかの判定が行われる。供給が不要と判定された場合には、S290に移行して、生産が続行、すなわち次基板に対する印刷処理が行われる。一方、クリーム半田の供給が必要と判定された場合は、S230に移行する。
【0079】
S230では、コントローラ150により半田供給量XpのX方向の分布を算出する処理が実行される。具体的には、X方向各点について上記した(4)式から(6)式に基づいて半田供給量Xpが算出される。そして、算出されたX方向各点の半田供給量Xpに基づいて半田供給量XpのX方向の分布が算出される。尚、X方向各点の半田供給量Xpや半田供給量Xpは予め算出したデータを記憶部153に記憶しておき、S230ではそのデータを読み出して使用するようにしてもよい。
【0080】
そして、S230の処理が終了すると、S240に移行して、マスクシート100上の残半田Rに対してクリーム半田を供給する処理が開始される。具体的には、半田を吐出するノズル85の位置が、残半田RのX方向の一端(例えば、
図10の左端)に一致するように半田供給ヘッド80の位置を調整した後、ノズル85の先端からクリーム半田を吐出させながら、半田供給ヘッド80をX方向の他端に向けて移動し、残半田Rに対してクリーム半田を補充する。この時、コントローラ150は、S230で算出した半田供給量Xpの分布に応じて、サーボモータM4の回転速度を調整することにより、X方向各点の半田供給量Xpを増減調整する(S250、S260)。
【0081】
そして、半田供給ヘッド80のノズルが、X方向の他端(
図10の右端)まで移動すると、S270にてYES判定される。その後、処理はS280に移行して、コントローラ150により、半田供給ヘッド80の移動を停止する処理と、クリーム半田の供給を停止する処理が実行される。その後、処理はS290に移行して次基板に対する印刷処理が開始されることになる。
【0082】
以上説明したように本印刷装置10は、X方向各点の半田供給量Xpを、開口105への半田充填量から算出する。そのため、検出センサ120や検出200を廃止できるというメリットがある。
【0083】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を
図17ないし
図21によって説明する。
クリーム半田の供給方法の一つに繰り返し線引き供給がある。繰り返し線引き供給とは、
図17に示すように、半田供給ヘッド80をX方向に往復移動させながら、マスクシート100上にクリーム半田を供給する処理を、半田供給量が目標値に達するまで、継続して行うものである(繰り返し線引き供給)。
【0084】
ただし、繰り返し線引き供給を行った場合、供給直後の半田幅は不均一のため、スキージ50をY方向に往復移動させて半田をならすことで、クリーム半田をスキージ全体で均一な形状にする、ならし作業を行っている(以下、スキージによる半田のならしをローリングと呼ぶ)。
【0085】
ところで、印刷装置には、装置全体サイズの制約により、
図18に示すように、半田供給ヘッド80のノズル85の移動範囲Laが、スキージ50の全長Kに比べて、狭い場合がある。この場合、スキージ50の全範囲に半田を供給するには、半田供給量が目標量に達するまで移動範囲La内で、繰り返し線引き供給を行い(
図19参照)、その後、スキージ50によるローリングを行って、供給した半田をスキージ端まで引き延ばすことが考えられる。
【0086】
しかし、繰り返し線引き供給では、クリーム半田をライン状に供給してゆくため、半田供給後、X方向各部の半田量は概ね等しい。そのため、スキージ端までクリーム半田を行き渡らせるには、マスクシート100上に供給されたクリーム半田の全体をX方向に引き伸ばす必要があり、ローリングの回数が多くなるという問題があった。
【0087】
そこで、本印刷装置10では、
図20に示すように、移動範囲Laの両端部(X方向の両端部)の半田供給量を、両端部以外の場所よりも多くする。移動範囲Laの両端部にクリーム半田を多く供給すれば、ローリングを行った時に、クリーム半田が外側に広がり易くなるので、少ないローリング回数で、スキージ端まで半田を行き渡らせることが可能となる。
【0088】
以下、スキージ50の全長Kに対するノズル85の移動範囲Laの差分を埋めるための、クリーム半田の追加供給量を説明する。
スキージ端に生じる半田不足量Eは、ノズル85より吐出される単位時間当たりの半田吐出量Mが一定と仮定した場合、下記の(11)式で示すように、半田吐出量Mと往復移動時間Tの積で表すことが出来る。尚、往復移動時間Tとは、ノズル85で半田を直接供給することが出来ない不足距離Lcを、ノズル85が往復移動するのに必要な時間である。
【0089】
例えば、
図20の左側の端部を例にとって説明すると、往復移動時間Tは、ノズル85が移動範囲Laの左端から、スキージ50の全長から算出した半田供給範囲Lbの左端まで移動する時間T1と、ノズル85がスキージ50の全長から算出した半田供給範囲Lbの左端から移動範囲Laの左端まで移動する時間T2の和になる。尚、「V」は半田供給ヘッド80のX方向の移動速度である。
【0090】
Lc=(Lb−La)/2・・・・・(7)式
T1=Lc/V・・・・・・・・・・(8)式
T2=Lc/V・・・・・・・・・・(9)式
T=T1+T2・・・・・・・・・・(10)式
E=M×T・・・・・・・・・・・・(11)式
【0091】
このようにスキージ端に生じる半田不足量Eは、半田吐出量Mと往復移動時間Tの積で表すことが出来る。そこで、本印刷装置10では半田不足量Eを時間(往復移動時間T)に換算し、移動範囲Laの両端部でノズル85を往復移動時間Tだけ停止させた状態で、クリーム半田を余分に供給することにより、スキージ端に生じる半田不足量Eを補うようにしている。
【0092】
以下、コントローラ150により実行される半田供給シーケンスの説明を行う。尚、半田供給ヘッド80のノズル85は、予め移動範囲Laの中央位置にあるものとして説明を行うものとする。また、移動範囲La、半田供給範囲Lb、ヘッド85の移動速度V等のデータは予め記憶部153に記憶されているものとする。
【0093】
半田供給シーケンスがスタートすると、駆動部90の作動により、ノズル85の先端からクリーム半田が吐出し始める。その後、S300では、サーボモータM3の駆動により、半田供給ヘッド80がX方向に左側に移動を開始する。これにより、ノズル85がクリーム半田を吐出しならX方向に左側に移動するため、マスクシート100上にクリーム半田がライン状に供給される。
【0094】
その後、処理はS310に移行する。S310では、コントローラ150により、半田供給量が目標値(供給すべきクリーム半田の総量)に達したか判定する処理が行われる。目標値に達していない場合、S310ではNO判定される。S310でNO判定された場合は、S320に移行する。S320では、ノズル85が移動範囲Laの端(ここでは、左端)に達したかどうかを判定する処理がコントローラ150により実行される。移動範囲Laの端に達していない場合は、S320にてNO判定され、S310に戻る。
【0095】
以上のことから、半田の供給開始後、ノズル85が移動範囲Laの端に到達するまでは、S310、S320の判定が繰り返されることになる。そして、ノズル85が移動範囲Laの左端に到達すると、S320にてYES判定され、処理はS330に移行する。S330では、サーボモータM3の駆動を停止させることにより、半田供給ヘッド80を停止させる処理がコントローラ150により行われる。その後、S340に移行する。
【0096】
S340では、コントローラ150により、「La」と「Lb」の大小を比較する処理が実行される。ノズル85の移動範囲「La」がスキージ50の全長から算出した半田供給範囲「Lb」より小さい場合は、S340にてYES判定される。
【0097】
S340でYES判定された場合、上記した(8)式より時間T1を算出する処理がコントローラ150により行われ、その後、S350に移行する。S350では、半田供給ヘッド80を停止してから時間「T1」が経過したか判定する処理がコントローラ10により実行される。時間「T1」が経過するまでは、S350にてNO判定されるため、時間T1の経過を待つ待機状態となる。
【0098】
そして、S330にて半田供給ヘッド80が停止した以降も、ノズル85から半田を吐出する処理は継続されるので、移動範囲「La」の左端には、ノズル85からクリーム半田が供給され続けることになる。その後、時間「T1」が経過すると、S350にてYES判定されることから、処理はS360に移行する。S360では、半田供給量が目標値(供給すべきクリーム半田の総量)に達したか判定する処理がコントローラ150により行われる。目標値に達していない場合、S360ではNO判定される。S360でNO判定された場合は、S370に移行する。
【0099】
S370では、コントローラ150により半田供給ヘッド80の移動方向を入れ替える処理が実行される。この場合、元の移動方向は左方向であることから、入れ替えにより、移動方向が右方向に設定されることになる。尚、この時点では、移動方向の入れ替えだけが行われ、S330にて移動を停止した半田供給ヘッド80は依然として、ノズル85が移動範囲「La」の左端で停止した状態にある。
【0100】
その後、処理はS380に移行する。S380はS340と同じ処理であり、「La」と「Lb」の大小を比較する処理が実行される。ノズル85の移動範囲Laが、スキージ50の全長から算出した半田供給範囲Lbより小さい場合は、S380にてYES判定される。
【0101】
S380でYES判定された場合、上記した(9)式より時間T2を算出する処理がコントローラ150により行われ、その後、S390に移行する。S390では時間「T2」が経過したかどうか判定する処理がコントローラ150により実行される。時間「T2」が経過するまでは、S390でNO判定されることから、時間T2の経過を待つ待機状態となる。そして、この待機中も、ノズル85から半田を吐出する処理が継続されるので、移動範囲「La」の端にはノズル85から半田が供給され続けることになる。
【0102】
このように、ノズル85を移動範囲「La」の左端に止めた状態で、(T1+T2)の時間だけクリーム半田を吐出させ続けることで、スキージ50の左端に生じる半田不足量Eを補うことが出来る。尚、時間「T1」や「T2」は予め算出したデータを記憶部153に記憶しておき、S340やS390ではそのデータを読み出して使用するようにしてもよい。
【0103】
そして、時間「T2」が経過すると、S390にてYES判定されることから、処理はS300に移行する。S300では、コントローラ150の制御により、サーボモータM3が再駆動し、半田供給ヘッド80を今度はX方向に右側に移動させる。これにより、ノズル85がクリーム半田を吐出しながら、X方向右側に移動してゆく。その後、ノズル85が移動範囲「La」の右端に達すると、上記したのと同様、ノズル85を移動範囲「La」の右端に止めた状態で、(T1+T2)の時間だけ半田を吐出させ続けることで、スキージ50の右端に生じる半田不足量Eが補われる。
【0104】
このような処理が繰り返され、半田供給量が目標値に達すると、S310又はS360の処理のどちらかで、YES判定される。S310又はS360でYES判定されると、半田供給処理は終了する。
【0105】
尚、コントローラ150が、移動範囲Laの両端位置でノズル85を停止させて、クリーム半田を他の場所より不足半田量Eだけ多く供給することにより、本発明の「前記変更手段(コントローラ)は、前記移動範囲の両端部で前記半田不足量に相当する時間、半田を吐出しながら前記ノズルを停止させることにより、前記両端部の前記半田供給量を変更(他の場所よりも多くする)する」が実現されている。
【0106】
以上説明したように、実施形態4では、移動範囲「La」の両端部の半田供給量を、両端部以外の場所よりも多くする。移動範囲「La」の両端部にクリーム半田を多く供給すれば、ローリングを行った時に、クリーム半田が外側に広がり易くなるので、少ないローリング回数で、スキージ端までクリーム半田を行き渡らせることが可能となる。
【0107】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1では、半田供給ヘッド80の一例に、サーボモータM4を駆動源としたタイプを例示した。半田供給ヘッド80の動力源は、モータに限定されるものではなく、エア圧力を利用したものであってもよい。すなわち、
図22に示すように、クリーム半田を充填したシリンジ400に外部からエアを供給して、シリンジ400内に設けられたピストン410を下方に押し込むことにより、シリンジ下部に設けられた吐出口よりクリーム半田を吐出させるものでもよい。この場合、半田供給量を調整するには、レギュレータ430等によりシリンジ内の空洞室420の圧力を調整するとよい。すなわち、半田供給量を増加させる場合、空洞室420のエア圧力を高くし、半田供給量を下げる場合、空洞室420のエア圧力を低くすればよい。
【0108】
(2)実施形態1では、マスクシート100の一例にステンシル(メタルマスク)を例示したが、メッシュスクリーンを使用することも可能である。
【0109】
(3)実施形態1では、印刷処理の一例にスキージ50をY方向に往復移動させる場合を挙げたが、往動と復動をそれぞれ1つの印刷処理としてもよい。