特許第5732054号(P5732054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732054
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/06 20060101AFI20150521BHJP
   B24B 45/00 20060101ALI20150521BHJP
   B23D 21/00 20060101ALI20150521BHJP
   B23D 45/12 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   B24B27/06 J
   B24B45/00 Z
   B23D21/00 A
   B23D45/12 Z
【請求項の数】4
【全頁数】52
(21)【出願番号】特願2012-523166(P2012-523166)
(86)(22)【出願日】2010年8月3日
(65)【公表番号】特表2013-500871(P2013-500871A)
(43)【公表日】2013年1月10日
(86)【国際出願番号】AU2010000981
(87)【国際公開番号】WO2011014914
(87)【国際公開日】20110210
【審査請求日】2013年7月30日
(31)【優先権主張番号】2009203210
(32)【優先日】2009年8月3日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】512026732
【氏名又は名称】フレルク インダストリーズ ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FRELK INDUSTRIES PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100092646
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 清
(74)【代理人】
【識別番号】100083769
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100083002
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 辰男
(72)【発明者】
【氏名】フレイザー トーマス オキーフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ロッチ
(72)【発明者】
【氏名】ウイリアム マックミン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイズム エルキングトン
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−216376(JP,A)
【文献】 米国特許第04576070(US,A)
【文献】 米国特許第04669923(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0077130(US,A1)
【文献】 米国特許第06048142(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 27/06
B23D 21/00
B23D 45/12
B24B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の軸線を有して動力工具に係合可能な工具側端および自由端を有する細長いキャリアと、
前記キャリアに回転可能に取り付けられ且つ前記キャリアの長手方向軸線に平行に伸長するパイプの側壁の内面に接触する当接面を有する前記キャリアの自由端方向に配置された案内ホイールと、
前記キャリアに固定され、外縁切断刃を有し、前記案内ホイールと前記キャリアの工具側端中間に配置された切断ディスクと、
楕円形の開口を備える偏心カム部材と、
前記キャリアに取り付けられ、前記偏心カム部材の前記開口内に収容され、使用に際して、切断されるパイプやシートの所望の壁厚に対応する前記案内ホイールの前記当接面と前記切断ディスクの縁との間にスペースを設けるように、前記開口内を移動できる調整自在のカラーと、
から成ることを特徴とするパイプの内側からパイプの側壁を貫通切断する切断装置。
【請求項2】
前記カラーは、調整ナットが装着されるシャフトを有し、シャフトは、前記偏心カム部材の側壁を貫通して伸長され、前記調整ナットを起動すると、前記開口の端壁と前記調整自在のカラーとの当接により決定される有効範囲を有した前記調整自在のカラーの移動を引き起こすことを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
パイプの内側から前記パイプの側壁を貫通切断する為に切断装置使用する方法であって、該方法は、
(a) 動力工具に細長いキャリアの工具側端を装着し、案内ホイールよりも大きな径を有する切断ディスクが前記キャリアに固定され、そして、楕円形の開口を備える偏心カム部材により、前記案内ホイールが前記キャリアの自由端方向で前記キャリアに装着されて前記キャリアに対して回転可能とされ、前記切断ディスクの縁と前記案内ホイールの当接面との間にスペースを形成するように、前記切断ディスクは前記案内ホイールに隣接して配置される工程と、
(b)前記偏心カム部材の前記開口に収納されたカラーの位置調整により前記案内ホイールの中心を前記キャリアの中心軸線との偏心を調整する工程と、
(c)回転可能な前記キャリアの回転を起こさせる為に、前記動力工具を操作する工程と、
(d)前記パイプの内側から前記パイプを切断する為に、前記切断ディスクを前記パイプ内に挿入する工程と、
(e)前記案内ホイールの当接面が前記パイプの内面に当接する深さまで前記パイプ内を切断する為、前記切断ディスクの縁を前記パイプの側壁の内面に対して接触させる工程と、
(f)前記パイプの長手方向軸と平行な前記案内ホイールの当接面と回転可能な前記キャリアの長手方向軸と共に、前記パイプの内面に沿って前記案内ホイールを回転させながら、前記パイプの全周回りに切断を延ばす工程、
とから成る。
【請求項4】
請求項3に記載された前記切断装置を使用する方法であって、前記案内ホイールは、前記切断ディスクの回転方向に対し、回転可能な前記キャリア上を反対回転することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置に関する。本発明は、また切断装置の切断体、切断装置と共に使用する案内または支持部材、及び切断装置の使用方法に関する。
【0002】
本発明は、下記の用途に限定されるものではないが、特に構造体に既に設置したパイプを含むパイプを切断するのに適した切断装置に関する。従って、以下の説明においては、本発明を上記用途に適用した例を参照して説明する。但し、本発明は、上記用途以外にも適用できる。例えば、パイプのみならずシートを切断するのに使用することが可能である。本書において使用される場合、「シート」なる用語はコンクリート製のスラブ、パネルもしくは壁を含む。
【背景技術】
【0003】
一般的に、PVCパイプ等のパイプを切断するのに切断ディスクを使用する。しかしながら、パイプが床または壁に施設されている場合には、パイプの外側部分からアクセスすることが不可能となる場合があり、パイプの内側からパイプを切断する必要がある。例えば、米国特許第4576070号にはパイプの長手方向の軸線に対してある角度でパイプの中へ挿入するパイプカッターが記載されている。このようにパイプカッターを挿入して切断をすると、パイプの切り口が面取りされた如くまたは斜めになって望ましくない。また、斯かるパイプカッターの配置は不安定であり、切り口が不揃いまたは不均一となる可能性がある。
【0004】
更に、米国特許第4576070号には、特に、動力工具が円形切断刃を有するシャフトに回転トルクを付与し、前記円形切断刃が前記シャフトに対して直角に向けられたパイプカッターが記載されている。また、案内ホイールが設けられ、この案内ホイールが前記切断装置から離れた前記シャフトの一端に支持されている。使用に際しては、前記切断刃が切断するパイプの側壁を切断貫通すべくパイプの長手方向軸線に対してある角度で整列され、切断刃が回転すると側壁を切断貫通する。前記案内ホイールは回転しないように前記シャフトに取り付ける。斯かる従来技術のパイプカッターは、案内ホイールがパイプの内面全体に係合しなければならず、且つ案内ホイールが切断刃から相当な距離離れて配置される点で不都合がある。また、切断ホイールは案内ホイールより小径である。実際問題として、これらの要素が相俟ってパイプの内面と案内ホイールとの間に複数個所間隙が生じ、且つパイプの内面と切断ホイールとの間にも相当の間隙が生じる。使用に際して、これらの間隙のため案内ホイールが切断ホイールを確実に支持することがなくなることからパイプカッターの切断効率が著しく悪化する。切断刃が抑制されない状態で横方向へ移動してパイプに傷を付けたり切り口が不揃いになる場合がある。また、切断ホイールは、前記シャフトがパイプの長手方向軸線と一致しない方向に向いているとガタつく傾向がある。また、このパイプカッターは、使用後パイプから容易に取り外すことが出来ず且つ異なる径のパイプに使用することが出来ない場合がある。
【0005】
米国特許第5815926号には、切断するパイプの隣接する端に案内ホイールが当接すること以外は上記の米国特許第4576070号と類似の構成が記載されており、案内ホイールより小径の切断ホイールが同様にパイプの内側で案内ホイールから相当の距離離れて配置される。これらの構造上の制約から後者の構成も上記した前者の構成と同様の不都合点を持つものと考えられる。また、切断されるパイプ上に案内ホイールを配置して維持することは、実際問題として、困難であり、安全上の問題に繋がる。後者の米国特許の構成の別の不都合点は、当該従来技術のパイプカッターを使用する前において、切断するパイプの一端が該パイプの長手方向軸線に対して正確に直角を成す必要があることである。同様の問題点は構造が類似の日本国特許公報2002−187014号を使用する上でも生じるものと考えられる。
【0006】
日本国特許公報10−216376号にはパイプカッターが記載されており、該パイプカッターは使用されると前記パイプカッターの自由端に隣接する切断ホイールを有する。また、案内ホイールも設けられ、動力工具により駆動される前記カッターの回転軸に取り付けられる。しかしながら、前記案内ホイールは前記切断ホイールの上方に配置され、従って、当接ホイールが、パイプの一部であって切断されて該パイプの残りの部分から切り離される部分に当接する。これにより、パイプカッターの使用中においてパイプの切断部分が動くために切断不良となり、切り口が不揃いになる。この点に加えて、切断を継続すると当接面がなくなることから案内ホイールの有効性が更に失われる。切断が完了すると、パイプを切断した後の使用者の動作により動力工具の作動が荒く抑えの効かないものとなり危険となる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4576070号公報
【特許文献2】米国特許第5815926号公報
【特許文献3】特開2002−187014号公報
【特許文献4】特開平10−216376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、上記した従来技術のカッターの不都合点の少なくとも幾つかを改良するカッターを提供することは効果的である。使用者が負傷するリスクを最小のものとすると共に安全に操作可能なカッターを考案することは効果的である。また、特にパイプへのアクセスが制限された状態において当該パイプを効率よく且つ効果的に切断可能なカッターを考案することは有益なことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1態様によれば、ワークを切断する切断装置であって、
(i) 長手方向の軸線、動力工具と係合可能な工具側端および自由端を有する細長いキャリアと、
(ii) 該キャリアに回転可能に取り付けられ且つ前記キャリアの長手方向軸線に平行に伸長する当接面を有する前記キャリアの自由端方向に配置された案内または支持部材と、
(iii) 外縁切断刃を有し前記案内部材と前記キャリアの工具側端との中間に配置される切断体であって、該切断体が前記案内部材に近接して隣接すると共に切断体の横断方向の寸法が前記案内部材より大きくされて、
(iv) 前記切断体の前記切断刃と前記案内部材の当接面との間に外縁スペースを形成し、使用されると、前記刃の切断中のパイプを完全に切断する部分が該スペースを占有する切断体とを含むことを特徴とする切断装置が提供される。
【0010】
前記スペースまたは、例えば、外縁空間等の空間を上記の如く設けることは、該スペースが深さゲージとして機能し、使用者がパイプまたはシートを要求する深さまたは厚さまで切断するのを容易にし、且つ使用中に切断体が切断するパイプの限界を超えて移動するのを阻止する上で有益となる。
【0011】
前記切断体と前記案内部材との軸線方向の距離は0.5乃至5.0mm、例えば、0.5乃至1.0mmであって良い。これは前記の「近接して隣接する」ことに関係するものであり、「近接して隣接する」とは、切断体と案内または支持部材とが上記に例示したほどの短い軸線方向距離だけ分離されて前記スペースを画定することを意味する。
【0012】
この点において、前記した従来技術では(iii)及び(iv)に記載した特徴に関して何の言及もなく、(iii)及び(iv)に記載した特徴によれば下記の効果が得られる。
(a) 前記案内または支持部材が前記切断体の内方、例えば、以下の好適な実施例の図面に図示する如く、前記切断体の動力工具に取り付けられる前記工具側端とは反対の他方側に配置されることで、該案内または支持部材が撓むことがなく、使用に際しては、該案内または支持部材が間隙を生じることなく切断するパイプまたはシートの周囲当接面に十分に係合することから切断体を強く安定して支持することができ、
(b) 上記の(a)の結果、使用に際して、切断体の横移動がなくなり、即ち、本発明の切断装置は非常に安全に使用することが可能であり、関連地域の作業場の健全及び安全に関する全ての規則に準じるものであり、
(c) 本発明の切断装置は使用後に切断したパイプまたはシートから非常に容易に離脱させることが可能であり、且つ
(d) 案内部材がキャリアの長手方向軸線に平行に伸長する当接面を有し、前記切断体から隔置されて、切断体の回転方向と反対方向または回転方向に回転しても良く、これにより、使用に際して、切断するパイプの内部で切断装置の変位が容易となって、切断装置を効率よく使用することが可能となる。
【0013】
前記案内または支持部材は案内ホイールの形態としても良く、該案内ホイールは前記細長いキャリアに緩く取り付けられて、該キャリアに対して回転可能に、例えば、キャリアに対して自由に回転できる。前記キャリアはロッドまたはシャフトの形態としても良い。
【0014】
前記切断装置は保持構造を含んでも良く、該保持構造は前記キャリアの自由端に配置され且つ横断方向の寸法がキャリアより大きくされて、前記案内または支持部材の座またはハブを前記キャリア上に緩く保持する。
【0015】
前記キャリアは前記保持構造に隣接してねじ部を有しても良く、ナットをキャリアの前記ねじ部に螺合させて前記切断体をキャリア上に保持する。
【0016】
前記細長いキャリアは少なくとも1つのキーを有しても良く、また、前記切断体は前記キャリアのキーとの係合を保持可能な少なくとも1つのキー溝を画定しても良い。前記細長いキャリアは一対のキーを含んでも差し支えなく、この場合、該一対のキーは前記切断体上の対応する一対のキー溝と係合する。
【0017】
前記切断装置は、前記キャリア上に、該キャリアに定着したディスクを含んでも良く、該ディスクには前記一対のキーが形成される。このディスクは前記キャリアに堅固に装着されても良く、または、前記キャリアに加工されても良い。
【0018】
前記切断装置は圧縮リングを含んでも良く、該圧縮リングは前記キャリアの自由端に装着されたエンドキャップに配置された相溝及びキャリアの整列溝に係合し、切断体を前記キャリアに確実に保持する。
【0019】
前記切断装置はスプリングクリップを含んでも良く、該スプリングクリップは互いに離れるように付勢された一対の外方向へ伸長する脚と、各々の脚の自由端に配置された前記キャリアの例えば自由端側の対応する切り欠きに係合して前記案内または支持部材及び前記切断体を前記細長いキャリアに確実に保持する一対の隣接する端部突起または耳部とを有する。
【0020】
前記スプリングクリップの一端は前記一対の端部突起または耳部から離れていても良く、該一端は前記キャリアの自由端でキャリアに装着されたエンドキャップに解放自在に装着される。
【0021】
前記切断装置は前記キャリアの自由端に装着されて内側孔を画定するエンドキャップ及び該内側孔内に配置されるスプリングを含んでも良い。また、前記切断装置はテーパー面を有する長手方向ピン及び同様にテーパー面を有する一対の横断方向ピンを含んでも良く、該長手方向ピン及び各横断方向ピンのテーパー面は、各横断方向ピンが前記キャリアの対応する切り欠きまたは溝に配置されて前記案内または支持部材及び前記切断体を前記キャリア上に確実に保持するときに互いに当接する。
【0022】
前記切断装置は前記キャリアの自由端にエンドファスナーを含んでも良く、該エンドファスナーは前記キャリアの内側通路と係合して、前記エンドファスナーを囲繞するブッシュに対して力を付与して前記切断ディスク及び案内または支持部材が前記キャリアに確実に保持される。
【0023】
前記エンドファスナーはねじ山を有しても良く、該ねじ山は前記内側通路を形成する前記キャリアの内壁上の相補ねじ山と係合する。
【0024】
本発明の別の態様によれば、
(i) 長手方向の軸線、動力工具に連結作動する工具側端および自由端を有する細長いキャリアと、
(ii) 該キャリアに回転可能に取り付けられ且つ前記キャリアの長手方向軸線に平行に伸長する当接面を有する前記キャリアの自由端方向に配置された案内または支持部材と、
(iii) 外縁切断刃を有し前記案内または支持部材と前記工具側端の中間に配置される切断体とを含むことを特徴とする切断装置が提供される。
【0025】
前記切断装置は前記案内または支持部材に近接して隣接するよう配置されても良い。
【0026】
前記切断装置は本発明の第1の態様に係る上記に記載した切断装置の特徴の何れか1つまたはそれ以上の特徴を含んでも良い。
【0027】
前記切断装置は内側キャビティを画定する偏心カム部材と、前記キャリアに取り付けられ且つ該偏心カム部材の内側キャビティ内に収容される調整自在のカラーとを含んでも良く、前記切断体が同じ方向に移動して前記案内または支持部材と該切断体との間にスペースを画定し、該スペースが、使用に際して、切断するパイプまたはシートの所望の壁厚に相当する。
【0028】
前記調整自在のカラーはねじ山が切られたシャンクまたはシャフトを有しても良く、該シャンクまたはシャフトには調整ナットが取り付けられ、前記シャンクまたはシャフトが前記偏心カム部材の側壁を貫通して伸長すると共に、前記ナットを起動すると、調整自在のカラーと前記内側キャビティの端壁との当接により決定される有効範囲を有した前記偏心カム部材に対して前記調整自在のカラーが前記移動を開始する。
【0029】
本発明の別の態様によれば、ワークを切断する、例えば、パイプの側壁またはシートを切断貫通する切断装置と共に使用され回転自在のキャリアまたはシャフトに取り付け可能な切断刃であって、該切断刃が複数のディフレクター翼を含む切断体を備え、各ディフレクター翼が前記切断体の外縁から内方へ向かって配置され、前記切断刃が該切断刃内に各ディフレクター翼と隣接する開口を画定し、使用に際して、各ディフレクター翼により、切断されるパイプまたはシャフトから発生する微細なチップまたは屑を、隣接する開口を介して使用者の顔から遠ざける方向へ指向することを特徴とする切断刃が提供される。
【0030】
前記切断体は略平面であっても良く、また、前記切断体は略円形であっても良い。
【0031】
本発明の更に別の態様によれば、ワーク、例えば、パイプの側壁またはシートを切断貫通する切断装置と共に使用され、キャリアまたはシャフトに取り付け可能な切断体と共に回転自在のキャリアまたはシャフトに取り付け可能な案内または支持部材であって、該案内または支持部材が、一対の対向する端部部品と、複数の枢動自在の翼であって各々が連結体またはストラップによりそれぞれの外側端で連結される複数の揺動自在の翼から成る中間組立体とを含み、前記翼の各々が、前記案内または支持部材の横断方向の寸法のそれぞれ内側及び外側範囲を画定する内側部位から外側部位へ移動自在となって、前記案内または支持部材の径を調整することを特徴とする案内または支持部材が提供される。
【0032】
各翼は弧状であっても良く、また、前記翼の各々は、例えば前記案内または支持部材を一方の端から見た場合、1つの凹側と、対向する一つの凸側を有する同様な曲率を有しても良い。
【0033】
各翼はスロットを画定しても良く、また、隣接する連結体のそれぞれの外側端は、各翼が枢動すると前記スロット中で摺動変位しても良く、摺動変位することで前記案内または支持部材の径を調整する。
【0034】
各翼のそれぞれの内側端は、1つまたは各端部部品に枢動自在に装着されても良い。更に、各翼のそれぞれの内側端は各翼の枢動移動の前記範囲を決定する内側開口を有する。
【0035】
本発明の更に別の態様によれば、ワークを切断する切断装置の使用方法であって、
(a) 回転自在の細長いキャリアの一端を動力工具へ装着することであって、該細長いキャリアは、別の端に該キャリアに回転自在に装着される案内部材、及び、該案内部材の内側で前記回転自在のキャリアに装着される切断体を有し、前記切断体の横断方向の寸法がまた前記案内部材より大きいと共に、該切断体が、前記案内部材に近接して隣接配置されて前記案内部材と前記切断体との間に外縁スペースを形成することと、
(b) 前記動力工具を作動させて前記回転自在のキャリアを回転させることであって、前記案内部材が切断する前記ワークの表面に沿って回転し、前記当接面が前記回転自在のキャリアの長手方向軸線に平行であることと、
(c) 前記ワークを切断貫通することとを含むことを特徴とする切断装置の使用方法が提供される。
【0036】
前記ワークはパイプであっても良く、斯かる場合には、該パイプの側壁を切断貫通することは、前記案内部材を前記パイプの内側面に沿って回転させながら前記切り口を前記パイプの全周に沿って伸長させて行き、前記パイプの側壁を該パイプの残りの部分から完全に切り離すことを含む。前記キャリアの前記長手方向表面は、前記パイプの長手方向軸線に平行であって且つ隔置されていても良い。
【0037】
代わりに、前記ワークは略平面のシートであっても良い。
【0038】
前記案内部材は前記切断体の回転方向に対して反対方向に回転しても良い。代わりに、前記案内部材は前記切断体と回転方向と同じ方向に但し該切断体と独立してより遅い回転速度で回転しても良い。
【0039】
本発明の更に別の態様によれば、パイプを切断して該パイプの端部領域を取り除く方法であって、
一端で動力工具へ連結され、別の端の方向で回転自在に装着される案内部材を有する回転自在の細長いキャリアと、該回転自在のキャリアに前記案内部材と前記一端の間で装着される切断体であって、その横断方向の寸法が前記案内部材より大きな切断体とを設けることと、
前記回転自在のキャリアを回転させて前記切断体を回転させ、それにより、切断体に前記パイプを切断貫通させることと、
前記案内部材を前記パイプの内側面の周りに変位させて、前記切断体を前記パイプの周りで案内すると共に、前記パイプの軸線に対して直角な切断線に沿って前記パイプを切断することとを含むことを特徴とするパイプの切断方法が提供される。
【0040】
前記キャリアを回転することは、前記キャリアを回転し、該キャリアを動力工具に連結作動させて前記切断体を高速で回転することを含んでも良い。
【0041】
前記案内部材を変位させることは、前記切断体を前記パイプの全周周りに案内して、前記パイプを完全に切断して該パイプの端部領域を取り外すことであっても良い。
【0042】
前記案内部材を変位させることは、該案内部材を前記パイプ表面の周りで前記切断体の回転方向と反対方向に変位させることを備えていても良い。
【0043】
前記案内部材は当接面を含んでも良く、また、前記案内部材を変位させることは、前記当接面を切断する前記パイプの側壁の内側面または切断するシートの隣接面に接触させることを含んでいても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明に係るパイプを切断する切断装置及びパイプを切断する方法は様々な形態を取っても良い。以下に、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施例を詳細に説明する。斯かる詳細な説明をする目的は本発明の主題に関心を持つ人に発明の実施の仕方を教示することである。しかしながら、斯かる詳細な説明の特定の性質が前記の広範な説明の汎用性に取って代わるものではないことは明白である。添付図面は以下の通りである。
【0045】
図1図1は、本発明の切断装置の第1の実施例の組立て図である。
図2図2は、図1に図示した本発明の切断装置の分解斜視図である。
図3図3は、パイプの切断に使用中の図1の切断装置の断面図であり、
図4図4は、図3に図示した構成の側面図である。
図5図5は、圧縮リングを備えた本発明の第2実施例の分解斜視図である。
図6図6A、6B及び6Cは図5に図示した切断装置の断面図であり、エンドキャップの回転軸への取り付けを示す。
図7図7は、本発明の第3の実施例の分解斜視図である。
図8図8は、本発明の第4の実施例の分解斜視図である。
図9図9は、図8に図示した実施例の断面図である。
図10図10は、図8に図示した実施例の断面図である。
図11図11は、図8に図示した実施例の断面図である。
図12図12は、本発明の第5の実施例の分解斜視図である。
図13図13は、図12に図示した実施例の断面図である。
図14図14は、図12に図示した実施例の断面図である。
図15図15は、図12に図示した実施例の断面図である。
図16図16は、本発明の第5の実施例の分解斜視図である。
図17図17は、図16に図示した実施例の断面図である。
図18図18は、図16に図示した実施例の断面図である。
図19図19は、図16に図示した実施例の断面図である。
図20図20は、本発明の第6の実施例の分解斜視図である。
図21図21は、図20に図示した実施例の断面図である。
図22図22は、図20に図示した実施例の断面図である。
図23図23は、本発明の第7の実施例の分解斜視図である。
図24図24は、図23に図示した実施例の正面図である。
図25図25は、図23に図示した実施例の正面図である。
図26図26は、図23に図示した実施例の正面図である。
図27図27は、図23に図示した実施例の正面図であり、エンドキャップを外した状態を示す。
図28図28は、使用者から遠ざかる方向へ屑及び微細なチップを指向するのに使用する本発明の切断ディスクを図示する図である。
図29図29は、使用者から遠ざかる方向へ屑及び微細なチップを指向するのに使用する本発明の切断ディスクを図示する図である。
図30図30は、使用者から遠ざかる方向へ屑及び微細なチップを指向するのに使用する本発明の切断ディスクを図示する図である。
図31図31は、本発明で使用する変形案内部材の分解斜視図である。
図32図32図31の案内ホール及び回転軸に取り付けられた図30の屑抽出切断ディスクを図示する図である。
図33図33図31の案内ホール及び回転軸に取り付けられた図30の屑抽出切断ディスクを図示する図である。
図34図34図31の案内ホール及び回転軸に取り付けられた図30の屑抽出切断ディスクを図示する図である。
図35図35図31の案内ホール及び回転軸に取り付けられた図30の屑抽出切断ディスクを図示する図である。
図36図36は、平面シートまたはパネルを切断中の図32図33図34及び図35に図示した切断装置を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
上記の添付図面において、符号10は全体的にパイプ切断装置の実施例を示す。
【0047】
パイプ切断装置10は、ロッドまたはシャフト12の形態を取り、基端または自由端12.2と先端はまた工具側端12.1(即ち、動力工具と係合可能である端)を有する細長いキャリア12を含む。切断ディスク14の形態を取る切断体は、ロッド12上に配置され、該ロッド12と回転可能に堅固または固定して装着される。切断ディスク14は、ロッド12に回転可能に担持される案内ホイール16の形態を取る案内部材に、近接して隣接しながら該案内ホイール16から間隙を設けて配置される。更に、案内ホイール16は、中心開口19を有する切断ディスク14の面14.1(図2)に近接して隣接するように配置される。
【0048】
シャンク部18の形態を取る装着構造が、ロッド12の基端12.1に画定される。シャンク部18は、動力工具のチャック(図示なし)等の把持体に収容される。動力工具は、例えば、ハンドドリルである。
【0049】
ボタン20の形態を取る保持構造が、ロッド12の先端12.2に取り付けられる。ボス22がボタン20に隣接して画定される。ボス22の径はロッド12より大きいが、ボタン20よりは小さい。案内ホイール16は、座またはハブ24を画定し、該ハブ24内にボタン20が収容されて、案内ホイール16がボス22に担持された状態でロッド12上に保持される。
【0050】
ロッド12は、ボス22に隣接配置されたねじ部26を有する。切断ディスク14は、ロッド12上にナット28により保持され、該ナット28がロッド12のねじ部26に螺合を介して係合する。パイプ切断装置10は、一対のロックワッシャー30を含む。ロックワッシャー30は、切断ディスク14の両側に配置されて、切断ディスク14をロッド12に係止する役目を果たし、使用に際しては、切断ディスク14が、ロッド12が連結した動力工具の作用でロッド12と一体に回転する。
【0051】
切断ディスク14の径は、切断するパイプ32(図3及び4)の径より小さい。案内ホイール16の径も、切断ディスク14の径より小さい。案内ホイール16は、当接面34を画定し、該当接面34は、ロッド12の長手方向軸線と平行に伸長する。切断ディスク14の切断刃と案内ホイール16の当接面34との間に画定される外縁スペース36は、深さゲージの機能を果たし、図4に図示するように、使用者がパイプを要求深さまで切断するのを容易にする。
【0052】
切断ディスク14は、タングステン・カーバイトディスクまたはダイアモンドディスク等の任意の適切な研磨切断ディスクである。
【0053】
パイプ切断装置10は、予備組立て状態で販売されるか、組立てキットとして提供することが可能であり、後者の場合には、一体に組立て可能な多数の部品が、ロッド12、ナット28、一対のワッシャー30、1つ以上の切断ディスク14であって径が異なっても良い切断ディスク14及び径の異なる案内ホイ−ル16と一緒に提供される。径の異なる案内ホイールがあることで、切断装置で成す切断の深さを変化させることができる。パイプ切断装置10がキットで提供される場合には、必要なサイズの切断ディスク14及び案内ホイール16を選択して、ロッド12上に取り付ける。案内ホイール16は、切断ホイール16の座24中にボタン20を収容した状態で、ボス22上に収容される。案内ホイールは、また、該ホイール中に画定される開口24Aを含み、該開口24Aにより空気の流通が可能となると共に、案内ホイール16に使用される材料の量を低減する。案内ホイール16は、また、中心開口24Bも含み、ロッド12を該開口24Bに通してロッド12上に案内ホイール16を取り付ける。
【0054】
ボス22は、案内ホイール16の中心開口24B内において、案内ホイール16に緩く嵌合されて、案内ホイール16がロッド12に対して回転することが可能となる。選択した切断ホイール14を案内ホイール16に隣接した状態でロッド12取り付け、ナット28で所定位置に固着する。ねじ部26に螺合するナット28とロックワッシャー30を設けることの組合せにより、切断ディスク14をロッド12に係止する。切断ディスク14は、ロッド12に堅固に取り付けられて、該ロッド12と一体に回転する。
【0055】
図示の例では、パイプ切断装置10を使用して、建物の床38下のパイプ32を切断する。切断ディスク14の径は、切断するパイプ32の径より小さいことに留意する必要がある。
【0056】
パイプ切断装置10を装着した動力工具(図示なし)を作動させて、ロッド12と該ロッド12に装着した切断ディスク14を回転する。切断ディスク14の刃を、パイプ32の内側面40に当てて、パイプ32の壁に最初の切り口をいれる。切断ディスク14は、切断ディスク14の刃と案内ホイール16の当接面34との間に画定したスペース36により決定する深さまで、切断を行なう。言い換えれば、図4に示す如く、切断ディスク14は、当接面34がパイプ32の内側面に当接するまで、パイプ32の壁を切断貫通する。
【0057】
図示の実施例では、図3において、矢印44で示す如く、ロッド12は時計回りに回転する。要求深さまでの切断42が達成されると、案内ホイール16がパイプ32の内側面40に当接することから、パイプ切断装置10が、パイプ32の長手方向の軸線周りに、図3において矢印46で示すごとく、反時計回りに回転するようにされる。これが、使用者がパイプ32を切断すると共に切断箇所の高さを均一に保つ上での助けとなる。また、案内ホイール16は、切断ディスク14と同じ方向に回転しても良い。
【0058】
更に、パイプ32の円周周りに切断が完了すると、案内ホイール16は、パイプ切断装置10がパイプ32から横方向へ飛び出すのを抑制する役目を果たすが、案内ホイール16がなければ斯かる事態は起こり得る。このように、使用者が怪我をする可能性や周囲の構造に損傷を生じさせる可能性を排除できる。
【0059】
従って、案内ホイール16を切断ディスク14の内方へ設けることで、少なくとも3つの機能がはたされる。先ず第1は、案内ホイール16が、深さゲージとして機能してパイプ32の壁の切断深さを制御することである。案内ホイール16は、更に、パイプ切断装置10がパイプ32の内側面40の周りを逆の回転方向へ移動してパイプ32に周方向の切断を行なうのを助ける役目を果たす。第3は、案内ホイール16は切断完了後にパイプ切断装置10を抑制する役目を果たす。
【0060】
パイプ32の長手方向の軸線に対して直角に揃った均一な切断を、使用者が行なうのを可能にするパイプ切断装置10が提供されるのは、記載の実施例の効果である。案内ホイール16を設けることで深さゲージとしての機能がもたらされ、使用者が切断の深さを制御することが可能となる。また、案内ホイール16を設けることは、切断作業中に、パイプの長手方向の軸線周りにパイプ切断装置10を回転するのを助けることとなる。案内ホイール16は、また、パイプ32の切断作業の完了後に、パイプ切断装置10がパイプ32の範囲を超えて横方向へ移動するのを抑制する役目を果たす。
【0061】
所望であれば、ロッド12のねじ部26からナット28を取り外すといった簡単な作業で、径の異なる切断ディスク14及び案内ホイール16を、ロッド12に取り付けることが可能となることは記載の実施例の更なる効果である。ロッド12の記載の構成では、ロッド12全体にねじを切る必要はなく、ナット28の取り外しと再取り付けは理に叶って単純且つ迅速に達成できる。
【0062】
上記に説明した如く、パイプ切断装置10はセットで販売され、ロッド12に様々なサイズの切断ディスク14及び/または案内ホイール16を設ける。加えて、斯かるセットに交換用の切断ディスク14を入れて、切断ディスク14の刃が切れなくなった場合には鋭利な刃を有する切断ディスク14に交換することが可能となる。
【0063】
円形断面のパイプ32を参照して実施例を説明してきたが、パイプ切断装置10を、おそらく、他の断面形状のパイプへ適用することは可能である。但し、この場合には、切断効果は下がるものと理解される。
【0064】
図5図6A、図6B及び図6Cに、更に別の実施例のパイプ切断装置10Aを図示する。該パイプ切断装置10Aは、上記の実施例と同様な部品を有しており、斯かる同様の部品には前記実施例と同様の符号を付すこととする。本実施例では弾性または可撓性材料で構成されるC字の形状をしたスナップまたは圧縮リング53を支持する内側溝22B有するエンドキャップ22Aが設けられる。また、シャフト12に溶接されるか、または、機械加工にてシャフト12に形成されるディスク47を備える。該ディスク47は、キー48と、図6A、図6B及び図6Cに示す如く、スナップリング53を支持する溝55とを備える。切断ディスク14Aは、上方及び下方のキー溝または凹部49Aを有する中心開口19を備える。エンドキャップ22Aは、また、フランジ22C及び端壁54Aを備える。また、レバー開口54も備える。
【0065】
エンドキャップ22Aをシャフト12に装着する工程を、図6A及び図6Bの矢印によって、順に図6A、図6B及び図6Cに図示する。スナップリング53は、溝22Bに保持され、エンドキャップ22Aがシャフト12に押圧されると、シャフトのテーパーが付いた導入面56がスナップリング53に衝突する。エンドキャップ22に加えられた押圧力が、スナップリング53の自然の抵抗力より大きくなると、スナップリング53が物理的に変位して、径がエンドキャップ22Aの内径とスナップリング53の外径とが等しくなるまで縮小する。この段階で、エンドキャップ22Aが、シャフト12上を摺動してスナップリング53が内側溝22Bに嵌る。この時点で、スナップリング53の外径が溝22Bの径と等しくなる。
【0066】
溝22Bは、この段階で、スナップリング53が確実に一定の力を該溝22Bの内側面に加えるように設計されており、斯かる力は切断ディスク14Aへ伝えられる。この力により、切断ディスク14Aが完全にキー48と係合して、案内ホイール16がエンドキャップ22Aの長手方向の軸線周りに自由に回転することが可能となる。この力は、また、切断ディスク14A、エンドキャップ22A及び案内ホイール16がシャフト12から滑り落ちるのを防止する。エンドキャップ22Aをシャフト12から解放するには、同一の力を、スロット54に挿入したレバーを介して、エンドキャップ22A に加えると共に、同一の工程を逆の順序で行なう。図6Cでは、フランジ22Cが外縁スペース57に係合している。
【0067】
図5及び図6A、図6B及び図6Cに記載した実施例は、HDPEまたはPVC等の異なるプラスチック材料、または銅やステンレス鋼を含んだ金属、またはセラミックスや陶器を含んだその他の材料から形成されるパイプやシートに対して使用する切断装置10Aには有益である。
【0068】
図7に切断装置10Bの別の実施例を図示する。この切断装置10Bでは、上方及び下方突起またはキー50Aがボス22に隣接してシャフト12上に設けられる。これらのキー50A は、図5の実施例と同様に、ワッシャー30Aのキー溝51及びキー溝49の上方及び下方キー溝または凹所49Aを通過する。これも、ナット28を外すことで開始される迅速解放連結またはクィックレリースカップリングの一例である。
【0069】
図8図9図10及び図11に別の実施例を図示する。この実施例の切断装置10Cでは、腕57と端部突起58とを有するスプリングクリップ56が使用される。また、係止ディスク61のキー60と係合するキー溝59を有するシャフト12に装着される切断ディスク14Cを備える。また、筒状ブッシュ62を備える。これも、クィックレリースカップリングの一例であり、スプリングクリップ56をプライヤーまたはドライバー(図示なし)を使用して迅速に取りはずしても良い。図9では、スプリングクリップ56を収容する中空通路63がシャフト12に設けられる。
【0070】
切断装置10Cでは、スプリングクリップ56は、スプリング鋼のクリップであり、案内ホイール16と切断ディスク14とを封入する力を付与するようにされる。これは、腕57の各々を内方へ付勢することで達成する。図9乃至図10に図示するように、端部突起または耳部58を押し下げることで、クリップ56がブッシュ62内でシャフト12の中空内部63へ挿入されても良い。突起58が解放されると、クリップ56は、図11に示の如く、突起58が保持切り欠き65に係合した状態で、図示の如く、シャフト12の中空内部63及びシャフト12の中空通路64内で所定位置に保持されても良い。これにより、切断ディスク14がシャフト12上でキー60により完全に係合されると共に確実に保持される。
【0071】
図12乃至図15の実施例では、切断装置10Dは、図8乃至図11で説明した構成と同じ構成を有しており、腕57A及び端部突起58Aを有するスプリングクリップ56Aが使用される。スプリングクリップ56Aは、また、ねじ67を保持する開口66を有する。また、スプリングクリップ56Aが、保持ねじ67により装着されるエンドキャップ68が設けられている。エンドキャップ68は、ヘッド70内のレバースロット69及びシャンク71を有する。端部突起73を備えた中空ブッシュ72が設けられ、該端部突起73はエンドキャップ68の相スロット74と係合する。ブッシュ72は、フランジ75を有し、該フランジ75はキー溝76を備えており、該キー溝76は、切断ディスク14Dのキー溝77に一致する。双方のキー溝76及び77は、シャフト12と一体のディスク79のキー78に一致して、エンドキャップ68と切断ディスク14Dとの間に正(ポジティブ)の力を付与する。
【0072】
先ず、エンドキャップ68をシャフト12に係合すると、係止腕57が、図13乃至図14に図示する如く、シャフト12のテーパーの付けた導入口80に衝突する。エンドキャップ68の付与される押圧力が、摩擦力とスプリングクリップ56Aの曲げ力との合力より大きくなる時点で、係止腕57Aがシャフト12の中心軸に対して直角に変位し始める。係止腕57Aが、シャフト内側キャビティ72Aの基部方向で内側溝81に接続すると、スプリングクリップ56Aの抵抗曲げ力が、突起58Aへ伝わり、突起58Aが溝81のテーパーの付いた壁84へ押圧され、これにより、エンドキャップ68がシャフト12の軸線に沿って更に内方へ押しやられる。エンドキャップ68が完全に係合した状態では、常に、スプリングクリップ56Aに付与される正の力が、溝81のテーパーの付いた壁84へ伝えられる。この力はシャフト軸に垂直なエンドキャップ68の平面83を介して伝えられる。この平面83がシャフトブッシュ72を押圧し、次いで、このシャフトブッシュ72が切断ディスク14Dを押圧し、正の力が付与されて、切断ディスク14Dが完全にシャフトキー78と係合する。
【0073】
切断装置10Dのもう一つの特徴は、シャフト12が回転すると、係止腕57Aに求心力が付与されることである。この加速が増大すると、求心力も増大してシャフトの内側溝81のテーパーの付いた壁84に伝わり、切断ディスク14Dに付与される圧力が増大し、図15に図示する如く、作動する切断ディスク14Dを変位させるためには、必要な力が増大する。
【0074】
図16乃至図19に示す実施例では、図12乃至図15に図示した構成と同様な構成が図示されていが、圧縮リング86、横断方向のテーパーの付いた係止ピン87及び端部ピン88が、スプリングクリップ56Aに取って代わる点が異なる。切断装置10Eは、エンドキャップ68と切断ディスク14Dとの間に正の力を付与する機能を有する。最初に、エンドキャップ68をシャフトキャビティ82に係合させると、テーパーの付いた係止ピン87がシャフトキャビティ82のテーパーの付いた導入口80に衝突する。エンドキャップ68に付与された押圧力が摩擦力とスプリング力の合力より大きくなると、テーパーの付いた係止ピン87がシャフト12の中心軸線に対して垂直方向へ変位し始める。図17から図18に図示する如く、この変位が、係止ピン87の接面89及び90間で共有されるテーパー及びテーパーの付いたスプリング端部ピン88を介して、テーパーの付いたスプリング端部ピン88の長手方向の変位へと変わる。この変位が、順番に、圧縮リング86を変位させて抵抗力が生じる。
【0075】
テーパーの付いた係止ピン87がシャフトキャビティ82の基部方向の内側溝81に接触すると、スプリング力が係止ピン87に伝わり、次いで、係止ピン87がテーパーの付いた壁84を押圧し、エンドキャップ68がシャフト72の軸線方向に沿って更に内方へ押しやられる。エンドキャップ68が完全に係合すると、テーパーの付いた壁84に移動した圧縮リング86により正の力が常に付与される。次いで、この力がシャフト12軸線に垂直なエンドキャップ68の平面83を介して伝えられる。このエンドキャップの平面83はシャフトブッシュ72を押圧し、次いでシャフトブッシュ72が切断ディスク14Dを押圧し、これにより正の力が付与されて、図19に図示する如く、切断ディスク14Dが完全にシャフトキー78上に係合される。
【0076】
切断装置10Eのもう一つの特徴は、シャフト12が回転すると、係止ピン87に求心力が付与されることである。この加速が増大すると、求心力も増大してテーパーの付いた壁84に伝わり、切断ディスク14Dに付与される圧力が増大し、作動する切断ディスク14Dを変位させるためには、必要な力が増大する。
【0077】
図20図21及び図22に図示した切断装置10Fは、キー78と係合するキー溝91を備えた切断ディスク14Fを使用する。また、図21乃至図22に図示する如く、シャフト12の隣接端95の内側ねじ山94と係合するねじ山を備えたシャンク93を有するファスナー92が設けられる。ファスナー92はヘッド93A、フランジ96及びドライバー溝またはスロット94を有する。ブッシュ72Aも備える。ファスナー92は、内側ねじ山94との係合を介して、案内ホイール16及び切断ディスク14Fを封入する力を付与するのに使用する。完全に係合すると、ファスナー92は、シャフトブッシュ72Aに力を付与し、該シャフトブッシュ72Aが順番にその力を切断ディスク14Fへ伝える。
【0078】
この力によって、切断ディスク14Fがシャフト12上のキー78に完全に係合して、案内ホイール16がシャフト12の長手方向の軸線周りに自由に回転可能となる。この力は、また、切断ディスク14F、ブッシュ72A及び案内ホイール16がシャフト12から滑り落ちるのを防止する。図22は切断ディスク14Fと案内ホイール16のハブ24との間に介装されたブッシュ72Aのフランジ97を図示する。
【0079】
図23では、偏心調整カム100、シャフト連結カラー102のねじ山の切られたシャフト101に取り付けられた調整ナット99、シャフト連結カラー102を保持する楕円形の開口103及びスロット104を有する切断装置10Gが設けられる。開口103は対向する端壁103Aを有し、該端壁103Aにより開口103内でのカラー102の移動の範囲が決定される。偏心調整カム100の取り付け開口106が図示されている。切断装置10Gの作動を図24図26及び図26に図示する。また、使用中の切断装置10Gの屑を該装置10Gの操作者から離れる方向へ指向する屑収集翼107が図示されている。
【0080】
この切断装置10Gは様々な壁厚に対して使用することが出来ると共に壁厚ゲージとして機能する。作動するに際して、偏心調整カム100は、シャフト12に緩く嵌合されている案内ホイール16及び切断ディスク14Gと一緒に使用される。調整ナット101を何れかの方向へ回転すると、シャフト軸線中心が、案内ホイール16に関連して変化する。従って、シャフト軸線は、図25及び図26に図示するように、ナット100の回転数によって、図25の中心位置から偏心位置まで移動することができる。このように偏心することで、力中心が案内ホイール16と関連して移動することになり、回転するシャフト12の周りに、あるモーメントの力を生じる。次いで、この力により、案内ホイール16が、切断ディスク14Gの位置に関係なく、図26及び図27に図示する如く、自然に所望のゲージの壁厚に位置きめされるのを可能にする。
【0081】
図27は、切断装置10Gの組立図を示す。また、回転シャフト中心108が図示されており、力線109は、切断される媒体に垂直となっている。符号110は壁厚を示す。
【0082】
図28は、切断ディスク111の1つの形態を図示しており、該切断ディスク111は、作動すると低圧の渦巻きを起して、切断ディスク111の周りに真空を生じさせるように方向性をもたせて設計されており、渦巻きの方向は回転方向により決定される。この切断ディスクおよびせり上げたディフレクター113は、屑や微細なチップ113Aを、切断する物品の表面から離れる方向へ且つ各ディフレクター13に隣接する開口114を介して下方へ吸引するのに効果的である。この切断ディスク111は、屑や微細なチップを使用者の顔から離れる方向へ引き出すのに効果的である。
【0083】
図29に切断ディスク115を図示しており、該切断ディスク115も、低圧域を切断ディスク115の中心19方向に生じるように設計されており、この場合には、回転方向に関係なく一定方向へ向けて低圧域を生じるような設計にされている。この設計は、屑や微細なチップを、切断する物品から離れる方向へ且つ各ディフレクター翼113Aに隣接する開口114Aを介して下方へ吸引するのに効果的である。
【0084】
図30に一方向切断ディスク116を図示しており、該一方向切断ディスク116は、回転の方向に関係無く、低圧域を切断面112の近傍に生じさせる。この設計は、屑や微細なチップを、切断する物品の表面から離れる方向へ且つディフレクター117に隣接する開口118を介して、従って、使用者の顔から離れる方向へ吸引するのに効果的である。
【0085】
切断装置の切断深さを制御するのに使用する可変径案内ホイール16Aを図31に図示する。案内ホイール16Aは、上方ディスク要素120、下方ディスク要素120A、複数の翼要素121及び複数の湾曲翼連結要素122を備える。案内ホイール16Aはウォームドライブ123を使用し、該ウォームドライブ123は下方ディスク要素120Aと関連して作動する上方ディスク要素120の回転量を制御する。ウォームドライブ123が作動すると、上方ディスク要素120が回転して上方ディスク要素120に連結され且つスロット126に保持された内側ピン125が該スロット126の隣接面を押圧する。翼要素121もピン124により下方ディスク要素120Aに保持され、前記ピン124は開口127を貫通し、該開口127は翼要素121の枢動点として機能する。翼要素121は、枢動点127を中心に回転可能であり、それによって、翼要素121の外径を変化させる。湾曲した翼連結要素122は、相互に隣接する端で、ピン128を介して翼要素121へ結合される。該ピン128は仮想図示しており、同様に枢動点として機能する。各要素121及び要素122の隣接する端は、スロット129内を移動するピン128によって結合される。このスロット129により、湾曲した翼連結要素122が該スロットに対して接線方向に移動可能となり、各翼要素121間の連結が維持される。
【0086】
下方ディスク要素120Aの位置決め突起130が設けられ、それぞれ上方ディスク要素120の相対する凹部131に配置される。ウォームドライブ123は、ハウジング132内へ収容され、スロット133及び134に係合するドライバー(図示なし)により駆動される。
【0087】
図32図33図34及び図35は、前記案内ホイール16Aを図示しており、該案内ホイール16Aは、屑引き出しディスク116と共にシャフト12上に取り付けられる。図33図34及び図35に図示する如く、エンドキャップ68を使用して上記ホイールとディスクの取り付けがなされる。
【0088】
図36には平面パネル136を切断するのに使用される図32乃至図35に図示した切断装置10Hを図示する。図には切断装置10Hにより形成された切断線137が図示されている。
【0089】
図面を参照して説明してきた切断装置の効果は、案内ホイール16の形態を取る案内または支持部材が、作動可能に動力工具に連結された動力端12.1とは反対の刃14の側に配置されることである。この構成によれば、刃が高速で回転する際に、切断装置を非常に安定した状態でワークの所定位置に載せることが出来ることが判明した。これは動力工具により回転駆動が付与される側とは反対の刃の側において案内ホイールで支持が成されることから達成されることであると理論に縛られることなく確信する。この特徴により、使用者がより安定且つ快適な状態で切断装置を操作することが可能となる。また、この特徴により、使用者は動力工具を使用してより精密、正確に切断を行なうのを可能にしている。これは、本切断装置を使用して床等の上へ突出したパイプの部分を切断することが出来ることから重要な点である。また、これが正確且つ精密になされることが至極望まれることである。
【0090】
上記の実施例の説明は本発明の例示のためにのみなされたものであり、当業者には自明のことであるが、前記実施例について成される全ての変形例及び派生例は本書に記載するごとく本発明の広範な範囲領域に入るものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36