特許第5732074号(P5732074)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5732074医薬活性物質を収容する容器用のコネクター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732074
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】医薬活性物質を収容する容器用のコネクター
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
   A61J3/00 316B
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-550382(P2012-550382)
(86)(22)【出願日】2011年1月13日
(65)【公表番号】特表2013-517861(P2013-517861A)
(43)【公表日】2013年5月20日
(86)【国際出願番号】EP2011050376
(87)【国際公開番号】WO2011092057
(87)【国際公開日】20110804
【審査請求日】2013年12月18日
(31)【優先権主張番号】61/302,568
(32)【優先日】2010年2月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10151718.3
(32)【優先日】2010年1月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509063694
【氏名又は名称】フレゼニウス カービ ドイチュラント ゲーエムベーハー
(74)【復代理人】
【識別番号】100186185
【弁理士】
【氏名又は名称】高階 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ライミー, イスマエル
(72)【発明者】
【氏名】ブランデンブルガー, トルステン
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表昭63−501269(JP,A)
【文献】 特開平6−212(JP,A)
【文献】 特開平8−141049(JP,A)
【文献】 特表2009−540957(JP,A)
【文献】 実開平1−120842(JP,U)
【文献】 特開平5−123376(JP,A)
【文献】 特開平11−152161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/00 〜 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬活性物質を収容する容器(2)用のコネクター(1、1’)であって、
第1の容器(2)を接続する第1の接続領域(3a、3a’)と、
穿孔要素(4、4’)と、
破断開封要素(5)と、
医薬活性物質を輸送するために形成され、手によって弾性変形可能な曲げセクション(13)を有する接続手段(12)とを備え、
前記穿孔要素(4、4’)は、第1の端セクション(6a、6a’)と、第2の端セクション(6b、6b’)と、前記第1の端セクション(6a、6a’)から前記第2の端セクション(6b、6b’)まで延在する、医薬活性物質を輸送するチャネル(7)とを有し、前記第1の端セクション(6a、6a’)は、前記第1の接続領域において接続される第1の容器(2)の膜(8)を穿孔するように形成されており、
前記破断開封要素(5)は、前記第2の端セクション(6b、6b’)において、接続エリア(17)を介して破断開封することができるように取り付けられており、
前記接続手段(12)は前記第2の端セクション(6b、6b’)を包囲し、前記破断開封要素(5)は、前記曲げセクション(13)に少なくとも部分的に位置しており、そのため、前記曲げセクション(13)の変形の結果として、破断開封することができ、
前記曲げセクション(13)が2つの補剛ウェブ(23)を含み、
前記破断開封要素(5)は、取り付けられた状態では、前記穿孔要素(4、4’)の前記チャネル(7)を液密にシールし、前記破断開封要素(5)のスナップ動作の結果、前記接続エリア(17)は前記スナップ動作の向きとは反対の側で分離可能であり、前記接続エリア(17)の一部は別の側にあるままであることができ、更なるスナップ動作のためのヒンジを形成する、医薬活性物質を収容する容器用のコネクター。
【請求項2】
コネクター(1、1’)であって、前記穿孔要素(4、4’)及び前記破断開封要素(5)は一体設計を有する、請求項1に記載のコネクター。
【請求項3】
コネクター(1、1’)であって、前記破断開封要素(5)は前記穿孔要素(4、4’)にアンダーカットなしに接している、請求項1または2に記載のコネクター。
【請求項4】
コネクター(1、1’)であって、前記穿孔要素(4、4’)及び前記破断開封要素(5)は、ポリプロピレン、ポリカーボネート及び/又はポリカーボネートとスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマーとのブレンドから作られる、請求項1〜のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項5】
コネクター(1、1’)であって、前記第1の接続領域(3)を形成する第1のハウジングセクション(10a、10a’)と、ハウジングベース(11、11’)とを有するハウジング(9、9’)を更に備え、前記穿孔要素(4、4’)は前記ハウジングベース(11、11’)を通る、請求項1〜のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項6】
コネクター(1、1’)であって、第2の容器を接続する第2の接続領域(3b)を更に備える、請求項1〜のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項7】
コネクター(1、1’)であって、前記ハウジング(9、9’)は第2のハウジングセクション(10b)を有し、該第2のハウジングセクション(10b)によって前記第2の接続領域(3b)が形成される、請求項5を引用した請求項に記載のコネクター。
【請求項8】
コネクター(1、1’)であって、前記第1のハウジングセクション(10a、10a’)、前記第2のハウジングセクション(10b)及び/又は前記穿孔要素(4、4’)は、少なくとも部分的な一体設計を有する、請求項に記載のコネクター。
【請求項9】
コネクター(1、1’)であって、前記接続手段(12)は接続セクション(14)を有し、前記接続手段(12)は前記第2の接続領域(3b)における前記接続セクション(14)を介して、前記ハウジングに取り付けられる、請求項5、請求項5を引用した請求項6、請求項7、請求項8のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項10】
コネクター(1、1’)であって、シール手段(15)を更に備え、該シール手段(15)は、前記接続手段(12)を前記ハウジングに対して液密にシールするために、接続手段(12)とハウジング(9、9’)との間に配置される、請求項5、請求項5を引用した請求項6、請求項7〜9のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項11】
コネクター(1、1’)であって、前記接続手段(12)は一体設計を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項12】
コネクター(1、1’)であって、接続手段(12)は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、及び/又はポリカーボネートとスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマーとのブレンドから作られる、請求項1〜11のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項13】
コネクター(1、1’)であって、前記ハウジング(9、9’)は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、及び/又はポリカーボネートとスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマーとのブレンドから作られる、請求項5、請求項5を引用した請求項6、請求項7〜10、請求項5を引用した請求項11、請求項5を引用した請求項12のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項14】
コネクター(1、1’)であって、前記ハウジング(9、9’)は前記接続手段(12)に比べて比較的剛性の材料からなり、前記接続手段(12)は前記ハウジング(9、9’)に比べて比較的可撓性の材料からなる、請求項5、請求項5を引用した請求項6、請求項7〜10、請求項5を引用した請求項11〜12、請求項13のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項15】
コネクター(1、1’)であって、前記第1の接続領域(3a、3a’)はガラスフラスコを接続するために又はルアー接続部として設計される、請求項1〜14のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項16】
コネクター(1、1’)であって、前記接続手段(12)はバッグに溶接する溶接セクション(16)を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載のコネクター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の容器から別の容器に活性物質を移送することを可能にする、医薬活性物質を収容する容器用のコネクターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1が、ガラスバイアルを接続する第1の接続領域と、可撓性バッグを接続する第2の接続領域と、穿孔要素とを有する、医薬活性物質を収容する容器用のコネクターを開示している。穿孔要素は両サイド仕様の(two-sided)カニューレの形態で具現されている。第1の接続領域及び第2の接続領域は共通のハウジングによって形成されている。ハウジングは、第2の接続領域にある接続手段に分離可能に接続することができ、この接続手段が可撓性バッグに接続される。接続手段はそのバッグへのアクセスを液密にシールする膜を備える。第1の接続領域においてガラスバイアルとハウジングとを接続する結果として、穿孔要素がガラスバイアルのカバーに設けられているゴム栓を穿孔する。コネクターの接続手段とハウジングとを接続する結果として、穿孔要素は、接続手段内に配置されている膜も穿孔する。ガラスバイアルの膜と接続手段の膜との双方を穿孔する結果として、穿孔要素を用いて、容器のうちの一方にある活性物質を他方の容器に移送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1066812号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明による、医薬活性物質を収容する容器用のコネクターは、第1の容器を接続する第1の接続領域と、穿孔要素と、破断開封要素とを備え、穿孔要素は、第1の端セクションと、第2の端セクションと、第1の端セクションから第2の端セクションまで延在する、医薬活性物質を輸送するチャネルとを有し、第1の端セクションは、第1の接続領域において接続される第1の容器の膜を穿孔するように形成されており、破断開封要素は、第2の端セクションにおいて、破断開封及び/又は離断する(broken off)されることができるように取り付けられており、破断開封要素は、取り付けられた状態では、穿孔要素のチャネルを液密にシールする。
【0005】
破断開封要素は、取り付けられた状態では、穿孔要素のチャネルをシール状態に保持しており、そのため、第1の容器からの活性物質を、コネクターの第1の接続領域に完全に接続されている容器から依然として取り出すことができない、すなわち、該容器に活性物質を依然として移送することができない。穿孔要素による活性物質の輸送は、破断開封要素を破断開封及び/又は離断することによってのみ可能となる。破断開封要素を破断開封及び/又は離断することは、例えばカニューレを用いて膜を穿孔することとは対照的に、ユーザーを負傷させる危険性又は接続すべき容器に損傷を与える危険性なく、外側からチャネルを迅速、安全かつ無菌状態で開くことを可能にする。穿孔要素の端セクションに破断開封要素を取り付ける結果として、コネクターをコンパクトに具現することができ、破断開封要素をその位置に保持する更なる要素なしで済ますことができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コネクターによって接続することができるか又は取り付けることができる容器は双方とも、閉じた容器、例えばガラスフラスコ、プラスチックフラスコ又はプラスチックバッグ、より詳細には可撓性バッグ、又は、「開口した」容器、例えばカテーテル若しくは例えば注入、輸液、臨床栄養補給、腫瘍学、透析若しくは他の医療分野において使用される他の管系とすることができる。コネクターによって一方の容器から他方の容器に移送することができる医薬活性物質は例えば、液体又は粉末とすることができる。
【0007】
破断開封要素が離断される所定の破断点は好ましくは、破断開封要素が破断開封動作によって部分的にしか離断、すなわち破断開封されないように設計されており、そのため、活性物質はチャネルを通ることはできるが、破断開封要素は穿孔要素に接続されたままであり、したがって、容器に入ることは不可能である。さらに、コネクターは、好ましくは親指と人差し指とを用いて片手で破断開封要素を破断開封することができるように具現されている。代替的な変形例では、所定の破断点は破断開封要素が完全に離断されるように設計されている。破断開封要素の完全な離断は、破断開封要素が破断開封した後で行うこともできる。
【0008】
本発明の有利な実施の形態では、穿孔要素及び破断開封要素は、好ましくは射出成形部品として一体設計を有する。これによりコネクターの費用効果的な製造が可能となる。代替形態として、例えば、穿孔要素及び破断開封要素が多部品設計を有することが可能であるとともに、破断開封要素が、例えば、材料結合又は他の適した接続技法、例えば溶接若しくは接着剤結合によって、穿孔要素に液密に接続されることも同様に可能であろう。
【0009】
更に有利な実施の形態では、コネクターは、第1の接続領域を形成する第1のハウジングセクションと、ハウジングベースとを有するハウジングを備え、穿孔要素は前記ハウジングベースを通る。
【0010】
ハウジングと、穿孔要素と、破断開封要素とは好ましくは、例えば射出成形部品として一体設計を有する。さらに、穿孔要素と、破断開封要素と、任意選択的にハウジングとを、プラスチック、特にポリプロピレン、ポリカーボネート及び/又はブレンド、好ましくは、ポリカーボネートとスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)とのブレンドから製造することが好ましい。
【0011】
更に有利な実施の形態は従属請求項に記載されている。
【0012】
本発明は、複数の図によって示される例示的な実施形態に基づき、以下の本文においてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による第1の実施形態のコネクターの縦断面図である。
図2図1に示されているコネクターの第1の斜視図である。
図3図1に示されているコネクターの更なる斜視図である。
図4図1に示されているコネクターの接続手段の斜視図である。
図5】ガラスフラスコがドッキング位置において接続されている、長手方向軸に沿って切り開かれたコネクターを示す図である。
図6】ガラスフラスコが端位置において接続されている、長手方向軸に沿って切り開かれたコネクターを示す図である。
図7】ルアーロック接続を用いた、本発明による第2の実施形態のコネクターの縦断面図である。
図8図7に示されているコネクターの第1の斜視図である。
図9図7に示されているコネクターの更なる斜視図である。
図10】長手方向軸に沿って切り開かれた、図7に示されているコネクターを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図6は、医薬活性物質を収容する容器用の、本発明による第1の実施形態のコネクター1の種々の図を示す。
【0015】
コネクター1は、第1の容器を接続する第1の接続領域3aと、第2の容器を接続する第2の接続領域3bと、穿孔要素4と、破断開封要素5とを備える。さらに、コネクター1は、第1のハウジングセクション10aと、第2のハウジングセクション10bと、ハウジングベース11とを有するハウジング9を備え、第1のハウジングセクション10aは第1の接続領域3aを形成しており、第2のハウジングセクション10bは第2の接続領域3bを形成している。穿孔要素4はハウジングベース11を通る。ハウジング9と、穿孔要素4と、破断開封要素5とは、共通の対称軸18の周りに実質的に回転対称に設計されている。
【0016】
穿孔要素4は細管の形態で具現されている。穿孔要素4は、この例では接続領域3aに延びている第1の端セクション6aと、この例では第2の接続領域3bにわたって位置している第2の端セクション6bとを含む。穿孔要素4の内部中空スペースが、第1の端セクション6aから第2の端セクション6bまで延在する、医薬活性物質を輸送するためのチャネル7を形成している。第1の端セクション6aは、第1の接続領域3aにおいて接続されている容器の膜を穿孔するように、例えば、ガラスバイアル2の(点線で示されている)ゴム栓8を穿孔するように設計されている。穿孔を簡単にするために、端セクション6aの端には、例えばカニューレの形態で、好ましくは斜角付き又は尖鋭の鋭利な先端が形成されている。第2の端セクション6bには、破断開封要素5が手で破断開封されることができるように穿孔要素4の先端に直接取り付けられており、該破断開封要素5は、取り付けられた状態では、穿孔要素4のチャネル7を液密にシールする。破断開封要素5と穿孔要素4との間の接続エリア17が、穿孔要素4に対して破断開封要素5をスナップバックする(snapping-back:折り返す)ことによってチャネル7が開かれるように具現されているが、破断開封要素5と穿孔要素4との間の接続は、破断開封要素5が穿孔要素4から分離しないように部分的に維持される。この例示的な実施形態では、接続エリア17は、端セクション6bの先端と破断開封要素5の対向端とを接続する半径方向に周設されたウェブとして具現されている。破断開封要素5は、ピンの形態で具現されており、取り付けられた状態では、穿孔要素4に軸方向にかつアンダーカットなしに接している。
【0017】
代替的に、接続エリア17は、破断開封要素5がスナップバック動作によって完全に離断されることができるように具現することができる。更なる変形例では、破断開封要素5は、例えば2つの反対方向への曲げ動作の結果として、破断開封後に離断されることによって離断されることができる。
【0018】
第1のハウジングセクション10a及び第2のハウジングセクション10bは実質的に、中空シリンダー又は管状の設計を有する。この例ではガラスバイアル2を保持するように具現されている第1のハウジングセクション10aの外径は、第2のハウジングセクション10bの外径よりも大きい。ハウジングベース11は、第1のハウジングセクション10aと第2のハウジングセクション10bとの間に位置しており、それぞれの側に、第1の接続領域3aのベース及び第2の接続領域3bのベースを形成している。第1のハウジングセクション10aは、軸方向に延在する複数のクランプウェブ19を備え、このクランプウェブの目的は、接続領域3aへの容器2の挿入の間、穿孔要素4がまだ膜8を穿孔していないドッキング位置(図5を参照のこと)に上記容器をクランプすることによってそれまでに予め固定することであり、より詳細には、例えば、重力による容器の不所望な抜け落ちを防止することである。突起20がクランプウェブ19に同じ高さで設けられており、これらの突起20はアンダーカットを形成し、インターロック嵌合によって、容器2を、穿孔要素4が膜8を穿孔している、該容器2が完全に挿入された状態に更に保持する目的を有する(図6も参照のこと)。
【0019】
更なるアンダーカットを、例えば更なる突起によって接続領域3a内に設けることができ、上記アンダーカットは、インターロック嵌合を形成することによって、容器2をドッキング位置に予め固定する。クランプウェブ19が同様にこの変形例に存在し得るが、代替的にはこれらはなしで済ますこともできる。そのような第2のアンダーカットにより、様々な寸法を有する容器とコネクター1とを接続することが容易となる。
【0020】
この例示的な実施形態では、ハウジング9と、穿孔要素4と、破断開封要素5とは射出成形部品として一体に具現されている。好ましい材料は熱可塑性プラスチック、好ましくはポリプロピレン、ポリカーボネート及び/又はブレンド、好ましくは、ポリカーボネートとスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマーとのブレンドである。さらに、硬質プラスチックを使用することが好ましい。これによりこの部品の適した剛性が確保される。
【0021】
この例示的な実施形態では、コネクター1は、第1の接続領域3aを汚染から保護するように第1の接続領域3aを覆う、手で外すことができるカバーフィルム21(図2及び図3を参照のこと)、例えばアルミニウムフィルム又はプラスチックフィルムを更に有する。そのようなカバーフィルム21は任意選択的であり、このカバーフィルム21なしでコネクター1を設計することができる。
【0022】
コネクター1は、医薬活性物質を輸送するために形成されている接続手段12を更に備える。接続手段12は、手により弾性変形可能な曲げセクション13と、接続セクション14と、溶接セクション16とを含む。接続手段12は、第2の接続領域3bにおける接続セクション14を介する第2のハウジングセクション10bへのスナップイン接続によってハウジング9に接続される。接続手段12は、中空体として具現されており、第2の端セクション6b及び破断開封要素5を包囲する。破断開封要素5は、弾性変形可能な曲げセクション13内に少なくとも部分的に位置しており、そのため、曲げセクション13を一度スナップすることによって破断開封することができる。
【0023】
接続セクション14は取り付けウェブ22を備え、該取り付けウェブ22は、半径方向に周設するように外側面上にあり、接続セクション14を第2のハウジングセクション10bに挿入することによって、第2のハウジングセクション10bの内側面上にある、該取り付けウェブ22に対応する溝23にラッチされる。接続手段12は、そのようにして形成されるこのインターロック嵌合によってハウジング9に固定される。コネクター1はシール手段15、この例ではシリコーン製又はポリイソプレン製のシール膜を備え、シール手段15は、ハウジング9と接続手段12との間の第2の接続領域3bのベース上に配置されており、また、穿孔要素4及び接続手段12を介して医薬活性物質を輸送するときに活性物質がハウジング9と接続手段12との間の接続領域内に洩れる可能性がないように接続手段12をハウジング9に対して液密にシールする。シール手段15は、例えば温度変化がある場合でも、様々な材料が接続手段12及びハウジング9に用いられる場合であっても、十分なシールが存在することを確実にする。さらに、公差のばらつきも考慮に入れることができる。シール手段15は、該シール手段15の弾性変形によって接続手段12とハウジング9との間でクランプ保持される。
【0024】
曲げセクション13は2つの補剛ウェブ23を含み、これらのウェブは外側に位置し、軸方向に延在し、鏡面対称設計を有する(図2図3を参照のこと)。補剛ウェブ23は一方で、曲げセクション13において接続手段12の剛性をもたらし、他方で、一定のスナップ方向を設定し、該方向に、接続手段12を曲げセクション13においてスナップバックすることができ、したがって破断開封要素5を破断開封することができる。
【0025】
溶接セクション16は、鏡面対称設計を有する2つの翼状の溶接タブ24を備え、該タブはこの例では、補剛ウェブ23の連続部として設計される。溶接タブは、接続手段12と可撓性バッグ(ここではそれ以上より詳細には説明せず)とを液密に接続するのに特に適している。
【0026】
接続手段12はプラスチック製の一体設計を有する。ハウジング9の材料に対して可撓性であるプラスチックは好ましくは、それぞれの容器、この例ではバッグの材料に対して溶接することができる熱可塑性プラスチック、例えばポリプロピレン又はポリプロピレン−SEBSブレンドであることが好ましい。可撓性プラスチックによって、手によって弾性変形可能な曲げセクション13の形成が可能になる。接続セクション14及び溶接セクション16は、曲げセクション13に比べて肉厚の壁の強度及び/又は剛性を有し、その結果、これらの2つのセクションは寸法が比較的安定しており、このことは、接続手段12とハウジング9及びバッグ又は別の容器との確実な接続に有利である。
【0027】
容器とコネクター1とを接続するには、まず、カバーフィルム21を取り外す。続いて、容器、例えば、ガラスバイアルとして具現されている容器2を、該容器が突起20と直面する(「ドッキング位置」)まで第1の接続領域3aに挿入する(図2を参照のこと)。容器2はこの位置に予め固定されるが、容器2の膜8はまだ穿孔されておらず、そのため、容器2を開封せずにコネクター1から再分離することができる。容器2の更なる挿入時に、膜8を穿孔要素4によって穿孔し、容器2を突起20によってコネクター1にインターロック固定する(「端位置」)(図6を参照のこと)。曲げセクション13において接続手段12を曲げる/スナップすることによって、その時点で破断開封要素5を破断開封することができ、それによってチャネル7を開くことができ、その結果、活性物質、例えば液体の輸送が、接続手段12によって接続されている容器との間で可能となるか、又は、粉末と、接続手段12及び容器2に接続されている容器、より詳細には可撓性バッグの内容物との混合が可能となる。接続手段12を曲げるかスナップすることはより詳細には、親指と人差し指とを用いることによって片手で行うことができる。
【0028】
容器2は、ドッキング位置でコネクター1に予め組み付けることができる。容器2と、コネクター1と、該コネクター1とに接続されている第2の容器、より詳細にはバッグとは、1つのセットとして更なるバッグ内に更に封入することができる。これにより、活性物質を不所望に外部に漏らす危険性なく、活性物質を迅速に混合、移送、溶解又は希釈することが可能となる。
【0029】
図7図10は、本発明による第2の実施形態のコネクター1’を示す。
【0030】
第2の実施形態によれば、第1の接続領域3a’、したがって、第1のハウジングセクション10a’及びハウジングベース11はルアーロック(ISO 594/1−1986)の雄型部品として具現されている。接続手段12と、シール手段15と、第2のハウジングセクション10bとは、第1の実施形態のコネクター1のそれぞれの要素に対応しており、これに関して、第1の実施形態に関する説明を参照する。穿孔要素4’が、第1の接続領域3a’の側にあるそのセクションでは、より詳細には端セクション6a’ではルアーロックの雄型部品の要件に従って具現されており、第2の接続領域3bの側にある部分は、第1の実施形態のコネクター1の部分に対応している。その結果、容器を、ルアー雌型部品を用いて第1の接続領域3a’においてコネクター1’に接続することができる。雌型部品は端セクション6a’によって開くことができる膜を有することができる。或いは、代替的に、雌型部品は膜なしで具現することもできる。
【0031】
破断開封は双方の実施形態で、単に接続エリア17に対して半径方向にスナップバックすることによってもたらされる。このために、破断開封要素5は、親指と人差し指によって、弾性曲げセクション13を介して間接的に保持することができ、続いて、コネクター1、1’を、接続エリア17から離れて面する領域内において、例えばハウジング9、9’上においてもう一方の手で曲げセクション13に対してスナップバックすることができる。片側のスナップ動作の結果、接続エリア17はスナップ動作の向きとは反対の側で分離し、接続エリア17の一部は他方の側にあるままであり、更なるスナップ動作のためのヒンジを形成する。ヒンジは破断開封要素5と穿孔要素4とを接続し、そのため、穿孔要素4を通した液体輸送の場合でも破断開封要素5が穿孔要素4に接続されたままとなる。第2のスナップ動作、より詳細には反対方向への第2のスナップ動作の結果、破断開封要素5を完全に離断することができる。
【0032】
材料に関して、穿孔要素4及び破断開封要素5に用いる材料として、例えばポリオレフィン又はポリカーボネートを使用することができる。蒸気滅菌可能でない容器の場合では、ABS、ポリスチレン及びそれに匹敵する材料を使用することも可能である。原則的に、接続エリア17の材料は、穿孔要素4及び/又は破断開封要素5の材料とは異なるものとすることができる。
【0033】
接続エリア17の壁強度は用いる材料に応じて決まる。0.1mm〜0.3mmの範囲内が好ましい。さらに、残余角度範囲に比して或る角度範囲内、例えば180度よりも大きい角度範囲内又は250度よりも大きい角度範囲内、例えば約270度の、壁強度が減少している接続エリアを設計することが可能であり、その結果、ヒンジ領域及び破断開封領域を画定することができる。破断開封領域及びヒンジ領域は、ユーザーに対してスナップ方向を示すために光学的に異なる設計を有することができる。
【0034】
本発明によるコネクター1、1’は少数の部品から費用効果的に製造することができ、容器に損傷を与える危険性又はユーザーを負傷させる危険性なく2つの容器間の確実な接続を可能にし、手によって行うことができる簡単な動作によって、活性物質を移送するように2つの容器間の接続を開くことを可能にする。さらに、原則的に、コネクターは、第1の接続領域3a、3a’及び接続手段12の適切な設計を以てすれば、任意の容器に対する接続、例えばシリンジ又はカテーテルに対する接続にも適している。
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