【文献】
NING Li,et al.,NANO LETTERS,2006年,Vol.6,No.6,1141−1145
【文献】
M.B.BRYNING,et al.,Advanced Materials,2005年 5月,Vol.17,Issue 9,1186−1191
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アルコール類として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、プロプレングリコール、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチレングリコールのいずれか1つ又は2以上の混合物を用いることを特徴とする請求項2に記載の複合樹脂材料粒子の製造方法。
回収された前記二酸化炭素に同伴される、水、アルコール類及び分散剤のいずれか1以上の回収量を測定して、前記二酸化炭素の前記耐圧容器への供給量を選択することを特徴とする請求項7に記載の複合樹脂材料粒子の製造方法。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、炭素原子で構成される一層あるいは多層のグラフェンシートが筒状に巻かれたチューブ状の材料である。このカーボンナノチューブは、グラフェンシートの巻き方や、チューブの直径、結晶性などのカーボンナノチューブ自体の形状によって異なる特性を有しており、電気特性、機械特性及び比重といった材料自体の特徴が金属材料と比較して極めて魅力のある材料として期待されている。
【0003】
他の材料と組み合わせて複合材料を作製する上でカーボンナノチューブの機械的および電気的特性を有効活用するためには、他の材料に均一に混合することが必要となる。例えば、固体材料と、カーボンナノチューブが分散した液状物質を混合する際、カーボンナノチューブが1本1本独立した状態で分散した液状物質(これを「分散液」という)を利用することが必要であるが、カーボンナノチューブはファンデルワールス力によって互いに引き合う性質を有しているため、カーボンナノチューブ同士のバンドル(束)や凝集体を形成することが知られている。
【0004】
カーボンナノチューブの製造方法としては、触媒と原料ガスとを同時に反応器に投入してカーボンナノチューブを合成する熱CVDを用いた気相合成法や、触媒を基材の上に塗布した基板に原料ガスを投入する基板合成法が知られている。
【0005】
このうち、基板合成法では、特にシリコンや酸化シリコンなどの極めて平滑な基板表面に触媒を塗布し、カーボンナノチューブが高密度に基板上に成長することでお互いのカーボンナノチューブが寄り添い、垂直配向したカーボンナノチューブを形成することができる。
【0006】
そして、基板合成法で生成されたカーボンナノチューブは、その直径や層数、長さが均一で、結晶性が高いため、欠陥が極めて少ないカーボンナノチューブが得られることが期待されている。また、気相合成法により製造されたカーボンナノチューブと比較して、カーボンナノチューブの長さが長く結晶性が高いため、他の材料との複合材を形成する際に複合材料の導電性、熱伝導性、機械強度向上および線膨張抑制などの特性が得られ易いという利点がある。
【0007】
特に、カーボンナノチューブと樹脂との複合樹脂は電子部品、自動車部品など多くの分野において様々な用途で使用されている。複合樹脂の特性は帯電防止のための導電性成形加工ならびに切削加工の際に熱膨張などを避ける目的での高い熱伝導性などが必要とされる。従来は、樹脂成形体に導電性あるいは熱伝導性を付与する際にフィラーとしてカーボンブラック、ケッチョンブラック等の球状のカーボン材料や炭素繊維、カーボンナノチューブなどの繊維状の炭素材料を樹脂に添加した樹脂複合材料がある。(例えば、特許文献1〜3を参照)
【0008】
カーボンナノチューブと樹脂とを混練する方法としては、通常ミル等で強せん断力をかけて混練する方法が知られている。しかしながら、ミル等で樹脂中にカーボンナノチューブ等の繊維状炭素材料を均一に混合するためには、強せん断操作が必要となる。
【0009】
樹脂の中で、カーボンナノチューブがせん断力を受けることによって短く切断されてしまい、樹脂中でカーボンナノチューブ同志の接触点が少なくなることにより導電性等の性能が低下するという問題があった。さらに、樹脂中でカーボンナノチューブ同志が離れてしまい、樹脂中でのカーボンナノチューブ同志が絡み合うナノネット構造が破壊されるため、カーボンナノチューブの元来の特性である強度を複合樹脂中において発揮できず、結果として複合樹脂の強度があがらない問題があった。
【0010】
短いカーボンナノチューブが樹脂中に孤立分散している場合、樹脂とカーボンナノチューブの界面での結合が弱く、樹脂からカーボンナノチューブが容易に抜ける現象が見られる問題があった。
【0011】
一方、カーボンナノチューブ等のカーボン材料は価格が高いため、材料コストを抑えることが望まれている。そのため、カーボンナノチューブを均一に分散させて、極力低濃度で高導電性および高熱伝導性を得ることが要求される。また、添加するカーボンナノチューブは、直径が細く、かつ、長さが長いほど低い添加濃度で高導電性、高熱伝導性、高強度などが得られることも知られている。
【0012】
ところで、特許文献4には、樹脂成形品をカーボンナノチューブ分散液に浸漬し、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気下で処理することによって、樹脂成形品表面にカーボンナノチューブを修飾する方法が開示されている。
【0013】
しかしながら、特許文献4に記載された方法では、カーボンナノチューブの分散性が悪く、二酸化炭素雰囲気下での処理中にカーボンナノチューブの凝集、沈降等が生じてしまうため、成形品へのカーボンナノチューブの修飾が重力の影響を受ける問題があった。また、亜臨界状態または超臨界状態の二酸化炭素雰囲気によって樹脂表面が膨潤されるため、形状や色に影響が出て、表面の再加工が必要となるという問題があった。ここで「修飾」とは、樹脂表面にカーボンナノチューブを付着・固定させた状態を示す。
【0014】
また、特許文献5及び特許文献6には、超臨界二酸化炭素を樹脂粒子表面に含浸させることで樹脂表面を軟化し、分散液中のカーボンナノチューブを樹脂粒子表面に均一に分散・固定化するために超音波振動法を用いる方法が開示されている。超音波振動による攪拌は、発生装置自体を高圧の炭酸ガス中に設置する必要があり、コストが高いものになる問題がある。高圧容器外部からの超音波振動の伝達は、内部の流体への伝達が必ずしも十分ではない問題があり、十分攪拌できる装置を実現するためには、コストの高いものになる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、カーボンナノチューブの少量の添加で高い導電性を有する複合樹脂材料粒子及び複合樹脂成形体を提供することと、簡便で生産性の高い複合樹脂材料粒子の製造方法及び複合樹脂成形体の製造方法を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項
1にかかる発明は、複合樹脂成形体の原料となる複合樹脂材料粒子の製造方法であって、少なくとも樹脂材料粒子とカーボンナノチューブとを含む混合スラリーを形成する工程と、耐圧容器に前記混合スラリーを供給した後、前記耐圧容器内を撹拌しながら二酸化炭素を供給する工程と、前記耐圧容器の内部を、前記二酸化炭素が亜臨界又は超臨界状態を維持できる温度及び圧力に保持する工程と、前記耐圧容器の外へ二酸化炭素を移動させる工程と、を備えることを特徴とする複合樹脂材料粒子の製造方法である。
【0021】
請求項
2にかかる発明は、前記混合スラリーを形成する工程が、水に、カーボンナノチューブと、分散剤とを混合してカーボンナノチューブの水分散液を生成する工程と、前記水分散液に、樹脂材料粒子とアルコール類とを添加する工程と、を有することを特徴とする請求項
1に記載の複合樹脂材料粒子の製造方法である。
【0022】
請求項
3にかかる発明は、前記アルコール類として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、プロプレングリコール、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチレングリコールのいずれか1つ又は2以上の混合物を用いることを特徴とする請求項
2に記載の複合樹脂材料粒子の製造方法である。
【0023】
請求項
4にかかる発明は、前記液体二酸化炭素を供給する際に、前記アルコール類を同時に供給することを特徴とする請求項
2又は
3に記載の複合樹脂材料粒子の製造方法である。
【0024】
請求項
5にかかる発明は、前記カーボンナノチューブとして、平均長さが50μm以上250μm以下のカーボンナノチューブを用いることを特徴とする請求項
1乃至
4のいずれか一項に記載の複合樹脂材料粒子の製造方法である。
【0025】
請求項
6にかかる発明は、前記樹脂材料粒子として、フッ素系樹脂材料を用いることを特徴とする請求項
1乃至
5のいずれか一項に記載の複合樹脂材料粒子の製造方法である。
【0026】
請求項
7にかかる発明は、前記耐圧容器から、移動させた二酸化炭素を回収する工程、を備えることを特徴とする請求項
1乃至
6のいずれか一項に記載の複合樹脂材料粒子の製造方法である。
【0027】
請求項
8にかかる発明は、回収された前記二酸化炭素に同伴される、水、アルコール類及び分散剤のいずれか1以上の回収量を測定して、前記二酸化炭素の前記耐圧容器への供給量を選択することを特徴とする請求項
7に記載の複合樹脂材料粒子の製造方法である。
【0028】
請求項
9にかかる発明は、前記耐圧容器から移動させた二酸化炭素を液化した後、当該耐圧容器に供給することを特徴とする請求項
7又は
8に記載の複合樹脂材料粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の複合樹脂材料粒子によれば、樹脂材料粒子とカーボンナノチューブとを備えて構成されており、樹脂材料粒子に対するカーボンナノチューブの含有量が0.003質量%以上0.1質量%以下で、1.0×10
8Ω・cm以下の体積抵抗率を有する複合樹脂材料粒子を提供することができる。
【0032】
本発明の複合樹脂材料粒子の製造方法によれば、少なくとも、樹脂材料粒子とカーボンナノチューブとを含む混合スラリーを形成する工程、混合スラリーに撹拌しながら二酸化炭素の供給する量を調整しながら添加する工程、二酸化炭素が亜臨界又は超臨界状態を維持できる温度及び圧力に保持する工程、二酸化炭素により複合材料粒子から分散剤を分離する工程を備えて構成されている。このように、撹拌機を備えた容器を準備することで、超音波発振装置を用いてカーボンナノチューブの分散処理を長時間行う必要がないため、簡便な方法によって高い生産性で複合樹脂材料粒子を製造することができる。
【0033】
本発明の複合樹脂成形体によれば、樹脂材料粒子とカーボンナノチューブとを備えて構成されており、樹脂材料粒子に対するカーボンナノチューブの含有量が0.003質量%以上0.1質量%以下で、1.0×10
8Ω・cm以下の体積抵抗率を有する複合樹脂成形体を提供することができる。
【0034】
本発明の複合樹脂成形体の製造方法によれば、上記複合樹脂材料粒子を加圧成形した後、焼成する構成を備えており、簡便な方法によって複合樹脂成形体を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を適用した一実施形態である複合樹脂材料粒子及びその製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0037】
<複合樹脂材料粒子>
先ず、本発明を適用した一実施形態である複合樹脂材料粒子の構成について説明する。
本実施形態の複合樹脂材料粒子は、樹脂に導電性、熱伝導性、機械特性といった機能性を付加する為の添加物が添加された複合樹脂材料であり、更に詳細には、樹脂に導電体を添加することにより導電性が付加された導電性複合樹脂材料である。
【0038】
具体的には、本実施形態の複合樹脂材料は、樹脂材料粒子と、カーボンナノチューブとを備えて構成されており、カーボンナノチューブが樹脂材料粒子に対して0.003質量%以上、0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下といった少ない含有量で、1.0×10
8Ω・cm以下の体積抵抗率を有することを特徴としている。
【0039】
樹脂材料粒子を構成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、実用時に最適な樹脂を適宜選択して、導電性を与えることができる。このような樹脂材料として、例えば、フッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ホルマリン系樹脂、エステル樹脂又はスチレン系樹脂を使用できる。中でも、フッ素系樹脂は、予備成形した後に焼成することで容易に成形加工することができるために好ましい。
【0040】
フッ素系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、完全フッ化樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、四フッ素化樹脂,PTFE)、フッ化樹脂共重合体であるパーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、部分フッ化樹脂であるポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ化樹脂、PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
【0041】
樹脂材料粒子の粒径は、表面積を充分に確保するとともに、後述する樹脂材料粒子とカーボンナノチューブとを含む混合スラリーを形成する工程の際に分散可能なものであれば、特に限定されるものではない。このような粒径としては、例えば、1〜500μmであることが好ましく、25〜100μmがより好ましい。
【0042】
本実施形態の複合樹脂材料粒子に適用可能なカーボンナノチューブとしては、樹脂材料粒子に対して例えば0.1質量%以下といった少ない添加量で、1.0×10
8Ω・cm以下の体積抵抗率を発現させるものであれば特に限定されるものではない。このようなカーボンナノチューブとして、具体的には、平均長さが50μm以上250μm以下の長尺のカーボンナノチューブを用いることが好ましい。より好ましくは、平均長さが100μm以上150μm以下の長尺のカーボンナノチューブである。
【0043】
なお、平均長さが50μm以上250μm以下の長尺のカーボンナノチューブは、従来公知の基板合成法(例えば、特開2007−222803「カーボンナノ構造物成長用触媒、カーボンナノ構造物の製造方法、同製造用ガスとキャリヤガス及び同製造装置」に記載された方法を参照)等により、容易に入手することが可能である。
【0044】
本実施形態の複合樹脂材料粒子は、長尺のカーボンナノチューブが樹脂材料粒子の表面に均一に分散されており、カーボンナノチューブが樹脂材料粒子の表層に極薄い厚みで完全に固着されている。これにより、少ないカーボンナノチューブの添加量にも係らず、樹脂材料粒子の表面において効率的にネットワーク(導電性網)を形成することができる。加えて複合樹脂粒子表面にカーボンナノチューブを固着させた後、導電性を妨げている分散剤を取り除くことにより、カーボンナノチューブ同志の導電パスが、少ないカーボンナノチューブの添加量に係わらず、より有効に作用する。したがって、複合樹脂材料粒子は、カーボンナノチューブが持つ高い電気伝導性、熱伝導性及び強度特性を発揮することができる。
【0045】
<複合樹脂成形体>
次に、本発明を適用した一実施形態である複合樹脂材料成形体の構成について説明する。本実施形態の複合樹脂成形体は、上述した複合樹脂材料粒子を原料として成形加工されたものである。したがって、複合樹脂成形体は、樹脂材料粒子と、カーボンナノチューブとを備えて構成されており、カーボンナノチューブが樹脂材料粒子に対して0.003質量%以上0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下といった少ない含有量で、1.0×10
8Ω・cm以下の体積抵抗率を有する。
【0046】
また、複合樹脂成形体の態様は、特に限定されるものではなく、実用時に最適な形態を適宜選択することができるため、導電性が付与された様々な樹脂成形加工品を提供することができる。このような樹脂成形加工品としては、具体的には、例えば、ICトレイ、ウエハキャリア、薬液ホース、シール剤等が挙げられる。
【0047】
本実施形態の複合樹脂成形体は、成形体の内部に上記カーボンナノチューブから由来する導電性網を形成するので、高い導電性を有する。
【0048】
<複合樹脂材料粒子及び複合樹脂成形体の製造方法>
次に、本実施形態の複合樹脂材料粒子の製造方法について、これを用いた複合樹脂成形体の製造方法とあわせて説明する。ここで、
図1は、本実施形態である複合樹脂材料粒子の製造方法に用いる製造装置を模式的に示した系統図である。
【0049】
(第1工程)
第1工程は、溶媒に長尺のカーボンナノチューブを分散させた分散液を作製する工程である。具体的には、
図1に示すように、先ず、容器1に溶媒、長尺のカーボンナノチューブ、分散剤及び界面活性剤の一方又は両方を経路L1等から供給して、撹拌機2を用いて撹拌しながら混合する。
【0050】
溶媒としては、水又は有機系溶媒を用いることができる。本実施形態では、長尺のカーボンナノチューブをより均一に分散させることが可能な水分散液とするため、溶媒として水を用いることが好ましい。
以下、本実施形態では、分散液として水分散液を用いた場合について説明する。
【0051】
分散剤は、特に限定されるものではなく、溶媒の種類に適した分散剤を適宜選択することができる。このような分散剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びドデシルベンゼン硫酸ナトリウム(SDBS)、ポリビニルピロリドン、ポリアニリンスルホン酸などの合成ポリマー、コール酸などの胆汁酸、蛋白質、DNA、ペプチド、有機アミン化合物等が使用できる。
【0052】
また、分散剤は、修飾する対象となる樹脂材料粒子の成形温度よりも沸点が低いものを選択して使用することが望ましい。
【0053】
分散剤の添加量は、長さが10μm以下である一般的なカーボンナノチューブの場合には分散剤とカーボンナノチューブとの重量比率が1:1程度とするのに対し、長尺のカーボンナノチューブ場合には重量比率で5:1〜50:1とする必要がある。
【0054】
このように、分散剤を添加することにより、溶媒への分散が比較的困難な長尺のカーボンナノチューブを使用する場合においても、均一に分散された水分散液を得ることができる。
【0055】
(第2工程)
第2工程は、上記第1工程で作製した長尺のカーボンナノチューブの水分散液にアルコール類を添加して、アルコール類を主体としたカーボンナノチューブの分散液を作製する工程である。
【0056】
具体的には、
図1に示すように、カーボンナノチューブの水分散液が入っている容器1に、アルコール類を経路L1から供給して、撹拌機2を用いて撹拌しながら混合する。このように、極性の大きな水をベースとした水分散液中にアルコール類を添加することにより、水分散液中に均一に分散していた長尺のカーボンナノチューブがやや不安定な分散状態へと移行する。
【0057】
アルコール類としては、特に限定されるものではなく、水分散液に分散させる樹脂材料粒子の種類等に応じて適宜選択することができる。上記アルコール類としては、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、プロプレングリコール、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチレングリコールのいずれか1つ又は2以上の混合物を用いることができる。
以下、本実施形態では、アルコール類としてエタノールを用いた場合について説明する。
【0058】
(第3工程)
第3工程は、第2工程で作製したアルコール類を主体とした長尺カーボンナノチューブの分散液に樹脂材料粒子を添加して、撹拌する工程である。
【0059】
具体的には、
図1に示すように、エタノールを主体とした長尺カーボンナノチューブの分散液が入っている容器1を撹拌しながら、樹脂材料粒子を添加して混合する。
以下、本実施形態では、樹脂材料としてフッ素系樹脂を用いた場合について説明する。
【0060】
上記第2工程において、エタノールの添加によって緩やかに不安定な状態に移行した分散液中のカーボンナノチューブは、第3工程において添加されたフッ素系樹脂粒子が近くに存在すると、フッ素系樹脂粒子の表面に穏やかに吸着を開始する。これは、カーボンナノチューブの、フッ素系樹脂粒子の表面への吸着状態が安定なため、長尺のカーボンナノチューブがフッ素系樹脂粒子の表面にファンデルワールス力を主体とした力によって自然に吸着されるためである。
【0061】
すなわち、長尺のカーボンナノチューブを希薄分散させた分散液に、フッ素系樹脂粒子を混合することにより、カーボンナノチューブがその性質を損なうことなく従来よりも低い添加濃度で均一にフッ素系樹脂粒子の表面に分散させることができる。
【0062】
ここで、上記第2工程及び第3工程において、容器1中の溶媒の温度、エタノールの添加速度、分散液中のカーボンナノチューブの分散濃度、フッ素系樹脂粒子の添加速度及び分散液中のフッ素系樹脂粒子の分散濃度について最適な条件を選択することにより、高い分散状態を維持した状態でフッ素系樹脂粒子の表面に長尺のカーボンナノチューブを吸着させることができる。
【0063】
なお、第2工程(水分散液中へのエタノール添加)の完了後に第3工程(分散液中へのフッ素系樹脂粒子の添加)を開始してもよいし、第2工程が完了する前に第3工程を開始してもよい。
【0064】
上述した第1工程から第3工程によって、樹脂材料粒子とカーボンナノチューブとを含む混合スラリーを作製することができる。
【0065】
(第4工程)
第4工程は、上記第3工程で作製した混合スラリーに、二酸化炭素を撹拌しながら供給する工程である。
【0066】
具体的には、
図1に示すように、先ず、容器1から経路L2を介して所定量の混合スラリーを耐圧容器3に供給する。次に、耐圧容器3内を撹拌機4によって撹拌しながら、図示略の二酸化炭素供給源から経路L3を介して二酸化炭素を耐圧容器3に供給する。一方、耐圧容器3の気相成分については、経路L5を介して耐圧容器3の外に排出する。
【0067】
なお、耐圧容器3への二酸化炭素の供給の態様は特に限定されるものではなく、液体状態で供給しても良いし、気体状態で供給しても良い。
以下、本実施形態では、二酸化炭素として液体二酸化炭素を用いた場合について説明する。
【0068】
ここで、経路L3には流量計9及び開閉弁10が設けられており、耐圧容器3に供給する液体二酸化炭素の添加量を所定量に調整することができる。また、経路L5には圧力調整弁11が設けられており、一次側である耐圧容器3の圧力を所定の圧力に保持することができる。
【0069】
このように、液体二酸化炭素を撹拌しながら耐圧容器3の液相(混合スラリー)に供給することにより、混合スラリー中の長尺のカーボンナノチューブの表面から分散剤が剥離される。
【0070】
また、液体二酸化炭素の添加量が増えるにつれて、液相中のエタノール濃度が減少するとともに液体二酸化炭素濃度の割合が増加するため、フッ素系樹脂粒子の表面に配位するエタノールが減少する。
【0071】
さらに、長尺のカーボンナノチューブの表面から剥離した分散剤、エタノール及び水は、二酸化炭素に随伴されて耐圧容器3から排出される。
【0072】
これにより、表面から分散剤が剥離した長尺のカーボンナノチューブが、フッ素系樹脂粒子の表面にファンデルワールス力を主体とした力によって自然に吸着される。
【0073】
また、混合スラリーに液体二酸化炭素を撹拌しながら供給するため、長尺のカーボンナノチューブが均一に分散するので、カーボンナノチューブがフッ素系樹脂粒子上において重力方向に偏ることが防止され、フッ素系樹脂粒子のほぼ全表面において均一に吸着させることができる。
【0074】
なお、第4工程において、液体二酸化炭素を耐圧容器3内に供給する際に、経路L4を介してエタノールを耐圧容器3内に供給してもよい。このように、耐圧容器3内に液体二酸化炭素と同時にエタノールを供給することにより、耐圧容器3内のアルコール濃度の低下を穏やかにすることができる。これにより、耐圧容器3内の溶媒中における長尺のカーボンナノチューブを高い分散状態に維持したまま、フッ素系樹脂粒子の表面へ長尺のカーボンナノチューブを吸着させることができる。
【0075】
(第5工程)
第5工程は、混合スラリーに供給した液体二酸化炭素が亜臨界又は超臨界状態を維持できる温度及び圧力に保持する工程である。
【0076】
具体的には、
図1に示すように、先ず、加圧装置(図示略)及び温度調整器5を用いて耐圧容器3の内部を、液体二酸化炭素が亜臨界又は超臨界状態を維持できる温度及び圧力に加温及び加圧する。次に、液体二酸化炭素が亜臨界又は超臨界状態を維持できる温度及び圧力を所定時間保持する。このように、耐圧容器3内に供給された液体二酸化炭素を所定条件とすることで、カーボンナノチューブの表面から分散剤が取り除かれる。同時に、所定条件の二酸化炭素により、フッ素系樹脂粒子表面を膨潤することができ、樹脂粒子の表面に長尺のカーボンナノチューブを取り込み、固着させることができる。
【0077】
ここで、超臨界状態とは、臨界点以上の温度及び圧力にある物質状態を示す。二酸化炭素においては、超臨界状態とは、温度が31.1℃以上及び圧力が72.8気圧以上にある状態を示す。この状態においては、二酸化炭素は、気体の拡散性及び液体の溶解性を有するので、拡散しながらフッ素系樹脂粒子表面を膨潤させることができ、樹脂粒子の表面に長尺のカーボンナノチューブを取り込むことができる。又、亜臨界状態は、臨界点以上の圧力及び臨界点以下の温度に或る状態を指す。この状態においても、二酸化炭素は、フッ素系樹脂粒子表面を効率的に膨潤させることができる。
【0078】
(第6工程)
第6工程は、超臨界二酸化炭素雰囲気内に、分散剤と親和力のあるエントレーナを添加する工程である。具体的には、
図1に示すように、先ず、経路L4に設けられた開閉弁8を開放し、流量計7によって所定量のエントレーナを超臨界二酸化炭素雰囲気の耐圧容器3内に供給する。次に、温度調節器5を操作して耐圧容器3内の超臨界二酸化炭素の温度を変更し、経路5を介して耐圧容器3内から分散剤のみを抽出処理する。
【0079】
このように、耐圧容器3内にエントレーナを供給することにより、フッ素系樹脂粒子の表面に取り込まれた長尺のカーボンナノチューブの表面から、残存する分散剤を剥離することができる。したがって、カーボンナノチューブの表面に分散剤が残存しないため、高い導電性を有する複合樹脂材料粒子を得ることが可能となる。
【0080】
ここで、エントレーナとしては、上述したアルコール類を適用することができる。本実施形態では、混合スラリーを形成する際のアルコール類であるエタノールを用いることができる。
なお、エントレーナの添加は、残存する分散剤の剥離を効率良く実施するためのものであり、必ずしもエントレーナの供給が必須ではなく、時間をかければ二酸化炭素の供給だけでも残存する分散剤の剥離は実施可能となる。
【0081】
(第7工程)
第7工程は、液体二酸化炭素を耐圧容器3の外に移動させる工程である。具体的には、
図1に示すように、圧力調整弁11を操作することにより耐圧容器3の内部を減圧(脱圧)して、耐圧容器3内から経路L5を介して気相の二酸化炭素を排出する。
【0082】
このように、フッ素系樹脂を膨潤させるための液体として、亜臨界状態或いは超臨界状態にある二酸化炭素を使用することにより、樹脂粒子の表面に長尺のカーボンナノチューブを取り込む上記第5工程の終了後において、減圧という簡便な操作により二酸化炭素を完全に除去することができる。
【0083】
本実施形態では、耐圧容器3から移動させた二酸化炭素を回収してもよい。具体的には、経路L5に排出された気相の二酸化炭素を、圧力調整弁11の二次側に設けられた容器6に供給する。ここで、圧力調整弁11によって二酸化炭素が減圧されるため、この二酸化炭素に随伴された分散剤、エタノール及び水が容器6内に析出して回収される。これにより、容器6に接続された経路L7から分散剤、エタノール及び水が除去された二酸化炭素を回収することができる。
【0084】
また、本実施形態では、耐圧容器3の底部に経路L8を設け、この経路L8に開閉弁15と測定手段(図示略)を設けてもよい。濃度計等の測定手段を設けることにより、容器6内の水、エタノール及び分散剤のいずれか1以上の残留成分の回収量を測定することができる。また、上記測定結果と、第4工程における液体二酸化炭素の供給量との関係を求めることにより、上記第4工程における液体二酸化炭素の耐圧容器3への供給量をフィードバック制御することができる。
【0085】
さらに、本実施形態では、二酸化炭素を回収する経路L7に圧力調整弁13及び循環ポンプ14を設けるとともに、この経路L7を経路L3の流量計9の一次側に接続することにより、耐圧容器3から回収した二酸化炭素を液化した後に再度耐圧容器3に供給してもよい。このように耐圧容器3に供給する二酸化炭素を再利用することにより、生産コストの上昇を抑制することができる。
【0086】
(第8工程)
第8工程は、カーボンナノチューブ分散液とフッ素系樹脂粒子との混合スラリーをろ過することにより、長尺のカーボンナノチューブが含浸されたフッ素系樹脂粒子を回収する工程である。具体的には、
図1に示すように、耐圧容器3の下部に経路L6が接続されており、この経路L6に設けられた開閉弁12を開放することにより、耐圧容器3から長尺のカーボンナノチューブが含浸されたフッ素系樹脂粒子を回収する。
【0087】
(第9工程)
第9工程は、フッ素系樹脂粒子に溶けた二酸化炭素を除去する工程である。具体的には、上記第8工程で回収した長尺のカーボンナノチューブが含浸されたフッ素系樹脂粒子を真空電気炉内で真空状態にて加温する。これにより、フッ素系樹脂粒子に溶けた二酸化炭素を脱泡するとともに、付着した溶媒を気化させることができる。
【0088】
上述した第1工程から第9工程によって、本実施形態の複合樹脂材料粒子を製造することができる。
【0089】
(第10工程)
第10工程は、上記第1工程から第9工程によって得られた複合樹脂材料粒子を加圧成形する工程である。具体的には、長尺のカーボンナノチューブが表面に取り込まれたフッ素系樹脂粒子を金型に充填した後、常温にて所定の圧力をかけて成型する。
【0090】
(第11工程)
第11工程は、成形したフッ素系樹脂粒子を焼成する工程である。具体的には、上記第10工程で成形した複合樹脂材料粒子を、この複合樹脂材料粒子に残留した分散剤を分解することができる温度であって、かつ、フッ素樹脂の成形に適した温度で焼成する。
【0091】
上述した第10工程及び第11工程によって、本実施形態の複合樹脂成形体を製造することができる。
【0092】
ところで、従来から、カーボンナノチューブを希薄分散させた分散溶液を用いて、少量添加された長尺のカーボンナノチューブと樹脂粒子等との複合材料の作製が試みられていた。しかしながら、長尺のカーボンナノチューブは、分散液中では比較的均一な状態に分散されているが、樹脂粒子の表面へと付着させようとする際にカーボンナノチューブ同志が急激に凝集してしまうため、樹脂粒子の表面へのカーボンナノチューブの付着を制御することが出来なかった。
【0093】
また、分散液溶媒として極性が低い溶媒を分散液に添加することにより、樹脂粒子の表面に長尺のカーボンナノチューブを付着させることが可能となるが、無極性溶媒を分散液に添加するだけでは粒子表面へのカーボンナノチューブの付着を制御することは出来なかった。すなわち、長尺のカーボンナノチューブの表面には、多量の分散剤が配位しているが、この分散剤が長尺カーボンナノチューブから一気に剥離することで長尺カーボンナノチューブ同士が凝集してしまうことになる。このように、樹脂粒子の表面に長尺カーボンナノチューブが凝集するために、樹脂粒子の表面が強い黒色を帯びてしまうという問題であった。
【0094】
これに対して本実施形態の複合樹脂材料粒子の製造方法によれば、長尺のカーボンナノチューブを希薄分散させた水分散液にエタノールとフッ素系樹脂とを添加することにより、溶媒中に長尺のカーボンナノチューブとフッ素系樹脂とが均一分散された混合スラリーを形成し、この混合スラリーに液体二酸化炭素を撹拌しながら添加する構成となっている。このように混合スラリーに液体二酸化炭素を撹拌しながら添加していくことにより、カーボンナノチューブに配位している分散剤が徐々に除去される。同時に、液体二酸化炭素の添加により溶媒中のエタノール濃度が下がっていくため、長尺のカーボンナノチューブが疎水性のフッ素樹脂表面に均一に分散された状態で吸着していくことになる。このため、カーボンナノチューブの少ない添加量で、高い導電性を有する複合樹脂材料粒子を製造することができる。また、カーボンナノチューブ同士が凝集した状態で樹脂粒子の表面への付着が抑制されるため、樹脂粒子の表面が黒色を帯びてしまうこともない。
【0095】
以下に具体例を示す。
[実験1:複合樹脂材料粒子の製造]
図1に示す装置を用いて、以下に示す手順によって複合樹脂材料粒子を製造した。
【0096】
先ず、ビーカーにイオン交換水20mlを満たした後、分散剤としてコール酸ナトリウム200mgを添加した。次いで、超音波分散機(株式会社エスエムテー製、ULTRA SONIC HOMOGENIZER UH−50、50W、20kHz)にて10分間の超音波分散処理を行い、分散剤水溶液を作製した。
【0097】
次に、特開2007−222803号公報(カーボンナノ構造物成長用触媒、カーボンナノ構造物の製造方法、同製造用ガスとキャリヤガス及び同製造装置)に記載された方法にしたがって、シリコン基板上に高配向カーボンナノチューブ(平均直径11nm、平均長さ145μm)を作製した。
【0098】
次いで、作製したカーボンナノチューブをシリコン基板から剥離し、10mgを分散剤水溶液に添加した後、上述した超音波分散機(50W、20kHz)にて30分間の超音波分散処理を行い、カーボンナノチューブの水分散液を作製した。
【0099】
次に、このカーボンナノチューブ水分散液にエタノール80mlを加え、上述した超音波分散機(50W、20kHz)にて10分間の超音波分散処理を行い、カーボンナノチューブ分散液を作製した。
【0100】
次に、撹拌機付きの容器に作製したカーボンナノチューブ分散液100gを満たした後、撹拌機を動かしながら5分間掛けて、ゆっくりとフッ素樹脂(PTFE、ダイキン工業株式会社製、M−18F、平均粒径25μm)20gを添加して、カーボンナノチューブ分散液とフッ素樹脂との混合スラリーを作製した。
【0101】
次に、撹拌機付きの耐圧容器内に、スラリーポンプを使用して、作製した混合スラリー120gを充填した後、撹拌機を動かしながら、液化炭酸を10g/minの速度で11分間、合計約100gを充填した。ここで、耐圧容器に付随されている排圧弁を調整することにより、ガス化した炭酸を排出しながら液化炭酸の充填を行った。
【0102】
液化炭酸の充填が終了した後、耐圧容器に付随の撹拌機を動かした状態で、耐圧容器を囲んだヒーターBOXに入電して、耐圧容器内の温度が65℃になるように調整し、耐圧容器内部の炭酸を超臨界状態した。この時、耐圧容器内の圧力は、約25MPaであった。
【0103】
次いで、耐圧容器内の温度が65℃になった時点で、撹拌機を動かしながら、さらに液化炭酸の充填を開始し、1g/minの充填速度で2時間継続した。ここで、耐圧容器に付随されている排圧弁を調整することにより、ガス化した炭酸と炭酸中に溶け込んだ分散溶液(溶媒+分散剤)とが混ざった気液混合ガスを排出しながら液化炭酸の充填を行った。
【0104】
2時間経過後、液化炭酸の供給を停止し、耐圧容器内の圧力が大気圧になるまで排圧弁から耐圧容器内の気液混合ガスを排出した後、耐圧容器内に残ったカーボンナノチューブ分散液とフッ素樹脂との混合スラリーを、スラリーポンプを使用してろ過回収装置へと移送した。
【0105】
一方、排圧弁から排出された気液混合ガスは、気液分離槽に導入した後、気体である炭酸ガスと液体である分散溶液(溶媒+分散剤)とに分離した。そして、分離回収した炭酸ガスは液化して再利用した。また、分散溶液(溶媒+分散剤)は溶媒を乾燥させて分散剤のみを回収して再利用した。
【0106】
ろ過回収装置へ移送されたカーボンナノチューブ分散液とフッ素樹脂との混合スラリーを、ろ過フィルター(MILLIPORE社製、メンブレンフィルター、直径47mm、孔径0.1μm)にてろ過を行った。
【0107】
ろ過回収装置の上流において、カーボンナノチューブが添加濃度0.05質量%で付着した導電性フッ素樹脂原料が約20g得られた。また、ろ過回収装置の下流において、無色透明な分散溶液(溶媒+分散剤)が回収された。
【0108】
得られた導電性フッ素樹脂原料約5gを金型に入れた後、手動圧縮成形機(三庄インダストリー株式会社製、MH−50)を使用して、常温、圧力40MPaの条件にて成形を行った。これにより、直径約30mm、厚さ約3mm、密度2.1g/cm
3の導電性フッ素樹脂予備成形体を得た。
【0109】
さらに、導電性フッ素樹脂予備成形体を、真空電気炉(光洋サーモシステム株式会社製、真空ボックス炉、MB−888−V)にて焼成処理を行なうことにより、導電性フッ素樹脂成形体を得た。
【0110】
この導電性フッ素樹脂成型体について、体積抵抗率計(Mitsubishi Chemical社製、LorestaGP、MCP−T600)の4端子法(ASPプローブ)を用いて体積抵抗率[Ω・cm]を測定した。その結果、体積抵抗率は3.49×10
3Ω・cmであり、カーボンナノチューブの添加濃度が0.05質量%という極めて低い添加濃度であるにもかかわらず、低い電気抵抗値を示す高導電性材料が成形されていることを確認した。
【0111】
[実験2:カーボンナノチューブの添加濃度と体積抵抗率との関係]
上述の実験1で示した手順により、カーボンナノチューブの添加濃度を、0.01質量%、0.025質量%、0.05質量%、0.075質量%と変化させた導電性フッ素樹脂成形体を作製した。そして、得られた導電性フッ素樹脂成形体の体積抵抗率を測定した。結果を
図2に示す。
図2中の(A)に示すように、体積抵抗率はそれぞれ、2.81×10
12Ω・cm、8.98×10
7Ω・cm、3.49×10
3Ω・cm、268Ω・cmであった。
【0112】
[実験3:カーボンナノチューブの添加濃度と体積抵抗率との関係]
フッ素樹脂粒子として平均粒径250μmのものを用い、且つ、カーボンナノチューブの添加濃度を0.003質量%、0.01質量%、0.05質量%と変化させたこと以外は、上記平均粒径25μmの場合と同様にして実験を行った。結果を
図2に示す。
図2中の(B)に示すように、体積抵抗率はそれぞれ、3.45×10
6Ω・cm、8.90×10
3Ω・cm、129Ω・cmであった。