特許第5732097号(P5732097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732097
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】冷暖房放熱パネルシステム
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/16 20060101AFI20150521BHJP
   F24D 19/02 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
   F24D3/16 D
   F24D19/02 A
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-72568(P2013-72568)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-196862(P2014-196862A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2014年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】510113368
【氏名又は名称】株式会社 テスク資材販売
(73)【特許権者】
【識別番号】390022666
【氏名又は名称】協立エアテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597106356
【氏名又は名称】株式会社タナカホーム
(74)【代理人】
【識別番号】110000316
【氏名又は名称】特許業務法人ピー・エス・ディ
(74)【代理人】
【識別番号】100088269
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 利雄
(72)【発明者】
【氏名】櫻庭 高光
(72)【発明者】
【氏名】久野 幸男
(72)【発明者】
【氏名】田中 靖彦
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−093050(JP,A)
【文献】 特開2011−247500(JP,A)
【文献】 特開2008−185234(JP,A)
【文献】 特開平08−152151(JP,A)
【文献】 実開平03−127123(JP,U)
【文献】 特開2013−040719(JP,A)
【文献】 特開2009−156517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 3/00− 3/18
F24D19/00−19/10
F24F 1/00
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面(8)から天井面(9)に亘る両側支持体(71)間に、支持体(71)の幅中央を差渡し形態で、床面(8)から天井面(9)に亘って、表裏が熱輻射波の反射層である剛性面板の界板(78)を配置し、両側支持柱(71)間の空間内で、界板(78)の表側及び裏側に、保形性の乏しいプラスチック樹脂製の柵状放熱パネルである前側放熱パネル(2f)及び後側放熱パネル(2r)を、上部は、吊金具(30)で前後左右動を規制して吊下げ支承し、下部は、固定金具(34)で前後左右動を規制し、各放熱パネル(2f,2r)の下面にはドレンパン(4)を配置したもので、放熱パネル(2f,2r)は、共に、上側横パイプと下側横パイプ間に縦パイプ群を並列連通配置した、外側パネル(201)と、内側パネル(202)との2枚の放熱パネルを、各パネルの対向面間隔(gP)を保って重層一体化連通し、放熱パネル(2f,2r)の一端上部には供給口(25)を、他端上部には排出口(26)を突出したものであり、冷温水供給用の、サプライ管(61)を放熱パネル(2f,2r)の上側一端の供給口(25)に、リターン管(62)を放熱パネル(2f,2r)の上側他端の排出口(26)に接続した冷暖房放熱パネルシステム。
【請求項2】
放熱パネル(2f,2r)は、支持体(71)の内面に対しても、界板(78)面に対しても、空気の上下対流を保証する間隔(g2)を保って配置した、請求項1に記載の冷暖房放熱パネルシステム。
【請求項3】
内側パネル(202)は、上側横パイプ(21e)の上方に、水流反転パイプ(21d)を平行に備え、外側パネル(201)と、内側パネル(202)とは、各縦パイプ(22)間隔(gB)が同一であり、且つ、外側パネル(201)の各縦パイプ(22)間隔(gB)の中央に内側パネル(202)の各縦パイプ(22)が位置する形態に重層一体化した、請求項1又は2に記載の冷暖房放熱パネルシステム。
【請求項4】
下側横パイプ内に、全長に亘って、流水に乱流を発生させるための抵抗体(21r)を配置した、請求項1、又は2、又は3に記載の冷暖房放熱パネルシステム。
【請求項5】
外側パネル(201)及び内側パネル(202)の全ての縦パイプ(22)を、放熱パネル(2r,2f)の全幅に亘る幅止め具(51)の嵌合によって、各縦パイプ(22)相互を位置規制し、外側パネル(201)の両側端の縦パイプ(22)と、内側パネル(202)の両側端の縦パイプ(22)とを、それぞれ連結具(52)によって相互一体化連結し、外側パネル(201)及び内側パネル(202)の各両側端の縦パイプ(22)の上端部位には、対応する上側横パイプの外端に下面から当接する結露受(53)を配置した、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷暖房放熱パネルシステム。
【請求項6】
幅止め具(51)は、断面が山形状屈曲で、上面(51a)及び下面(51b)が両側縁への下向傾斜を備えた左右対称形状であって、両側には円弧弾性クリップ(51e)群を備え、各円弧弾性クリップ(51e)は、外端位置(fc)から縦パイプ(22)の外端面(fs)が突出する形態に、縦パイプ(22)を弾性保持する、請求項5に記載の冷暖房放熱パネルシステム。
【請求項7】
連結具(52)は、傾斜連結板(52b)の両端に、円弧筒(52a)形態の円弧弾性クリップ(52e)を備え、円弧弾性クリップ(52e)の開口(52c)先端には、案内用エッジ(52f)と、引続く小口辺(52g)を備えている、請求項5に記載の冷暖房放熱パネルシステム。
【請求項8】
結露受(53)は、円弧筒(53a)の形態の円弧弾性クリップ(53e)の開口(53c)の反対側に、当接水平上辺(53h)及び斜辺(53s)を備えた直角三角形板(53b)を突出し、円弧弾性クリップ(53e)の開口(53c)先端には、案内用エッジ(53f)と引続く小口辺(53g)を備えている、請求項5に記載の冷暖房放熱パネルシステム。
【請求項9】
吊金具(30)は、両側の支持体(71)に、両側の受金具(31)を縦長ねじ挿入用孔(H31)でねじ固定し、両側の受金具(31)間に、一端近傍にねじ孔(H32)を備えた支持バー(32)を差渡し嵌合し、支持バー(32)上の適宜位置に支承金具(33)を適数個配置して、外側パネル(201)と内側パネル(202)の上側横パイプ(21b,21e)を、支承金具(33)の上面で当接支承し、放熱パネル(2f,2r)の、前後動は支承金具(33)で規制し、左右動は支持バー(32)のねじ孔(H32)に螺入したねじピン(32a)の縦パイプ(22)間への挿入により規制した、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の冷暖房放熱パネルシステム。
【請求項10】
支持バー(32)は、両側の受金具(31)の嵌合溝(31d)に、左右微調整自在に嵌合し、支承金具(33)は、中央垂直辺(33a)と両側辺(33b)を備え、縦パイプ(22)の2本を介在させる両側辺(33b)の上縁から、前後対称形の台形突起(33c)を突出し、台形突起(33c)の中央下部に配置した嵌合溝(33d)で支持バー(32)に左右摺動自在に嵌合した、請求項9に記載の冷暖房放熱パネルシステム。
【請求項11】
支承金具(33)は、両側辺(33b)の下端中央部に山形切欠(33f)を備え、且つ中央垂直辺(33a)の下端には、介在する2本の縦パイプ(22)に対応する2個の山形突起(33e)を内方への傾斜形態で備え、該山形突起(33e)を縦パイプ(22)に当接した、請求項10に記載の冷暖房放熱パネルシステム。
【請求項12】
ドレンパン(4)は、外面を断熱シート(42)で被覆して、両側の支持体(71)に固定した両側のドレンパン受(47)間に、差渡し形態で、且つ底面の断熱シート(42)と床面(8)とは、空気流通間隔(g4)を保って支承し、固定金具(34)は、矩形平坦板(34e)であって、ドレンパン受(47)の垂直当接辺(47a)の上端から内方へ下降斜視突出した受片(47e)に載置固定し、平坦板(34e)の両側縁に突出形成した円弧開口(34a)によって外側パネル(201)と内側パネル(202)の外端縦パイプ(22)を嵌合保持した、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の冷暖房放熱パネルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に配置する冷暖房放熱パネルシステムに関するものであり、より詳しくは、保形性の乏しい、全プラスチック樹脂製の柵状放熱パネルを室内の間仕切壁に直交配置出来、大面積の室内空間内に自在に配置出来る冷暖房放熱パネルシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物内の冷暖房手段として、放熱器を間仕切壁に直交配置する手法も、室内空間内に配置する手法も、既に、各種提案されている。
図9は、従来例1であって、特許文献1として挙げた発明を開示するものであり、図9(A)は、冷暖房パネルの斜視図であり、図9(B)は概略正面図であり、図9(C)は図9(B)のC−C断面上視図である。
【0003】
従来例1(図9)の放熱パネルは、鋼、アルミニウム、銅等の熱良導体の多数の管部材を、室内空間に於ける床面から天井面までに亘って、垂直方向に所定間隔で平行に配置して、天井面と床面に固定部材で固定し、各管部材を、図9(B)に示す如く、下側配管と上側配管とに連通させ、暖房時には、高温水を、下側配管から流入させて上側配管から流出させ、冷房時には、冷却水を、上側配管から流入し下側配管から流出させ、管部材群からの放熱で冷暖房を行うものである。
【0004】
そして、放熱用の各管部材は、上下の流水用配管から直交突出形態に間隔配置し、放熱パネルが居室内の仕切壁機能を奏し、各管部材間に隙間が存在しても、放熱パネルの一面側からは他面のスペースが目視出来ない状態となって、放熱パネルに目隠し機能を発揮させるものである。
そして、天井面及び床面の固定部材が配置出来る位置であれば、放熱パネルの配置が可能であり、放熱パネルの配置の自在なものである。
【0005】
また、図10は従来例2であって、特許文献2として挙げた発明の説明図であり、図10(A)は空気調和装置の使用状態斜視図であり、図10(B)は熱交換器と固定台の関係を示す端部の拡大縦断面図であり、図10(C)は、図10(B)の矢印C−C線横断面図である。
【0006】
従来例2(図10)の空気調和装置は、図10(A)に示す如く、床面から天井面に亘る左右の固定台を突っ張り部で固定し、両側の固定台間に、差渡し状にヒートパイプと蓄熱体パイプとを、交互に平行形態に多数本上下に配置し、ヒートパイプの稼動による発熱又は吸熱作用時と、ヒートパイプの稼動を休止して、蓄熱体の発熱又は吸熱作用時とを交互に操作して、空気調和装置の間欠運転による省エネルギーを達成するものである。
【0007】
そして、図10(B),(C)に示す如く、ヒートパイプ及び蓄熱体の両端の支持は、木製の固定体と固定台を組合せて1つの固定具となって支持するものであり、固定体には、ヒートパイプ及び蓄熱体の端部を挿入する取付孔を、上下所定間隔で配置し、固定台は、ヒートパイプ相互を接続する接続管を収納する切欠を、上下高さ方向全長に備えたものであり、熱交換器内の流水は、下端のドレンパンを貫通して立設した供給管から接続管へ、接続管によってヒートパイプ内を交互に流水して、最上部のヒートパイプからドレンパンを貫通した排出管へと経由するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−121907号公報
【特許文献2】特開2007−303727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来例1(図9)の冷暖房放熱パネルは、金属製の柵状放熱体が間仕切壁に近接直交形態に配置出来、上下各管部材群を、上側配管及び下側配管を挟着形態で配置するため、仕切壁としての目隠し機能を奏するが、管部材群が、上下配管を中央として両側に突出した形態となるため、放熱パネルとしての厚さが大となり、居住空間への突出が大であり、金属製の管部材、及び管部材から側方に突出する下側配管は、子供や高齢者が衝突する安全上の問題がある。
【0010】
また、冷房運転時には、冷水が、上側配管から、接続管群を介して、各管部材内を上方から下方に流下し、暖気が天井面にあるため、放熱パネルの上部、特に上側配管には結露水が顕著に発生し、高い位置からの結露水の落下は、下端のドレンパン周辺への飛散を生じ、床面の汚染を生ずる。
また、上側配管及び下側配管に接続させるための熱源機からの配管は、壁面から突出させる施工であるため、室内空間中央部への放熱パネルの配置施工は、煩雑且つ困難である。
【0011】
従来例2(図10)の空気調和装置は、熱交換器の配置が、固定体及び固定台の取付孔の配置、接続管や排出管用の切込み加工、蓄熱体の配置、シール部材充填、ヒートパイプの内管と接続管の溶接作業、ヒートパイプの配置、ヒートパイプへの内管の配置、キャップの取付け等、煩雑な作業である。
また、排出管及び供給管はドレンパンを貫通して配管するため、ドレンパンが漏水を生ずる怖れがあり、接続管及び排出管も、固定台と固定体とに収納しているため、収納部位での結露水で、木製の固定台及び固定体が腐朽する怖れがある。
そして、固定台の切込み部位を落下する結露水が、突っ張り部に落下して床面を汚損する。
【0012】
本願発明は、これら従来例の問題点を、一挙に解決、又は改善した居室内配置型の冷暖房放熱パネルシステムを提供するものであって、居室内の壁面への直交配置は勿論、居室内の空間中央への配置も可能であって、結露水による問題も改善出来た、実用性の極めて高い、居室内配置の冷暖房放熱パネルシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の冷暖房放熱パネルシステムは、例えば図1に示す如く、床面8から天井面9に亘る両側支持体71間に、支持体71の幅中央を差渡し形態で、床面8から天井面9に亘って、表裏が熱輻射波の反射層(78e)である剛性面板の界板78を配置し、両側支持体71間の空間内で、界板78の表側及び裏側に、保形性の乏しいプラスチック樹脂製の柵状放熱パネルである前側放熱パネル2f及び後側放熱パネル2rを、上部は、吊金具30で前後左右動を規制して吊下げ支承し、下部は、固定金具34で前後左右動を規制し、各放熱パネル2f,2rの下面にはドレンパン4を配置したもので、放熱パネル2f,2rは、共に、上側横パイプと下側横パイプ間に縦パイプ群を並列連通配置した、外側パネル201と、内側パネル202との2枚の放熱パネルを、各パネルの対向面間隔gPを保って重層一体化連通し、放熱パネル2f,2rの一端上部には供給口25を、他端上部には排出口26を突出したものであり、冷温水供給用の、サプライ管61を放熱パネル2f,2rの上側一端の供給口25に、リターン管62を放熱パネル2f,2rの上側他端の排出口26に接続したものである。
【0014】
この場合、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとは、同一物であるのが好ましい。
また、両側支持体71は、放熱パネルの配置区画を規定し、且つ、界板78を確保し、放熱パネル支持用の金具類を取付けるものであって、必要強度を有する間仕切の開口部端面でも良く、間仕切端面と立設柱との併用でも良いが、典型的には、図3に示す如く、両側に支持体71としての柱を備えた固定枠7を採用する。
そして、両側の支持体71を、固定手段で実施すれば、予め剛構造に構築した固定枠の配置が自在となり、両側支持体71の立設配置が容易となる。
【0015】
また、柵状放熱パネル2f,2rを支持する両側の支持体71の固定は、居間空間内の所望位置に、規定の支持体間寸法を保って、且つ両側支持体71間の幅中央に界板78を剛構造に保持出来れば良いが、典型的には、両側支持体は、アルミ金属製の支持体(柱)71であって、図3(A)に示す実施例の如く、両側の柱間の内面の嵌合溝71c間に界板78を嵌め込んで、両端に支持体71への嵌合用鞘管79を備えた上端押縁79cを界板78の上端に、両側柱間に亘る下端押縁78aを界板78の下端に嵌めて、両側支持体71と、差渡し形態の界板78とを一体化して、下部には、仮止め材75で固定して、両側の支持体71及び界板78を剛構造枠とした後、両側の支持体71の床及び天井への剛構造固定後に、下部の仮止め材75を取外せば良い。
【0016】
また、界板78は、アルミニウム金属平板でも良いが、典型的には、構造材としての合板の表裏面に、アルミ箔(78e)を張着したものである。
また、2枚の放熱パネルを重層一体化した保形性の乏しいプラスチック樹脂製放熱パネル2f,2rは、上端の、一端には供給口25を、他端には排出口26を備え、冷温水が、供給口25から流入して排出口26から流出する間に、放熱パネル全面に熱交換すれば良く、典型的には、図2の実施例に示す如く、上側横パイプと下側横パイプ間に多数の縦パイプ22群を連通した同一放熱構造の外側パネル201と内側パネル202の2枚を、重層形態で連通一体化し、内側パネルには、上側横パイプ21e上方に、水流反転パイプ21dを配置して、外側パネル一端の供給口25からの流入水を内側パネルの他端の排出口26から流出させ、放熱出力を増加させたものである。
そして、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rの供給口25及び排出口26へのサプライ管61及びリターン管62の接続は、慣用の、配管と接続金具とで、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとを、別個独立的に実施すれば良い。
【0017】
また、吊金具30は、保形性の乏しい柵状放熱パネル2f,2rを水平撓み無く吊下げ保持出来れば良く、両側の支持体71から支持バーを、片持ち梁形式で突出して放熱パネルの複数間隔位置を支承しても良いが、典型的には、図4(A)の実施例の如く、界板78の表側と裏側で、支持バー32を、支持体71間に差渡し保持して、支持バー32上に複数個の支承金具33を摺動自在に嵌合し、支承金具33で重層形態の、前側放熱パネル2fは界板78の前側で、後側放熱パネル2rは界板78の後側で支承する。
【0018】
また、固定金具34は、放熱パネル2f,2rの下部両側端の左右動及び前後動が規制出来れば良く、放熱パネル2f,2rの外端を把持する機能を備えたものを、内側の支持体71の内面に対向配置しても良いが、典型的には、図7(D)の実施例に示す如く、ステンレス鋼板の打抜き板材で、平坦板34eの後端にはねじ挿入用孔H34を、前端には、中央の水抜き孔34bと両側の円弧開口34aを備え、支持体71に取付けたドレンパン受47の上端の下降傾斜受片47eに平坦板34eの後端をねじ挿入用孔H34を介して、ドレンパン受47の受片47eの前後長孔H47と調整固定し、両側の円弧開口34aを、外側パネル201の外端縦パイプ22と、内側パネル202の外端縦パイプ22に嵌合して、外側パネル201と内側パネル202の、外端の縦パイプ22を把持一体化する。
【0019】
また、ドレンパン4の配置は、慣用の手法で実施すれば良く、ドレンパン4の表面積が、上面視で、柵状放熱パネルの断面形状を収容するスペースであれば良く、典型的には、図7に示す如く、各柵状放熱パネル2f,2rの下端でドレンパン4が外周及び底面に断熱シート42を備え、底面の断熱シート42面と床面8とが空気流通間隔g4を備えた形態で、ドレンパン受47に着脱自在に載置するものである。
この場合、放熱パネル2f,2rは、上部も下部も前後動及び左右動が規制されて吊下げられているため、放熱パネル上の結露水の床上への飛散は抑制出来る。
【0020】
従って、本発明の冷暖房放熱パネルシステムにあっては、両側の支持体71の固定可能な位置への配置が可能であり、室内の仕切壁と直交形態の配置も、大空間の室内スペースの適所への独立配置も自在となる。
そして、前側の放熱パネル2fも後側の放熱パネル2rも保形性の乏しい放熱パネルであるが、上部と下部が、前後左右動の抑制された形態であるため、前後の放熱パネル2f,2rからの結露水は、適正に、対応ドレンパン4によって処理出来、従来例1,2の如き、結露水による床面汚染は生じない。
【0021】
そして、保形性の乏しいプラスチック樹脂製放熱パネルであっても、前後左右動の抑制によって、放熱パネルの部分変位による放熱斑も抑制出来る。
また、冷温水供給用管と接続した供給口25と排出口26が、放熱パネル2f,2rの上側の両端に対称形に存在するため、露見する放熱パネル2f,2rは、前側放熱パネル2fの正面から見ても、後側放熱パネル2rの正面から見ても、左右均斉で、安定感のある、高性能を想起させる機能美を呈する。
しかも、プラスチック樹脂製特有の熱伸縮も、吊下げ形態支持によって吸収出来て、放熱パネルの放熱斑を生ずるような弯曲変位は抑制出来る。
【0022】
しかも、放熱パネルシステム1は、前側放熱パネル2fも、後側放熱パネル2rも、共に2枚パネルの重層体であるが、幅中央の界板78が、放熱パネル2f,2rの支持材(体)に対する補強機能を奏し、その配置域も、両側支持体71間で規定された空間内、即ち、左右寸法は両側の支持体71間寸法、前後寸法は支持体71の前後厚さ、上下寸法は床面8から天井面9までの寸法、のスペースであるため、放熱パネルシステムの構成部材は、支持体71間スペースに安定形態で収まって、前後左右へも突出が無く、高齢者や子供にも、安全な冷暖房放熱パネルシステムとなる。
【0023】
また、本発明の冷暖房放熱パネルシステムにあっては、前側放熱パネル2fも後側放熱パネル2rも、図2に示す如く、共に、上側横パイプと下側横パイプ間に、縦パイプ群を並列連通配置した外側パネル201と、内側パネル202との2枚のパネルを、各パネル201,202の対向面間隔gPを保って重層一体化連通し、放熱パネル2f,2rの一端上部には供給口25を、他端上部には排出口26を突出させた構成も、必須要件としている。
【0024】
この場合、外側パネル201と内側パネル202とは、縦パイプ22の寸法、配列間隔及び上下横パイプ寸法を同一とすれば、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rの製作も合理化出来る。
また、外側パネル201と内側パネル202間の間隔gPは、放熱パネル2f,2r内部の空気の上昇又は下降流を保証するものであり、間隔gPが小さい程、放熱パネル2f,2rは薄型化出来るが、間隔gP内の空気流の保証も、放熱効率上必要であり、典型的には、パネル間の間隔gPは18.5mmである。
【0025】
また、放熱パネル2f,2rは、外側パネル201と内側パネル202との2枚重層形態の下で、一端上部に供給口25を、他端上部に排出口26を配置するが、この場合、供給口25からの流入水が全縦パイプ22を流水して排出口26から流出するように、各パネル201,202の経路内に、それぞれ、通水仕切板を適切に配置すれば良く、典型的には、図2に示す如く、外側パネル201の上側横パイプ21bの右側に仕切板24aを、内側パネル202では、上側横パイプ21eの左側に仕切板24aを配置すると共に、上側横パイプ21e上に、水流反転パイプ21dを平行に配置する。
この場合、水流反転パイプ21dは、直下の上側横パイプ21eと同一物を採用すれば良い。
【0026】
従って、本発明の柵状放熱パネルを用いれば、供給口25と排出口26とが、左右対称配置となるため、慣用の、冷温水供給用の、サプライ管61及びリターン管62との接続位置が左右に離れて、配管接続作業も、結露防止の慣用の断熱材被覆作業も容易となると共に、放熱パネル2f,2rが左右均斉の外観となって機能美を発揮する。
しかも、2枚のパネル201,202間の対向面が、空気の上下流を保証する間隔gPを備えているため、放熱パネル2f,2rは、薄型化の下に高発熱量となり、放熱パネル2f,2rの表裏面が放熱斑の無い、効率の良い放熱作用を発揮する。
【0027】
従って、本発明の冷暖房放熱パネルシステムは、前側放熱パネル2fも、後側放熱パネル2rも、共に、外側パネル201と内側パネル202の2枚重ね形態であること、及び界板78が熱輻射波の反射層として機能するため、居室内の配置部位で、前方スペースに対しても後方スペースに対しても、大出力、且つ等価の、輻射熱冷暖房作用を発揮する。
しかも、界板78の、前側の放熱パネル2fと後側の放熱パネル2rとは、別個独立配置であって、選択稼動による省エネルギー利用も出来るものとなり、家屋内への冷暖房設備の、配置数量及び配置スペースの低減合理化も可能となり、配置位置が支持体71の立設出来る場所でさえあれば自在であることと相俟って、本発明は、配置スペース面でも、稼動面でも、配置数でも、合理化された冷暖房システムを提供する。
【0028】
また、本発明の冷暖房放熱パネルシステムにあっては、図2(A)に示す如く、放熱パネル2f,2rは、支持体71の内面に対しても、界板78面に対しても、空気の上下対流を保証する間隔g2を保って配置するのが好ましい。
この場合、間隔g2は、対向面間に上下空気流の自然貫流を許容する間隔であって、30〜40mmの間隔であれば十分であり、本発明では、システム全体のコンパクト化の観点から、間隔g2は標準30mmである。
【0029】
従って、本発明冷暖房放熱パネルシステムにあっては、前側の放熱パネル2fも、後側の放熱パネル2rも、共に、界板78とも、両側の支持体71の内面とも、空気の自然対流間隔g2(標準:30mm)を保持しているため、冷房作用時には、放熱パネル2f,2rの外周面が、下降冷気流を受けて、放熱パネル2f,2rの放熱面上の空気粘性滞留膜を分離し、対流熱伝達を促進すると共に、放熱パネル2f,2rの対向面の支持体71内面や界板78面は、空気対流にさらされて結露が発生しない。
また、暖房時にあっても、間隔g2の貫流空気が放熱面上の空気粘性滞留膜を分離して、対流熱伝達を促進する。
【0030】
また、本発明の放熱パネル2f,2rにあっては、内側パネル202は、上側横パイプ21eの上方に、水流反転パイプ21dを平行に備え、外側パネル201と、内側パネル202とは、各縦パイプ22間隔gBが同一であり、且つ、外側パネル201の各縦パイプ22間隔gBの中央に内側パネル202の各縦パイプ22が位置する形態に重層一体化するものが好ましい。
【0031】
この場合、図2に示す如く、水流反転パネル21dの付加採用は、外側パネル201と内側パネル202との全縦パイプ22の上昇流による熱交換、及び供給口25と排出口26との左右端への分離が簡便に実施出来る。
そして、各パネル201,202の各縦パイプ22間の間隔gBは、単位面積当りの放熱量増大が期待出来、且つ外内2枚のパネル201,202の対向面間隔gP(標準:18.5mm)内の空気の上昇流又は下向流が保証出来る寸法が好ましく、典型的には、縦パイプ22は、外径(RB)が13mmで、各パネル内での縦パイプ22相互の間隔gBは7mmである。
【0032】
従って、前側放熱パネル2fも後側放熱パネル2rも、正面視で、外側パネル201の各縦パイプ22のパイプ間隔(標準:7mm)を、内側パネル202の各縦パイプ22が塞いだ形態となるため、放熱パネル2f,2rは界板78の露見を抑制し、透視不能な目隠し用の仕切板の作用を奏する。
しかも、内側パネル202の全縦パイプが、正面視で、外側パネル201の縦パイプ22の隙間gBから露見するため、各縦パイプ22全てが、放熱パネル2f,2r面からの直交方向の輻射熱線を居室内に放射し、且つ内方への輻射熱線も、界板78での反射で居室内に放射するため、熱効率が向上する。
【0033】
また、本発明にあっては、放熱パネル2f,2rは、図8に示す如く、下側横パイプ内に、全長に亘って、流水に乱流を発生させるための抵抗体21rを配置するのが好ましい。
この場合、抵抗体21rは、下側横パイプの一端から他端までの平準流水を保証して、定常整流に乱流を付加する部材であれば良く、圧縮コイルスプリングで、コイルピッチが縦パイプ22のピッチと同等、又は近似のコイルスプリングが好ましい。
【0034】
従って、乱流発生抵抗体21rを全長に亘って介在した下側横パイプ21c(21f)にあっては、下側横パイプ内の整流に乱流を付加するため、下側横パイプの内周面の熱伝達に抵抗する境膜が乱流作用で剥離し、通水パイプ内周面の境膜剥離作用は縦パイプ22内にも及んで、通水パイプの熱交換作用が向上し、下側横パイプ21c(21f)内の流水抵抗の増大によって、全縦パイプ22への流入斑も抑制出来ると共に、放熱パネル2f(2r)全体としても放熱量が増大する。
【0035】
また、本発明は、図1に示す如く、外側パネル201及び内側パネル202の全ての縦パイプ22を、放熱パネル2f,2rの全幅に亘る幅止め具51の嵌合によって、各縦パイプ22相互を位置規制し、外側パネル201の両側端の縦パイプ22と、内側パネル202の両側端の縦パイプ22とを、それぞれ連結具52によって相互一体化連結し、外側パネル201及び内側パネル202の各両側端の縦パイプ22の上端部位には、対応する上側横パイプの外端に下面から当接する結露受53を配置するのが好ましい。
【0036】
この場合、幅止め具51は、外側パネル201と内側パネル202の全縦パイプ22を拘束出来るものであれば良く、放熱パネル2f,2rの全幅に亘る長尺物で、全縦パイプ22を嵌合把持出来れば良く、典型的には、ABS樹脂の射出成形品であって、図5(A),(B)に示す、両側縁に円弧弾性クリップ51eを、放熱パネル2f,2rの縦パイプ22群に対応する形態に備えて、両側縁で放熱パネル2f,2rの各外側パネル201の縦パイプ22群と内側パネル202の縦パイプ22群相互を拘束出来るものである。
【0037】
また、連結具52は、外側パネル201の外端縦パイプ22と内側パネル202の外端縦パイプ22を拘束するものであれば良く、典型的には、PP樹脂製で、図5(C)〜(F)に示す、傾斜連結板52bの両端に弾性クリップ52eを配置し、両端の弾性クリップで、外側パネル201の外端縦パイプ22と内側パネル202の外端縦パイプ22とを連結するものである。
また、結露受53は、上側横パイプの外端から結露水を縦パイプ22の外周に案内出来れば良く、典型的には、PP樹脂成形品で、図6に示す如く、上側横パイプの下面に当接させる三角形板53bを、縦パイプ22に弾揆嵌合する円弧筒53aから突出させたものである。
【0038】
従って、長尺の幅止め具51を、外側パネル201と内側パネル202の上下方向の適所位置に、上下間隔(標準:500mm)を保って配置すれば、幅止め具51の配置位置で、各パネル相互の縦パイプ22が一体化して、放熱パネル2f,2rの前後左右方向の保形性(剛性)が向上し、両側端の連結具52で、2枚のパネル201,202の側端の縦パイプ22、を相互連結一体化すれば、放熱パネル2f,2rの側端部位での保形性が向上する。
そして、放熱パネル2f,2rの上部の横パイプの端部に発生する結露水も、結露受53によって縦パイプ22の外周面に案内出来、放熱パネル2f,2rの保形性向上は、放熱パネル2f,2rからの結露水のドレンパン4内への適正流下を保証する。
この場合、結露受53は、必要に応じて、水流反転パイプ21dの両端下面に適用しても良い。
【0039】
また、幅止め具51は、図5(A),(B)に示す如く、断面が山形状屈曲で、上面51a及び下面51bが両側縁への下向傾斜を備えた左右対称形状であって、両側には円弧弾性クリップ51e群を備え、各円弧弾性クリップ51eは、外端位置fcから縦パイプ22の外端面fsが突出する形態に、縦パイプ22を弾性保持するのが好ましい。
【0040】
この場合、上面51a及び下面51bの両側縁への下向傾斜は、結露水を両側縁へ流すための水勾配である。
尚、幅止め具51は、放熱パネル2f,2rの適宜位置に配置した際に、幅止め具51自体が滑落阻止機能を発揮する必要があり、典型的には、円弧弾性クリップ51eの内周面に、縦パイプ22を強固に押圧把持するための係止用突条SPを突出(標準:1mm)させる。
【0041】
従って、該幅止め具51の1本を、外側パネル201と内側パネル202間に挿入し、両側縁の円弧弾性クリップ51e群を、外側パネル201の縦パイプ22列と、内側パネル202の縦パイプ22列とに弾揆嵌合すれば、各縦パイプ22は、幅止め具51によって相互の位置関係が規制されるため、放熱パネル2f,2r自体の保形性が増大して、位置規制された縦パイプ22群からは、前後、左右共、放熱斑の無い均斉面放熱が得られる。
【0042】
しかも、幅止め具51からの結露水の流下は、水勾配によって両側縁に案内され、両側縁では、縦パイプ22の外端面fsが露出しているため、幅止め具51からの結露水は、両側縁から縦パイプ22に沿ってドレンパン4に流下し、従来例1,2の如き、結露水の飛散及び床汚染が生じない。
【0043】
また、本発明にあって、連結具52は、図5(C)〜(F)に示す如く、傾斜連結板52bの両端に、円弧筒52a形態の円弧弾性クリップ52eを備え、円弧弾性クリップ52eの開口52c先端には、案内用エッジ52fと、引続く小口辺52gを備えているのが好ましい。
この場合、開口52cの構造は、典型的には、図5(F)に示す如く、開口幅が5.3mmで、案内用エッジ52fが開口中心線に対して25°拡開する0.5mm幅の傾斜面であり、小口辺52gが案内用エッジ52fから45°拡開するテーパー面である。
【0044】
従って、図5(C)〜(F)に示す如く、1本の連結具52で、外側パネル201の外側端の縦パイプ22と、内側パネル202の外側端の縦パイプ22とを連結一体化すれば、放熱パネル2f,2rの側端部位の剛性が向上し、供給口25から温水が直通で流入する側端の縦パイプ22の熱弯曲変位も阻止出来る。
【0045】
そして、円弧筒形態の円弧弾性クリップ52eは、縦パイプ22に対して、初期当接の案内用エッジ52fが平滑な弾性変位を保証し、小口辺52gの薄肉化による開口部位の可撓性の向上と相俟って、縦パイプ22の円弧弾性クリップ52eへの平滑な弾揆嵌入を保証する。
また、各連結具52からの結露水は、傾斜連結板52bの水勾配傾斜によって一方の円弧筒52aに流れ、各円弧筒52aは、開口52cの先端で縦パイプ22の外端面を露出しているため、縦パイプ22に沿って流下する。
この場合、傾斜連結板52b、円弧筒52aの上面及び下面には、慣用の面取り部52dを配置するのが好ましい。
【0046】
また、本発明の結露受53は、図6に示す如く、円弧筒53aの形態の円弧弾性クリップ53eの開口53cの反対側に、当接水平上辺53h及び斜辺53sを備えた直角三角形板53bを突出し、円弧弾性クリップ53eの開口53c先端には、案内用エッジ53fと引続く小口辺53gを備えているのが好ましい。
【0047】
この場合、円弧筒の形態の円弧弾性クリップ53eは、縦パイプ22に弾揆嵌合するものであって、開口53cの構造は、図6(B)に示す如く、開口幅が5.3mmで、案内用エッジ53fが開口中心線に対して25°拡大する0.5mm幅の傾斜面であり、小口辺53gが案内用エッジ53fから45°拡開するテーパー面であり、円弧弾性クリップ53e自体は、連結具52の円弧弾性クリップ52eと同一構造である。
【0048】
また、直角三角形板53bは、円弧弾性クリップ53eを側端の縦パイプ22の上端に弾揆嵌合した際に、直角三角形板53bの水平上辺53hが、上側横パイプの先端下面をカバーし、斜辺53sが円弧筒53aの外周に集束する寸法とすれば良い。
また、直角三角形板53bの円弧弾性クリップ53eへの配置位置は、水平上辺53hが円弧筒53aの上端面より段差d53(標準:1.5mm)上方位置とすれば、縦パイプ22の上側横パイプへの溶融接合時に生じた融着隅肉reが存在していても、水平上辺53hは、上側横パイプ下面へ当接出来る。
【0049】
従って、該結露受53は、直角三角形板53bの水平上辺53hが上側横パイプの外端部位の下面に当接するため、結露水が発生する上側横パイプの外端部位の結露水を、斜辺53sで円弧筒の外周に案内し、円弧筒53aから縦パイプ22外周に案内出来る。
そのため、結露水の、上側横パイプの外端部位からの直接落下は阻止出来、放熱パネル2f,2rで生じた結露水は、全て縦パイプ22の案内で、ドレンパン4内に流水出来る。
この場合、円弧筒53a及び直角三角形板53bの上下外周面に、慣用の面取り部53dを付与しておけば、結露水の縦パイプ22外周への誘導が平滑となる。
【0050】
また、本発明の放熱パネル2f,2rの上部を吊下げ形態に支承する吊金具30は、図4(A),(B),(C)に示す如く、両側の支持体71に、両側の受金具31を縦長ねじ挿入用孔H31でねじ固定し、両側の受金具31間に、一端近傍にねじ孔H32を備えた支持バー32を差渡し嵌合し、支持バー32上の適宜位置に支承金具33を適数個配置して、外側パネル201と内側パネル202の上側横パイプ21b,21eを、支承金具33の上面で当接支承し、柵状放熱パネル2f,2rの、前後動は支承金具33で規制し、左右動は支持バー32のねじ孔H32に螺入したねじピン32aの縦パイプ22間への挿入により規制するのが好ましい。
【0051】
この場合、支持バー32の一端部のねじ孔H32は、調整用に複数個配置しておけば、縦パイプ22間の標準間隔7mmの縦パイプ22間へのねじピン32aの螺入に有利である。
従って、支持バー32を保持する受金具31を、縦長ねじ挿入用孔H31で上下適正位置に固定すれば、放熱パネル2f,2rは、上下適正位置で、上部が前後動及び左右動を規制した形態で、且つ複数の支承金具33の適正配分によって水平撓みの生じない形態で吊下げ支承出来、放熱パネル2f,2rは、居室の空間内で外観の優れた配置となる。
【0052】
そして、支持バー32は、放熱パネル2f,2rとは、各支承金具33を介しての熱橋作用となるため、支持バー32の両側端、及び受金具31には結露が発生せず、放熱パネル2f,2rで発生する結露は、全て縦パイプ22を介してドレンパン4に導水出来るため、本発明は、結露水による床の汚染は全く生じない、居室内冷暖房放熱パネルシステムとなる。
尚、吊金具30の結露実験の結果、支持バー32の両側の放熱パネル2f(2r)からの突出部位には結露の発生しない事を確認した。
【0053】
また、本発明の吊金具30にあっては、図4(A),(B),(C)に示す如く、支持バー32は、両側の受金具31の嵌合溝31dに、左右微調整自在に嵌合し、支承金具33は、中央垂直辺33aと両側辺33bを備え、縦パイプ22の2本を介在させる両側辺33bの上縁から、前後対称形の台形突起33cを突出し、台形突起33cの中央下部に配置した嵌合溝33dで支持バー32に左右摺動自在に嵌合するのが好ましい。
【0054】
尚、本発明にあって、2層形態の、放熱パネル2fと放熱パネル2rの吊金具30としては、図1(B),(C)に示す如く、左右一対の受金具31と、1本の支持バー32と、2枚のパネル201,202間に亘って支承する、同一構造の複数の支承金具33のセットを、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとに採用するものであり、吊金具30手段での前後放熱パネル2f,2rの支持形態は同一であり、図1(C)に示す如く、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとは、界板78に対する面対称である。
【0055】
従って、界板78で面対称の前側放熱パネル2fに適用する支承金具33も、後側放熱パネル2rに適用する支承金具33も、共に、前後対称形の台形突起33cによって、複数の支承金具33が外側パネル201と内側パネル202の前後揺動を規制すると共に、各支承金具33は、支持バー32上の揺動調整で、放熱パネル2f,2rの幅方向自在位置への配置も可能となり、各放熱パネル2f,2rの、上部での、水平撓みが生じない形態での支承が出来る。
【0056】
また、支承金具33は、図4(A),(B),(C)に示す如く、両側辺33bの下端中央部に山形切欠33fを備え、且つ中央垂直辺33aの下端には、介在する2本の縦パイプ22に対応する2個の山形突起33eを内方への傾斜形態で備え、該山形突起33eを縦パイプ22に当接するのが好ましい。
【0057】
この場合、両側辺33bの前端、即ち台形突起33cの前端は、図4(C)に示す如く、対向縦パイプ22の外周と当接形態とするのが好ましい。
該構成の支承金具33にあっては、両側辺33bの結露水は、山形切欠33fによって、中央垂直辺33a側と、支持バー32側とに分流され、中央垂直辺33a側の結露水は、山形突起33eによって、当接縦パイプ22に誘導されて、縦パイプ22外周を平滑に流下し、台形突起33cの前端からは、対向縦パイプ22に導水され流下する。
【0058】
また、支持バー32の結露水は放熱パネル2f,2rの中央域、即ち図1に示す如く、前側放熱パネル2fの支持バー32の結露水は、外側パネル201と内側パネル202との間隔gPを、後側放熱パネル2rの支持バー32の結露水も、界板78の背面で、外側パネル201と内側パネル202との間隔gPを、各放熱パネル2f,2r対応の各ドレンパン4へと落水する。
従って、上側横パイプからの熱橋作用を受ける各支承金具33からの結露水の、放熱パネル2f,2rの外側への飛散は生じない。
【0059】
また、本発明にあっては、ドレンパン4は、図7に示す如く、外面を断熱シート42で被覆して、両側の支持体71に固定した両側のドレンパン受47間に差渡し形態で、且つ底面の断熱シート42と床面8とは、空気流通間隔g4を保って支承し、固定金具34は、矩形平坦板34eであって、ドレンパン受47の垂直当接辺47aの上端から内方へ下降斜視突出した受片47eに載置固定し、平坦板34eの両側縁の円弧開口34aによって外側パネル201と内側パネル202との外端縦パイプ22を嵌合保持するのが好ましい。
【0060】
該ドレンパン4は、界板78の、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとに対応配置するものであるため、対応放熱パネル2f,2rで発生する結露水を集水処理出来れば良いが、典型的には、図7(B)に示す如く、断面形態を、外側と内側と非対称として、ドレンパン底面中央から下方に突出したドレンパイプ43を、放熱パネル2f,2rの前後厚w2(58.5mm)の中央より外側に偏位させて、排水管接続を容易としたものである。
【0061】
また、固定金具34は、図7(D)に示す如く、両側縁に円弧開口34aを備えた形態は、板金の打抜き加工でも形成可能となる。
そして、取付構造も、ドレンパン受47の支持体71内面に固定する当接辺47aの必要高さから内方へ下降傾斜突出させた受片47eへのねじ固定で良く、機能も、両側の円弧開口34aを、外側パネル201の外端縦パイプ22と内側パイプ202の外端縦パイプ22とに嵌合すれば、各外端縦パイプ22は、左右動阻止で、前後動可能の形態での拘束となるが、外側パネル201と内側パネル202とは、幅止め具51で縦パイプ22の相互変位が抑制されているため、固定金具34での、放熱パネル2f,2rの外側パネル201と内側パネル202との外端での拘束は、放熱パネル2f,2rの下部での前後左右動規制を保証する。
そして、固定金具34の、内方への下降傾斜配置は、固定金具34上の結露水のドレンパン4内への流入を保証する。
【0062】
そして、本発明にあっては、ドレンパン4は、底面を含む全外周面が断熱シート42で被覆されているために、自体の外面には結露の発生が無く、底面と床面8間にも空気流通間隔g4が存在するために、ドレンパン4の存在に起因する床面8等への結露の発生も無い。
従って、本発明のドレンパン受47と固定金具34とドレンパン4とを備えたドレン機構は、放熱パネル2f、2rの下部での前後左右動を規制して、放熱パネル2f,2rからのドレンパン4内への結露水の集水を保証すると共に、固定金具34下部での前後左右動を抑制して、放熱パネル2f,2rからのドレンパン4内への結露水の集水を保証すると共に、固定金具34からの結露水の流入も保証し、ドレンパン4の存在に起因する床面8周囲への結露水の発生も抑制するため、冷暖房放熱パネルシステムの居室内への適用に有利なドレン機構を提供する。
尚、ドレンパン4からの排水処理は、ドレンパンから垂下したドレンパイプを排水パイプに接続する、慣用の、ドレン処理手段を適用すれば良い。
【発明の効果】
【0063】
保形性の乏しいプラスチック樹脂製の柵状放熱パネル2f,2rを、上部では吊金具30手段により前後左右動を規制し、下部では固定金具34手段によって前後左右動を規制して、吊下げ形態でドレンパン4上に配置するため、放熱パネルの熱伸縮は吸収出来て、熱伸縮歪による変形は抑制出来、放熱パネルからの結露水は支障無くドレンパン4内に収納出来る。
そして、放熱パネル2f,2rは、上部及び下部が前後左右動規制形態であるため、放熱斑を生ずることも無い。
【0064】
また、放熱パネル2f,2rの上側の供給口25と排出口26とを、一端と他端とに分離配置したため、冷温水供給用の、サプライ管61とリターン管62の放熱パネル2f,2rへの接続作業、及び配管接続部位での、慣用の、保温材被覆作業が、離れた位置での作業となって、煩雑な配管接続作業が容易となる。
しかも、放熱パネル2f,2rは、左右幅方向の一端と他端での、前面視で左右対称形態での配管接続構造となるため、柵状放熱パネル2f,2rは、前側から見ても後側から見ても、バランスの取れた機能美を呈する。
【0065】
そして、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとは、熱輻射波の反射層を備えた界板78で別個独立的に配置したため、各放熱パネル2f,2rは、全放熱量を外方のみに有効に放出出来て、両面に大出力、且つ等価の輻射熱冷暖房作用を発揮する。
しかも、各放熱パネル2f,2rは、必要に応じて、単独選択稼動も、両側の併用稼動も自在であるため、居室の環境に応じた省エネルギー稼動も可能であり、設置数でも、設置スペースでも、合理化出来る。
【0066】
従って、本発明の冷暖房放熱パネルシステムは、室内に、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rの柵状形態全面を露見した形態で配置しても、界板78が目隠し機能を奏して、前側も後側も同一形態で、左右均斉な高性能を想起させる機能美を呈し、前側放熱パネル2fも後側放熱パネル2rも、2枚の放熱パネルの重層一体化した柵状放熱パネルであるため、支持体71のスペース内での界板78の前側と後側との配置であるが、界板78の前側にも後側にも、大きな放熱量を発揮し、放熱作用の斑も無い、結露水による床汚染も生じない、しかも、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとは、必要に応じて選択稼動出来る、実用性に優れた、柵状放熱パネルの室内輻射冷暖房を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】本発明の実施例の全体説明図であって、(A)は横断面図、(B)は正面図、(C)は縦断側面図である。
図2】放熱パネルの説明図であって、(A)は左側面図、(B)は外側パネル201の正面図、(C)は右側面図、(D)は内側パネル202の正面図である。
図3】固定枠7の説明図であって、(A)は正面図、(B)は固定枠の分解斜視図である。
図4】吊金具30の説明図であって、(A)は吊金具30の全体斜視図、(B)は吊金具30の使用状態縦断側面図、(C)は吊金具30の使用状態横断面図である。
図5】使用部材の説明図であって、(A)は幅止め具51の使用状態縦断側面図、(B)は幅止め具51の平面図であり、(C)は連結具52の使用状態正面図、(D)は連結具52の使用状態側面図、(E)は連結具52の使用状態横断面図、(F)は連結具52の平面図である。
図6】結露受53の説明図であって、(A)は外側パネル201への使用状態正面図、(B)は平面図、(C)は内側パネル202への使用状態正面図である。
図7】ドレン機構の説明図であって、(A)は使用状態横断面図、(B)は使用状態縦断側面図、(C)は使用状態縦断正面図、(D)は固定金具34の斜視図、(E)はドレンパン受47の斜視図である。
図8】放熱パネルの変形例図であって、(A)は下端の縦断側面図、(B)は下端の縦断正面図である。
図9】従来例1の説明図であって、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は(B)のC−C線横断面図である。
図10】従来例2の説明図であって、(A)は斜視図、(B)は部分拡大縦断面図、(C)は(B)の矢印C−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
〔冷暖房放熱パネルシステムの全体構成(図1)〕
図1は、本発明実施例の説明図であって、(A)は横断面図、(B)は正面図、(C)は縦断側面図である。
冷暖房放熱パネルシステム1の全体構成は、居室内空間に、床面から天井面まで、支持体としての両側柱71を立設し、両側柱71間には、柱71の幅中央に、差渡し状に界板78を床面から天井面まで配置し、界板78の前側と後側とに、且つ、両側柱71の幅で区画された範囲内に、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとを配置し、ドレン機構も、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとに対応配置したもので、両側柱71間で、界板78の前側と後側に、同一構成の放熱パネルシステムを、界板78に対して面対称に配置したものである。
【0069】
即ち、前側放熱パネル2fも後側放熱パネル2rも、図1(A),(C)に示す如く、外側パネル201と内側パネル202との2枚重層一体化物であって、外側パネル201も内側パネル202も、上下の大径横パイプ間に小径の縦パイプ22を並列配置したもので、放熱パネル2f,2rは、柱の内面に対しても、界板78面に対しても、間隔(g2)30mmを保持して吊下げ支承すると共に、幅止め具51で、外側パネル201の縦パイプ22群と内側パネル202の縦パイプ22相互の相対揺動を規制した。
【0070】
また、放熱パネル2f,2rの両側端の上下適所位置では、剛性付与のための連結具52で、外側パネル201と内側パネル202との外端の縦パイプ相互を連結し、放熱パネル2f,2rの下面にはドレン機構を配置し、ドレンパン受47に固定した固定金具34で放熱パネル2f.2rの下端部位の前後左右動を規制して、放熱パネル2f,2rの上端では、一端(右端)には供給口25を、他端(左端)には排出口26を設けて、冷温水供給用の、サプライ管61とリターン管62を接続したものである。
【0071】
〔放熱パネル(図2)〕
前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとは、同一物であって、放熱パネル2f(2r)の全体形状は、図1図2に示す如く、上下高さh2が2280mm、左右長さL2が610mm、前後厚さw2が58.5mmであり、外側パネル201と、内側パネル202との2枚を、パネル対向面間隔(gP)を18.5mm、上下共、各横パイプ間隔gSを4.5mmで一体化したものである。
外側パネル201、内側パネル202は、共に、同一のPP−R樹脂(ポリプロピレン、ランダム共重合体樹脂)の外径(RA)27mm、肉厚5mmの上下横パイプ間に、同一の、PP−R樹脂の外径(RB)13mm、肉厚1.6mmの縦パイプ22群を、同一のパイプ間間隔(gB)7mmで連通接続したものである。
【0072】
2枚の放熱パネル201,202の重層一体化は、外側パネル201の縦パイプ22間隔gBに内側パネル202の各縦パイプ22が位置するように、即ち、正面視では、外側パネル201の各縦パイプ22間の間隔gBを、内側パネル202の各縦パイプ22が塞ぎ、放熱パネル2f(2r)が目隠し機能を奏するように重層一体化し、PP−R樹脂製の縦パイプ22群が、人体に良いとされる8μm〜14μmの波長の輻射波を、高い吸収放射率(0.95)で放射する輻射放熱パネル2f,2rとする。
【0073】
そして、外側パネル201と内側パネル202との重層一体化は、図2(A),(C)に示す如く、外側パネル201と内側パネル202の上側他端(左端)を連通パイプ23aで通水可能とし、他のコーナー部、即ち、外側パネル201と内側パネル202との上側一端(右端)及び下側両端は、全て、スペーサーパイプ23で通水不能に接合一体化する。
そして、内側パネル202は、図2(A),(C),(D)に示す如く、上側横パイプ21eの上側に、更に、上側横パイプ21eと同形状の水流反転パイプ21dを、上側横パイプ21eと間隔(gA)15mm保って、一端(右端)では連通パイプ23aで直下の上側横パイプ21eと通水可能に、他端(左端)ではスペーサーパイプ23で直下の上側横パイプ21eと通水不能に配置する。
そして、外側パネルの上側横パイプ21dの一端(右端)から供給口25を、水流反転パイプ21dの他端(左端)から排出口26を突設する。
【0074】
尚、図2に示す如く、水流反転パイプ21dを含む上下の全横パイプの両端は小口止め24で閉止し、外側パネル201の上側横パイプ21bの一端(右端)には仕切板24aを配置し、供給口25からの流入水は、右端の縦パイプ22にのみ流入可能とし、内側パネル202の上側横パイプ21eの他端(左端)には仕切板24aを配置し、外側パネル201から、連通パイプ23aを介しての、内側パネル202への流入水は、内側パネル202の上側横パイプ21eの他端(左端)の仕切板24aによって、左端の縦パイプ22にのみ流入可能とする。
【0075】
従って、得られた2枚連通の放熱パネル2f,2rでは、水流循環は、外側パネル201内では、図2(B)に示す如く、供給口25からのf1流が、右端縦パイプ22の下降f2流→下側横パイプ21c内のf3流→縦パイプ22群の上昇f4流→上側横パイプ21bのf5流→左端の連通パイプ23aのf6流で内側パネル202内に流入し、図2(D)に示す如く、内側パネル左端の縦パイプの下向f7流→下側横パイプ21fのf8流→縦パイプ22群の上昇f9流→上側横パイプ21dのf10流→上下連通パイプ23aのf11流→水流反転パイプ21dのf12流→排出口26のf13流と循環流水する。
【0076】
〔固定枠7(図3)〕
固定枠7は、両側支持材を予め構築するもので、室内空間の冷暖房放熱パネルシステム構築位置に、放熱パネルシステムの配置スペースを保持し、且つ放熱パネルシステムを支持するもので、図3に示す如く、両側の柱71と、柱71間の上下端に適用する上端押縁79c及び下端押縁78aと、界板78と、下端固定用アングル片72とで構成するものであり、両側柱71は、肉厚1.2mmのアルミニウム金属板製の、左右幅T71が45mm、前後方向厚さw1が260mm、長さが2450mmの断面矩形の角筒であって、前後方向厚w1の厚さ中央には、幅13mmの嵌合溝71cを上下貫通形態で備えたものである。
【0077】
また、上端押縁79cは、肉厚3mm、幅40mmの長尺アルミ金属板の上辺79dの下面からは2本の立下り辺79eを平行に下方突出して、全長に亘る幅13mmの嵌合溝79fを備え、両端には、それぞれ柱71の上端に冠着する鞘管79を備え、鞘管79の上面は、四隅にねじ挿入用孔H79を備えた水平辺79aを天井面当接用に備えている。
また、下端押縁78aは、取付用の両側柱71間に亘る寸法を備えた下端平板78bの上面に、平行に2本の立上り辺78cを備えて、界板78の下端を嵌入する幅13mmの嵌合溝78dを備えたアルミ金属成形板材である。
界板78は、12mm厚の構造用面材(合板)の両面にアルミ箔78eを張着したものを採用する。
【0078】
従って固定枠7は、両側柱71間に、下端押縁78aを、嵌合溝78dを柱の嵌合溝71cと当接した状態で、両側柱71を、端部に柱係止片75cを備えた仮止め材75で仮保持し、下端押縁78aと柱内面の嵌合溝71cを介して界板78も嵌合し、界板78の上端には、上端押縁79cの嵌合溝79fを嵌合して、鞘管79を両側の柱71の上端に嵌合し、柱71の下端をアングル金具72で固定した後、上端押縁79cの鞘管79の上下摺動調整で、鞘管79の水平辺79aを天井面に当接し、鞘管79と柱71とをねじ固定し、水平辺79aを天井面9にねじ固定すれば、両側柱71の幅中央を界板78が仕切った所定の固定枠7が立設固定出来る。
【0079】
〔吊金具30(図4(A),(B),(C))〕
吊金具30は、固定枠の左右柱71の界板78の、前側と後側に取付けて、柵状放熱パネルを吊下げ支承するものであって、両側の柱71の内側対向面に取付ける左右一対の受金具31と、両側受金具31間に差渡す1本の長尺の支持バー32と、支持バー32上に摺動自在に嵌合する、複数の支承金具33とから成るものであって、図4(A)は、吊金具の全体斜視図であり、図4(B)は使用状態の縦断側面図、図4(C)は使用状態の横断面図である。
【0080】
受金具31は、図4(A)に示す如く、縦長孔のねじ孔H31を備えた両側の当接辺31aから前面に屈曲突出する両側辺31bによって、支持辺31cを15mm突出形成した、1.5mm厚のステンレス鋼板の屈曲加工物であって、幅w31が15mm、高さh31が40mm、長さL31が101.5mmである。
そして、支持辺31cの幅中央には、上端から、幅3.2mm、深さ20mmの嵌合溝31dを備えて、支持バー32を嵌合するものである。
【0081】
支持バー32は、厚さ3mm、上下幅w32が25mmで長さが666mmのステンレス平鋼板であって、一端から53mmの位置に、ボルト螺入用のねじ孔H32を配置したものである。
また、支承金具33は1.5mm厚のステンレス鋼板の屈曲加工品であって、幅w33が40mmで、中央垂直辺33aの両側から長さL33が34mmの側辺33bを前方に突出した、上面視コ字状形であって、図4(C)の如く、両側辺33bが、2本の縦パイプ22を介在して縦パイプ22間に挿入するものである。
【0082】
そして、図4(A),(B)に示す如く、両側辺33bは、中央垂直辺33aと同一レベルの上端に、前端fから中間部位にかけて、下底が13mm、上底が8mm、高さが8mmの前後対称形の台形突起33cを備え、両側辺33bの下端には、台形突起33cの中央に整合して、幅3.2mm、深さ13mmの嵌合溝33dを垂直に備え、両側辺33bの下端の、嵌合溝33dと中央垂直辺33aとの間には山形切欠33fを備え、中央垂直辺33aの下縁からは、縦パイプ22への当接用に、下方に2個の山形突起33eを内方への緩傾斜(標準:3°)で備えた、総高さh33が28mmのものである。
【0083】
従って、本実施例の吊金具30にあっては、受金具31は、両側柱71の界板78の前側と後側の内面に、上下位置調整の下にねじ固定出来、長尺の支持バー32は、両側の受金具31の嵌合溝31dに嵌合して、両側受金具31間に差渡し保持出来、支承金具33は、両側辺33bの嵌合溝33dで支持バー32の上面から嵌合して、支持バー32上を左右摺動出来るものであって、各支承金具33を支持バー32上ごとに、適宜間隔で適数個(標準:2個)配置出来るものである。
【0084】
そして、図4(C)に示す如く、前側の支持バー32に嵌合する前側の支承金具33は、内側パネル202の内側から両側辺33bを、縦パイプ22の2本を介在して縦パイプ22間に挿入すれば、図4(B)に示す如く、支承金具33の台形突起33cが、外側パネル201の上側横パイプ21bと内側パネル202の上側横パイプ21eとを支承し、支持バー32に嵌合した支承金具33が2枚重層形態の放熱パネル2f(2r)を、水平撓みを生ずることなく均斉に支承出来るものである。
【0085】
〔固定金具34(図7(D))〕
固定金具34は、1.5mm厚のステンレス鋼板製であって、図7(D)に示す如く、平坦板34eの基端b34近傍にねじ挿入用孔H34を、先端f34近傍の中央には、幅5mm、長さ25mmの水抜き孔34bを長手方向に備え、先端部位の両側には、外側パネル201の外端縦パイプ22と内側パネル202の外端縦パイプ22に対応配置した、径14mmの円弧開口34aを備えた形状であって、総長さL34が62mm、基端幅D34が15.5mm、先端f34側の総幅w34が42.5mmの板金加工品である。
【0086】
従って、固定金具34は、図7(A),(C)に示す如く、柱71の内面に固定したドレンパン受47の取付用当接辺47aの上端に配置した、内方へ下降傾斜し、中央に縦長の長孔H47を備えた受片47eの上面に、平坦板34eの基端部位を載置して、平坦板34eのねじ挿入用孔H34と、ドレンパン受の受片47eの長孔H47とを介して、円弧開口34aが両側の対応縦パイプ22に嵌合した状態で、受片47eにねじ固定すれば、外側パネル201と、内側パネル202との対応外端縦パイプ22の前後左右揺動が抑制出来、固定金具34上の結露水は、傾斜面に沿って内側、即ち放熱パネル2f(2r)の外側端から内側へ流れ、水抜き孔34bから下側横パイプ21c,21f間に流下する。
【0087】
〔幅止め具51(図5(A),(B))〕
幅止め具51は、放熱パネル2f,2rの上下適所に、上下間隔(標準:500mm)配置して、放熱パネル2f,2rの、外側パネル201と内側パネル202の全縦パイプ22を、放熱パネル2f,2rの全幅横断形式で拘束して、全縦パイプ22相互の位置関係を確保して、放熱パネル2f,2rに剛性を付与するものであり、図5(A)は、幅止め具51の使用状態の縦断側面図であり、図5(B)は幅止め具51の平面図である。
【0088】
幅止め具51は、耐衝撃性、耐熱性、耐薬品性に優れたABS樹脂の射出成形品であって、総高さh51が7.5mm、幅w51が41.5mm、長さL51が200mmの断面山形状で、肉厚5mmの中央頂部t51から肉厚2.5mmの両側縁へ、上面51aも下面51bも、下降傾斜の水勾配を備え、両側縁には、図5(B)に示す如く、開口51cを備えた円弧弾性クリップ51e群を、放熱パネルの縦パイプ22群に対応配置したものである。
【0089】
そして、円弧弾性クリップ51eの開口51cは、図5(B)に示す如く、円弧突片51fを備え、各円弧突片51f間には切開二股51gを配置して、各円弧突片51fの弾揆性の均斉を図り、直径14mmの円弧内面cfには、縦パイプ22の外周への当接応力増大のための係止用突条SP(標準:1mm突出)を、2条、間隔(標準:80°)配置したもので、1本の長さ200mmとし、長手方向の、前端の嵌合用突起51pと、後端の嵌合穴51hとを嵌合して、長さ方向に複数本嵌合連結して所要長とするものであって、放熱パネル2f,2rへの嵌合は、図5(B)に示す如く、縦パイプ22の外表面fsが円弧弾性クリップの最外面fcよりも外方に突出した位置を占める寸法関係としたものである。
【0090】
従って、幅止め具51は、図5(A)に示す如く、放熱パネル2f,2rの外側パネル201と内側パネル202の対向面間隔gP内に挿入して、両側縁の円弧弾性クリップ51e群を両側の対向放熱パネルの縦パイプ22群に弾揆嵌合すれば、1本の幅止め具51が、その嵌合位置で、前後2枚のパネル201,202の全縦パイプ22の相互位置関係を拘束し、外側パネル201と内側パネル202との全縦パイプ22の相互位置関係を拘束し、幅止め具51の結露水は、上下の水勾配によって側方へ誘導して、縦パイプ22の外周から下方に導水出来るものである。
尚、円弧弾性クリップ51eが縦パイプ22を弾揆把持した際に、小突条SPが円弧内面cfと縦パイプ22外周面との間に、小隙間51kを形成するが、該隙間51kは、結露水の流下を促進する。
【0091】
〔連結具52(図5(C)〜(F))〕
連結具52は、放熱パネル2f,2rの両側適宜位置に上下間隔(標準:500mm)配置して、外側パネル201と内側パネル202の対向外端縦パイプ22相互を拘束して、放熱パネル2f,2rの両側縁の剛性を増大するものであって、図5(C)は使用状態正面図、図5(D)は使用状態側面図、図5(E)は使用状態横断面図、図5(F)は連結具52の平面図である。
【0092】
即ち、連結具52は、図5(F)に示す如く、傾斜連結板52bの両端に、外向きの円弧弾性クリップ52eを備えたものであって、図5(F)に示す如く、外側パネル201と内側パネル202との最外端の縦パイプ22とを連結一体化するものである。
【0093】
連結具52は、PP樹脂の肉厚2mmの成形品であって、円弧弾性クリップ52eは、外径R52が16mm、高さh52が16mmで、切欠開口52cは開口幅5.3mmであって、開口端には、円弧中心線から25°角で拡大する0.5mm幅の案内用エッジ52fと、エッジ52fから引続いて、45°角で拡開する小口辺52gとを備え、両端の円弧弾性クリップ52eは、図5(C)に示す如く、水勾配を備えた傾斜連結板52bで一体化しており、連結板52bの長さL52は、拘束する前後2枚の放熱パネルの、対応外端縦パイプ22に嵌合係止可能の寸法(標準:45.3mm)である。
そして、傾斜連結板52b、両側の円弧筒52aの上下面端縁には、慣用の面取り部52dを付与する。
【0094】
従って、図5(C)〜(E)に示す如く、該連結具52を外側パネル201の外端縦パイプ22と内側パネル202の対応縦パイプ22を嵌合拘束すれば、連結具52が、外側パネル201と内側パネル202の2枚のパネルの外端縦パイプ22相互の揺動を阻止するため、暖房時は、外側パネル201に供給される加熱水が外側縦パイプ22に直行流下するが、外側パネル201の外端縦パイプ22は、熱変位屈曲が抑制され、放熱パネル2f(2r)の外観低下は避けられる。
【0095】
また、冷房時にあっても、放熱パネル2f(2r)の側縁での連結具52による保形性維持は、放熱パネルの結露水のドレンパン4内への流下を保証する。
そして、連結具52自体も、円弧弾性クリップ52eが、外端で縦パイプ22外端面を露出して、縦パイプ22外周の流下導水を許容すること、円弧筒52aが面取り部52dを備えていること、及び傾斜連結板52bが水勾配と面取り部52dを備えていることにより、結露水を、平滑に縦パイプ22外周へと流下させる。
【0096】
〔結露受53(図6)〕
結露受53は、肉厚2mmのABS樹脂成形品であって、図6(B)に示す如く、外径R53が16mmで5.3mm幅の開口53cを備えた、高さh53が11mmの円弧筒53aの開口53cの反対側に、直角三角形板53bを、水平上辺53hが、円弧筒53aの上端より段差d53(標準:1.5mm)上位となるように一体化し、斜辺53sを円弧筒53aの側面下部に集束したものである。
【0097】
そして、結露受53は、上側横パイプの外端からの結露水を外端の縦パイプ22に誘導するものであるため、外側パネル201に適用するものと、外端縦パイプ22が外側パネル201より内となった内側パネル202に適用するものとは、三角形板53bの水平上辺の突出長のみが相違し、図6(B)に示す如く、外側パネル201用の結露受53は、水平上辺53hの側方突出長hLが9.5mm、内側パネル202用の結露受53は、水平上辺53hの側方突出長hL´が19.5mmである。
【0098】
〔ドレン機構(図7)〕
ドレン機構は、界板78の、前側に配置する前側放熱パネル2fと、後側に配置する後側放熱パネル2rそれぞれに対応配置して、界板78の、前側域で発生する結露水は、前側ドレン機構で処理し、後側域で発生する結露水は、後側ドレン機構で処理するものであり、前側と後側の、各ドレン機構は同一構造であって、界板78に面対称の構造であり、図7(A)は使用状態の横断面図、図7(B)は使用状態の縦断側面図、図7(C)は使用状態の縦断正面図、図7(D)はドレン機構に付設して、放熱パネル2f(2r)の下部の前後左右動を規制する固定金具34の斜視図であり、図7(E)はドレンパン受47の斜視図である。
【0099】
ドレン機構は、両側の柱71の内面にねじ固定するドレンパン受47と、両側ドレンパン受47間に差渡し形態で載置するドレンパン4と、ドレンパン4からの排水手段とを含むもので、ドレンパン4は、耐薬品性、難燃性、耐侯性を備えた、2mm厚の塩化ビニル樹脂製であって、全体形状は、図7(A),(B)に示す如く、上面幅L41が100mm、長さが640mm、高さh41が30mmで、幅が30mmの平坦底辺41aの前側からは幅36mmの傾斜矩側辺41eが、後側からは幅58.5mmの傾斜長側辺41dを配置し、平坦底辺41aの中央部からは、外径13mm、肉厚1.6mm、長さ24mmのドレンパイプ43を、下方に融着突出し、長手方向の両端は小口板41cを配置し、外周面には4mm厚の断熱シート42を層着したものである。
【0100】
ドレンパン受47は、図7(E)に示す如く、1.5mm厚のステンレス鋼板の加工品であって、両側支持体71の内面に当接固定するための異形多角形の当接辺47aを備え、当接辺47aは、ドレンパン4を載置当接させるための、下端縁ebから直交突出した水平辺47bと、ドレンパン4の傾斜長側辺41dを当接させるための当接辺47aの下側傾斜縁esから直交突出した傾斜辺47cと、上縁etから内方に下降傾斜突出し、中央に調整取付用の長孔H47を備えた舌片状の受片47eと、垂直側縁evから内方へ突出した化粧板47fを支持するための垂直辺47dとを、それぞれ内方に突出し、当接辺47aの上下方向中間の左右部位には、柱71に調整可能に固定するためのねじ挿入用孔H47を縦長孔の形態で備えたものである。
【0101】
また、ドレンパン受47の受片47eに配置するための固定金具34は、図7(D)に示す如く、1.5mm厚のステンレス鋼板製であって、全体形状は、基端幅D34が15.5mm、先端幅w34が42.5mm、長さL34が62mmで、幅D34が15.5mmの矩形板形状の平坦板34eの、長さ方向中間部から先端部にかけて、両側縁には、縦パイプ22嵌合用の円弧開口34aを、外側パネル201の外端縦パイプ22と、内側パネル202の外端縦パイプ22とに対応するように、即ち、平面視で、図7(A)に示す如く、一側の円弧開口34aと他側の円弧開口34aとが長手方向に段差を有する形態に、両側の円弧突片34dで形成し、中間部から先端部にかけての幅中央には、幅5mm、長さ25mmの水抜き孔34bを形成し、基端部位にはねじ挿入用孔H34を備えたものである。
【0102】
〔冷暖房放熱パネルシステムの構築(図1)〕
冷暖房放熱パネルシステム1の構築は、左右方向は、両側柱71間、上下方向は、床面8から天井面9、前後方向は、両側柱71の厚さw1で、前後中間に立設した界板78の前側域と後側域との、予め形成した配置空間の下部へのドレン機構の配置施工と、ドレン機構の上部への放熱パネル2f(2r)の配置施工と、天井内配管の放熱パネル2f,2rへの配管施工とで実施するものであり、高さh2が2280mmの放熱パネル2f(2r)は、下端は、下側床面8と70mmの間隔を保って、ドレンパイプ4の上面から20mm上方位置とし、上端は、天井面9より150mm下方位置とし、前後共開放し、界板78と間隔(g2)30mmを保って、界板78の前側と後側に配置する。
【0103】
〔ドレン機構の構築(図7)〕
図7(B)に示す如く、両側柱71間中央で、床面8から5mm突設した排水パイプ45に、ドレンパイプ43を挿入し、ドレンパン4の平坦底辺41aの下面の断熱シート42と床面8とが15mmの空気流通用の隙間を保持する形態となるように、両側柱71の内面71dに、ドレンパン受47を、当接辺47aの調整用縦長孔H47を介してねじ固定し、ドレンパン4を、両端小口板41cと柱内面71dとの間隔15mmを保って、ドレンパン受47上に配置する。
そして、図1(C)に示す如く、界板78の前後のドレンパン4対応の配管は接続して1本の排水パイプ45として床下内を配管し、ドレンパイプ43と接続する排水パイプ45には、慣用の保温材46被覆する。
【0104】
また、図7(A)に示す如く、上部に幅20mmの傾斜アンカー片47hを、下部に幅15mmのアンカー片47gを備えた、幅105mm、長さ668mmの化粧板47fを、両側のドレンパン受47の垂直辺47dに当接してねじ固定で配置し、ドレンパン4及びドレンパン受47に載置固定した取付金具34を隠蔽して美観を保持すると共に、化粧板47fの取外しで、ドレンパン4の掃除のための取外しを可能とする。
【0105】
〔放熱パネル2f(2r)の配置(図1)〕
界板78の、前側の放熱パネル2fも後側の放熱パネル2rも同一構造配置である。
即ち、放熱パネル2fは、下側横パイプ21c,21fがドレンパン4の上方20mm位置となるように、且つ、両側端が柱内面71dと30mmの間隔(g2)を保持し、後面が界板78と30mmの間隔(g2)を保持するように、前後の上側横パイプ21b,21eを、図4(B)に示す如く、吊金具30手段で支承し、支持バー32の一端部位から突出したねじピン32aを、外側パネル201の外端縦パイプ22と2本目の縦パイプ22間に前面から挿入しておく。
【0106】
この場合、放熱パネル2fの、上下位置の微調整は、受金具31の当接辺31aの上下方向長孔H31を介したねじ31eの支持体71への調整固定で、左右位置の微調整は、支持バー32の受金具31に対する摺動調整である。
また、放熱パネル2fの下方部位は、図7(A)に示す如く、左右一対の固定金具34を、外側パネル201と内側パネル202とのパネル間隔gPに対応配置して、両側の円弧開口34aを、外側パネル201の外端縦パイプ22と内側パネル202の外端縦パイプ22とに係合し、放熱パネル2fの前後左右揺動を抑制する。
そして、放熱パネル2fの下方部位での左右位置微調整は、ドレンパン受47の受片47eの、柱面に対する前後方向の、長孔H47を介した固定金具34のねじ34cの締着位置調整で実施する。
【0107】
そして、図5(B)に示す如く、幅止め具51を、両側の円弧弾性クリップ51e列の、外側パネル201の縦パイプ22群列と内側パネル202の縦パイプ22群列への嵌合で、外側パネルと内側パネルの全縦パイプ22相互の前後左右揺動を規制し、幅止め具51を上下間隔500mm保って適宜配置して放熱パネル2fに剛性を付与する。
尚、支持バー32の下方50mm以上の間隔を保って幅止め具51を配置すると、冷気がスムーズに下降し、支持バー32への結露が両端にまで及ぶことなく、受金具31での結露は発生しない。
【0108】
また、放熱パネル2fに対して、連結具52も、上下500mm間隔で、図5(E)に示す如く、外側パネル201の外端縦パイプ22と内側パネル202の外端縦パイプ22とに嵌合して、両パネルの外端を連結一体化して剛性を付与する。
外側パネル201の供給口25からの加熱水が最初に流入する外端縦パイプ22は、加熱軟化して弯曲変形し易いが、連結具52で内側パネルの加熱変形の怖れの無い外端縦パイプ22と連結一体化することで、外側パネル201の外端の屈曲変形が阻止出来て、放熱パネル2fの外側パネル201は、両側が均斉外観となる。
【0109】
また、放熱パネル2fの、外側パネル201の両側端の縦パイプ22上端にも、内側パネル202の両側端の縦パイプ22にも、図6(A),(C)に示す如く、縦パイプ22の上端に結露受53を嵌合配置する。
この場合、外側パネル用の結露受、即ち、突出水平上辺53hが9.5mm長は外側パネル201に、水平上辺53hが19.5mm長は内側パネルに適用して、水平上辺53hを、上側横パイプ21b,21eの先端下面に当接する。
尚、内側パネル202にあっては、上側横パイプ21eの上方に水流反転パイプ21dが存在するが、内側パネルにあっては、上側横パイプ21eと水流反転パイプ21dの上下の、連通パイプ23a及びスペーサーパイプ23にも、図6(A),(C)の如く、結露受53を施せば、水流反転パイプ21dの先端の結露水は、下方の上側横パイプ21e上に、平滑に誘導流下出来る。
【0110】
〔配管施工(図1)〕
天井配管として、図1(B)に示す如く、サプライ管61とリターン管62を、慣用の独立気泡ニトリル系合成ゴム製保温材65で被覆し、天井仕上材91を貫通形態で天井面9からおのおの垂下し、外側パネル201の上側横パイプ21bの一端から突出した供給口25と、内側パネル202の上側の水流反転パイプ21dの他端から突出した排出口26とを、おのおの慣用の接続金具63で接続する。
この場合、供給口25と排出口26とが左右に分離しているため、配管接続作業が容易である。
【0111】
〔冷暖房放熱パネルシステムの使用(図1)〕
本実施例で構築した冷暖房放熱パネルシステム1を運転したところ、細くて長尺の縦パイプ22の並列密集した保形性の乏しい柵状放熱パネル2f(2r)は、上下500mm間隔で配置した幅止め具51と、上下500mm間隔で配置した両側端の連結具52とにより、構成各縦パイプ22の前後、左右の揺動変位が抑制出来、放熱パネル2f(2r)は、上面視で、上下に亘ってドレンパイプ4内に垂下した形態の下に、放熱パネル2f(2r)の熱伸縮にも吊下げ支持で対応し、外側パネル201と内側パネル202とは、正面視で外側パネルの各縦パイプ22間に内側パネルの各縦パイプ22が露見しているために、内側パネル202の裏側に界板78の熱輻射波の反射層(アルミ箔78e)が存在することと相俟って、界板78の、表側の放熱パネルシステムも、裏側の放熱パネルシステムも、輻射熱線が、開放前面からロス無く冷暖作用に利用出来た。
【0112】
また、冷房時にあっては、放熱パネル2f(2r)の支持体71との接続部である上部の吊金具30手段では、支持バー32と、最上部の幅止め具51との間隔が50mm離れているため、冷気降下がスムーズとなって、支持バー32の両端部位には、過酷な条件下でも、結露水の発生は無く、受金具31での結露水の発生はなかった。
また、下部の固定金具34にあっても、ドレンパン受47の上面に、内側に傾斜降下する形態での配置であるため、自体に発生する結露水は、平滑に流下して水抜き孔34bから下側横パイプ21cと21f間を介してドレンパン4内に流下した。
【0113】
また、冷房運転時には、放熱パネル2f(2r)の全周、及び放熱パネル2f(2r)への配管61,62の露出した接続部位、に結露を発生したが、配管接続部位の結露水は、上側横パイプ21b,21e及び水流反転パイプ21d上に流下し、水流反転パイプ21dの両端からは、連通パイプ23a及びスペーサーパイプ23に配置した結露受53により、上側横パイプ21e上に流下し、上側横パイプ21b,21eの両端からは、外端縦パイプ22上に配置した結露受53により縦パイプ22の外周に誘導し、水流反転パイプ21dの全長に亘る結露水は、近接した上側横パイプ21e上に流下し、上側横パイプ21b,21eの全長に亘る結露水は、縦パイプ22群に流下した。
そして、縦パイプ22群の外周を流下する結露水は、下側横パイプ21c,21fの結露水と共に、ドレンパン4内に流下した。
【0114】
そして、縦パイプ22群の外周に嵌合して、縦パイプ22外周の流下水を遮る形態の幅止め具51も、連結具52も、縦パイプ22の外端面を露出する形態での嵌合であるため、縦パイプ22の外周に沿った結露水流下を許容し、放熱パネル2f(2r)に生ずる全結露水は、ドレンパン4に完全に集水出来、ドレン機構で、問題なく処理出来た。
また、幅止め具51を配置した部位では、外側パネル201と内側パネル202との間の間隔gP(18.5mm)の空気の上下流動を遮断したが、該間隔gPの空気流は、側方の狭い縦パイプ間隔gB(7mm)から強制的に外方へ流出して、幅止め具51の上下で空気流を撹拌し、外側パネル201及び内側パネル202周囲の空気粘性膜の撹拌によって熱対流を促進した。
【0115】
従って、本発明の冷暖房放熱パネルシステムは、結露導水機能を備えた幅止め具51や、連結具52や結露受53等の、結露対策用の新規開発部品を採用して、結露水の発生を許容する冷暖房システムとし、放熱パネル2f(2r)を支持する吊金具30手段や、固定金具34も結露対応構成とし、両側の支持体71の立設可能部位には自在に配置可能としたため、汎用性に富み、表側にも裏側にも高効率の輻射熱冷暖房併用を奏するものとなった。
【0116】
しかも、界板78の表側にも裏側にも、同一構成、且つ同一機能を奏する冷暖房放熱パネルシステムが別個独立的に存在するため、界板78の表側放熱システムと裏側放熱システムとは、必要に応じて、選択単独運転、又は併用運転出来るものとなり、本発明冷暖房放熱パネルシステムは、建物全体の放熱器の数量を減らすことが出来、配置スペース面からも、配置個数からも有利で、片面稼動の省エネルギー稼動も可能な、実用性の大な、冷暖房システムを提供する。
【0117】
そして、需要者の好みに応じて、冷暖房放熱パネル2f(2r)の全面、若しくは一部に、有孔板や、熱輻射波を透過する、プラスチック板や、パンチングメタルやメッシュ(金網)などを張設すれば、意匠性にも、安全性にも、優れた冷暖房装置となる。
また、本発明の冷暖房放熱パネルシステムは、従来の、室内に冷暖房システムを配置する際の、最も重要、且つ困難な結露対策、即ち、結露防止用の、複雑且つ困難な保温材被覆等の作業からも開放され、施工容易な、室内空間配置の自由度の高い冷暖房放熱パネルシステムを提供する。
【0118】
〔その他(図8)〕
図8は、放熱パネル2f(2r)の下側横パイプでの変形例であって、図8(A)は放熱パネル下端の縦断側面図、図8(B)は放熱パネル下端の縦断正面図である。
該変形例は、図8に示す如く、外側パネル201の下側横パイプ21c及び内側パネル202の下側横パイプ21f内に、流水抵抗体として、圧縮スプリング等、コイルスプリングのコイルピッチが縦パイプ22群の中心間寸法に近似の、且つスプリング外径も横パイプ21e(21f)の内径に近似の、太さ1.6mm鋼線で、外径17mmのスプリング21rを下側横パイプ21c(21f)の全長に亘って挿入介在させる。
【0119】
該介在スプリング21rは、下側横パイプ21c(21f)内の横流水fhに螺旋乱流を付加して縦パイプ22中の上昇流fvとなる。
この場合、下側横パイプ21c(21f)の内周面には横流fhとの間に介在して熱伝達に抵抗する境膜を乱流によって剥離するため、放熱量が向上すると共に、全縦パイプ22群への確実な流入となる。
尚、左右長さ890mm、上下長さが2150mmの放熱パネルを用い、40℃の送水で、スプリング21rの有無を比較温度測定した結果、スプリング無しの場合、外側パネル201の表面温度は35℃、内側パネル202の表面温度は32.5℃であり、スプリング介在の場合、外側パネル201の表面温度は37.5℃、内側パネル202の表面温度は35℃と、外側、内側両パネル共、2.5℃上昇の結果が得られた。
【符号の説明】
【0120】
1 冷暖房放熱パネルシステム
2f 前側放熱パネル(放熱パネル)
2r 後側放熱パネル(放熱パネル)
3 取付金具
4 ドレンパン
7 固定枠
8 床面
9 天井面
21b,21e 上側横パイプ
21c,21f 下側横パイプ
21d 水流反転パイプ
21r 抵抗体(コイルスプリング)
22 縦パイプ
23 スペーサーパイプ
23a 連通パイプ
24 小口止め
24a 仕切板
25 供給口
26 排出口
30 吊金具
31 受金具
31a,47a 当接辺
31b,33b 側辺
31d,33d 71c,78d,79f 嵌合溝
32 支持バー
33 支承金具
33a 中央垂直辺
33c 台形突起
33e 山形突起
33f 山形切欠
34 固定金具
34a 円弧開口
34b 水抜き孔
34d 円弧突片
41a 平坦底辺
41c 小口板
41d 傾斜長側辺
41d 傾斜矩側辺
42 断熱シート
43 ドレンパイプ
45 排水パイプ
47 ドレンパン受
47b,79a 水平辺
47c 傾斜辺
47d,79b 垂直辺
47e 受片
46,65 保温材
51 幅止め具
51a 上面
51b 下面
51c,52c,53c 開口
51e,52e,53e 円弧弾性クリップ
51f 円弧突片
51g 切開二股
52 連結具
52a,53a 円弧筒
52b 傾斜連結板
52f,53f 案内用エッジ
52g,53g 小口辺
53 結露受
53b 三角形板
53h 水平上辺
53s 斜辺
61 サプライ管
62 リターン管
63 接続金具
71 支持体(柱)
72 等辺アングル片(下側固定具)
75 仮止め材
78 界板
78a 下端押縁
78e アルミ箔(反射層)
79 鞘管
79c 上端押縁
201 外側パネル
202 内側パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10