【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の冷暖房放熱パネルシステムは、例えば
図1に示す如く、床面8から天井面9に亘る両側支持体71間に、支持体71の幅中央を差渡し形態で、床面8から天井面9に亘って、表裏が熱輻射波の反射層(78e)である剛性面板の界板78を配置し、両側支持体71間の空間内で、界板78の表側及び裏側に、保形性の乏しいプラスチック樹脂製の柵状放熱パネルである前側放熱パネル2f及び後側放熱パネル2rを、上部は、吊金具30で前後左右動を規制して吊下げ支承し、下部は、固定金具34で前後左右動を規制し、各放熱パネル2f,2rの下面にはドレンパン4を配置したもので、放熱パネル2f,2rは、共に、上側横パイプと下側横パイプ間に縦パイプ群を並列連通配置した、外側パネル201と、内側パネル202との2枚の放熱パネルを、各パネルの対向面間隔gPを保って重層一体化連通し、放熱パネル2f,2rの一端上部には供給口25を、他端上部には排出口26を突出したものであり、冷温水供給用の、サプライ管61を放熱パネル2f,2rの上側一端の供給口25に、リターン管62を放熱パネル2f,2rの上側他端の排出口26に接続したものである。
【0014】
この場合、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとは、同一物であるのが好ましい。
また、両側支持体71は、放熱パネルの配置区画を規定し、且つ、界板78を確保し、放熱パネル支持用の金具類を取付けるものであって、必要強度を有する間仕切の開口部端面でも良く、間仕切端面と立設柱との併用でも良いが、典型的には、
図3に示す如く、両側に支持体71としての柱を備えた固定枠7を採用する。
そして、両側の支持体71を、固定手段で実施すれば、予め剛構造に構築した固定枠の配置が自在となり、両側支持体71の立設配置が容易となる。
【0015】
また、柵状放熱パネル2f,2rを支持する両側の支持体71の固定は、居間空間内の所望位置に、規定の支持体間寸法を保って、且つ両側支持体71間の幅中央に界板78を剛構造に保持出来れば良いが、典型的には、両側支持体は、アルミ金属製の支持体(柱)71であって、
図3(A)に示す実施例の如く、両側の柱間の内面の嵌合溝71c間に界板78を嵌め込んで、両端に支持体71への嵌合用鞘管79を備えた上端押縁79cを界板78の上端に、両側柱間に亘る下端押縁78aを界板78の下端に嵌めて、両側支持体71と、差渡し形態の界板78とを一体化して、下部には、仮止め材75で固定して、両側の支持体71及び界板78を剛構造枠とした後、両側の支持体71の床及び天井への剛構造固定後に、下部の仮止め材75を取外せば良い。
【0016】
また、界板78は、アルミニウム金属平板でも良いが、典型的には、構造材としての合板の表裏面に、アルミ箔(78e)を張着したものである。
また、2枚の放熱パネルを重層一体化した保形性の乏しいプラスチック樹脂製放熱パネル2f,2rは、上端の、一端には供給口25を、他端には排出口26を備え、冷温水が、供給口25から流入して排出口26から流出する間に、放熱パネル全面に熱交換すれば良く、典型的には、
図2の実施例に示す如く、上側横パイプと下側横パイプ間に多数の縦パイプ22群を連通した同一放熱構造の外側パネル201と内側パネル202の2枚を、重層形態で連通一体化し、内側パネルには、上側横パイプ21e上方に、水流反転パイプ21dを配置して、外側パネル一端の供給口25からの流入水を内側パネルの他端の排出口26から流出させ、放熱出力を増加させたものである。
そして、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rの供給口25及び排出口26へのサプライ管61及びリターン管62の接続は、慣用の、配管と接続金具とで、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとを、別個独立的に実施すれば良い。
【0017】
また、吊金具30は、保形性の乏しい柵状放熱パネル2f,2rを水平撓み無く吊下げ保持出来れば良く、両側の支持体71から支持バーを、片持ち梁形式で突出して放熱パネルの複数間隔位置を支承しても良いが、典型的には、
図4(A)の実施例の如く、界板78の表側と裏側で、支持バー32を、支持体71間に差渡し保持して、支持バー32上に複数個の支承金具33を摺動自在に嵌合し、支承金具33で重層形態の、前側放熱パネル2fは界板78の前側で、後側放熱パネル2rは界板78の後側で支承する。
【0018】
また、固定金具34は、放熱パネル2f,2rの下部両側端の左右動及び前後動が規制出来れば良く、放熱パネル2f,2rの外端を把持する機能を備えたものを、内側の支持体71の内面に対向配置しても良いが、典型的には、
図7(D)の実施例に示す如く、ステンレス鋼板の打抜き板材で、平坦板34eの後端にはねじ挿入用孔H34を、前端には、中央の水抜き孔34bと両側の円弧開口34aを備え、支持体71に取付けたドレンパン受47の上端の下降傾斜受片47eに平坦板34eの後端をねじ挿入用孔H34を介して、ドレンパン受47の受片47eの前後長孔H47と調整固定し、両側の円弧開口34aを、外側パネル201の外端縦パイプ22と、内側パネル202の外端縦パイプ22に嵌合して、外側パネル201と内側パネル202の、外端の縦パイプ22を把持一体化する。
【0019】
また、ドレンパン4の配置は、慣用の手法で実施すれば良く、ドレンパン4の表面積が、上面視で、柵状放熱パネルの断面形状を収容するスペースであれば良く、典型的には、
図7に示す如く、各柵状放熱パネル2f,2rの下端でドレンパン4が外周及び底面に断熱シート42を備え、底面の断熱シート42面と床面8とが空気流通間隔g4を備えた形態で、ドレンパン受47に着脱自在に載置するものである。
この場合、放熱パネル2f,2rは、上部も下部も前後動及び左右動が規制されて吊下げられているため、放熱パネル上の結露水の床上への飛散は抑制出来る。
【0020】
従って、本発明の冷暖房放熱パネルシステムにあっては、両側の支持体71の固定可能な位置への配置が可能であり、室内の仕切壁と直交形態の配置も、大空間の室内スペースの適所への独立配置も自在となる。
そして、前側の放熱パネル2fも後側の放熱パネル2rも保形性の乏しい放熱パネルであるが、上部と下部が、前後左右動の抑制された形態であるため、前後の放熱パネル2f,2rからの結露水は、適正に、対応ドレンパン4によって処理出来、従来例1,2の如き、結露水による床面汚染は生じない。
【0021】
そして、保形性の乏しいプラスチック樹脂製放熱パネルであっても、前後左右動の抑制によって、放熱パネルの部分変位による放熱斑も抑制出来る。
また、冷温水供給用管と接続した供給口25と排出口26が、放熱パネル2f,2rの上側の両端に対称形に存在するため、露見する放熱パネル2f,2rは、前側放熱パネル2fの正面から見ても、後側放熱パネル2rの正面から見ても、左右均斉で、安定感のある、高性能を想起させる機能美を呈する。
しかも、プラスチック樹脂製特有の熱伸縮も、吊下げ形態支持によって吸収出来て、放熱パネルの放熱斑を生ずるような弯曲変位は抑制出来る。
【0022】
しかも、放熱パネルシステム1は、前側放熱パネル2fも、後側放熱パネル2rも、共に2枚パネルの重層体であるが、幅中央の界板78が、放熱パネル2f,2rの支持材(体)に対する補強機能を奏し、その配置域も、両側支持体71間で規定された空間内、即ち、左右寸法は両側の支持体71間寸法、前後寸法は支持体71の前後厚さ、上下寸法は床面8から天井面9までの寸法、のスペースであるため、放熱パネルシステムの構成部材は、支持体71間スペースに安定形態で収まって、前後左右へも突出が無く、高齢者や子供にも、安全な冷暖房放熱パネルシステムとなる。
【0023】
また、本発明の冷暖房放熱パネルシステムにあっては、前側放熱パネル2fも後側放熱パネル2rも、
図2に示す如く、共に、上側横パイプと下側横パイプ間に、縦パイプ群を並列連通配置した外側パネル201と、内側パネル202との2枚のパネルを、各パネル201,202の対向面間隔gPを保って重層一体化連通し、放熱パネル2f,2rの一端上部には供給口25を、他端上部には排出口26を突出させた構成も、必須要件としている。
【0024】
この場合、外側パネル201と内側パネル202とは、縦パイプ22の寸法、配列間隔及び上下横パイプ寸法を同一とすれば、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rの製作も合理化出来る。
また、外側パネル201と内側パネル202間の間隔gPは、放熱パネル2f,2r内部の空気の上昇又は下降流を保証するものであり、間隔gPが小さい程、放熱パネル2f,2rは薄型化出来るが、間隔gP内の空気流の保証も、放熱効率上必要であり、典型的には、パネル間の間隔gPは18.5mmである。
【0025】
また、放熱パネル2f,2rは、外側パネル201と内側パネル202との2枚重層形態の下で、一端上部に供給口25を、他端上部に排出口26を配置するが、この場合、供給口25からの流入水が全縦パイプ22を流水して排出口26から流出するように、各パネル201,202の経路内に、それぞれ、通水仕切板を適切に配置すれば良く、典型的には、
図2に示す如く、外側パネル201の上側横パイプ21bの右側に仕切板24aを、内側パネル202では、上側横パイプ21eの左側に仕切板24aを配置すると共に、上側横パイプ21e上に、水流反転パイプ21dを平行に配置する。
この場合、水流反転パイプ21dは、直下の上側横パイプ21eと同一物を採用すれば良い。
【0026】
従って、本発明の柵状放熱パネルを用いれば、供給口25と排出口26とが、左右対称配置となるため、慣用の、冷温水供給用の、サプライ管61及びリターン管62との接続位置が左右に離れて、配管接続作業も、結露防止の慣用の断熱材被覆作業も容易となると共に、放熱パネル2f,2rが左右均斉の外観となって機能美を発揮する。
しかも、2枚のパネル201,202間の対向面が、空気の上下流を保証する間隔gPを備えているため、放熱パネル2f,2rは、薄型化の下に高発熱量となり、放熱パネル2f,2rの表裏面が放熱斑の無い、効率の良い放熱作用を発揮する。
【0027】
従って、本発明の冷暖房放熱パネルシステムは、前側放熱パネル2fも、後側放熱パネル2rも、共に、外側パネル201と内側パネル202の2枚重ね形態であること、及び界板78が熱輻射波の反射層として機能するため、居室内の配置部位で、前方スペースに対しても後方スペースに対しても、大出力、且つ等価の、輻射熱冷暖房作用を発揮する。
しかも、界板78の、前側の放熱パネル2fと後側の放熱パネル2rとは、別個独立配置であって、選択稼動による省エネルギー利用も出来るものとなり、家屋内への冷暖房設備の、配置数量及び配置スペースの低減合理化も可能となり、配置位置が支持体71の立設出来る場所でさえあれば自在であることと相俟って、本発明は、配置スペース面でも、稼動面でも、配置数でも、合理化された冷暖房システムを提供する。
【0028】
また、本発明の冷暖房放熱パネルシステムにあっては、
図2(A)に示す如く、放熱パネル2f,2rは、支持体71の内面に対しても、界板78面に対しても、空気の上下対流を保証する間隔g2を保って配置するのが好ましい。
この場合、間隔g2は、対向面間に上下空気流の自然貫流を許容する間隔であって、30〜40mmの間隔であれば十分であり、本発明では、システム全体のコンパクト化の観点から、間隔g2は標準30mmである。
【0029】
従って、本発明冷暖房放熱パネルシステムにあっては、前側の放熱パネル2fも、後側の放熱パネル2rも、共に、界板78とも、両側の支持体71の内面とも、空気の自然対流間隔g2(標準:30mm)を保持しているため、冷房作用時には、放熱パネル2f,2rの外周面が、下降冷気流を受けて、放熱パネル2f,2rの放熱面上の空気粘性滞留膜を分離し、対流熱伝達を促進すると共に、放熱パネル2f,2rの対向面の支持体71内面や界板78面は、空気対流にさらされて結露が発生しない。
また、暖房時にあっても、間隔g2の貫流空気が放熱面上の空気粘性滞留膜を分離して、対流熱伝達を促進する。
【0030】
また、本発明の放熱パネル2f,2rにあっては、内側パネル202は、上側横パイプ21eの上方に、水流反転パイプ21dを平行に備え、外側パネル201と、内側パネル202とは、各縦パイプ22間隔gBが同一であり、且つ、外側パネル201の各縦パイプ22間隔gBの中央に内側パネル202の各縦パイプ22が位置する形態に重層一体化するものが好ましい。
【0031】
この場合、
図2に示す如く、水流反転パネル21dの付加採用は、外側パネル201と内側パネル202との全縦パイプ22の上昇流による熱交換、及び供給口25と排出口26との左右端への分離が簡便に実施出来る。
そして、各パネル201,202の各縦パイプ22間の間隔gBは、単位面積当りの放熱量増大が期待出来、且つ外内2枚のパネル201,202の対向面間隔gP(標準:18.5mm)内の空気の上昇流又は下向流が保証出来る寸法が好ましく、典型的には、縦パイプ22は、外径(RB)が13mmで、各パネル内での縦パイプ22相互の間隔gBは7mmである。
【0032】
従って、前側放熱パネル2fも後側放熱パネル2rも、正面視で、外側パネル201の各縦パイプ22のパイプ間隔(標準:7mm)を、内側パネル202の各縦パイプ22が塞いだ形態となるため、放熱パネル2f,2rは界板78の露見を抑制し、透視不能な目隠し用の仕切板の作用を奏する。
しかも、内側パネル202の全縦パイプが、正面視で、外側パネル201の縦パイプ22の隙間gBから露見するため、各縦パイプ22全てが、放熱パネル2f,2r面からの直交方向の輻射熱線を居室内に放射し、且つ内方への輻射熱線も、界板78での反射で居室内に放射するため、熱効率が向上する。
【0033】
また、本発明にあっては、放熱パネル2f,2rは、
図8に示す如く、下側横パイプ内に、全長に亘って、流水に乱流を発生させるための抵抗体21rを配置するのが好ましい。
この場合、抵抗体21rは、下側横パイプの一端から他端までの平準流水を保証して、定常整流に乱流を付加する部材であれば良く、圧縮コイルスプリングで、コイルピッチが縦パイプ22のピッチと同等、又は近似のコイルスプリングが好ましい。
【0034】
従って、乱流発生抵抗体21rを全長に亘って介在した下側横パイプ21c(21f)にあっては、下側横パイプ内の整流に乱流を付加するため、下側横パイプの内周面の熱伝達に抵抗する境膜が乱流作用で剥離し、通水パイプ内周面の境膜剥離作用は縦パイプ22内にも及んで、通水パイプの熱交換作用が向上し、下側横パイプ21c(21f)内の流水抵抗の増大によって、全縦パイプ22への流入斑も抑制出来ると共に、放熱パネル2f(2r)全体としても放熱量が増大する。
【0035】
また、本発明は、
図1に示す如く、外側パネル201及び内側パネル202の全ての縦パイプ22を、放熱パネル2f,2rの全幅に亘る幅止め具51の嵌合によって、各縦パイプ22相互を位置規制し、外側パネル201の両側端の縦パイプ22と、内側パネル202の両側端の縦パイプ22とを、それぞれ連結具52によって相互一体化連結し、外側パネル201及び内側パネル202の各両側端の縦パイプ22の上端部位には、対応する上側横パイプの外端に下面から当接する結露受53を配置するのが好ましい。
【0036】
この場合、幅止め具51は、外側パネル201と内側パネル202の全縦パイプ22を拘束出来るものであれば良く、放熱パネル2f,2rの全幅に亘る長尺物で、全縦パイプ22を嵌合把持出来れば良く、典型的には、ABS樹脂の射出成形品であって、
図5(A),(B)に示す、両側縁に円弧弾性クリップ51eを、放熱パネル2f,2rの縦パイプ22群に対応する形態に備えて、両側縁で放熱パネル2f,2rの各外側パネル201の縦パイプ22群と内側パネル202の縦パイプ22群相互を拘束出来るものである。
【0037】
また、連結具52は、外側パネル201の外端縦パイプ22と内側パネル202の外端縦パイプ22を拘束するものであれば良く、典型的には、PP樹脂製で、
図5(C)〜(F)に示す、傾斜連結板52bの両端に弾性クリップ52eを配置し、両端の弾性クリップで、外側パネル201の外端縦パイプ22と内側パネル202の外端縦パイプ22とを連結するものである。
また、結露受53は、上側横パイプの外端から結露水を縦パイプ22の外周に案内出来れば良く、典型的には、PP樹脂成形品で、
図6に示す如く、上側横パイプの下面に当接させる三角形板53bを、縦パイプ22に弾揆嵌合する円弧筒53aから突出させたものである。
【0038】
従って、長尺の幅止め具51を、外側パネル201と内側パネル202の上下方向の適所位置に、上下間隔(標準:500mm)を保って配置すれば、幅止め具51の配置位置で、各パネル相互の縦パイプ22が一体化して、放熱パネル2f,2rの前後左右方向の保形性(剛性)が向上し、両側端の連結具52で、2枚のパネル201,202の側端の縦パイプ22、を相互連結一体化すれば、放熱パネル2f,2rの側端部位での保形性が向上する。
そして、放熱パネル2f,2rの上部の横パイプの端部に発生する結露水も、結露受53によって縦パイプ22の外周面に案内出来、放熱パネル2f,2rの保形性向上は、放熱パネル2f,2rからの結露水のドレンパン4内への適正流下を保証する。
この場合、結露受53は、必要に応じて、水流反転パイプ21dの両端下面に適用しても良い。
【0039】
また、幅止め具51は、
図5(A),(B)に示す如く、断面が山形状屈曲で、上面51a及び下面51bが両側縁への下向傾斜を備えた左右対称形状であって、両側には円弧弾性クリップ51e群を備え、各円弧弾性クリップ51eは、外端位置fcから縦パイプ22の外端面fsが突出する形態に、縦パイプ22を弾性保持するのが好ましい。
【0040】
この場合、上面51a及び下面51bの両側縁への下向傾斜は、結露水を両側縁へ流すための水勾配である。
尚、幅止め具51は、放熱パネル2f,2rの適宜位置に配置した際に、幅止め具51自体が滑落阻止機能を発揮する必要があり、典型的には、円弧弾性クリップ51eの内周面に、縦パイプ22を強固に押圧把持するための係止用突条SPを突出(標準:1mm)させる。
【0041】
従って、該幅止め具51の1本を、外側パネル201と内側パネル202間に挿入し、両側縁の円弧弾性クリップ51e群を、外側パネル201の縦パイプ22列と、内側パネル202の縦パイプ22列とに弾揆嵌合すれば、各縦パイプ22は、幅止め具51によって相互の位置関係が規制されるため、放熱パネル2f,2r自体の保形性が増大して、位置規制された縦パイプ22群からは、前後、左右共、放熱斑の無い均斉面放熱が得られる。
【0042】
しかも、幅止め具51からの結露水の流下は、水勾配によって両側縁に案内され、両側縁では、縦パイプ22の外端面fsが露出しているため、幅止め具51からの結露水は、両側縁から縦パイプ22に沿ってドレンパン4に流下し、従来例1,2の如き、結露水の飛散及び床汚染が生じない。
【0043】
また、本発明にあって、連結具52は、
図5(C)〜(F)に示す如く、傾斜連結板52bの両端に、円弧筒52a形態の円弧弾性クリップ52eを備え、円弧弾性クリップ52eの開口52c先端には、案内用エッジ52fと、引続く小口辺52gを備えているのが好ましい。
この場合、開口52cの構造は、典型的には、
図5(F)に示す如く、開口幅が5.3mmで、案内用エッジ52fが開口中心線に対して25°拡開する0.5mm幅の傾斜面であり、小口辺52gが案内用エッジ52fから45°拡開するテーパー面である。
【0044】
従って、
図5(C)〜(F)に示す如く、1本の連結具52で、外側パネル201の外側端の縦パイプ22と、内側パネル202の外側端の縦パイプ22とを連結一体化すれば、放熱パネル2f,2rの側端部位の剛性が向上し、供給口25から温水が直通で流入する側端の縦パイプ22の熱弯曲変位も阻止出来る。
【0045】
そして、円弧筒形態の円弧弾性クリップ52eは、縦パイプ22に対して、初期当接の案内用エッジ52fが平滑な弾性変位を保証し、小口辺52gの薄肉化による開口部位の可撓性の向上と相俟って、縦パイプ22の円弧弾性クリップ52eへの平滑な弾揆嵌入を保証する。
また、各連結具52からの結露水は、傾斜連結板52bの水勾配傾斜によって一方の円弧筒52aに流れ、各円弧筒52aは、開口52cの先端で縦パイプ22の外端面を露出しているため、縦パイプ22に沿って流下する。
この場合、傾斜連結板52b、円弧筒52aの上面及び下面には、慣用の面取り部52dを配置するのが好ましい。
【0046】
また、本発明の結露受53は、
図6に示す如く、円弧筒53aの形態の円弧弾性クリップ53eの開口53cの反対側に、当接水平上辺53h及び斜辺53sを備えた直角三角形板53bを突出し、円弧弾性クリップ53eの開口53c先端には、案内用エッジ53fと引続く小口辺53gを備えているのが好ましい。
【0047】
この場合、円弧筒の形態の円弧弾性クリップ53eは、縦パイプ22に弾揆嵌合するものであって、開口53cの構造は、
図6(B)に示す如く、開口幅が5.3mmで、案内用エッジ53fが開口中心線に対して25°拡大する0.5mm幅の傾斜面であり、小口辺53gが案内用エッジ53fから45°拡開するテーパー面であり、円弧弾性クリップ53e自体は、連結具52の円弧弾性クリップ52eと同一構造である。
【0048】
また、直角三角形板53bは、円弧弾性クリップ53eを側端の縦パイプ22の上端に弾揆嵌合した際に、直角三角形板53bの水平上辺53hが、上側横パイプの先端下面をカバーし、斜辺53sが円弧筒53aの外周に集束する寸法とすれば良い。
また、直角三角形板53bの円弧弾性クリップ53eへの配置位置は、水平上辺53hが円弧筒53aの上端面より段差d53(標準:1.5mm)上方位置とすれば、縦パイプ22の上側横パイプへの溶融接合時に生じた融着隅肉reが存在していても、水平上辺53hは、上側横パイプ下面へ当接出来る。
【0049】
従って、該結露受53は、直角三角形板53bの水平上辺53hが上側横パイプの外端部位の下面に当接するため、結露水が発生する上側横パイプの外端部位の結露水を、斜辺53sで円弧筒の外周に案内し、円弧筒53aから縦パイプ22外周に案内出来る。
そのため、結露水の、上側横パイプの外端部位からの直接落下は阻止出来、放熱パネル2f,2rで生じた結露水は、全て縦パイプ22の案内で、ドレンパン4内に流水出来る。
この場合、円弧筒53a及び直角三角形板53bの上下外周面に、慣用の面取り部53dを付与しておけば、結露水の縦パイプ22外周への誘導が平滑となる。
【0050】
また、本発明の放熱パネル2f,2rの上部を吊下げ形態に支承する吊金具30は、
図4(A),(B),(C)に示す如く、両側の支持体71に、両側の受金具31を縦長ねじ挿入用孔H31でねじ固定し、両側の受金具31間に、一端近傍にねじ孔H32を備えた支持バー32を差渡し嵌合し、支持バー32上の適宜位置に支承金具33を適数個配置して、外側パネル201と内側パネル202の上側横パイプ21b,21eを、支承金具33の上面で当接支承し、柵状放熱パネル2f,2rの、前後動は支承金具33で規制し、左右動は支持バー32のねじ孔H32に螺入したねじピン32aの縦パイプ22間への挿入により規制するのが好ましい。
【0051】
この場合、支持バー32の一端部のねじ孔H32は、調整用に複数個配置しておけば、縦パイプ22間の標準間隔7mmの縦パイプ22間へのねじピン32aの螺入に有利である。
従って、支持バー32を保持する受金具31を、縦長ねじ挿入用孔H31で上下適正位置に固定すれば、放熱パネル2f,2rは、上下適正位置で、上部が前後動及び左右動を規制した形態で、且つ複数の支承金具33の適正配分によって水平撓みの生じない形態で吊下げ支承出来、放熱パネル2f,2rは、居室の空間内で外観の優れた配置となる。
【0052】
そして、支持バー32は、放熱パネル2f,2rとは、各支承金具33を介しての熱橋作用となるため、支持バー32の両側端、及び受金具31には結露が発生せず、放熱パネル2f,2rで発生する結露は、全て縦パイプ22を介してドレンパン4に導水出来るため、本発明は、結露水による床の汚染は全く生じない、居室内冷暖房放熱パネルシステムとなる。
尚、吊金具30の結露実験の結果、支持バー32の両側の放熱パネル2f(2r)からの突出部位には結露の発生しない事を確認した。
【0053】
また、本発明の吊金具30にあっては、
図4(A),(B),(C)に示す如く、支持バー32は、両側の受金具31の嵌合溝31dに、左右微調整自在に嵌合し、支承金具33は、中央垂直辺33aと両側辺33bを備え、縦パイプ22の2本を介在させる両側辺33bの上縁から、前後対称形の台形突起33cを突出し、台形突起33cの中央下部に配置した嵌合溝33dで支持バー32に左右摺動自在に嵌合するのが好ましい。
【0054】
尚、本発明にあって、2層形態の、放熱パネル2fと放熱パネル2rの吊金具30としては、
図1(B),(C)に示す如く、左右一対の受金具31と、1本の支持バー32と、2枚のパネル201,202間に亘って支承する、同一構造の複数の支承金具33のセットを、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとに採用するものであり、吊金具30手段での前後放熱パネル2f,2rの支持形態は同一であり、
図1(C)に示す如く、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとは、界板78に対する面対称である。
【0055】
従って、界板78で面対称の前側放熱パネル2fに適用する支承金具33も、後側放熱パネル2rに適用する支承金具33も、共に、前後対称形の台形突起33cによって、複数の支承金具33が外側パネル201と内側パネル202の前後揺動を規制すると共に、各支承金具33は、支持バー32上の揺動調整で、放熱パネル2f,2rの幅方向自在位置への配置も可能となり、各放熱パネル2f,2rの、上部での、水平撓みが生じない形態での支承が出来る。
【0056】
また、支承金具33は、
図4(A),(B),(C)に示す如く、両側辺33bの下端中央部に山形切欠33fを備え、且つ中央垂直辺33aの下端には、介在する2本の縦パイプ22に対応する2個の山形突起33eを内方への傾斜形態で備え、該山形突起33eを縦パイプ22に当接するのが好ましい。
【0057】
この場合、両側辺33bの前端、即ち台形突起33cの前端は、
図4(C)に示す如く、対向縦パイプ22の外周と当接形態とするのが好ましい。
該構成の支承金具33にあっては、両側辺33bの結露水は、山形切欠33fによって、中央垂直辺33a側と、支持バー32側とに分流され、中央垂直辺33a側の結露水は、山形突起33eによって、当接縦パイプ22に誘導されて、縦パイプ22外周を平滑に流下し、台形突起33cの前端からは、対向縦パイプ22に導水され流下する。
【0058】
また、支持バー32の結露水は放熱パネル2f,2rの中央域、即ち
図1に示す如く、前側放熱パネル2fの支持バー32の結露水は、外側パネル201と内側パネル202との間隔gPを、後側放熱パネル2rの支持バー32の結露水も、界板78の背面で、外側パネル201と内側パネル202との間隔gPを、各放熱パネル2f,2r対応の各ドレンパン4へと落水する。
従って、上側横パイプからの熱橋作用を受ける各支承金具33からの結露水の、放熱パネル2f,2rの外側への飛散は生じない。
【0059】
また、本発明にあっては、ドレンパン4は、
図7に示す如く、外面を断熱シート42で被覆して、両側の支持体71に固定した両側のドレンパン受47間に差渡し形態で、且つ底面の断熱シート42と床面8とは、空気流通間隔g4を保って支承し、固定金具34は、矩形平坦板34eであって、ドレンパン受47の垂直当接辺47aの上端から内方へ下降斜視突出した受片47eに載置固定し、平坦板34eの両側縁の円弧開口34aによって外側パネル201と内側パネル202との外端縦パイプ22を嵌合保持するのが好ましい。
【0060】
該ドレンパン4は、界板78の、前側放熱パネル2fと後側放熱パネル2rとに対応配置するものであるため、対応放熱パネル2f,2rで発生する結露水を集水処理出来れば良いが、典型的には、
図7(B)に示す如く、断面形態を、外側と内側と非対称として、ドレンパン底面中央から下方に突出したドレンパイプ43を、放熱パネル2f,2rの前後厚w2(58.5mm)の中央より外側に偏位させて、排水管接続を容易としたものである。
【0061】
また、固定金具34は、
図7(D)に示す如く、両側縁に円弧開口34aを備えた形態は、板金の打抜き加工でも形成可能となる。
そして、取付構造も、ドレンパン受47の支持体71内面に固定する当接辺47aの必要高さから内方へ下降傾斜突出させた受片47eへのねじ固定で良く、機能も、両側の円弧開口34aを、外側パネル201の外端縦パイプ22と内側パイプ202の外端縦パイプ22とに嵌合すれば、各外端縦パイプ22は、左右動阻止で、前後動可能の形態での拘束となるが、外側パネル201と内側パネル202とは、幅止め具51で縦パイプ22の相互変位が抑制されているため、固定金具34での、放熱パネル2f,2rの外側パネル201と内側パネル202との外端での拘束は、放熱パネル2f,2rの下部での前後左右動規制を保証する。
そして、固定金具34の、内方への下降傾斜配置は、固定金具34上の結露水のドレンパン4内への流入を保証する。
【0062】
そして、本発明にあっては、ドレンパン4は、底面を含む全外周面が断熱シート42で被覆されているために、自体の外面には結露の発生が無く、底面と床面8間にも空気流通間隔g4が存在するために、ドレンパン4の存在に起因する床面8等への結露の発生も無い。
従って、本発明のドレンパン受47と固定金具34とドレンパン4とを備えたドレン機構は、放熱パネル2f、2rの下部での前後左右動を規制して、放熱パネル2f,2rからのドレンパン4内への結露水の集水を保証すると共に、固定金具34下部での前後左右動を抑制して、放熱パネル2f,2rからのドレンパン4内への結露水の集水を保証すると共に、固定金具34からの結露水の流入も保証し、ドレンパン4の存在に起因する床面8周囲への結露水の発生も抑制するため、冷暖房放熱パネルシステムの居室内への適用に有利なドレン機構を提供する。
尚、ドレンパン4からの排水処理は、ドレンパンから垂下したドレンパイプを排水パイプに接続する、慣用の、ドレン処理手段を適用すれば良い。