(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る光照射装置について図面を参照して、説明する。
【0020】
本実施形態の光照射装置は、発光ダイオード(LED)を利用している。この光照射装置は、例えば植物・藻類・昆虫等の育成用光照射、化学物質分解用光照射、集魚灯、殺菌用光照射等に用いられる。
【0021】
これらの光照射装置は、LEDを用いることによって、光の波長・強度・光エネルギー等を最適化する事が出来るうえ、高速なパルス点滅動作や長寿命化が可能になる。近年発光効率の向上で、低消費電力照明としてのLEDの用途が拡大している。現在市場で入手可能なLEDの光の波長は、紫外線LED(360nm〜400nm)・可視光LED(380nm〜780nm)・赤外LED(780nm〜1300nm)に大方区分される。
【0022】
光を受ける載置面の光量は、純物理量で表す例えば放射照度・放射強度・放射束等と、人間の視感度で補正した心理物理量で表す例えば照度・光度・光束等がある。本明細書では紫外光から赤外光を対象とする為、便宜的に放射照度(単位:W/m
2)を用いグラフ図の目盛は相対値で示す。
【0023】
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
【0024】
図1(A)には、実施の形態1に係る光照射装置100の側断面図が示されている。
図1(B)には、光照射装置100の平面図が示されている。
図1(A)及び
図1(B)に示すように、光照射装置100は、回路基板3と、筐体天板4と、筐体側板5と、光透過性カバー6とを備える。光照射装置100は、複数の光源1A、1Bをさらに備える。
【0025】
回路基板3は、筐体天板4、筐体側板5に取付けられている。光照射装置100は、金属材・プラスチック材等を使用した筐体天板4と筐体側板5によってその外観が形成されている。
【0026】
筐体側板5の開口部に光透過性カバー6が取付けられている。回路基板3の一方の平面領域3Aは、光透過性カバー6と対向するように設置されている。平面領域3Aが所定の平面領域に対応する。筐体天板4、筐体側板5及び光透過性カバー6により、回路基板3及び光源1A、1Bが、外気に直接触れない様に形成されている。
【0027】
光源1A、1Bは、回路基板3の平面領域3Aに2次元配列、すなわちマトリクス状に配列されている。光源1A、1Bのマトリクスは、11×11である。光源1A、1Bが配列されている平面領域3Aは、光照射装置100における光源面(光出射面)となっている。各光源1A、1Bの配置間隔は等間隔である。
【0028】
図1(B)に示すように、光源1A、1Bが配設された平面領域3Aは、発光領域7(第1の領域)と、発光領域8(第2の領域)とに分割されている。発光領域7は、光源面の中央側の領域であり、発光領域8は、光源面の外周側の領域である。発光領域7には、光源1Aが配置されており、発光領域8には、光源1Bが配置されている。
【0029】
光源1A、1Bは、発光ダイオードと、レンズキャップとの組み合わせで構成される。以下では、光源というときには、発光ダイオードとレンズキャップとの組み合わせのことを指す。
図2(A)には、光源1A、1Bを構成する発光ダイオード1の構造が示されている。
図2(A)に示すように、発光ダイオード1は、表面実装型の発光ダイオードである。発光ダイオード1は、基板60と、半導体素子としてのLEDチップ61と、導電性樹脂62と、リード63と、金ワイヤ64と、外囲器65と、光透過性樹脂66と、を備える。基板60上には、LEDチップ61が、導電性樹脂62を介して固定されている。LEDチップ61には、基板60に実装されたリード63及び金ワイヤ64を介して電力を供給可能となっている。基板60には、LEDチップ61を囲むように外囲器65が実装されている。外囲器65の内壁には、反射板が形成されている。外囲器65内にLEDチップ61を封止するように、光透過性樹脂66が充填されている。LEDチップ61から発せられた光は、光透過性樹脂66を透過して、あるいは反射板を反射して、発光ダイオード1から出射する。発光ダイオード1の構成は、表面実装型として一般的なものであり、市販されたものを用いることができる。
【0030】
図2(B)には、光源1Aを構成するレンズキャップ2Aの構造が示されている。
図2(B)に示すように、レンズキャップ2Aには、凸レンズの部分が形成されるとともに、発光ダイオード1に嵌め込まれるカバーの部分とが形成されている。以下では、「レンズキャップ」とは、発光ダイオード1に取り付けられる屈折光学系のことを指す。
【0031】
図2(C)には、発光ダイオード1にレンズキャップ2Aを取り付けたときの構造が示されている。
図2(C)に示すように、レンズキャップ2Aは、発光ダイオード1にかぶせるように取り付けられる。これにより、発光ダイオード1から発せられた光は、レンズキャップ2Aを介して外部に射出される。
【0032】
最も、レンズキャップ2Aは、
図3に示されるような形状を有していてもよい。
【0033】
図4(A)には、発光領域7に配置される光源1Aの構成が示され、
図4(B)には、発光領域8に配置される光源1Bの構成が示されている。
図4(A)に示すように、発光領域7に配置された光源1Aは、発光ダイオード(LED)1と、レンズキャップ2Aとを備える。
図4(B)に示すように、発光領域8に配置された光源1Bは、LED1と、レンズキャップ2Bとを備える。
【0034】
光源1Aと光源1Bとは、同一のLED1を備えている。LED1は、上述のように、表面実装型の、すなわち表面実装対応の外囲器を有する発光ダイオードである。全てのLED1は、指向特性が同一であり、指向角は同一である。言い換えると、光照射装置100では、平面領域3Aに指向特性が同一な複数のLED1が、等間隔に2次元配列されているとすることができる。
【0035】
各LED1には、レンズキャップ2A又はレンズキャップ2Bがそれぞれ取り付けられている。レンズキャップ2Aから出射される出射光の指向角は、発光領域8に配置されたレンズキャップ2Bから出射される出射光の指向角よりも狭くなるように、各レンズキャップ2A、2Bが形成されている。例えば、
図4(A)及び
図4(B)に示すように、レンズキャップ2Aとレンズキャップ2Bとは、光の出射面の曲率が変えてある。このため、LED1では、同じ方向に出射した光が、レンズキャップ2Aでは、光軸AXに対してθ1の方向に出射され、レンズキャップ2Bでは、光軸AXに対してθ1よりも小さいθ2の方向に出射されるようになる。実施の形態1では、レンズキャップ2A、2Bの光出射面の曲率の違いにより、出射光の指向角に差が付けられている。
【0036】
図5(A)には、発光領域7に配置される光源1A(LED1及びレンズキャップ2Aの組)の配光特性14の一例が示されている。
図5(B)には、発光領域7に配置される光源1Aの配光特性に対応した載置面の放射照度分布16が示されている。
【0037】
図5(C)には、発光領域8に配置される光源1B(LED1及びレンズキャップ2Bの組)の配光特性13の一例が示されている。
図5(D)には、発光領域8に配置される光源1Bの配光特性に対応した載置面の放射照度分布15が示されている。
【0038】
なお、指向角は簡易的に使用されている俗称である。光軸上の光量を100%とした場合に、−50%から50%になる角度範囲を指向性半値角として定義している。記号は2θ1/2が使用されている。
【0039】
図5(A)乃至
図5(D)に示すように、発光領域7に配置された光源1Aの照射範囲は広く、光軸上の放射照度は低い。一方、発光領域8に配置された光源1Bの照射範囲は狭い反面、光軸上の放射照度は高い。この指向角と放射照度の関係は公知である。
【0040】
図6には、発光領域7、8の放射照度分布の関係が示されている。
図6では、発光領域7での光源1Aの放射照度分布16が破線で表され、発光領域8での光源1Bの放射照度分布15が実線で表されている。
【0041】
図6に示すように、光源1Bについては、光軸上の放射照度は高く照射領域は狭くなっている。一方、光源1Aについては、光軸上の放射照度は低く放射領域は広がっている。光源1Bより指向角が広く光源1Aより指向角が狭い光源では、放射照度及び照射領域はその中間の値を示す。点光源から放射される光はランバート分布(cosθ)で配光分布する事が知られている。このランバート分布の計算式を用いて照度分布等の光学シミュレーション等が実行される。
【0042】
なお、数値計算に頼らずに、配光分布の軸上の放射照度に角度毎の載置面迄の距離と軸上の載置面距離の1/2乗比に配光比率を掛け合せる事によって、机上計算でも放射照度を算出することができる。
【0043】
図7(A)および
図7(B)は、LEDをライン上に6個配置した場合の光源1B、1Aから出射した光の重なりを説明するための図である。
図7(A)および
図7(B)に示すように、1個目のLED軸上直下の載置面(X軸0m点)における放射照度は、光源1A、1Bから出射した光が到達加算されたものとなる。
【0044】
図7(A)には、光源1Bを6個等間隔で並べて作成した各LEDの放射照度分布が示されている。また、
図7(B)には、光源1Aを6個等間隔で並べたときの放射照度分布が示されている。
【0045】
載置面(X軸0m点)の放射照度は、複数のLEDからX軸中央部への配光の重なりによる放射照度の合計となる。
図7(A)に示すように、光源1Bの指向角であれば、X軸0m点には、3個のLED1からの光のみが到達している。一方、
図7(B)に示すように、光源1Aの指向角であれば、X軸0m点には、6個全てからの光が到達するようになる。
【0046】
また、光源1Bでは、その放射照度は高く、照射領域は狭くなっている。一方、光源1Aでは、放射照度は低いが照射領域は広くなっている。以上のことから、指向角の異なるレンズキャップ2A、2Bの配置によって、放射照度分布の平坦化と放射照度増加とが可能となる。
【0047】
図8には、この実施の形態に係る光照射装置100の具体的な構成が示されている。
図8に示すように、光照射装置100は、筐体天板4、筐体側板5により筐体が構成されている。筐体には、電源コネクタ50及び給排気口51が設けられている。パルス制御基板52及び基板3は、支柱53を介して筐体天板4に取り付けられている。実際には、基板3は接着シート54及びアルミ板55を介して支柱53に接続されている。
【0048】
パルス制御基板52は、電源コネクタ50を介して外部から供給される電力に基づいて、光源1A、1B(LED1)を制御する。パルス制御基板52は、原則として、全てのLED1に同じパルス電流が流れるような電流制御を行う。これにより、内部の回路構成を簡単なものとすることができる。給排気口51では、必要に応じてLED1から発せられる熱を含む空気を排出し、冷気を供給する空冷に用いられる。
【0049】
図9(A)及び
図9(B)には、シミュレーションにより得られる従来の光照射装置での放射照度分布が示されている。この光照射装置は、同一の指向角を有する光源を、間隔18mmで11個×11個を格子状に配置したものである。ここでは、載置面の距離を17cmとして数値計算が行われた。放射照度値は、前記条件以外に光源の光出力及び発光波長等によって値が異なる為に相対値として示されている。
図9(A)には、2次元配列された光源の出射光の指向角を全て45°とした場合の載置面での2次元の放射照度分布が等高線マップとして示されている。
図9(B)には、光源の指向角を、それぞれ45°、80°、100°とした場合の載置面の対角線上の放射照度分布が示されている。
【0050】
図9(B)に示すように、指向角100°の場合には、放射照度分布は、他に比べてフラットとなり、放射照度も少ない値となった。また、指向角45°の場合には、載置面中央部の放射照度は高いが載置面の放射照度は大きくなった。指向角80°の場合には、指向角45°と100°の中間程度の放射照度となり、分布の平坦度も中くらいとなった。
【0051】
図10(A)及び
図10(B)には、光照射装置100における載置面の放射照度分布が示されている。
図10(A)には、LED光源の回路基板上に指向角45°の光源1Bを外側に3周配置し、内側に指向角100°の光源1Aを配置した場合の放射照度を数値計算で求めた等高線分布が示されている。
図10(A)に示すように、指向角45°の光源のみを使用した従来の光照射装置(
図9(A)参照)に対して、載置面における放射照度分布がより平坦になっている。すなわち、指向角の組合せ配置によって、放射照度分布の平坦化と周辺部の放射照度の増加を確認することができる。
【0052】
図10(B)には、
図10(A)が等高線分布図であるのに対し、対角線上の二次元放射照度分が示されている。指向角45°の光源1Bを外側に3周配置し指向角80°の光源1Aを内側に配置した場合と、指向角45°の光源1Bを外側に3周に配置し指向角100°の光源1Aを内側に配置した場合と、指向角80°の光源1Bを外側3周に配置し指向角100°の光源1Aを内側に配置した場合の対角線上の二次元放射照度分布が重ねて示されている。このグラフから、光源1Aと光源1Bとが、互いのLEDの特性を補完しているのがわかる。すなわち、光照射装置100では、載置面の中央部の放射照度が抑えられ、載置面の外側の放射照度が増加している。すなわち、光源1A、1Bにより、放射照度平坦化と周辺部の放射照度増加が図られたことになる。
【0053】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、所定の平面領域3Aに等間隔に2次元配列された複数の表面実装型のLED1は、指向特性が同一である。しかしながら、各LED1には、それぞれレンズキャップ2A、2Bが取り付けられている。レンズキャップ2A、2Bは、LED1から発せられた光を出射するためにLED1を覆うように取り付けられている。レンズキャップ2A、2Bは、レンズカバーともいうべきものである。レンズキャップ2A、2Bから出射される出射光の指向角は、平面領域3Aの中心から外周側に向かって狭くなっている。指向角が狭くなれば、そのレンズキャップ2A、2Bの光軸上の光強度は大きくなる。このため、レンズキャップ2A、2Bから出射される出射光の指向角を、平面領域3Aの中心から外周側に向かって狭くしていくことによって、被照射体が載置された載置面の外部に放射されるムダな光を少なくして、放射効率を高めることができるうえ、載置面における放射照度の平坦化を図ることができる。さらには、光源面と載置面との距離を短くして放射照度を向上させることができる。
【0054】
この実施の形態によれば、光源1A、1Bは、あくまで等間隔に2次元配列されており、光源1A、1Bを密に配置すべく光源1A、1Bの数を増やしたりしていないので、装置コストが増大し、消費電力が高くなることもない。
【0055】
また、この実施の形態によれば、指向特性の異なるLED1を使用するのではなく、指向特性の同一な市販のLED1を使用して、製造容易なレンズキャップ2A、2Bの方で出射角を調整する。このため、装置の製造がより容易になるうえ、低コストで製造することが可能になる。また、レンズキャップ2A、2Bを交換するだけで、搭置面における被照射面における放射照度の平坦度(均一度)及び放射照度を調整しやすくなる。以上のように、この実施の形態によれば、被照射面における放射効率の向上、放射照度の平坦度(均一度)及び放射照度の向上の両立を、低コストかつ低消費電力で実現することができる。
【0056】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
【0057】
図11(A)には、本実施形態に係る光照射装置100の断面図が示されている。
図11(B)には、本実施形態に係る光照射装置100の平面図が示されている。
図11(B)に示されるように、光照射装置100では、照射面が、中央の発光領域27と、外辺の発光領域28と、四隅の発光領域29とに分割されている。
【0058】
図12(A)には、発光領域27に配置された光源1Aの構成が示されている。また、
図12(B)には、発光領域28に配置された光源1Bの構成が示されている。
図12(C)には、発光領域29に配置された光源1Cの構成が示されている。
図12(A)、
図12(B)、
図12(C)を比較するとわかるように、発光領域27、発光領域28、発光第領域29の順で、光源1A、1B、1Cから出射される出射光の指向角が狭くなるように、レンズキャップ2A、2B、2Cが形成されている。
【0059】
本実施の形態では、発光領域の中央、四辺、四隅の順に、光源1A、1B、1Cの出射角が狭くなり、放射強度が大きくなっている。
図13(A)には、上記実施の形態1に係る光照射装置100の載置面における放射照度分布が示されており、
図13(B)には、この実施の形態2に係る光照射装置100の載置面における放射照度分布が示されている。
図13(A)及び
図13(B)は、載置面を上から見た場合の放射照度分布である。図中、Aの領域は、光照度が200〜250(W/m
2)の領域であり、Bの領域は、光照度が150〜200(W/m
2)の領域であり、Cの領域は、100〜150(W/m
2)の領域であり、Dの領域は、100〜150(W/m
2)の領域である。上記実施の形態1に係る光照射装置100では、
図13(A)に示すように、載置面の四隅の放射強度が四辺の放射強度よりも低くなっていたが、
図13(B)に示すように、本実施の形態に係る光照射装置100では、四辺の光源1Bと、四隅の光源1Cとの間で、指向角を狭くして、放射強度を異ならしめることにより、四隅の強度を持ち上げて、全体の放射強度を均一化することができる。
【0060】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
【0061】
本実施形態に係る光照射装置100では、上記実施の形態2と同様に、
図14に示されるように、照射面が、中央の発光領域27と、四辺の発光領域28と、四隅の発光領域29とに分割されている。発光領域27に光源1Aが配列され、発光領域29に光源1Cが配置される点は、上記実施の形態2と同じであるが、発光領域28には、光源1Dが配置される。
【0062】
図15(A)、
図15(B)には、発光領域28に配置された光源1Dの構成が示されている。
図15(A)及び
図15(B)は、光源1Dにおける互いに直交する方向の指向角が示されている。
図15(A)及び
図15(B)に示すように、発光領域28に配置された光源1Dは、方向によって指向角が異なる。
図15(A)に示すように、光源1Dにおいて最も広い指向角は、第1の指向角θ1と同じである。第1の指向角θ1は、発光領域27に配置された光源1Aの出射光の指向角である。
図15(B)に示すように、光源1Dにおいて最も狭い指向角は、第2の指向角θ2となっている。第2の指向角θ2は、発光領域29に配置された光源1Cの出射光の指向角である。光源1Dでは、互いに直交する方向の指向角が異なるように、レンズキャップ2Dが形成されている。この場合、例えば、互いに直交する方向の曲面の曲率が異なるように、レンズキャップ2Dを形成すればよい。
【0063】
図16では、平面領域3Aに配置された光源1A、1C、1Dにおける360度方向に関する指向角がそれぞれ円の直径で模式的に示されている。
図16に示すように、光源1Aでは、X軸方向及びY軸方向ともに指向角がθ1となっているので、指向角を示す円の直径は、すべての方向で大きくなる。また、光源1Cでは、X軸方向及びY軸方向ともに指向角がθ2となっているので、指向角を示す円の直径は、すべての方向で小さくなる。一方、発光領域28に配置される光源1Dでは、平面領域3Aの最寄りの外辺に直交する方向に関する指向角はθ2と狭くなっており、外辺に沿った方向に関する指向角はθ1と広くなっている。したがって、光源1Dでは、指向角を示す図形は、楕円となる。このようにすれば、平面領域3A内の任意の直線について、その直線の中央付近では、指向角を広く維持するとともに、その直線の両端部では指向角を狭くすることができる。このようにしても、載置面の中央、四辺、四隅において、放射照度をきめ細かく調整し、載置面の放射照度をより均一化することができる。
【0064】
なお、上記各実施の形態において、レンズキャップ2A等は、その厚みを変えることにより、出射角を調整するようにしてもよい。
図17(A)及び
図17(B)には、それぞれ厚みの異なるレンズキャップ2A、2Bが示されている。
図17(A)及び
図17(B)には、LED1のLEDチップ61から所定の角度で発せられた光線が示されている。
図17(A)では、その光線は、レンズキャップ2A上の点Aから出射される。また、
図17(B)では、その光線は、レンズキャップ2B上の点Bから出射される。点Aよりも点Bの方が、レンズキャップの外側であり、レンズ面の傾斜が大きいため、点Aよりも点Bから出射された光線の方が、光軸AX上に近づくようになる。すなわち、レンズキャップ2の厚みが厚くすれば、出射角を狭く調整することができる。また、レンズキャップ2A、2Bの材質を変えたり、LED1内におけるLEDチップ61の位置(光の出射点の位置)によって、レンズキャップ2A、2Bから出射される指向角を調整するようにしてもよい。すなわち、レンズキャップの厚み、光が出射される曲面の形状、材質、出射点の位置の少なくとも1つにより、指向角を調整すればよい。
【0065】
なお、レンズキャップ2A等は、金型成形により形成することができる。より具体的には、特許第5286471号公報に開示された技術を用いてレンズキャップ2A等を製造することができる。具体的には、例えば、
図18(A)に示すように、ダイヤモンド工具による切削加工を行って、1200℃を超える高温で高強度、高硬度、かつ難変形性を示す素材を用いて、離型性を有する製品と同一形状の原型10が平板11上に形成されたマスター型12を作製する(第1工程)。続いて、
図18(B)に示すように、高温で軟化性を示す金型素材で構成された所定形状のブロック23をマスター型12に対向させて加熱炉の収納部材21内に配置し、真空中又は不活性ガス雰囲気中で金属素材を900℃以上1200℃以下の温度域まで加熱してマスター型12及びブロック23同士を加圧部材20で押圧しブロック23にマスター型12の反転形状を転写する(第2工程)。さらに、
図18(C)に示すように、マスター型12の反転形状が転写されたブロック23を冷却してマスター型12から離型し、ブロック23に形成されたマスター型12の平板11の反転形状部分の基準高さ位置がモールドベース34の表面の高さ位置に一致するようにブロック23をモールドベース34に固定して転写金型を形成する(第3工程)。このような製造方法を採用すれば、レンズキャップ2A等を高精度、低価格かつ短期間に製造することができる。
【0066】
また、特開2010−214624号公報に開示された技術を用いてレンズキャップ2A等を製造することも可能である。具体的には、
図19(A)に示すように、ダイヤモンド工具による切削加工を行って、1200℃を超える高温で高い強度、硬度及び耐変形性を有する素材を用いて、製品と同一形状の原型10が平板上11に形成されたマスター型12を作製する(第1工程)。続いて、
図19(B)に示すように、1200℃以下の温度で軟化性を示す金型素材で構成され、マスター12の形状が転写される転写面から所定の距離を隔てた内部に、マスター型12の反転形状を転写する際に排除される金型素材の収容が可能な空間部が形成された柱状の入れ子部材35を転写面側でマスター型12に対向させて加熱炉内の収納部材21内に配置し、金型素材が軟化性を示す温度域まで入れ子部材35を加熱してマスター型12及び入れ子部材35同士を加圧部材20で押圧し、入れ子部材35の転写面側にマスター型12の反転形状を転写する(第2工程)。さらに、
図19(C)に示すように、マスター型12の反転形状が転写された入れ子部材15を冷却してマスター型12から離型し、入れ子部材35をモールドベース34に固定して転写金型を形成する(第3工程)。このような製造方法を採用すれば、レンズキャップ2A等を高精度、低価格かつ短期間に製造することができる。
【0067】
また、上記各実施形態では、照射面を矩形状としたが、本発明はこれには限られない。照射面は円状でも、楕円状であってもよいし、四角形以外の多角形状であってもよい。照射面が円状、楕円状、多角形状であった場合でも、中心から外周側に向かって、出射角が狭くなるようにレンズキャップを配置するようにすればよい。
【0068】
レンズキャップからの出射角は、要は、載置面の1点の光強度に何個の光源が寄与しているかに基づいて定めるようにしてもよい。例えば、載置面の中心の1点に、6個の光源が寄与しているものとする。この場合、載置面の中心から外周に向かうにつれて、光強度に寄与する光源の数が6個→5個→4個→3個・・・と少なくなるのに合わせて、光源からの光の出射角度を徐々に狭くしていくようにしてもよい。
【0069】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【解決手段】LED1は、発光領域7、8に等間隔に2次元配列され、仕様が同一の複数の表面実装型の発光ダイオードである。レンズキャップは、各LED1に1つずつ取り付けられている。発光領域7、8の中心から外周側に向かって、出射光の指向角が狭くなるように、各レンズキャップが配置されている、