(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バッテリー支持部の周縁部に所定高さの保護壁が上方に向けて突設され、該保護壁に、バッテリーを左右方向に挿入可能とすべく切欠部が形成されている請求項3記載のバッテリー式の電動刈払い機。
モータを収容するモータケースを備え、該モータケースに、バッテリー支持部を有するバッテリ支持体が取り付けられている請求項3乃至5の何れかに記載のバッテリー式の電動刈払い機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、バッテリーの着脱作業を容易に行うことのできるバッテリー式の電動刈払い機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係るバッテリー式の電動刈払い機は、前後方向の軸線を有する操作主軸を備えたバッテリー式の電動刈払い機において、バッテリーを刈払い機の左右方向に沿ってスライドさせて着脱する構成とされていることを特徴とする特徴とする。
【0007】
該構成の刈払い機にあっては、バッテリーを取り付ける際には、バッテリーを刈払い機の左右方向に沿ってスライドさせて取り付け、また、バッテリーを取り外す際には、バッテリーを刈払い機の左右方向に沿ってスライドさせて取り外す。即ち、操作主軸の軸線方向は前後方向であるので、その方向と直交する左右方向に沿ってバッテリーを抜き差しすることになる。一般に作業者は刈払い機の側方に位置しているので、刈払い機を地面に置いた状態から一旦後方に回り込むことなく、刈払い機の側方に位置したままで、バッテリーを地面と略平行にスライドさせながら取り外したり取り付けたりすることができる。
【0008】
特に、バッテリーを刈払い機の左側から着脱する構成とされていることが好ましい。通常、作業者は刈払い機の左側に位置して作業を行うので、刈払い機を地面に置いた後、刈払い機の後方に回り込むことなくそのままの状態でバッテリーの着脱作業を行うことができる。
【0009】
また、バッテリーを装着する際にバッテリーを下方から支持するバッテリー支持部が、バッテリーの下側に設けられていることが好ましい。該構成によれば、バッテリー支持部にバッテリーを支持させるようにしながらバッテリーを地面と略平行にスライドさせることができる。
【0010】
特に、バッテリー支持部の周縁部に所定高さの保護壁が上方に向けて突設され、該保護壁に、バッテリーを左右方向に挿入可能とすべく切欠部が形成されていることが好ましい。該構成によれば、バッテリー支持部の周縁部に所定高さの保護壁が突設されているので、バッテリーが地面の石等に当接して傷ついたり破損したりすることを抑制できる。また、保護壁に切欠部が形成されているので、バッテリーを地面から僅かに浮かせて滑らせるようにしながら装着させることができる。
【0011】
また、バッテリー支持部が略板状であることが好ましい。また、モータを収容するモータケースを備え、該モータケースに、バッテリー支持部を有するバッテリ支持体が取り付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、バッテリーの着脱に際して刈払い機の側方から後方に回り込む必要がなくなり、バッテリーの着脱作業を楽に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかるバッテリー式の電動刈払い機について
図1乃至
図7を参酌しつつ説明する。本実施形態におけるバッテリー式の電動刈払い機は、
図1及び
図2に示すように、長尺状の操作主軸1を備え、該操作主軸1の前端部には刈刃ホルダー2が設けられていて該刈刃ホルダー2に図示しない刈刃が装着され、操作主軸1の後端部には刈刃を回転駆動させるためのモーター3を収容するモーターケース4が設けられている。
【0015】
刈刃としては、円盤状の金属製のチップソーや、ナイロンコード等が使用される。また、刈刃ホルダー2の後方にはブレードカバー5が設けられていて、刈刃によって刈り取られた草木等の部材が作業者側へ飛散することが防止されている。
【0016】
また、操作主軸1の中央の後方寄りには、U字状のハンドル6が取り付け具8を介して取り付けられている。該ハンドル6の一方の端部には、モーター3を駆動操作するための操作部7が設けられている。更に、ハンドル6の後方の操作主軸1の位置には、ベルト取り付け具9が取り付けられていて、該ベルト取り付け具9に図示しない肩掛けベルトが取り付けられる。使用に際しては、この肩掛けベルトによって刈払い機を肩に担ぎ、ハンドル6の両端部を左右両手で把持するようにして作業を行う。
【0017】
図2に示すように、操作主軸1はパイプ状であってその内側にはモーター3の回転駆動力を刈刃に伝達するためのドライブシャフト10が挿通されており、ドライブシャフト10は、モーター3の駆動軸11の前端部にジョイント具12を介して連結されて一体的に回転する。尚、モーター3の駆動軸11の後端部には多数の羽を有するファン13が取り付けられている。
【0018】
モーターケース4は、
図2及び
図3に示すように上側ケース20と下側ケース21が上下に接合されて、ネジ22(
図3参照)によって下側ケース21から上側ケース20に向かってネジ止めされて連結一体化されて構成されている。また、上側ケース20は一つの部材から構成され、下側ケース21は下側ケース本体23とカバー体24とから構成されている。該下側ケース本体23は上述のネジ22によって上側ケース20に下側からネジ止めされて上側ケース20と共にモーター3の周囲全周を覆っている。該下側ケース本体23の外側即ち下側にカバー体24が位置し、カバー体24はネジ25(
図2、
図3参照)によって下側ケース本体23にカバー体24側からネジ止めされている。
【0019】
そして、下側ケース本体23とカバー体24の間には、モーター3を駆動制御するための回路基板26が配置されている。具体的には、回路基板26は、
図3のように、下側ケース本体23の下面にネジ27により取り付けられて略水平状態に設置され、それを外側からカバー体24が覆い隠している。尚、モーターケース4は樹脂から成形により形成されており、上側ケース20、下側ケース21共に上下方向を金型の抜き方向として形成されている。
【0020】
このようなモーターケース4の下面に、モーター3に電力を供給するバッテリー30が着脱可能に装着される。装着状態においてバッテリー30は、
図2に示すようにモーター3の直下に位置する。該バッテリー30は、
図2〜
図4に示すように、全体として直方体であって、その上面にはモーターケース4の接続端子32と接続される端子31を備えている。モーターケース4の接続端子32は、
図2及び
図5に示すように、モーターケース4の下面から下方に突出しているが、該接続端子32は下側ケース本体23の下面に取り付けられている。そして、カバー体24には孔が形成されていて、カバー体24を下側ケース本体23に取り付けると、カバー体24の孔を通って接続端子32が下方に突出する構成となっている。そして、モーター3と回路基板26との間、及び、回路基板26と接続端子32との間には、それぞれ図示しない配線がなされており、これらの配線を介してバッテリー30からモーター3へ電力が供給される。
【0021】
かかるモーターケース4の下側には、バッテリー30を下方から支持するためのバッテリー支持体40が設けられている。該バッテリー支持体40は、
図2〜
図5のように、前側の脚部41と後側の脚部42と、両脚部41,42の下端部同士を前後に連結するバッテリー支持部43とから、横から見ると全体として上方開口のコの字状に形成されている。前側の脚部41と後側の脚部42は共に所定の面積を有した壁状であって、前側の脚部41は
図6に示すネジ44によって後述するロッド支持体50に下方からネジ止めされ、後側の脚部42は
図6に示すネジ45によってモーターケース4の下側ケース21に下方からネジ止めされている。そして、バッテリー支持部43は略板状であって、モーターケース4の下面から下方に所定距離離間して位置しており、その上面にバッテリー30が載置される。即ち、モーターケース4の下面とコの字状のバッテリー支持体40とから、側方に開口するバッテリー挿入口が形成され、該バッテリー挿入口からバッテリー30がモーター3の軸線方向と直交する方向に挿入される。モーター3の軸線方向は前後方向であるので、バッテリー30は、
図3及び
図4のように左右方向に沿ってモーターケース4の下面とバッテリー支持部43との間に抜き差しされることになる。本実施形態では、装着時に刈払い機の左側からバッテリー30を矢印Aの方向に沿ってスライドさせながら差し込み、取り外す際には逆にバッテリー30を矢印Bの方向に沿ってスライドさせて抜く。尚、
図3〜
図5に示すようにバッテリー支持部43の周縁部には、全周のうちの一部(左側の部分)を除いて所定高さの保護壁46が上方に向けて突設されている。即ち、保護壁46には、
図4及び
図5のようにバッテリー30を挿入可能とすべく切欠部47が左側の部分に形成されている。
【0022】
また、
図2のように、モーターケース4の前面には筒状受け部28が前方に向けて突設されており、該筒状受け部28の内側に操作主軸1の後端部が所定長さ挿入されている。そして、モーターケース4の前面にはロッド支持体50がネジ止めされている。該ロッド支持体50は、モーターケース4の筒状受け部28を外側から覆うと共に、操作主軸1の基端部側の所定領域の外周面を筒状受け部28の前側において支持するように構成されている。即ち、ロッド支持体50は、モーターケース4の筒状受け部28と共に操作主軸1の基端部を支持し、ロッド支持体50は図示しない横ネジによって操作主軸1にネジ止めされると共に、下方に切り欠かれたC字状部51を側方からネジ52(
図2,
図4、
図5、
図6,
図7参照)により締め付けることで操作主軸1の外周面にロッド支持体50が強固に固定されている。該ロッド支持体50は、モーターケース4の上側ケース20と下側ケース21とにそれぞれネジ止めされる構成となっており、従って、ロッド支持体50が取り付けられることにより、上側ケース20の前面と下側ケース21の前面は上下に架橋して連結される。
【0023】
更に、ロッド支持体50には、
図4及び
図5のように空気採り入れ口53が前方に開口するようにして形成されている。詳細には、操作主軸1の左右の位置にそれぞれ空気採り入れ口53が開口していて、
図7に示すようにモーターケース4(具体的には下側ケース21)に形成された貫通孔54を介してモーターケース4の内部と連通している。また、
図2及び
図6に示すように、モーターケース4の下面には空気排出口55が形成されている。該空気排出口55は、モーターケース4の下面後部に形成されていて、前後二つの排出ルートが形成されるようにバッテリー支持体40の後側の脚部42によって前後に区画されている。
【0024】
即ち、モーター3のファン13が回転すると、空気採り入れ口53からモーターケース4の内部に空気が入ると共に空気排出口55から空気が排出されることになるが、空気排出口55の前側の領域55aは、
図2に示すようにバッテリー支持体40の後側の脚部42よりも前側に位置しているので、空気排出口55の前側の領域55aから排出される空気は一旦バッテリー支持体40の内側を経由して外部に排出される。一方、空気排出口55の後側の領域55bは、
図2及び
図6に示すようにバッテリー支持体40の後側の脚部42よりも後側に位置しているので、空気排出口55の後側の領域55bから排出される空気は、バッテリー支持体40の内側を経由することなく、直接外部に下方に向けて排出されることになる。
【0025】
以上のように構成される刈払い機は、
図7に示すように上下を逆にした状態で組み立てられる。即ち、上側ケース20をその内面が上を向くように配置し、その上にモーター3を載せ、上から下側ケース本体23を被せて、下側ケース本体23側から上側ケース20側に向けてネジ止めする。そして、前方からロッド支持体50を上側ケース20の前面と下側ケース本体23の前面にそれぞれネジ止めして取り付ける。その後、下側ケース本体23の上にカバー体24を載せてカバー体24側からネジ止めする。更に、ロッド支持体50に操作主軸1を挿入してモーター3の駆動軸11とドライブシャフト10を連結する。ロッド支持体50と操作主軸1とを図示しない横ネジによって固定すると共にロッド支持体50のC字状部51をネジ52により締め付けて縮径させて操作主軸1に密着させる。その後、バッテリー支持体40を上側から重ねてロッド支持体50の下面と下側ケース21(具体的には下側ケース本体23)にネジ止めする。
【0026】
このようにして組み立てられた刈払い機は、
図2に示すように、モーター3の直下にバッテリー30が位置していてモーターケース4からバッテリー30の後端部が後方に突出していない。即ち、直方体のバッテリー30をその長手方向が左右方向となるようにして配置したことにより、重量物であるバッテリー30を従来に比して前方に配置することができ、草木等の刈り取り作業の作業性に優れている。
【0027】
そして、バッテリー30を着脱する際には、刈払い機を
図1に示すような状態で地面に置く。その際、バッテリー支持体40の下面が地面に当接することになり、バッテリー30は直接地面には当接せず、バッテリー30が保護される。特に、バッテリー支持部43の周縁部に所定高さの保護壁46が突設されているので、バッテリー30の下部が地面の石等に当接して傷ついたり破損したりすることを抑制できる。
【0028】
また、保護壁46の左側の部分には切欠部47が形成されているので、地面からバッテリー30を高く持ち上げる必要がなく、バッテリー30を地面から僅かに浮かせて滑らせるようにしながら装着させることができる。しかも、通常、作業者は刈払い機の左側に位置して作業を行うので、刈払い機を地面に置いた後、刈払い機の後方に回り込むことなくそのままの状態でバッテリー30の着脱作業を行うことができる。
【0029】
また、地面に置いた刈払い機を操作主軸1回りに略90度回転させれば、バッテリー30を上下方向に抜き差しすることもできる。即ち、
図1に示す状態から操作主軸1の軸線回りに刈払い機を矢印Pの方向に略90度回転させると、保護壁46の切欠部47が上方に位置することになり、バッテリー30を上側から上下方向に抜き差しすることができる。このように、バッテリー30を地面と略平行に抜き差しするという着脱方法に加えて、刈払い機を操作主軸1回りに略90度回転させた状態としてバッテリー30を上下方向に抜き差しするという着脱方法も行うことでき、作業者の体力や作業場所に応じて、二種類の着脱方法から任意のものを選択して作業を行うことができる。
【0030】
一方、モーターケース4を上側ケース20と下側ケース21とから上下割りの構造としているので、接合ラインSが上面には形成されずに側面に形成されることになる。従って、従来のように上面の接合ラインSから雨水等が侵入するということが防止でき、内部のモーター3等の故障を抑制することができる。また、下側ケース21から上側ケース20に向けてネジ止めしているので、ネジ孔も上面には形成されない。従って、ネジ孔からの雨水等の侵入も阻止できる。しかも、
図7のようにカバー体24のネジ止めの方向やバッテリー支持体40のネジ止めの方向も共通しているので、組み立て作業も容易である。
【0031】
また、下側ケース21を下側ケース本体23とカバー体24とから構成して回路基板26をそれらの間に位置させているので、回路基板26をモーター3に接近配置させることができ、配線を短くすることができると共に配線作業も楽に行うことができる。
【0032】
更に、モーターケース4の前面において上側ケース20と下側ケース21がロッド支持体50で上下に架橋するようにして連結されているうえに、更に、ロッド支持体50と下側ケース21とをバッテリー支持体40が前後に架橋するようにして連結する構造となっているので、モーターケース4の強度が高く、耐久性に優れるうえに、操作性も向上する。
【0033】
また更に、空気排出口55が下方に開口しているので、排出される高温の空気が作業者に当たることがない。尚、排出される空気の一部をバッテリー30側に導いているのでバッテリー30の過度の温度上昇も同時に防止できる。
【0034】
尚、本実施形態では、保護壁46の左側の部分に切欠部47を形成したが、右側の部分にも切欠部を形成して左右両側からバッテリー30を装着できるようにしてもよい。
【0035】
尚、カバー体24の内面に回路基板26を取り付けてもよい。