特許第5732166号(P5732166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5732166
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】椅子の背もたれ部構造
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/62 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
   A47C7/62 A
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-129554(P2014-129554)
(22)【出願日】2014年6月24日
【審査請求日】2014年10月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506339338
【氏名又は名称】田畑 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高明
(72)【発明者】
【氏名】田畑 悟
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−000238(JP,A)
【文献】 実開平06−087089(JP,U)
【文献】 実開昭60−076549(JP,U)
【文献】 特開平09−271408(JP,A)
【文献】 特開2002−199925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子の背もたれ部の背面部には収納部形成部材が固定され、上記収納部形成部材と上記背面部との間の空隙により形成される収納部内に物品を収納でき、遊技場に設置される椅子の背もたれ部構造であって、
上記収納部形成部材は厚さ方向に湾曲した板状に形成され、上記収納部形成部材の上縁部と上記背もたれ部の背面部との間は全面的に開口して上方開口部を形成していると共に、上記収納部形成部材の下縁部と上記背もたれ部の背面部との間は部分的に開口して下方開口部を形成し、上記上方開口部と上記下方開口部との間に、上方開口部及び下方開口部を貫通した状態で所定の長さ寸法を有する物品を収納しうるように構成され
上記収納部形成部材は、上記背もたれ部の下半部を被覆するように配置され、上記背もたれ部の背面部との間に所定間隔を置いて上記背もたれ部を被覆する背板部と、上記背板部の左側端部及び右側端部から上記背面部側に向けて延設され、上記背もたれ部の左側端部及び右側端部を被覆する左側被覆部及び右側被覆部と、上記背板部から下方へ延設されて上記背もたれ部の下部を被覆する下部被覆部とを有し、
上記左側被覆部及び右側被覆部には、夫々、長尺物収納部を形成しうる膨出部が設けられていることを特徴とする椅子の背もたれ部構造。
【請求項2】
上記背もたれ部は、上記背もたれ部の背面部の左側縁部及び右側縁部に形成され、上記収納部形成部材を着脱可能に固定できる左側固定部及び右側固定部と、上記左側固定部及び上記右側固定部よりも下側に形成された下側固定部とを備え、上記左側被覆部及び右側被覆部は、上記左側固定部及び上記右側固定部に取外し可能に固定できる左側係合部及び右側係合部を有すると共に、上記下部被覆部は上記下側固定部に取外し可能に固定できる下側係合部とを備えることを特徴とする請求項記載の椅子の背もたれ部構造。
【請求項3】
上記収納部形成部材は、上記背もたれ部に固定された場合に背面方向に突起部を形成することのない形状で合成樹脂により一体に形成されることを特徴とする請求項に記載の椅子の背もたれ部構造。
【請求項4】
上記右側固定部、上記左側固定部、及び下側固定部は、上記背もたれ部の背面部に開設された係合穴部を備え、上記左側係合部、上記右側係合部、及び上記下側係合部は、上記左側固定部、上記右側固定部、及び上記下側固定部の係合穴部にはめ込まれる爪部材をそれぞれ備えていることを特徴とする請求項記載の椅子の背もたれ部構造。
【請求項5】
上記左側被覆部及び右側被覆部の下端部と下部被覆部との間の少なくとも一方には上記下方開口部を形成する切欠部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の椅子の背もたれ部構造。
【請求項6】
上記切欠部には、上記左側被覆部及び右側被覆部の少なくとも一方から延設されたガイド片が垂下して設けられていることを特徴とする請求項記載の椅子の背もたれ部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子の背もたれ部構造に係り、特に、遊技場に設置するのに適した椅子の背もたれ部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パチスロ又はパチンコ機が設置された遊技場においては、島として配置された複数の遊技機の手前側に夫々椅子が配置されており、遊技者はこの椅子に腰掛けて遊技を行う。
この場合、遊技場では、互いに隣接する遊技機の間隔が非常に狭いことから、椅子の間隔も狭く、また遊技機の下部前方には幅の狭いテーブルが設けられているのみであり遊技者の身の回りの小物等を置くスペースがない。
その結果、遊技者は、特に、雨天時等においては、遊技時に、持参した傘(特に、長い傘)や杖、新聞、雑誌、タバコ、ライター等の身の回り品の置き場所に困り、遊技に集中できない場合もある。
【0003】
また、このような遊技場に設置される椅子は、着座時に遊技者が背中を預ける背もたれ部を備えているものもある。このような椅子における背もたれ部の裏側面(遊技者の背中が接触する面と反対側の面)には、広告や、遊技場の予告、お知らせ等を表示する場合があるが、これらの表示を、見苦しくなく取付け取外し可能に配置することは難しい。
【0004】
更に、背もたれ付きの椅子が遊技場で使用される場合、背もたれ部の裏面側は、遊技者が行き交う通路となっており、背もたれ部の裏面側に通路側に突出する部位があった場合には、通路を通る遊技者が接触して通行に支障を生じる場合もある。
【0005】
また、近年、遊技場の雰囲気が雑然とすることがないように、多数配置される椅子には、椅子全体としてまとまった一体感と、優れたデザイン性、外観品質とが求められている。
【0006】
このような観点から本件特許出願人は特許文献調査を行い、下記の特許文献を発見した。特許文献1には、先端に傘挿通用リングを形成してなるロッドを、座板の下側に該リングが座板の外周縁より出没自在なるように設けてなることを特徴とした椅子が記載されている。
【0007】
また、椅子における背もたれ部に物品を配置するものとして、特許文献2〜5に記載のものがある。
【0008】
特許文献2には、椅子における脚の後側にワイヤーにより形成された取付部を背もたれ等に設けた鞄受を備えた鞄ホルダー付の椅子が記載されている
【0009】
また、特許文献3には、背もたれの背もたれ部に起倒自在に設けられた枠体と該枠体上部と背もたれ下部との間に設けられたシートと、上部枠体の両端に出没自在に設けられた掛具とからなる掛具付物入が記載されている。
【0010】
特許文献4には、杖部材を起立した状態で保持する収容体を、上下に延長した支持材に固定し椅子の背もたれ部に引っ掛けるフックを支持材の上部に備えている椅子用杖部材ホルダーが記載されている。
【0011】
特許文献5には、袋状に形成した本体上部に上フック部を形成し、下部に横フック部を備え、本体上部にはアームが形成され、その先端には金属板が内蔵されている上フック部が備えられており、下部にはベルト通し及び固定用突起を形成し、そこに長さ調節穴を設け、金属板を内蔵した横フック部を備えたフックベルトを挿通した新聞ラックが記載されている。
【0012】
【特許文献1】実願平08−38309号公報
【特許文献2】実開昭48−99316号公報
【特許文献3】実開昭51−30029号公報
【特許文献4】特開2001−340164号公報
【特許文献5】実開昭48−99316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、長い傘を椅子に配置できるものの、傘以外の物品を配置できず、また取外すことができず、背後を通過する利用者の邪魔になる他、椅子との一体感がなく外観品質に劣るという不具合がある。
【0014】
また、特許文献2に記載の技術は、鞄以外のもの例えば長い傘を配置できず、背後を通過する利用者の邪魔になる他、椅子との一体感がなく外観品質に劣るという問題がある。
【0015】
また、特許文献3に記載の技術は、長い傘を配置できず、かつ取付が煩雑である他、背後を通過する利用者の邪魔になる他、上記同様に、椅子との一体感がなく外観品質に劣るという問題がある。
【0016】
また、特許文献4に記載のものは、杖を配置できるだけである他、背後を通過する利用者の邪魔になる他、椅子との一体感がなく外観品質に劣るという問題がある。
【0017】
更に、特許文献5に記載のものは、長い傘を配置できないと共に背後を通過する利用者の邪魔になる他、椅子との一体感がなく外観品質に劣るという問題がある。
【0018】
以上のように、これらの従来技術は、それぞれ特定の物品のみを収納できるものであり、また、多様な物品を収納できた場合であっても椅子の背後を通過する利用者の邪魔になる他、椅子としての一体感がなく外観品質に劣るものであり、遊技場に設置するには適さず、従来の要請には応えられていない。
【0019】
そこで、本発明は、このような従来の不具合に鑑みなされたものであって、椅子の背もたれ部に多様な物品を収納でき、遊技場において背後を通過する他の利用者の邪魔にならず、更に、外観品質に優れた椅子の背もたれ部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決する請求項1に記載の発明は、椅子の背もたれ部の背面部には収納部形成部材が固定され、上記収納部形成部材と上記背面部との間の空隙により形成される収納部内に物品を収納でき、遊技場に設置される椅子の背もたれ部構造であって、上記収納部形成部材は厚さ方向に湾曲した板状に形成され、上記収納部形成部材の上縁部と上記背もたれ部の背面部との間は全面的に開口して上方開口部を形成していると共に、上記収納部形成部材の下縁部と上記背もたれ部の背面部との間は部分的に開口して下方開口部を形成し、上記上方開口部と上記下方開口部との間に、上方開口部及び下方開口部を貫通した状態で所定の長さ寸法を有する物品を収納しうるように構成され、上記収納部形成部材は、上記背もたれ部の下半部を被覆するように配置され、上記背もたれ部の背面部との間に所定間隔を置いて上記背もたれ部を被覆する背板部と、上記背板部の左側端部及び右側端部から上記背面部側に向けて延設され、上記背もたれ部の左側端部及び右側端部を被覆する左側被覆部及び右側被覆部と、上記背板部から下方へ延設されて上記背もたれ部の下部を被覆する下部被覆部とを有し、上記左側被覆部及び右側被覆部には、夫々、長尺物収納部を形成しうる膨出部が設けられていることを特徴とする。
【0021】
従って、請求項1記載の発明にあっては、収納部形成部材と背もたれ部の背面部との間の空隙部に様々な物品を収納できると共に、上記上方開口部と上記下方開口部との間に、上方開口部及び下方開口部を貫通した状態で所定の長さ寸法を有する細長い物品、例えば、長い傘、杖等を収納することができる。
【0022】
請求項記載の発明にあっては、上記背もたれ部は、上記背もたれ部の背面部の左側縁部及び右側縁部に形成され、上記収納部形成部材を着脱可能に固定できる左側固定部及び右側固定部と、上記左側固定部及び上記右側固定部よりも下側に形成された下側固定部とを備え、上記左側被覆部及び右側被覆部は、上記左側固定部及び上記右側固定部に取外し可能に固定できる左側係合部及び右側係合部を有すると共に、上記下部被覆部は上記下側固定部に取外し可能に固定できる下側係合部とを備えることを特徴とする。
【0023】
従って、請求項記載の発明にあっては、上記収納部形成部材は上記背もたれ部に着脱可能に固定される。
【0024】
請求項記載の発明にあっては、上記収納部形成部材は、上記背もたれ部に固定された場合に背面方向に突起部を形成することのない形状で合成樹脂により一体に形成されることを特徴とする。
【0025】
請求項記載の発明にあっては、上記右側固定部、上記左側固定部、及び下側固定部は、上記背もたれ部の背面部に開設された係合穴部を備え、上記左側係合部、上記右側係合部、及び上記下側係合部は、上記左側固定部、上記右側固定部、及び上記下側固定部の係合穴部にはめ込まれる爪部材をそれぞれ備えていることを特徴とする。
請求項記載の発明にあっては、収納部形成部材は、上記左側係合部、上記右側係合部、及び上記下側係合部の爪部材を介して上記背もたれ部の係合穴部に着脱可能に係合固定される。
【0026】
請求項記載の発明にあっては、上記左側被覆部及び右側被覆部の下端部と下部被覆部との間の少なくとも一方には上記下方開口部を形成する切欠部が設けられていることを特徴とする。従って、請求項記載の発明にあっては、上記切欠部内に所定の長さ寸法を有する細長い物品、例えば、長い傘、杖等を収納することができる。
【0027】
請求項記載の発明にあっては、上記切欠部には、左側被覆部及び右側被覆部の少なくとも一方から延設されたガイド片が垂下して設けられていることを特徴とする。
従って、切欠部内に、長い傘や杖等の細長い物品を上方開口部から差し入れて収納する場合には、上記ガイド片が物品に当接して収納をガイドする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1〜に係る椅子の背もたれ部構造によれば、収納部形成部材と背もたれ部の背面部との間の空隙に様々な物品を収納できると共に、上記上方開口部と上記下方開口部との間に、上方開口部及び下方開口部を貫通した状態で所定の長さ寸法を有する細長い物品、例えば、長い傘、杖等を収納することができることから、椅子の利用者は、小物を収納部形成部材と背もたれ部の背面部との間の空隙に収納することができると共に、長い傘、杖等の長尺の物品も同様に背もたれ部の背面側に収納することができる。
その結果、本発明に係る椅子の背もたれ部構造が、遊技場の椅子に適用された場合には遊技場に来店した遊技者は、所持品である本、タバコ、ライター等の小物は上記収納部へ収納すると共に、長い傘や杖も同様に収納部へ収納することができるため、遊技者は遊技機の前に座った状態で所持品を効率よく整理することができ、遊技に集中することができる。
また、本発明にあっては、椅子の背もたれ部の背面部を利用し、背面部と湾曲した板状の収納部形成部材との間の空隙により収納部を形成するように構成されていることから、椅子と収納部を形成する収納部形成部材との間にデザイン的な一体感があり、従来の技術とは異なり、外観品質に優れた椅子の背もたれ部構造を提供することができる。
また、収納部形成部材は、背板部、左側被覆部、右側被覆部及び下部被覆部により構成され、背もたれ部の背面側の下半部を被覆して配置されると共に、上記左側被覆部及び右側被覆部には、夫々、膨出部が設けられていることから、膨出部は、左右一対の、長い傘や杖等の長尺物収納部を形成し、この長尺物収納部に、収納部の上方開口部から長い傘や杖等を収納できる。
【0029】
請求項及び記載の発明にあっては、上記収納部形成部材は上記背もたれ部に着脱可能に手軽に固定できるように構成されていることから、例えば、遊技場に本発明に係る椅子が設置されている場合には、事後的に、必要に応じて、収納部形成部材を固定し、遊技場における収納環境を向上させるようにすることもできる。また、事情に応じて、収納部形成部材を椅子から撤去することもでき、遊技場の個別事情に応じて適切に対応することができる。
【0030】
請求項記載の発明にあっては、上記背もたれ部に固定された場合に背面方向に突起部を形成することのない形状で合成樹脂により一体に形成されていることから、椅子の背もたれ部に固定された場合であっても、椅子の背後を通る遊技者の歩行を妨げる事態を防止できる。
また、合成樹脂により軽量に形成することができるため、収納部形成部材の搬送作業、遊技場における取付作業を容易に行うことができると共に、合成樹脂一体成型であることから、デザイン性に富む形状の収納部形成部材を生産コストを低減させつつ大量に供給することができる。
【0031】
請求項記載の発明にあっては、上記左側被覆部及び右側被覆部の下端部と下部被覆部との間の少なくとも一方には上記下方開口部を形成する切欠部が設けられていることから、長い傘や杖等を、収納部の上方開口部側から容易に収納することができる。
【0032】
請求項記載の発明にあっては、上記切欠部には、左側被覆部及び右側被覆部の少なくとも一方から延設されたガイド片が垂下して設けられており、切欠部内に、長い傘や杖等の細長い物品を上方開口部から差し入れて収納する場合には、上記ガイド片が物品に当接して収納をガイドするように構成されていることから、使用者は長い傘や杖等を差し入れて収納する場合に収納しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明に係る椅子の背もたれ部構造の一実施の形態が適用された椅子を示す斜視図である。
図2】本発明に係る椅子の背もたれ部構造の一実施の形態が適用された椅の背面側及び正面側から示す斜視図である。
図3】本発明に係る椅子の背もたれ部構造の一実施の形態が適用された椅子の背もたれ部を背面側から示す図である。
図4】本発明に係る椅子の背もたれ部構造が適用された収納部形成部材の一実施の形態を示す斜視図である。
図5】本発明に係る椅子の背もたれ部構造の一実施の形態が適用された椅子及び収納部形成部材を示す斜視図であって、椅子の背もたれ部に収納部形成部材を取付ける手順を示す図である。
図6】本発明に係る椅子の背もたれ部構造の一実施の形態が適用された椅子及び収納部形成部材を示し、長い傘を収納した状態を示す斜視図である。
図7】本発明に係る椅子の背もたれ部構造の一実施の形態が適用された椅子及び収納部形成部材を示し、収納部にPOP板を収納した状態を示す椅子の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態に係る椅子の背もたれ部構造について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る椅子の背もたれ部構造が適用された椅子を示す斜視図である。実施形態に係る椅子の背もたれ部構造を適用した椅子300は、例えば、パチスロ機、パチンコ機等が設置された遊技場に配置される。椅子300は、椅子本体100に収納部形成部材200が着脱自在に取付けられている。
上記収納部形成部材200は厚さ方向に湾曲した板状に形成され、上記収納部形成部材200の上縁部と上記背もたれ部の背面部との間は全面的に開口して上方開口部Dを形成していると共に、上記収納部形成部材200の下縁部と上記背もたれ部140の背面部142との間は部分的に開口して下方開口部Eを形成し、上記上方開口部Dと上記下方開口部Eとの間に、上方開口部D及び下方開口部Eを貫通した状態で所定の長さ寸法を有する物品を収納しうるように構成されている。
【0035】
図2は椅子の背もたれ部への収納部形成部材が取付けられる椅子本体を示す斜視図である。椅子本体100は、遊技者が着座する座部110と、座部110が固定された脚部120、脚部120が固着される円盤状基部130、及び脚部120に取付フレーム部を介して固定され、遊技者が背を預ける背もたれ部140を備えている。
座部110は、図示していない合成樹脂製の座部本体部の上部にクッション材を取付けて構成され、脚部120に対して水平面で回転可能に配置されている。脚部120は、金属製筒状部材であり、座部110のフレーム部に固定される。脚部120の先端部には円盤状基部130が固定され椅子の設置面である遊技場の床に設置固定される。
【0036】
背もたれ部140は、図示しない支持フレームを介して脚部120に接続固定され、背もたれ面部141と、背面部142とを有している。背もたれ部140は、合成樹脂製の背もたれフレーム143の背もたれ面部141側にクッション材144を配置して構成されている。
図3に示すように、背もたれ部140は、全体として大型に形成され、上端部側の着座者の肩が当接する部位Aが最も幅広に形成されると成されると共に、着座者の腰に当たる部位Cに至るに従って幅狭になるように、上方から下方にかけてなだらかなラウンド形状となる幅方向輪郭部を形成し、下端部は座部110を背面側から完全に後方から被覆する位置にまで延設されている。
【0037】
図1に示すように、本実施形態に係る椅子300では、背面部142に、収納部形成部材200が着脱自在に配置されている。そして、収納部形成部材200を配置することにより背もたれ部140の背面部142側に物品の収納部Pが形成される。
【0038】
図3は椅子本体の背もたれ部141の背面部142を示す平面図である。背もたれ部140には、収納部形成部材200を取外し可能に固定するため、6箇所に背もたれ部取付け部が形成される。背面部142の左側縁部142Lには、上下方向に沿って2箇所に左側固定部として2箇所に左側固定穴部151、152が形成されている。
【0039】
また、背面部142の右端縁部142Rには、上下方向に沿って2箇所に右側固定部として2箇所に右側固定穴部161、162が形成されている。ここで、「右側」、「左側」は、背もたれ部140を背面部142側から見た状態での方向を表す。
【0040】
また、背面部142には、2つの左側固定穴部151、152、右側固定穴部161、162より下側には、収納部形成部材200を固定する下側固定部として、横方向に沿って2つの下側固定穴部171、172が形成されている。尚、左側固定穴部151、152、右側固定穴部161、162、下側固定穴部171、172の形状、個数は、必要に応じて適宜変更できる。
【0041】
次に、収納部形成部材200について説明する。
図4は収納部形成部材を示す斜視図である。収納部形成部材200は、背板部210と、背板部210の幅方向左端部から裏面方向に折曲して延設された左側被覆部220と、背板部210の幅方向右端部から裏面方向に折曲して延設された右側被覆部230と、背板部210から下方へ延設された下側被覆部240とを有しており、全体として合成樹脂で一体に形成され、厚さ方向に湾曲した板状の部材である。
【0042】
背板部210は、背面部142との間に所定の間隔を開けて配置され、左側被覆部220及び右側被覆部230及び下側被覆部240と共に背面部142との間に収納部Pを形成するように、左側被覆部220、右側被覆部230、右側被覆部230で背面部142との間に所定空隙を置いて取付けられる。
上記左側被覆部220及び右側被覆部230は、背板部210及び下側被覆部240
全体の長さ寸法の略半分の長さに形成されている。また、左側被覆部220と右側被覆部230との間の幅寸法は、図1に示す、背もたれ部141の使用者の肩が当接する部位Aの幅寸法と略同一に形成されると共に、左側被覆部220及び右側被覆部230は下方に至るに従って幅狭に絞られて形成され、背もたれ部140の、腰が当たる部位Cの形状に適合する輪郭形状に形成されている。
【0043】
左側被覆部220及び右側被覆部230は、背板部210の左側端部及び右側端部から一度、表面方向に膨出して膨出部233を形成し、その後、裏面方向側に向けて、略直角に折曲して延設されている。左側被覆部220には、その先端に背面部142の左側固定穴部151、152に挿入されて固定される2つの左側爪部221、222が形成されている。右側被覆部230には、その先端に、背面部142の右側固定穴部161、162に挿入されて固定される2つの右側爪部231、232が形成されている。
【0044】
左側爪部221、222及び右側爪部231、232は弾性を備え、左側固定穴部151、152及び右側固定穴部161、162に挿入される際に湾曲して、挿入が完了した状態において弾性で形状が復元して収納部形成部材200を背もたれ部140に固定される。また、左側爪部221、222及び右側爪部231、232は、外部から工具等で弾性的に変形させれば左側固定穴部151、152、右側固定穴部161、162から容易に取外すことができる。
【0045】
更に、下側被覆部240の下端部は裏面方向に略直角に折曲形成され、底部244が形成されている。そして、底部244の先端に背面部142の下側固定穴部171、172に挿入されて固定される下側爪部241、242が形成されている。
下側被覆部240は、収納部形成部材200が背もたれ部140に取付けられた状態で、収納部Pの底部を形成する。なお、左側爪部221、222、右側爪部231、232及び下側爪部241、242の形状、個数は、必要に応じて変更できる。すなわち、収納部形成部材200を背面部142に取外し可能に配置できる限り、左側固定穴部151、152、右側固定穴部161、162、下側固定穴部171、172と共に変更できる。
【0046】
また、収納部形成部材200は、右側被覆部230と下側被覆部240との間、及び上記左側被覆部220と上記下側被覆部240との間には、切欠部251、252が形成されることにより、夫々、左側被覆部220及び右側被覆部230から下方に延設された舌片状のガイド片243,243が垂下して設けられている。
【0047】
次に、収納部形成部材200を椅子本体100の背もたれ部140に取付ける手順について説明する。図5は椅子の背もたれ部に収納部形成部材を取付ける手順を示す斜視図である。まず、図5(a)に示すように、収納部形成部材200の下側を背面部142に近づける。そして、図5(b)に示すように、下側爪部241、242を下側固定穴部171、172にはめ込む。
【0048】
ついで、図5(c)に示すように、下側固定穴部171、172と下側爪部241、242との固定箇所を中心にして、収納部形成部材200の上部を背面部142に近づけ、左側爪部221、222を背面部142の左側固定穴部151、152に、右側爪部231、232を背面部142の右側固定穴部161、162にはめ込んで右側爪部231、232の弾性で固定する。これにより、図1及び図5(d)に示すように、背もたれ部140に収納部形成部材200が取付けられ、背もたれ部140の下半部において幅方向全域に亘って、大きな上方開口部Dを有する収納部Pが形成される。
【0049】
椅子300においては、収納部Pには、遊技者が所持している、本、雑誌、たばこ、ライター等の小物はもとより、収納部Pに収納可能な大きさであれば様々な物品を収納することができる。この場合、小物は底部244により支持されると共に、ガイド片243により側方から支持されることから、切欠き部252から落下してしまうことはない。
また、例えば、図6は収納部形成部材を取付けて形成した物品収納部に長い傘を収納した状態を示す椅子の斜視図、図7は収納部形成部材を取付けて形成した形物品収納部にPOP板を収納した状態を示す椅子の斜視図である。
図6に示すように、左側被覆部220及び右側被覆部230には、夫々、膨出部233が形成されていると共に、収納部形成部材200で形成した収納部Pの底部には、下方開口部Eが形成されている。このため、膨出部233は、左右一対の、長い傘や杖等の長尺物収納部234を形成することから、この長尺物収納部234に、収納部Pの上方開口部Dから長い傘Uや杖等を収納できる。
【0050】
また、図7に示すように、収納部Pには、広告等を表示したPOP板Bを収納することができる。なお、POP板Bは、下側被覆部240が形成する底部244上に配置され、収納部形成部材200から状部に飛び出た部分にPOP内容を記載する。また、雑誌、新聞等も同様に収納できる。
【0051】
以上説明したように、本例に係る椅子の背もたれ部構造によれば、収納部形成部材200は、背もたれ部140に左側固定穴部151、152と左側爪部221、222との固定、右側固定穴部161、162と右側爪部231、232との固定、下側固定穴部171、172と下側爪部241、242により容易かつ迅速に、取外し可能に配置することができる。
【0052】
また、本実施の形態にあっては、収納部形成部材200は、合成樹脂の湾曲した板状部材として構成するので、椅子本体100の背もたれ部140と一体感があり、デザイン上優れたものとでき、遊技場の統一感を醸し出せる。更に、収納部形成部材200には突起物を形成しないので、椅子300の後側の通行を邪魔することがない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る椅子の背もたれ部構造は、広く遊技場等において島として配置した遊技機前に多数配置する椅子等に適用でき、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0054】
100:椅子本体
110:座部
120:脚部
130:円盤状基部
140:背もたれ部
141:背もたれ面部
142:背面部
142L:左側縁部
142R:右端縁部
143:背もたれフレーム
144:クッション材
151、152:左側固定穴部
161、162:右側固定穴部
171、172:下側固定穴部
200:収納部形成部材
210:背板部
220:左側被覆部
221、222:左側爪部
230:右側被覆部
231、232:右側爪部
233:膨出部
234:長尺物収納部
240:下側被覆部
241、242:下側爪部
243:ガイド片
244:底部
251、252:切欠部
300:椅子
A:肩が当接する部位
B:POP板
C:腰が当接する部位
D:上方開口部
E:下方開口部
P:収納部
U:長い傘
【要約】      (修正有)
【課題】多様な物品を収納でき、遊技場において背後を通過する他の利用者の邪魔にならず、外観品質にも優れた椅子の背もたれ部構造の提供。
【解決手段】椅子の背もたれ部140の背面部には収納部形成部材200が固定され、上記収納部形成部材200と上記背面部との間の空隙により形成される収納部P内に物品を収納できる椅子の背もたれ部構造であって、上記収納部形成部材200は厚さ方向に湾曲した板状に形され、上記収納部形成部材200の上縁部と上記背もたれ部140の背面部との間は全面的に開口して上方開口部Dを形成していると共に、上記収納部形成部材200の下縁部と上記背もたれ部140の背面部との間は部分的に開口して下方開口部Eを形成し、上記上方開口部Dと上記下方開口部Eとの間に、上方開口部D及び下方開口部Eを貫通した状態で所定の長さ寸法を有する物品を収納しうるように構成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7