特許第5732212号(P5732212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732212
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】多型体の医薬品
(51)【国際特許分類】
   C07D 277/28 20060101AFI20150521BHJP
   A61K 31/427 20060101ALN20150521BHJP
【FI】
   C07D277/28
   !A61K31/427
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-164769(P2010-164769)
(22)【出願日】2010年7月22日
(62)【分割の表示】特願2000-560122(P2000-560122)の分割
【原出願日】1999年7月19日
(65)【公開番号】特開2010-270135(P2010-270135A)
(43)【公開日】2010年12月2日
【審査請求日】2010年8月3日
(31)【優先権主張番号】09/119,345
(32)【優先日】1998年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】09/326,093
(32)【優先日】1999年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジヨン・エフ・バウアー
(72)【発明者】
【氏名】アツイータ・ザレキ−ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ビクサンダルコイル・エイ・ナラヤナン
(72)【発明者】
【氏名】サンジエイ・アール・チエンバーカー
(72)【発明者】
【氏名】キータン・パテール
(72)【発明者】
【氏名】ハリー・オー・スピベーク
(72)【発明者】
【氏名】フイリツプ・イー・バウアー
(72)【発明者】
【氏名】キンバリー・エイ・アレン
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−531492(JP,A)
【文献】 特表平08−505844(JP,A)
【文献】 特表2003−501386(JP,A)
【文献】 松本 光雄,薬剤学マニュアル,南山堂,1989年,p.28,76
【文献】 橋田 充,経口投与製剤の設計と評価,薬事時報社,1995年 2月10日,p.76-79
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 277/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リトナビルの溶液を抗溶媒に加えることを含む純度が90%よりも大きいリトナビルの非晶質の調製方法。
【請求項2】
リトナビルの塩化メチレン溶液をヘキサンに加えることを含む純度が90%よりも大きいリトナビルの非晶質の調製方法。
【請求項3】
I型リトナビルの塩化メチレン溶液を、1.5mL〜2.0mLの塩化メチレンあたり1gのリトナビルの濃度で、ヘキサンに、1gのリトナビルあたり60mL〜110mLのヘキサンの濃度で加えることを含む純度が90%よりも大きいリトナビルの非晶質の調製方法。
【請求項4】
I型リトナビルの塩化メチレン溶液を、1.5mLの塩化メチレンあたり1gのリトナビルの濃度で、ヘキサンに、1gのリトナビルあたり85mL〜90mLのヘキサンの濃度で加えることを含む純度が90%よりも大きいリトナビルの非晶質の調製方法。
【請求項5】
リトナビルのメタノール溶液をメチルt−ブチルエーテルに加えることを含む純度が90%よりも大きいリトナビルの非晶質の調製方法。
【請求項6】
I型リトナビルのメタノール溶液を、1.5mL〜2.0mLのメタノールあたり1gのリトナビルの濃度で、ヘキサンに、1gのリトナビルあたり60mL〜150mLのヘキサンの濃度で加えることを含む純度が90%よりも大きいリトナビルの非晶質の調製方法。
【請求項7】
I型リトナビルのメタノール溶液を、1.5mLのメタノールあたり1gのリトナビルの濃度で、ヘキサンに、1gのリトナビルあたり90mL〜110mLのヘキサンの濃度で加えることを含む純度が90%よりも大きいリトナビルの非晶質の調製方法。
【請求項8】
リトナビルのメタノール溶液を水に加えることを含む純度が90%よりも大きいリトナビルの非晶質の調製方法。
【請求項9】
I型リトナビルのメタノール溶液を、1.5mL〜2.0mLのメタノールあたり1gのリトナビルの濃度で、水に、1gのリトナビルあたり400mL〜500mLの水の濃度で加えることを含む純度が90%よりも大きいリトナビルの非晶質の調製方法。
【請求項10】
I型リトナビルのメタノール溶液を、1.6mLのメタノールあたり1gのリトナビルの濃度で、水に、1gのリトナビルあたり400mLの水の濃度で加えることを含む純度が90%よりも大きいリトナビルの非晶質の調製方法。
【請求項11】
リトナビルの溶液を凍結乾燥することを含む純度が90%よりも大きいリトナビルの非晶質の調製方法。
【請求項12】
リトナビルのイソブタノール溶液を凍結乾燥することを含む純度が90%よりも大きいリトナビルの非晶質の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(2S,3S,5S)−5−(N−(N−((N−メチル−N−((2−イソプロピル−4−チアゾリル)メチル)アミノ)カルボニル)−L−バリニル)アミノ)−2−(N−((5−チアゾリル)メトキシカルボニル)アミノ)−1,6−ジフェニル−3−ヒドロキシヘキサンの新規な結晶性多型体、その調製方法、薬学的薬剤としての使用方法、およびこの新規な結晶性多型体を含む薬学的組成物に関する。本発明はまた、(2S,3S,5S)−5−(N−(N−((N−メチル−N−((2−イソプロピル−4−チアゾリル)メチル)アミノ)カルボニル)−L−バリニル)アミノ)−2−(N−((5−チアゾリル)メトキシカルボニル)アミノ)−1,6−ジフェニル−3−ヒドロキシヘキサンの非晶質形態およびその調製方法に関する。
【0002】
発明の背景
ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)プロテアーゼの様々な阻害剤が、数年間にわたるHIV感染の処置における使用のために承認されている。特に効果的なHIVプロテアーゼ阻害剤は、(2S,3S,5S)−5−(N−(N−((N−メチル−N−((2−イソプロピル−4−チアゾリル)メチル)アミノ)カルボニル)−L−バリニル)アミノ)−2−(N−((5−チアゾリル)メトキシカルボニル)アミノ)−1,6−ジフェニル−3−ヒドロキシヘキサン(リトナビル)であり、これはノルビル(NORVIR)(登録商標)として販売されている。リトナビルは、HIVプロテアーゼの阻害、HIV感染の阻害、シトクロームP450モノオキシゲナーゼの阻害、およびシトクロームP450モノオキシゲナーゼによって代謝される化合物の薬物動態学を増強することに関して有用であることが知られている。リトナビルは、単独で使用されたとき、あるいは1つまたは複数の逆転写酵素阻害剤および/または1つまたは複数の他のHIVプロテアーゼ阻害剤と併用されたときにHIV感染の阻害に特に効果的である。
【0003】
リトナビルおよびその調製方法が米国特許第5,541,206号(1996年7月30日発行)に開示されている。この特許には、I型結晶と名付けられたリトナビルの結晶性多型体を製造するリトナビルの調製方法が開示されている。実質的に純粋なI型は、図1、4、6および8にそれぞれ示される粉末X線回折パターン、13C固体核磁気共鳴スペクトル、FT近赤外スペクトルおよびFT中赤外スペクトルを有する。図1に示される実質的に純粋なI型の粉末X線回折パターンにおける特徴的なピークの角度位置(2θ)は、3.33°±0.1°、6.76°±0.1°、8.33°±0.1°、14.61°±0.1°、16.33°±0.1°、16.76°±0.1°、17.03°±0.1°、18.02°±0.1°、18.62°±0.1°、19.47°±0.1°、19.86°±0.1°、20.25°±0.1°、21.46°±0.1°、23.46°±0.1°および24.36°±0.1°である。
【0004】
リトナビルの調製に関する別の方法が米国特許第5,567,823号(1996年10月22日発行)に開示されている。この特許で開示されている方法によってもまた、リトナビルはI型結晶として得られる。
【0005】
リトナビルまたはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物が、米国特許第5,541,206号(1996年7月30日発行)、同第5,484,801号(1996年1月16日発行)、同第5,725,878号(1998年3月10日発行)および同第5,559,158号(1996年9月24日発行)ならびに国際特許出願公開WO98/22106(1998年5月28日公開、これは米国特許出願第08/966,495号(1997年11月7日出願)に対応する)に開示されている。
【0006】
HIV感染を阻害するためのリトナビルの使用が米国特許第5,541,206号(1996年7月30日発行)に開示されている。HIV感染を阻害するために1つまたは複数の逆転写酵素阻害剤と組み合わせたリトナビルの使用が米国特許第5,635,523号(1997年6月3日発行)に記載されている。HIV感染を阻害するために1つまたは複数のHIVプロテアーゼ阻害剤と組み合わせたリトナビルの使用が米国特許第5,674,882号(1997年10月7日発行)に記載されている。シトクロームP450モノオキシゲナーゼを阻害して、シトクロームP450モノオキシゲナーゼにより代謝される化合物の薬物動態学を増強するためのリトナビルの使用が、国際特許公開WO97/01349(1997年1月16日公開)(これは米国特許出願第08/687,774号(1996年6月26日出願)に対応する)に開示されている。
【0007】
今回、予想外にも、リトナビルが、II型結晶と名付けられた新規な結晶性多型体として調製できることが発見された。
【0008】
本明細書中に引用されているすべての刊行物、発行された特許および特許出願は本明細書に参考として援用される。
【0009】
図面の簡単な説明
図1は、リトナビルの実質的に純粋なI型結晶性多型体の粉末X線回折パターンである。
図2は、リトナビルの実質的に純粋なII型結晶性多型体の粉末X線回折パターンである。
図3は、実質的に純粋な非晶質のリトナビルの粉末X線回折パターンである。
図4は、リトナビルの実質的に純粋なI型結晶性多型体の400MHz固体13C核磁気共鳴スペクトルである。
図5は、リトナビルの実質的に純粋なII型結晶性多型体の400MHz固体13C核磁気共鳴スペクトルである。
図6は、リトナビルの実質的に純粋なI型結晶性多型体のFT近赤外スペクトルである。
図7は、リトナビルの実質的に純粋なII型結晶性多型体のFT近赤外スペクトルである。
図8は、リトナビルの実質的に純粋なI型結晶性多型体のFT中赤外スペクトルである。
図9は、リトナビルの実質的に純粋なII型結晶性多型体のFT中赤外スペクトルである。
図10は、実質的に純粋な非晶質のリトナビルの示差走査熱量測定法によるサーモグラムである。
【0010】
発明の開示
本発明により、(2S,3S,5S)−5−(N−(N−((N−メチル−N−((2−イソプロピル−4−チアゾリル)メチル)アミノ)カルボニル)−L−バリニル)アミノ)−2−(N−((5−チアゾリル)メトキシカルボニル)アミノ)−1,6−ジフェニル−3−ヒドロキシヘキサン(リトナビル)の新規な実質的に純粋な結晶性多型体が提供される。識別するために、この結晶性多型体は、リトナビルのII型結晶性多型体と呼ばれる。
【0011】
実質的に純粋なII型は、図2、5、7および9にそれぞれ示される粉末X線回折パターン、13C固体核磁気共鳴スペクトル、FT近赤外スペクトルおよびFT中赤外スペクトルを有する。図2に示されるように、実質的に純粋なII型の粉末X線回折パターンにおける特徴的なピークの角度位置(2θ)は、8.67°±0.1°、9.88°±0.1°、16.11°±0.1°、16.70°±0.1°、17.36°±0.1°、17.78°±0.1°、18.40°±0.1°、18.93°±0.1°、20.07°±0.1°、20.65°±0.1°、21.71°±0.1°および25.38°±0.1°である。
【0012】
より好ましくは、実質的に純粋なII型は、図2に示されるように、下記の2θの角度位置を有する粉末X線回折パターンにおけるピークを特徴とする:
8.67°±0.1°、9.51°±0.1°、9.88°±0.1°、10.97°±0.1°、13.74°±0.1°、16.11°±0.1°、16.70°±0.1°、17.36°±0.1°、17.78°±0.1°、18.40°±0.1°、18.93°±0.1°、19.52°±0.1°、19.80°±0.1°、20.07°±0.1°、20.65°±0.1°、21.49°±0.1°、21.71°±0.1°、22.23°±0.1°、25.38°±0.1°、26.15°±0.1°および28.62°±0.1°。
【0013】
リトナビルの実質的に純粋なII型結晶性多型体は、非晶質のリトナビルをC1〜C3アルコールと接触させることによって非晶質のリトナビルから調製することができる。接触方法は、非晶質の化合物を周囲温度で溶媒に飽和させ、次いで混合物を長時間(例えば、一晩)放置すること、あるいは非晶質の化合物を高温(好ましくは、還流下)の溶媒に溶解し、その後、溶液を室温に冷却してII型を単離することのいずれかであり得る。
【0014】
本方法の実施形態において、リトナビルの実質的に純粋なII型の結晶性多型体は、非晶質リトナビルのC1〜C3アルコールにおける飽和溶液を室温で調製し、生じたII型を単離することによって、非晶質のリトナビルから調製することができる。実際には、これは、溶液が室温に冷却されたときに飽和溶液が得られ、その飽和溶液からII型を沈澱させて、単離できるように、十分な量の非晶質リトナビルを(還流するまでの)高温のC1〜C3アルコールに溶解することによって達成することができる。II型の調製に好ましい溶媒は無水エタノールである。得られる固体を単離することによってII型が得られる。
【0015】
実質的に純粋な非晶質のリトナビルは、I型リトナビルを融解して、融解物を急冷することによってリトナビルのI型結晶性多型体から調製される。得られる固体を単離することによって、非晶質のリトナビルが得られる。
【0016】
実質的に純粋な非晶質のリトナビルはまた、好適な溶媒(塩化メチレンなど、好ましくは塩化メチレン)におけるI型リトナビルの溶液を、好ましくは、約1.5mL〜2.0mLの溶媒あたり約1gのリトナビル(好ましくは、約1gのリトナビル/約1.5mLの塩化メチレン)の濃度で、抗溶媒(anti−solvent)(例えば、ヘキサンまたはヘプタンなど、好ましくはヘキサン)に、約60mL〜110mLの抗溶媒/gリトナビルの濃度で、好ましくは約85mL〜90mLのヘキサン/gリトナビルの濃度でゆっくり加え、その後、得られた固体を(例えば、ろ過により)単離することによって調製することができる。
【0017】
同様に、実質的に純粋な非晶質のリトナビルはまた、メタノールなどの好適な溶媒におけるI型リトナビルの溶液を、好ましくは、約1.5mL〜2.0mLの溶媒あたり約1gのリトナビル(好ましくは、約1gのリトナビル/約1.5mLのメタノール)の濃度で、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)などの抗溶媒に、約60mL〜150mLの抗溶媒/gリトナビルの濃度で、好ましくは約90mL〜110mLのMTBE/gリトナビルの濃度で、最も好ましくは約100mLのMTBE/gリトナビルの濃度でゆっくり加え、その後、得られた固体を(例えば、ろ過により)単離することによって調製することができる。
【0018】
実質的に純粋な非晶質のリトナビルはまた、好適な溶媒(例えば、メタノールなど、好ましくはメタノール)におけるI型リトナビルの溶液を、約1.5mL〜2.0mLの溶媒あたり約1gのリトナビル(好ましくは、約1gのリトナビル/約1.6mLのメタノール)の濃度で、水に、約0℃で、約400mL〜500mLの水/gリトナビル(好ましくは、約400mLの水/gリトナビル)の濃度でゆっくり加え、その後、得られた固体を(例えば、ろ過により)単離し、乾燥することによって調製することができる。
【0019】
実質的に純粋な非晶質のリトナビルはまた、I型リトナビルの溶液を凍結乾燥することによって調製することができる。好ましい溶媒は、C1〜C6アルコールである。より好ましい溶媒はイソブタノールである。
【0020】
あるいは、好ましい方法において、実質的に純粋なII型はまた、好適な溶媒(好ましくはC1〜C3アルコール、最も好ましくはエタノール)におけるI型リトナビルの溶液に未溶解の(2S)−N−((1S)−1−ベンジル−2−((4S,5S)−4−ベンジル−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)エチル)−2−((((2−イソプロピル−1,3−チアゾル−4−イル)メチル)アミノ)カルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミドを接種することによって調製することができる。好ましい方法において、I型リトナビルは、エタノール(好ましくは、200プルーフのエタノール)に、約150g/L〜約200g/Lの濃度で、好ましくは約160g/Lの濃度で溶解される。この溶液に、(2S)−N−((1S)−1−ベンジル−2−((4S,5S)−4−ベンジル−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)エチル)−2−((((2−イソプロピル−1,3−チアゾル−4−イル)メチル)アミノ)カルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミドの種晶が、1gのリトナビルあたり約0.02g〜0.10gの種晶の量で加えられる。加えられる種晶の量は、リトナビルの溶液に未溶解の種晶が存在するように、使用されている溶媒での飽和量を超えるようにされる。この混合物は、約0℃〜約15℃(好ましくは、約5℃)の温度で、約12時間〜約48時間(好ましくは、約24時間)放置することができる。得られたII型結晶性リトナビルはろ過により単離される。
【0021】
さらに別の好ましい代わりの方法において、実質的に純粋なII型は、II型結晶を接種し、その後、抗溶媒(例えば、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、石油エーテル、および類似する比誘電率を有するような他の抗溶媒;好ましくはヘプタン)を加えることによって、I型またはI型とII型との混合物を好適な溶媒(例えば、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルまたはクロロホルム、および類似する比誘電率を有するような他の溶媒;好ましくは酢酸エチル)における溶液から再結晶することによって調製することができる。加えられる種晶の量は、リトナビルの溶液に未溶解の種晶が存在するように、使用されている溶媒における飽和量を超えるようにされる。好ましい方法において、リトナビル(I型またはI型とII型との混合物)は、(約65℃〜約70℃で)加熱しながら、(1kgのリトナビルあたり約4.0L〜約6.0Lの)酢酸エチルに溶解される。溶液は、約55℃〜約50℃に、好ましくは約52℃にゆっくり冷却される。II型リトナビルの種晶(約0.5gのII型種晶/kgリトナビル〜約10.0gのII型種晶/kgリトナビル、好ましくは約1.25gのII型リトナビル/kgリトナビル)を加え、そして混合物を、約55℃〜約50℃の温度で、好ましくは約52℃の温度で約1時間攪拌する。加えられる種晶の量は、リトナビルの溶液に未溶解の種晶が存在するように、使用されている溶媒における飽和量を超えるようにされる。攪拌しながらヘプタン(約1.0L/kgリトナビル〜約4.0L/kgリトナビル;好ましくは約2.8L/kgリトナビル)を加え、混合物を約25℃に冷却し、次いで、約25℃で少なくとも12時間攪拌する。生成物は、ろ過/遠心分離によって単離され、加熱しながら真空下で乾燥される。製造規模(300kg〜400kgの回分処理)においては、ろ過/遠心分離による単離が、II型の場合、対応する量のI型の場合よりもかなり早いことが見出された(16時間対24時間〜30時間)。
【0022】
II型またはII型とI型との混合物は、II型またはII型とI型との混合物を、加熱しながら、好適な溶媒(例えば、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルなど;好ましくは酢酸エチル)に、約1kgのリトナビル/4Lの溶媒(好ましくは、酢酸エチル)の濃度で溶解することによって実質的に純粋なI型に変換できることもまた見出された。リトナビルの熱溶液が、抗溶媒(例えば、ヘプタンまたはヘキサンなど;好ましくはヘプタン)におけるI型リトナビルの種晶のスラリー(II型リトナビルまたはII型とI型との混合物の量に対して約0.5重量%〜約10重量%;好ましくは約0.5重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.5重量%〜約1重量%)に、4L〜8Lの抗溶媒あたり約1kgのリトナビル(II型またはII型とI型との混合物)の濃度で、好ましくは、約1kgのリトナビル(II型またはII型とI型との混合物)/約4Lのヘプタンの濃度でゆっくり(好ましくは、フィルターを通して)加えられる。混合物は約20℃に冷却され、少なくとも3時間攪拌される。得られる固体を(例えば、ろ過により)単離および乾燥することによって、I型リトナビルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】リトナビルの実質的に純粋なI型結晶性多型体の粉末X線回折パターンである。
図2】リトナビルの実質的に純粋なII型結晶性多型体の粉末X線回折パターンである。
図3】実質的に純粋な非晶質のリトナビルの粉末X線回折パターンである。
図4】リトナビルの実質的に純粋なI型結晶性多型体の400MHz固体13C核磁気共鳴スペクトルである。
図5】リトナビルの実質的に純粋なII型結晶性多型体の400MHz固体13C核磁気共鳴スペクトルである。
図6】リトナビルの実質的に純粋なI型結晶性多型体のFT近赤外スペクトルである。
図7】リトナビルの実質的に純粋なII型結晶性多型体のFT近赤外スペクトルである。
図8】リトナビルの実質的に純粋なI型結晶性多型体のFT中赤外スペクトルである。
図9】トナビルの実質的に純粋なII型結晶性多型体のFT中赤外スペクトルである。
図10】実質的に純粋な非晶質のリトナビルの示差走査熱量測定法によるサーモグラムである。
【0024】
下記の実施例は、本発明のリトナビルの新規な形態の調製およびII型からI型への変換をさらに例示するのに役立つ。
【0025】
実施例1
非晶質リトナビルの調製
リトナビルのI型結晶性多型体(100g)を、I型を加熱することによって125℃で融解した。融解物を125℃の温度で3時間維持した。融解物を保持する容器を、液体窒素を含有するジュワービンに入れることによって、融解物を急冷した。得られたガラスを乳鉢および乳棒で粉砕して、非晶質のリトナビル(100g)が得られた。粉末X線回折分析により、生成物が非晶質であることが確認された。示差走査熱量測定法による分析により、ガラス転移点が約45℃〜約49℃であることが求められた(始まりが45.4℃で測定され、49.08℃で終了し、中間点は48.99℃であった)。
【0026】
実施例2
結晶性リトナビル(II型)の調製
非晶質リトナビル(40.0g)を、沸騰した無水エタノール(100mL)に溶解した。この溶液を室温に冷却したときに、飽和溶液が得られた。室温で一晩放置した後、得られた固体を混合物からろ過によって単離し、風乾して、II型を得た(約24.0g)。
【0027】
実施例3
(2S)−N−((1S)−1−ベンジル−2−((4S,5S)−4−ベンジル−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)エチル)−2−((((2−イソプロピル−1,3−チアゾル−4−イル)メチル)アミノ)カルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミドの調製
実施例3a
(4S,5S)−5−((2S)−2−t−ブチルオキシカルボニルアミノ−3−フェニルプロピル)−4−ベンジル−1,3−オキサゾリジン−2−オンの調製
(2S,3S,5S)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−5−t−ブチルオキシカルボニルアミノ−1,6−ジフェニルヘキサン・コハク酸塩(30g、63mmol;米国特許第5,654,466号)、((5−チアゾリル)メチル)−(4−ニトロフェニル)カルボナート・塩酸塩(22.2g;米国特許第5,597,926号)、および重炭酸ナトリウム(16.2g)を300mLの水および300mLの酢酸エチルと混合し、混合物を室温で約30分間攪拌した。次いで、有機層を分離して、約60℃で約12時間加熱し、次いで20℃〜25℃で6時間攪拌した。3mLの水酸化アンモニウム(29%アンモニア水)を加えて、混合物を1.5時間攪拌した。得られた混合物を4x200mLの10%重炭酸カリウム水溶液で洗浄して、有機層を分離し、真空下で蒸発させてオイルを得た。オイルを約250mLのヘプタンに懸濁した。ヘプタンを真空下で蒸発させて、黄色固体を得た。この黄色固体を300mLのTHFに溶解して、25mLの10%水酸化ナトリウム水溶液を加えた。約3時間攪拌した後、4NのHCl(約16mL)を加えることによって混合物をpH7に調節した。THFを真空下で蒸発させ、水性残留物を得た。これに300mLの蒸留水を加えた。この混合物を攪拌した後、固体の細かい懸濁物が得られた。固体をろ過により集め、ろ過された固体を水(1400mL)で数回洗浄して、所望する生成物を得た。
【0028】
実施例3b
(4S,5S)−5−((2S)−2−アミノ−3−フェニルプロピル)−4−ベンジル−1,3−オキサゾリジン−2−オンの調製
実施例3aの湿った粗生成物を1NのHCl(192mL)においてスラリー化して、攪拌しながらスラリーを70℃に加熱した。1時間後、THF(100mL)を加え、65℃で攪拌を4時間続けた。次いで、混合物を20℃〜25℃に冷却し、20℃〜25℃で一晩攪拌した。THFを真空下での蒸発によって除き、得られた水溶液を約5℃に冷却した。これにより、少量の沈澱が生じた。この水性混合物を、50%水酸化ナトリウム水溶液(約18.3g)を加えることによってpH7に調節した。得られた混合物を約15℃で酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を100mLの食塩水で洗浄して、有機層を分離し、硫酸ナトリウム(5g)およびDarco G−60(3g)とともに攪拌した。この混合物をホットプレートにおいて45℃で1時間加温した。次いで、熱混合物をケイソウ土床でろ過し、ろ過床を酢酸エチル(100mL)で洗浄した。ろ液を真空下で蒸発させ、オイルを得た。オイルを塩化メチレン(300mL)に再溶解して、溶媒を真空下で蒸発させた。得られたオイルを真空下において室温で乾燥し、所望する生成物(18.4g)をガラス状シロップとして得た。
【0029】
実施例3c
(2S)−N−((1S)−ベンジル−2−((4S,5S)−4−ベンジル−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル)エチル)−2−((((2−イソプロピル−1,3−チアゾル−4−イル)メチル)アミノ)カルボニル)アミノ)−3−メチルブタンアミドの調製
N−((N−メチル−N((2−イソプロピル−4−チアゾリル)メチル)アミノ)カルボニル)−L−バリン(10.6g、33.9mmol;米国特許第5,539,122号および国際特許出願公開WO98/00410)、実施例3bの生成物(10.0g、32.2mmol)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(5.2g、34mmol)をTHF(200mL)に溶解した。次いで、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、7.0g、34mmol)をTHF混合物に加え、混合物を22℃で4時間攪拌した。クエン酸(25mLの10%水溶液)を加え、攪拌を30分間続けた。次いで、THFを真空下で蒸発させた。残留物を酢酸エチル(250mL)に溶解し、10%クエン酸溶液(175mL)で洗浄した。NaCl(5g)を、層分離を促進させるために加えた。有機層を10%重炭酸ナトリウム水溶液(2x200mL)および水(200mL)で順次洗浄した。次いで、有機層を硫酸ナトリウム(20g)で乾燥し、ろ過し、真空下で蒸発させた。得られた生成物(20.7gの泡状物)を熱酢酸エチル(150mL)に溶解し、次いでヘプタン(75mL)を加えた。冷えたときに、さらに75mLのヘプタンを加えて、混合物を加熱して還流させた。室温に冷却したとき、沈澱は生成しなかった。溶媒を真空下で蒸発させて、残留物を200mLの酢酸エチル/100mLのヘプタンの混合物に再溶解した。少量の未溶解の固体をろ過により除いた。ろ液を真空下で蒸発させ、残留物を100mLの酢酸エチル/50mLのヘプタンの混合物に溶解して、透明な溶液を得た。溶液を−10℃に冷却すると、白色の固体が得られた。混合物を−15℃で24時間静置した。得られた固体をろ過により集め、1:1の酢酸エチル/ヘプタン(2x24mL)で洗浄して、真空乾燥機において55℃で乾燥し、所望する生成物をベージュ色の固体として得た(16.4g)。
【0030】
H−NMR(DMSO−d)δ7.84(1H、二重線、J=8.6)、7.71(1H、一重線)、7.32〜7.11(11H、多重線)、6.09(1H、二重線、J=8.5)、4.51(1H、AB J=16.2)、4.43(1H、AB J=16.2)、4.22(1H、多重線)、4.07(1H、多重線)、3.96(1H、二重線の二重線、J=7.3、7.4)、3.65(1H、多重線)、3.23(1H、七重線、J=6.9)、2.89(3H、一重線)、2.84〜2.60(4H、多重線)、1.94(1H、多重線)、1.76〜1.49(2H、多重線)、1.30(6H、二重線、J=6.9)、0.80(3H、二重線、J=5.8)、0.77(3H、二重線、J=5.8)。
【0031】
13C−NMR(DMSO−d)δ177.2、171.5、157.6、157.5、152.8、138.3、136.5、129.5、129.2、128.2、128.0、126.4、126.0、114.0、77.2、59.9、57.6、48.2、46.2、40.4、40.1、39.1、34.5、32.4、30.3、22.8、22.8、19.4、18.3。
【0032】
実施例4
結晶性リトナビル(II型)の調製
1.595gのI型リトナビルを含む10mLの200プルーフエタノールの溶液に、実施例3cの生成物の添加量のすべてが溶解しないような量の実施例3cの生成物(約50マイクログラム)を加えた。この混合物を約5℃で24時間放置した。得られた結晶を0.45ミクロンのナイロン製フィルターによるろ過によって集め、風乾して、II型リトナビルを得た。
【0033】
実施例5
結晶性リトナビル(II型)の別の調製
酢酸エチル(6.0L/kgリトナビル)を反応容器内のリトナビル(I型またはI型とII型との混合物)に加えた。混合物を攪拌し、固体が溶解するまで70℃に加熱した。溶液を(遠心ポンプおよび多孔度が1.2ミクロンの5X20インチのカートリッジフィルターを用いて)ろ過し、ろ液を2〜20℃/時間の速度で52℃に冷却した。この溶液に、種晶のすべてが溶解しないような量のII型リトナビルの種晶(約1.25gのII型種晶/kgリトナビル)を加え、混合物を、15RPMの攪拌速度で、52℃で1時間以上攪拌した。次いで、混合物を10℃/時間の速度で40℃に冷却した。ヘプタン(2.8L/kgリトナビル)を、7L/分の速度で、混合しながら加えた。混合物を、混合しながら、10℃/時間の速度で25℃に冷却した。次いで、混合物を25℃で12時間以上攪拌した。生成物を、Heinkel型遠心分離を使用して、ろ過により単離した(操作時間、約16時間)。生成物を真空下(50mmHg)において55℃で16時間〜25時間乾燥し、リトナビルのII型結晶を得た。
【0034】
実施例6
非晶質リトナビルの調製
I型リトナビル(40g)を塩化メチレン(60mL)に溶解した。この溶液を、上部攪拌機を備え、ヘキサン(3.5L)を含有する丸底フラスコに15分かけてゆっくり加えた。得られたスラリーを10分間攪拌した。沈殿物をろ過して、真空乾燥機において室温で乾燥し、非晶質のリトナビルを得た(40g)。
【0035】
実施例7
非晶質リトナビルの調製
I型リトナビル(5g)をメタノール(8mL)に溶解した。この溶液を、上部攪拌機を備え、蒸留水(2L)を含有する丸底フラスコに、内部温度をほぼ0℃で維持しながらゆっくり加えた。得られた固体をろ過して、粘着性固体を得た。これを真空乾燥機において20℃〜25℃で12時間〜18時間乾燥して、非晶質のリトナビルを得た(2.5g)。
【0036】
実施例8
I型リトナビルの調製
II型リトナビル(1kg)を反応器(A)に加え、その後、酢酸エチル(4L)を加えた。この混合物を、すべての固体が溶解するまで還流した。
【0037】
別の反応器(B)に、すべての種晶が溶解しないような量のI型リトナビルの種晶(5g)を加え、その後、ヘプタン(4L)を加えた。この混合物(スラリー)を23℃±5℃で攪拌した。
【0038】
反応器Aからの熱溶液を、0.2ミクロンのフィルターカートリッジを使用してゆっくりろ過して、2時間以上かけて反応器B内の混合物に加えた。反応器Bにおいて得られたスラリーを20℃に冷却して、3時間以上攪拌した。得られたスラリーをろ過して、ろ過された固体をヘプタンで洗浄し、次いで真空乾燥機において65℃で乾燥して、I型リトナビルを得た。
【0039】
リトナビル(特に、II型リトナビル)を含む好ましい薬学的組成物は、下記の組成を有し、軟ゼラチンカプセルにカプセル化される。
II型リトナビル 100.0mg
エタノール、脱水 120.0mg
オレイン酸 709.75mg
ブチル化ヒドロキシトルエン 0.25mg
ポリオキシル35ひまし油 60.0mg
(Cremophor EL((登録商標))
水 10.0mg。
【0040】
好ましい組成物は、下記の方法に従って調製することができる。
下記のプロトコルは、1000錠の軟ゼラチンカプセルを調製する際に用いられる:
分量 品名 量
(mg/カプセル) (g)
適量 窒素、N.F. 適量
118.0 エタノール 118.0
脱水、米国薬局方、200プルーフ
2.0 エタノール 2.0
脱水、米国薬局方、200プルーフ
0.25 ブチル化ヒドロキシトルエン、NF 0.25
704.75 オレイン酸、NF 704.75
100.0 II型リトナビル 100.0
10.0 精製水、米国薬局方(蒸留水) 10.0
60.0 ポリオキシル35ひまし油、NF 60.0
5.000 オレイン酸、NF 5.000。
【0041】
混合タンクおよび好適な容器を窒素でパージする。118.0gのエタノールを計量し、窒素で覆い、その後の使用のために保つ。次いで、第2の量のエタノール(2g)を計量し、0.25gのブチル化ヒドロキシトルエンと、透明になるまで混合する。混合物を窒素で覆って保つ。主混合タンクを(30℃を超えないように)28℃に加熱する。次いで、704.75gのオレイン酸を混合タンクに入れる。次いで、混合しながら、100.0gのII型リトナビルをオレイン酸に加える。次いで、エタノール/ブチル化ヒドロキシトルエンを混合タンクに加え、その後、以前に計量された118.0gのエタノールを加え、少なくとも10分間混合する。次いで、10gの水をタンクに入れ、溶液が透明になるまで混合する(30分以上)。60.0gのポリオキシル35ひまし油をタンクに入れ、均一になるまで混合する。溶液は、カプセル化するまで2℃〜8℃で保存される。国際特許出願公開WO98/22106に記載されている手順に従って、1.0gの溶液をそれぞれの軟ゼラチンカプセルに充填し、次いで軟ゼラチンカプセルを乾燥し、2℃〜8℃で保存する。
【0042】
本明細書中で使用されている用語「実質的に純粋」は、リトナビルの多型体に関して使用される場合、純度が約90%よりも大きいリトナビルの多型体(I型またはII型)を示す。これは、リトナビルの多型体が、約10%を超える任意の他の化合物を含有していないこと、特に、約10%を超える任意の他のリトナビルの形態を含有していないことを意味する。より好ましくは、用語「実質的に純粋」は、純度が約95%よりも大きいリトナビルの多型体(I型またはII型)を示す。これは、リトナビルの多型体が、約5%を超える任意の他の化合物を含有していないこと、特に、約5%を超える任意の他のリトナビルの形態を含有していないことを意味する。さらにより好ましくは、用語「実質的に純粋」は、純度が約97%よりも大きいリトナビルの多型体(I型またはII型)を示す。これは、リトナビルの多型体が、約3%を超える任意の他の化合物を含有していないこと、特に、約3%を超える任意の他のリトナビルの形態を含有していないことを意味する。
【0043】
本明細書中で使用されている用語「実質的に純粋」は、非晶質のリトナビルに関して使用される場合、純度が約90%よりも大きい非晶質のリトナビルを示す。これは、非晶質のリトナビルが、約10%を超える任意の他の化合物を含有していないこと、特に、約10%を超える任意の他のリトナビルの形態を含有していないことを意味する。より好ましくは、用語「実質的に純粋」は、非晶質のリトナビルに関して使用される場合、純度が約95%よりも大きい非晶質のリトナビルを示す。これは、非晶質のリトナビルが、約5%を超える任意の他の化合物を含有していないこと、特に、約5%を超える任意の他のリトナビルの形態を含有していないことを意味する。さらにより好ましくは、用語「実質的に純粋」は、非晶質のリトナビルに関して使用される場合、純度が約97%よりも大きい非晶質のリトナビルを示す。これは、非晶質のリトナビルが、約3%を超える任意の他の化合物を含有していないこと、特に、約3%を超える任意の他のリトナビルの形態を含有していないことを意味する。
【0044】
サンプルの粉末X線回折分析は下記の方法で行った:粉末X線回折分析用のサンプルを、サンプルの粉末(事前に粉砕する必要はない)をサンプルホルダーにおいて薄い層に広げ、顕微鏡のスライドガラスでサンプルを静かに平らにすることにより調製した。Nicoletの12/V X線回折システムを下記のパラメーターで使用した:X線源:Cu−Kα1;範囲:2.00〜40.00°の2θ;走査速度:1.00度/分;ステップサイズ:0.02度;波長:1.540562オングストローム。
【0045】
特徴的な粉末X線回折パターンのピーク位置は、多型体の場合、角度位置(2θ)に関して、±0.1°の許容変動を伴って報告される。この許容変動は、米国薬局方(1843頁〜1844頁、1995年)により規定されている。±0.1°の変動は、2つの粉末X線回折パターンを比較するときに使用されるものとする。実際には、1つのパターンから得られる回折パターンピークが、測定ピーク位置±0.1°である角度位置(2θ)の範囲に特定され、もう一方のパターンから得られる回折パターンピークが、測定ピーク位置±0.1°である角度位置(2θ)の範囲に特定され、そしてピーク位置のそのような範囲が重なる場合、その2つのピークは、同じ角度位置(2θ)を有すると見なされる。例えば、1つのパターンから得られる回折パターンピークが5.20°の角度位置を有すると測定された場合、比較するために、許容変動により、そのピーク位置には、5.10°〜5.30°の範囲内の位置を指定することができる。もう一方の回折パターンから得られる比較ピークが5.35°のピーク位置を有すると測定された場合、比較するため、許容変動により、そのピーク位置には、5.25°〜5.45°の範囲内の位置を指定することができる。ピーク位置のこの2つの範囲(すなわち、5.10°〜5.30°および5.25°〜5.45°)の間には重なりが存在するために、比較されているこの2つのピークは、同じ角度位置(2θ)を有していると見なされる。
【0046】
サンプルの固体核磁気共鳴分析は下記の方法で行った。Bruker AMX−400MHz装置を下記のパラメーターで使用した:CP−MAS(交差分極マジックアングルスピニング);13Cに関する分光計の周波数は100.627652576MHzであり;パルス系列はcp21evであり;接触時間は2.5ミリ秒であり;温度は27.0℃であり;スピン速度は7000Hzであり;緩和遅延は6.000秒であり;第1パルス幅は3.8ミリ秒であり;第2パルス幅は8.6ミリ秒であり;捕捉時間は0.034秒であり;掃引幅は30303.0Hzであった;2000回の走査。
【0047】
サンプルのFT近赤外分析は下記の方法で行った。サンプルを、透明なガラスの1ドラムバイアルに含有される未希釈のニート粉末として分析した。Nicolet SabIR近赤外用の光ファイバープローブアクセサリーを用いたNicolet Magna System 750FT−IR分光計を下記のパラメーターで使用した:光源は白色光であり;検出器はPbSであり;ビームスプリッターはCaF2であり;サンプル間隔は1.0000であり;デジタイザービットは20であり;鏡速度は0.3165であり;開口度は50.00であり;サンプルゲインは1.0であり;高域フィルターは200.0000であり;低域フィルターは11000.0000であり;サンプルの走査回数は64回であり;集積時間は75.9秒であり;分解能は8.000であり;走査点の数は8480であり;FFT点の数は8192であり;レーザー周波数は15798.0cm−1であり;インターフェログラムピーク位置は4096であり;アポジゼーションはHapp−Genzelであり;バックグラウンド走査回数は64回であり、バックグラウンドゲインは1.0であった。
【0048】
サンプルのFT中赤外分析は下記の方法で行った。サンプルを未希釈のニート粉末として分析した。Spectra−Tech InspectIRビデオマイクロ分析アクセサリーおよびGermanium全反射吸収(GeATR)結晶を用いたNicolet Magna System 750FT−IR分光計を下記のパラメーターで使用した:光源は赤外線であり;検出器はMCT/Aであり;ビームスプリッターはKBrであり;サンプル間隔は2.0000であり;デジタイザービットは20であり;鏡速度は1.8988であり;開口度は100.00であり;サンプルゲインは1.0であり;高域フィルターは200.0000であり;低域フィルターは20000.0000であり;サンプルの走査回数は128回であり;集積時間は79.9秒であり;分解能は4.000であり;走査点の数は8480であり;FFT点の数は8192であり;レーザー周波数は15798.0cm−1であり;インターフェログラムピーク位置は4096であり;アポジゼーションは三角形型であり;バックグラウンド走査回数は1284回であり、バックグラウンドゲインは1.0であった。
【0049】
サンプルの示差走査熱量測定法による分析は下記の方法で行った。Differential Scanning Calorimetryモデル2910を有するA.T.A.Instruments Thermal Analyzer 3100を、モジュール化DSCソフトウエア・バージョン1.1Aとともに使用した。分析パラメーターは下記の通りであった:サンプル重量:2.28mg(カバーをかぶせ、端を押しつけなかったアルミニウム皿に入れた);加熱速度:窒素パージ下で5℃/分で室温から150℃まで。
【0050】
前記は、本発明の単なる例示であり、本発明を、開示された実施形態に限定することを目的としない。当業者に自明な様々な変形および変化は、添付された請求項に規定される本発明の範囲および本質に含まれるものとする。
図1
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