(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、交通の安全性と省電力化との双方が実現されるように設計変更しようとすると、システム全体が複雑となりコスト高になり易いという問題が指摘されている。
【0006】
本発明は上記した背景に鑑みて創作されたものであり、その目的とするところは、システム全体が非常にシンプルであるにもかかわらず、交通の安全性と照明設備の省電力化との双方を実現することが可能な照明システム及びこれに使用される照明ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明システムは、
トンネル内又は道路を照明するために間隔を開けて複数台設置された照明ユニットと、
前記トンネル又は道路を走行する車両の有無、視界距離
である走行環境の状況を検出し当該検出結果をセンシング信号として送信するセンサユニットと、前記トンネル等を照明する照明ユニットとを備える。照明ユニットは、光を照射する照明部と、照明部から照射される光の明るさを測定する測定部と、測定部の測定結果と予め用意された光量設定値との偏差に応じて前記照明部の調光を制御する調光制御部と、センサユニットから送信されたセンシング信号を受信する受信部と、当該センシング信号に基づいて所定のパターンで光量設定値を補正する補正部とを有している。
なお、センサユニットについては、トンネル又は道路を走行する車両の走行環境である雨の有無、煤煙濃度の変化又は黄砂濃度の変化を検出し当該検出結果をセンシング信号として送信するセンサとしても良い。
【0008】
このような照明システムの発明によると、照明ユニットにおいては、予め用意された光量設定値に基づいて照明部の調光が負帰還制御され、その結果、トンネル等の照度を一定に保たれる(自律調光制御機能)。センサユニットにおいては、トンネル等を走行する車両の有無、視界距離その他の走行環境の状況が検出され、この検出結果がセンシング信号として各照明ユニットに送信される。センシング信号を受信した照明ユニットにおいては、調光制御の指令値である光量設定値が同信号に基づいて所定のパターンで補正される(外部光束調整機能)。即ち、トンネル等の走行環境の状況が変化すると、これに応じてトンネル等の照度が適切なものに変更され、その後、走行環境の状況が変化しない限り、トンネル等の照度が一定に保たれる。
【0009】
よって、照明ユニットが自律調光制御機能及び外部光束調整機能を有することから、交通の安全性及び照明設備の省電力化との双方を実現することが可能である。
また、調光制御の指令値である光量設定値をセンシング信号に基づいて補正するという方法で
外部光束調整機能を実現した点で
照明ユニットの構成がその機能の割りに簡単になっている。しかも照明ユニットとセンサユニットから構成され、システム全体として非常にシンプルとなっており、これに伴って低コスト化を実現することが可能になる。
【0010】
本発明の照明システムの一構成であるセンサユニットがトンネル等を走行する車両の有無を検出する場合、照明ユニットの構成部である補正部については、受信部により受信されたセンシング信号が車両有を示すときは基準設定値に対して何らの補正を行わず、一方、受信部により受信されたセンシング信号が車両無を示すときは光量設定値に対してこれが小さくなる方向に補正を行う機能を有した構成のものを使用すると良い。
【0011】
このような照明ユニットの発明によると、センサユニットにより車両無が検出されたときは、照明ユニットの補正部により光量設定値が補正されて小さくなり、これに伴ってトンネル等の照度が低くなる。よって、照明設備の省電力化を図ることが可能になる。
【0012】
本発明の照明システムの一構成であるセンサユニットがトンネル等の視界距離を検出する場合、照明ユニットの構成部である補正部については、受信部により受信されたセンシング信号が示す視界距離が所定値以上であるときには当該検出結果に応じて前記光量設定値に対して何らの補正を行わず、一方、受信部により受信されたセンシング信号が示す視界距離が所定値未満であるときには当該検出結果に応じて光量設定値に対してこれが大きくなる方向に補正する機能を有した構成のものを使用すると良い。
【0013】
このような照明ユニットの発明によると、センサユニットにより視界距離の低下が検出されたときは、照明ユニットの補正部により光量設定値が補正されて大きくなり、これに伴ってトンネル等の照度が高くなる。よって、スモッグ等の状況であっても交通の安全性と快適性を図ることが可能になる。
【0014】
本発明の照明システムの一構成である照明ユニットにおいて、受信部にて受信されたセンシング信号に所定期間変化が現れないときは補正部の機能を停止させる異常検出部を更に有した構成のものを使用すると良い。
【0015】
このような照明ユニットの発明によると、受信したセンシング信号に所定期間変化が現れないときは、同信号に基づいて光量設定値を補正するという自律調光制御機能の処理が行われない。よって、センサユニットや通信回線等に故障が発生する等して、トンネル等の照度がトンネル等の走行環境とは無関係に制御されるという事態が防止される。トンネル等の照度が異常に低くなったり又は高くなったりしないことから、この点で一層の安全性と省電力化を図ることが可能になる。
【0016】
本発明の照明システムの一構成である照明ユニットにおいて、照明部が2以上のランプにより構成されている場合、制御信号を外部から入力するための制御信号入力部と、当該制御信号に基づいて前記ランプに対する通電を切り換える通電切換部を更に有した構成のものを使用すると良い。
【0017】
このような照明ユニットの発明によると、制御信号を通じてトンネル等の照明に関与するランプの数を遠隔制御可能になっていることから、例えば、昼夜の時間帯に応じてランプの数を任意に調節することが可能になり、この点で一層の照明設備の省電力化を図ることが可能になる。
【0018】
上記照明ユニットにおいて、測定部がランプの光の明るさを各々測定する場合には、測定部の測定結果に基づいて明るさが所定値以下に低下しているランプを認識するとともに当該ランプを消灯させる代わりに他のランプを点灯させるように通電切換部を制御するダークレス制御部を更に有した構成とすることが望ましい。
【0019】
このような照明ユニットの発明によると、ランプの一部が故障すると、故障したランプの代わりに他のランプが点灯することから、ランプ等の故障を原因としてトンネル等の照度が低くなる事態を未然に防止することができ、この点で一層の交通の安全性を図ることが可能になる。
【0020】
本発明の照明システムの一構成である照明ユニットにおいて、調光制御部には異なるレベルの複数の光量設定値が用意されている場合、調光信号を外部から入力するための調光信号入力部を更に備え、調光制御部は、当該調光信号に対応した光量設定値に基づいて前記照明部の照度を調光制御する機能を有した構成のものを用いる。
【0021】
このような照明ユニットの発明によると、調光信号を通じて光量設定値のレベルが遠隔制御可能であることから、例えば、昼夜の時間帯に応じてトンネル等の照度を外部から任意に調整することが可能となり、この点で一層の照明設備の省電力化を図ることが可能になる。
【0022】
本発明の照明システムの一構成である照明ユニットにおいて、受信部は、受信したセンシング信号に対して中継処理を行うとともに当該センシング信号を他の照明ユニットに送信する機能を有した構成のものを用いると良い。
【0023】
このような照明ユニットの発明によると、受信したセンシング信号に対して波形成形や信号増幅等の中継処理が行われ、中継処理後のセンシング信号が他の照明ユニットに転送される。よって、センサユニットと各照明ユニットとの間のセンシング信号の伝送の信頼性が高くなる。同信号の伝送にケーブルを使用する場合、隣り合って配置される照明ユニットの間をケーブルで接続するだけで足りることから、ケーブルの本数が少なくて良く、この点で一層の低コスト化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、特許請求の範囲に記載された発明の構成要素と実施例発明の構成要素との対応関係で不明なものについては後記する符号の説明の欄において併せて示すものとする。
【0026】
ここに例として掲げる照明システムは一般道路等のトンネル照明設備に使用されるものである。同システムの構成は以下の通りである。
【0027】
図1は照明システム1の構成図を示している。図中10はトンネルを走行する車両の有無、視界距離等を検出するセンサユニット、20はトンネル内を照明する照明ユニット、30は照明の点灯等を制御する中央制御ユニットである。また、図中αはセンサユニット10から出力されるセンシング信号、β1,β2は中央制御ユニット30から送信される制御信号、β3は同ユニット30から送信される減光信号を各々示している。
【0028】
本実施形態においては、センサユニット10、照明ユニット20及び中央制御ユニット30により照明システム1が構成されている。なお、図示例においては、便宜上、照明ユニット20の台数を10とし、これを照明ユニット20A〜20Jとして各々表している。
【0029】
図2は照明システム1の設置例の模式図である。図中40は中央制御ユニット30、センサユニット10及び照明ユニット20を接続する通信/電力ケーブルである。また、図中Tは照明システム1の設置に係るトンネル、CはトンネルTを走行する車両を各々示している。
【0030】
照明ユニット20A〜20Jについては、図示されているようにトンネルT内に間隔を開けて設置されている。
【0031】
図3はセンサユニット10の構成図を示している。図中11は車感センサ、12は視界センサ、13はタイマ、14は送信部である。これらの各部によりセンサユニット10が構成されている。
【0032】
センサユニット10については、
図2に示すようにトンネルTの内外(図示例においては、トンネルTの入り口の近く)に設置され、トンネルT内の走行環境(本実施形態においては、トンネルTを走行する車両Cの有無とトンネルT内の視界距離)の状況を検出し、
図3に示すようにこの検出結果をセンシング信号αとして送信する機能を有している。
【0033】
車感センサ11については、トンネルTを走行する車両Cの有無を検出するセンサである。視界センサ12については、トンネルTの視界距離を検出するセンサである。
【0034】
タイマ13については、送信部14にてセンシング信号αの生成に必要な各種の所定周波数の基準クロック信号を生成している。送信部14については、車感センサ11及び視界センサ12の各センサ出力及び前記基準クロック信号を受けてセンシング信号αを生成し、照明ユニット20(本実施形態においては、照明ユニット20A)に向けて電力/通信ケーブル40を使用してシリアル方式で送信している。
【0035】
図4はセンサユニット10から送信されるセンシング信号αの波形の概略を示している。具体的には以下の通りである。
【0036】
車感センサ11により車両Cが検出された場合、同図の第1段に示すように周期T1のパルスが連続して現れる。この状態は、次の車両Cが検出されたときを除いて、車両CがトンネルTを通過するのに十分な所定時間が経過がするまで維持される。車感センサ11により車両Cが前記所定期間検出されない場合、同図の第2段に示すように周期T2(T2<T1)のパルスが連続して現れる。
【0037】
視界センサ12により検出された視界距離がスモッグ等により所定値以下に低下した場合、車感センサ11により車両Cが検出されないときを除いて、同図の第3段に示すように周期T3(T3<T2)のパルスが連続して現れる。同パルスのパルス幅については一定ではなく、視界センサ12により検出された視界距離が所定値以下より小さくなると、これに応じて段階的に短くなっている。
【0038】
中央制御ユニット30については、
図2に示すようにトンネルT外に設置された制御盤である。図外のトンネル管理事務所との間で有線又は無線で遠隔制御され、全自動又は半自動により制御信号β1、β2及び減光信号β3を生成して照明ユニット20に出力している。
【0039】
制御信号β1、β2は照明ユニット20のランプ211a、211b(後述する)の点灯/消灯を切り換えるためのデジタル信号である。減光信号β3は昼間照明/夜間照明を切り換えるためのデジタル信号である。
【0040】
図5は照明ユニット20の構成図を示している。図中21は照明部、22は調光制御部、23は入出力インターフェイス、24は測定部、25は異常検出部、26は通電切換部、27は補正部、28はダークレス制御部、29は端子部である。これら各部により照明ユニット20が構成されている。
【0041】
なお、調光制御部22、異常検出部25、補正部27及びダークレス制御部28については、主として1チップマイクロコンピュータ等によりその機能が発揮されている。
【0042】
照明ユニット20の端子部29については、入力端子291,292,293,294,295及び出力端子296を有している。
【0043】
入力端子291には電力ケーブル40の一部が接続される。即ち、入力端子291を通じてAC200Vの商用交流が入力される。入力端子291にはACラインLが接続される。ACラインLの一部が分岐してACラインL1,L2となっている。ACラインLには電子回路電源用のトランス201が接続されている。
【0044】
入力端子292,293には通信ケーブル40の一部が接続される。即ち、入力端子292,293を通じて制御信号β1,β2が各々入力される。入力端子292,293には通電切換部26及びダークレス制御部28等が各々接続される。
【0045】
入力端子294には通信ケーブル40の一部が接続される。即ち、入力端子294を通じて減光信号β3が入力される。入力端子294には調光制御部22等が接続される。
【0046】
入力端子295には通信ケーブル40の一部が接続され、同ケーブルを介してセンサユニット10又は隣接する他の照明ユニット20に接続される。即ち、入力端子295を通じてセンシング信号αが入力される。入力端子295には入出力インターフェイス23の受信側が接続される。
【0047】
出力端子296には通信ケーブル40の一部が接続され、同ケーブルを介して隣接する他の照明ユニット20に接続される。即ち、出力端子296を通じて入力後のセンシング信号αが出力される。出力端子296には入出力インターフェイス23の送信側が接続される。
【0048】
照明部21については、トンネルT内を照明するための光を照射する照明器具であって、
図5に示すようにランプ211aを有した照明部21aと、ランプ211bを有した照明部21bから構成されている。ランプ211a及び211bは、本実施形態においては、直管の蛍光灯が使用されている。横に並べて配置されており、ランプ211aが下段照明用、ランプ211bが上段照明用となっている。
【0049】
照明部2121aについては、ランプ211aとインバータ電源部212aから構成されている。インバータ電源部212aは、ランプ211aを点灯させるための高周波電圧(ランプ電圧)を生成するPWM方式の調光制御機能を有した電子安定器である。
【0050】
インバータ電源部212aには、ACラインL1を通じて電源としての商用交流が入力されている他、調光制御部22にて生成された調光制御指令(ランプ電流指令値)としてのPWM信号γ1が入力されている。
【0051】
なお、上記した照明部21aと照明部21bとは全く同様の構成であるので、照明部21bの説明については省略するものとする。
【0052】
測定部24については、
図5に示すように照明部21から照射される光の明るさを測定するセンサ回路であり、照明部21aに対応した測定部24aと、照明部21bに対応した測定部24bから構成されている。
【0053】
測定部24aについては、光センサ241aと増幅回路242aから構成されている。光センサ241aはランプ211aから出力された光の明るさをアナログの電気信号に変換する半導体センサであり、ランプ211aの近くに配置されている。増幅回路242aは光センサ241aの後段に接続され、光センサ241aの出力を増幅して、光束センサ信号γ3として調光制御部22及びダークレス制御部28に出力している。
【0054】
なお、上記した測定部24aと測定部24bとは同様の構成であるので、測定部24bの説明については省略するものとする。
【0055】
ダークレス制御部28については、比較器やメモリ等を組み合わせた制御回路であり、照明部21の明るさが所定値(本実施形態においては、昼間用光束設定値及び夜間用光束設定値の2種類)以下に低下しているランプ211を認識し、当該ランプ211を消灯させる代わりに他のランプ211を点灯させるように切換信号γ5を通じて通電切換部26を制御している。
【0056】
昼間用光束設定値(本実施形態では100%)及び夜間用光束設定値(本実施形態では50%)については、ランプ211a,211b毎に用意され、同回路内のメモリ(図示せず)に予め記録されている。昼間用光束設定値と夜間用光束設定値との使い分けは調光信号β3に応じて行われている。即ち、調光信号β3が昼間照明を示すときは同メモリから昼間用光束設定値が読み出されて使用され、調光信号β3が夜間照明を示すときは同メモリから夜間用光束設定値が読み出され使用される。
【0057】
ダークレス制御部28は光束検知信号γ3,γ4、制御信号β1,β2及び調光信号β3が各々入力され、これらの信号に基づいて切換信号γ5を生成し、通電切換部26に出力している。具体的な機能は以下の通りである。
【0058】
まず、制御信号β1,β2がランプ211a,211bの点灯又は消灯を示すときには、切換信号γ5を非アクティブ状態とし、この状態を維持する。
【0059】
制御信号β1,β2がランプ211aの点灯、ランプ211bの消灯を示すときには、光束検知信号γ3が示すランプ211aの光の明るさと昼間用光束設定値等(ランプ211aに使用される昼間用光束設定値等)とを比較し、ランプ211aの光の明るさが昼間用光束設定値等に比べて大きいときには、切換信号γ3の非アクティブ状態を維持する。一方、ランプ211aの光の明るさが昼間用光束設定値等に以下であるときには、切換信号γ5を非アクティブ状態からアクティブ状態に変化させる。
【0060】
同様に、制御信号β1,β2がランプ211aの消灯、ランプ211bの点灯を示すときには、光束センサγ3が示すランプ211bの光の明るさと昼間用光束設定値等(ランプ211bに使用される昼間用光束設定値等)とを比較し、ランプ211bの光の明るさが昼間用光束設定値等に比べて大きいときには、切換信号γ5の非アクティブ状態を維持する。一方、ランプ211bの光の明るさが昼間用光束設定値等に以下であるときには、切換信号γ5を非アクティブ状態からアクティブ状態に変化させる。
【0061】
通電切換部26については、リレー261,262,263及び264を組み合わせたリレー回路であり、制御信号β1,β2及び切換信号γ5に基づいて照明部21aのランプ211a及び照明部21bの211bに対する通電を切り換えるようになっている。
【0062】
前記ACラインL1の末端はリレー261の接点、リレー263のブレーク接点を順次的に介して照明部21aのインバータ電源部212aに接続されている。ACラインL2の末端はリレー262の接点、リレー264のブレーク接点を順次的に介して照明部21bのインバータ電源部212bに接続されている。リレー263のブレーク接点とリレー264のメーク接点との間は電気的に短絡されている一方、リレー263のメーク接点とリレー264のブレーク接点との間は電気的に短絡されている。
【0063】
リレー261,262については、各接点が制御信号β1,β2を通じて各々開閉され、リレー263,264については、各接点が切換信号γ5を通じて同時に切り換わる。
【0064】
即ち、切換信号γ5が非アクティブ状態であるときは、制御信号β1を通じて照明部21aの通電がオンオフ可能となり、制御信号β2を通じて照明部21bの通電がオンオフ可能となる。一方、切換信号γ5がアクティブ状態であるときは、制御信号β1を通じて照明部21bの通電がオンオフ可能となり、制御信号β2を通じて照明部21aの通電がオンオフ可能となる。
【0065】
調光制御部22については、測定部24の測定結果と予め用意された光量設定値(本実施形態においては、昼間用光量上限値及び夜間用光量上限値の2種類)との偏差に応じて照明部21aの調光を制御(本実施形態においては、PI制御)している。
【0066】
昼間用光量設定値(本実施形態では100%)及び夜間用光量設定値(本実施形態では50%)については、上記した昼間用光束設定値及び夜間用光束設定値と全く同様に、ランプ211a,211b毎に用意され、同回路内のメモリ(図示せず)に予め記録されている。昼間用光量設定値と夜間用光量設定値との使い分けについても調光信号β3に応じて行われている。
【0067】
なお、図中221a,221bは、PWM信号γ1,γ2の各電圧レベルを5Vから12Vに変換するためのDC/DCコンバータである。
【0068】
調光制御部22は、光束検知信号γ3,γ4、切換信号γ5、制御信号β1,β2及び調光信号β3が各々入力され、これらの信号に基づいてPWM信号γ1,γ2を各々生成し、インバータ電源部212a,212bに各々出力している。具体的な機能は以下の通りである。
【0069】
制御信号β1がランプ211aの点灯を示す場合、光束検知信号γ3が示すランプ211aの光の明るさと昼間用光量設定値等(ランプ211aに使用される昼間用光量設定値等)との偏差を求め、その偏差に応じたパルス幅を有したPWM信号γ1を生成し、この結果、ランプ211aの光量が昼間用光量設定値等に一致するように照明部21aの照度を負帰還により調光制御している。
【0070】
制御信号β2がランプ211bの点灯を示す場合、光束検知信号γ4が示すランプ211bの光の明るさと昼間用光量設定値等(ランプ211bに使用される昼間用光量設定値等)との偏差を求め、その偏差に応じたパルス幅を有したPWM信号γ2を生成し、この結果、ランプ211bの光量が昼間用光量設定値等に一致するように照明部21aの照度を負帰還により調光制御している。
【0071】
但し、制御信号β1,β2がランプ211a,ランプ211bの何れか一方の点灯を示す場合で、切換信号γ5がアクティブ状態を示すときは、制御信号β1,β2と点灯するランプ211との関係が上記とは逆になることから、制御信号β1等に基づいてPWM信号γ2を上記と同様に生成する一方、制御信号β2等に基づいてPWM信号γ1を上記と同様に生成している。
【0072】
このような照明部21a,21bの照度の調光制御の各指令値については、補正部27が機能しないときは、上記メモリから読み出された昼間用光量設定値等がそのまま使用される一方、補正部27が機能しているときは、補正部27により補正された後の昼間用光量設定値等が使用されるようになっている。
【0073】
入出力インターフェイス23については、送受信用の電子回路であり、入力端子295を通じて入力されたセンシング信号αを受信して補正部27及び異常検出部25に出力する機能と、受信したセンシング信号αに対して中継処理(本実施形態では、波形成形及び信号増幅等)を行ない当該センシング信号αを出力端子296を通じて他の照明ユニット20に送信する機能を併有している。
【0074】
補正部27については、入力端子295、入出力インターフェイス23を通じて入力されたセンシング信号αに基づいて所定のパターンで光量設定値(本実施形態では昼間用光量設定値等)を補正するようになっている。本実施形態においては、以下のようなパターンでランプ211a,211bに使用される昼間用光量設定値等を補正している。
【0075】
まず、入力されたセンシング信号αの信号変化を監視しセンサユニット10によるトンネルT内の走行環境の状況を検出結果を把握する。
【0076】
その結果、トンネルT内に車両Cが検出されたときは昼間用光量設定値等に対して何らの補正を行わない。一方、車両Cが検出されないときは昼間用光量設定値等に対してこれが所定値だけ小さくなる方向に補正を行う。
【0077】
また、トンネルT内の視界距離が所定値以上であることが検出されたときは昼間用光量設定値等に対して何らの補正を行わない。一方、視界距離が所定値未満であることが検出されたときは、昼間用光量設定値等に対してこれが視界距離低下分に応じた所定値だけ大きくなる方向に補正する。
【0078】
異常検出部25については、入力端子295、入出力インターフェイス23を通じて入力されたセンシング信号αに所定期間変化が現れないときは補正部27の機能を停止させる。例えば、
図4の第4段に示すようにセンシング信号αがLレベルのまま変化せず、この状態で期間Tより長い所定期間続くのを検知したときは、補正部27としての機能を停止させ、昼間用光量設定値等に対して何らの補正を行わないようにする。センシング信号αがHレベルのまま変化しない場合についても全く同一の動作となる。
【0079】
このように構成された照明システムの場合、以下のような動作となる。照明ユニット20A〜20JによりトンネルT内が照明され、時間帯等を応じて中央制御ユニット30から時間帯等に応じて制御信号β1,β2及び減光信号β3が送信されることから、各照明ユニット20から出力される光の明るさや点灯するランプの本数等が調整され、その結果、昼間/夜間に関係なくトンネルT内の路面照度が適切に維持される。
【0080】
特に照明ユニット20のランプ211a、211bの何れか一方が点灯状態にあるにもかかわらず、そのランプが寿命等により消灯したとしても、他方のランプが自動的に点灯することから、この点で照明の信頼性が高くなる。
【0081】
トンネルT内の視界距離がスモッグ等の原因で低下した場合は、これがセンサユニット10により検出され、その結果、照明ユニット20から出力される光の光量が視界距離低下分に応じて大きくなることから、この点で交通の安全性を図ることが可能になる。
【0082】
トンネルT内を走行する車両Cが存在しなくなった場合、これがセンサユニット10により検出され、その結果、照明ユニット20から出力される光の光量が低下することから、この点で省電力化を図ることが可能になる。
【0083】
また、センサユニット10等が万一故障したとしても照明ユニット20A〜20JによるトンネルT内の照明が適切に行われることから、この点で安全性と省電力化を図ることが可能になる。
【0084】
なお、本発明に係る照明システムは、トンネル照明設備だけの利用に止まらず道路照明設備にも同様に適用可能である。また、センサユニット及び照明ユニットだけの最もシンプルな構成とし、照明ユニット間で点灯及び消灯等について同期がとられるように通信を行う形態にしても良い。
【0085】
センサユニットについては、車両の有無又は視界距離の状況を検出するセンサだけに止まらず、走行環境の状況(例えば、雨の有無、煤煙濃度の変化、黄砂濃度の変化等)を検出するセンサであっても良い。また、センサの信号出力をパラレル形式で送信したり、無線で送信したりする形態であっても構わない。
【0086】
照明部については、ランプの種類が蛍光灯だけに止まらず、HID(High Intensity Discharge) ランプや白熱ランプ等でも良く、ランプの数も任意である。
【0087】
測定部については、道路面の照度を測定する等してランプ光の明るさを間接的に測定しても良く、照明ユニットのケースに外付けする形態でもかまわない。
【0088】
調光制御部については、照明部の照度を負帰還制御するに当たりP制御又はPID制御を用いても良い。また、ソフトウエアを利用せずハードウェアを用いてその機能を実現したり、ランプに供給すべき電圧、電流、パルス幅又は周波数を調節して照明部の照度を調光制御する形態であってもかまわない。
【0089】
受信部については、センサユニットの種類に対応したものを用いると良い。
【0090】
補正部については、センシング信号に応じて基準設定値を補正するパターンに関し、同信号に対応するセンサユニットのセンサの種類等に応じて交通の安全性又は省電力化の観点からその内容を適宜決定すれば良い。