(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732252
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】浸出遠心力を利用して飲料または液体食品を生成するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20150521BHJP
A47J 31/40 20060101ALI20150521BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20150521BHJP
A47J 31/44 20060101ALI20150521BHJP
A23F 5/36 20060101ALI20150521BHJP
A23F 3/30 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
A23L2/00 X
A47J31/40
A47J31/06 A
A47J31/44 Z
A23F5/36
A23F3/30
【請求項の数】29
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2010-510711(P2010-510711)
(86)(22)【出願日】2008年4月11日
(65)【公表番号】特表2010-528635(P2010-528635A)
(43)【公表日】2010年8月26日
(86)【国際出願番号】EP2008054401
(87)【国際公開番号】WO2008148601
(87)【国際公開日】20081211
【審査請求日】2011年4月7日
(31)【優先権主張番号】07109579.8
(32)【優先日】2007年6月5日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】07109580.6
(32)【優先日】2007年6月5日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】08102148.7
(32)【優先日】2008年2月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】08102149.5
(32)【優先日】2008年2月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】08102147.9
(32)【優先日】2008年2月29日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114270
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 一之
(74)【代理人】
【識別番号】100139000
【弁理士】
【氏名又は名称】城戸 博兒
(74)【代理人】
【識別番号】100152191
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 正人
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム, アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】デニサート, ジャン−ポール
(72)【発明者】
【氏名】ライザー, アントワネ
【審査官】
上條 肇
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−339431(JP,A)
【文献】
米国特許第5325765(US,A)
【文献】
特開平02−189114(JP,A)
【文献】
特開2001−061663(JP,A)
【文献】
特表2005−516602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00
A23F 3/30
A23F 5/36
A47J 31/06
A47J 31/40
A47J 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセルホルダ(41)と注入蓋(40)とを備える飲料生成装置内で、シール蓋(30)でシールされたカプセル内に収容された所定用量の食品物質から、浸出遠心力を利用して水を前記物質に通すことにより、飲料または液体を生成するための方法であって、
前記カプセルのシール蓋(30)を通過する、前記飲料生成装置の注入蓋(40)の水注入器またはランスで、カプセルのシール蓋(30)を穿孔することにより、前記カプセル内に水を供給するステップと、
前記飲料生成装置内で前記カプセルを遠心回転駆動させることにより、水を遠心流路で前記物質に流通させて前記カプセルの出口手段へ流すステップと、
を備え、
前記カプセルがその使用前にシールされたカプセルであり、該カプセルの外周に沿って配置された複数の外周出口を、前記注入蓋(40)の内側の外周位置にその外周にわたって均一に配置された出口穿孔要素(51)で穿孔することによって、水を前記カプセルの外部に流出させるために開放され、
前記カプセルは、その使用後に廃棄され、
前記複数の外周出口が前記カプセルのシール蓋(30)に穿孔される、方法。
【請求項2】
前記カプセルが、1杯または2杯の飲料を生成するための所定用量の物質を収容する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カプセルが、挽いたコーヒー粉末、可溶性コーヒー、茶、チョコレート、粉末クリーム、香味料、および、これらの組み合わせを収容する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記カプセルが気密態様でシールされる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カプセルが少なくとも500rpmの遠心速度で回転駆動される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
圧力を実質的にかけることなく、水を前記カプセル内に導入する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記カプセルは、その回転軸線(I)が垂直であるかあるいは垂直に対して90度よりも小さい角度で傾けられたかで基準付けられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
シールされたカプセル内に収容された食品物質から、遠心力を利用して水を前記物質に通すことにより、飲料または液体食品を生成するためのシステムであって、
前記カプセル内に水を導入するための水供給手段と、
前記カプセルを遠心回転駆動させるための駆動手段と、
を備える装置を備え、
前記カプセルがその使用前にシールされており、水をその内部に導入するために穿孔され、該カプセルが、食品物質を収容しており、液体食品を浸出するために前記装置内に挿入できるとともに、その後、液体食品の浸出後に前記装置から除去することができ、
前記システムが、前記水供給手段から前記カプセル内に前記水が導入されるように、前記駆動手段に沿う回転軸線に沿って、且つ、前記装置内に取り外し可能な態様で、前記カプセルを位置決めして基準付けるための基準付け手段を更に備え、
前記装置が、前記カプセルのシール蓋の外周内側に沿って配置される複数の外周出口を穿孔する出口穿孔手段を備え、前記出口穿孔手段が、前記装置内のカプセルの回転軸線に対して径方向に位置される、システム。
【請求項9】
前記基準付け手段が、カプセルをその中心軸線周りに回転させることができるようにするために前記駆動手段に関連付けられるカプセルホルダを備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記カプセルが、ガスを透過させず、好ましくはシール蓋を備える、請求項8または9に記載のシステム。
【請求項11】
前記カプセルの前記シール蓋が柔軟な穿孔可能な膜を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記カプセルがカップ形状本体を備える、請求項8〜11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記カプセルが円錐台状の側壁を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記装置が、前記膜を穿孔して前記水供給手段がカプセル内に水を導入できるようにするための入口穿孔手段を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記入口穿孔手段が、カプセル装置の回転軸線またはその近傍に少なくとも1つの水注入口を穿孔するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記入口穿孔手段が単一のニードルである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記出口穿孔手段が、円形パターンを成して位置され且つ前記カプセルに径方向穴を穿孔するようにカプセルに対して配置される一連のニードルを備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
シール蓋を備えるシールされたカプセル内に収容された食品物質から、水を前記カプセル内の前記物質に通すことにより、飲料または液体食品を生成するための装置であって、
水を前記カプセル内に導入するための水供給手段を備え、前記カプセルを装置内で回転軸線(I)に沿って位置決めして基準付けるための基準付け手段と、前記カプセルを遠心回転駆動させるための駆動手段とを更に備え、
前記基準付け手段が前記カプセルを閉じる注入蓋を備え、該注入蓋が、少なくとも1つの水注入口を前記カプセルの前記シール蓋に穿刺するための手段を備え、
前記装置が、抽出液体が前記カプセルから流出できるようにするために前記カプセルのシール蓋の外周に沿って配置される複数の外周出口を前記シール蓋に穿孔する出口穿孔手段を備え、前記出口穿孔手段が、前記装置内のカプセルの回転軸線に対して径方向に位置される、装置。
【請求項19】
前記駆動手段が、前記カプセルを回転駆動させるために前記基準付け手段に接続される電気モータおよび駆動シャフトを備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記基準付け手段が、前記水供給手段から前記カプセルに前記水が導入されるとともに前記駆動手段により前記カプセルが遠心回転駆動されるように、前記カプセルを取り外し可能な態様で、前記装置内で受けるように設計される、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
前記基準付け手段が、回転駆動できるキャビティを備えたカプセルホルダを備える、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記カプセルホルダが、該カプセルホルダを中心回転軸線周りで駆動させるように構成された駆動シャフトを介してモータに接続される、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記穿孔手段が前記注入蓋の一連のニードルによって形成される、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
浸出液体を収集するための収集器を備える、請求項18〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
所定量の水をカプセル内に通すことなく前記収集器内に加えるように構成されたバイパス導管を備える、請求項18〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記カプセルを遠心回転駆動させるための前記駆動手段の速度を変え、それにより、前記カプセル内に異なる遠心圧力を与えるように適合された制御ユニットを備える、請求項18〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記制御ユニットが、少なくとも2つの異なる遠心速度を与えるようにプログラムされる、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記水供給手段がポンプを備える、請求項18〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記水供給手段が、回転動作の作用下で前記カプセル内に水を注入するために水リザーバに接続される注入チューブを備える、請求項18〜28のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、物質を収容する容器に対して及ぼされる遠心力を利用することによって浸出されあるいは抽出される食品物質から飲料または液体食品を生成するための方法に関する。また、本発明は、方法を実施するためのシステムに関する。
【0002】
浸出コーヒーおよびコーヒー粉末から成る混合物が遠心力によって分離される飲料生成は公知である。そのような混合物は、熱水およびコーヒー粉末を所定時間にわたって一緒にすることによって得られる。その後、水がスクリーンを通じて押し進められ、スクリーン上にはスクリーン粉末材料が存在する。
【0003】
既存のシステムは、例えば欧州特許出願EP0367600B1の場合のように、通常は機械の取り外し不可能な部分である容器内にコーヒー粉末を配置することから成る。そのような装置は多くの欠点を有する。第1に、コーヒー粉末を容器内に手作業で適切に投入しなければならない。第2に、回転されるコーヒー廃物が乾燥してしまい、容器の表面をこすることによってコーヒー廃物を除去しなければならない。その結果、コーヒーの生成には、多くの手作業を要し、非常に時間がかかる。通常、コーヒーの鮮度は大きく異なる可能性もあり、これがカップ品質に影響を及ぼす可能性がある。これは、コーヒーが一般にバルクパッケージによってもたらされるからであり、あるいは、コーヒーが容器自体の中で豆から挽かれるからである。
【0004】
また、コーヒーの手作業での投入および浸出条件(例えば、遠心速度、容器サイズ)に応じて、カップ品質が大きく異なる可能性がある。
【0005】
したがって、これらのシステムは、決して大きな商業的成功に到達するには至らなかった。
【0006】
独国特許出願DE102005007852では、機械が取り外し可能ホルダを備え、上記ホルダ内には容器の開放したカップ形状部が配置される。他の部分すなわち蓋は、機械の駆動軸線に取り付けられる。利点は、容器を便利に取り外して洗浄できるという点である。しかしながら、欠点は集中的な手作業である。他の欠点は、粉末の投入における制御の欠如およびコーヒー粉末の鮮度の制御の欠如に起因してコーヒーの品質を制御するのが困難なことである。
【0007】
遠心力によってコーヒーを浸出するための他の装置は、国際公開WO2006/112691、仏国特許出願FR2624364、欧州特許出願EP0367600、英国特許出願GB2253336、仏国特許出願FR2686007、欧州特許出願EP0749713、独国特許出願DE4240429、欧州特許出願EP0651963、仏国特許出願FR2726988、独国特許出願DE4439252、欧州特許出願EP0367600、仏国特許出願FR2132310、仏国特許出願FR2513106、仏国特許出願FR2487661、独国特許出願DE3529053に記載されている。
【0008】
コーヒーまたは他の食品物質を浸出するための遠心力の作用は、高圧ポンプを使用する通常の「エスプレッソ」タイプの浸出方法と比べて多くの利点を与える。「エスプレッソ」タイプの浸出方法では、コーヒーの抽出の質に影響を与える全てのパラメータをマスターすることが非常に難しい。これらのパラメータは、一般に、圧力、圧力と共に減少する流量、流れ特性に影響を与え且つ挽いたコーヒーの粒径に依存するコーヒー粉末の圧密度、温度、水流分配などである。
【0009】
したがって、最終的な浸出液体の品質を制御するために、抽出パラメータを良好に更に独立に制御でき、そのため、抽出パラメータをより良くマスターできるように適合された新規な抽出プロセスおよびカプセルを提案する必要がある。
【0010】
また、最適な飲料を得ることができるように各飲料の浸出特性を調整しつつ、異なる種類の飲料、特にコーヒー飲料、例えばエスプレッソ、フィルタコーヒー、または、カフェラッテを浸出できるシステムを提案する必要もある。特に、浸出パラメータ、とりわけ物質層に作用する浸出圧力範囲を制御する、容易で簡単な方法を与える多目的システムが必要である。
【0011】
同時に、従来技術の遠心装置と比べてより便利な方法であって、鮮度および容器内の投入量などの重要な品質パラメータのより高度な制御によってより良好なカップ内品質を与える方法が必要である。
【0012】
本発明は、より一般的な意味で、フィルタ容器内に収容された食品物質から、浸出遠心力を利用して水を上記物質に通すことにより、飲料または液体を生成するための方法であって、
上記容器内に水を供給するステップと、
上記容器を遠心回転駆動させることにより、水を遠心流路で上記物質に流通させて上記容器の出口手段へ流すステップと、
を備え、
上記容器は、その使用前にシールされたカプセルによって形成されており、該カプセルは水を内部に導入するために開放され、
上記カプセルは、所定用量の食品物質を収容し、その使用後に廃棄される、方法に関する。
【0013】
カプセルは、その筐体内に収容される物質の鮮度を保つために気密態様でシールすることができる。カプセルは、例えばカプセルの穿孔によって装置自体の内部で開放することができ、あるいは、カプセルが装置内に挿入される前に、例えばカプセルを穿孔することによりあるいはカプセルのシール箔を除去することによって開放することができる。
【0014】
飲料生成装置内にカプセルを挿入した後、カプセル内に水を導入するため、カプセルの穿孔によってカプセルを開放することができる。
【0015】
少なくとも1つの通路を設けることによって飲料生成装置内にカプセルを挿入する前に、カプセル内に水を導入するため、カプセルのシール箔を穿孔しあるいは除去することによってカプセルを開放することもできる。
【0016】
方法は、特に、飲料生成装置内で、フィルタ容器内に収容される食品物質から、浸出遠心力を利用して水を上記物質に通すことにより、液体食品または飲料を生成する方法であって、
容器内に水を供給するステップと、
容器を遠心回転駆動させることにより、水を遠心流路で上記物質に流通させて上記容器の出口手段へ流すステップと、
を備え、
容器は、その使用前にシールされるカプセルによって形成され、
カプセルは、所定用量の食品物質を収容し、
カプセルは、飲料生成装置内に配置され、
カプセルは、水を上記カプセル内に導入するために開放され、
カプセルは、飲料生成装置内でのカプセルの遠心力
の作用によって液体がカプセルから浸出された後、廃棄されるために飲料生成装置から除去される、
方法に関する。
【0017】
「シールされる」カプセルという用語は、カプセルがガスバリア特性を有する材料から形成され、且つカプセル内への空気の進入が防止されるようにカプセルが流体密な態様でシールされることを意味する。また、カプセルは、カプセル内の物質の鮮度を向上させる不活性ガスを収容することが好ましい。また、カプセルが装置内に配置される前に除去される外側保護膜でカプセルを包むことができる。
【0018】
カプセルは、1杯または2杯(例えば1〜2カップ)の飲料を生成するために所定用量の物質を収容することが好ましい。飲料のカップは、通常、約25〜220mLに寸法付けられる。
【0019】
コーヒーの単一カップにおける物質の用量は、例えば、焙煎コーヒーおよび挽いたコーヒー4〜8グラムであってもよい。
【0020】
この方法によって驚くほど向上した浸出結果が得られ、それにより、圧力使用法(例えば、ポンプによって加圧される浸出水を使用する「エスプレッソ」タイプの方法)よりも高い量のコーヒー固形物がカップ内で得られることに留意されたい。理論に縛られることなく、遠心作用によって水流がより均一に分配され、それにより、圧力ポンプによって得られる正圧を使用する従来の方法と比べてコーヒー層に選択的な流路が殆どあるいは全く形成されないと思われる。
【0021】
カプセル内の食品物質は、挽いたコーヒー粉末、可溶性コーヒー、茶、チョコレート、粉末クリーム、香味料、および、これらの組み合わせであってもよい。
【0022】
カプセルは、好ましくは少なくとも5000rpm、より好ましくは5000〜16000rpmの遠心速度で回転駆動される。驚くべきことに、そのような高速回転では、挽いたコーヒーを収容するカプセルを用いると、改善されたコーヒークレマが得られる。クレマは、大きい泡サイズを伴う更に水っぽい従来の方法によって得られる通常のクレマと比べて、真の油乳剤および水乳剤のような更にクリーミーな粘度を有する。
【0023】
無論、速度は、食品原料の性質によっても決まる。リーフティーの場合、遠心速度は、圧力抽出ではなく煎じ出しを行なうために低いことが好ましい。特に、リーフティーにおいては、遠心速度は、10〜1000rpmであり、より好ましくは50〜500rpmである。
【0024】
カプセルはシール蓋を備えることができる。シール蓋は柔軟な膜を備えることができる。膜は、高分子、アルミニウム、および/または、アルミニウム合金から形成されるガスバリア層および支持層を備えることができる。
【0025】
また、カプセルはカップ形状本体を備えることができ、カップ形状本体にはシール蓋がシールされる。また、カップ形状本体はガスバリア材料も備える。カップ形状本体は、薄いアルミニウムなどの金属および/またはプラスチックであってもよい。
【0026】
他の実施形態において、カプセルは2つのシールされた柔軟な箔から形成される。箔は、2つの同一の側面を形成するように対称に配置することができ、また、外周の継ぎ目で溶着することができる。
【0027】
他の形態において、カプセルは、カップ形状本体に取り付けられるプラスチック蓋を備える。プラスチック蓋および本体は、偏向可能なシールリップを備えるクリップ留め部材を介して取り付けることができる。偏向可能なリップは、カプセルから出る浸出液体へ伝えられる遠心力の作用下で開放するように設計される。この形態の変形例において、カプセルは、カップ形状本体に溶着されるプラスチック蓋を備え、一方、遠心力の作用下で浸出液体がカプセルから流出するように、蓋および/または本体には一連の予め形成された外周出口が設けられる。予め形成された外周出口は、浸出液体をフィルタ処理し且つ物質の固体粒子をカプセル内に維持するために小サイズの一連の小さいスリットであってもよい。したがって、蓋および本体を超音波または任意の適した接続方法によって溶着することができる。
【0028】
本発明の方法は、熱水がカプセル内に実質的に圧力をかけることなく導入される動作を含む。水は、吸引または気化の原理を利用する熱水供給機構によってもたらすことができる。
【0029】
あるいは、高い流れ粘性においては、蠕動ポンプまたは隔膜ポンプなどの低圧ポンプを用いて熱水を導入することができる。
【0030】
また、方法は、水がシールされたカプセル内に導入される前あるいは導入される時に、少なくとも1つの外周液体出口が形成される動作も包含する。
【0031】
上記出口をカプセルの蓋に穿孔することができる。上記出口をカプセルの側壁に穿孔することもできる。
【0032】
1つの形態では、カプセルの外周領域に穿孔によって複数の出口が形成される。この方法は、更に簡単なカプセルを必要とするために有利である。出口の数は、浸出液体の流量を制御するべく選択できる。出口が連続して径方向に向けられるため、カプセルから放出される浸出液体の高圧層またはジェットが形成される。
【0033】
本発明の方法において、浸出液体は、カップへと方向付けることができる液体食品または飲料の均一な流れを形成するように収集されることも好ましい。
【0034】
一形態において、少なくとも1つの外周出口は、遠心力によってもたらされる液体の圧力の作用下で起こる開放によりカプセルに形成される。
【0035】
また、本発明は、フィルタ容器内に収容される食品物質から、遠心力を利用して水を上記物質に通すことにより飲料または液体食品を生成するためのシステムであって、
上記容器内に水を導入するための水供給手段と、
上記容器を遠心回転駆動させるための駆動手段と、
を備える装置を備え、
上記容器がカプセルによって形成され、上記カプセルは、食品物質を収容しており、液体食品を浸出するために上記装置内に挿入できるとともに、その後、液体食品の浸出後に上記装置から除去することができ、
システムは、上記駆動手段に沿う回転軸線に沿って上記水供給手段と作用関係を成して上記装置内に取り外し可能な態様で、カプセルを位置決めして基準付けるための基準付け手段を更に備える、
システムに関する。
【0036】
カプセルは、装置内に挿入される前に気密シールされる容器であることが好ましい。
【0037】
本発明のシステムの1つの態様において、カプセルは、物質を横切ってカプセルの出口へと向かう浸出液体の排出を促す円錐台状の側壁を備える。
【0038】
他の可能な態様において、カプセルは、カップ形状本体に対して弾性的に取り付けられる硬質蓋を有する。蓋はプラスチックであってもよい。蓋および本体は、浸出液体を通過させるために遠心作用の効果によって開放する径方向の偏向可能なシール手段を介して取り付けることができる。例えば、偏向可能なシール手段は、カップ形状本体のシートに係合する蓋の少なくとも1つの外周プラスチックリップを備えることができ、あるいは、逆もまた同様である。
【0039】
また、本発明は、カプセル内に収容される食品物質から、水を上記カプセル内の上記物質に通すことにより飲料または液体食品を生成するための装置であって、
水を上記カプセル内に導入するための水供給手段を備え、上記カプセルを装置内で回転軸線に沿って位置決めして基準付けるための基準付け手段と、上記カプセルを遠心回転駆動させるための駆動手段とを更に備える装置に関する。
【0040】
基準付け手段は、カプセルを取り外し可能な態様で受けるように設計されている。基準付け手段は、カプセルを水供給手段および駆動手段と作用関係を成して装置内で受けるように設計されている。基準付け手段は、キャビティを備えて回転駆動できるカプセルホルダを備える。カプセルホルダを7500rpmを上回る速度で回転駆動させることができる。カプセルホルダは、例えば、上記カプセルホルダを中心回転軸線周りで駆動させるように構成された駆動シャフトを介してモータに接続される。基準付け手段は、カプセルの注入面を閉じる水注入蓋を備える。蓋およびカプセルは、収集チャンバを残しつつカプセルの周囲で協働して閉じることができる。駆動手段は、モータと、カプセルホルダおよび/または蓋と回転配置で関連付けられるシャフトとを備える。カプセルホルダおよび蓋はベアリングに沿って旋回することができる。収集チャンバは、カプセルを径方向で取り囲む表面を備えることが好ましい。収集チャンバは、浸出液体の流れを受容体(例えば、カップ)へと方向付けるためのダクトに関連付けることができる。
【0041】
装置は、随意的に、水の一部を、この一部の水をカプセル内に通すことなく、収集器内に加えるように構成されたバイパス導管を備えていてもよい。水の更なる部分は、浸出液の一部および水の一部を伴う更に多くの量の飲料を生成できる。多量のコーヒーの場合、例えばアメリカーノタイプのコーヒーの場合には、コーヒー飲料の総量がカプセルに通されないため、挽いたコーヒーの過抽出を避けることができ、苦味を減らすことができる。これは、味が改善された多量のコーヒー飲料をもたらす。
【0042】
本発明の他の態様によれば、装置は、カプセルを遠心回転駆動させるための駆動手段の速度を変え、それにより、カプセル内に異なる遠心圧力を与えるように適合された制御ユニットを備える。結果として、カプセル内の浸出圧状態を、浸出されるべき飲料のタイプに容易に合わせることができる。より好ましくは、制御ユニットは、少なくとも2つの異なる遠心速度を与えるようにプログラムされる。一例において、第1の回転速度は500〜15000rpmの範囲内の値であり、第2の回転速度は5000〜20000rpmの範囲内の値である。例えば、低速値は、アメリカンコーヒーなどの泡が殆ど無いあるいは全く無いコーヒーを浸出するために制御ユニットにより設定することができる。エスプレッソまたはランゴコーヒーなどの多量の泡を伴うコーヒーを浸出するために、更に高い速度値を制御ユニットにより設定することができる。泡(例えば、コーヒークレマ)は、カプセルの通路を通じて液体を剪断挿通させるとともに、浸出液体を高エネルギで収集器の表面に衝突させて、それにより、ガスの取り込みを伴うエマルジョンを形成することにより得られる。したがって、表面に衝突する液体の機械的エネルギは、泡の改善にとって決定的に重要である。「ウォーターピストン」を生成する通常のエスプレッソタイプの方法では、この現象は起こらない。その理由は、カプセルから流出する液体の速度が十分でないからである。
【0043】
本発明の更なる特徴は、以下の図面の詳細な説明に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図2】カプセルが挿入される本発明のシステムの開位置の浸出モジュールの概略図である。
【
図3】カプセルを取り囲む本発明のシステムの閉位置の浸出モジュールの概略図である。
【
図4】第1の実施形態における本発明のシステムの詳細な断面図である。
【
図5】本発明の装置の他の実施形態の分解図である。
【
図6】
図4または
図5に係る本発明の装置で使用され得るシールされたカプセルを示している。
【
図7】本発明のシステムでのその使用後のカプセルを示している。
【
図8】第2の実施形態における本発明のシステムの詳細な断面図である。
【
図10】
図8および
図9のシステムにおけるカプセルのカップ形状本体の断面図を示している。
【
図11】カップ形状本体のクリップ留め縁部の詳細図を示している。
【
図12】
図10のカップ形状本体の細部、すなわち、係合接続部の断面図を示している。
【
図14】
図8および
図9のシステムにおけるカプセルの蓋の断面図を示している。
【
図15】
図14の蓋の偏向可能なシール手段の詳細図を示している。
【
図16】他の実施形態に係るカプセルのカップ形状本体の断面図を示している。
【
図18】
図16および
図17の実施形態のカプセルの本体に接続するカプセルの蓋の断面図を示している。
【
図20】シールされたカプセル、および、カプセルのシールを除去するための動作形態を示している。
【
図21】他の可能な実施形態に係る本発明のシステムの概略図を示している。
【
図22】更に他の実施形態に係るシステムの概略図を示している。
【
図23】更に他の実施形態に係るシステムの概略図を示している。
【
図24】本発明の他の形態に係るカプセルの図を示している。
【
図25】本発明の更に他の実施形態に係る本発明のシステムの閉位置における浸出モジュールの概略図を示している。
【0045】
図1には、より一般的な態様で、本発明のシステム1が示されている。システムは装置2とカプセル3とを備える。装置は浸出モジュール4を有しており、浸出モジュール4内にはカプセルを浸出するために挿入することができ、また、カプセルは使用後に除去されて処分される(例えば、廃棄のため、あるいは、リサイクルのため)。モジュールは、真水または加熱水を収容する水リザーバ5と流体連通する。水をリザーバからモジュールへ輸送するために低圧ポンプ6などの流体輸送手段を水回路中に設けることができる。水を所望の温度まで加熱するために温水器7が更に設けられる。なお、リザーバ自体の中で水を加熱することができ、また、蒸発の作用によって水をリザーバから輸送することができる。低圧または略無圧で水をモジュール4へ供給することができる。例えば、モジュールの入口8では、大気圧を上回る0〜2barの圧力を想定できる。
【0046】
浸出モジュール4は、モジュール内の所定の位置でカプセルを保持するための基準付け手段40、41を備えることができる。浸出液体の出口流を浸出液体出口9へと推し進めるために、カプセルを僅かに傾いた位置で維持することができる。例えば、垂直に対する傾き角度を2〜65度にすることができる。基準付け手段は、カプセルホルダ410および注入蓋400を備えることができる。ホルダ410および蓋400はいずれも回転軸線Iに沿って回転するように装着される。カプセルホルダは、受けられるべきカプセルの形状を有するキャビティを備える。蓋は、カプセルホルダに対して取り外し可能な態様で組み付くように設計されている。液体をカプセルから固定出口9へ排出して収集することができるようにモジュール内に液体通路42を形成することができる。
【0047】
蓋400およびカプセルホルダ410を一緒に回転駆動して、結果としてカプセルも駆動するために、駆動手段10が設けられる。このため、駆動手段は、カプセルホルダ41を回転させるためにカプセルホルダに接続されるシャフトを有する電気モータ11を含む。蓋40はカプセルホルダ41に取り付けられるため、蓋もカプセルホルダと同じ速度で回転駆動される。
【0048】
カプセルから出る浸出液体が適切な温度に維持されてカップに達する前に冷めないように、装置の収集手段の表面の温度を調節することができる。このため、例えば加熱ワイヤまたは厚膜などを用いてカプセルホルダを加熱調整温度に維持するための加熱要素46に対して、蓋アセンブリ40および/またはカプセルホルダアセンブリ41を関連付けることができる。
【0049】
図2および
図3はカプセルの遠心
力の作用の原理の詳細図を示している。装置は、カプセル3が挿入される円錐台ハウジング44を有するホルダ410を伴うカプセルホルダアセンブリ41を備える。ホルダは、ベアリング43によって回転軸線Iに沿って装着される。注入蓋アセンブリ40には、装置が閉じられるとき(
図3)に軸線Iに沿って回動できる態様で蓋アセンブリ40の固定支持部401に装着することができる内部蓋400が設けられる。
【0050】
蓋アセンブリおよびカプセルホルダアセンブリは、
図2に示される開位置と
図3の閉位置との間で横軸線Aに沿って関連付けられる。
【0051】
注入蓋40の内面には、カプセルの注入
側30を穿孔する機能を有する穿孔構造体450が配置される。注入
側30を横切り且つ水回路からカプセルへと水を運ぶための注入導管を備える水注入器またはランス50が設けられる。水注入器50はカプセルの中心に位置されることが好ましい。したがって、カプセル蓋30とカプセル底部31との間に位置される場所でカプセル内に水を注入することができる。水注入器の出口は、水がカプセルの底部領域内の物質を最初に湿らせることができるように、蓋よりも底部31の方に近い位置に配置される。蓋は、蓋の内側の外周位置に配置される出口穿孔要素51を更に備える。一連の穿孔要素51が蓋の外周にわたって均一に配置されることが好ましい。また、カプセルは、穿孔要素51によって穿孔される外周開口または出口の方向で底部31から上端30へと広がる傾斜側壁32を備える。蓋には、カプセルの外周開口を取り囲む内側チャンバ53と、液体食品の飲料を受容体またはカップへと方向付けるためのチューブを形成するノズル530とを備える、収集アセンブリ52が更に設けられる。なお、装置の上部および下部40、41間を密閉配置する必要はない。水は重力の作用によって押し進められるため、水は、カプセルの側壁32へと径方向に均一に流れて、カプセルの外周へ向けて且つ側壁32に沿って外周開口へと上方に向かって物質を横切る。したがって、浸出液体は、収集アセンブリ52の外面に衝突し、そのため、依然として重力の作用によって収集ノズル530へと収集されて押し進められる。システムの利点は、低い軸線方向圧力が存在すること、したがって、高い機械的閉塞力をあまり必要としないという点である。浸出プロセスを行なうために必要な動きを与えるには低電流でのモータ作動で十分であるため、技術は比較的簡単である。また、サーモスまたはガスなどの幾つかのタイプのヒータを用いることができる。
【0052】
図4は本発明の更に高性能なシステムを示している。システムは、支持体46に支持される下側ベアリング43に沿って装着される中心回転ロッド45に関連付けられるカプセルホルダ41を備える。ロッド45の下端には電気回転モータ11が関連付けられる。反対側では、中空回転ロッド48を横切る導管49を通じてカプセル内に水を流入させるために、中空回転ロッド48に沿って蓋40が上側ベアリング47に対して関連付けられる。回転ロッド45はシステムの上側フレーム60に装着される。また、カプセルの上面の外周に小さい穿孔を形成するために一連のニードル51が蓋40の側部に位置される。ニードルの数は、5〜50個、好ましくは10〜30個に設定することができる。ニードルの数が多くなればなるほど、液体の分配をより均一にすることができる。ニードル51がカプセルに係入されると、ロータ45により駆動されるカプセル自体によって蓋が回転駆動される。
【0053】
回転速度は約5000〜20000rpmに設定することができる。このため、装置には、浸出されるべき飲料に応じて回転速度を調整するために制御ユニットC(
図1)が設けられる。回転速度が高くなればなるほど、液体によって大きな遠心圧力がカプセルに及ぼされるとともに、多くの物質がカプセルの側壁に締め固められる。また、速度が高くなればなるほど、カプセル内の液体の滞留時間が短くなる。
【0054】
例えば、茶の場合、茶葉塊を通じた水のゆっくりとした移動を可能にするため、また、茶の煎じ出しを行なうために、回転速度を最小にすることができる。
【0055】
挽いたコーヒーの場合には、カップ内のコーヒー固形物含有量およびクレマの品質に関して最適な抽出状態を実現するために、速度を高くすべきであり、すなわち、5000rpmよりも高く、好ましくは約8000−16000rpmの範囲内にすべきである。驚くべきことに、得られるクレマが標準的なエスプレッソ浸出方法を使用するよりもかなりクリーミーであることが分かった。
【0056】
したがって、浸出されるべき飲料のタイプに応じて、制御ユニットをプログラミングして最適な遠心状態を調整することができる。例えば、制御ユニットは、カプセルのタイプ、すなわち、エスプレッソ、ランゴ、カプチーノ、ラッテ、茶などを認識して、装置内に挿入されるカプセルにしたがって速度および/または他の浸出パラメータ(例えば、水温度)を調整できるようにするカプセル認識システムに関連付けられてもよい。
【0057】
浸出液体は、支持体46の収集チャンバ52内に収集されて、収集チューブ9を通じて排出される。
【0058】
図5は、注入蓋40がバヨネット型接続部55または任意の同等な接続手段によってカプセルホルダ41に接続される他の実施形態を示している。この実施形態では、1つの下側ベアリング(図示せず)だけが必要である。したがって、カプセルホルダ41および蓋40は、互いに接続されるとともに、いずれも下側回転軸線45に沿って回転する。カプセルホルダは、カプセルを受けるためのキャビティ550を備える。この場合、注入蓋は、バヨネット手段55によって螺旋締め付け動作に沿ってカプセルホルダに接続される。例えば、バヨネット手段は、カプセルホルダの縁部に支持される一連のフックに嵌入する一連の径方向に延びる突出部を蓋に備えることができる。締め付けは、蓋の上面に配置された部分61を把持することによって行なわれてもよい。しかしながら、組み付けによって、液体が蓋とホルダとの間を通過しなければならない。したがって、蓋とホルダとの間のシール接合は望ましくない。好ましい隙間は、蓋とホルダとの間の接合面に所定寸法のスロットまたは溝を予見することによって浸出液体の出口流を制御するべく確保されてもよい。
【0059】
浸出筐体40、41の周囲には、浸出液体を収集するために、カプセルホルダよりも大きいカップの形状を有する収集アセンブリ46も配置される。収集アセンブリは装置のベース62上に支持されており、ベース62にはモータ11が接続される。液体が容器(例えば、飲料カップ)の方向に流れるように僅かに下方へ傾けられる液体ダクト9がカップの側に設けられる。
【0060】
図6および
図7は、
図2から
図5の異なる実施形態に係る装置に適合し得るカプセルを示している。
図6において、カプセル7は、上方へ向けられた側壁76と底壁77とを有するカップ形状本体70を備える。側壁は、浸出液体の収集を内部で促進する円錐体の一部を形成する。本体は外側へ立ち上がる上縁72で終端し、上縁72には蓋71がシールされる。蓋は、アルミニウムおよび/またはプラスチックから成る数ミクロンの柔軟な穿孔可能な膜であってもよい。蓋は、本体の上縁72に溶着することができる。なお、膜および本体がアルミニウムおよび/またはEVOHなどのガスバリア層を備えることが好ましい。
【0061】
カプセルは、挽いたコーヒー、可溶性コーヒー、茶、乳製品原料または非乳製品原料などの粉末クリーム、ハーブティー、栄養物質、料理原料、および、これらの混合物から成るリストの中から選択される物質を収容する。
【0062】
図7は、装置内での物質の浸出後におけるカプセルを示している。水注入器50の通過のため、蓋には中央水注入口73が穿孔される。蓋の側部には、浸出液体がカプセルから抜け出るように内側キャビティと連通する出口74が穿孔される。
【0063】
本発明の他の実施形態が
図8および
図9に関連して示される。この実施形態において、カプセル8はそれ自体の流入・流出手段を備える。より具体的には、カプセルはプラスチックから形成されるカップ形状本体80を備えており、カップ形状本体にはプラスチック蓋81が固定される。蓋は、
図9、14、15に更に詳しく示されるシール手段82により本体に対してその縁部に沿って強固にクリップ留めすることができる。シール手段はバルブとしての機能を果たす。より詳細には、本体の縁部は、上方へ立ち上がる2つの小さい平行な円形壁部から形成される外周溝83を備える。このため、蓋は、それ自体を溝83内に挿入するリップ84を形成する外周壁部を有する。リップ84は、溝83の表面に作用する閉塞圧をハウジング内に形成するために厚い円形形状部85で終端することができ、上記閉塞圧に打ち勝つことにより液体がキャビティまたは環状溝83を通過しなければならない。シールリップ84は、浸出液体が遠心力を受けているときに上記液体の開放作用下でシールリップが浸出液体のための溝の径方向通路を開放できるように設計される。
【0064】
蓋の外周には、本体の外縁87上に嵌合する第2の閉塞リップ86が設けられる。この第2のリップ86は、カプセルの本体上に蓋をロックするように設計される。このため、リップ86は、本体の縁部の外面87を押圧する拡大部860を備える。
【0065】
第2のリップ86は、本体に対して蓋を接続するためのクリップ留め機能をもたらし、最終的には、浸出液体が通過するために克服されなければならない第2のハードルも形成する。一連のリップ84、86および溝83によって形成されるこの曲がりくねった経路は、浸出液体に作用する高い剪断力を生み出す。第2のリップには、浸出液体の流れを促進するための径方向スリットを横切って形成することもできる(図示せず)。コーヒーの場合、これにより、より厚い、より安定したクレマを形成することができる。なお、このリップは、カプセルの構造を更に簡単にする場合には省くことができる。
【0066】
カプセルの蓋の中心には、蓋から延びる管状部88から形成される水流分配部材が設けられる。この管状部88は、システムの注入蓋40の水注入導管49に取り付けることができる水注入口89を有する。管状部88は、カプセルのキャビティ内で外側に向けられる幾つかのスロットから形成される流れ分配手段880で終端する。幾つかのスロットは管状部88の自由端に分布される。管状支持体は、スロットを画定し且つ水を多くの径方向に向けるために本体の底面に当接してもよい。例えば、スロットの数は2〜10個であってもよい。したがって、上端からくる水は、チューブ88を横切って、
図9で特定される矢印Bの径方向でチューブのスロットから流出する。なお、水は、カプセルの底部付近で且つ浸出液体がカプセルから抜け出る底部から上端へ向けた方向(すなわち、蓋と本体との間)で注入されるのが好ましく、それにより、物質、例えばコーヒー粉末の適切な湿潤が確保される。
【0067】
この実施形態に係る
図8から
図15のカプセル8は、カプセルの底部を把持し、したがって、カプセルを装置によって適切に回転駆動させることができるようにするための手段840を更に含むことができる。このため、手段840は、カプセルの底部で突出する小さい管状部を備え、上記管状部内には、装置の回転駆動手段の相補的な管状部450を挿入することができる。
【0068】
装置の駆動手段は、カプセルの底部を保持するための支持体451に関連付けられる駆動シャフト45を更に備える。無論、把持手段の形状は、本発明の範囲から逸脱することなく多くの他のバリエーションをとることができる。
図12および
図13は、中心凹部841と、中心凹部841から延びる4つの弓形凹部842、843、844、845とを有する把持構造体840を示している。この把持構造体はロックを形成しており、上記ロック内にカプセルホルダ451の相補的係合構造体450、すなわち、キーが嵌め込まれる。カプセルおよびカプセルホルダの相補的形状は、カプセルを高速回転で駆動させるためのギアリング機能、およびシステムに適合されるカプセルだけを使用してうまく浸出できるようにするための安全機能の両方を満たすことができる。
【0069】
図8および
図9に関するこの実施形態において、装置自体は、先の形態の場合と同様、注入蓋およびカプセルの支持体451がカプセル3と連動して回転できるようにするための上側および下側ベアリング43、47を備える。カプセルの周囲には、側壁および底壁52から形成されるカップ520と上側閉塞カバー522とを有する収集アセンブリ52が配置される。カバーは上側ベアリング43を受けるのにも役立ち、一方、下側カップ520は、下側ベアリング47を受けるための中心凹部を有する。カップ520およびカバー522は、浸出液体の制御されない噴出を回避するために流体密な態様で組み付けることができる。したがって、接続手段523を設けることができるとともに、Oリング524などの流体密シール要素が2つの部品間の緊密性を確保するのに役立つこともできる。また、収集アセンブリの外側に飲料を排出するために飲料出口チューブ(図示せず)を設けることもできる。
【0070】
図8からも明らかなように、装置の駆動手段は、駆動シャフトまたは駆動コネクタ45に結合される下側電気モータ11を備え、駆動コネクタ45自体はカプセルホルダ451に接続される。なお、カプセルホルダは、簡単なプレート支持体またはディスク451であってもよく、あるいは、例えばカプセルが十分に硬質な側壁を有していない場合にはカップとして形成される支持体であってもよい。
【0071】
図8、9のシステムの浸出動作を以下のように簡単に説明することができる。
【0072】
所定用量の物質を収容する前述したカプセル3が用意される。カプセルを焙煎コーヒーおよび挽いたコーヒーで満たすことができる。カプセルは、カバーが取り外されているときにカップ520内に挿入され、係合構造体450の係合構造がカプセルの底部の凹部840に嵌合する状態でカプセルホルダ451上に配置される。その後、カバー522をカップ520に近づけて接続することにより、水導管89がカプセルの水注入チューブ88と連通する状態で注入蓋40がカプセルの蓋81に接続されあるいは関連付けられる。装置が
図8の閉位置にあるときに、管状部88を介して導管内に水を低圧で注入あるいは流し込むことができる。一部の水は、装置の回転駆動手段によってカプセルが回転駆動される前にカプセル内の物質を湿らせ始めるために注がれることが好ましい。その後、制御ユニットがモータを始動させ、カプセルが高速で回転駆動されて、遠心浸出動作が行なわれる。遠心力の作用下で、粉末物質は、それ自体が径方向に圧縮する傾向があり、一方、水は、物質を貫通して流れるように押し進められる。これにより、物質が圧縮されて水によって念入りに湿潤される。高速回転動作に起因して、遠心力はそれ自体を物質塊に対して均一に及ぼす。その結果、水分配も、物質層に対して且つ物質層を通じて圧力を及ぼすために圧力ポンプを利用する通常の方法と比べて更に均一になる。結果として、適切に湿潤されない、したがって、適切に抽出されない領域をもたらし得る物質を通じた選択的な流路のリスクが殆どない。挽いたコーヒー粉末を用いる場合、カプセルの内部側壁に達する液体は、液状コーヒー抽出物である。この液体抽出物は、その後、シール手段82に至るまでカプセルの側面に沿って上方へ流される。したがって、シール手段82は、遠心作用下で液体により開放力を受ける。これにより、リップが外側に曲がる傾向となって、表面85と溝の内面との間に通路が形成される。同様に、第2のリップも曲げられあるいは特定の漏れを許容してもよく、例えば、液体をカプセルから逃がすためのスリットが予め形成されていてもよい。したがって、液体は、小さい外周溝83を通じて流れてカプセルから流出することができる。浸出液体を収集器52によって収集して装置の外側へと受容体へ向けて案内することができる。
【0073】
図16から
図19は本発明に係るカプセルの他の実施形態を示している。このカプセルは、カプセルを装置内で回転駆動させることができるようにその外面に同じ把持手段840を備えるカップ形状本体80を有する。また、カプセルは、
図18および
図19に示される蓋81も備える。先の形態のカプセルとは異なり、蓋80および本体81は、超音波溶接などの取り外し不可能な接続手段によって取り付けられる。遠心力を受ける浸出液体は、本体の上方へ突出する縁部880に設けられる一連のスリット810を通過することができる。スリットは、挽いたコーヒー粒子などの固体粒子を保持しつつ液体をカプセルから流出させるためのフィルタとしての機能を果たすように寸法付けられる。蓋は、蓋81の径方向溝840(
図19)に嵌まり込む縁部880と接続される。また、
図17は、超音波溶接中に溶けることができるエネルギディレクタとしての機能を果たす小さいインデント830も示している。この形態では、カプセルは、偏向シールリップを備えておらず、単に、浸出液体がカプセルを横切ることができるようにするスリット810を有する。この形態のカプセルは、
図8および
図9に示される装置で用いることができる。
【0074】
図20には、本発明のシールされたカプセルが示されている。カプセルは、先の形態で説明したようにカップ形状本体80から形成され、カップ形状本体には蓋81が組み付けられる。蓋の水注入口89はシール膜890で覆われる。蓋と本体との間に配置される径方向出口領域もシール膜891で覆われる。なお、同じシール膜が水注入口89および浸出液体のための出口領域の両方を覆うことができる。シール膜891は、蓋と本体との間のラインに沿ってシールされる接着膜のリボンなどの不正開封防止要素であってもよい。リボンは、ブレードまたは同等の手段などの機械内の切断具910によって切断することができる。カプセルが(矢印Cで示されるように)回転駆動されると、切断具がリボンに近づいて接触し、それにより、リボンが自動的に切断される。カプセルはもはや不浸透性ではなくなるため、前述したように液体がカプセルの径方向縁部を通じてカプセルから逃げることができる。なお、ユーザ自身がシール膜(これらのシール膜)を除去できるように、シール膜を剥離可能な接着材料から形成することもできる。
【0075】
図21によれば、システムは、回転動作の作用下で吸引により水の注入を予見してもよい。このため、カプセルが基準付け手段40、41内に収容される。注入チューブ8は、水リザーバをカプセルの内側に接続する。装置は、リザーバがカプセルよりも下側にあり且つカプセルの中心で引き起こされる真空によって水が輸送されるように方向付けられる。注入チューブは、好ましくは更に狭い側または底部に近い領域までカプセルに係入し、それにより、水は、物質塊全体、例えば挽いたコーヒー粉末塊全体を湿らせることができる。
【0076】
なお、カプセルをその側壁が下方へ広がる状態で位置させることができる。
図22では、システムが類似するが、カプセルの方向が単に逆になっており、カプセルが上方へ広がっている。
【0077】
図21および
図22の2つの実施形態では、液体がカプセルの広い方の側へ向かう方向で物質を流通した後にカプセルから流出するように、カプセルの狭い方の側、すなわち、広がっている側と反対の側の付近で水が注入されることが好ましい。
【0078】
図23は本発明の他のカプセルを示している。カプセルは、それを装置の外部回転駆動手段に接続するための手段を備える。このため、カプセルは、その外面のうちの少なくとも1つに歯状構造体75を有する。カプセルは、上膜71によって閉じられ得る上縁72を備える本体70を有する。歯状構造体は、カプセルの本体の縁部またはリム72よりも下側に位置される一連の歯を備える。歯は、カプセルの本体の全周にわたって配置される。カプセルの本体は、プラスチックおよび/またはアルミニウムまたはアルミニウム合金から形成することができる。例えば、カプセルの本体は、プラスチックの射出によって成形することができ、あるいは、アルミニウムで深絞りすることができる。例えば、歯の形状は、ほぼ三角形、楕円形、長方形、または、ピラミッド型であってもよい。なお、歯は、起伏および/または窪み状の一連の要素などの他の同等の構造に置き換えることができる。例えば、スリット、ピン、または、小さいニードルが想起され得る。
【0079】
図23のカプセルを受ける装置自体は、相補的形状の歯状面を備える。
図24は、
図23のカプセルを受けるように適合されたカプセルホルダ44を示している。カプセルホルダはキャビティを有し、キャビティ内には窪んだ歯440が設けられる。窪んだ歯は、カプセルの外面上の歯750と嵌合するように配置される。
【0080】
なお、
図23の接続構造または係合構造が
図8および
図9のカプセルの構造に取って代わることができ、あるいはその逆もあり得る。
【0081】
図25には本発明の浸出システムの他の実施形態が示されている。ここでの違いは、収集アセブリ52内に所定量の水を加えるために主水導管50に加えて水バイパス導管500が設けられている点である。所定量の水は、カプセルでの遠心浸出動作の前、最中、または、後に加えられてもよい。バイパス導管は回転蓋400の上面で終端する。蓋400の上面は、収集アセンブリの表面へ向けた水の流れを促進するために径方向溝または凹部などの水分配構造を備えていてもよい。制御ユニットは、飲料の上端に形成される泡が破壊されないように遠心
力の作用によってコーヒー抽出物が供給されると同時に付加される水量が加えられるべく、付加量の水の供給を制御してもよい。
【0082】
本発明のシステムおよび方法は、通常の方法および装置よりも高い固形物含有量を伴う顕著な浸出結果を与える。この結果は、カプセル間で非常に再現性がある。驚くべきことに、クレマもかなり向上され、よりクリーミーで、より安定した厚い質感を伴う。
【0083】
無論、本発明は、以下の特許請求の範囲に含まれる多くの変形を包含し得る。