(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732261
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】少なくとも1つのパワー半導体モジュールと輸送包装を備えて構成される配列装置
(51)【国際特許分類】
B65D 85/86 20060101AFI20150521BHJP
B65D 73/00 20060101ALI20150521BHJP
B65D 75/36 20060101ALI20150521BHJP
【FI】
B65D85/38 M
B65D85/38 S
B65D73/00 J
B65D75/36
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-5746(P2011-5746)
(22)【出願日】2011年1月14日
(65)【公開番号】特開2011-173654(P2011-173654A)
(43)【公開日】2011年9月8日
【審査請求日】2013年11月11日
(31)【優先権主張番号】10 2010 005 047.4
(32)【優先日】2010年1月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592221975
【氏名又は名称】ゼミクロン エレクトローニク ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167151
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シュタロヴェツキー
【審査官】
種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭50−088383(JP,U)
【文献】
英国特許出願公開第01580791(GB,A)
【文献】
特開平01−009175(JP,A)
【文献】
特開平09−077131(JP,A)
【文献】
特開平03−256856(JP,A)
【文献】
特開2006−051630(JP,A)
【文献】
特開平06−270955(JP,A)
【文献】
実開平05−010283(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/86
B65D 73/00
B65D 75/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのパワー半導体モジュール(5)と輸送包装(2)を備えて構成される配列装置(1)であって、前記パワー半導体モジュール(5)はベース要素(40)と、ハウジング(50)と、接続要素(60、62)とを有し、前記輸送包装(2)は、平面的に構成されたカバー層(10)と、カバーフィルム(30)と、パワー半導体モジュール(5)毎に少なくとも1つの溝状プラスチック成形体(80)とを有し、
前記少なくとも1つのプラスチック成形体(80)は、割り当てられたパワー半導体モジュール(5)を部分的にのみ取り囲み、前記プラスチック成形体(80)の一部は前記パワー半導体モジュール(5)に直接接触せず、および前記少なくとも1つのパワー半導体モジュール(5)の第1の側面は、前記カバー層の第1の主面(100)上に直接または間接的に置かれ、および前記カバーフィルム(30)は、前記パワー半導体モジュール(5)の別の側面を直接および/または間接的に被覆し、かつ少なくとも部分的に前記プラスチック成形体(80)に接触し、
さらに前記輸送包装(2)が、それぞれ前記少なくとも1つのパワー半導体モジュール(5)に割り当てられた切り欠き(230)を備える追加的な中間層(20)を有し、前記中間層が、その第2の主面(210)が前記カバー層(10)の前記第1の主面(100)上になるように配置され、かつ、前記パワー半導体モジュール(5)は、前記中間層(20)のこの少なくとも1つの切り欠き(230)に配置され、
前記カバー層(10)と前記中間層(20)が、取り外し可能に互いに接続されている、配列装置(1)。
【請求項2】
前記プラスチック成形体(80)が少なくとも1つの停止面(82)を有し、それにより、前記パワー半導体モジュール(5)に直接接触し、かつそれに隣接して、前記プラスチック成形体(80)と前記パワー半導体モジュール(5)との間に少なくとも1つの空洞(86)が形成される、請求項1に記載の配列装置(1)。
【請求項3】
前記プラスチック成形体(80)が、割り当てられたパワー半導体モジュール(5)の片側を完全に被覆し、前記パワー半導体モジュール(5)の隣接する側面に接触する壁(84)を有し、かつ前記隣接する側面を部分的にのみ被覆する、請求項1または2に記載の配列装置(1)。
【請求項4】
前記カバーフィルム(30)および/または前記プラスチック成形体(80)が、金属が蒸着された外面を備えるか備えない導電性または散逸性のプラスチックから形成される、請求項1に記載の配列装置(1)。
【請求項5】
前記カバーフィルム(30)および/または前記プラスチック成形体(80)が、少なくとも部分的に、好ましくは完全に透明に形成される、請求項1に記載の配列装置(1)。
【請求項6】
前記カバーフィルム(30)の厚さが、前記プラスチック成形体(80)の厚さの少なくとも5分の1よりも小さく、従って、前記プラスチック成形体が、機械的に安定するように形成される、請求項1に記載の配列装置(1)。
【請求項7】
前記カバーフィルム(30)が、パワー半導体部品に並んだ前記中間層(20)の前記各切り欠き(230)によって切り離された中間領域(240)にて、取り外し可能に前記カバー層(10)の前記第1の主面(100)に接続されている、請求項1に記載の配列装置(1)。
【請求項8】
前記中間層(20)および/または前記カバー層(10)が板紙またはボール紙または複合ボール紙からなる、請求項1に記載の配列装置(1)。
【請求項9】
一次元または二次元のマトリックスに配列された複数のパワー半導体モジュール(5)の場合、前記パワー半導体モジュールが、前記カバー層(10)の前記主面に対して平行かつ前記ハウジング(50)の面に対する垂線に対して平行な少なくとも一次元にて、前記次元におけるプラスチック成形体が配置された前記ハウジング(50)の幅(500)よりも大きい相互の距離(700)を有する、請求項1に記載の配列装置(1)。
【請求項10】
一次元または二次元のマトリックスに配列された複数のパワー半導体モジュール(5)の場合、前記輸送包装(2)は、パワー半導体部品(5)間に打ち抜き穴(70)を有する、請求項1に記載の配列装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に少なくとも1つのパワー半導体モジュールの工場渡しの輸送のための配列装置を記載する。この場合、複数のパワー半導体モジュールを輸送包装中で一次元または二次元のマトリックスに配列することが好ましい。
【背景技術】
【0002】
原理上、ベース体およびカバーを有する単純な段ボール箱やプラスチックのブリスターなど、パワー半導体モジュール用に多くの異なる輸送包装が知られている。いわゆるスキン包装は最終消費者のための品物の包装で知られている。例えば特許文献1によれば、単純な段ボール箱は、一般的に、輸送中、機械的影響に対してパワー半導体モジュールを十分に保護しないという欠点がある。別の欠点は、そのような包装は、例えば税関手続きでの検査のために開封する必要があり、従って、パワー半導体モジュールに直に接触されることがあり、これが、静電放電による、または傷つきやすい表面、例えば銀被覆接続要素に触れることによる損傷をもたらす可能性がある。
【0003】
例えば特許文献2から公知のもののようないわゆるスキン包装は本発明の出発点をなし、段ボール箱と、包装されるべき製品を封入するプラスチックフィルムとの組み合わせである。公知のように、そのような包装は、包装された製品の特に傷つきやすい部分を十分に保護できないという著しい欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第3909898A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19928368A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくとも1つのパワー半導体モジュールと輸送包装を備えて構成される配列装置であって、少なくとも別の外装と組み合わされているこの輸送包装が、輸送中に発生する機械的影響に対して特に堅固であり、かつまた、原理上は、静電放電に対して保護がしやすく、および輸送包装を開封しなくても、少なくとも1つのパワー半導体モジュールに適用された識別情報を読みやすい配列装置を提供するという目的に基づく。
【0006】
この目的は、本発明に従って、請求項1の特徴を備える配列装置によって達成される。好ましい実施形態は従属請求項で説明する。
【0007】
本発明の概念は、上述のスキン包装に基づく。スキン包装は、少なくとも1つのパワー半導体モジュールを備えて構成される配列装置を形成するために開発された。この場合、この配列装置は、少なくとも1つのパワー半導体モジュール、好ましくは一次元にまたは二次元マトリックスに配列された複数のパワー半導体モジュール、および輸送包装を有する。
【0008】
その一般的な実施形態では、パワー半導体モジュールはベース要素、好ましくは金属性のベースプレートと、絶縁材料で構成されたハウジングと、ベースプレートに対して絶縁されて内部に配置されたパワー半導体部品と外部から接触するための接続要素とを有する。この場合、用語「パワー半導体モジュール」は、ベース要素に対して電気的に絶縁されて組み立てられたパワー半導体モジュールに加えて、長いこと従来技術の一部であったもののような、2つのプレーナ接続要素とそれらの間に配置されたセラミックやプラスチックで構成された絶縁材料本体とを有するディスク型のサイリスタも意味すると理解されたい。本発明による配列装置の輸送包装は、一方では、カバー層と、カバーフィルムと、パワー半導体モジュール毎に少なくとも1つの溝状プラスチック成形体とを有する。カバー層は、好ましくは、その全体が散逸性である複合ボール紙として供され、平面的に構成され、それゆえ、輸送包装のベースを形成する。
【0009】
この場合、各パワー半導体モジュールは、少なくとも1つのプラスチック成形体に対して配置され、それによって部分的に取り囲まれ、プラスチック成形体は、完全にはパワー半導体モジュールに接触せず、部分的にそれから離間している。このために、プラスチック成形体が、パワー半導体モジュールと直接接触する少なくとも1つの停止面を有すると、好ましい。停止面に隣接して、プラスチック成形体とパワー半導体モジュールとの間に少なくとも1つの空洞が設けられる。前記空洞は、例えば、ベース要素に設けられる場合、そこに適用された熱伝導性ペースト構造を接触に対して保護することができる。同様に、少なくとも1つの空洞は、輸送中の機械的な接触に対して接続要素を保護できる。
【0010】
パワー半導体モジュールおよびそれに対して配置された少なくとも1つのプラスチック成形体を相互に固定するために、前記プラスチック成形体が完全にパワー半導体モジュールの片側を被覆し、かつパワー半導体モジュールの隣接する側面に接触しかつ前記隣接する側面を部分的にのみ被覆する壁を有すると、好都合である。
【0011】
それゆえ、少なくとも1つのプラスチック成形体は、パワー半導体モジュールと包装の残りの部分との間にスペーサ要素を形成し、その結果、包装のこれらの部分は、プラスチック成形体の領域において、直接的にではなく間接的にのみそれに接触する。
【0012】
パワー半導体モジュールとカバー層との間にプラスチック成形体を提供して、例えば、熱伝導性ペースト層を保護することが好ましい;あるいはまたは加えて、パワー半導体モジュールの反対側に別のプラスチック成形体を同様に提供して、そこにある接続要素を保護することができる。同様に、このように配置されたプラスチック成形体は、接続要素に対するカバーフィルムの保護を形成する。なぜなら、接続要素は、対応する形態である場合、カバーフィルムを損傷させる可能性があり、従って、パワー半導体モジュールはもはや接触に対して保護されないためである。
【0013】
さらに、カバー層の第1の主面上に中間層を配置することも好ましい。前記中間層は切り欠きを有し、それぞれの切り欠きにパワー半導体モジュールが割り当てられている。この場合、カバーフィルムが実質的に前記中間層とのみ接触し、かつその切り欠きの領域においてカバー層とのみ接触していると有利であり、その結果、開封しやすい輸送包装が形成される。
【0014】
静電放電に対してパワー半導体モジュールを保護するために、カバーフィルムおよび/または各プラスチック成形体が、金属が蒸着された外面があるまたはない導電性または散逸性プラスチックからなると、好ましい。同様に、カバーフィルムおよび/または各プラスチック成形体を少なくとも部分的に、好ましくは完全に透明にして供すると、有利である。
【0015】
本発明による配列装置の形態により、以下が可能となる。
・包装されたパワー半導体モジュールを互いに対して機械的に、相互に少し離して固定し、同時に機械的損傷に対して、パワー半導体モジュールの傷つきやすい箇所を保護すること;
・輸送包装を開封する必要なく、携帯用スキャナなどの光電子補助装置によることを含めて、各パワー半導体モジュールに適用された識別情報を読み取ること;
・静電帯電に対する保護として輸送包装を形成すること;
・環境からの有害ガスによることを含めて、パワー半導体モジュールへの直接的な作用に対する保護として輸送包装を形成すること。パワー半導体モジュールを封入するカバー層および/またはカバーフィルムの部分に、パワー半導体モジュールの接続要素を保護するための腐食防止剤を提供することがさらに有利であり得る;および
・包装を分離することにより、かつまた他の包装と比較してボリュームが小さく低質量であるために包装を簡単に環境に優しい方法で廃棄できること。
【0016】
複数のパワー半導体モジュールが一次元にまたは二次元マトリックスに配列されている場合に、前記パワー半導体モジュールが、カバー層の主面に対して平行かつハウジングの面に対する垂線に対して平行な少なくとも一次元において、前記次元におけるプラスチック成形体が配置されているハウジングの幅よりも大きい相互の距離を有すると、別の好ましい実施形態が生じる。それゆえ、このタイプの2つの配列装置を組み合わせることが可能となる。この場合、カバー面の第1の主面を相互に向き合わせ、かつ2つのパワー半導体モジュール間の距離の半分だけ互いに対してオフセットさせて、パワー半導体モジュールの実装密度の高い全体的な配列装置を形成する。
【0017】
本発明による解決法を、
図1〜
図4の例示的な実施形態に基づいてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による配列装置の第1の形態を通る断面を示す。
【
図2】本発明による配列装置の第2の形態を通る断面を示す。
【
図3】本発明による配列装置の第2の形態を通る断面を示す。
【
図4】
図1、
図2および
図3による配列装置と類似の、本発明による2つの配列装置を三次元的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に、抜粋として、本発明による第1の配列装置1を通る線A−A(
図4を参照)に沿った断面を示す。ここでは、図面に、第1の主面100および第2の主面110を備える輸送包装2のカバー層10を示す。カバー層10の第1の主面100に、包装されるパワー半導体モジュール5を互いに対して同一の距離でマトリックス様に配置する。包装されるパワー半導体モジュール5のベース要素40、ハウジング50および接続要素60のみを示す。
【0020】
限定はしないが、前記パワー半導体モジュール5を、通常金属性のベースプレートまたは直接内部回路の基板とし得るそれらのベース要素40が、カバー層10の第1の主面100の方向にあるように配置することが有利である。ここで提供した形態の場合、接続要素60はカバー層10に対してパワー半導体モジュール5の反対側にある。
【0021】
この場合、各パワー半導体モジュール5のベース要素40は、従来技術から公知のもののような熱伝導性ペースト層42を有する。このペースト層42を保護するために、パワー半導体モジュール5と輸送包装2のカバー層10との間にプラスチック成形体80を配置し、その結果、パワー半導体モジュール5がカバー層10の第1の主面100に直接接触しなくなる。
【0022】
この場合、プラスチック成形体80を溝状に供し、かつプラスチック成形体80は周囲に平面的な支持縁82を有する。熱伝導性ペースト42がもたらされていないパワー半導体モジュール5のベース要素40の辺縁部は、この支持面82に接触する。あるいは、パワー半導体モジュール5の実施形態に依存して、ハウジング50の一部も前記支持面82に接触する場合がある。プラスチック成形体80は、熱伝導性ペースト42がもたらされたベース要素40とカバー層10との間に空洞86を形成し、その空洞は熱伝導性ペースト42を機械的に保護する働きをする。
【0023】
ここでおよび以下、カバーフィルム30、およびパワー半導体モジュール5に接触するプラスチック成形体80の部分も、もっぱらより明瞭にするために、カバー層10から離間し、かつパワー半導体モジュール5から離間しているものとして示す。さらに、カバーフィルム30をカバー層10の第1の主面100に、接着技術によって接続する。
【0024】
金属が蒸着された外面があるまたはない導電性または散逸性プラスチックからカバーフィルム30および好ましくはプラスチック成形体80を構成すること、および導電性または散逸性複合ボール紙からカバー層10を構成することは、パワー半導体モジュール5を静電帯電に対して十分に保護できる輸送包装2をもたらす。様々な監視目的のためにカバーフィルム30を少なくとも部分的に、好ましくは完全に透明にして供するため、この保護包装2を開封する必要もない。
【0025】
図1に従う本発明による配列装置1は、さらに、プラスチック成形体80が配置されたパワー半導体モジュール5間の距離700が、パワー半導体モジュール5の幅500よりも大きいように構成されており、その結果、
図4に従って、第1の配列装置1に対してその距離の半分だけオフセットさせかつ180°だけ回転させて第2の配列装置1’を提供することが可能となり、それゆえ、全体的な配列装置を小型にする。その配列装置は実装密度が高く、同時に個々のパワー半導体モジュール5が互いに対して十分に固定されている。
【0026】
図2および
図3は、いずれの場合も、本発明による第1の配列装置1を通る線B−B(
図4を参照)に沿った断面図を示す。これらの図面は、再び、輸送包装2を展開して示す。ここでは、前記輸送包装は、各切り欠き230がパワー半導体モジュール5に割り当てられた追加的な中間層20を有し、その結果、割り当てられたパワー半導体モジュール5はその下部領域において取り囲まれるが、直接および完全に接触して囲まれはしていない。パワー半導体モジュール5の外周全体において、切り欠き230の縁220が最大で50%程度、好ましくは最大で25%程度のみ、割り当てられたパワー半導体モジュール5に直接接触し、かつ縁220の残りの部分はパワー半導体モジュール5から少なくとも2mmの距離にあり、それゆえ中間領域240を形成していることが有利である。しかしながら、パワー半導体モジュール5を相互にそれらの位置に確実に固定するために、少なくともいくつかの位置において、好ましくはパワー半導体モジュール5の隅部において直接接触することが好都合である。
【0027】
原理上は、カバーフィルム30と中間層20との間の接着接続と共に、上述の中間領域240においてカバー層10とカバーフィルム30との間に、およびカバー層10と中間層20との間に接着接続を提供することが好ましいが、必ずしも必要なものではない。この場合、初めに述べた接着接続は、取り外し可能な接続として供する必要はない。
【0028】
図2に、パワー半導体モジュール5および輸送包装2を備える配列装置1を示す。この場合、中間層20から部分的に分離させてカバー層10を示す。この図面は、輸送包装2を開封して、そこからパワー半導体モジュール5を取り出すことに対応している。この場合、カバー層10と中間層20との間のおよび/またはカバー層10とカバーフィルム30との間の取り外し可能な接続は、中間領域240において切り離される。
【0029】
限定はしないが、好ましくは、中間層20およびカバー層10は、板紙またはボール紙または複合ボール紙からなる。中間層20、および、好ましいことにすぎないが、カバー層10が導電性または散逸性複合ボール紙で構成されているようにすることが、静電放電に対する保護に特に好都合であることが分かっている。この場合、その複合ボール紙は、例えば、導電性または散逸性のフィルム中間層を有する。
【0030】
この形態では、プラスチック成形体80は、パワー半導体モジュール5のカバー層10から離れた側に配置されて、輸送中の機械的損傷に対して、積んでいる接続要素60、62および補助接続をそこで保護する。このために、プラスチック成形体80は、積んでいる接続要素60との停止面82を有し、かつ、それに隣接して、いずれの場合も補助接続要素のための空洞86が設けられている。前記空洞86があることによって、各補助接続要素62がプラグ形状であるためにカバーフィルム30を損傷させてしまう可能性を回避できる。従って、フィリグリー式に形成された他の接続要素60、62も同様に、外部からの損傷に対して保護できる。この場合、一般的に好ましいように、前記プラスチック成形体80は、接続要素を有するパワー半導体モジュール5の側面全体を覆う。
【0031】
プラスチック成形体80はさらに、少なくとも2つの対向する側面、好ましくは全側面に壁84を有する。前記壁84は、被覆された側面に隣接するパワー半導体モジュール5の側面に接触する。この場合、前記壁84の各側面を部分的にのみ被覆することが好ましい。
【0032】
上述のパワー半導体モジュール5の典型的な寸法は、限定するものではないが、プラスチック成形体80を含めて幅500、および同様に高さが1cm〜6cmの範囲の場合、長さが3cm〜15cmの範囲である。輸送包装2のカバー層10の典型的な厚さは0.2mm〜1mmであり、中間層20の厚さは0.5〜3mmである一方、カバーフィルム30の厚さは100μmのオーダーである。プラスチック成形体80は好ましくは、カバーフィルム30の厚さの少なくとも5倍の厚さを有する。
【0033】
次いで、
図3に、パワー半導体モジュール5を輸送包装2から取り出す別のステップを示す。この場合、ハウジング50の上面によって形成された平面と中間層20がほぼ同じ高さになるまで、中間層20の第1の主面200に対して垂直な面の方向に中間層20を押圧した。中間層20をこのように変位させる過程で、カバーフィルム30が少なくとも部分的にパワー半導体モジュール5のハウジング50から引き離されて、もっぱらまたは少なくともほぼ例外なくプラスチック成形体80の壁84と接触し、その結果、簡単にかつ器具を用いずに、パワー半導体モジュール5を前記プラスチック成形体80から取り出すことができる。
【0034】
図4に、
図1、
図2および
図3による配列装置と類似の本発明による2つの配列装置1、1’を三次元的に示す。この配列装置はそれぞれ、輸送包装2および複数のパワー半導体モジュール5を有する。いずれの場合も、前記パワー半導体モジュール5のハウジング50および複数の接続要素60、62を示す。図示していないそれらのベース要素40(
図1を参照)は、ここでは金属性のベースプレートであり、前記パワー半導体モジュール5は、各輸送包装2のカバー層10の第1の主面100上に、いずれの場合もベース要素40(
図2を参照)がその上に直接置かれることにより、または、上述のように、それらの間にプラスチック成形体80が配置されて間接的に置かれることにより、二次元マトリックスに配列され得る。
【0035】
カバー層10の前記第1の主面100上に中間層20の第2の主面210があるように、中間層20を配置する。前記中間層20は複数の切り欠き230を有し、切り欠きはそれぞれパワー半導体モジュール5に割り当てられている。この場合、切り欠き230の縁220がパワー半導体モジュール5のハウジング50に直接接触するのは数セクションのみとなるように、パワー半導体モジュール5を前記切り欠き230に配置する。主にパワー半導体モジュール5のハウジング50と切り欠き230の縁220との間に隙間を設け、前記隙間は中間領域240を形成する。
【0036】
透明なカバーフィルム30および各プラスチック成形体80自体は図示されていない。二次元マトリックス配列装置内にある、ここで図示した複数のパワー半導体モジュール5の場合、一次元配列装置の場合のように、輸送包装2が、各パワー半導体モジュール5の間に、包装されたパワー半導体モジュール5を簡単に1つずつ分離するための打ち抜き穴70(第2の配列装置1’の場合にのみ示す)を有すると、さらに有利である。
【符号の説明】
【0037】
1 第1の配列装置
1’ 第2の配列装置
2 輸送包装
5 パワー半導体モジュール
10 カバー層
20 中間層
30 カバーフィルム
40 ベース要素
42 熱伝導性ペースト層
50 ハウジング
60 接続要素
62 補助接続要素
70 打ち抜き穴
80 プラスチック成形体
82 支持縁
84 壁
86 空洞
100 カバー層の第1の主面
110 カバー層の第2の主面
200 中間層の第1の主面
210 中間層の第2の主面
220 切り欠きの縁
230 切り欠き
240 中間領域