特許第5732285号(P5732285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テイエルブイの特許一覧

<>
  • 特許5732285-逆止弁 図000002
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5732285
(24)【登録日】2015年4月17日
(45)【発行日】2015年6月10日
(54)【発明の名称】逆止弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/06 20060101AFI20150521BHJP
【FI】
   F16K15/06
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-57220(P2011-57220)
(22)【出願日】2011年3月15日
(65)【公開番号】特開2012-193786(P2012-193786A)
(43)【公開日】2012年10月11日
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】広谷 昌久
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−95893(JP,A)
【文献】 実開昭52−2414(JP,U)
【文献】 実開平3−12070(JP,U)
【文献】 米国特許第5092361(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第2076123(GB,A)
【文献】 米国特許第5332000(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体とプラグから成る弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、前記入口と前記弁室の間に環状弁座を設け、前記環状弁座を開閉する弁体を前記弁室内に配置し、前記弁体と前記プラグの間にばねを配置したものにおいて、外部から進退操作可能に前記プラグを前記本体にねじ結合し、前記ばねの一端を前記弁体に圧入すると共に前記ばねの他端を前記プラグに圧入し、前記プラグを後退させることにより前記弁体を前記環状弁座から離座させて強制開弁させることを特徴とする逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体配管に取り付けて、内部に設けたばね付勢弁体により、流体の入口から出口への順方向の流れは許容するが、その逆方向の流れは阻止する逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の逆止弁は、例えば特許文献1に開示されている。これは、本体とプラグから成る弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、入口と弁室の間に環状弁座を設け、環状弁座を開閉する弁体を弁室内に配置し、弁体とプラグの間に配置したばねで弁体を環状弁座へ付勢したものにおいて、ばねの一端を弁体に圧入したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−95893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の逆止弁は、ばねの一端を弁体に圧入することにより、ばねが弁体に衝突することがなく、ばねの損傷や騒音の発生を防止できるという優れた効果を生じるものである。しかしながら、ばねがプラグに衝突するためにばねが損傷したり騒音が発生したりする問題点があり、改良の余地を残すものであった。また、弁体が環状弁座から離座して開弁するときの圧力を変更するためには、付勢力の異なるバネを組込まなければならない問題点があった。また、弁体を環状弁座に強制的に着座させて強制閉弁させたりありいは弁体を環状弁座から強制的に離座させて強制開弁させたりすることができない問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、ばねが弁体やプラグに衝突することを防止でき、単一のバネを用いて開弁するときの圧力を変更することができると共に弁体を環状弁座に強制的に着座させて強制閉弁させたりありいは弁体を環状弁座から強制的に離座させて強制開弁させたりすることができる逆止弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の逆止弁は、本体とプラグから成る弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、入口と弁室の間に環状弁座を設け、環状弁座を開閉する弁体を弁室内に配置し、弁体とプラグの間にばねを配置したものにおいて、外部から進退操作可能にプラグを本体にねじ結合し、ばねの一端を弁体に圧入すると共にばねの他端をプラグに圧入したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外部から進退操作可能にプラグを本体にねじ結合し、ばねの一端を弁体に圧入すると共にばねの他端をプラグに圧入したことにより、ばねが弁体に衝突したりプラグに衝突したりすることがなく、ばねの損傷や騒音の発生を防止できるという優れた効果を生じるものである。また、プラグを前進させて弁体に近づけるとばねの付勢力を強めて入口がより高圧で開弁させることができ、更にプラグを前進させることにより弁体を環状弁座に着座させて強制閉弁させることができ、逆にプラグを後退させて弁体から遠ざけるとばねの付勢力を弱めて入口がより低圧で開弁させることができ、更にプラグを後退させることにより弁体を環状弁座から離座させて強制開弁させることができ、単一のバネを用いて開弁するときの圧力を変更したり、強制閉弁あるいは強制開弁したりすることができるという優れた効果を生じるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係わる逆止弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。弁ケーシングは本体1にプラグ2を外部から進退操作可能にねじ結合して構成し、内部にほぼ円筒状の弁室3を形成する。本体1に対するプラグ2のねじ進退操作はプラグ2に設けた凹部に回転操作部材を挿入して行う。本体1に入口4と出口5と第2出口6を形成する。出口5と第2出口6は入口4から直角方向に向けて形成する。第2出口6は対向して2つ形成する。
【0010】
本体1の入口4の弁室3側開口端に環状弁座7を設ける。環状弁座7は入口4と同一軸上に形成する。弁室3内に弁体8を配置する。プラグ2と弁体8の間にコイル状ばね9を設ける。コイル状ばね9の一端を弁体8の凹部内に圧入し、コイル状ばね9の他端にプラグ2の凸部を圧入する。弁体8の弁室3の内径を弁体8の外径よりも少し大径に形成して弁室3の内壁で弁体8の外周を環状弁座7の軸方向に案内する。出口5は本体1の弁体8の側部に位置し、第2出口6は本体1の弁体8の背部に位置する。
【0011】
入口4の流体圧力が出口5と第2出口6の流体圧力及びコイル状ばね9の付勢力よりも大きくなると、弁体8がコイル状ばね9を圧縮して環状弁座7から離座し、弁室3の内壁により環状弁座7の軸方向に案内されてプラグ2側に変位する。これにより、入口4の流体が出口5に流れると共に、弁体8の外周と弁室3の内壁との間を通過した流体が第2出口6に流れる。入口4の流体圧力が出口5と第2出口6の流体圧力及びコイル状ばね9の付勢力よりも小さくなると、弁体8が弁室3の内壁により環状弁座7の軸方向に案内されて、コイル状ばね8の付勢力により入口4側に変位して環状弁座7に着座し、出口5と第2出口6から入口4への流体の逆流を防止する。
【0012】
コイル状ばね9の一端を弁体8の凹部内に圧入し、コイル状ばね9の他端にプラグ2の凸部を圧入しているので、コイル状ばね9が弁体8に衝突したりプラグ2に衝突したりすることがなく、コイル状ばね9の損傷や騒音の発生を防止できる。またプラグ2をねじ込んで前進させて弁体8に近づけるとコイル状ばね9の付勢力を強めて入口4がより高圧で開弁させることができ、更にプラグ2をねじ込んで前進させることにより弁体8を環状弁座7に着座させて強制閉弁させることができる。逆にプラグ2をねじ戻して後退させて弁体8から遠ざけるとコイル状ばね9の付勢力を弱めて入口4がより低圧で開弁させることができ、更にプラグ2をねじ戻して後退させることにより弁体8を環状弁座7から離座させて強制開弁させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、流体の入口から出口への順方向の流れは許容するが、その逆方向の流れは阻止する逆止弁に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 プラグ
3 弁室
4 入口
5 出口
6 第2出口
7 環状弁座
8 弁体
9 コイル状ばね
図1