(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定部を挟んで配置された第1の操作ノブおよび第2の操作ノブを備え、第1の操作ノブと第2の操作ノブはそれぞれに第1のスイッチ位置と第2のスイッチ位置を有し、第1の操作ノブと第2の操作ノブをそれぞれ選択したスイッチ位置に位置づけることにより対応するスイッチ接点が切り換えられるスイッチ装置において、
固定部と第2の操作ノブの一方に設けられ第1および第2の操作ノブの並び方向における高さが傾斜するカム面を有するカム部と、固定部と第2の操作ノブの他方に保持され前記並び方向に付勢されて曲面を前記カム面上に押圧して移動可能な移動子とを備えて、第2の操作ノブをその前記第1のスイッチ位置に戻す操作ノブ戻し手段と、
第1の操作ノブがその前記第2のスイッチ位置にあるとき前記操作ノブ戻し手段を無効化する戻し無効化手段とを有し、
該戻し無効化手段は、前記並び方向に移動可能で第2の操作ノブと係合可能なスライダを備え、第1の操作ノブがその前記第2のスイッチ位置にあるとき前記スライダを第2の操作ノブと係合させて、該第2の操作ノブを前記第2のスイッチ位置に保持するものであり、
第1の操作ノブがその前記第2のスイッチ位置にあるときのみ、前記戻し無効化手段により第2の操作ノブをその前記第2の位置に位置づけられるとともに、第2の操作ノブがその前記第2のスイッチ位置に位置づけられている状態で、第1の操作ノブがその前記第2のスイッチ位置から第1のスイッチ位置に戻されると、前記スライダと第2の操作ノブの係合が解放され、前記操作ノブ戻し手段により第2の操作ノブがその前記第1のスイッチ位置に戻り、
第2の操作ノブはノブ側係合部を備え、前記スライダはスライダ側係合部を備え、
前記戻し無効化手段は、
前記スライダと固定部の間に前記スライダを第1の操作ノブ側へ付勢する第1のスプリングを設け、
第1の操作ノブと前記スライダの間に、第1の操作ノブがその前記第1のスイッチ位置にあるとき前記スライダを第1の操作ノブ寄りに位置させ、第1の操作ノブがその前記第2のスイッチ位置にあるとき前記スライダを第2の操作ノブ寄りに位置させるカム機構を備えて、
第1の操作ノブがその前記第1のスイッチ位置にあるとき前記ノブ側係合部とスライダ側係合部を離間させ、第1の操作ノブがその前記第2のスイッチ位置にあるとき前記ノブ側係合部とスライダ側係合部を係合させてクリック機構を形成するものであることを特徴とするスイッチ装置。
【背景技術】
【0002】
車両には種々のスイッチが設置され、操作性向上のためその多くのスイッチをステアリングコラム部にいわゆるコンビネーションスイッチとして集中させるようにしている。このコンビネーションスイッチは操作レバーが付設されて、その操作により種々のスイッチを作動させるレバースイッチとして構成される。
例えば、ヘッドライト、テールライトのライト種切り換え用ロータリスイッチノブと、フォグライトの点滅用のロータリースイッチノブが同軸上に配置される。
【0003】
ここで、ライト種切り換えロータリスイッチノブ(以下、ライトスイッチノブ)と、フォグライトの点滅用ロータリスイッチノブ(以下、フォグスイッチノブ)とが互いに独立的に操作できるようにした場合、ヘッドライトは消灯させたのにフォグライトの方は消し忘れるという虞がある。
そして最近は、主として前方視界の補助として車体前部に設置するフロントフォグライトと自車存在表示として車体後部に設置するリアフォグライトの両方を備える車両が増加しており、フォグスイッチノブがフロントフォグライトのみ点灯させるフロントフォグポジションとフロントフォグライトおよびリアフォグライトの双方を点灯させるフロント・リアフォグポジションとを有するようになっている。
【0004】
このような場合には、ライトスイッチノブのOFFを除くポジションではフォグスイッチノブのポジションを維持させ、ライトスイッチノブをOFFポジションへ操作したときのみフォグスイッチノブをOFFポジションへ連動移動させるのが望ましい。
そこで以上の要求を満たすものとして、例えば特開2009−146767号公報に開示されたスイッチレバーが提案されている。
【0005】
特開2009−146767号のものでは、固定ノブとライトスイッチノブの間に、節度山を備えるとともにスプリングでライトスイッチ側へ付勢された節度リングが配置され、ライトスイッチノブのOFF以外のポジションへの回動によりカム機構を介して節度山が固定ノブのスリット孔を貫通してフォグスイッチノブ側へ突出するようになっている。
フォグスイッチノブは、スリット孔に対向し固定ノブ側へ別のスプリングで付勢された節度ピースを備え、スリット孔から突出した節度山と節度ピースが係合することによりクリック機構が形成されて、OFF以外のポジションを選択、保持可能となっている。
【0006】
そして、フォグスイッチノブがOFF以外のポジションに保持されている状態において、ライトスイッチノブがOFF位置に戻されると上記のカム機構により節度リングの節度山がスリット孔内に退避し、フォグスイッチノブに保持された節度ピースはスリット孔の開口周縁に係合する。スリット孔の開口周縁は周方向に傾斜したテーパ面となっており、節度ピースがスプリングの弾性力によりテーパ面にそってスライドすることにより、フォグスイッチノブも回動してOFF位置へ戻される。
これにより、フォグスイッチノブがどのポジションにあってもヘッドライトやテールライトの消灯とともにフォグライトも消灯され、消し忘れがなくなる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を車両のステアリングコラムまわりに設置されるコンビネーションスイッチの操作レバーに適用した実施の形態について詳細に説明する。
図1は実施の形態の構成を示す縦断面図、
図2は分解斜視図である。
操作レバー1は、第1レバー2と、その内側に順次第2レバー3および第3レバー4を備えた3重構造となっている。
第2レバー3はステアリングコラムに固定される不図示のスイッチケース側部材に支持される。
第1レバー2は、第2レバー3の結合部9における異形断面および爪5による係止構造を用いた公知の結合手段で、第2レバー3に一体に固定される。
なお、
図1の軸線より上半部は後述する固定ノブ40のボールホルダ44を通る平面、下半部はフォグスイッチノブ60のボールホルダ64を通る平面でそれぞれ切った断面に相当する。
図1では第1レバー2よりスイッチケース側は省略している。
【0014】
操作レバー1は、全体を不図示のスイッチケース側の支持点まわりに揺動させることにより、スイッチケース内の可動スイッチ部材を変位させ、ターンシグナル、ヘッドライト照射方向切り換え等のスイッチ操作を行なえるようになっている。
以下では、操作レバー1にそって、スイッチケース側部材に支持される側を根元方向、自由端(外方端)側を先端方向とする。
【0015】
第1レバー2は操作レバー1の長手方向中央部における略1/3の外筒を形成しており、これより根元側はスイッチケースにカバーされる。
第2レバー3は第1レバー2の外方端から出て、後述の固定ノブの先端近傍まで延びている。
第3レバー4は第2レバー3を貫通して、スイッチケース側の一端は不図示の可動接点部材と係合し、他端は第2レバー3の外方端から出て、後述のライトスイッチノブ20内まで延びている。第3レバー4は第2レバー3に対して回動可能である。
【0016】
第3レバー4の先端部は異形断面とされるとともに切欠きが形成され、後述のレバー/ノブ連結材25と固定的に結合されるものとなっており、さらにレバー/ノブ連結材25はその外周側に備えた爪38によりライトスイッチノブ20と係合して、これにより第3レバー4はライトスイッチノブ20と一体回転するように結合される。
【0017】
第2レバー3の先端部外周は2面幅部とされて固定ノブ40が結合され、そして第1レバー2の先端部と固定ノブ40の間に、フォグスイッチノブ60が第2レバー3上に回動可能に配置されている。
これにより、操作レバー1の先端側から順次にライトスイッチノブ20、固定ノブ40、およびフォグスイッチノブ60が隣接して並ぶことになる。
ライトスイッチノブ20、固定ノブ40およびフォグスイッチノブ60の各軸心は互いに一致している。
【0018】
ライトスイッチノブ20を回動させると、第2レバー3に対して第3レバー4が回動して、スイッチケース側の不図示の可動接点部材を操作し、テールライト(およびスモールライト)とヘッドライトのON、OFFが切り換えられる。
本実施例ではライトスイッチノブ20の回動位置として、「オフ」(ヘッドライトおよびテールライトOFF)、「テール」(テールライトON)および「ヘッドライト」(ヘッドライトおよびテールライトON)の3位置が設定される。
【0019】
第1レバー2の先端部近傍には、第2レバー3との間の空間に固定接点盤が設けられ、これに対向する可動接点がフォグスイッチノブ60に支持されて回動可能となっている。固定接点盤からの配線は第1レバー2と第2レバー3間の空間を前述のスイッチケース側の支持点方向へ延びる。これらは図示省略している。
これにより、フォグスイッチノブ60の回動に応じてフォグライトのON、OFFが切り換えられる。フォグスイッチノブ60の回動位置として、「フォグオフ」(フロントフォグライトおよびリアフォグライトOFF)および「フロントフォグ」(フロントフォグライトON)、「フロント・リアフォグ」(フロントフォグライトおよびリアフォグライトON)の3位置が設定されている。
【0020】
図3に示すように、固定ノブ40の外周面に指標MSが表示され、ライトスイッチノブ20の外周面には「オフ」マークML0、「テール」マークML1および「ヘッドライト」マークML2が表示され、フォグスイッチノブ60の外周面には「フォグオフ」マークMF0、「フロントフォグ」マークMF1および「フロント・リアフォグ」マークMF2が表示されている。各マークが指標MSに合う位置までライトスイッチノブ20あるいはフォグスイッチノブ60を矢示のように回転させることにより各スイッチ位置を選択するようになっている。
本実施例ではライトスイッチノブ20における「オフ」、「テール」、「ヘッドライト」の3ポジションが例えば順次25°の回転角度位置に設定され、フォグスイッチノブ60における「フォグオフ」、「フロントフォグ」、「フロント・リアフォグ」の3ポジションも同じく順次25°の回転角度位置に設定されている。
【0021】
図1に示すように、固定ノブ40とレバー/ノブ連結材25の間には、スライダ50と、このスライダ50をレバー/ノブ連結材25方向に付勢するコイルスプリング75が設けられている。これらの詳細については後述する。
【0022】
以下、各部の詳細について説明する。
図4は分解状態における固定ノブ40、フォグスイッチノブ60、および第2レバー3の先端部を根元側から見た斜視図、
図5はフォグスイッチノブ60を先端側から見た斜視図である。
とくに
図4に示すように、第2レバー3は結合部9より先端側に、先端から順に固定ノブ40を支持するための第1軸部6、フォグスイッチノブ60を支持するための第2軸部7、および第2軸部7より大径のランド部8を備えている。
第1軸部6は2面幅部を有し、固定ノブ40の軸穴に形成した2面幅部と整合して、固定ノブ40が不図示の爪を併用して第2レバー3に一体結合する。ここでは、2面幅部は第2軸部7まで延びている。
一方、フォグスイッチノブ60は第2軸部7に対して回転可能である。
【0023】
フォグスイッチノブ60は主要部として、ボス部61と、ボス部61を中心とする外筒62と、ボス部61と外筒62をつなぐ連結壁63と、ボス部61の外周にそって連結壁63から軸方向に延びる2つのボールホルダ64(64A、64B)とからなる。
ボールホルダ64A、64Bは軸心を通る直径線上に軸心を挟んで配置され、それぞれボス部61の根元側端から先端方向、すなわち固定ノブ40側へ延びている。
連結壁63は外筒62の軸方向中間に位置して、軸方向に対して垂直である。
【0024】
ボールホルダ64の横断面の基本外形は扇形であり、連結壁63もボールホルダ64の横断面を拡大延長した形態で、軸方向から見たときにボールホルダ64と連結壁63が全体として扇形をなしている。
外筒62からは軸方向固定ノブ40方向へストップレバー70が延びている。
ボス部61は連結壁63から先端方向に外筒62の軸方向長さの約1/4ほど延びており、第2レバー3の第2軸部7が貫通する軸穴71を有している。
フォグスイッチノブ60はボス部61がランド部8に当接するまで第2レバー3の第2軸部7に嵌挿される。
【0025】
ボールホルダ64の軸方向先端は外筒62の先端よりわずかに内側(根元側)に位置している。
ボールホルダ64は、
図6に拡大して示すように、スプリング66を収容するスプリング収容部67を備え、その先端の開口部にクリックボール65を保持する。開口には突起68が形成されてクリックボール65を抜け止めする。開口端には後述するスライダ50に形成された節度山57が通過可能な周方向のスリット69が形成されている。スリット69に進入している節度山57にクリックボール65を付勢することにより、フォグスイッチノブ60に対するクリック機構が形成される。
【0026】
図7は固定ノブ40とスライダ50を先端側から見た斜視図である。
図7に示すように、固定ノブ40は主要部として、ボス部41と、ボス部41を中心とする外筒42と、ボス部41と外筒42をつなぐ連結壁43と、ボス部41の外周にそって連結壁43から軸方向に延びるボールホルダ44とからなる。
ボス部41は先端方向に開口した有底筒状で、底壁45に第2レバー3の第1軸部6に形成された2面幅部と整合する断面の軸穴46を有し、これにより固定ノブ40は第2レバー3に対して回転方向に固定されるとともに、不図示の爪により抜け止めされる。
ボス部41の軸方向長さは外筒42よりも短く、その底壁45は連結壁43よりもわずかに根元側に突出している(
図4参照)。
底壁45は後述のコイルスプリング75の座面となる。
【0027】
ボールホルダ44は軸心を通る直径線上に軸心を挟んで2つ配置され、それぞれ先端を外筒42の先端とほぼ同位置にしてボス部41の軸方向両側に突出している。
外筒42の根元側端の外周面は小径部42aとなっており、フォグスイッチノブ60の外筒62の内側に進入する(
図1参照)。
【0028】
ボールホルダ44は、
図6に示したボールホルダ64と同構成で、スプリング66を収容するスプリング収容部67を備え、その先端の開口部に図示省略のクリックボール65を保持して、開口端にはスリット69が周方向に形成されている。
ボールホルダ44のスリット69にはレバー/ノブ連結材25に形成された節度山31が通過可能で、スリット69に進入している節度山31にクリックボール65を付勢するカム部54(カム面57)とフォグスイッチノブ60のボールホルダ64Aとの対向することにより、ライトスイッチノブ20に対するクリック機構が形成される。
【0029】
図4に戻って、連結壁43の根元側面は外筒42の根元側端と一致している。
ボールホルダ44の横断面の基本外形は扇形である。連結壁43の周方向において上記2組のボールホルダ44に挟まれた領域の一方はボス部41から外筒42に至るまで切り欠かれて穴47となっている。穴47の周方向両端の側縁はボールホルダ44の扇形側辺を伸ばしており、したがって穴47も扇形をなしている。
ボス部41を挟んで穴47と反対側には、連結壁43から根元側へ立ち上がって端縁にカム面49を備えるカム部48が設けられている。
【0030】
カム部48は、
図10の軸線より下半部に示すように、フォグスイッチノブ60のボールホルダ64Bのスリット69に対向し、先端(カム面49)がクリックボール65と常時当接するように設定される。なお、
図10の軸線より上半部は、後述するスライダ50と固定ノブ40の係合関係を示し、
図1における下半部と同じである。
カム面49は連結壁43からの高さ(軸方向高さ)が周方向フォグスイッチノブ60の「フォグオフ」マークMF0側で高く、「フロント・リアフォグ」マークMF2側で低くなるように傾斜している。
【0031】
図8はスライダ50を根元側から見た斜視図である。
スライダ50は、
図7、
図8に示すように、ボス部51の先端から径方向へフランジ壁53を延ばし、フランジ壁53の外周縁から軸方向根元側(フォグスイッチノブ60側)へカム部54を延ばしている。
ボス部51は、根元方向に開口した有底筒状で、底壁55に第2レバー3の第1軸部6に形成された2面幅部と対応する断面の軸穴56を有し、第2レバー3に対して回転方向が固定された状態でスライド可能となっている。
フランジ壁53は軸心を挟んで対称に2つが延び、軸方向から見たときそれぞれ扇形をなしている。
【0032】
カム部54は一方のフランジ壁53にのみ設けられて部分筒壁をなし、端面に節度山57が形成されている。
カム部54はその内径が固定ノブ40におけるボス部41の外径よりも大きく、第2レバー3上に組みつけられたとき固定ノブ40の穴47を通ってフォグスイッチノブ60側へ貫通し、
図1、
図10に示すように、先端(節度山57)がフォグスイッチノブ60の一方のボールホルダ64Aに保持されたクリックボール65と当接可能となっている。
2つのフランジ壁53の先端側壁面にはそれぞれ軸方向突起状のカムフォロワ59(
図7参照)が設けられている。
【0033】
スライダ50における節度山57は、カム部54の外周面にそって径方向外側から見た
図9の展開図に示すように、カム部54の周方向中央位置の両側に基本端面58から軸方向(根元方向)に立ち上がる同一形状の2つの山からなり、2つの山間の谷は基本端面58と同じ深さとなっており、各山の頂点、谷、および周方向両側の基本端面58との接続部は滑らかな曲面となっている。節度山57の谷位置および基本端面58との接続部が「フォグオフ」、「フロントフォグ」、「フロント・リアフォグ」の各ポジションに対応し、25°間隔となっている。
【0034】
固定ノブ40とスライダ50の間には前述のコイルスプリング75が配置され、固定ノブ40のボス部41における底壁45と、スライダ50のボス部51における底壁55とはコイルスプリング75を受ける座面となる。
【0035】
図11の
(A)はライトスイッチノブ20とレバー/ノブ連結材25の結合状態を示す断面図、
(B)は結合状態のレバー/ノブ連結材25を根元側から見た図である。
(A)は
(B)におけるA−A部断面に相当する。
端壁27で接続されたボス部26と外筒28からなり、固定ノブ40側に向いた端壁27にカム部30を備えている。
ボス部26は断面が第3レバー4先端の異形断面と整合する軸穴29を有するとともに、先端側から軸方向に延びる2本のスリットに挟まれ部分を根元側から延びる係止片35としてある。係止片35の自由端には内方に突出する爪36が形成されている。
外筒28は、径方向から見たとき、根元側から軸方向に延びる2本のスリットに挟まれ部分を先端側から延びる係止片37としてある。係止片37の自由端には外方に突出する爪38が形成されている。
【0036】
ライトスイッチノブ20は、根元側が固定ノブ40の外筒42の外周面と滑らかに連続し、先端側が球面の有底筒状である。
開口する根元側端部の内壁に複数の結合ブロック22を備える。結合ブロック22は内径面がレバー/ノブ連結材25における外筒28の外周壁と整合する円筒面となっており、この内径面に係止凹部23が形成されている。
係止凹部23に係止片37の爪38を係止させることにより、ライトスイッチノブ20とレバー/ノブ連結材25は一体に結合される。
【0037】
レバー/ノブ連結材25のカム部30は、軸方向根元側(スライダ50側)へ向かって形成され、軸心を中心とする周方向にクリック用節度山31とスライダ用のカム面32が隣接して設けられている。
クリック用節度山31とスライダ用カム面32は、軸心を挟んで対称に2組設けてある。
クリック用節度山31は固定ノブ40のボールホルダ44に保持されたクリックボール65と当接する一方、スライダ用カム面32はスライダ50のカムフォロワ59先端と当接する。
【0038】
図12はカム部30を周方向に沿って径方向外方から見た展開図である。
クリック用節度山31は、ライトスイッチノブ20の「オフ」、「テール」および「ヘッドライト」に対応する位置が谷となり、それらの間が山となっており、スプリング66で付勢されたボールホルダ44のクリックボール65が谷に押し付けられることにより、ライトスイッチノブ20が「オフ」、「テール」または「ヘッドライト」位置に保持されるようになっている。各谷の間隔は25°である。
【0039】
「ヘッドライト」位置に対応する谷側に連続して、スライダ用カム面32が形成されている。スライダ用カム面32は軸方向(根元方向)における低領域32aと高領域32cとからなり、高領域32cと低領域32aは傾斜面32bで接続されて、低領域32aがクリック用節度山31に隣接している。
ライトスイッチノブ20が「テール」および「ヘッドライト」位置にあるときスライダ50のカムフォロワ59が高領域32cに当接し、ライトスイッチノブ10が「オフ」位置にあるときカムフォロワ59が低領域32aに当接するよう設定されている。
【0040】
なお、スライダ用カム面32における低領域32aを基準として、クリック用節度山31の山の頂点の高さhはスライダ50のカムフォロワ59の軸方向長さよりも小さく設定され、カムフォロワ59が低領域32aに当接した状態でクリック用節度山31の山がスライダ50におけるフランジ壁53の壁面と干渉しないようになっている。
【0041】
図13の
(A)はライトスイッチノブ20側からスライダ50と固定ノブ40を見た正面図、
(B)は同じくライトスイッチノブ20側から見たレバー/ノブ連結材25のカム部30と固定ノブ40の透視図である。
(B)においてスライダ50はそのカムフォロワ59のみを示している。
軸方向から見てスライダ50のフランジ壁53は扇形をなし、フランジ壁53を除くボス部51まわりは周方向において開放空間となっているので、スライダ50がレバー/ノブ連結材25と固定ノブ40の間に配置されていても、レバー/ノブ連結材25側から見て固定ノブ40のボールホルダ44に保持されたクリックボール65は露出しており、レバー/ノブ連結材25のクリック用節度山31に常時当接可能である。
なお、
図13の
(B)には、ライトスイッチノブ20の「オフ」位置におけるレバー/ノブ連結材25のクリック用節度山31とスライダ用カム面32を示している。
【0042】
また、
図14はライトスイッチノブ20側から見たスライダ50のカム部54における節度山57とフォグスイッチノブ60の透視図である。
スライダ50の節度山57は、固定ノブ40の穴47を通してフォグスイッチノブ60のボールホルダ64Aに保持されたクリックボール65と対向する。
図14は「フォグオフ」位置にあるフォグスイッチノブ60を示しており、そのストップレバー70が仮想線で示した固定ノブ40の連結壁43に当接している。
【0043】
ライトスイッチノブ20、固定ノブ40、およびフォグスイッチノブ60間には、スライダ50を用いたフォグスイッチノブ60のキャンセル機構が形成されている。
図15は操作レバー1に組み付けた状態における、キャンセル機構の動作説明図である。
スライダ50はその底壁55と固定ノブ40のボス部41における底壁45の間に配置されたコイルスプリング75によりライトスイッチノブ20方向へ付勢される。
【0044】
すなわち、ライトスイッチノブ20が「オフ」位置にあるとき、コイルスプリング75で付勢されているスライダ50は、
図15の
(A)に示すように、フォグスイッチノブ60から離れる方向に移動し、カムフォロワ59がカム面32の低領域32aに当接しており、節度山57がフォグスイッチノブ60のボールホルダ64Aのスリット69から抜けてクリックボール65との係合から解放されるように設定してある。
そして、前述のように、ボールホルダ64Bのスプリング66で付勢されたクリックボール65が常時固定ノブ40のカム部48の傾斜しているカム面49に当接しているから、スプリング66の付勢力によりカム面49の軸方向高さが低くなる側への横方向(回転方向)の力成分が生じてクリックボール65に作用し、フォグスイッチノブ60は「フォグオフ」位置方向へ付勢されている。
【0045】
このため、フォグスイッチノブ60を「フォグオフ」から「フロントフォグ」あるいは「フロント・リアフォグ」位置へ操作してもクリック機構が働かず、手を放すとカム面49の傾斜で付勢されているフォグスイッチノブ60は「フォグオフ」位置へ戻ってしまう。
したがって、ライトスイッチノブ20が「オフ」位置にある間はフォグスイッチノブ60を操作してフロントフォグライトあるいはリアフォグライトを点灯させることはできない。
【0046】
ライトスイッチノブ20が「テール」(または「ヘッドライト」)位置へ回転されると、
図15の
(B)に示すように、カムフォロワ59がカム面32の高領域32cに登ったスライダ50は、コイルスプリング75に抗して根元寄りへ移動し、その節度山57がフォグスイッチノブ60におけるボールホルダ64のスリット69に進入してクリックボール65と係合する。矢印は
(A)の状態からの移動方向である。
【0047】
このため、
図15の
(C)に示すように、フォグスイッチノブ60を「フォグオフ」から「フロントフォグ」(あるいは「フロント・リアフォグ」)位置に操作すると、クリック機構が働いて選択したスイッチ位置に保持される。
この間、ボールホルダ64Bのクリックボール65と固定ノブ40の傾斜しているカム面49との当接により「フォグオフ」位置方向への付勢力が作用しているが、カム面49の傾斜が節度山57の傾斜より緩やかであるため、節度山57による位置保持力の方が大きく「フォグオフ」位置に戻らない。
もちろん、「フロント・リアフォグ」から「フロントフォグ」、そして「フォグオフ」位置へ戻すことも任意に可能である。
したがって、ライトスイッチノブ20が「テール」または「ヘッドライト」位置にある間は、フォグスイッチノブ60を操作してフロントフォグライトあるいはリアフォグライトの点灯、消灯が可能である。
【0048】
つぎに、ライトスイッチノブ20が「ヘッドライト」位置にあり、フォグスイッチノブ60も「フロント・リアフォグ」位置にある状態から、ライトスイッチノブ20を「テール」位置にした場合には、上述と同じく、フォグスイッチノブ60を操作してフロントフォグライトあるいはリアフォグライトの点灯、消灯が可能であるが、フォグスイッチノブ60を操作しなければフロントフォグライトとリアフォグライト両方の点灯状態に変化はない。
【0049】
ライトスイッチノブ20をさらに「テール」から「オフ」位置へ操作すると、今度はスライダ50のカムフォロワ59がレバー/ノブ連結部25の低領域32aに移動しスライダ50がコイルスプリング75により付勢され、フォグスイッチノブ60から離間する方向に移動してフォグスイッチノブ60に対するクリック機構が働かないことになるので、フォグスイッチノブ60は「フロント・リアフォグ」あるいは「フロントフォグ」のいずれにあるかにかかわらず当該位置に保持されず、ボールホルダ64Bのクリックボール65と固定ノブ40の傾斜カム面49による付勢力のため「フォグオフ」位置へ戻される。
例えば、「フロント・リアフォグ」位置にあったフォグスイッチノブ60は、「フロントフォグ」をパスして一挙に「フォグオフ」位置へ戻されることになる。
なお、カム面49とクリックボール65の係合は常に平滑面と球面の接触であるから、エッジでの接触と異なり磨耗のおそれなく、クリックボール65が滑らかに回転してフォグスイッチノブ60は確実に「フォグオフ」位置へ戻される。
【0050】
本実施の形態では、ライトスイッチノブ20が第1の操作ノブに該当し、フォグスイッチノブ60が第2の操作ノブに該当している。
また、ライトスイッチノブの「オフ」が第1の操作ノブの第1のスイッチ位置に該当し、「テール」および「ヘッドライト」の点灯位置が第1の操作ノブの第2のスイッチ位置に相当する。
そして、フォグスイッチノブの「フォグオフ」が第2の操作ノブの第1のスイッチ位置に該当し、「フロントフォグ」および「フロント・リアフォグ」の点灯位置が第2の操作ノブの第2のスイッチ位置に相当する。
【0051】
操作レバー1が発明におけるレバーに該当し、操作レバー1の軸方向が第1および第2の操作ノブの並び方向に該当する。
スライダ50のカム部48における軸方向の高さが周方向で傾斜するカム面49にフォグスイッチノブ60におけるボールホルダ64Bのスプリング66で付勢されたクリックボール65を押圧させることにより、クリックボールに周方向の力を作用させ、フォグスイッチノブ60をその「フォグオフ」方向に付勢する構造が、発明における操作ノブ戻し手段を構成し、とくに曲面として球面を有するボールホルダ64Bのクリックボール65が移動子に該当する。
ボールホルダ64Bが第2のボールホルダに該当して、ボールホルダ64B内のスプリング66が第3のスプリングに該当する。
【0052】
コイルスプリング75で付勢されたスライダ50のカムフォロワ59をレバー/ノブ連結材25のカム面32に当接させた構造がカム機構に該当し、スライダ50の節度山57が、フォグスイッチノブ60のボールホルダ64Aのクリックボール65と係合する構造がクリック機構に該当する。とくに、節度山57がスライダ側係合部に、ボールホルダ64Aのクリックボール65がノブ側係合部に、またコイルスプリング75が第1のスプリングにそれぞれ該当する。また、穴47が軸方向貫通孔に該当する。
ボールホルダ64Aが第1のボールホルダに該当し、ボールホルダ64A内のスプリング66が第2のスプリングに該当する。
そして、コイルスプリング75に抗してカム面32にしたがってスライダ50を軸方向に移動させてクリック機構を作動させる構造が、戻し無効化手段を構成している。
【0053】
本実施の形態は以上のように構成され、操作レバー1に配したライトスイッチノブ20が「オフ」、「テール」および「ヘッドライト」位置を有し、フォグスイッチノブ60が「フォグオフ」、「フロントフォグ」および「フロント・リアフォグ」位置を有するコンビネーションスイッチにおいて、ライトスイッチノブ20が「テール」または「ヘッドライト」位置にあるときのみ、フォグスイッチノブ60を「フロントフォグ」または「フロント・リアフォグ」位置に位置づけられるとともに、フォグスイッチノブ60が「フロントフォグ」または「フロント・リアフォグ」位置に位置づけられている状態で、ライトスイッチノブ20が「テール」または「ヘッドライト」位置から「オフ」位置に戻されると、フォグスイッチノブ60が「フォグオフ」位置に戻るものとしたので、フォグライトだけを点灯させたあと後刻消し忘れるような事態が生じず、またヘッドライトとフォグライト双方を点灯させた後、ヘッドライトは消灯させたのにフォグライトの方は消し忘れるということが防止される。
【0054】
より具体的には、固定ノブ40に軸方向高さが周方向で傾斜するカム面49を有するカム部48を設け、フォグスイッチノブ60にはクリックボール65を保持するボールホルダ64Bを設けて、クリックボール65を軸方向にカム面49上に常時押し付けることによりフォグスイッチノブ60に回転方向の付勢力を及ぼす構成とし、ライトスイッチノブ20が「テール」または「ヘッドライト」位置にあるとき軸方向に移動可能のスライダ50をフォグスイッチノブ60側と係合させて、フォグスイッチノブ60を「フロントフォグ」または「フロント・リアフォグ」位置に保持する一方、ライトスイッチノブ20が「オフ」位置にあるときはスライダ50とフォグスイッチノブ60側の係合が解放され、上記付勢力によりフォグスイッチノブ60が「フォグオフ」位置に戻される構成であるから、ライトスイッチノブ20が「オフ」位置のときは、フォグスイッチノブ60を「フォグオフ」から「フロントフォグ」または「フロント・リアフォグ」位置へ回動させても当該選択した位置に保持されず、「フォグオフ」位置へ戻ってしまってフォグライトを点灯させることができない。
そして、従来の構成と比較して、固定ノブ40に設けたカム部48のカム面49上にフォグスイッチノブ60のボールホルダ64Bに保持されスプリング66で付勢されたクリックボール65を押圧することによりフォグスイッチノブ60を「フォグオフ」位置へ戻すので、カム面49とクリックボール65との間の磨耗が抑制され、高い耐久性を有する。
【0055】
スライダ50はコイルスプリング75によりライトスイッチノブ20側へ付勢され、ライトスイッチノブ20とスライダ50の間に、ライトスイッチノブ20が「オフ」位置にあるときスライダ50をライトスイッチノブ20寄りに位置させ、ライトスイッチノブ20が「テール」または「ヘッドライト」位置にあるときスライダ50をフォグスイッチノブ60寄りに位置させるよう構成したスライダ用カム面32とカムフォロワ59からなるカム機構を備えているので、簡単な構成でスライダ50とフォグスイッチノブ60側の係合、解放が実現される。
【0056】
スライダ50とフォグスイッチノブ60側のそれぞれの係合部は、フォグスイッチノブ60に設けたボールホルダ64Aに保持されたクリックボール65と、スライダ50のカム部54に形成されて固定ノブ40の穴47を通してクリックボール65に軸方向に対向させた節度山57としたので、係合したとき同時にクリック機構までも形成される。
【0057】
ボールホルダ64Aとボールホルダ64Bはそれぞれ保持するクリックボール65を含めて同一構造(仕様)であり、フォグスイッチノブ60の軸心を挟んで対象位置に設けたので、両ボールホルダのクリックボール65もスプリング66も共用でき、部品コストの低減および管理コストの低減が図れる。
【0058】
なお、実施の形態では移動子としてボールホルダに保持されたクリックボール65を用いたが、ボールの代わりに回転可能なローラを用いてもカム面49上を摩擦を少なくして移動でき、滑らかで耐久性のある作動が得られる。
また、実施の形態では第1の操作ノブおよび第2の操作ノブとして、レバーの軸方向にそって配設されてそれぞれ回動操作されるライトスイッチノブ20とフォグスイッチノブ60を例として説明したが、本発明はこれに限定されず、スライドなど直線操作されるスイッチ等にも適用することができるものである。